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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら九泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/02(月) 02:57:50 ID:XgSwbg4B0
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・DQ世界であれば宿屋でなくても、すでに書かれているDQシリーズでも、大歓迎です。
・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角右アングルブラケット二つ)+半角数字(最後に投稿したレス番号)」)をつけると読み易くなります。

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら八泊目
ttp://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1162106116/

まとめサイト(書き手ごとのまとめ/過去ログ)
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://coronatus.sakura.ne.jp/DQyadoya/bbs.cgi

472 :気紛れ ◆kyK/MpMz4o :2007/06/20(水) 21:16:42 ID:8vCQuhLbO
「うわぁ!!!」
「きゃあ!!?」
寸での所で拳を交わした私の情けない声とまさか交わされると思っていなかったんだろう女の子が空振ってクルンと回って悲鳴をあげた。
「何で避けるのよ!」
「避けるわ!」
ここでやっと私を見たらしい女の子がキョトーンとして、私とアルスに視線を行き来させて一言。
「あんた誰!」
「先に謝らんかい!」
これが、私とマリベルの出会いだ。第一印象最悪。

そんなわけで私たち三人はtoグランエスタードの道中にいる。
そんなわけっていうのは、単にアルスとマリベルは、
一緒にグランエスタードに行く約束をしていたってことなんだけど。
ちなみに私が殴られそうになったのは、`いつまで私を待たせる気!?'なマリベルの怒りが込められていたらしい。
ちなみにちなみに!結局私謝られてません!!
HAHAHAHAHA!!

今私達はアルスを挟んでそっぽ向いて歩いている。




473 :気紛れ ◆kyK/MpMz4o :2007/06/20(水) 21:20:36 ID:8vCQuhLbO
…痛い。ああ、いけない。また、アルスに心配かけちゃう。
顔を上げて、大丈夫だって、笑わなきゃ。

そう考えるのに、体はそう動いてくれない。

……痛い、痛い!!もうやだ、何でこんなことしてんの、私!
いきなりこんなわけわかんない所に来て、いきなり殴られそうになって、挙句にこんな、いたい目に、あって。
泣き出したいのを肩を震わせてやり過ごそうとした。うまく行かない。

ずるずる、鼻をすする私の目に飛び込んで来たのは鮮やかな緑色の葉っぱだった。
「もう、はやく使いなさいよ!」
続いてマリベルの声。私はわけがわからないままその葉っぱを受け取る。
「べ、別にあんたの為じゃないんだからね!あんたの怪我のせいでグランエスタードに着くのが遅くなって困るのは私なんだから!!」
そう怒ったように、怒鳴るようにマリベルの顔は真っ赤だ。アルスが私に耳打ちをする。
「さっきのこと、本当は謝りたいんだよ、マリベル。」
素直じゃないんだから。
そう囁くアルスの声は優しくって、嘘のない声だった。だから、私も素直に言えたんだと思う。
「ありがと、マリベル」



「ところで」
「何よ、まだなにかあるの?」
「この葉っぱの使用法が分からない件」
「……。」
「……。」



私は正座をしてこの葉っぱ――薬草の使用法を教授して頂くことになった。
……足、痛いです、マリベル先生。


474 :気紛れ ◆kyK/MpMz4o :2007/06/20(水) 21:23:39 ID:8vCQuhLbO
>>473の前に入れてください、すいません…


……。
……………。
…………………気まずい。非常に気まずい。
元来私はふるえるこの胸チキンハートの持ち主で、他人と喧嘩なんて小学生以来だ。
…兄貴とは頻繁に喧嘩するけど。
まあ、そんなのは関係なくって、とにかく、私はこの女子の喧嘩特有の冷戦状態が苦手でしかたがないのだ。
…ああ!早く着かないかな、グランエスタード!!


―――話は変わりますが、グランエスタードに向かう道、舗装されてないんです。
デコボコ道ってレベルじゃねーぞ!
体力はない方ではないと思うんだけど、軽く酸欠。酸素くれ。
フラフラと歩く私をアルスが心配そうに見ている。
「大丈夫?」
と声を掛けられた。
マリベルも意外にヒョイヒョイ歩いてるし、私だけ、情けない…
そう思うと見栄を張りたくなる。そりゃあもう、精一杯。

大 丈 夫 ! !

とびきりの笑顔で顔を上げた私からその3文字の声が上がることはなかった。
「おひゃん!!」
情けない、悲鳴ともつかない叫び声をあげて私は地面に突っ伏した。
……足元の石ころに歩をとられて。




475 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/20(水) 22:50:02 ID:WEvhBGd90
ツンデレktkr

476 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/20(水) 22:50:41 ID:9JEBheu1O
>>458-465
今度はタイミング合いませんでしたがGJ!!
タツミ頭よすぎww
エジプト神話とか遊戯王しか知らない
>>471-474
GJっす!
いい感じにツンデレきてますねww

477 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/21(木) 08:39:20 ID:UTPcNGFs0
>>458-465
乙っした!
>>457の二人を見てるとなぜか懐かしの某オリラジを思い出してしまうw
エジプト神話って同じ神話でもいろいろパターンあるから、使うの難しいんだよな。
次回リアルサイド、wktk待機!

>>471-474
マリベル原作に忠実なツンデレで良い感じだ。
女の子主人公に期待大!

478 :Stage.?[1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/21(木) 14:08:09 ID:6jlyry6F0

アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。ってこの挨拶、固定化しそうだな」
アルス「じゃあさっそくサンクスコールいってみますかっ」

タツミ「>>466様、ほんと僕の潜在能力ってどうなってんでしょうね。自分でもわかりません」
アルス「自分のことだろが。463でのグッタイミンな支援も助かりました」
タツミ「>>468様、乙3連打サンクスです」
アルス「>>476様、コイツなんて頭いいってか、ただの変態ですよねw」
タツミ「うるさいなぁ。
   >>477様、おっしゃるとおりエジプト神話は色々あって、組み立て結構悩みました」

アルス「ところで、俺らオリラジっぽいって」
タツミ「懐かしいね。こんなんだっけ by Youtube」
つttp://www.youtube.com/watch?v=A5rkI5kp-cQ&mode=related&search=
アルス「ふーん」


アルス「…………」
タツミ「…………」




479 :Stage.?[2] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/21(木) 14:10:12 ID:6jlyry6F0

アルス・タツミ『デンデンデンデ デンデデンデンデン♪』
タツミ「ドラクエサンラジオです!」
アルス「お願いします!」

タツミ「アル君いつものやったげて♪」
アルス「オウ! 聞きたいか 俺の武勇伝!」
タツミ「そのスゴイ武勇伝をゆったげて♪」
アルス「俺の伝説ベストテン!」
タツミ「レツゴー!」

アルス「むっつりスケベに認定される」
タツミ「スゴイ! 今では神龍マブダチに」
アルス・タツミ『武勇伝 武勇伝 ぶゆうデンデンデデンデン♪』
タツミ「レツゴー!」

アルス「ポルトガ王を黒ゴマでだます」
タツミ「スゴイ! セサミンパワーで長寿大国」
アルス・タツミ『武勇伝 武勇伝 ぶゆうデンデンデデンデン♪』
タツミ「レツゴー!」

アルス「ラスボスがなんと多段変身」
タツミ「スゴイ! 道に迷って相手はピサロ」
アルス・タツミ『武勇伝 武勇伝 ぶゆうデンデンデデンデン♪』
タツミ「レツゴー!」

アルス・タツミ『意味は無いけれど ムシャクシャしたから〜♪ ラーミア青く染めてみた〜♪』
アルス・タツミ『デンデンデンデデン♪』

アルス「ハイ! レイアムランドのそっくり巫女に モスラのテーマを歌わせる」
タツミ「ペケポン!」

480 :Stage.?[3] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/21(木) 14:11:09 ID:6jlyry6F0

アルス「―――― orz」
タツミ「―――― orz」


タツミ「もう早く本編スタートさせちゃおう。怒られそうだ」
アルス「できん」
タツミ「………………はい?」
アルス「俺の方、まだ本編の収録終わってない」
タツミ「はぃぃぃい!!!??? じゃあなにか? 今回オリラジネタだけか!?」
アルス「朝に477様のレス読んで、思いついたから昼休みに書いたらしい >作者」
タツミ「仕事先からなにやってんのこの人! 合作間近の大事な時期に余計なレス消費して!」
アルス「さっき353KBだったな。この書き込みでもう少し増えてるかも」
タツミ「ああああ!!!!!!」

アルス「次の本編投下は明日の予定です。お邪魔しやした〜」



マジゴメンナサイ。

481 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/21(木) 19:16:17 ID:z/x/QTm4O
タツミとアルス武勇伝ワロタwwこういうネタもいいな。乙です!

482 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/21(木) 20:48:44 ID:2tMO19vD0
最近まとめサイトを読んできたけど、こんなネタもやってたとはwww
◆IFDQ/RcGKI 氏、乙! 明日の本編も楽しみにしてます!

483 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 10:21:08 ID:/2mUTMy6O
477だが、まさかオリラジ披露してくれるとは思わなかったww
電車の中で吹きそうになったよ。ありがとう。

484 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/22(金) 12:27:11 ID:ft3gEZr80
また遅くなりました
>>405きです

485 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/22(金) 12:28:32 ID:ft3gEZr80

『餓鬼共が!餓鬼共がァ!』
ボスの余裕が徐々に失われていくのが、手に取るように解った。
ゴーストのボスは決して強い敵ではなかった。
その表情に不安が過り、次第に攻撃も精彩を欠いていく。
ビアンカの放った炎がもう一度ボスの体にぶつかり、
とうとう尻をついたボスの眼前に俺は
止めを刺そうと自分の武器を振り上げた。

『ヒイィィ!わかった!もうやめてくれェ!』
武器を振り上げた姿勢のまま、俺は動きを止めた。
ビアンカが『なにしてるのよ!』と背後から叫ぶ。

顔の前に両手を掲げ、顔を伏せたままボスは
『もうこの城からは出て行く!だから助けてくれェ』と
まるで情けない声で懇願の悲鳴を上げている。
顔周りが焼け落ち、ところどころ切り裂かれたローブが痛々しげにボスの体を覆っていた。
俺は掲げていた武器を下ろす。
『サン、目的を忘れたの?そんなやつ、やっちゃいなさいよ』
ビアンカが明らかに怒った声で言った。ボスが再びヒィ、と泣いた。

『頼むから見逃してくれよ・・・。約束する、もう俺達ァこの城からは出て行くからよォ』
ぼろぼろのローブからはみ出た両腕を必死で振りながら、
ボスは俺とビアンカに交互に泣きついた。
ビアンカはそれを半ば呆れたような目で見下ろしている。

