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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら九泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/02(月) 02:57:50 ID:XgSwbg4B0
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・DQ世界であれば宿屋でなくても、すでに書かれているDQシリーズでも、大歓迎です。
・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角右アングルブラケット二つ)+半角数字(最後に投稿したレス番号)」)をつけると読み易くなります。

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら八泊目
ttp://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1162106116/

まとめサイト(書き手ごとのまとめ/過去ログ)
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://coronatus.sakura.ne.jp/DQyadoya/bbs.cgi

501 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 00:19:13 ID:xpeii2Lu0
おおお…投下乙!新キャラ向こう側の人間かよ
俄然面白くなってきたwwww期待w

502 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 00:23:18 ID:oQsAYyYg0
乙です!
ピアスの新キャラってもしかして・・・続きめっちゃ気になる

503 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 09:09:34 ID:ScnqKa2Q0
素晴らしい!◆IFDQ/RcGKIさま乙
ゲーム世界篇が面白くて正直次はリアル篇かよ〜と思っていたら
何かもっと面白そう!
おもいだすの特技がリアルでは天才と評価される切り口は新鮮ですね
次も期待しています

それから◆u9VgpDS6fg さま、遅まきながら乙です
続き待ってました
レヌーる城篇クライマックス、良かったです。
ビアンカも乗り越えるべき葛藤があって成長物語らしくなってきましたね
次のベビーパンサーとのからみ期待してます!

504 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 12:33:42 ID:rDqLBcqj0
わー、タツミ君もアルス君も人知れず苦労してたんですね・・・。
新キャラ、なんかあまり信用しないほうがいい予感?

505 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 14:10:04 ID:dUT2/mTAO
乙!

リアルサイドでは「不慣れな日常生活」ってだけでもつのかなぁ?
などと思っていたのですが…
全くの邪推でしたね!こんな展開に持っていくとは!!
そこにシビ(ry

506 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 17:37:22 ID:g5kY8jGbO
長髪にピアスといえば4勇者か…?

507 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 11:00:15 ID:1RYblbuT0
>>303 『それで…さ、今回だけ、ナビ頼めないかな』
>>499 「なんでつながんないんだよ、タツミの野郎……」

なんだかんだで相手を頼ってるのなw

508 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 22:54:50 ID:wP7NDng/O
◆u9VgpDS6fg氏GJです。
続きまってました!背景や心理の描写うますぎ!
続きwktk

まさか武勇伝くるとは!!◆IFDQ/RcGKI氏!
てか,新キャラですね!でも最初マルチかなんかの勧誘かと思ったww

509 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 03:52:04 ID:r9zx5GBN0
眠れずの保守

510 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 21:21:49 ID:oiWt4v8xO
鈴木さんと田中は今頃なにしてるんだろう

511 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/28(木) 14:50:44 ID:U01CzWfe0
>>510
たぶん・・・。バイト先の酒場でえっちなこと。
居候先のおかみさんとえっちなこと。

512 :Stage.? [雑談] ◆IFDQ/RcGKI :2007/06/29(金) 08:27:43 ID:BCQ4QTbt0

アルス「なんでもいいから雑談しろってよ」
タツミ「どう見ても間をつないでるだけです。本当にあり(ry」

アルス「ところで、お前の本名の『三津原辰巳』ってさ」
タツミ「うん」
アルス「辰って竜と同じような意味の字だろ。つまりDQ3? 単純じゃね?」
タツミ「悪かったね。単純なのは作者の命名センスだろ」
アルス「っつーか、それはお前もだろ。なんで俺デフォルト名なのよ」
タツミ「もしかして僕が『アルス』ってつけたから、君その名前なの?」
アルス「そうだって。4周もしてたのに全部同じにしてるし」
タツミ「うん、考えるの面倒だったから」
アルス「ありえねー、なにその思い入れの無さ!」
タツミ「こら、『アルス』って名前を気に入ってプレイしてる人もいるかもしれないだろ」
アルス「お前は今、考えるの面倒だったからって言ったじゃねえか」
タツミ「じゃあ『ジョニー』とか?」
アルス「このSSの印象変わりそうだな」
タツミ「それなら『ゲパルト』とか」
アルス「てめえワザとだろ」
タツミ「わがままだなぁ。もう『ヘニョ』にしていい?」
アルス「なんだそりゃ!」
タツミ「いいじゃないか。ヘニョに決定」
ヘニョ「決定するニャ! うニャ、名前まで変わってるニョ!?」
タツミ「語尾も変わってるw」
ヘニョ「ニョwwwwwwやめwwwwwwww助けてマリニャン様ぁ!」

513 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/29(金) 09:55:42 ID:fB3zTJbgO
ちょwwwwwwマリニャンて誰だよ?

514 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/29(金) 09:56:45 ID:fB3zTJbgO
あ 今気付いた
命名神マリナンか

515 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/30(土) 20:46:02 ID:m2jFDiYf0
ドイツ連邦軍の対空戦車吹いた

516 :Stage.6-1 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:00:56 ID:KaTnT6e30
アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。それではさっそく、サンクスコールいっきまーす」

アルス「>>501様、謎の新キャラ登場です。これからもっと面白くなる……かはわかんないけど」
タツミ「しなきゃダメでしょうが。>>502様は誰だと予想しましたか? 特に伏せようとしてる
   わけじゃないんですが、ピアスはひっかけになるかもしれません」
アルス「>>503様、今までリアルサイドはのんびりしてたからなぁ。俺もこいつが『おもいだす』の
   特技を持ってるとは思わなかったぜ」
タツミ「>>504様、しかしもっとも苦労してるのは、誰かさんのせいでゲーム世界に飛ばされた
   今現在なんですけどね(ノ∀`)」
アルス「>>505様、地味に大変なんすけどね。俺いまだにあの青い親子連れの看板がわからん」
タツミ「>>506様、4って長髪にピアスなんだ。僕DQ3以外やったことないからなぁ。どうなの?」
アルス「俺に聞くな、他シリーズのことなんか知るか。そして>>507様、それは大・勘違い!です」
タツミ「僕はけっこう頼りにしてたんだけどねぇ……まるっきり役立たずだけど」
アルス「タイミング悪いんだよお前は! 意外にキレ易いし」
タツミ「人が命懸けで冒険してんのにふざけるからでしょうが。
   こんなのほっといて、>>508様、確かにあの登場の仕方はマルチっぽいかもw」

アルス「続いて雑談のサンクスコール」
タツミ「>>513様、はい、命名神マリナン様です。ダーマまで進んだらぜひアルスを『ヘニョ』に」
アルス「するなぁ! >>515様、そんなごっついシロモノの名前だったんすね。つけられなくて良かった」

アルス「以上かな? たくさんの応援メッセージありがとうございました!」
タツミ「なんだかんだで物語もStage.6となりまして――」
アルス・タツミ『それでは、本編スタートです!』


【Stage.6 ミイラ男と星空と(後編)】
 リアルサイド  続編

517 :Stage.6-1 [1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:02:10 ID:KaTnT6e30
 Rial-Side Prev >>493-499

 ----------------- Rial-Side -----------------

「別に急ぐ必要なんかないですよ。所詮ゲームです、本当に死にやしませんから」
 早く帰ろうと焦る俺に、ショウはあっさりそう言い切った。
「でも相手が死んだら俺も消えるって……」
「確かに消えはしますけど、主人公は自動で生き返りますし。相手が蘇生すればこっちも
元に戻ります。誰かの前でいきなり消えたり出たりしたらちょっとまずいかな、というて
いどの問題なんですよ」
「マジで? うわー心配して損した!」
 なんだよ、タツミのヤツも復活するのか。神竜も紛らわしい言い方しやがって、死んだ
らそれまでって意味だと思い込んでいたから、気が気じゃなかったっつーのに。
「――ただ僕たちにも、一応『生き返らない条件』ってあったじゃないですか」
 ショウが続けた言葉に、俺はつい顔をしかめた。あまり触れたくない話だ。
「あったな。心から絶望して自殺したら生き返らない、とか」
 もっとも主人公の自殺判定はかなりシビアで、ほとんどは戦略上の理由として片付けら
れて自動蘇生の対象となる。成功することは滅多にない。
 正義の主人公というのは、そう簡単には死なせてもらえないものだ。
「一応そこは気をつけた方がいいでしょうね」
 まあうちのあのプレイヤーに限っちゃ、まずあり得ねーな。

「ちょっと待ってください。コーラでいいですか?」
 表通りに向かう途中の自販機の前で、ショウが立ち止まった。コインを入れ、一斉に点
灯した購入ボタンのうちのひとつを2度押して、先に出てきた缶を手渡してきた。
「えっと……」
 どうすれば、と思うと同時に、相手が自分の缶を目の前に持ってきた。
「ここに指を引っかけて、こうやって開けるんですよ」
 プシュッといい音がして、缶の上に水滴型の穴が空く。うまくできてるもんだ。 
「あんがと。そういう細かいとこが、ところどころわかんないんだよなぁ」
「僕も苦労しました。こっちじゃ常識だから、聞くに聞けないし」
「わかるわかるw」

518 :Stage.6-1 [2] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:03:23 ID:KaTnT6e30

 プレイヤーの生死に神経質になる必要はないとわかったし、事情が同じヤツと話してい
るのもあって、俺はすごく気が楽になった。
 やがて大きな通りに出ると、ショウは片手を上げて一台の車を止めた。屋根に変な形の
ランプがついている。
「住所がわかってるなら、こうやってタクシーを拾った方が早いですよ」
 なるほど、勉強になります。
 自動的にドアが開いて、ショウが先に乗り込もうとする。
「待てよ、これに乗ってけば帰れるんだろ? わざわざついて来なくてもいいんだぜ」
 さすがに俺も遠慮したんだが、彼は首を振った。
「落ち着かないんで、きちんと家まで送りたいんです。嫌じゃなければ、ですけど」
 嫌なわけはない。本音ではありがたい申し出だ。やっぱこっちの人間と違って、向こう
のヤツはみんな親切だよなーっ。

