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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら九泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/02(月) 02:57:50 ID:XgSwbg4B0
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・DQ世界であれば宿屋でなくても、すでに書かれているDQシリーズでも、大歓迎です。
・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角右アングルブラケット二つ)+半角数字(最後に投稿したレス番号)」)をつけると読み易くなります。

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら八泊目
ttp://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1162106116/

まとめサイト(書き手ごとのまとめ/過去ログ)
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://coronatus.sakura.ne.jp/DQyadoya/bbs.cgi

301 :Stage.4 [前編] 9/13 ◆IFDQ/RcGKI :2007/05/12(土) 14:07:29 ID:1V5Xv7vG0

「まあ三津原なら問題ねえだろうけど……なんか困ってたら言えよ?」
 なんだかわからんが、騙してる手前、心配かけるのは悪い気がする。「大丈夫」と首を
振ったら、相手は一瞬だけ斜め下に視線を流した。
「じゃあ俺にも付き合えよ」
 言いながら「次、停まります」のボタンを押す。
「試合負けちまってさ。気晴らしにゲーセンでも行こうぜ」
 ゲーセン? 気晴らしというならカジノみたいな娯楽施設の一種か。
 それもよくわからんが、さっきからどうもモヤモヤした状態だからな。スッキリできる
場所なら大歓迎だ。俺は一も二もなく賛成して、カズヒロに続いてバスを降りた。


「なるほど、『Game Center』の略でゲーセンか……」
 カズヒロが案内した施設は、向こうのカジノとはまるっきり違っていた。
 雇われ楽士が奏でる景気の良い音楽の代わりに、所狭しと置かれた機械の一個一個が、
好き勝手に甲高い音を垂れ流している。大勢の人間がいるのに、ほとんど「人の声」がし
ない。多少騒いだところで機械の音が掻き消してしまっている。
 うるさいのに静かな、なんか不思議な場所だ。
「なにやる?」
 カズヒロに聞かれて俺は困った。そうだな。
「モンスターとか派手にやっつけるようなの、ないか?」
「へえ、意外。じゃあこれなんかいいよ」
 引っ張っていかれたのは、おどろおどろしい装飾がされたデッカイ画面の前だった。
 前に小さな操作台があって、その横にヒモに繋がれた、赤い「へ」の字型のものが2つ
ひっかけてある。
 カズヒロは慣れた手つきで操作台の穴にコインを投入した。画面に「プレイ人数」だの
「難易度」だのといった文字が浮かび、操作台のボタンで設定していく。
「まずは初心者向けにしとくな。一緒にやろうぜ。ほれ」
 への字型の1つを渡される。あ、前にヤツが観てたテレビに出てたのと形が似てる。
「これ、銃だよな。どーやんの?」
「普通に握りゃいいよ。んで、敵が出たら狙って撃つ!」

302 :Stage.4 [前編] 10/13 ◆IFDQ/RcGKI :2007/05/12(土) 14:11:53 ID:1V5Xv7vG0

「おお!? おおお!!」
 いきなり画面に腐った死体みたいなのが出てきたと思ったら、そいつがバンと弾けて飛
び散った。カズヒロがかっこつけて、銃の先端にフッと息を吹きかけてみせる。
「すげえっ。えーと、狙ってここを引くと……」
 腐った死体をやっつけた!
「おもしれー! うわ、なんかたくさん出てきたぞ。あれみんな敵か?」
「そうだ。左下に弾数が出てるだろ? 無くなったら銃を下に向けると補充されるぞ」
「え? あー撃てなくなった! んで下に向けると、うん増えた」
 ルールは単純だが、あれだけ苦労したゾンビ系モンスターが、こんなもんをカチッとや
るだけで吹っ飛んでいくのは爽快だ。
「っく〜、気ぃ持ちいい〜! なあなあ、これもっといっぱい出てこないか?」
「うまいじゃねえかオイw じゃあ難易度、思いっきり上げてやるよ」
 画面が薄暗くなって止まり、さっきEASYに設定した項目がVERY HARDに変わる。
「足引っ張んなよ、三津原?」
 カズヒロがちょっと意地悪く笑った。
 ふん、挑戦されたら受けて立つのが勇者だぜ。やったろうじゃん!


 ――なんて意気込んで臨んだのだが。
「おいカズぅ、お前また撃ち漏らしたぞ?」
「いや三津原がおかしいから! お前こそ本当に初めてかぁ!?」
 だって簡単なんだもん。前方向しか来ないのに全部の敵に出現予告あるし、弱点とか
見え見えだし。ちょっとのミスで死ぬような向こうのバトルと比べたら、なあ?
「んじゃそっちのも貸して」
 俺はカズヒロからもう1個の銃を取り上げた。画面をほとんど埋め尽くしている敵が、
俺の銃撃で次々と倒されていく。弾数の補充はいちいち腕を下げるより、輪っかの部分
に指を引っかけて銃をクルッと一回転させる方が楽だな。
 あーあ、向こうでもこんな風にやっつけられたら、俺も楽だったのに。
「マジかよ……全国レベルじゃん、このスコア」
 カズヒロが傍らでぼやいている。

303 :Stage.4 [前編] 11/13 ◆IFDQ/RcGKI :2007/05/12(土) 14:17:40 ID:1V5Xv7vG0

 なんとなーく白けた空気が流れた。その時だ。

 プルルルルルル! プルルルルルル!

 携帯? なんだよこんなときに。
 察したカズヒロが俺から銃を取り上げて、目だけで「出てこいよ」と促す。俺は店の入
り口まで移動した。携帯を開けた。みると表示は「TATSUMI」。
 へぇ、向こうからかかってくるとは珍しいこともあるもんだ。

「うーっす。話の途中でブチ切りするような相手に、なにかご用ですかぁ?」
『あの時はごめん。君も、時差のこと知らなかっただけだよね』
 およ? なんか素直じゃないか。まあ俺も時差のことは知っててかけたけどな。
『それで…さ、今回だけ、ナビ頼めないかな』
 聞き取りづらい小さな声で、ヤツは言った。
『その――ゾンビ系のモンスターの楽な倒し方って、ある?』

「ップハ!」
 やべえ、なにこのタイミングw 思わず吹き出した俺に、タツミが『なんだよ』とムッ
としたような声を出す。
「悪い、こっちのことだ。リビングデッド系の楽な倒し方だよな? 簡単だぜ」
『ホント? どんな!?』
「まずな、弾切れする前にリロードすること」(だはははは!)
『え、リロード?』
「あとはよーく弱点を狙って撃つことかな。参考になりましたでしょうか?w」
『…………』
 タツミは電話の向こうで黙ってしまった。ありゃ、反応無し?
 ああ、元ネタがわかんねえのか。ヒキコモリ(らしい)コイツが、外にある店のゲーム
を知らないのも仕方ない。
 いやもちろん俺もそこまで性格悪くねえし、ちゃんとナビってやるけどさ。
「なんてな、教えてやるからありがたく思え。有効なのは火炎系魔法だが、もうひとつ、
武器にあらかじめ聖水をかけておくと……」

304 :Stage.4 [前編] 12/13 ◆IFDQ/RcGKI :2007/05/12(土) 14:24:15 ID:1V5Xv7vG0

『もういい!!』

 いきなり怒鳴られて、俺はその場で固まってしまった。
「タ、タツミ?」
『自分でやるよ! 二度と頼らないから、そっちも勝手にすればいい!』
 同時にブツッと切られて「ツー、ツー」と数回鳴った後に、静かになる。
「もしかして……マジでヤバいのかな」
 なんかちょっと、泣きそうだった、ような。