486 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/22(金) 12:30:06 ID:ft3gEZr80

『あんた、自分のしたことがわかってるの?今更そんな事言われたって許せないわよ!』
武器を振おうとするビアンカにボスは悪かったよ!と叫んだ。
『俺達ァ楽しく暮らしたかっただけなんだ。
魔界の仲間にも、幽霊の仲間にも疎ましがられちまってよォ』
当然だわ、と冷たく言うビアンカにボスは情けない声で『この城は誰も寄ってこないしよ、
王様気分でちょっと楽しみたかっただけなんだ』と言った。

『頼むよ、もう悪さはしねえ。ここから出て行けばそれでいいだろう?』
『どうする?サン』
顔を上げたビアンカに、俺は逃がしてやろう、と言った。
『本気なの?信じられないわ!サンってお人好しよね』
今度は俺に向かって呆れた表情を作り、
仕方なさげにビアンカは腰に手を当てると、ボスの方に向き直った。
『行きなさいよ』
渋々と言った声色に、ボスはへっへっへ、と笑い
『ありがとうよ。あんた立派な大人になるぜ』言いながら立ち上がると、
長いローブをばさりと翻した。

瞬きする間もなく、ボスの姿は消えていた。
始めからこうやって逃げればよかったのに。
と思ったけれど、ゲームの世界のルールなんだろうなとぼんやりと俺は納得した。

487 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/22(金) 12:31:11 ID:ft3gEZr80

いつの間にかあれだけ煩く鳴き続けていた雷は止んでいた。
城を包んでいた重く息苦しい空気が和らいで、月明りが切れ切れの雲間から世界を照らし始めていた。
ゆらりとあの暖かい空気が俺達の周りを包んでいた。
王の気配を感じ見上げると、薄い雲を払って顔を出した月と、
穏やかに微笑む王と王妃の姿が見えた。
二人はゆっくりと空を歩き、それぞれに俺とビアンカの手を取った。

浮遊。

世界の理に囚われないその二人の影響か
俺達の足は地面を離れ、ふわりと空中に浮いていた。
手を引かれ、王と王妃の眠るべきバルコニーへと誘われる。

墓石の前に足を着くと、王は俺の手を離し『よくやってくれた。礼を言う』と微笑んだ。
『本当に、感謝します。これで穏やかに眠れそうです』
王妃も王と良く似た笑顔を浮かべ、俺とビアンカの瞳を目を細めて見詰めている。
『城内の者達も、眠りについたようだ。さあ、おまえ。我々も行こうか』
『ええ、あなた』

淡く輝いていた二人の体が、一瞬、更に暖かな輝きを放った。
王が王妃の肩を抱き、王妃は寄り添うようにその腕に体を預ける。
『そなた達のことはきっと忘れまい。本当にありがとう』
嬉しそうに微笑む王妃の笑顔と、王の声が、白い光に包まれていく。
そして少しの余韻を残して、夜の闇に消えた。
最後に墓石が惜しむようにこつり、と音を立てた気がした。

488 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/22(金) 12:32:29 ID:ft3gEZr80

『これで二人は幸せに眠れるのね』
ぼんやりと、今見た光景を刻み付けるように目を閉じて、ビアンカが言った。
ことりと、もう一度墓石が鳴いた。
『・・・何かしら。なにかあるわ』
目を開けたビアンカが墓石を見下ろす。
子供の掌よりも大きな、月光に金色に輝く大きな宝玉が、
王の墓の前に供えるように置かれていた。
ビアンカがそれを手に取り『お礼かしら』と笑った。

手を繋いで夜の道を戻る。
城内にあれだけいた幽霊や魔物は、すっかりとその姿を消していた。
城門をくぐり草原へ出る。
ざわりと風に靡く草花は、入る前のそれと同じ筈なのに、何故か何処か違うもののように思えた。
魔物の気配ももうしない。モンスターも寝るのかしら、とビアンカが言う。
不意にビアンカが俺の手を離し立ち止まった。歩を止め振り向くと、草原の真ん中。
城門の見える位置でビアンカがしゃがみ込んでいる。
『あたし、今日沢山モンスターを殺したわ』
一歩、少女の下へ踏み出しかけた俺に、ビアンカは呟いた。
少女の見下ろす地面に、つい数時間前戦った、小さなモンスターの爪あとがくっきりと残されていた。
『猫ちゃん・・・』
その両の手を顔の前で組み、ビアンカは目を閉じた。
その整った顔立ちの向こうに、快感や優越はもう、見えなかった。

俺は今後にしたばかりの大きな城を見上げた。
暗闇の象徴のように感じたその城は今は、月明りの中、
世界を見守るように、静かに穏やかに佇んでいる。

489 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/22(金) 12:34:58 ID:ft3gEZr80
今回ここまでで。
ありがとうございます。

490 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 14:54:38 ID:W9LkVEJ40
>>478-480
武勇伝ナツカシスww なんてサービス精神旺盛な主人公ズだ。
ところでリアルサイドのアルスってどんなカッコしてるんでしょう?

>>485-488
GJ! ついにボス倒したサン&ビアンカ、乙!
最後のビアンカが女の子らしくていい感じだなぁ。

491 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 16:36:27 ID:6vFKv05d0
うわ、GJです。
王様と王妃様の情景が目に浮かぶようでじ〜〜んとしました。

これから先、生き残っていくにはモンスターたちをいっぱいやっつけないといけないからビアンカさんがちょっと心配です。
もっとも、嬉々としてモンスターを虐殺しまくるヒロインもいやですけどね(wwww

492 :Stage.5-3 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/22(金) 23:36:43 ID:SKqRKooU0

アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。って、やっぱりこの挨拶で定着か……」
アルス「だな。投下の前に、恒例のサンクスコール」

アルス「>>481様、ウケて良かった〜。シラけられたら目も当てられねえw」
タツミ「>>482様、本編はどっちかというとシリアスなんで、番外はハメはずし気味ですね」
アルス「あれでシリアスかぁ? >>483(477)様、楽しいネタ振りありがと!」
タツミ「>>490様、当社は読者様への徹底したサービスを心掛けております♪」

アルス「しかし、俺の今の格好か。えーと、ちょっと丈の短い黒いのと……」
タツミ「はいはい。こんな感じだね」

   【アルス(元勇者):装備】
    上着:リブスタンドブルゾン(ブラック)
     上:2ボタンのカットソー(レッド) 
     下:ストレートデニム(ダークグレイ)
     靴:スニーカー(ダークレッド)

タツミ「僕、本当は白系の服の方が多いんだけど、黒でまとめたね」
アルス「とりあえず濃い色のを適当に選んだ。それより(元勇者)ってイヤミかよ」
タツミ「事実でしょうが。――さて、そろそろ行数も押してきましたし」
アルス「なんか久々の出番だな」


アルス・タツミ『それでは、本編スタートです!』


【Stage.5 ミイラ男と星空と(中編)】
 続編 リアルサイド

493 :Stage.5-3 [13] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/22(金) 23:38:30 ID:SKqRKooU0
 Prev >>458-465 (Rial-Side Prev >>299-305)

 ----------------- Rial-Side -----------------

 久しぶり、と言われた相手をまったく覚えていないというのは、普通は失礼な話だ。
 ヤツの日常を「夢」という形で見ていた俺は、曖昧だったり、抜け落ちている情報も多
分にある。あまりしたてに出るのは得意じゃないが、最初のうちは「すまん、ど忘れした」
と頭を下げなきゃならん場面もたくさんあるだろう、と覚悟はしていた。

 が、こいつらにその必要はないと思われる。

「さっき見てたけど、お前ゲームもすげえのな。さすが天才?」
「俺らもれんしゅーしてえんだけど、先立つモノっつーのがちょっと無くてさ」
「なあタッちゃん、また貸してくんねーかな〜? 2、3万でいいからさー」
 お決まりの要求パターンだ。ったく、五体満足で衣食住にも恵まれてそうなのに、こい
つらはなんでこんな、場末でやさぐれてるゴロツキみたいなマネをするんだ?
「おい三津原、聞いてんのかよ」
「無きゃそこのコンビニで降ろしてくりゃいいし。な、俺らの仲だろ?」 
 ねとねとした口調がひどく勘に障る。しかも今の話だと、
「アイツ、以前からこんな連中にカモにされてた、ってことか……」
「へ?」

 最初に殴りかかってきた少年が一番近かったから、そいつにした。
 相手を見ることもなく逆手で襟元をひっつかみ、そのまま振りかぶって、
「な……」
 丁度そこにいたお仲間のひとりに適当にブン投げる。一回転して背中から激突し、巻き
込まれたガキ共々、そいつは数メートル先までフッ飛んでいった。
「そんな、片手で投げた……!?」
 残ったひとりが引きつった声を出す。
 右腕を回すとコキッと音がした。思ったより重さを感じたな。
「やっぱちょっと肩にくるな。向こうの半分ってとこか」

494 :Stage.5-3 [14] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/22(金) 23:40:57 ID:SKqRKooU0

 元の世界じゃボストロールにヘッドロックかまして遊んでたからな。
 さすがに「現実」だと制限がかかるようだが、今の自分のステータスが把握できてない
から、かえって加減の取り方がわからん。
 かなり力を抜いたつもりだが、やりすぎたかね。
「悪い。いちおう教会、じゃねえ病院? 連れてった方がいいかもよ。んじゃ」
 お前らみたいなのに構ってるヒマはねえんだよ。

 と――。
「ふ、ふざけんなぁ!!」
 甲高い叫びが上がった。投げ飛ばしたガキが立ち上がる。そいつの手元でチャキっと音
がして、なにかが小さく光った。
「おい……」
 どうやらナイフらしい。待て待て、向こうならともかく、こっちの世界でそんな簡単に
刃物を持ち出していいのか。
「お前、それはまずいんじゃないか? ケーサツとか大丈夫なのかよ」
「黙れ!」
 相手は完全に激昂していて、俺の言うことなんかまるで聞く気なしだ。周囲から悲鳴や
制止の声があがる。

「やべえって栄治、ほんとに捕まるって……うわ!」
 エージと呼ばれたそいつは、止めに入った仲間にまで斬りかかった。
「落ち着いてくれよ栄治!」
「うるせえ! タツミてめえ! 俺にそんな、く、口きいていいと……!」
「なんだよこいつは――」
 わざと力の差を見せつけてやったのに、まるで前後がわかってない。こっちの若者はキ
レんの早すぎだ。
 ラリホーでも使えれば一発で片がつくんだが、「しかしなにも起こらなかった!」って
地文にテロップが流れるだけだろうしな。
 しゃあねえ、殴って気絶させるか。「当てる」となると手加減が難しいんだが――。

495 :Stage.5-3 [15] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/22(金) 23:42:24 ID:SKqRKooU0

「三津原やめろ!」
 今度は俺の方が止められた。聞き覚えのある声に振り返ると、戸田和弘が必死の形相で
俺の腕を押さえている。
「ダメだろ、手ぇ出したら! 今度こそ取り消されるって言ってたじゃねえか」
「取り消される……? なんだよそりゃ」
「なんとかって奨学金、出なくなるんだろ? 学校これなくなるって」
 は? そんなの知らねーぞ!?
「とにかく逃げるぞ」
 軽くメダパニっている俺は、カズヒロに引っ張られるままその場を離れた。
「待ちやがれ、このクソヤロウ! 死ね!」
 エージ少年は、ザキが発動しそうなくらい憎しみのこもった叫びをあげながら追いかけ
て来る。もしやタツミの方があのガキになにかしたのか?
 あんなザコ相手に逃げなきゃならんってのもめっちゃストレスだし、ホントどうなって
んだよ、ったく――! 