 人工の光に溢れかえる街中を、車がゆっくりと走り出す。
 さて、いい機会だし、あとはなにを聞いておこうかな――。


「ところで、さっき『心配した』って言ってましたよね?」
 俺が口を開く前に、少し低いトーンでショウが聞いてきた。
「言ったけど、どうかしたか?」
 ふと、彼の顔から笑みが消えた。
「プレイヤーに同情は禁物ですよ」
 一瞬、返す言葉に詰まる。相手は「ふぅ」と溜息をついた。

「右も左もわからない異世界で、お互いに自分の正体を知っているのは立場を交換した相
手だけ。情が湧くのも当たり前ですけどね。でも、地位も名誉も、家族も仲間もすべて捨
てて――よっぽどの覚悟を決めて、こっちに来たんでしょう?」
「そりゃ……まあ」
「プレイヤーに同情してクリアまで手伝ってたら、すべてフイになりますよ」

519 :Stage.6-1 [3] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:05:08 ID:KaTnT6e30

 こいつは、本当はそれが言いたくてタクシーに乗り込んだんだなと、俺は悟った。
 冷たく突き放したような内容だが、言ってる本人も少ししぶい顔をしている。
「僕も最初はずいぶん悩みましたよ。プレイヤーも『帰りたい』って泣きましたし。でも
考えてもみてください。相手は、つかの間でも現実の生活を忘れたくて『ゲーム』を楽し
んでたんです。慣れれば必ず向こうを選びます。現に僕のプレイヤーなんて、一週間で永
住を決めましたよ」
「帰りたくない、って?」
「もちろん、そうなるように僕も誘導しましたけど。――今は僕たちが『プレイヤー』な
んですから、うまく相手を動かさないとね」
 小さく肩をすくめて、彼は俺を見た。
「あとは好きに生きればいい。いつまでも相手のフリをする必要もありません。僕たちが
こっちで生活するために利用してるだけで、どうせ親兄弟も赤の他人なんだし」

 その通りだった。
 俺が感じていた不安や疑問をすべて的確に晴らしてくれる答えだ。
 ただ――なぜか俺はそこで、すぐに返事ができなかった。

 黙り込んだ俺に、ショウはフッと笑った。
「よけいなお世話、でしたか?」
「いや……そうだな。お前が正しいよ」
 救うべき世界をプレイヤーに押しつけて逃げ出してきた罪悪感と。
 命懸けで守ろうとした世界が作り物だと知ってしまった虚無感と。
 全部振り切って、ここで生きていこうと決めたのだ。いまさら引き返せない。


 車が停まった。いつの間にかタツミのマンションの前まで来ていたのだ。
「そう言えば、あなたはこちらでは、なんて?」
「タツミ。三津原辰巳」
「いい名前じゃないですか。……じゃあまた、頑張ってくださいね、タツミ君」
 俺を降ろしたタクシーは、少し行った先で角を曲がり、すぐに見えなくなった。

520 :Stage.6-1 [4] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:05:58 ID:KaTnT6e30

 ----------------- Rial-Side Another -----------------

 ――1台のタクシーが夜の住宅街をすべるように進んでいく。
 とあるマンションの前でいったん停車し、黒髪の少年を一人降ろして再び走り出す。
 その車は、近くの十字路を折れてマンションからの死角に入ると、もう一度停まった。

「ここまででいいです」
 後部席に乗っていた黄色シャツの少年が運転手に告げた。財布から紙幣を数枚出して、
座席の間のカウンターに置く。運転手は紙幣を数えると、メーターの示す金額を引いた釣
り銭を代わりにカウンターに置いた。
「ところで、さっきのはゲームの話だよね?」
 運転手が聞いてくる。少年は釣り銭を財布に戻しながら「ええ」とうなずいた。
「いまどきのゲームって凄いよねえ。自分みたいなオジサンにはついていけないよ」
「やってみたらそんなに難しくもないですよ。特にドラクエとかは」
 少年は愛想良く答え、車を降りた。

 そして、走り去っていくタクシーのテールランプに向かって、少年は呟いた。
「近いうちに、嫌でもかかわることになるけどね――」
 さきほど別れたもう一人の少年が帰っていったマンションを注意深く眺める。4階の右
端の部屋に明かりが灯ったのを確かめると、携帯電話を取り出した。
「……僕です。やっぱりゲームサイドの人間でしたね。でも、あんまり期待できないと思
いますよ。なんか人の良さそうな子だし。……いや、それはないと思いますけど」
 通話口の向こうで懸念を示す相手に、彼は静かに言った。
「もう少し様子を見ましょう。それでもしもの時は……僕がちゃんと、処理しますから」

 彼はもう2、3言交わしたあと、通話を切って歩き出した。
 街灯と街灯の合間にある影の溜まりに踏み込んだところで、ふと立ち止まる。
 次の瞬間、そこから光の柱が立ち上がり、空を貫いていった。
 あとには誰の姿もなかった。

521 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 14:06:06 ID:Mngw2y6W0
SIENQUEST

522 :Stage.6-1 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/01(日) 14:09:51 ID:KaTnT6e30
本日はここまでです。
謎キャラが本格的に絡んでくるのはもう少しあとになります。
次はゲームサイドの予定です。

523 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 17:16:17 ID:rqsMJx4v0
なんか本格的な感じになってきたな
もっとこう、軽めの話なのかと思ってたんだが

だが、それがいい


524 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 21:06:55 ID:BtC/VkWvO
GJ!!
ピアス男何者?!
とりあえず味方ではなさそうですね。
続きwktk

525 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 21:53:16 ID:WQf8nEtSO
乙!
自分も>>523と同じくマターリな感じの作品かと思ってたんだが(特にリアルサイド)。
実は結構シリアスなストーリーだったりするのかな?

そういえば俺が好きだったあの人の作品も、最初はギャグ一辺倒だったなぁ。
こんなサービス旺盛なサンクスコールは全く無かったがw

まぁあれだ。ヘニョガンガレ!!

526 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/03(火) 12:56:36 ID:TvnDpJiU0
やはり新キャラ、あやしいですね・・・。
ゲームサイドからこちらの世界をのっとろうとしている悪の組織の手先チック
わくわく・・・。

527 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 10:55:54 ID:1LlyXZAXO
保守…

528 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 23:30:17 ID:/fPogsIv0
同人キモオタ小説スレ晒しage

529 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 23:38:29 ID:OoBm8tpA0
sine

530 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/06(金) 17:38:23 ID:4DjClDfe0
読み返してみるとやっぱり4の人のが一番面白いね
終わってしまって残念

531 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/06(金) 20:29:28 ID:cLWjOIcO0
>>530
そういう感想は避難所に書けよ。
なんで現行で頑張ってる書き手さんのモチベーションが
下がるようなことをわざわざここで言うんだ。
少しは気を遣え。

532 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/06(金) 20:43:56 ID:UKvE9Atu0
4の人のが素晴らしかったのは事実だし。
読み手が感想を書きたくなるような
面白いものを書くよう努力するさ。

533 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/06(金) 20:57:07 ID:cLWjOIcO0
>>532
すまん、かえって余計なこと言った。
マターリ待機してるよ。

534 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:05:07 ID:MwaIw4hS0
 前回のあらすじ>>422-427

 ……ああどうも、俺です。
 皆さんはマイラの村にいるぱふぱふしてくれる女の子が未成年だって知っていましたか?
 俺は知りませんでした。
 たとえ合意の上でも立派な淫行に当たることをご存知ですか?
 俺は知っていました。


  \
:::::  \            俺の両腕に冷たい鉄の輪がはめられた。
\:::::  \
 \::::: _ヽ __   _     外界との連絡を断ち切る契約の印だ。
  ヽ/,  /_ ヽ/、 ヽ_
   // /<  __) l -,|__) > 「刑事さん・・・、俺、どうして・・・
   || | <  __)_ゝJ_)_>    こんなこと・・・しちゃったのかな?」
\ ||.| <  ___)_(_)_ >
  \| |  <____ノ_(_)_ )   とめどなく大粒の涙がこぼれ落ち
   ヾヽニニ/ー--'/        震える俺の掌を濡らした。
    |_|_t_|_♀__|
      9   ∂        「その答えを見つけるのは、お前自身だ。」
       6  ∂
       (9_∂          俺は声をあげて泣いた。


                                                −完−


 ご愛読ありがとうございました。
 ◆yeTK1cdmjoの次回作にご期待ください。

535 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:06:01 ID:MwaIw4hS0
「未成年とは知らなかった。10ゴールドを支払……ってちょっと待て!」
「?」
「ここは条例ないんだよな!?」
「条例? 何の条例?」

 アレフガルドは日本じゃない! てか、地球じゃない!
 つまり! 淫行条例適・用・外!
 素晴らしき哉! 人生!!