 って、しかもお前、ゾンビ系の攻略法を聞いてきたってことは、
「嘘だろ、今ピラミッドかよ!!??」
 俺はてっきり、今頃はアリアハンを脱出したあたりかと踏んでいた。時差があるとしても
早すぎる。いったいヤツはどういうルートをとってんだ。
「すまん、急用ができたから帰るわ!」
 俺はカズヒロに向かって叫び、すぐ店外に走り出した。気のいい友人が追いかけてきてる
かどうかも、気にする余裕はなかった。
 ヘタをしたら俺もヤツもここで「死ぬ」。


 冒険を肩代わりさせるにあたり「ここはナビが必要だ」というポイントがいくつかある。
 ピラミッドもそのひとつだ。
 たぶん現実側からプレイしてる限りわからないだろうが、実はあそこ、とんでもない数の
トラップが仕掛けられている。回避策さえ知っていればなんともないんだが、普通は絶対に
わからないだろう。かなり複雑な謎解きだから誘導してやるにしても、俺もいったん家に戻っ
て、あっちの現状をモニタリングしながらでないと難しい。
 しかもあそこの地下は……頼むから落ちてくれるなよ、普通の神経じゃまず保たねえ。

305 :Stage.4 [前編] 13/13 ◆IFDQ/RcGKI :2007/05/12(土) 14:29:25 ID:1V5Xv7vG0

「ったく、でつながんねえんだよっ」
 何度もリダイアルしたが「電波の届かないところにおられるか……」の繰り返しだ。
 ゲーム内の時間の進み方は現実と比べると恐ろしく早いが、通話している間だけは同期す
るらしい(でなきゃ普通に会話できん)。つながってさえくれりゃ、こっちも同じ時間の流
れで動けるが、このままだと俺が家に帰る前にすべて終わってしまうかもしれない。
 さっきのバス亭に戻り、時刻表を確認する。
「10分後か」
 家はここからそんな遠くない。次の便を待つより走った方が早いか? 判断に迷う。

「待てよ三津原」
 その瞬間、グイっと乱暴に肩をつかまれた。
「だから急用だって……っと!」
 カズヒロじゃない、と思うと同時に、咄嗟に避けた耳元を相手の拳がかすめていった。背
後からいきなり殴りかかられたのだ。
「へえ、タッちゃんやるぅ」
 そいつの後ろで手を叩いているのが2人。どいつも見たことのない顔だ。
 俺と同い年くらいの3人組で、揃いの紺色の服を着ている。向こうじゃ王族が着るような
良質の生地だろうに、着こなしがだらしないせいで、ひどく俗っぽい印象を受ける。
「ビックリさしてごめんな? なんせ久々だったからさ〜」
 ニヤついた顔に見て取れるのは明らかな敵意。
「…………」
「ま、待てっつってんだろ!?」
 無言できびすを返した俺の前に、他の2人が回り込む。なに慌ててんだよ。

 ああああああめんどくせええ!!
 なんなのよコイツら! いや不良さんにカラまれちゃったみたいテヘ♪ってのはすぐ理解
したんだけどね、なんで今ここで湧くんだよ!
 時間ねえっつーのに、どうすっかな。黙らせるのは簡単だが、初日から騒ぎを起こすのも
どうよ。俺、静かで平穏な生活を望んでこっちに来たんですけど。
 それにしてもうちのプレイヤー、おとなしそうに見えて、実はロクに出歩けないほど敵が
多いのか? どうなってんだいったい。

306 :Stage.4 [前編] atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/05/12(土) 14:37:45 ID:1V5Xv7vG0
本日はここまでです。
なんか「名前が長すぎる」というエラーが出たので、タイトルはステージ番号にしました。
書いてみて初めてわかりましたが、いろんな規制があるんですね。

エリスのベギラマの詠唱、わかる人にはわかる懐かしネタです(ニヤリ)

307 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/12(土) 23:34:00 ID:p6Lfrp8y0
>>お二方

乙であります!

くそ、更新されてたら読まねぇわけにはいかんわな
詳しい感想書けなくてすまんが今回も面白かった〜
疲れが吹っ飛んだわ

次回もwktk

308 :俺、参上 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/13(日) 00:14:15 ID:9in4XXbA0
「お兄ちゃん、起きて。朝だよ」
「う……う〜ん……あと5分……」
「急がないと8時になっちゃうよ」
「キスしてくれたら起きる」
「……ホントに起きてよ?」

 アホな一人遊びをやめて俺は目を開けた。
 俺には血の繋がらない義妹どころか妹そのものがいねえ。

「おはよう、マイサン」
 しっかりと目が覚めているムスコに呼びかける。股間に話しかける画もかなりシュールに違いない。
 だが許して欲しい。
 ムスコへの呼びかけは精通して以来の日課のようなものだ。
 息子とムスコの違いがわからない奴はぐぐれ。

「9時過ぎか」
 枕元に置いてあった携帯に手を伸ばして時間を確認。
 朝食にはちょっと遅いがホテル内のレストランにでも行くとしよう。
 顔を洗おうとベッドから下りても、ムスコは重力に身を委ねるのを由とせず、地面と平行の姿勢を保っている。
 いつか釘も打てるんじゃないだろうか。

「やらないけどな!」

 洗顔道具を取り出そうとしたが、あるべき場所に鞄がない。
 確かベッド横に置いといたはずなんだが。
 つーか――
「何もなくね?」

 ――騒がしい俺の様子を見に来た宿屋の親父によって、ここがラダトームの宿屋だということを知ることになったのは30分後のことだ。

追記
 さすがにムスコも萎えました。

309 :俺、参上 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/13(日) 00:14:59 ID:9in4XXbA0
「なるほど。事情はわかった」
「はあ」

 自分がラダトーム城下町の宿屋にいることを理解してから1時間後、俺はラダトーム城内にいた。
 宿屋の親父に事情を話すとすぐにラダトーム城に連れて行かれ、あれよあれよという間にラダトーム王と対面していた。
 信用するかしないかは別として、俺は全てを打ち明けた。
 とはいえ、寝て起きたら宿屋にいたとしか言えないのだが。
 自分でも何を言っているのかわからんというのに、ラダトーム王は何やら納得した様子でいる。

「かつてアレフガルドを救った勇者ロトも天から現れたという」
「それが俺と何の関係が?」
 うげ、何やら嫌な予感。

「そなたもまた、ルビス様が遣わした救世主なのかもしれんな」
「……竜王を斃して光の玉を取り返せと?」
「竜王を知っておるのか?」
「あー……まあ、一応」

 自分で言うのもなんだが、俺はゲームは勿論のこと、漫画小説ドラマCDサントラカードゲーム、果ては同人ゲームにすら手を染めているほどだ。
 DQのストーリーを知らないわけがない。
 俺の精通は水の羽衣を着たムーンブルクの王女で始まったといっても過言じゃない。
 その後アブない水着賢者、踊り娘の服マーニャ、エッチな下着ビアンカ、エッチな下着バーバラ、アイラを経てゼシカに至る。
 魔法のビキニ賢者や神秘のビキニ盗賊、天使のレオタードマーニャでも捨てがたい。
 7のポリゴンアイラで抜いた時の俺は神が降りていたとしか思えない。
 ……いや違う。そういうことじゃない。
 狂信者ってレベルじゃねえぞ!ということだ。

「ならば話が早い。竜王を倒し、その手から光の玉を取り戻してくれ!」

 ほーら、やっぱりきたよ。
 イヤな予感ってのはどうしてこうも当たるんだ。

310 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 00:16:37 ID:9in4XXbA0
「仮に竜王を斃したとして、俺は元の世界に戻れるのか?」
「それはわからんが……他に戻る方法はあるまい」
「……確かに」
 戻れる可能性は五分五分。
 ゲーム中、異世界の話は一切出てきていない。
 EDで勇者とローラは旅に出る。
 ローレシア、サマルトリア、ムーンブルクの三国を建国したのは2で語られるが、その後の勇者の行方は誰にもわからない。
 ローラ姫を抱えて門をくぐったということくらいだったはずだ。――戻れる可能性があるとするならED後しかない。