   ◇

 俺たちはひとまず、どこかの路地裏に入って相手をやりすごした。
 これだけ建物が密集していると追っ手をまくのも容易だ……が、俺はすでにここがどこ
だかわからなくなっていた。こっちの街って、ホント似たような景色ばかりなのな。
「よりによって一條たちに出くわすとは。ゲーセンに誘ったの、悪かったよ」
「いいけどさ。しかし、アイツらはなんなんだ」
 神妙な顔で謝る友人に、俺はつい、自分が関係者であることを忘れてぼやいた。
「まさか心当たり無いとか言わないだろ? お前って肝心なことはなにも言ってくれねえ
し……。なあ三津原、本当は一條となにかあったんじゃないのか?」
 逆に問われる。そんなの俺が聞きてーよ。

 正直、1分1秒でも惜しいところだが、俺は思い切ってカズヒロに聞いてみた。
「あのさカズ、いきなり変なこと、聞くけどさ」
「お、おう。なんだ?」
「俺は……『三津原辰巳』ってヤツは――そんなに特徴的な人間か?」

496 :Stage.5-3 [16] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/22(金) 23:44:03 ID:SKqRKooU0

「そりゃそーじゃねえ? 本読むのメチャクチャ早えーとか、見た物ぜんぶ写真みたいに
覚えられるとか。言っちゃ悪いがちょっと普通とは違うと思う」
 やっぱりか!
 ユリコが言ってた「忘れるなんて珍しい」って言葉も、アイツらが天才呼ばわりしてた
ことも、これで納得がいった。俺とは少し方向性が違うようだが、ヤツも「思い出す」に
類する特技を持っているらしい。
「うちみたいな進学校で、満点以外取ったことねえヤツが他にいるかよ」
 しかも遠慮なくフルで能力発揮しまくりかよ。
 となると、さっきの「しょーがくきん」ってやつも、たぶんアレだろ。
「それで国とかそういう上の方から、特別な援助金が出てたりするのか」
「俺はよく知らねえよ。お前んち、一度も学費払ったことないって聞いてるけど」
 マジかーッ。これじゃうちと一緒じゃねえかよ!


 嫌なことを思い出す――。
 勇者オルテガの名前のせいで、うちはやたらと国王から厚遇されていた。親父が死んで
からさらに、高額の生活補助金まで支払われるようになった。
 でも魔王討伐に「失敗」した勇者の家だぜ? そんなのやっかまれるに決まってる。
「……この家はどうも、風の突き当たりになっているみたいねぇ」
 直しても直しても割られる窓ガラスを、おふくろは困ったように見つめていた。じじい
は出歩かなくなったし、俺の友達は全員「敵」か「他人」でしかなくなった。
 俺が周囲を、実力で黙らせるしかなかったんだ。

 逆に俺が「夢」で知っている「三津原辰巳」は、学業も運動も人並みで、一般的な家の
生まれという設定だった。おとなしくて目立たない少年だが、人当たりはいいのでいじめ
に遭っていることもない。
 特に問題は無いが、強いて言えば父親が単身赴任とかって遠方勤務で留守がちの上、母
親が子供に無関心で少し寂しい家庭だ、とかそんな程度。
 ごく平凡なそこらの学生、のはずだった。

 なのに「夢」と「現実」がズレてる。俺がなにか大きな勘違いをしているのか――?

497 :Stage.5-3 [17] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/22(金) 23:46:26 ID:SKqRKooU0

「あ、俺バカだ!」
 カズヒロがいきなり叫んだ。内側に向いていた意識が引き戻される。
「完全に振り切ったら、アイツらお前の家の前で待ち伏せするに決まってるよな?」
 うへー? あのキチ(ピー!)君、タツミんちも知ってるのか。
 カズヒロは眉根を寄せて考え込むと、すぐに「よし」とうなずいた。
「俺が引きつけとくから、お前先に帰っとけ」
「え、ちょっと――」
「いいか、お前は顔を出すなよ。大事になるから警察とかにも捕まらないように!」
 止める間もなく行ってしまう。追いかけていいのかどうか迷ってるうちに、カズヒロは
雑踏の中に紛れてしまい、俺はぽつんと一人、薄暗い路地裏に取り残された。

「おーい……こっからどうやって帰れと」
 拝啓、母上様。
 アルスはただいま、異世界で迷子になりました。

   ◇

 とにかく帰ろう。住所はわかってるから、誰かに聞くのが早いよな。
 路地から表を観察し、エージ少年らがいないことを確かめてから出ていった。
 最初に近くを通りかかったオッサンを捕まえる。
「あの、すみません」
「ん?」
 頭のてっぺんが横にシマシマになっているオッサンは、あからさまに迷惑そうな顔を向
けて来た。
「道に迷ったんですけど、教えてもらえないかと――」
「忙しいんで他の人に聞いてくれる?」
 足を止めることさえなく、スタスタと行ってしまう。
 ずいぶん淡泊な反応だ。そんなに忙しそうに見えなかったが。

498 :Stage.5-3 [18] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/22(金) 23:47:40 ID:SKqRKooU0

 まあ人口の密集度はすさまじい世界だ。すぐに別な人間に声をかける。
 今度はまじめそうな雰囲気の、年配の女性だ。
「すみません、道を――」
 が、その女なんか目も合わせようとしない。いきなり歩調が早くなって逃げるように離
れていく。
 なにそれ。俺そんな不審人物? 慣れない反応に戸惑うが、とにかく時間がない。合間に
携帯のリダイアルを続けているが一向につながる気配がないし。
「ちょっと! 道をですねっ」
 次にもう少し若い女を捕まえた。今度は俺のウケの良さそうな20代くらいのお姉さんで、
案の定、彼女は変な顔もせず微笑んでくれた。
「どうしたの?」
「はい、あの、道を尋ねたくて」
 住所を告げる。彼女は首をかしげて「ごめん、わからない」と言った。
「交番に聞いた方が早いんじゃないかな。すぐ近くだし、案内するよ」
 コーバンって、ケーサツの詰め所のことだっけ?
「いやあの、ケーサツはまずいっていうか……」
 途端に相手の顔が険しくなる。
「ああ、やっぱり。もしかしてと思ったけど、あんた家出してるのね」
「はぁ?」
「近頃のガキはホントどうしようもないわ。さっさと帰りなさい、かまってられない」
 厳しい口調で言い捨てて、やたらかかとの細い靴をカッカッと鳴らしながら去っていく。
 だから、その家に帰れなくて困ってるんだってば!

「なんだかなー……」
 そりゃ向こうでも、話しかけても冷たい反応を返されることはあった。だがたいがいの
街人は、きちんとこちらを向いて丁寧に情報提供してくれたものだ。
 それに比べてこっちの人間は、冷淡すぎやしないか。
 他人のことなんか、本当にどうでもいいみたいな……。

499 :Stage.5-3 [19] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/22(金) 23:49:12 ID:SKqRKooU0

 ふるっと震えがきた。この時間にもなると一気に冷え込むようで、肩にひっかけていた
だけの上着の前を合わせる。
 日の暮れた街は、たいまつやランプとはまるで違う白く冴えた光で溢れかえっていて、
なにもかもが作り物めいて見えた。
 作り物は、向こうの世界のはずなのに。
「なんでつながんないんだよ、タツミの野郎……」

 
「あはははは!」
 いきなり後ろから笑い声が聞こえた。
 驚いて振り向くと、一人の細身の少年が立っていた。
 俺と同い年か、少し上くらいだろうか。ダフッとした黄色のシャツを着て、首回りや両
腕に幾重にも派手なアクセサリを巻きつけている。
「いや失礼。ここは場所が悪いんですよ。さっきみたいに家出少年か、キャッチだと思わ
れちゃうんですよね。もう1本先の表通りに出れば、また反応も違いますよ」
 少し長めの茶色の髪をかき上げる。チャラチャラした格好だが、エージたちよりはずっ
とまともそうだ。
「さっきの立ち回りを見て、もしやと思って追いかけてきたんですが……。良ければ僕が
家までお送りしますよ?」
「それは助かるが……あんた誰だ」
 タツミの記憶にはないし、相手も知り合いというわけではなさそうだ。
「そうですね――今は詳しいことは秘密にしておきますよ」
 唇に人差し指を立てて、彼は人好きのしそうな笑みを浮かべた。
「あなたも移行が完了しないうちは、簡単に素性を明かさない方が賢明でしょう」
 移行……? って、まさか!
「お前も『向こう』の人間なのか!?」

「ええ。僕もまだ1ヶ月くらいですけどね」
 彼の左耳で、小さなピアスがきらりと光った。
「ここではショウと呼ばれてます。どうぞよろしく」

500 :Stage.5-3 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/23(土) 00:05:05 ID:j2KoNgk00
本日はここまでです。

501 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 00:19:13 ID:xpeii2Lu0
おおお…投下乙!新キャラ向こう側の人間かよ
俄然面白くなってきたwwww期待w

502 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 00:23:18 ID:oQsAYyYg0
乙です!
ピアスの新キャラってもしかして・・・続きめっちゃ気になる

503 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 09:09:34 ID:ScnqKa2Q0
素晴らしい!◆IFDQ/RcGKIさま乙
ゲーム世界篇が面白くて正直次はリアル篇かよ〜と思っていたら
何かもっと面白そう!
おもいだすの特技がリアルでは天才と評価される切り口は新鮮ですね
次も期待しています

それから◆u9VgpDS6fg さま、遅まきながら乙です
続き待ってました
レヌーる城篇クライマックス、良かったです。
ビアンカも乗り越えるべき葛藤があって成長物語らしくなってきましたね
次のベビーパンサーとのからみ期待してます!