「うおおおおお! セフセフ! いいいやっほおおおおおおお!!」
「な、なんかわからないけど落ち着いてよ!」
「素数を数える必要がないほどに落ち着いてるじゃないか! ひゃっほーーーーーーい!」
「落ち着け!」
「ぐふっ」
 ……見事なアッパーだ……。
 燃えたよ……まっ白に……燃えつきた……まっ白な灰に……。

「お、いたいた」
「みやおうか。どした?」
「悶絶してるところ悪いが、そろそろ宿に戻らないと明日が辛いぞ」
「そういや明日はリムルダールだったな」
 実戦経験の乏しい俺の特訓のためにマイラに逗留すること数日。
 ゆう帝曰く、「そこそこ実戦慣れしてきましたね」とのことで俺達三人はようやくリムルダールに向かうことにした。

「ほんじゃ、プリンセス・ハオの夢を見るくらいに寝るとするか」
「プリンセス……何?」
「気にすんな」



「あ、10ゴールドもらってない!」
 (∩゚д゚)アーアーきこえなーい

536 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:08:02 ID:MwaIw4hS0
 そんなわけで、リムルダール島を結ぶ洞窟に向かう俺ら。

「って、毒の沼じゃねえか!」
「何か問題でもありました?」
「いやいやいや、『何か問題でもありました?』じゃねえよ。どうやって行くんだ?」
「歩いていくに決まってるだろう」
「さ、行きましょう」
 ゆう帝はちゃっかりと魔法の鎧を着ているからいいものの、俺とミヤ王はどうすんだ?

「気をしっかり持てばこの程度大したことはない」
 筋肉馬鹿め。

 ゲームの毒の沼と実際に見る毒の沼は全然違う。
 ゲーム上では黒のダメージマップだけど、現実はもっと毒々しい。黒に赤紫を混ぜた色してやがる。
 それに臭い。
 スピードワゴンじゃないが、ゲロ以下の臭いがプンプンする。
 臭いなのか何なのかわからないが目も痛い。
 タバコや排気ガスなんか可愛いもんだ。
 まだ足を踏み入れてないのにこのヤバさ。
 5分もいたら死ぬ。マジで死ぬ。この場所にいるだけで死ぬ。ヤバい。超ヤバい。

「ってもう行ってんじゃねえよ!」
「急ぎましょう」
「早めに洞窟を抜けきりたい。急げよ」
 言いたい放題言いやがって。
 ――よし、行ってやるよ!
 Bダッシュで行ってやろうじゃねえか!

「うおおおお! 痛え! 痛え!」
 バリッとした痛みが伝わってくる。もしかして靴溶けてんじゃね?
 Bダッシュとか無理! マリオすげえ!
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!

537 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/07(土) 01:10:19 ID:msRcUqSD0
ちょうど>>534でスレ開いてテラ焦ったwww

538 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:11:33 ID:MwaIw4hS0
 沼地の洞窟に頭から飛び込んだのは俺くらいだろうね。

「最短距離で行くからはぐれないようにしっかり捕まっとけよー」
「松明ありますよ?」
「松明なんざいらん。右手を向かって右側の壁に当てろ」
 真っ暗で二人の顔は見えないが半信半疑といったところだろう。
 いくら真っ暗で自分の足元くらいしか見えなくてもこの洞窟は難しくない。
 RPGの基本は左手の法則だが、このダンジョンは右手を使う。
 右手をピッタリと壁に当ててそのまま歩いていけば松明がなくとも攻略できる。
 ローラ姫は……いつか来るであろう勇者に任せておこう。
 姫は攫われてるうちが華ってもんだ。

「いいか、何があっても真っ直ぐ進めよ」
「わかった」
「モンスターが出てきた場合は?」
「踏め」

 暗闇に目が慣れるまではゆっくりと、慣れてからは普通の速度で洞窟内を真っ直ぐ進む。
 ゲームなら下に向かってるはずだ。
 魔法使いらしき奴には「どこに目ェつけとんじゃボケェ!」と恫喝し、メーダらしきものは踏んで難を逃れた。
 これぞ男塾名物直進行軍。たとえ飛行帽の家でも真っ直ぐ進んでやるぜ!

 平坦な洞窟かと思っていたが微妙に坂になっているようだ。
 テレビの前でコントローラーを握っているだけではわかるはずもなかったドラクエ世界。
 子供の頃、自分も冒険してみたいと誰もが夢見たことだろう。
 何の因果か知らんがドラクエ世界に飛ばされて、実際に冒険している俺はラッキーと言え――るわけねえよな。
 パソコンが無いし電波は届かないしコンビニも無いし捻るだけで水が出る蛇口も無い。そう考えると日本すげー。

 元の世界に戻ったら色々やりてえなあ。
 2ちゃんの溜まってるログ読んで、乗り遅れた祭りに参加して……そういやあのスレ落ちてないだろな。
 この経験生かして「もし目が覚めたら〜」に投下してみるのもありだな。
 待てよ、即レスを求めるならVIPもあり――って、どれだけ2ちゃんに依存してんだよ俺('A`)

539 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:13:44 ID:MwaIw4hS0
「まさか本当にいけるとは……」
「言った通りだったろ?」
 松明一つも消費せずに沼地の洞窟、難なく攻略。
 沼地の洞窟程度、俺にしてみりゃ超楽勝。
 下押すだけのゲームと実際に歩くリアルドラクエとの違いはあるけど。

「リムルダールまでもう少しだな」
「モンスターも強くなってるでしょうから気をつけてください」
「強いモンスターってのは、今みやおうにボコボコにされてるアレのことか?」


      =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ つ =つ≡つ =つ≡つ ≡つ =つ≡つ
  ∧_∧ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡∧_∧≡つ =つ≡つ ≡つ =つ≡つ
  ( ・ω・)=つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ))д´)≡つ≡つ =つ≡つ ≡つ =つ≡つ
  (っ ≡つ=つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ (っ  ⊂)≡つ =つ≡つ =つ≡つ
  /   ) =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡| x |≡つつ =つ≡つ =つ≡つ
 ( / ̄∪ ババババ ババババ ババババ ババババ ∪ ̄ ∪ ババババ ババババ
      =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ =つ≡つ つ =つ≡つ =つ≡つ ≡つ =つ≡つ


 強すぎだろ。
 何だよあのラッシュ。どこの聖闘士だよ。

 もうやめて!  リカントのライフは0よ!!
 などと考えてるうちに哀れリカントは海に転落。南無。
 ミヤ王だけで竜王フルボッコにできるんじゃね?

「待たせてすまん。少々てこずった」
「さ、行きましょうか」
「……」
 今更だが、俺はとんでもない連中と旅をしてるんじゃなかろうか。

540 :魁!!男俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:14:49 ID:MwaIw4hS0
 リムルダールに向かう途中、リカントだの魔道士だの鉄のさそりだの出てきたが全部ミヤ王とゆう帝が一掃。
 早くキム皇と合流したいそうです。
 ま、俺は足手まといになるだろうし、楽なのはいいんだけどさあ。
 怖いよ。
 文字通りフルボッコにするミヤ王もだが、急所を的確に狙って一撃で殺すゆう帝には流石の俺もドン引き。
 キム皇はまともな奴でありますように。
 ……望みは薄そうだけどさ。

「キムこうは確かこっちに……。あそこで佇んでる奴、ではないよなあ……」
 俺の視線の先にはなぜか体育座りをして何か口ずさんでる男の姿が。
 こういう嫌な予感はよく当たるんだよなあ。

「おい、キムこう!」
 ほーら当たった。

「もしかしてゆうていとみやおうだすか? あて……あて、寂しかっただすよ〜」
 仲間同士の再会ってのは別に悪くはない。
 むしろ感動するシーンだとは思う。
 勉三を彷彿とさせる謎の方言じゃなければの話だが。

「ところで、この人はどちらさんっすか?」
「話すと長くなるのでひとまず宿屋へ向かいましょうか」
「でも、あて……」
「?」
「1ゴールドも持ってないだす……」
 だからあんなところで佇んでやがったのか。

キム皇のステータス
攻撃力:あたっ
防御力:あたっ
素早さ:あたっ
方言力:うわぁ…勉三さんの中…あったかいナリ…

541 : ◆yeTK1cdmjo :2007/07/07(土) 01:17:22 ID:MwaIw4hS0
空気を読まず投下終了です。

>>537
むしゃくしゃしてやった。
今は反省していない。

542 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/07(土) 01:19:01 ID:US+GQySaO
腹筋割れたwww
GJ

543 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/07(土) 01:28:57 ID:be6jNVGZ0
オモシレ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ステータス方言力てwwwwww
まるで読めないキャラ設定と展開、GJ!

あ〜もう続きが読み手〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

544 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/08(日) 01:46:45 ID:KHivypzf0
>>541
超乙
夜中に一人で大爆笑しちまったい。
寂しくなんかないんだからっ。

545 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/08(日) 10:51:52 ID:L9Nqx6H00
DQ1のぱふぱふ娘はリムルダールだった気がするんだが、リメイク版は違うんだっけ?