 ロト編で異世界に移動できるのはルビス、ラーミア=レティス、ハーゴン、マガルギ……後は旅の扉か。
 ギアガの大穴は閉じているはずだし、マサールクリムトコンビは6だ。
 リメ3での神竜はこの時代に生きてるのかどうかも怪しい。
 ハーゴン、マガルギに至ってはこの時代よりも後。
 オルゴも神も7だし……頼みの綱はルビスのみか。

「……わかった」
 王の言いなりになるのは癪だが、それしか方法はなさそうだ。
 竜王よりもルビス目的だがわざわざ言うほど馬鹿でもない。

「おお! まことか! ではわしからの贈り物じゃ! そなたの横にある宝の箱を取るが良い!
 そしてこの部屋にいる兵士に聞けば旅の知識を教えてくれよう」
 現金な奴め。
 渋々宝箱の中から120Gと鍵と松明を取り出した。
 もう少し景気よく出せよドケチ野郎とは口に出さない。

「ローラ姫は取り戻さなくていいんだな?」
 王の返事を待つ前に、俺は階段を下りてラダトーム城を出て行った。
 さて、120Gでどんな装備を整えるとするかな。

311 :俺、参上 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/13(日) 00:17:14 ID:9in4XXbA0
 悩みに悩んで結局買ったのは竹竿。
 棍棒を持たせてもらったが重たくてダメだった。
 もうちょっと力をつけないことには持って歩くだけで疲れる。
 そう考えるとレベル1で剣を扱えるDQ勇者すげえ。

 120Gで揃えた竹竿、薬草×3。残金は38Gだ。
 で、俺が持ってた物はパジャマ代わりに着ていたジャージ。あ、トランクスとTシャツもか。
 ドラクエができるからという理由で3年も買い換えてない携帯(N900i)。
 旅のお供のニンテンドーDSライト(ブラック)。
 ホテルに着く前に買っておいた100円ライター×1、タバコ×10。
 着替えや洗面道具を詰めこんだ鞄はなくなっていた。
 どうやらベッドの上に置いてあった物だけがこっちの世界に着たらしい。
 ベッドじゃなくて床で寝ていればこんなことにならなかったんじゃね?

「そうだ!携帯で!」
 ……繋がらない。

俺「もしかして圏外ですかーッ!?」
携帯「YES! YES! YES!」
俺「OH MY GOD」

 ……一人ジョジョごっこに興じる俺は、DSLの画面に文字が現れたことを気付いていなかった。


レベル:1
最大HP:13
最大MP:4
攻撃力:6
すばやさ:8
武器:竹竿
鎧:なし
盾:なし

312 : ◆yeTK1cdmjo :2007/05/13(日) 00:21:56 ID:9in4XXbA0
何の予告もなく投下させてもらいました。
続きは明日以降になると思います。

>>311は鳥忘れです。

313 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 00:59:41 ID:iG/kA3/A0
wktk

314 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 02:15:13 ID:NpD8jXgk0
DQ(初代)のストーリーを知ったうえで、うまく立ち回る主人公にわくわく。


315 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 02:41:53 ID:jveBO9mB0
なんかここ最近新しい趣向の作品が増えてwktkがとまらないぜ・・・っ

316 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 08:47:02 ID:+KqiWjCl0
これは期待

きのうはおたのしみでしたねを目指そうぜw

317 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/05/13(日) 12:43:32 ID:1XLoiDx/0
お疲れ様です。
ここまでまとめました。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

またしばらくまとめが滞ると思いますが、よろしくお願いします。

318 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 14:26:06 ID:kBhAT/50O
まとめ乙です。

DQをゲームとして客観的に知ってる上で冒険するパターンと、
まったく知らず「スライム、はぁ?」から始まるパターンに分かれるよな。

合作話も出てるし、各主人公の座談会とか読んでみたいなw

319 :特攻の俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/14(月) 00:12:33 ID:TqHLeIXy0
 こんにちは、俺です。
 わけもわからぬままアレフガルドに来て2回目の朝です。
 戦いにもちょっとだけ慣れてきました。
 ドラキーに多少てこずるものの、スライム、スライムベスはもう敵じゃありません。

「ピキーッ!」
 竹竿を買ってから、スライムを数匹斃したところでドラキーが登場。
「ピキーッ!」
 宙を飛び交うトリッキーな攻撃に危うく死にそうになりました。
「ピキーッ!」
 念のためにと買っておいた薬草のおかげで何とk
「ピキーッ! ピキーッ!」
「だあああああ! うるせえええええええ! スライムごときが邪魔すんじゃNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!」
「ピ、ピキーッ!」
「(´・ω・`)ぶち殺すぞ」
「……ぴきー……」

 大人しくなったスライムを海に蹴り飛ばした俺は防具を買いにラダトーム城下町に向かった。
 目的は一つ、竹竿から棍棒へのレベルアップ。――と、その前に便所だ。
 ラダトーム――DQ世界にはトイレというものが存在しない。これ豆知識な。
 住人は草むらや林の中でしている。
 小便をしようと草むらに向かったら下半身丸出しで用を足している女に出会った俺が言うんだ、間違いない。
 俺には気付いていない様子だったので、そのまま田代。別の意味でスッキリさせてもらいました。

 小便をし、棍棒をいくつか見せてもらった俺は、一番手に馴染んだ棍棒を購入した。
 できればもっと攻撃力のある武器がいいんだが、銅の剣を買えるほど金はない。
 棍棒に釘を刺して攻撃力増強を、とも思ったのだが、この棍棒には初めから釘が打ち付けられてある。
 釘の打ち付けられていない棍棒は3からのはずだ。

「まずは……ガライだな」
 ガライには鍵が必要な場所があったな……鍵、か。

320 :特攻の俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/14(月) 00:13:26 ID:TqHLeIXy0
 というわけでラダトーム城に到着。
 ガライに行く前に色々と準備が必要なのよ。

 ラダトーム城には鍵屋が存在する。
 しかし城前の池が遮っているため、城内の鍵屋に行くにはリムルダールで鍵を買わなければならない。
 ゲームではそんな二度手間三度手間はイベントの一つかもしれないが、実際問題そんなことはやってられない。
 池を泳いで渡る?
 池を泳いで渡るのは正解に近い。最も限りなく正解に近い。
 でも溺れる可能性もあるので油断は禁物でーす♪
 というわけでボッシュート。

    ⌒ ⌒ ⌒
   _⌒ ⌒ ⌒__
  /:::::Λ_Λ:::::::::::::::/
 /::::::(∩;´Д`)∩ :::::/
/:::::::(      /::::/  チャラッチャラッチャーン





「城の裏から行けばいいんだよね」





 工エエェェ(´д`)ェェエエ工といった顔の兵士は放置。
 若人よ! 柔軟な発想を持て!