504 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 12:33:42 ID:rDqLBcqj0
わー、タツミ君もアルス君も人知れず苦労してたんですね・・・。
新キャラ、なんかあまり信用しないほうがいい予感?

505 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 14:10:04 ID:dUT2/mTAO
乙!

リアルサイドでは「不慣れな日常生活」ってだけでもつのかなぁ?
などと思っていたのですが…
全くの邪推でしたね!こんな展開に持っていくとは!!
そこにシビ(ry

506 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 17:37:22 ID:g5kY8jGbO
長髪にピアスといえば4勇者か…?

507 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 11:00:15 ID:1RYblbuT0
>>303 『それで…さ、今回だけ、ナビ頼めないかな』
>>499 「なんでつながんないんだよ、タツミの野郎……」

なんだかんだで相手を頼ってるのなw

508 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 22:54:50 ID:wP7NDng/O
◆u9VgpDS6fg氏GJです。
続きまってました!背景や心理の描写うますぎ!
続きwktk

まさか武勇伝くるとは!!◆IFDQ/RcGKI氏!
てか,新キャラですね!でも最初マルチかなんかの勧誘かと思ったww

509 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 03:52:04 ID:r9zx5GBN0
眠れずの保守

510 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 21:21:49 ID:oiWt4v8xO
鈴木さんと田中は今頃なにしてるんだろう

511 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/28(木) 14:50:44 ID:U01CzWfe0
>>510
たぶん・・・。バイト先の酒場でえっちなこと。
居候先のおかみさんとえっちなこと。

512 :Stage.? [雑談] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/29(金) 08:27:43 ID:BCQ4QTbt0

アルス「なんでもいいから雑談しろってよ」
タツミ「どう見ても間をつないでるだけです。本当にあり(ry」

アルス「ところで、お前の本名の『三津原辰巳』ってさ」
タツミ「うん」
アルス「辰って竜と同じような意味の字だろ。つまりDQ3? 単純じゃね?」
タツミ「悪かったね。単純なのは作者の命名センスだろ」
アルス「っつーか、それはお前もだろ。なんで俺デフォルト名なのよ」
タツミ「もしかして僕が『アルス』ってつけたから、君その名前なの?」
アルス「そうだって。4周もしてたのに全部同じにしてるし」
タツミ「うん、考えるの面倒だったから」
アルス「ありえねー、なにその思い入れの無さ!」
タツミ「こら、『アルス』って名前を気に入ってプレイしてる人もいるかもしれないだろ」
アルス「お前は今、考えるの面倒だったからって言ったじゃねえか」
タツミ「じゃあ『ジョニー』とか?」
アルス「このSSの印象変わりそうだな」
タツミ「それなら『ゲパルト』とか」
アルス「てめえワザとだろ」
タツミ「わがままだなぁ。もう『ヘニョ』にしていい?」
アルス「なんだそりゃ!」
タツミ「いいじゃないか。ヘニョに決定」
ヘニョ「決定するニャ! うニャ、名前まで変わってるニョ!?」
タツミ「語尾も変わってるw」
ヘニョ「ニョwwwwwwやめwwwwwwww助けてマリニャン様ぁ!」

513 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/29(金) 09:55:42 ID:fB3zTJbgO
ちょwwwwwwマリニャンて誰だよ?

514 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/29(金) 09:56:45 ID:fB3zTJbgO
あ 今気付いた
命名神マリナンか

515 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/30(土) 20:46:02 ID:m2jFDiYf0
ドイツ連邦軍の対空戦車吹いた

516 :Stage.6-1 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:00:56 ID:KaTnT6e30
アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。それではさっそく、サンクスコールいっきまーす」

アルス「>>501様、謎の新キャラ登場です。これからもっと面白くなる……かはわかんないけど」
タツミ「しなきゃダメでしょうが。>>502様は誰だと予想しましたか? 特に伏せようとしてる
   わけじゃないんですが、ピアスはひっかけになるかもしれません」
アルス「>>503様、今までリアルサイドはのんびりしてたからなぁ。俺もこいつが『おもいだす』の
   特技を持ってるとは思わなかったぜ」
タツミ「>>504様、しかしもっとも苦労してるのは、誰かさんのせいでゲーム世界に飛ばされた
   今現在なんですけどね(ノ∀`)」
アルス「>>505様、地味に大変なんすけどね。俺いまだにあの青い親子連れの看板がわからん」
タツミ「>>506様、4って長髪にピアスなんだ。僕DQ3以外やったことないからなぁ。どうなの?」
アルス「俺に聞くな、他シリーズのことなんか知るか。そして>>507様、それは大・勘違い!です」
タツミ「僕はけっこう頼りにしてたんだけどねぇ……まるっきり役立たずだけど」
アルス「タイミング悪いんだよお前は! 意外にキレ易いし」
タツミ「人が命懸けで冒険してんのにふざけるからでしょうが。
   こんなのほっといて、>>508様、確かにあの登場の仕方はマルチっぽいかもw」

アルス「続いて雑談のサンクスコール」
タツミ「>>513様、はい、命名神マリナン様です。ダーマまで進んだらぜひアルスを『ヘニョ』に」
アルス「するなぁ! >>515様、そんなごっついシロモノの名前だったんすね。つけられなくて良かった」

アルス「以上かな? たくさんの応援メッセージありがとうございました!」
タツミ「なんだかんだで物語もStage.6となりまして――」
アルス・タツミ『それでは、本編スタートです!』


【Stage.6 ミイラ男と星空と(後編)】
 リアルサイド  続編

517 :Stage.6-1 [1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:02:10 ID:KaTnT6e30
 Rial-Side Prev >>493-499

 ----------------- Rial-Side -----------------

「別に急ぐ必要なんかないですよ。所詮ゲームです、本当に死にやしませんから」
 早く帰ろうと焦る俺に、ショウはあっさりそう言い切った。
「でも相手が死んだら俺も消えるって……」
「確かに消えはしますけど、主人公は自動で生き返りますし。相手が蘇生すればこっちも
元に戻ります。誰かの前でいきなり消えたり出たりしたらちょっとまずいかな、というて
いどの問題なんですよ」
「マジで? うわー心配して損した!」
 なんだよ、タツミのヤツも復活するのか。神竜も紛らわしい言い方しやがって、死んだ
らそれまでって意味だと思い込んでいたから、気が気じゃなかったっつーのに。
「――ただ僕たちにも、一応『生き返らない条件』ってあったじゃないですか」
 ショウが続けた言葉に、俺はつい顔をしかめた。あまり触れたくない話だ。
「あったな。心から絶望して自殺したら生き返らない、とか」
 もっとも主人公の自殺判定はかなりシビアで、ほとんどは戦略上の理由として片付けら
れて自動蘇生の対象となる。成功することは滅多にない。
 正義の主人公というのは、そう簡単には死なせてもらえないものだ。
「一応そこは気をつけた方がいいでしょうね」
 まあうちのあのプレイヤーに限っちゃ、まずあり得ねーな。

「ちょっと待ってください。コーラでいいですか?」
 表通りに向かう途中の自販機の前で、ショウが立ち止まった。コインを入れ、一斉に点
灯した購入ボタンのうちのひとつを2度押して、先に出てきた缶を手渡してきた。
「えっと……」
 どうすれば、と思うと同時に、相手が自分の缶を目の前に持ってきた。
「ここに指を引っかけて、こうやって開けるんですよ」
 プシュッといい音がして、缶の上に水滴型の穴が空く。うまくできてるもんだ。 
「あんがと。そういう細かいとこが、ところどころわかんないんだよなぁ」
「僕も苦労しました。こっちじゃ常識だから、聞くに聞けないし」
「わかるわかるw」

518 :Stage.6-1 [2] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:03:23 ID:KaTnT6e30

 プレイヤーの生死に神経質になる必要はないとわかったし、事情が同じヤツと話してい
るのもあって、俺はすごく気が楽になった。
 やがて大きな通りに出ると、ショウは片手を上げて一台の車を止めた。屋根に変な形の
ランプがついている。
「住所がわかってるなら、こうやってタクシーを拾った方が早いですよ」
 なるほど、勉強になります。
 自動的にドアが開いて、ショウが先に乗り込もうとする。
「待てよ、これに乗ってけば帰れるんだろ? わざわざついて来なくてもいいんだぜ」
 さすがに俺も遠慮したんだが、彼は首を振った。
「落ち着かないんで、きちんと家まで送りたいんです。嫌じゃなければ、ですけど」
 嫌なわけはない。本音ではありがたい申し出だ。やっぱこっちの人間と違って、向こう
のヤツはみんな親切だよなーっ。

 人工の光に溢れかえる街中を、車がゆっくりと走り出す。
 さて、いい機会だし、あとはなにを聞いておこうかな――。


「ところで、さっき『心配した』って言ってましたよね?」
 俺が口を開く前に、少し低いトーンでショウが聞いてきた。
「言ったけど、どうかしたか?」
 ふと、彼の顔から笑みが消えた。
「プレイヤーに同情は禁物ですよ」
 一瞬、返す言葉に詰まる。相手は「ふぅ」と溜息をついた。

「右も左もわからない異世界で、お互いに自分の正体を知っているのは立場を交換した相
手だけ。情が湧くのも当たり前ですけどね。でも、地位も名誉も、家族も仲間もすべて捨
てて――よっぽどの覚悟を決めて、こっちに来たんでしょう?」
「そりゃ……まあ」
「プレイヤーに同情してクリアまで手伝ってたら、すべてフイになりますよ」

519 :Stage.6-1 [3] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:05:08 ID:KaTnT6e30

 こいつは、本当はそれが言いたくてタクシーに乗り込んだんだなと、俺は悟った。
 冷たく突き放したような内容だが、言ってる本人も少ししぶい顔をしている。
「僕も最初はずいぶん悩みましたよ。プレイヤーも『帰りたい』って泣きましたし。でも
考えてもみてください。相手は、つかの間でも現実の生活を忘れたくて『ゲーム』を楽し
んでたんです。慣れれば必ず向こうを選びます。現に僕のプレイヤーなんて、一週間で永
住を決めましたよ」
「帰りたくない、って?」
「もちろん、そうなるように僕も誘導しましたけど。――今は僕たちが『プレイヤー』な
んですから、うまく相手を動かさないとね」
 小さく肩をすくめて、彼は俺を見た。
「あとは好きに生きればいい。いつまでも相手のフリをする必要もありません。僕たちが
こっちで生活するために利用してるだけで、どうせ親兄弟も赤の他人なんだし」