546 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/08(日) 11:03:28 ID:L9Nqx6H00
あ、調べたらやっぱし変更されてた。
つーかFC版は「ぱふぱふしてほしいなら50G〜」と出るだけで、出来ない。

547 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 07:23:45 ID:CHoq2kXBO
エイコたん待ち保守

548 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 12:28:47 ID:pBn8tBxP0
エイコなら、オレの隣で満ち足りた顔をして、かわいい寝息をたててるよ。

549 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 14:15:25 ID:+qwtutd4O
対象は
未成年 ×
満18才以下 〇
高校卒業したての18才は余裕でセフセフ

550 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 21:46:26 ID:QJkwVmKCO
神様、私はどうも過大な期待を寄せていたようです。
や、でも。だって。現代社会に生まれた夢見る乙女だったら誰でも思うじゃない?
王子様=完璧超人ってさ。
でも、そうでもないらしい。
ここグランエスタードの王子様は、そらもうやんちゃ盛りで、朝から晩まで、いや朝から朝まで城を抜けて遊ぶなんてざららしい。
でも、街の声によると王子様は悪い人間ってわけでもなさそうだ。
案外気さくだったりするらしいし、やんちゃっていってもトンでもないゴシップなんかは聞こえてこない。酒も飲まない。
そういう点に置いて駄目なのは意外や意外、アルスの叔父さんだった。

酒クサい部屋に転がる瓶。中身は多分お酒だったんだろう、口から零れてそれが更に発酵しているみたいで、異様な臭いがした。
よーくみると小バエが無数にたかっていて鳥肌がたつ。
そんな中、床に寝転んでいるのが、アルスの叔父さん――ホンダラさんだった。





551 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 21:47:15 ID:QJkwVmKCO
ホンダラさんはアリスを見つけるなり、なんとかストーンという石っころを自慢した。

ほら、触ってみろ、あったかいだろ?俺が見つけたんだ、羨ましいか?やらねーよ、金、出すなら話は別だけどな。

酒クサい息を吐き散らしながらアルスに絡む。
あーあ、どこにでもいるもんなんだなぁ、酔っ払い。
私の知る限りのそれらは見境がない。この場合次に絡まれるのはもう決まっている。

ん?なんだこの姉ちゃん。浮気か?アルス、マリベル以外の女と一緒とはな。フン、マリベルより体の凹凸ははっきりしてるが…地味な顔してるな

私を爪先から頭のてっぺんまで見渡してホンダラが言う。

「んなっ……!」
頭に血が昇った。頭の中ぐるぐる言葉が巡るけど出てこない。言葉が喉に詰まる。

こんな時人はどんな風な行動をとるか。


グッと我慢してやり過ごす
怒りを物理的に表現する。






552 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 21:48:01 ID:znQtBP+p0
わ〜い支援

553 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 21:49:15 ID:QJkwVmKCO
グッと我慢してやり過ごす
 ニア 怒りを物理的に表現する < ピッ

私は無言のまま腕を振り上げ、そのままホンダラに振り下ろした。
――…はず、だった。

「うわっ」
私の拳は空を切った。
見るとホンダラさんは床に昏倒していた。
「な、何で?え?」
私まだ殴ってないのに…
足元のホンダラさんから視線を上げると、真犯人がにっこり笑った。
…酒瓶を逆手に持って。
「ごめんね、うちの叔父が。」
「…アルス…?」
「大丈夫。死なない!」
「……そう?(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

何か確信を持ったアルスの物言いに、内心ガクブルしながら私は納得しようとした。
まあ、アルスが殴ってなきゃ、私が殴ってたわけだし、結果は同じか。
………同じか?
床のホンダラさんは白目剥いて倒れてる。
靴の先でツンツンと突っ突いて見る。
返事がない ただの酔っ払いのようだ …多分
私はそっとホンダラさんに、放り出されていたタオルケットを掛け、目を逸らした。






554 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 22:01:22 ID:QJkwVmKCO
一応顔は広いらしかったホンダラさんが頼りにならないので
(頼りにならないというか、ならなくしたというか…)
私とアルスは町中を歩いて回った。
当たり前だけど、私を知る人はいない。
途中、グランエスタードに着くなり別行動をとったマリベルが買い物をしているのを見た。
どこの世界でも女の子は買い物好きってのは共通事項らしい。

「うーん。見つからないね」
「ごめんね…」
見つかるはずがないのだ。
アルスと一緒に歩き回ってるうちに嫌でも実感させられる。
異 世 界
この3文字。私の世界の常識は通用しない。私の世界には傷を一瞬にして直してしまう『薬草』なんてない。
ここは、私の住む世界ではない。

「謝ることないよ」
アルスは優しく言うけれど、多分こうやって探すことに意味なんてないんだ。

……もう、帰れないんだろうか








555 : ◆kyK/MpMz4o :2007/07/11(水) 22:09:33 ID:QJkwVmKCO
「お城に行こう!」
沈む私の肩を叩いてアルスが言った。
彼はきっと、私の家族が、私の帰る場所がここに、この世界にあることを信じて疑わないんだろう。
いや、別世界なんて考えもしないんだと思う。…当たり前よね。

「お城…そうね、うん行って見よう」

行こう。
私の世界に帰る方法が見つかるか、見つからないか。
どちらにせよ私は決めなきゃならない時なんだ。
帰れない時、私はこの世界で暮らしていくことになる。もしかすると、生涯を。





556 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/12(木) 06:33:32 ID:fd9+4VkDO
乙。
アルス意外といい性格してんなw
いよいよ次は王子登場か。

557 :Stage.6-2 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:19:04 ID:q9+p+guA0

アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。……なんかさ、この頃シナリオちょっと暗くない? 今回もそうだし」
アルス「いきなり内容に触れるなよ。だから今回いっきに投下する予定になってる。
   それより、まずはサンクスコール!」
タツミ「はーい」

アルス「>>523様、乙ありがと。タツミも言ってたけど、本格的っつーか、
   たま〜にジメっとした話にはなるかもなー」
タツミ「まあこのメンバーなんで、バカやってる方が多いと思いますけどね。
   >>534様、あのピアス男やっぱ怪しいよねー? アルスに変なこと吹き込まないで欲しいな」
アルス「えー? 意外とイイヤツかもしれないだろ。
   そして>>525様……って、ヘニョはやめてー! 定着するー!
   スレトップの【キーワード】にヘニョって入ったらどうすんだよー!!」
タツミ「うはw連呼したら入りそうだなww ヘニョヘニョヘニョ……痛! わかった叩くなって!
   でもほら、>>526様も『悪の組織の手先チック』だと言ってるし、あんまり信用するなよ」
アルス「お前にはマイナスっぽいヤツだしな。まあそれなりに対処しておきますよ」

タツミ「いつもご感想いただいて感謝!」
アルス「ほんと、これがあるから徹夜で書ける」


アルス・タツミ『それでは、本編スタートです!』


【Stage.6 ミイラ男と星空と(後編)】
 続編 ゲームサイド&リアルサイド

558 :Stage.6-2 [5] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:20:30 ID:q9+p+guA0
 Prev >>517-520 (Game-Side Prev >>458-465)

 ----------------- Game-Side -----------------

「少し、いいかな」
 僕は周囲を警戒しつつ、エリスに小声で話しかけた。
「……はい」
 暗闇の中から、エリスのか細い声が返ってくる。
「死んだ時、生き返ることが "不可能" な条件って、なに?」
 この世界じゃあまりに常識だからか、かえって本なんかには載っていなかった。こんな
時に話したい内容ではないが、こんな時だからこそ早めに確認しておくべきだろう。
「そうですね。自ら命を絶った者は生き返らないケースがあります」
 彼女がゆっくりと答える。知らなかった、自殺は蘇生対象外なのか。
「それから、魂を呼び戻すための器である肉体が必要です。半分もあればいいそうですが」
「つまり、バラバラになったら半分くらいはかき集めろってこと?」 
「ですね」
 ふー。ますます「血はダメだ」とか言っていられなくなってきたな。
 ってかおかしいよこのドラクエ。堀井先生もそこまで生々しい世界を想定して作ってた
とは思えないんだけど。
「あ〜、それで遺体を運ぶときって、やっぱりアレに入れて引きずるの?」
「折りたたみ式の車輪の付いた棺桶が人気があるそうです」
 さいでっか。
「うち棺桶なんか用意してないけど、ふくろに詰め込んでもいいのかな……」
「それだと、教会に渡すとき、うっかりパーツを取り出し忘れたりしそうですね」
 エリスがフフっと笑う。うわー、ありそうだ。
「あとからアイテム出そうとしたら、干涸らびた腕とか出てきたりね」
「それでサミエルなんて『記念にとっておく』って言い出すんですよ」
「やーめれー。なんの記念だよ〜w」

 しっかし僕らも不謹慎な話をしてるよなぁ。まあエリスも笑ってくれたし、少しは気が
軽くなったかな。
 あとは脱出をどうするかだけど……。

559 :Stage.6-2 [6] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:22:27 ID:q9+p+guA0

「勇者様」
 不意に彼女が動く気配がした。やわらかい重さが僕の全身に被さってくる。
 首に回される細い腕。耳元でささやく、優しい声。
「私は、いいんですよ……?」
 エ、エリス!? びっくりして混乱しかかった僕に、彼女はちょっと笑った。
「落ち着いてください、勇者様。あなたは頭のいい人ですから、本当はずいぶん前から、
決断されていたのではないですか?」
 この状況で、どうするのがベストなのか――。
「それでいいんです。冒険には、よくあることですもの」

 ………………頭の芯が、すうっと冷えていくのが自分でわかった。

「じゃあ、ちょっと様子を見てくるから、君はここで待っててくれる?」 
 気がつくと、僕は彼女にこう言い渡していた。
 エリスはどこかほっとしたような、諦めたような、そんな笑顔でコクリとうなずいた。
「なるべく早く、帰ってきてくださいね」
「もちろん」
 即答した僕に、彼女は少し迷ってから、そっと唇を重ねた。
 全面的な肯定を態度で示してくれたのだろう。本当に優しい子だなぁ、と思う。


 そして僕はエリスと別れ、一人で通路を歩き出した。
 まずは現在位置をはっきりさせよう。頭の中にピラミッドの地下室のマップを引っ張り
出し、落下した位置と逃げてきた方向を照らし合わせる。たぶん、このあたりは出口に近
い方の区画のはず。例の隠し階段もこの辺だ。
 上に置いてきた二人だが、戦闘面はお任せのサミエルに、お堅い職業の割には機転の利
くロダムがついていればまず心配ない。事前の打合せ通りに他の宝箱をすべて無視し、地
図に従って進んでいれば、もう魔法の鍵を取って脱出してもいい頃だ。
『構うな、鍵を探せ』
 あれは一応、そこまで計算した上での指示だ。