321 :特攻の俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/14(月) 00:14:28 ID:TqHLeIXy0
「どんな扉でも開けてしまう魔法の鍵はいらんかな? 一つ85Gでどうじゃ?」
「よし! 買った!」
「ほれ、鍵を一つ渡そ――」
「その前に。壊れたら返品ができるんだよな」
「いや、これは一度きりじゃ」
「ああ? 一回しか使えない鍵が85Gだと? ジジイ、何でそれをもっと早く言わねえんだよ!」
「か、鍵が一度で壊れるのは常識じゃろう」
「それはジジイの常識だろうが。普通の鍵は壊れねえんだよ。舐めてんのか(゚Д゚)ゴルァ!」
「い、いや、別に舐めてるわけでは――」
「“ムカつき”が止まんねーよ……」
「ままま待て待て!」
「教えてやるよ? “ジジ”ィ……ナゼ俺のパールホワイトの“FX”が“最強外道”のカンバンなのかよ……?」

 以上、俺の交渉術でした! よい子もよい大人も悪い子も悪い人もマネしちゃダメだぞ!
 一つ8Gまで負けてくれたんで10個も買っちゃったよ。
 いや〜、いい買い物したなあ。
 危うくジジイは“不運” (ハードラック )と“踊”(ダンス )っちまうところだったんだぜ……?

 予定通り浮いた金でラダトーム城下町で皮の服と皮の盾を購入。
 皮の服ってよりは皮の鎧って感じだな。

「ならば! 『ジャージ』プラス『皮の服』――二刀流!!」
 思わずジョジョ立ちしてしまう俺。これがジョジョならゴゴゴゴゴと文字が出てるくらいだ。

「二刀流じゃないじゃん」
「せっかくノッてるんだから言うなよ――って誰?」
 思わず振り向くと、女がクスクスと笑っていた。
 む、乳がデカい。乳スカウター発動!
 87……88……89……90……バカな、まだ上昇していくだと!

「あなた、昨夜草むらで覗いてたでしょ?」
 /(^o^)\ナンテコッタイ

322 :特攻の俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/14(月) 00:15:14 ID:TqHLeIXy0
 というわけで、3日目の朝を迎えました。
 何が起きたかポケモン風に表現だけしておこう。
 つきのひかり
 てんしのキッス
 あまえる
 くすぐる
 メロメロ
 かたくなる
 したでなめる
 がまん
 あくまのキッス
 どくどく
 たくわえる
 のみこむ
 はきだす
 ちいさくなる
 てだすけ
 メガホーン
 のしかかり
 つのでつく
 からみつく
 みだれづき
 しめつける
 こらえる
 はなびらのまい
 だくりゅう
 しおふき
 アンコール
 ねむる
 あさのひざし

   ご 馳 走 様 で し た 。

323 :特攻の俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/14(月) 00:17:34 ID:TqHLeIXy0
「どおりゃああああああああああああああああああ!!」
 俺は今、ラダトーム→ガライ間を爆走している。
 鬼気迫る顔をしているのか、モンスターも寄ってこない。
 途中で何匹かスライムを轢いた気がするが、気のせいだ。
 ダンジョン練習場として配置されたであろうロトの洞窟はすでにスルー。

「ダメだ……」
 運動不足が祟ったのか、それとも昨夜の運動が祟ったのか、体が休憩を求めている。
 少し休むか……いや、ダメだ。
 何としても今日中に――少しでも早くガライの町に着かなくては。
 ただでさえ昨日一日を無駄に費やしてしまったんだ。ここで取り返さなくてどうする。

 萎えつつある俺の気力を取り戻すべく、目をつぶって思い出す。
 ――竜王の呪いで変わり果ててしまったモモたん。
 ――良きパートナーであったモモたんを殺さなくてはならなかった剣神勇者の悲しみを。
 こみあげてくる深い悲しみと怒り……

「震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!! ぬおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 人間、やればできるもので。
 ラダトーム城下町を出ておよそ40分でガライの町に着きました。


レベル:6
HP:21/21
MP:17/17
攻撃:18
防御:14
すばやさ:6
E:棍棒
E:ジャージ+皮の服
E:皮の盾

324 : ◆yeTK1cdmjo :2007/05/14(月) 00:22:18 ID:TqHLeIXy0
といったところで今日の分はこれまでです。
>>1に書いてあるようにレス安価忘れたのは勘弁してください。
次回以降は気をつけます。
次回は早くて明日、明後日前後だと思います。

>>317
まとめお疲れ様です。
そして掲載ありがとうございます。
更新作業大変でしょうがご自分のペースで頑張って下さい。

325 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 00:41:37 ID:WALDniG20
>>322
ちょwwエロスwww

326 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 03:32:45 ID:8texZOd8O
町娘たんとお楽しみしたのか!
ローラ様に祟られるぞ…

327 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 11:57:16 ID:LrmXOX3W0
>>310
城の兵士を大量に動員して、ローラー作戦で、ローラ姫を捜索すべし。

328 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 13:43:03 ID:acDpFiJd0
>>327
【審議中】
    ∧,,∧  ∧,,∧
 ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U (  ´・) (・`  ) と ノ
 u-u (l    ) (   ノu-u
     `u-u'. `u-u'

329 :DQ3 第一話 二ヵ月後 ◆IVyU7Lg59g :2007/05/14(月) 14:27:51 ID:+qIRY+we0
 剣と魔法の世界。
 ファンタジーの王道であり、その筋の人間なら誰もが一度は夢見る事だろう。
 伝説の剣を手に取り、可憐なヒロインや勇敢な仲間と共に魔王を討ち果たす。
 で、最後はヒロインとハッピーエンド。お決まりだよな。

 俺もそんな事を夢に見なかった、といえば当然嘘になる。
 でも実際行ってみようとはまで思わない。
 いや、年を重ねるにつれ思わなくなった、と言うべきだろう。
 現代の便利な生活が骨まで染みた身に、きっと中世レベルの世界は耐えられないからだ。
 水洗トイレが無い生活。ネットが無い生活。車が無い生活。
 正直考えも付かない。
 更に付き纏う死の危険。
 もうやばすぎだろ、常識的に考えて。

 ん? 前振りが長い? 何が言いたいのかって? 
 それはだな……。

『結局は住み慣れた場所が一番って事。
 世の中そんなに甘くないよな』
「はあ? いきなり何言ってんの!?」
『いや、なんで俺がこんな状況に陥ってるのか今一度自分に問いかけt』

 女性A(仮名)と俺の声が、甲高い金属音にかき消される。
 そして俺の体に軽く衝撃が二度響く。体感震度3って所か。


330 :DQ3 第一話 二ヵ月後 ◆IVyU7Lg59g :2007/05/14(月) 14:28:40 ID:+qIRY+we0
 さて、ここで何が起こったのか説明せねばなるまい。
 女性A(仮名)が敵(なんか中身が空のピンク色の鎧)の鋭い斬撃を受け止め、はじき返したのだ。俺で。
 そしてそのまま女性A(仮名)は攻撃を弾かれ体勢が崩れた相手に縦一閃。俺で。
 哀れ一撃で真っ二つになった鎧はそのまま崩れ落ち、光に還った。

『しかし、とても女の力には見えないよな。腕も細いし』
「ああもう戦闘中にうっさい! へし折るわよ!」
『はいはい』

 女性A(仮名)のお叱りの言葉を戴いた俺は、気の抜けた返事を返す。
 彼女の言葉通り、まだ3体の鎧と箒に乗った婆さんが俺たちを取り囲んでいる。
 死を覚悟とまではいかなくとも、それぞれが弱くは無い連中だ。
 ああ、なんでそんな相手に俺はこんなに落ち着いてるんだろう。慣れか、慣れなのか。

『酷いや皆! 僕はこんな命の遣り取りなんか慣れたくなかったのに!』
「だから! 煩いって! 言ってるでしょっ!」

 人が折角悲劇の主人公を演じてみたというのに、女性A(仮名)はお気に召さなかったらしい。
 婆さんが連続で放つ呪文を、蝶の如くヒラリと避けながらまた怒声。

「……ちぃっ」

 三度目の呪文をアクロバティックな挙動で回避した先、およそ女性らしさとは無縁な舌打ちをかます女(ry
 舌打ちの理由は至って簡潔。
 呪文を回避し終えた瞬間、三方から鎧が突っ込んできた為である。
 中身は無くともその技量と殺意は間違いなく本物。