 その通りだった。
 俺が感じていた不安や疑問をすべて的確に晴らしてくれる答えだ。
 ただ――なぜか俺はそこで、すぐに返事ができなかった。

 黙り込んだ俺に、ショウはフッと笑った。
「よけいなお世話、でしたか?」
「いや……そうだな。お前が正しいよ」
 救うべき世界をプレイヤーに押しつけて逃げ出してきた罪悪感と。
 命懸けで守ろうとした世界が作り物だと知ってしまった虚無感と。
 全部振り切って、ここで生きていこうと決めたのだ。いまさら引き返せない。


 車が停まった。いつの間にかタツミのマンションの前まで来ていたのだ。
「そう言えば、あなたはこちらでは、なんて?」
「タツミ。三津原辰巳」
「いい名前じゃないですか。……じゃあまた、頑張ってくださいね、タツミ君」
 俺を降ろしたタクシーは、少し行った先で角を曲がり、すぐに見えなくなった。

520 :Stage.6-1 [4] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:05:58 ID:KaTnT6e30

 ----------------- Rial-Side Another -----------------

 ――1台のタクシーが夜の住宅街をすべるように進んでいく。
 とあるマンションの前でいったん停車し、黒髪の少年を一人降ろして再び走り出す。
 その車は、近くの十字路を折れてマンションからの死角に入ると、もう一度停まった。

「ここまででいいです」
 後部席に乗っていた黄色シャツの少年が運転手に告げた。財布から紙幣を数枚出して、
座席の間のカウンターに置く。運転手は紙幣を数えると、メーターの示す金額を引いた釣
り銭を代わりにカウンターに置いた。
「ところで、さっきのはゲームの話だよね?」
 運転手が聞いてくる。少年は釣り銭を財布に戻しながら「ええ」とうなずいた。
「いまどきのゲームって凄いよねえ。自分みたいなオジサンにはついていけないよ」
「やってみたらそんなに難しくもないですよ。特にドラクエとかは」
 少年は愛想良く答え、車を降りた。

 そして、走り去っていくタクシーのテールランプに向かって、少年は呟いた。
「近いうちに、嫌でもかかわることになるけどね――」
 さきほど別れたもう一人の少年が帰っていったマンションを注意深く眺める。4階の右
端の部屋に明かりが灯ったのを確かめると、携帯電話を取り出した。
「……僕です。やっぱりゲームサイドの人間でしたね。でも、あんまり期待できないと思
いますよ。なんか人の良さそうな子だし。……いや、それはないと思いますけど」
 通話口の向こうで懸念を示す相手に、彼は静かに言った。
「もう少し様子を見ましょう。それでもしもの時は……僕がちゃんと、処理しますから」

 彼はもう2、3言交わしたあと、通話を切って歩き出した。
 街灯と街灯の合間にある影の溜まりに踏み込んだところで、ふと立ち止まる。
 次の瞬間、そこから光の柱が立ち上がり、空を貫いていった。
 あとには誰の姿もなかった。

521 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 14:06:06 ID:Mngw2y6W0
SIENQUEST

522 :Stage.6-1 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:09:51 ID:KaTnT6e30
本日はここまでです。
謎キャラが本格的に絡んでくるのはもう少しあとになります。
次はゲームサイドの予定です。

523 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 17:16:17 ID:rqsMJx4v0
なんか本格的な感じになってきたな
もっとこう、軽めの話なのかと思ってたんだが

だが、それがいい


524 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 21:06:55 ID:BtC/VkWvO
GJ!!
ピアス男何者?!
とりあえず味方ではなさそうですね。
続きwktk

525 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 21:53:16 ID:WQf8nEtSO
乙!
自分も>>523と同じくマターリな感じの作品かと思ってたんだが(特にリアルサイド)。
実は結構シリアスなストーリーだったりするのかな?

そういえば俺が好きだったあの人の作品も、最初はギャグ一辺倒だったなぁ。
こんなサービス旺盛なサンクスコールは全く無かったがw

まぁあれだ。ヘニョガンガレ!!

526 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/03(火) 12:56:36 ID:TvnDpJiU0
やはり新キャラ、あやしいですね・・・。
ゲームサイドからこちらの世界をのっとろうとしている悪の組織の手先チック
わくわく・・・。

527 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 10:55:54 ID:1LlyXZAXO
保守…

528 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 23:30:17 ID:/fPogsIv0
同人キモオタ小説スレ晒しage

529 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 23:38:29 ID:OoBm8tpA0
sine

530 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/06(金) 17:38:23 ID:4DjClDfe0
読み返してみるとやっぱり4の人のが一番面白いね
終わってしまって残念

531 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/06(金) 20:29:28 ID:cLWjOIcO0
>>530
そういう感想は避難所に書けよ。
なんで現行で頑張ってる書き手さんのモチベーションが
下がるようなことをわざわざここで言うんだ。
少しは気を遣え。

532 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/06(金) 20:43:56 ID:UKvE9Atu0
4の人のが素晴らしかったのは事実だし。
読み手が感想を書きたくなるような
面白いものを書くよう努力するさ。

533 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/06(金) 20:57:07 ID:cLWjOIcO0
>>532
すまん、かえって余計なこと言った。
マターリ待機してるよ。

534 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:05:07 ID:MwaIw4hS0
 前回のあらすじ>>422-427

 ……ああどうも、俺です。
 皆さんはマイラの村にいるぱふぱふしてくれる女の子が未成年だって知っていましたか?
 俺は知りませんでした。
 たとえ合意の上でも立派な淫行に当たることをご存知ですか?
 俺は知っていました。


  \
:::::  \            俺の両腕に冷たい鉄の輪がはめられた。
\:::::  \
 \::::: _ヽ __   _     外界との連絡を断ち切る契約の印だ。
  ヽ/,  /_ ヽ/、 ヽ_
   // /<  __) l -,|__) > 「刑事さん・・・、俺、どうして・・・
   || | <  __)_ゝJ_)_>    こんなこと・・・しちゃったのかな?」
\ ||.| <  ___)_(_)_ >
  \| |  <____ノ_(_)_ )   とめどなく大粒の涙がこぼれ落ち
   ヾヽニニ/ー--'/        震える俺の掌を濡らした。
    |_|_t_|_♀__|
      9   ∂        「その答えを見つけるのは、お前自身だ。」
       6  ∂
       (9_∂          俺は声をあげて泣いた。


                                                −完−


 ご愛読ありがとうございました。
 ◆yeTK1cdmjoの次回作にご期待ください。

535 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:06:01 ID:MwaIw4hS0
「未成年とは知らなかった。10ゴールドを支払……ってちょっと待て!」
「?」
「ここは条例ないんだよな!?」
「条例? 何の条例?」

 アレフガルドは日本じゃない! てか、地球じゃない!
 つまり! 淫行条例適・用・外!
 素晴らしき哉! 人生!!

「うおおおおお! セフセフ! いいいやっほおおおおおおお!!」
「な、なんかわからないけど落ち着いてよ!」
「素数を数える必要がないほどに落ち着いてるじゃないか! ひゃっほーーーーーーい!」
「落ち着け!」
「ぐふっ」
 ……見事なアッパーだ……。
 燃えたよ……まっ白に……燃えつきた……まっ白な灰に……。

「お、いたいた」
「みやおうか。どした?」
「悶絶してるところ悪いが、そろそろ宿に戻らないと明日が辛いぞ」
「そういや明日はリムルダールだったな」
 実戦経験の乏しい俺の特訓のためにマイラに逗留すること数日。
 ゆう帝曰く、「そこそこ実戦慣れしてきましたね」とのことで俺達三人はようやくリムルダールに向かうことにした。

「ほんじゃ、プリンセス・ハオの夢を見るくらいに寝るとするか」
「プリンセス……何?」
「気にすんな」



「あ、10ゴールドもらってない!」
 (∩゚д゚)アーアーきこえなーい

536 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:08:02 ID:MwaIw4hS0
 そんなわけで、リムルダール島を結ぶ洞窟に向かう俺ら。

「って、毒の沼じゃねえか!」
「何か問題でもありました?」
「いやいやいや、『何か問題でもありました?』じゃねえよ。どうやって行くんだ?」
「歩いていくに決まってるだろう」
「さ、行きましょう」
 ゆう帝はちゃっかりと魔法の鎧を着ているからいいものの、俺とミヤ王はどうすんだ?

「気をしっかり持てばこの程度大したことはない」
 筋肉馬鹿め。

 ゲームの毒の沼と実際に見る毒の沼は全然違う。
 ゲーム上では黒のダメージマップだけど、現実はもっと毒々しい。黒に赤紫を混ぜた色してやがる。
 それに臭い。
 スピードワゴンじゃないが、ゲロ以下の臭いがプンプンする。
 臭いなのか何なのかわからないが目も痛い。
 タバコや排気ガスなんか可愛いもんだ。
 まだ足を踏み入れてないのにこのヤバさ。
 5分もいたら死ぬ。マジで死ぬ。この場所にいるだけで死ぬ。ヤバい。超ヤバい。

「ってもう行ってんじゃねえよ!」
「急ぎましょう」
「早めに洞窟を抜けきりたい。急げよ」
 言いたい放題言いやがって。
 ――よし、行ってやるよ!
 Bダッシュで行ってやろうじゃねえか!

「うおおおお! 痛え! 痛え!」
 バリッとした痛みが伝わってくる。もしかして靴溶けてんじゃね?
 Bダッシュとか無理! マリオすげえ!
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!

537 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/07(土) 01:10:19 ID:msRcUqSD0
ちょうど>>534でスレ開いてテラ焦ったwww

538 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:11:33 ID:MwaIw4hS0
 沼地の洞窟に頭から飛び込んだのは俺くらいだろうね。

「最短距離で行くからはぐれないようにしっかり捕まっとけよー」
「松明ありますよ?」
「松明なんざいらん。右手を向かって右側の壁に当てろ」
 真っ暗で二人の顔は見えないが半信半疑といったところだろう。
 いくら真っ暗で自分の足元くらいしか見えなくてもこの洞窟は難しくない。
 RPGの基本は左手の法則だが、このダンジョンは右手を使う。
 右手をピッタリと壁に当ててそのまま歩いていけば松明がなくとも攻略できる。
 ローラ姫は……いつか来るであろう勇者に任せておこう。
 姫は攫われてるうちが華ってもんだ。

「いいか、何があっても真っ直ぐ進めよ」
「わかった」
「モンスターが出てきた場合は?」
「踏め」

 暗闇に目が慣れるまではゆっくりと、慣れてからは普通の速度で洞窟内を真っ直ぐ進む。
 ゲームなら下に向かってるはずだ。
 魔法使いらしき奴には「どこに目ェつけとんじゃボケェ!」と恫喝し、メーダらしきものは踏んで難を逃れた。
 これぞ男塾名物直進行軍。たとえ飛行帽の家でも真っ直ぐ進んでやるぜ!