560 :Stage.6-2 [7] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:24:50 ID:q9+p+guA0

 もう一つ。地下室に散らばっている死体をいろいろ観察しているが、さすがピラミッド
パワーが効いているのか、どれも意外と保存状態がいい。きれいに片付いている地上と違っ
て、地下には死体を食い荒らすようなモンスターもいないようだ。
 以上より、結論はこうなる。

 【さっさと脱出して、3人で彼女を「回収」しに戻った方が早い】

 しばらく進んだところで、後ろからエリスの叫び声が聞こえた。助けを求めるものでは
なく「さっさとこっちに来なさいよ!」とか「やれるものならやってごらん!」なんて、
彼女らしくない威勢の良い啖呵を切っている。
 そこかしこでざわめいていた魔物の気配が、そちらへと流れていくのを感じる。
 僕はただ、敵との遭遇を避けることに専念しつつ、出口を目指して進む。

 本当は、地下に落とされた瞬間にここまでのシナリオはできていた気がする。先刻の
「死」についての談義も、僕はきっと、彼女が自発的に囮役を引き受けるよう促していた
んだろう。……結局、僕は昔からなに一つ変わってないらしい。

   ◇

 途中で何度かミイラに襲われたが、ここでも星降る腕輪が効力を発揮して助かった。
 とはいえ、なんとか地上までたどり着いた時点でほとんど立っていられない状態で、僕
はその場に突っ伏したまま動けなくなった。
「勇者様! ご無事でしたか!」
 その途端にロダムの声が聞こえた。いやはや、僕の計算も大したもんだね。
「エリスがまだ中にいるんだ。案内するから、急いで僕を回復してくれる?」
 可能性は低いけど、まだ間に合うかもしれないし。

 ……が、サミエルとロダムはなにやら戸惑ってて、顔を見合わせたりしている。
 ちょっと、そっちも疲れてるかもしれないけど、早くしないとエリスが可哀想だから。
「それともロダム、MPない? 薬草でもいいよ」
 僕の方は使い切っちゃったけど、ロマリアで買い込んできたからそれは残ってるはずだ。

561 :Stage.6-2 [8] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:26:09 ID:q9+p+guA0

 だが、彼らの道具袋に手を伸ばそうとしたところで、ロダムに止められた。
「お待ちください勇者様。もうよろしいですから」
「は? なに言ってるんだ、エリスがまだ中にいるんだよ?」
 思わず声が荒くなる。年配の僧侶は、まるで諭すように穏やかに続ける。
「彼女は我々が迎えに行きます。こちらの地図に印をつけてくださればけっこうです」
「俺らの方は全然OKッスから。勇者様のお陰でホントにお客さん扱いで、あのあとまっ
たく敵も出なくて……」
「僕が案内した方が早いって言ってんの。いいからさっさと回復して!」
 さらに言いつのる僕に、ロダムとサミエルはますます困ったような顔をする。

「では言い方を変えましょう。地下に置いてきたということは、彼女を助けに行くので
はなくて、遺体の回収に向かうということなんですよね?」
「そうだね。はっきり言ってしまえば」
「でしたらそこまで急ぐ必要もないでしょう。それに正直なところ、疲弊しているあな
たを連れて行くより、我々だけで向かう方が楽なんです」
 あーなるほど。僕を連れて行くメリットとデメリットを考えると、デメリットの方が
大きいということか。戦闘じゃまだまだお荷物にしかならないもんなw
「了解。確かに二人に任せた方が効率的だね。いいよ、地図貸して」
 差し出された地図に印をつける。回復呪文を受けてる間に、地下での注意点を簡単に
説明して、僕はすぐに二人を送り出した。


「さすが最年長、冷静で助かるね」
 二人とも妙な顔で僕を見てたのは気になるけど、エリスの件はこれで片付くだろう。
 預けられた『魔法の鍵』を見てみる。それは小さくて煤けてて、想像よりずっとみす
ぼらしいシロモノだった。伝説のアイテムといってもこんなもんなんだろうか。

 さてと、みんなが戻ってくる前に、一応あの人にも報告しておこうか。心配してるか
もしれないし……っていうか、イヤミのひとつも言っておかないと気が済まない。
 なーにが「リロードは早めに」だ、バカ勇者。

562 :Stage.6-3 [9] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:28:14 ID:q9+p+guA0

 ----------------- Rial-Side -----------------

 家に戻ってみると、部屋の中は明かりもなく静まりかえっていた。
 玄関にあった女物の靴が無くなっているから、どうやらヤツの母親はでかけたらしい。
もう夜も8時を回っているんだが、こんな遅くにどこに行ったんだろうか。
 そういや俺も連絡すら入れてなかったな。放任主義という情報は正しいようだ。

 タツミの自室に入る。テレビは出かける前に消していたから、ここも暗かった。
 明かりはつけずに、ベッドが寄せてある壁側の窓にカーテンをひく。窓に背を向けてベッ
ドに腰掛けると、ちょうど正面にテレビが来る。
 手元にあったリモコンで――どうにも気が向かなかったが――スイッチを入れた。
 黒光りする鏡でしかなかったモニターが、命を吹き返したように光を放つ。
 が、思ったほどの光量でもない。画面の向こうも夜らしい。
「やっぱピラミッドか……」
 砂漠の真ん中にぽつんと配置されている△の前に、勇者が一人でたたずんでいた。
 あいつ仲間はどうしたんだ。まさか一人旅ってことはないよな。今までろくに連絡を取っ
てないから、まるっきり状況がわからん。
 今なら携帯も繋がるだろう。向こうが電源を切ってなければだが――。

 プルルルルルル! プルルルルルル!

 かけようとした途端、向こうからコールがきてちょっとビビった。
「……よう」
『やほーアルス! 今どこ?』
 なんだ、いきなりテンション高いな。
「お前の部屋だ。画面で見てるが、まさか本当にピラミッドまで来てるとはな」
『ふっふっふ、早いだろ。ダテに4周してませんから』
「鍵はもう手に入ったのか?」
『まあね。取ってきたのは僕じゃないんだけど、その辺の報告しとこうかと思ってさー』

563 :Stage.6-3 [9] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:29:53 ID:q9+p+guA0

 奇妙に軽いノリでしゃべるヤツは、そのまま『実はねー』と続けた。
『ごめんアルス! 君の元カノ、見殺しにして逃げて来ちゃってさ。今サミエルとロダム
が回収しに……って、そうそう、この三人が仲間なんだけど知ってる?』
「ああ、1回目の冒険の最終パーティーだった連中だ」
『え、そうなの? 僕はそんな名前のキャラ作ってないんだけどな』
 そのあたりのズレは俺にもよくわからないが。
 それよりお前――その声。
『なんだっけ。そうだエリスちゃん。いやホントごめん、助けたかったのは山々だったん
だけどさ。力及ばずというか、ぶっちゃけそこらの高校生には荷が重いっていうかw』
「……タツミ」
『だいたいピラミッド最悪だよ、なにあの罠。ありえないって。本当にここはドラクエか
と小一時間問い詰めたい! でもスクエニ本社に問い合わせても意味ないしねー』
「タツミ、落ち着け」
『っていうかアルスが一番ひどいって。こっちは必死だってのに、なにふざけて……』
「タツミ!」

『……………』
 遮られて、急に機嫌が悪くなったみたいに黙り込む。
 参ったな。相手の心情がわかりすぎるだけに、対処に困るというか。
「とりあえず、ちょっと上見てみ。その様子じゃ気づいてないだろ」
 普通は気がつかない方がおかしいってもんだが、俺もあの時は顔を上げる気力もなくて、
しばらくわかんなかったからな。
『は? 上ぇ? なんでさ』
「いいから、騙されたと思って」
『上ってなにが――』
 次の瞬間、携帯の向こうで、はっと息を呑むのが聞こえた。

『…………すごい……星が、降ってる……!?』
「そこな、世界的な流星群の観測地帯なんだそうだ。俺も初めて見たときは、言葉をなく
したよ」

564 :Stage.6-3 [11] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:31:17 ID:q9+p+guA0

 今でも鮮明に思い出せる。
 遮る物のない砂漠の空いっぱいに広がる星の海と、そこから雨のように降ってくる大量
の流れ星と。信じられないくらいきれいで、思わずぽかーんと見上げてたっけ。

「でさ、先にカミングアウトしちまうとな。俺、最初の時そこでかなり泣いた」
『え、泣いた……?』
 タツミがびっくりしたみたいに聞き返してくる。
「泣いた泣いたw だってピラミッドなんて暗いし死体だらけだし、マジこえーじゃん」
 1周目はまだ冒険の進め方もよくわからなくて、序盤の難関のピラミッドでは当然のよ
うに全滅寸前になって。
 古ぼけた小さな鍵を握りしめて、たった一人、命からがら逃げ出して。
「もうやってられっか!って叫んで上見たら、そんなのが一面だもんなぁ。なんか急に切
なくなって、ずいぶん長いこと一人でわんわん泣いてた」
『そんなこと、あったんだ』
「だからさ、お前も我慢すんな。――エリスが死んだのは、お前のせいじゃない」


 しばらく返事はなかった。
 待っていると、やがて少しかすれた声が、途切れ途切れに漏れてきた。
『……でも、僕のミスだし』
 しゃくりあげそうなのを必死にこらえている感じだ。
『こうなること、わかってたのに……僕は、仲間より鍵を優先して』
「まあ指揮官なんだから、目的を優先するのは当然だな」
『でも……女の子を見捨てて、逃げ出しただけで……』
「戦場で男も女も関係ねえよ。その方がいいと判断したことなんだろ?」
『だけど……こんな……僕……勇者なのに……!』
「相手は天下の魔王様だぜ? キレイゴトだけじゃ戦えねっつーの」
『……でも………うぅ……うわぁぁぁぁぁああああ!!!』