 それに対し、女(ryは正面から迫る鎧に俺を投擲。
 当然余裕で弾かれるが、それこそ女(ryの狙い。
 弾かれ宙を舞う俺を疾駆、跳躍しながらキャッチ。そして鎧を飛び越える。
 再び俺を構える頃には鎧の包囲の外。相変わらず見事な手並みである。

331 :DQ3 第一話 二ヵ月後 ◆IVyU7Lg59g :2007/05/14(月) 14:32:11 ID:+qIRY+we0
『そして流石は俺だ。手荒に扱われてもなんともないぜ!
 ていうか、ここまで自分を客観的に見れるようになるって結構悲しい事だと思うんだけどどうよ』
「…………」

 さて、ここに来ていよいよ目と殺気が本気と書いてマジになった女(ry。
 こうなったらもう俺の話なんて聞いちゃくれない。
 仕方ないので俺は故郷を偲ぶという名の現実逃避に入るとしよう。

――拝啓 親父様、お袋様、お元気でしょうか。
「スカラ! ピオリム! スカラ! バイキルト! ピオリム!」
――そちらでは俺が蒸発してしまい、大変な事になっている事でしょう。
「ボミオス! ボミオス! ボミオス!」
――ご迷惑をおかけしてしまい、まことに申し訳ありません。
「ルカナン! ルカナン! ルカナン!」
――ですがご安心を。不肖の息子は異世界で元気に生きております。……剣として。
「ずっと私のターン!」
『どう見ても格下相手をレイプです。本当にありがとうございました』

 追伸
 俺のHDDは中身を見る前に物理的手段をもって破壊していただきたい所存であります。


332 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 19:40:10 ID:LrmXOX3W0
なんかへんだな?と思っていたが、そういうオチだったか。
第一話、ということは続くのかな?
元の世界に戻れるのだろうか?
せめて元の姿に戻れるのだろうか。wktk

333 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/16(水) 00:52:53 ID:X8Jo0VjE0
期待ほす

334 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/17(木) 23:34:55 ID:2NA6ZwuJO
保守

335 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/18(金) 23:20:47 ID:0eJL2YsHO
保守

336 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/19(土) 16:25:10 ID:ZRNyXIm/O
レッドマンは元気だろうか…

337 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/20(日) 18:14:11 ID:hmCffOiaO
保守

338 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/21(月) 01:41:24 ID:JA3TVn+P0
1週間ほど来なかったら新作の嵐だったとは!
どれもこれも面白い!皆さんGJです!
今度はこまめによって感想書きます

339 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/21(月) 09:06:39 ID:AcaFUuD20
>>338
書き手の一人ですが、嬉しいお言葉です。
一言でもご感想をいただけるとウラン並の執筆燃料になります!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

340 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/22(火) 10:17:26 ID:l2P2n+iEO
保守

341 :携帯まとめ申請:2007/05/22(火) 12:29:17 ID:9d7j93O30
突然失礼いたします。
こちら宿スレの携帯向けまとめを作らせていただきたいな、
と思っているのですが、よろしいでしょうか。
可・不可、条件等、ご遠慮なくおっしゃってください。
どのような感じになるかは、現在稼動している下記サイトをご参考ください。

【DQ歴代主人公が雑談するスレ保管庫@モバイル】
ttp://dq.first-create.com/dqzdn/

【FFDQバトルロワイアル保管庫@モバイル】
ttp://dq.first-create.com/ffdqbr/

342 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/22(火) 19:50:52 ID:LIVH/BATO
携帯で見れるのは嬉しいだろうから俺はwktk

343 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/22(火) 20:09:14 ID:SeIABa0wO
>>341
もはや超GJといいたいくらいだ

344 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/05/23(水) 03:09:58 ID:ktTpY5jD0
お疲れ様です。

>>341
携帯まとめサイト、良いと思います。
正直、いつか「携帯のまとめマダー」と書かれるんじゃないかとヒヤヒヤしてましたからw
PC版は時間があかない限り更新はしないのですが、よろしくお願いします。

345 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/05/23(水) 03:11:12 ID:ktTpY5jD0
書き忘れ。
まだPC版は最新へ更新されていません、ごめんなさい。
また後日。

346 :携帯まとめ(暫定):2007/05/23(水) 04:38:32 ID:rXkmUX4R0
>>342>>343 >>タカハシ様
ご許可いただきましてありがとうございます。
さっそくですが、暫定的にここまでまとめてみました。
リンク切れや改善点など、ご連絡いただけると助かります。

【もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら 保管庫@モバイル】
ttp://dq.first-create.com/dqinn/

347 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 10:05:54 ID:wRfJy0IBO
>>346さんGJです
携帯からも見れるなんて嬉しい限りです

348 :DQVI ◆55fvMgOfnY :2007/05/23(水) 20:37:28 ID:/lTcDKcTO
「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁっ!」

どう見ても基地外です、本当にどうもありがとうございました、と言われるほど私は爆走しています。

「たまねぎ怖いたまねぎ怖いたまねぎ怖いたまねぎ怖い」

オニオーン
シェーナ周辺に出没するたまねぎ型の魔物…ゲーム内では序盤ザコとして登場、単体であれば初期装備で叩けるが…

「まだ追ってくるー!」

集団で出てこられるとかなり厄介なのはゲームでも、ここでも同じようだ。
サスケの知り合いがここにはいないため、説得して平和的な方法が実行出来なかった。

349 :DQVI ◆55fvMgOfnY :2007/05/23(水) 20:39:45 ID:/lTcDKcTO
私の腰にはメイサさんに渡されたナイフ(たぶんブロンズナイフだろう)が出番を待っているが、攻撃力があっても勇気がないため、攻撃をためらってしまった。

相手は姿形は人や見知った動物でなくても生き物だ、いざ攻撃となると胸が痛くなる。

「ピキーッ!」

あれこれ思案しているそばからサスケの悲鳴が聞こえた。

囲まれた、完璧に。

逃げ道はなさそうだ、ついに最終手段実行だと思った。
ベルトに収まっていた刃物に手をかける。

もう、ためらっては駄目だ。

すっとその刃が姿を表す。
曇りのない刃、私は恐る恐る右手に構える。

350 :DQVI ◆55fvMgOfnY :2007/05/23(水) 20:40:36 ID:/lTcDKcTO
傍から見ればへっぴり腰で顔もひきつっていて、見るからに弱そうなのは私でもわかる。
初めて構えた命を奪う物はとても重い気がした。

「さぁ来い!」

勇気を持って叫ぶ、自分で言うの何だと思うが、かなり声が震えていた。

その言葉を待っていたと言わんばかりにオニオーン達が私に飛び掛かる。
複数の敵に取り囲まれた私は戦うと言うよりも、相手を振り払うような形になった。
たまねぎの魔物どもは攻撃の手を休めない、休めているのだろうが、数が多過ぎる。
戦闘に集中しているがゆえに仲間へのミスが出る。

「ピーッ!」

「サスケ!」

351 :DQVI ◆55fvMgOfnY :2007/05/23(水) 20:41:46 ID:/lTcDKcTO
サスケはオニオーンの角(と言うよりも茎?)によって跳ね飛ばされてしまった。
どうしよう、助けたい、助けられない。