 平坦な洞窟かと思っていたが微妙に坂になっているようだ。
 テレビの前でコントローラーを握っているだけではわかるはずもなかったドラクエ世界。
 子供の頃、自分も冒険してみたいと誰もが夢見たことだろう。
 何の因果か知らんがドラクエ世界に飛ばされて、実際に冒険している俺はラッキーと言え――るわけねえよな。
 パソコンが無いし電波は届かないしコンビニも無いし捻るだけで水が出る蛇口も無い。そう考えると日本すげー。

 元の世界に戻ったら色々やりてえなあ。
 2ちゃんの溜まってるログ読んで、乗り遅れた祭りに参加して……そういやあのスレ落ちてないだろな。
 この経験生かして「もし目が覚めたら〜」に投下してみるのもありだな。
 待てよ、即レスを求めるならVIPもあり――って、どれだけ2ちゃんに依存してんだよ俺('A`)

539 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:13:44 ID:MwaIw4hS0
「まさか本当にいけるとは……」
「言った通りだったろ?」
 松明一つも消費せずに沼地の洞窟、難なく攻略。
 沼地の洞窟程度、俺にしてみりゃ超楽勝。
 下押すだけのゲームと実際に歩くリアルドラクエとの違いはあるけど。

「リムルダールまでもう少しだな」
「モンスターも強くなってるでしょうから気をつけてください」
「強いモンスターってのは、今みやおうにボコボコにされてるアレのことか?」


      =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ つ =つ≡つ =つ≡つ ≡つ =つ≡つ
  ∧_∧ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡∧_∧≡つ =つ≡つ ≡つ =つ≡つ
  ( ・ω・)=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ))д´)≡つ≡つ =つ≡つ ≡つ =つ≡つ
  (っ ≡つ=つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ (っ  ⊂)≡つ =つ≡つ =つ≡つ
  /   ) =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡| x |≡つつ =つ≡つ =つ≡つ
 ( / ̄∪ ババババ ババババ ババババ ババババ ∪ ̄ ∪ ババババ ババババ
      =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ つ =つ≡つ =つ≡つ ≡つ =つ≡つ


 強すぎだろ。
 何だよあのラッシュ。どこの聖闘士だよ。

 もうやめて!  リカントのライフは0よ!!
 などと考えてるうちに哀れリカントは海に転落。南無。
 ミヤ王だけで竜王フルボッコにできるんじゃね?

「待たせてすまん。少々てこずった」
「さ、行きましょうか」
「……」
 今更だが、俺はとんでもない連中と旅をしてるんじゃなかろうか。

540 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:14:49 ID:MwaIw4hS0
 リムルダールに向かう途中、リカントだの魔道士だの鉄のさそりだの出てきたが全部ミヤ王とゆう帝が一掃。
 早くキム皇と合流したいそうです。
 ま、俺は足手まといになるだろうし、楽なのはいいんだけどさあ。
 怖いよ。
 文字通りフルボッコにするミヤ王もだが、急所を的確に狙って一撃で殺すゆう帝には流石の俺もドン引き。
 キム皇はまともな奴でありますように。
 ……望みは薄そうだけどさ。

「キムこうは確かこっちに……。あそこで佇んでる奴、ではないよなあ……」
 俺の視線の先にはなぜか体育座りをして何か口ずさんでる男の姿が。
 こういう嫌な予感はよく当たるんだよなあ。

「おい、キムこう!」
 ほーら当たった。

「もしかしてゆうていとみやおうだすか? あて……あて、寂しかっただすよ〜」
 仲間同士の再会ってのは別に悪くはない。
 むしろ感動するシーンだとは思う。
 勉三を彷彿とさせる謎の方言じゃなければの話だが。

「ところで、この人はどちらさんっすか?」
「話すと長くなるのでひとまず宿屋へ向かいましょうか」
「でも、あて……」
「?」
「1ゴールドも持ってないだす……」
 だからあんなところで佇んでやがったのか。

キム皇のステータス
攻撃力:あたっ
防御力:あたっ
素早さ:あたっ
方言力:うわぁ…勉三さんの中…あったかいナリ…

541 : ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:17:22 ID:MwaIw4hS0
空気を読まず投下終了です。

>>537
むしゃくしゃしてやった。
今は反省していない。

542 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/07(土) 01:19:01 ID:US+GQySaO
腹筋割れたwww
GJ

543 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/07(土) 01:28:57 ID:be6jNVGZ0
オモシレ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ステータス方言力てwwwwww
まるで読めないキャラ設定と展開、GJ!

あ〜もう続きが読み手〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

544 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/08(日) 01:46:45 ID:KHivypzf0
>>541
超乙
夜中に一人で大爆笑しちまったい。
寂しくなんかないんだからっ。

545 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/08(日) 10:51:52 ID:L9Nqx6H00
DQ1のぱふぱふ娘はリムルダールだった気がするんだが、リメイク版は違うんだっけ?

546 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/08(日) 11:03:28 ID:L9Nqx6H00
あ、調べたらやっぱし変更されてた。
つーかFC版は「ぱふぱふしてほしいなら50G〜」と出るだけで、出来ない。

547 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 07:23:45 ID:CHoq2kXBO
エイコたん待ち保守

548 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 12:28:47 ID:pBn8tBxP0
エイコなら、オレの隣で満ち足りた顔をして、かわいい寝息をたててるよ。

549 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 14:15:25 ID:+qwtutd4O
対象は
未成年 ×
満18才以下 〇
高校卒業したての18才は余裕でセフセフ

550 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 21:46:26 ID:QJkwVmKCO
神様、私はどうも過大な期待を寄せていたようです。
や、でも。だって。現代社会に生まれた夢見る乙女だったら誰でも思うじゃない?
王子様=完璧超人ってさ。
でも、そうでもないらしい。
ここグランエスタードの王子様は、そらもうやんちゃ盛りで、朝から晩まで、いや朝から朝まで城を抜けて遊ぶなんてざららしい。
でも、街の声によると王子様は悪い人間ってわけでもなさそうだ。
案外気さくだったりするらしいし、やんちゃっていってもトンでもないゴシップなんかは聞こえてこない。酒も飲まない。
そういう点に置いて駄目なのは意外や意外、アルスの叔父さんだった。

酒クサい部屋に転がる瓶。中身は多分お酒だったんだろう、口から零れてそれが更に発酵しているみたいで、異様な臭いがした。
よーくみると小バエが無数にたかっていて鳥肌がたつ。
そんな中、床に寝転んでいるのが、アルスの叔父さん――ホンダラさんだった。





551 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 21:47:15 ID:QJkwVmKCO
ホンダラさんはアリスを見つけるなり、なんとかストーンという石っころを自慢した。

ほら、触ってみろ、あったかいだろ?俺が見つけたんだ、羨ましいか?やらねーよ、金、出すなら話は別だけどな。

酒クサい息を吐き散らしながらアルスに絡む。
あーあ、どこにでもいるもんなんだなぁ、酔っ払い。
私の知る限りのそれらは見境がない。この場合次に絡まれるのはもう決まっている。

ん?なんだこの姉ちゃん。浮気か?アルス、マリベル以外の女と一緒とはな。フン、マリベルより体の凹凸ははっきりしてるが…地味な顔してるな

私を爪先から頭のてっぺんまで見渡してホンダラが言う。

「んなっ……!」
頭に血が昇った。頭の中ぐるぐる言葉が巡るけど出てこない。言葉が喉に詰まる。

こんな時人はどんな風な行動をとるか。


グッと我慢してやり過ごす
怒りを物理的に表現する。






552 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 21:48:01 ID:znQtBP+p0
わ〜い支援

553 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 21:49:15 ID:QJkwVmKCO
グッと我慢してやり過ごす
 ニア 怒りを物理的に表現する < ピッ

私は無言のまま腕を振り上げ、そのままホンダラに振り下ろした。
――…はず、だった。

「うわっ」
私の拳は空を切った。
見るとホンダラさんは床に昏倒していた。
「な、何で?え?」
私まだ殴ってないのに…
足元のホンダラさんから視線を上げると、真犯人がにっこり笑った。
…酒瓶を逆手に持って。
「ごめんね、うちの叔父が。」
「…アルス…?」
「大丈夫。死なない!」
「……そう?(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

何か確信を持ったアルスの物言いに、内心ガクブルしながら私は納得しようとした。
まあ、アルスが殴ってなきゃ、私が殴ってたわけだし、結果は同じか。
………同じか?
床のホンダラさんは白目剥いて倒れてる。
靴の先でツンツンと突っ突いて見る。
返事がない ただの酔っ払いのようだ …多分
私はそっとホンダラさんに、放り出されていたタオルケットを掛け、目を逸らした。






554 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 22:01:22 ID:QJkwVmKCO
一応顔は広いらしかったホンダラさんが頼りにならないので
(頼りにならないというか、ならなくしたというか…)
私とアルスは町中を歩いて回った。
当たり前だけど、私を知る人はいない。
途中、グランエスタードに着くなり別行動をとったマリベルが買い物をしているのを見た。
どこの世界でも女の子は買い物好きってのは共通事項らしい。

「うーん。見つからないね」
「ごめんね…」
見つかるはずがないのだ。
アルスと一緒に歩き回ってるうちに嫌でも実感させられる。
異 世 界
この3文字。私の世界の常識は通用しない。私の世界には傷を一瞬にして直してしまう『薬草』なんてない。
ここは、私の住む世界ではない。

「謝ることないよ」
アルスは優しく言うけれど、多分こうやって探すことに意味なんてないんだ。

……もう、帰れないんだろうか








555 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 22:09:33 ID:QJkwVmKCO
「お城に行こう!」
沈む私の肩を叩いてアルスが言った。
彼はきっと、私の家族が、私の帰る場所がここに、この世界にあることを信じて疑わないんだろう。
いや、別世界なんて考えもしないんだと思う。…当たり前よね。

「お城…そうね、うん行って見よう」

行こう。
私の世界に帰る方法が見つかるか、見つからないか。
どちらにせよ私は決めなきゃならない時なんだ。
帰れない時、私はこの世界で暮らしていくことになる。もしかすると、生涯を。





556 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/12(木) 06:33:32 ID:fd9+4VkDO
乙。
アルス意外といい性格してんなw
いよいよ次は王子登場か。

557 :Stage.6-2 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:19:04 ID:q9+p+guA0

アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。……なんかさ、この頃シナリオちょっと暗くない? 今回もそうだし」
アルス「いきなり内容に触れるなよ。だから今回いっきに投下する予定になってる。
   それより、まずはサンクスコール!」
タツミ「はーい」

アルス「>>523様、乙ありがと。タツミも言ってたけど、本格的っつーか、
   たま〜にジメっとした話にはなるかもなー」
タツミ「まあこのメンバーなんで、バカやってる方が多いと思いますけどね。
   >>534様、あのピアス男やっぱ怪しいよねー? アルスに変なこと吹き込まないで欲しいな」
アルス「えー? 意外とイイヤツかもしれないだろ。
   そして>>525様……って、ヘニョはやめてー! 定着するー!
   スレトップの【キーワード】にヘニョって入ったらどうすんだよー!!」
タツミ「うはw連呼したら入りそうだなww ヘニョヘニョヘニョ……痛! わかった叩くなって!
   でもほら、>>526様も『悪の組織の手先チック』だと言ってるし、あんまり信用するなよ」
アルス「お前にはマイナスっぽいヤツだしな。まあそれなりに対処しておきますよ」

タツミ「いつもご感想いただいて感謝!」
アルス「ほんと、これがあるから徹夜で書ける」


アルス・タツミ『それでは、本編スタートです!』


【Stage.6 ミイラ男と星空と(後編)】
 続編 ゲームサイド&リアルサイド

558 :Stage.6-2 [5] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:20:30 ID:q9+p+guA0
 Prev >>517-520 (Game-Side Prev >>458-465)

 ----------------- Game-Side -----------------

「少し、いいかな」
 僕は周囲を警戒しつつ、エリスに小声で話しかけた。
「……はい」
 暗闇の中から、エリスのか細い声が返ってくる。
「死んだ時、生き返ることが "不可能" な条件って、なに?」
 この世界じゃあまりに常識だからか、かえって本なんかには載っていなかった。こんな
時に話したい内容ではないが、こんな時だからこそ早めに確認しておくべきだろう。
「そうですね。自ら命を絶った者は生き返らないケースがあります」
 彼女がゆっくりと答える。知らなかった、自殺は蘇生対象外なのか。
「それから、魂を呼び戻すための器である肉体が必要です。半分もあればいいそうですが」
「つまり、バラバラになったら半分くらいはかき集めろってこと?」 
「ですね」
 ふー。ますます「血はダメだ」とか言っていられなくなってきたな。
 ってかおかしいよこのドラクエ。堀井先生もそこまで生々しい世界を想定して作ってた
とは思えないんだけど。
「あ〜、それで遺体を運ぶときって、やっぱりアレに入れて引きずるの?」
「折りたたみ式の車輪の付いた棺桶が人気があるそうです」
 さいでっか。
「うち棺桶なんか用意してないけど、ふくろに詰め込んでもいいのかな……」
「それだと、教会に渡すとき、うっかりパーツを取り出し忘れたりしそうですね」
 エリスがフフっと笑う。うわー、ありそうだ。
「あとからアイテム出そうとしたら、干涸らびた腕とか出てきたりね」
「それでサミエルなんて『記念にとっておく』って言い出すんですよ」
「やーめれー。なんの記念だよ〜w」

 しっかし僕らも不謹慎な話をしてるよなぁ。まあエリスも笑ってくれたし、少しは気が
軽くなったかな。
 あとは脱出をどうするかだけど……。

559 :Stage.6-2 [6] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:22:27 ID:q9+p+guA0

「勇者様」
 不意に彼女が動く気配がした。やわらかい重さが僕の全身に被さってくる。
 首に回される細い腕。耳元でささやく、優しい声。
「私は、いいんですよ……?」
 エ、エリス!? びっくりして混乱しかかった僕に、彼女はちょっと笑った。
「落ち着いてください、勇者様。あなたは頭のいい人ですから、本当はずいぶん前から、
決断されていたのではないですか?」
 この状況で、どうするのがベストなのか――。
「それでいいんです。冒険には、よくあることですもの」

 ………………頭の芯が、すうっと冷えていくのが自分でわかった。

「じゃあ、ちょっと様子を見てくるから、君はここで待っててくれる?」 
 気がつくと、僕は彼女にこう言い渡していた。
 エリスはどこかほっとしたような、諦めたような、そんな笑顔でコクリとうなずいた。
「なるべく早く、帰ってきてくださいね」
「もちろん」
 即答した僕に、彼女は少し迷ってから、そっと唇を重ねた。
 全面的な肯定を態度で示してくれたのだろう。本当に優しい子だなぁ、と思う。


 そして僕はエリスと別れ、一人で通路を歩き出した。
 まずは現在位置をはっきりさせよう。頭の中にピラミッドの地下室のマップを引っ張り
出し、落下した位置と逃げてきた方向を照らし合わせる。たぶん、このあたりは出口に近
い方の区画のはず。例の隠し階段もこの辺だ。
 上に置いてきた二人だが、戦闘面はお任せのサミエルに、お堅い職業の割には機転の利
くロダムがついていればまず心配ない。事前の打合せ通りに他の宝箱をすべて無視し、地
図に従って進んでいれば、もう魔法の鍵を取って脱出してもいい頃だ。
『構うな、鍵を探せ』
 あれは一応、そこまで計算した上での指示だ。

560 :Stage.6-2 [7] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:24:50 ID:q9+p+guA0

 もう一つ。地下室に散らばっている死体をいろいろ観察しているが、さすがピラミッド
パワーが効いているのか、どれも意外と保存状態がいい。きれいに片付いている地上と違っ
て、地下には死体を食い荒らすようなモンスターもいないようだ。
 以上より、結論はこうなる。

 【さっさと脱出して、3人で彼女を「回収」しに戻った方が早い】

 しばらく進んだところで、後ろからエリスの叫び声が聞こえた。助けを求めるものでは
なく「さっさとこっちに来なさいよ!」とか「やれるものならやってごらん!」なんて、
彼女らしくない威勢の良い啖呵を切っている。
 そこかしこでざわめいていた魔物の気配が、そちらへと流れていくのを感じる。
 僕はただ、敵との遭遇を避けることに専念しつつ、出口を目指して進む。

 本当は、地下に落とされた瞬間にここまでのシナリオはできていた気がする。先刻の
「死」についての談義も、僕はきっと、彼女が自発的に囮役を引き受けるよう促していた
んだろう。……結局、僕は昔からなに一つ変わってないらしい。

   ◇

 途中で何度かミイラに襲われたが、ここでも星降る腕輪が効力を発揮して助かった。
 とはいえ、なんとか地上までたどり着いた時点でほとんど立っていられない状態で、僕
はその場に突っ伏したまま動けなくなった。
「勇者様! ご無事でしたか!」
 その途端にロダムの声が聞こえた。いやはや、僕の計算も大したもんだね。
「エリスがまだ中にいるんだ。案内するから、急いで僕を回復してくれる?」
 可能性は低いけど、まだ間に合うかもしれないし。

 ……が、サミエルとロダムはなにやら戸惑ってて、顔を見合わせたりしている。
 ちょっと、そっちも疲れてるかもしれないけど、早くしないとエリスが可哀想だから。
「それともロダム、MPない? 薬草でもいいよ」
 僕の方は使い切っちゃったけど、ロマリアで買い込んできたからそれは残ってるはずだ。

561 :Stage.6-2 [8] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:26:09 ID:q9+p+guA0

 だが、彼らの道具袋に手を伸ばそうとしたところで、ロダムに止められた。
「お待ちください勇者様。もうよろしいですから」
「は? なに言ってるんだ、エリスがまだ中にいるんだよ?」
 思わず声が荒くなる。年配の僧侶は、まるで諭すように穏やかに続ける。
「彼女は我々が迎えに行きます。こちらの地図に印をつけてくださればけっこうです」
「俺らの方は全然OKッスから。勇者様のお陰でホントにお客さん扱いで、あのあとまっ
たく敵も出なくて……」
「僕が案内した方が早いって言ってんの。いいからさっさと回復して!」
 さらに言いつのる僕に、ロダムとサミエルはますます困ったような顔をする。

「では言い方を変えましょう。地下に置いてきたということは、彼女を助けに行くので
はなくて、遺体の回収に向かうということなんですよね?」
「そうだね。はっきり言ってしまえば」
「でしたらそこまで急ぐ必要もないでしょう。それに正直なところ、疲弊しているあな
たを連れて行くより、我々だけで向かう方が楽なんです」
 あーなるほど。僕を連れて行くメリットとデメリットを考えると、デメリットの方が
大きいということか。戦闘じゃまだまだお荷物にしかならないもんなw
「了解。確かに二人に任せた方が効率的だね。いいよ、地図貸して」
 差し出された地図に印をつける。回復呪文を受けてる間に、地下での注意点を簡単に
説明して、僕はすぐに二人を送り出した。


「さすが最年長、冷静で助かるね」
 二人とも妙な顔で僕を見てたのは気になるけど、エリスの件はこれで片付くだろう。
 預けられた『魔法の鍵』を見てみる。それは小さくて煤けてて、想像よりずっとみす
ぼらしいシロモノだった。伝説のアイテムといってもこんなもんなんだろうか。

 さてと、みんなが戻ってくる前に、一応あの人にも報告しておこうか。心配してるか
もしれないし……っていうか、イヤミのひとつも言っておかないと気が済まない。
 なーにが「リロードは早めに」だ、バカ勇者。

562 :Stage.6-3 [9] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:28:14 ID:q9+p+guA0

 ----------------- Rial-Side -----------------

 家に戻ってみると、部屋の中は明かりもなく静まりかえっていた。
 玄関にあった女物の靴が無くなっているから、どうやらヤツの母親はでかけたらしい。
もう夜も8時を回っているんだが、こんな遅くにどこに行ったんだろうか。
 そういや俺も連絡すら入れてなかったな。放任主義という情報は正しいようだ。

 タツミの自室に入る。テレビは出かける前に消していたから、ここも暗かった。
 明かりはつけずに、ベッドが寄せてある壁側の窓にカーテンをひく。窓に背を向けてベッ
ドに腰掛けると、ちょうど正面にテレビが来る。
 手元にあったリモコンで――どうにも気が向かなかったが――スイッチを入れた。
 黒光りする鏡でしかなかったモニターが、命を吹き返したように光を放つ。
 が、思ったほどの光量でもない。画面の向こうも夜らしい。
「やっぱピラミッドか……」
 砂漠の真ん中にぽつんと配置されている△の前に、勇者が一人でたたずんでいた。
 あいつ仲間はどうしたんだ。まさか一人旅ってことはないよな。今までろくに連絡を取っ
てないから、まるっきり状況がわからん。
 今なら携帯も繋がるだろう。向こうが電源を切ってなければだが――。

 プルルルルルル! プルルルルルル!