565 :Stage.6-3 [12] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:32:41 ID:q9+p+guA0

 はいはい、それでいいんです。
 リーダー張ってるからには、仲間の前じゃなかなか見せられないが。一人になったとき
くらい素直に泣けるようにしとかねえと、この先保たねえぞ。これも冒険のコツだぜ。

 ふと、あいつの言葉がよぎる。
(プレイヤーに同情は禁物ですよ)

 しかしなぁ。後輩クンが昔の俺と同じところで悩んでたら、つい励ましたくなるのが人
情ってもので。
 いや、偽善もいいとこだってのも、わかってるけどさ……。
 俺は画面から目を離して、そのままベッドに寝ころんだ。
 横になったまま、カーテンの端をつまんで隙間から空を眺めてみる。こっちは地上の光
が強すぎて、ただ灰がかった闇がよどんでいるだけだ。

 あの星空も、俺が捨ててきた物のひとつなんだろうな。
 堰が切れたように泣きじゃくるタツミの声を聞きながら、俺はそんなことを考えていた。





566 :Stage.6-3 [13] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 09:34:16 ID:q9+p+guA0
 ----------------- Game-Side Another -----------------
 
「いや〜、あんなつらそうな顔してんのに、自分でわかってないんだもんなぁ」
 地下へ続く狭い階段を下りながら、サミエルは深々と溜息をついた。
「本当はかなりムリしてるんスかね?」
「なんというか……あの子は頭が良すぎるんでしょうな。冷静な考えが先行してしまって、
感情が置き去りにされてしまうというのか」
 ここ数日の付き合いではあったが、ロダムも時折、同じ不安を抱いていた。
 モンスターとの戦闘でも、「血はダメなんだよねぇw」などとヘラヘラ笑っていたが、
その目の奥に押さえつけられている恐怖は本物だった。
 だが、それを表に出したところで意味がないと、理性が先に判断したのだろう。握り込
んだ手が小刻みに震えていたことも、はやり気づいていないようだった。
 今回も、せめて一人にしてあげようと地上に残してきたが、あの少年は一人になったと
ころでそのままのような気がする。なにか切っ掛けがあれば別かもしれないが――。
「えーと、本名なんて言いましたっけ? 珍しい名前でしたよね」
「タツミ=ミツハラですよ」
「だったっけ。呼んじゃいけないとなると、つい忘れるッスよ」


 彼らを迎えにアリアハン城にやってきたその少年は、3人を別室に集めるなり、とんで
もないことを切り出した。
「この世界に、勇者アルスはもういません。僕はその人の代理としてここに遣わされた、
まったく別の世界の人間です」
 いったいなんの話だ? そうロダムが思うと同時に、エリスが立ち上がった。
「ではあなたはアルス様ではないのですか? アルス様はどうなされたのですか!?」
「わかりません。しかし彼は『勇者』ですから、魔王が関わっている可能性は高い。真実
を知るには、やはり魔王を倒す以外に方法はないでしょうね」
 全身から力が抜けたようにガクリと椅子に座り込むエリス。少年はあくまで冷静に、先
を続ける。

567 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 09:42:02 ID:vE4EysVeO
自力回避

568 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 09:43:48 ID:vE4EysVeO
しかし さるには きかなかった!

規制解除待ち

569 :Stage.6-3 [14] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 10:06:24 ID:vE4EysVeO

「ですので、あなた方は偽りの勇者を掲げて旅をすることになります。注意事項は二つ」
 あとで教えるが、本名では呼ばないこと。アルスの名でも呼ばないこと。
「特にこだわるわけではありませんが、咄嗟の時に対応が遅れる可能性があります。対外
的にはアルスとして通してもらいますが、普段は肩書きで呼んでください」
「勇者様、ですか?」
 エリスがぼんやりと問い返すと、少年はにっこり笑った。
「結構です。ところで、あなたはアルスの恋人だったそうですね? 僕をここに導いたル
ビス様が、あなただけは必ず仲間にしなさいと言っていました」
「え、私を……?」
「アルスには、なくてはならない存在なんだそうです。一緒に来ていただけますか?」
 目に見えて元気になった彼女が、大きくうなずく。そこですかさず、彼はテーブルに3
枚の契約書を広げた。
「ではここにサインをお願いします。あなたがたはどうなされます?」
 実に手際がいい。サミエルがおそるおそる手を挙げた。
「んで、その……あんたは、魔王を倒せるのか?」
 お前は勇者たるに相応しい人物なのか。戦士の質問に対し、少年はやはり顔色ひとつ変
えずに、さらりと言ってのけたのだった。
「倒しますよ。――最短でね」


「俺はハッキリ言って、どっちでも良かったんスよね。オルテガさんに憧れて魔王退治に
出たいだけだったッスから」
 言いながら戦士が剣を抜く。
 新たな獲物を見つけたミイラたちがじりじりと寄ってきていた。
「でも、今は『ほっとけない』って感じッスかねぇ」
「私もですよ」
 あの少年が何者かはわからない。だが彼は確かに、命懸けでこの世界を救おうとしてく
れている。そこにどんな事情があるにせよ。

 子供たちにばかり、苦労させるわけにはいかない。
 二人は全力で武器を振るいながら、仲間の少女の元へと急いだ。

570 :Stage.6-3 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/14(土) 10:11:24 ID:vE4EysVeO
本日はここまでです。
>>563はStage.6-3 [10] の間違いでした。

最後は携帯にメールで飛ばして書き込みました。
さるさんは厳しいなぁ。


571 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 10:56:15 ID:uzBDvQc5O
乙であります!

なんと仲間達は勇者=タツミだって知ってたのか!
端から見たら戦闘は他の3人に押し付けてる風だったけど…
なるほど。納得してそれぞれ働いてるんだね。

今回は本編でアルスとタツミが久々に長めに絡んだけど、和んだって言うか
なんか二人の友情的なものを感じて泣けるでぇ〜。



あとエリス萌え。

572 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 19:27:43 ID:ENWfM0l90
乙でした!
エリスや仲間達の気持ちとか、アルスとの会話とか、タツミの抱えてるものとか、
なんか説明できないんだけどぐっとくる。頭よすぎるのも考えもんだな…。
ピラミッドは夕日のイメージが強かったけど、星降るつながりで来ましたか。
続きめちゃくちゃ気になります、頑張ってください!





俺はロダム燃え。

573 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 19:59:54 ID:+0yplX890
エリスさん、いいですね。
生き返れるとはいえ、できれば無事でいてほしいですね。

サミエルさんもロダムさんも、「いい奴」ですね。
ベストパーティーで、無事冒険の目的を達成できるといいですね。

しかし、現実サイドで暗躍するゲームサイド人・・・。
一波乱ありそうですね。

574 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/14(土) 21:54:03 ID:lsMxx3Yr0
いやーめちゃめちゃ乙
かなりじっくりと読ませていただきました

個人的にいろんなスレでいろんなSSを読んでいるんだけど、
今は◆IFDQ/RcGKI氏のが一番楽しみ

4の人のようにじっくりと続けて欲しいです

575 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/07/15(日) 21:34:52 ID:0YmYRk3X0
○ラダトーム○

ラダトーム・・・・・・・・ここはもょもと達の祖先、アレフが竜王を倒し、ローラ姫と共に
旅立ったという縁の地でもある。

アレフが旅立ち、あれから150年・・・・・町は王国制度というのが廃止され、今は共和国になった国である。
俺の世界で言ったら大統領や総理大臣に当たるものだ。

但し不思議なルールがある。ラルス16世が亡くなった後、ラルスの血を継ぐローラ姫が
アレフと旅立ってしまったため、王家の血がラダトームから途絶えてしまった。

そこで当時の大臣や有権者達は国民の中から王を選び、3年を任期に継続または交代するという
システムを作り上げた。まぁ共和国なので誰でも国の代表者になれるチャンスがあるらしい。
もちろん前任者は国民投票によって継続するか退任するかを決めているみたいなのだが。

って何で俺がこんなこと言っているかというともょもと達が町に入ってしばらくしたら
人が集まってきたのだ。

何でも、もょもとがアレフにそっくりなので人々が集まり、俺達はラダトームの博物館に案内された。

そこにはアレフの使った武器、防具、道具なのが展示されているのだがレヴァティンに関しては
書物より全くなかった。



576 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/07/15(日) 21:35:32 ID:0YmYRk3X0
ムーン「今は廃墟らしいけどもしかしたらすっごい財宝があるかもよ?」
 リア「わあ!楽しみだね。早く行こうよ。」
ムーン「もょもとはどうする?」
 もょ「えっ!?ああ‥いこうか。」

この時もょもとは嫌な予感でもしたのだろうか?とりあえず向かう事にした。

竜王の城‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

現在は城壁が崩れ、地下に下りる階段がむき出しで出ている。多少のモンスターがいるみたいだが
そんなに凶暴な奴はいなく、素通りすら出来る状態だ。

サマル「へぇ、結構古い建物なんだね。」
 リア「ふふふ、あそこに寝ているネコさんかわいい〜」
ムーン「あれはサーベルウルフよ。寝ているときに起されたら襲い掛かるから気をつけてね。」
 もょ「しかしおたからがまったくないぞ。」
ムーン「まーまー焦らないで。奥に行けばあるわよ。」

根拠が無い意見で納得がいかないのだがとりあえず進む事にした。


577 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/07/15(日) 21:38:01 ID:0YmYRk3X0
>>576はあぼんしてくださいorz

 タケ「(手がかりは無しか)」
 もょ「(まいったな。)」

ムーン「ねえ、みんな。竜王の城に行かない?」

サマル「どうしたんだい?急に。」
ムーン「今は廃墟らしいけどもしかしたらすっごい財宝があるかもよ?」
 リア「わあ!楽しみだね。早く行こうよ。」
ムーン「もょもとはどうする?」
 もょ「えっ!?ああ‥いこうか。」

この時もょもとは嫌な予感でもしたのだろうか?とりあえず向かう事にした。

竜王の城‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

現在は城壁が崩れ、地下に下りる階段がむき出しで出ている。多少のモンスターがいるみたいだが
そんなに凶暴な奴はいなく、素通りすら出来る状態だ。

サマル「へぇ、結構古い建物なんだね。」
 リア「ふふふ、あそこに寝ているネコさんかわいい〜」
ムーン「あれはサーベルウルフよ。寝ているときに起されたら襲い掛かるから気をつけてね。」
 もょ「しかしおたからがまったくないぞ。」
ムーン「まーまー焦らないで。奥に行けばあるわよ。」

根拠が無い意見で納得がいかないのだがとりあえず進む事にした。



578 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/07/15(日) 21:38:51 ID:0YmYRk3X0
それにしても廃墟とは言え、進めば進むほど綺麗な雰囲気になっていっている。
誰かが最奥にいるんじゃないのだろうか?