仲間のピンチなのに、このたまねぎめ、うら若き乙女を囲むとは、もう許せない。

「──っ!ぎゃっ!」

サスケを突き飛ばしたオニオーンの中心にナイフが突き刺さる。
会心の一撃だろうか、オニオーンはそのまま動かなくなった。

その様子を見た他のオニオーン達は我れ先に、とでも言わんばかりに退却していった。

倒した、オニオーンはもう動かない。
私の中には安心と小さな罪悪感が渦巻いていた。
倒したと言う事は相手の生を奪った事。
危なかったとは言え、殺してしまった。

352 :DQVI ◆55fvMgOfnY :2007/05/23(水) 20:42:57 ID:/lTcDKcTO
「ピキーッ」

涙目になったサスケが私に飛び付く。
敵の命を奪う事で私は仲間を助けた。

自己中心的な考え方だが、サスケが死んでいない、私はサスケを助けた、それでよいじゃないか。
自分を正当化させなければきっとこの世界ではやっていけれないんだ。

「ピキー!」

サスケが倒れたオニオーンの方に誘導する、そうだナイフを回収しなくちゃ。
とっさに投げたナイフが当たってよかった。

ナイフの持ち手に力をかけて引き抜く、生々しい音とともに刃が顔だす、そしてその先には宝石のようなものがくっついている。

「なんだろう」

まさかとは思ったが、どうやらこの世界の魔物は宝石モンスターに属するらしい。

「アベル伝説かよ」

小さくつっこむ私だった。

353 :DQVI ◆55fvMgOfnY :2007/05/23(水) 20:49:30 ID:/lTcDKcTO
今日はこれで終了です

>>271-273
感想ありがとうございます
感情移入等をしてくださるなんて感激です

>>携帯まとめ様
自分も携帯厨なのでうれしい限りです
ありがとうございました

>>タカハシ様
まとめでの訂正、ありがとうございました
御迷惑をお掛けしてすみませんでした

354 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 20:54:24 ID:lXjeX65BO
おつんつん!
乙女ぃぃょ乙女

355 :STORY.5 戦闘 -生か死か- ◆aPqItC/JYI :2007/05/23(水) 22:31:30 ID:M221zl7u0


「……誰だ」
「それはこっちの台詞だぜ坊や。あンたこそ誰だい? ここでなにしてるンだ?」
 その狼男は大きな口から舌をだらりと出しこちらを見つめている。
 ――嫌な予感がする。
 俺はゆっくりと壁から離れた。狼男はそれに気づいたのか、じりじりと間合いを詰めてきた。
 手に汗がにじみ、心臓もドキドキと大きな音がする。
「アレフー! どこいったのー!」
 マリアさんの声が聞こえた。なんだか迷子の子供を呼んでいる見たいに聞こえる。
 それを合図に俺は声のした方向へとダッシュする。すると狼男も俺の後をついてきた。
「待て!」
「っ、マリアさん!」
 角を曲がるとすぐにマリアさんが見えた。
 こちらを向き困り顔を見せたが、俺の後ろの狼男を見てすぐさま顔を引き締めた。
「モンスターね!?」
「……もう一人いたのか」
 狼男が忌々しげに呟く。俺はそのままマリアさんのところへと思いっきり走った。
「アレフ、伏せて! メラ!」
 ボウッという音とともにマリアさんの指から火の玉が飛び出す。俺は慌てて前へと倒れ込んだ。
 間一髪火の玉は俺の頭上すれすれを通過。後ろから炎が燃え移ったような音がした。
 狼男に当たった音かと思い振り返る。するとそこには短めの剣を手にした狼男が無傷で立っていた。
「な、メラを弾くなんて……」
「お嬢ちゃン、魔法使いか」
 狼男の眼帯をしている方とは反対の目がギラリと輝く。金色をした、鋭い目付きをしている。
 どうやらこの狼男はマリアさんのメラを弾き飛ばしたらしい。なんて奴だ。
「俺にメラは効かねえ、ぜ」
 ぶんと剣を振って威嚇してくる。怖い。俺は立ち上がり、急いでマリアさんの方へ走った。
 ……この光景は漫画でもゲームのシーンじゃない。本当にすぐそこで起きていることなんだ。
「っ! それなら、ヒャドッ!」

356 :STORY.5 戦闘 -生か死か- ◆aPqItC/JYI :2007/05/23(水) 22:32:23 ID:M221zl7u0

 マリアさんが杖を狼男へと向けると、杖の先からキラキラしたものが飛び出した。
 そのキラキラは狼男目掛けて飛んでいく。狼男は直ぐさま避けたが、完璧に避けられず左肩へと命中した。
 すると左肩からみるみるうちに氷が広がり、狼男の左腕は氷漬けになってしまった。
「くっ、ヒャドも使えるのか」
 悔しそうに呟きながらその氷を忌々しそうに見やる。力を込めているようだが、左手はぴくりとも動かない。
「……おい、お嬢ちゃンたち。悪いことは言わねえ、早くここから立ち去りな」
「なんですって?」
 突然狼男は氷に向けていた目線をこちらに移し、俺たちに逃げろと言った。
「私たちを襲ったモンスターの言葉を信じるわけがないでしょう?」
 マリアさんが構えを解かないまま威圧感たっぷりの声音で話す。
 俺もマリアさんと考えることは同じだ。向こうから先に襲ってきたのに、逃げろって言うのはどうも信じられない。
 俺たちが逃げようと後ろを向いた瞬間、攻撃でもするつもりなんだろうか?
「モンスター、ね。まあ、信じないのは当然だよなあ。でもさっさと逃げてくれねえと、俺が困るンだよ」
 狼男は頭をボリボリと掻きながらそう言う。
「あなたの事情なんて関係ないわ」
 スッとマリアさんは杖を構える。戦闘態勢だ。
 狼男がこちらへ向ける目を一瞬細めた気がした。
 

「今度はこれをくらいなさ……」
「グレッグ」
 マリアさんが呪文を唱えようとした瞬間、狼男の後ろからしわがれた声が聞こえた。
 狼男はそれに驚いたのか目を見開き、ゆっくりとその声の主の方へ向いた。
「グレッグ……どうした、そんな大声を出して」
「……ボス」
 のしのしと俺たちに近づいてきたそいつは、緑色をしたしわくちゃの肉の塊でとても気色が悪い姿をしている。
 この緑肉は狼男をグレッグと呼んでいる。だとしたらこの狼男の名前はグレッグというのだろう。
 グレッグは俺たちの方に目線を向けた後、耳を掻いて下を向いた。

357 :STORY.5 戦闘 -生か死か- ◆aPqItC/JYI :2007/05/23(水) 22:33:22 ID:M221zl7u0
「ん? グレッグ、こいつらは旅人か?」
 緑肉は俺たちに気づき、そのたぷんとした肉に囲まれた目玉をギョロリと動かす。死んだ魚のような濁った目玉だ。
「そうか、お前たちが迷い込んだ旅人だな? フェフェフェ、そちらから出向くとは……実に好都合。手間が省けたわ」
 なんて耳障りな笑い声だ。
 顔をしかめていると、マリアさんが緑肉を睨んで言った。
「もしかしてあなたたち、迷い込んだ人たちを……?」
「フェッ、お前たちのような旅人はなかなか良い魔力を持っているのでな……よい栄養になるわ」
「っ!」
 こいつら、旅人を食べて……! なんてやつらだ!
「……なら、ここであなたたちを始末しておかなきゃ、犠牲者は次々と出るって訳ね」
 マリアさんが一歩踏み出す。その声音は淡々としているが、怒気が含まれており威圧感がある。
 それを馬鹿にしたようにふふんと緑肉は鼻息を噴き、手に持っていた杖を振る。
 一方グレッグは動かず、このやりとりを見つめているだけだ。俺も見つめているだけだが。
「お前に我らが殺せるか? 小娘」
「もちろんよ! ギラ!」
 先制攻撃! マリアさんの両手から発された炎は帯状になり緑肉へと向かっていく。
 俺は戦闘の邪魔にならないよう脇に離れる。戦力にならなくてすみませんね! ふんだ!
「ギラか……甘いわ!」
 緑肉はしたり顔(肉で表情はよく読めないが多分)でマリアさんを見つめ、杖を振った。
 すると炎は風に巻かれたように一瞬でかき消された。
 嘘だろ、呪文が消されるなんて!
「なっ!?」
 マリアさんも今の光景が信じられないという表情をしている。
 すると緑肉は俺の方を見てからグレッグの方を見やり、手を振ってなにか合図をした。
 その合図を受けたグレッグは、指を口に当て口笛を吹いた。ピィーというその口笛独特の音は森の中に響いていった。
「これでいいですかい、ボス」
「……なにをしたの?」
「なあに、ちょっとした余興よ」