 かけようとした途端、向こうからコールがきてちょっとビビった。
「……よう」
『やほーアルス! 今どこ?』
 なんだ、いきなりテンション高いな。
「お前の部屋だ。画面で見てるが、まさか本当にピラミッドまで来てるとはな」
『ふっふっふ、早いだろ。ダテに4周してませんから』
「鍵はもう手に入ったのか?」
『まあね。取ってきたのは僕じゃないんだけど、その辺の報告しとこうかと思ってさー』

563 :Stage.6-3 [9] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:29:53 ID:q9+p+guA0

 奇妙に軽いノリでしゃべるヤツは、そのまま『実はねー』と続けた。
『ごめんアルス! 君の元カノ、見殺しにして逃げて来ちゃってさ。今サミエルとロダム
が回収しに……って、そうそう、この三人が仲間なんだけど知ってる?』
「ああ、1回目の冒険の最終パーティーだった連中だ」
『え、そうなの? 僕はそんな名前のキャラ作ってないんだけどな』
 そのあたりのズレは俺にもよくわからないが。
 それよりお前――その声。
『なんだっけ。そうだエリスちゃん。いやホントごめん、助けたかったのは山々だったん
だけどさ。力及ばずというか、ぶっちゃけそこらの高校生には荷が重いっていうかw』
「……タツミ」
『だいたいピラミッド最悪だよ、なにあの罠。ありえないって。本当にここはドラクエか
と小一時間問い詰めたい! でもスクエニ本社に問い合わせても意味ないしねー』
「タツミ、落ち着け」
『っていうかアルスが一番ひどいって。こっちは必死だってのに、なにふざけて……』
「タツミ!」

『……………』
 遮られて、急に機嫌が悪くなったみたいに黙り込む。
 参ったな。相手の心情がわかりすぎるだけに、対処に困るというか。
「とりあえず、ちょっと上見てみ。その様子じゃ気づいてないだろ」
 普通は気がつかない方がおかしいってもんだが、俺もあの時は顔を上げる気力もなくて、
しばらくわかんなかったからな。
『は? 上ぇ? なんでさ』
「いいから、騙されたと思って」
『上ってなにが――』
 次の瞬間、携帯の向こうで、はっと息を呑むのが聞こえた。

『…………すごい……星が、降ってる……!?』
「そこな、世界的な流星群の観測地帯なんだそうだ。俺も初めて見たときは、言葉をなく
したよ」

564 :Stage.6-3 [11] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:31:17 ID:q9+p+guA0

 今でも鮮明に思い出せる。
 遮る物のない砂漠の空いっぱいに広がる星の海と、そこから雨のように降ってくる大量
の流れ星と。信じられないくらいきれいで、思わずぽかーんと見上げてたっけ。

「でさ、先にカミングアウトしちまうとな。俺、最初の時そこでかなり泣いた」
『え、泣いた……?』
 タツミがびっくりしたみたいに聞き返してくる。
「泣いた泣いたw だってピラミッドなんて暗いし死体だらけだし、マジこえーじゃん」
 1周目はまだ冒険の進め方もよくわからなくて、序盤の難関のピラミッドでは当然のよ
うに全滅寸前になって。
 古ぼけた小さな鍵を握りしめて、たった一人、命からがら逃げ出して。
「もうやってられっか!って叫んで上見たら、そんなのが一面だもんなぁ。なんか急に切
なくなって、ずいぶん長いこと一人でわんわん泣いてた」
『そんなこと、あったんだ』
「だからさ、お前も我慢すんな。――エリスが死んだのは、お前のせいじゃない」


 しばらく返事はなかった。
 待っていると、やがて少しかすれた声が、途切れ途切れに漏れてきた。
『……でも、僕のミスだし』
 しゃくりあげそうなのを必死にこらえている感じだ。
『こうなること、わかってたのに……僕は、仲間より鍵を優先して』
「まあ指揮官なんだから、目的を優先するのは当然だな」
『でも……女の子を見捨てて、逃げ出しただけで……』
「戦場で男も女も関係ねえよ。その方がいいと判断したことなんだろ?」
『だけど……こんな……僕……勇者なのに……!』
「相手は天下の魔王様だぜ? キレイゴトだけじゃ戦えねっつーの」
『……でも………うぅ……うわぁぁぁぁぁああああ!!!』

565 :Stage.6-3 [12] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:32:41 ID:q9+p+guA0

 はいはい、それでいいんです。
 リーダー張ってるからには、仲間の前じゃなかなか見せられないが。一人になったとき
くらい素直に泣けるようにしとかねえと、この先保たねえぞ。これも冒険のコツだぜ。

 ふと、あいつの言葉がよぎる。
(プレイヤーに同情は禁物ですよ)

 しかしなぁ。後輩クンが昔の俺と同じところで悩んでたら、つい励ましたくなるのが人
情ってもので。
 いや、偽善もいいとこだってのも、わかってるけどさ……。
 俺は画面から目を離して、そのままベッドに寝ころんだ。
 横になったまま、カーテンの端をつまんで隙間から空を眺めてみる。こっちは地上の光
が強すぎて、ただ灰がかった闇がよどんでいるだけだ。

 あの星空も、俺が捨ててきた物のひとつなんだろうな。
 堰が切れたように泣きじゃくるタツミの声を聞きながら、俺はそんなことを考えていた。





566 :Stage.6-3 [13] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:34:16 ID:q9+p+guA0
 ----------------- Game-Side Another -----------------
 
「いや〜、あんなつらそうな顔してんのに、自分でわかってないんだもんなぁ」
 地下へ続く狭い階段を下りながら、サミエルは深々と溜息をついた。
「本当はかなりムリしてるんスかね?」
「なんというか……あの子は頭が良すぎるんでしょうな。冷静な考えが先行してしまって、
感情が置き去りにされてしまうというのか」
 ここ数日の付き合いではあったが、ロダムも時折、同じ不安を抱いていた。
 モンスターとの戦闘でも、「血はダメなんだよねぇw」などとヘラヘラ笑っていたが、
その目の奥に押さえつけられている恐怖は本物だった。
 だが、それを表に出したところで意味がないと、理性が先に判断したのだろう。握り込
んだ手が小刻みに震えていたことも、はやり気づいていないようだった。
 今回も、せめて一人にしてあげようと地上に残してきたが、あの少年は一人になったと
ころでそのままのような気がする。なにか切っ掛けがあれば別かもしれないが――。
「えーと、本名なんて言いましたっけ? 珍しい名前でしたよね」
「タツミ=ミツハラですよ」
「だったっけ。呼んじゃいけないとなると、つい忘れるッスよ」


 彼らを迎えにアリアハン城にやってきたその少年は、3人を別室に集めるなり、とんで
もないことを切り出した。
「この世界に、勇者アルスはもういません。僕はその人の代理としてここに遣わされた、
まったく別の世界の人間です」
 いったいなんの話だ? そうロダムが思うと同時に、エリスが立ち上がった。
「ではあなたはアルス様ではないのですか? アルス様はどうなされたのですか!?」
「わかりません。しかし彼は『勇者』ですから、魔王が関わっている可能性は高い。真実
を知るには、やはり魔王を倒す以外に方法はないでしょうね」
 全身から力が抜けたようにガクリと椅子に座り込むエリス。少年はあくまで冷静に、先
を続ける。

567 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 09:42:02 ID:vE4EysVeO
自力回避

568 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 09:43:48 ID:vE4EysVeO
しかし さるには きかなかった!

規制解除待ち

569 :Stage.6-3 [14] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 10:06:24 ID:vE4EysVeO

「ですので、あなた方は偽りの勇者を掲げて旅をすることになります。注意事項は二つ」
 あとで教えるが、本名では呼ばないこと。アルスの名でも呼ばないこと。
「特にこだわるわけではありませんが、咄嗟の時に対応が遅れる可能性があります。対外
的にはアルスとして通してもらいますが、普段は肩書きで呼んでください」
「勇者様、ですか?」
 エリスがぼんやりと問い返すと、少年はにっこり笑った。
「結構です。ところで、あなたはアルスの恋人だったそうですね? 僕をここに導いたル
ビス様が、あなただけは必ず仲間にしなさいと言っていました」
「え、私を……?」
「アルスには、なくてはならない存在なんだそうです。一緒に来ていただけますか?」
 目に見えて元気になった彼女が、大きくうなずく。そこですかさず、彼はテーブルに3
枚の契約書を広げた。
「ではここにサインをお願いします。あなたがたはどうなされます?」
 実に手際がいい。サミエルがおそるおそる手を挙げた。
「んで、その……あんたは、魔王を倒せるのか?」
 お前は勇者たるに相応しい人物なのか。戦士の質問に対し、少年はやはり顔色ひとつ変
えずに、さらりと言ってのけたのだった。
「倒しますよ。――最短でね」


「俺はハッキリ言って、どっちでも良かったんスよね。オルテガさんに憧れて魔王退治に
出たいだけだったッスから」
 言いながら戦士が剣を抜く。
 新たな獲物を見つけたミイラたちがじりじりと寄ってきていた。
「でも、今は『ほっとけない』って感じッスかねぇ」
「私もですよ」
 あの少年が何者かはわからない。だが彼は確かに、命懸けでこの世界を救おうとしてく
れている。そこにどんな事情があるにせよ。

 子供たちにばかり、苦労させるわけにはいかない。
 二人は全力で武器を振るいながら、仲間の少女の元へと急いだ。

570 :Stage.6-3 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 10:11:24 ID:vE4EysVeO
本日はここまでです。
>>563はStage.6-3 [10] の間違いでした。

最後は携帯にメールで飛ばして書き込みました。
さるさんは厳しいなぁ。


571 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 10:56:15 ID:uzBDvQc5O
乙であります!

なんと仲間達は勇者=タツミだって知ってたのか!
端から見たら戦闘は他の3人に押し付けてる風だったけど…
なるほど。納得してそれぞれ働いてるんだね。

今回は本編でアルスとタツミが久々に長めに絡んだけど、和んだって言うか
なんか二人の友情的なものを感じて泣けるでぇ〜。



あとエリス萌え。

572 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 19:27:43 ID:ENWfM0l90
乙でした!
エリスや仲間達の気持ちとか、アルスとの会話とか、タツミの抱えてるものとか、
なんか説明できないんだけどぐっとくる。頭よすぎるのも考えもんだな…。
ピラミッドは夕日のイメージが強かったけど、星降るつながりで来ましたか。
続きめちゃくちゃ気になります、頑張ってください!





俺はロダム燃え。

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