タケ「(気がついたか?)」
もょ「(ああ。)」
タケ「(奥に誰かがおるって事や。まさか竜王か?)」
もょ「(それはないだろう。ごせんぞさまがたおしたはずだぞ。)」
タケ「(しかしムーンブルグやドラゴンの角みたいに邪悪な雰囲気は無いんだけどな。逆に引っかかるわ。)」
もょ「(わかった。タケのいういけんにもいちりがある。きをつけるよ。」

どーやら最下層についたみたいだ。
そこは地下とは言えない美しい場所だった。
例えると綺麗な庭園みたいな感じで心地よい場所だ。
しかもしっかり手入れがされてある。

 リア「きれい・・・・・・」
ムーン「これは凄いわね。地下でこんな物が見れるなんて・・・・・・・・」
サマル「それにしてもどうやって作ったんだろう・・・・?」

感心していると誰かがやってきた。初老の人間だ。




579 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/07/15(日) 21:39:35 ID:0YmYRk3X0
 老人「何か用かな?」
 リア「あ、あの・・・」
ムーン「綺麗な場所だなって思いまして。」
 老人「久々に人間が来たもんだからちょっと嬉しゅうてのぉ。ホッホッホ。」
サマル「人間じゃないの?」
 老人「ワシ等は竜人族じゃ。見た目は人間と変わらんがの。」
 もょ「う〜ん、なるほどなぁ・・・・」

このじーさんにこやかに話して来るんだがどーしても引っかかる・・・・・・・・・・

 老人「ちなみに君達は何しに来たんじゃ?」
サマル「あ、ざいほ・・・・」

ムーンがとっさに口を塞いだ。

ムーン「竜王の城がどんなっているのか見学しに来たんです。
      まさかこんなに綺麗な庭園があるとは思いませんでしたわ」




 老人「なるほどなるほど・・・・・・・・・ってあの世に行く準備は出来ましたかの?」





 リア「えっ!?」

じーさんが態度を変えた。

580 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/07/15(日) 21:40:39 ID:0YmYRk3X0

 老人「ふん。忌々しいアレフの子孫共め!我が一族の積年の恨みを晴らしてくれる!!」
 もょ「どういうことだ!」
 老人「貴様はアレフにそっくりだ!ほっかむりをかぶった女はローラに似ている・・・・」
サマル「ま、まさか・・・・」
 老人「ワシは竜人族最後の生き残りのギィン。貴様等に復讐するチャンスが訪れたのだ。嬉しいことは無いわ。」
 リア「ど、どうしよう・・・・」
ムーン「バカ!逃げるわよ!」

ギィン「逃がすか!」

ギィンが紐みたいな物を引っ張ると壁に囲まれた・・・・・・逃げられない!

ギィン「生を掴みたかったらワシを殺すんだな!かかって来るがいい!そして絶望の底に落としてやる・・・」

もょもと&タケ
Lv.16
HP:112/112
MP:  2/  2
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜
特技 共通技:チェンジ
 もょもと専用:隼斬り・魔人斬り
 タケ専用  :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御・メラ


581 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/15(日) 22:12:42 ID:R+MRP4UbO
レッドマン氏キター(゜∀゜)ーーー!!
お帰りなさいませ。具合は良くなりましたか?

582 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/15(日) 22:32:24 ID:XgncK/aJ0
待ってましたレッドマンさん!
久し振りの続編面白!
またいいところで終っちゃってるなぁ
竜王の城が名所扱いになってるのがワロ

583 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/15(日) 23:45:05 ID:b/E6FKHOO
レッドマンが久々の投下か………

( ;∀;)おかえり

584 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/16(月) 15:11:22 ID:z2PeEpKOO
レッドマン乙!そしてお帰り!!
竜王の曾孫敵なんだ!もょ達で相手になるのか…?



最近新人さんたちが頑張ってるけど、
レッドマン
タカハシ
暇つぶし        この三人は数スレ前から続いてる書き手だから、最後まで応援してる。



総長はまた失踪しちゃったし(´・ω・`)

585 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/18(水) 00:08:48 ID:A3n3p/VlO
>>◆IFDQ/RcGKI氏
GJ!泣いた。
エリス萌え。そしてアルスや仲間達が格好良かった。
>>レッドマン氏
GJ!そしてお帰り!じいさんの変貌ぶりが笑えた。

確かに。真理奈(漢字間違ってたらスマソ)が恋しい。

586 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/20(金) 12:22:34 ID:rZcYp+yIO
保守

587 :Stage.7-1 [1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/22(日) 20:18:37 ID:zMYJt4JZ0

アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。あ〜あ、前回は情けないトコ見せちゃったなぁ。
   僕、物心ついた頃から人前で泣いたこと一度もなかったのに」
アルス「マジかよ! 俺もたいがい強情なガキだったが、そこまでひどくなかったぞ」
タツミ「ほっとけw 気を取り直して、サンクスコールいってみよー!」

タツミ「>>571様、はい実は仲間3人、僕がタツミだというのは知っていました。
   慣れない異世界生活の様々な面でサポートしてくれて、本当に助かってます」
アルス「>>572様、ピラミッドは夕日もきれいだぜ。バラモス討伐後は安全度もあがって、
   観光名所になってたからな。ちなみに中の罠は、実は外から切ることもできたりして」
タツミ「うう、アルスが最初から素直に教えてくれてればもっと楽に……まあ過ぎたことだけど。
   でもほんと、>>573様のおっしゃるとおり、すごくいい仲間です。
   エリスは……やっぱり間に合わなかったんですが、蘇生後も笑って許してくれました」
アルス「>>574様、良質なSSがいっぱいある中で一番だなんて、嬉しいこと言ってくれるぜ!
   タツミなんて、こんなワケのわからん主人公なのにな」
タツミ「君も主人公の1人だろうが。>>585様、GJありがとう!
   良かったねアルス、格好良かったって。でもエリちゃん人気あるね〜?w」
アルス「別に? エリスが人気あるのはいいんじゃね? 俺はなんっっっにも思わないけどな」
タツミ「はいはいw」
アルス「なんだよ、なにか言いたいのか。え?」
タツミ「なーにーも。ほら、行数も押してるから、そろそろ始めないと」


アルス・タツミ『それでは、本編スタートです!』


【Stage.7 SAKURA MEMORY -Part1- 】
 リアルサイド

588 :Stage.7-1 [1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/22(日) 20:22:00 ID:zMYJt4JZ0
  Prev >>558-569
 ----------------- Rial-Side -----------------

 ヴヴヴヴヴ.......! ヴヴヴヴヴ.......!

 頭のすぐ横で妙な音がしている。まくらを通して細かい振動が伝わってきて、ほっぺた
がくすぐったい。
「んあ……なんら?」
 それがマナーモードにした携帯が震えているんだと、俺はようやく気づいた。そう言え
ば昨日、夜間は着信音が出ないように設定しておけとタツミに言われて、そうしたような
覚えがある。
 その後の記憶は曖昧だ。俺はいつの間にか寝てしまったらしい。 
「うに……もしもし、タツミかぁ……?」
『ちょっとタツミはあんたでしょ? なに寝ぼけてんのよ』
「おぁああ!!??」
 予想外に高いキーで返答されて、寝ぼけ半分だった俺の脳ミソはいっきに覚醒した。
「エ、エリス?」
『……ちょっと、エリスって誰?』
 違った、まだ寝ぼけてんな。えーとこの子は、
「片岡百合子?」
『そうですよ。ってかなんでフルネームで呼ぶかな』
 苗字と名前のどっちで呼ぶかまだ決めかねてるからだが。
『まあいいや、おはよう。まったくいつまで寝てるんですか、天才クン』
 ユリコが呆れたように言う。俺、そんなに寝過ごしたんだろうか。
「――ってまだ朝の5時じゃねえか!!」
 時計を見て俺は思わず怒鳴った。電話の向こうでユリコが笑う。
『あはは、起こしてごめんね。とりあえず、出かける支度して降りてきてよ』
「出かけるだぁ? こんな早くにどこ行くんだ」
『いくら平日でも、このくらいの時間に出ないとイイ場所取られちゃうもん』
 なにを言われてるんだかサッパリな俺に、彼女はやはりわからない単語を、実に嬉しそ
うに投げてよこした。
『この季節はやっぱりお花見でしょ! ね?』