358 :STORY.5 戦闘 -生か死か- ◆aPqItC/JYI :2007/05/23(水) 22:34:28 ID:M221zl7u0
 余裕といった表情(多分)で俺たちを見つめる緑肉。くそ、馬鹿にしやがって。
「よくわからないけど、まあいいわ……くらいなさい! ヒャド!」
 杖から出たキラキラが緑肉の方へと向かう。緑肉はその場から動く気配がない。やった、命中する!
 しかしキラキラは緑肉との間に突然飛び込んできた影に当たった。
 そいつはグレッグによく似た狼男だった。その狼男は両腕が氷に包まれたまま緑肉の横に立った。
「おお、来たか」
 緑肉は手にしていた杖をカツンと地面に一打した。
 するとマリアさんの周囲に狼男たちが出現した。数はグレッグを入れて6匹。
 マリアさんのところへ行こうと足を出した時、背後から羽交い締めにされてしまった。
「アレフ!」
 しまったと思ってももう遅く、俺はグレッグに捕らわれてしまった。
 凄い力だ、片手で押さえられているのに苦しい。潰れてしまいそうだ。
「くっ、卑怯者!」
「フェッ、なんとでも言うがいい……食料よ」
 噛みつくように声をあげるマリアさん。しかし緑肉は勝ち誇ったように高笑いをあげる。
 マリアさんの周りには5匹の狼男がいる。危ない!
 グレッグの手を引き剥がそうともがくが、手応えがない。逆に力を入れられて押さえつけられる。
「大人しくしてな、坊や」
 おまっ、坊やって呼ぶな! そう言おうとしても声が出ない。
「……だから、早く逃げなって言ったのによ」
 グレッグはそう小さな声でボソリと俺の耳元で呟いた。……グレッグ?
 ふと狼の鳴き声が聞こえてきた。俺はハッと顔を上げ、声のした方へ意識をやった。
 狼男たちが剣を抜き、マリアさんに近寄っていく。緑肉は祭壇の上の方で高みの見物を決め込んでいるようだ。

359 :STORY.5 戦闘 -生か死か- ◆aPqItC/JYI :2007/05/23(水) 22:35:27 ID:M221zl7u0
「っ……ギラ!」
 マリアさんはギラを放つ。炎は大きくうねり狼男たちを包み込んだ。
 しかし火力が弱かったのか、炎は狼男たちの服を一部焼くだけだった。
 俺はグレッグの脇腹にエルボーを喰らわした。何度も打ったが、角度が悪いらしく力を込めて打つことができない。
 野郎! このままじゃマリアさんが、マリアさんが! くそッ! 放せッ! 放せよッ!
「この……っ、は!」
 もう一度呪文を唱えようとマリアさんが杖を構えた瞬間、背後からの剣撃が降り注いだ。
 そしてそのまま崩れるように地面へと倒れていく。その光景がまるでスローモーションのように感じる。
 背中から流れ出る血が白いローブを真っ赤に染め上げた。

 ――ドクン

 その光景を目にした刹那、俺の中で”なにか”が動き出した。

360 :STORY.5 戦闘 -生か死か- ◆aPqItC/JYI :2007/05/23(水) 22:37:45 ID:M221zl7u0
投下は終了です。
今回はさるの邪魔が無くてよかったです。

>>344
まとめ乙です!
いつもまとめサイトには色々とお世話になってます。
>>346
携帯まとめ乙です!GJ!
>>353
サスケ可愛いよサスケ(*´∀`*)

361 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/24(木) 18:12:00 ID:9KRULlPFO
(´・ω・`)   n
⌒`γ´⌒`ヽ( E)
( .人 .人 γ ノ
ミ(こノこノ `ー´
)にノこ(

362 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/24(木) 20:52:26 ID:v1K+2esBO
>>360さん乙!いいところで区切りやがって(笑)wktkで待っている

363 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/26(土) 19:09:30 ID:ryChdz9RO
保守

364 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 00:59:19 ID:Ibx7AMqc0
久しぶりに来たが、4の人の完結してたんだな…本当に遅ればせながら面白いSSをありがとう、そしてお疲れ様です。
あれ、最後に主人公はどうなったんだ?死んじゃったのか?

365 :俺王 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/27(日) 01:26:20 ID:/bh2DbrV0
前回までのあらすじ>>319-323

「あああああああああ! そうだよ、銅の剣はスーファミじゃねえか!」

 そんなわけでこんにちは。俺です。
 俺は今、ガライの町に来ています。
 いきなりで申し訳ありませんが、とんでもない勘違いをしていました。
 ガライの町にある鍵を使って入る建物内。そこに宝箱が三つあるのは皆さんご存知のことと思います。
 約600G、銅の剣、たいまつが入ってると思って来たわけですが…… S F C 版 と 勘 違 い 。
 中には10G、薬草、たいまつの3つ。……鍵一個と引き換えと考えるとどう考えても損だよなあ。
 仕方ないのでさっさと建物を出る。
 唖然としている宝箱の持ち主らしき親父はスルー。
 私の宝箱が……と呟いてるのは気のせい気のせい。

 この建物内に入る=ガライの墓で銀の竪琴を取りに行く、なんだけど今の俺は無理。
 棍棒と皮の服装備の俺に過度な期待はしないように。

 ともあれ、目的の一つは果たした。
 残る目的はある剣士の捜索。

「……って簡単に見つかったよ」
 武器屋の隣に、目的の剣士はいた。
 にしても、何と声をかけたらいいのか。
 すいません、ちょっとお時間よろしいですか。……これじゃキャッチだな。
 こんにちは! 竜王を斃しに行く途中なんですけど、どうやって斃せばいいのか教えてくださいm(_ _)m
 ……どこの厨だ。
 調べたけどわかりませんでした。

366 :特攻の俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/27(日) 01:27:05 ID:/bh2DbrV0
「俺に何か用か?」
「うぉう! 脅かすな!!」
 どう声をかけるべきか俺が迷っていたら剣士から声をかけてくれました。

367 :特攻の俺 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/27(日) 01:27:51 ID:/bh2DbrV0
「ええと……人違いだったら申し訳ない、みやおうさん?」
「いかにも。俺はみやおうだが――」
 ファミコン神拳110番創成期の一人、ミヤ王。
 平成生まれのお子様達にはわからないだろう。詳しくはググれ。

「ワケあってあんたを探してた」
「俺を? 何のためにだ?」
「竜王を斃すために、あんたら――ゆうてい、みやおう、キムこうの力を貸して欲しい」
「なにい?」
「俺の仲間になってくれ」
 ファミコン神拳110番のメンバーである堀井雄二、宮岡寛はドラクエの製作に関わっていた。
 彼らがドラクエに自己を投影させたのかはわからない。
 十中八九お遊びだろうが。
 ともあれ、ドラクエ製作陣が仲間に加えておいて損はない。たとえ別物であってもだ。