589 :Stage.7-1 [2] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/22(日) 20:24:21 ID:zMYJt4JZ0

 オハナミってなんだ。しかもこいつ「降りてこい」って言わなかったか?
「もしかして下にいるのか」
『玄関の前で待ってる。お弁当も敷物も用意してるから手ぶらでいいよ』
 おk、レジャー関連のお誘いですね。
 どうすっかな、そういうのは嫌いじゃないが、ゲームの方も気になるし。でも俺の分の
メシまで作って来てるんじゃ、断るのも悪いしな……。
『もしかして今日に限ってなにか用事がある、とか?』
 急に心配そうな声を出すユリコに、俺は「いやいや」と否定した。
「そうじゃないんだ、少し待っててくれ。すぐ折り返す」


 俺はいったん携帯を切って、タツミを呼び出した。
『はいはい、どしたのアルス?』
 タツミの方はワンコールですぐに繋がった。お互いかけても繋がらないってパターンが
多かったから、なんか新鮮だ。
「おう。どうだ、あれから落ち着いたか?」
『え……? そうか、そっちは朝になったばっかりだもんね。おとといはどーも』
 相方が苦笑する。言われて俺も時差のことを思い出した。ピラミッドの夜のことは、向
こうではもう2日前の話になるのか。

 俺が寝る前に消したらしいテレビの電源を入れると、優雅な音楽とともに海原を進む白
い帆船が映った。全体がオレンジ色がかっているから、あっちは夕方のようだ。
「もう船を手に入れたのか。……ってポルトガとバハラタを2日で往復したのか!?」
 とんでもない強行スケジュールだぞ。またこのバカは――。
 俺がムッとすると、気配が伝わったのかタツミは慌てて説明した。
『無理はしてないよ。僕の場合、システム外のショートカットが使えるから。魔法の鍵を
餌に、ロマリア国王からバハラタ座標の入ったキメラの翼をもらって、直行できたんだ』
 そこで、なにか思い出したのか深〜いため息をつく。
『でもそのせいでひずみが出てるのか、なんかストーリーがおかしいんだよねぇ』
「なにがあったんだ」

590 :Stage.7-1 [3] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/22(日) 20:26:44 ID:zMYJt4JZ0

『……バハラタに黒胡椒をもらいに行ったら、タニアさんの代わりに僕がさらわれた』
「お前がさらわれたんかよ!」
 うちのプレイヤーはどうしてこう、本来のシナリオの斜め上を行くんだ。
『そんなことはどうでもいいんだけど。で、どうしたの?』
「いやその前に、なぜ勇者がカンダタに拉致られたのか聞きたいんだが――」
『そんなことはどうでもいいんだけど。で、どうしたの?』
 ループしやがった。あまり話したくないことらしい。

 まあ俺も人を待たせてるし、そのうち番外で語ってもらおう。
 前回は場合が場合だったから、けっきょくユリコのことも、奨学金やあの不良少年エー
ジとの関係についても、なにも聞けなかったんだよなぁ。
 その辺の確認も、また後回しだな。

「今ユリコから、オハナミに行こうって誘われててさ」
 俺が本題を切り出すと、タツミは急に静かになった。1秒、2秒、3秒。
『あっそう。ユリコがね。うん、いいんじゃない?』
 おや〜、ちょっと引っかかるような言い方だな。しかも普通に名前で呼んでるしぃw
「本・当・にいいのか?」
『なんだよその言い方。いいよ、せっかく現実にいるんだから、楽しんできなよ』
 タッちゃんやーさしー。ではお言葉に甘えさせていただきます。
「んじゃ行ってくるわ。お前もなんかあったらすぐ電話しろよ」
『了解。あ! その前に僕のステータスだけ教えてくれる?』

 そうだった、お互いにそのことを思い出した瞬間に向こうのメンバーが戻って来て、そ
れも後回しになったのだ。
「よし、ステータスウィンドウ出せ」
『えーと? コマンドを思い浮かべればいいのかな』
 ピッという軽い音とともに、画面上に黒いウィンドウが展開される。


 ――その瞬間、俺は言葉を失った。

591 :Stage.7-1 [4] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/22(日) 20:28:50 ID:zMYJt4JZ0

『どうしたの』
「あー……詳細ステータスの方を出せるか?」
『やってみる。コマンド>つよさ>ゆうしゃ、かな』
 あいつの言葉に合わせて、画面上で自動的にカーソルが動き、勇者タツミの詳細ステー
タスが表示される。
 なんだこりゃ。こんなステータスってありか?
『ねえどうしたの。そっちからピッピッて聞こえるから、表示は出てるんでしょ?』
 タツミの不安そうな声に、俺はなるべく冷静に事実を告げた。

「実はその――レベルと経験値が『??』でな、最大HPは64だからまあ普通なんだが、
最大MPが999なんだよ。素早さ170は……星降る腕輪の効果か。それでも高い方だな。
賢さが245ってのはどうなんだろう」
『…………なにそのバランスの悪さ。レベル??ってどゆこと。MP999ってなに』
「俺にもわからん。現在のMPは975なんだが、お前、今日なにか呪文使った?」
『まだひとつも使えないよ、呪文の練習なんてしてるヒマないし』
「あ、しかも減った! 今974になったぞ、オイ」
『はぁ? 僕はなにも……あ』
 俺も同時に気がついた。
 もしかしなくても、携帯、だよな?

『えーー!!?? 番外の “携帯の電池がMP” って、あれ冗談じゃなかったの?』
「それに宿屋とかに泊まったあとで最大MPに戻ってないってことは、減った分は増えな
いってことじゃないのか」
『僕のMPはプリペイド式かよ! しかも呪文と電話代の合算請求?』
「ということになるな」
『っもう信じらんない! 電話代もったいないから切るね! 行ってらっしゃい!』
「あ、待てって……」

 ツー ツー
 切られてしまった。しっかし、今後はうかつに長電話できないのか。
 うちのプレイヤーはどうしてこう、本来のシステムの斜め上を行くんだ。

592 :Stage.7-1 [5] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/22(日) 20:32:32 ID:zMYJt4JZ0

 プルルルルルル! プルルルルルル!

 途端に電話がかかってきた。表示は「YURIKO」になっている。
『遅いからかけたんだけど……やっぱりダメかな?』
 こっちはこっちで最初の元気はドコへやら、ふみ〜んと沈んだ声になってるし。
「大丈夫だ。今行くからもう少し待ってろ」
『良かった! 待ってる』
 ありゃま、ずいぶん嬉しそうだなぁ。

 そういやこの子、タツミに惚れてるんだっけ。
「あのさぁ、やっぱりユリコって呼んでいいか?」
 ちょっと聞いてみる。ぶっちゃけ「カタオカ」って言いにくいし。それに、タツミ君も
本当はそう呼びたいみたいですしね♪
『え? ……うん、あんたがそう言うなら、いいよ』
 ふはは、もじもじしてるのが見ないでもわかるww かわいーじゃんw

 エリスもそういうとこあったなぁ、なんてニヤニヤしつつ、俺は簡単に身支度を整えた。
 出がけに別室をそっと覗くと、いつの間に帰ってきていたのか、ヤツの母親が眠ってい
た。こんな時間に起こすのも悪いから、声はかけないでおこう。
 リビングのテーブルにメモを残して、玄関を出る。


 というわけで、現実生活2日目は友達とレジャーでGO!
 昨日はいろいろあったが、俺の異世界ライフ、まあまあ順調じゃねえ?

 ……向こうはワヤクチャみたいだが、まあ頑張ってくれたまえタツミ君。

593 :Stage.7-1 [オマケ] ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/22(日) 20:34:20 ID:zMYJt4JZ0

   ◇

アルス「はいこれ、宿スレ定番のステータス。だけどお前の場合、意味あるのかねぇ?」
タツミ「知らないよ! なんだよこれぇ……」

【タツミ】
レベル:??
HP:58/64
MP:974/999(プリペイド式)
装備:E聖なるナイフ、E旅人の服、E星降る腕輪

力:12
すばやさ:170
体力:19
賢さ:255
運の良さ:118
攻撃力:22
守備力:18
Ex:??

594 :Stage.7-1 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/07/22(日) 20:38:29 ID:zMYJt4JZ0
本日はここまでです。
ここからしばらくはリアルサイドとなります。

タツミ君のステータスが出るのは、たぶん最初で最後な気がします。
しかもさっそく間違えました。賢さは本文でアルスが言ってる「245」が正しいです。

595 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/22(日) 22:06:14 ID:bpKzZS+xO
255が最大値だから、まだあと10上がる余地が…

596 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/23(月) 00:13:17 ID:RxCmUsPl0
IFDQ/RcGKIさんのSSが楽しみでならない今日この頃。

597 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/23(月) 18:42:57 ID:fJZrIIgBO
ちょww
二人とも本編で「番外」とか言ってるしw

そういえばリアルサイドはまだまだ明かされてない事多いねぇ。

ともあれGJ!

598 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/23(月) 21:53:36 ID:02RbB+Cw0
MPプリペイド式ってwww
今後のこと考えると笑い事じゃないんだが、祈りの指輪や魔法の聖水も効かないのかな。

599 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/23(月) 23:31:31 ID:geIYf+0Z0
更新ktkr
乙でございます。
エリスさん、無事復活よかった。

すごい呪文が使えるのかとおもったら、まさかこんな罠があろうとは・・・。
リアルサイド、楽しくすすむのかと思えば、なにやら、前回の不良集団や、暗躍するゲームサイド人や波乱の予感。


600 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/24(火) 15:28:15 ID:4amYMSqk0
4の人の続編をお願いしますm(_ _"m)

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