「冗談ではないようだな。……話を聞かせてもらおうか」

 ・俺が異世界から来たこと。
 ・竜王を斃すことしか俺が元の世界に戻る可能性がないこと。
 ・俺の世界ではこの世界は創作物であること。

 ミヤ王に語ったことを今北産業用にまとめておく。
 創作物と表現したのはこの世界ではゲーム云々で説明するよりも手っ取り早いと判断してのことだ。
 ゲームとはなんだと聞かれても困るしな。

「嘘ではないようだな」
 黙って俺の話を聞き終えたミヤ王は、じっくりと考え込んでから口を開いた。
『私は異世界から来た人間です、元の世界に帰るには金正日を斃すしか方法はありません。一緒に北朝鮮を攻めましょう』
 なんて言われたら正気を疑うだろ?
 誰だってそーなる。俺もそーなる。
 しかし、ミヤ王は信じてくれたようだ。
 流石はファミコン神拳110番。

368 :俺王 ◆yeTK1cdmjo :2007/05/27(日) 01:28:47 ID:/bh2DbrV0
「ゆうていとキムこうの居場所も知っていると言ったな」
「ああ。ゆうていはマイラ、キムこうはリムルダールにいる」
「間違いはないな?」
 真面目な顔で聞くミヤ王に頷いてみせる。
 ミヤ王がガライの町にいたように他の2人もそれぞれの町にいるはずだ。……確証はないけど。

「竜王を斃す斃さないは俺一人では決められん。二人と合流してからになるが……」
「……ま、リムルダールまでの仲間ってことでもいいさ」
 ここにいる「みやおう」とファミコン神拳の「ミヤ王」は別人。
 だが、現実のミヤ王をモチーフとしている以上、決して見捨てるはずがない。
 3人揃った時は竜王打倒に力を貸してくれるはずだ。

「こっちは実戦慣れしてないんで色々と迷惑かけると思うがよろしく頼む」
 そう言うと、ミヤ王は男らしい笑みを浮かべて、気にするなと言ってくれた。
 いい奴だ。
 ミヤ王になら掘られてもいい。
 実際にそうなったら全力で貞操を守るが。

「マイラにゆうていがいるんだったな」
「ああ。明日、マイラを目指そう」
「今からでもかまわないぞ」
「俺がかまうんだよ。ラダトームから全力疾走はしんどいわ」

 ともあれ、こうしてミヤ王が仲間になった。

ミヤ王のステータス
攻撃力:あたたたっ
防御力:あたっ
素早さ:あたたっ

369 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 01:33:33 ID:cwiUr2oBO
支援します

370 : ◆yeTK1cdmjo :2007/05/27(日) 01:34:48 ID:/bh2DbrV0
投下終了ですが…あああ、どうしてこうミスが多いんだ。
もう自分が嫌になる。
俺なんてハッサンに掘られちゃえばいいんだ。

というわけで訂正です
>>365-366
二つで一つのレスとして読んでください。
>>366-367
×特攻の俺
○俺王



>>344-345
お世話になってます。
今回も本当すいません。

>>346
乙であります。
出先で読めるのはありがたいです。

371 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 02:05:26 ID:IzksAbqi0

オサーンの俺にはググルらなくとも全てが手に取るように分かるw

372 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 08:43:18 ID:uKDoWz5E0
ファミコン神拳的パラメータ表示吹いたw

373 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 12:46:56 ID:1O1uChZSO
分からない俺は間違いなくゆとり。ともあれ乙

374 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 15:00:59 ID:+EasbWRT0
乙です

メタルサーガ鋼の季節をプレイして
ミヤ王は過去の人なんだなぁと寂しく思った…

375 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/28(月) 19:58:16 ID:rkQPRYtyO
まともサイト読み返したら、隙間風氏の続きが気になって仕方ない
あのぶっ飛びっぷりがたまらんW

376 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/30(水) 02:35:08 ID:0rKudwBk0
hossyu

377 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/30(水) 20:09:08 ID:LmwZfsfmO
スレ違いな話しになっちゃうけど
>>341 のバトロア面白いね!個人的にはドラクエ5の子ども達とバッツの絡みが良かった!
あれはリレー?このスレもリレーの話し出てましたが職人さん頑張って!


378 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/30(水) 23:20:20 ID:nBRISody0
田中と鈴木はどうなった!?

379 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/31(木) 16:45:50 ID:KSoMkPaWO


380 :STORY.6 雄叫びをあげて ◆aPqItC/JYI :2007/05/31(木) 22:13:03 ID:3/VUBAzF0
「うあああああああ!!」
 アレフは突然大きな叫び声をあげた。天をつんざく程の大きな叫び。
 その叫びは今まで己を捕らえていたグレッグの腕をほどき、マリアににじり寄る狼男たちの歩みを止めた。
「何事だグレッグ!」
 緑肉――幻術師は慌てた様子で部下の名を呼ぶ。
 その方向には部下とその場にうずくまる少年の姿があった。
 両肩を抱き、震え、その目はどこか虚を見つめている。

(……俺は、俺は……マリアさんを守れなかった……マリアさんが倒れたのは、俺が弱いからだ!)
 アレフは心の中で己に叱咤を浴びせかける。
(さっきの俺はただ逃げ回ってただけじゃないか! マリアさんを守ろうって! 強くなろうって! そう誓ったじゃないか!)
 肩を抱く腕に力が入る。爪が肌を圧迫し、血が滲んでくる。
(神様だって、俺に力をくれた!)
 一瞬思考が止まる。
 アレフは気づいた。自分にはまだマリアを守れる力があるということに。
(……力……そうだ、俺には、あるんだ……あの呪文が……)
 肩から手を放し、ゆっくり立ち上がる。
 数度瞬きをする。すると先程まで虚を見つめていたその目は元の生気ある輝きを取り戻した。
 幻術師は先程とは打って変わった様子のアレフを怪しんだ。
「グレーッグ!」
 幻術師が叫ぶ。その声により正気を取り戻したグレッグは、アレフをもう一度捕らえるため腕を伸ばした。
「チッ!」
 アレフは向かってくるグレッグの方へとその体を向け、真っ直ぐ彼を見つめた。口を引き締める。
(……神様が俺にくれた力、それは――)

「ドラゴラム!」

381 :STORY.6 雄叫びをあげて ◆aPqItC/JYI :2007/05/31(木) 22:14:22 ID:3/VUBAzF0

 グレッグの腕がアレフを捕らえた瞬間、彼から放たれる光によってグレッグは弾き飛ばされた。
 光、そして大気はそのままアレフの周りを囲むように渦巻く。
 ごうと渦巻くそれは、まるで昇竜のように天高くへと向かっているように見えた。
「ぐっ!」
「な、なにが起きた!?」
 幻術師は言い知れぬ恐怖にその肉に包まれた顔を引きつらせた。
 狼男たちもアレフから感じる威圧感に身を強張らせ、その場を動けないでいる。
(……ア、レフ……)
 マリアは薄れゆく意識の中、アレフを見た。
 そこには以前の力ない少年の姿ではなく、強大な竜の姿があった。


「なんだこいつはッ! お前たち、かかれ、かかれッ!」
 突然目の前に現れたドラゴンに肝を潰し、幻術師は慌てて部下に攻撃するよう命令した。
 しかし狼男たちは飛びかからない。ドラゴンの持つ力に本能から怯えているからだ。
 緑色の身体と金の瞳を持ったドラゴン――アレフは、マリアの元へと向かった。
 ズシン、と一歩進む度に大気が揺れる。
『これがドラゴラム……竜に変身する呪文なのか……』
 アレフは力に飲まれることもなく、はっきりとした意識を持っていた。
「グォォオオオオオ!!」
 天に向かってアレフは雄叫びをあげた。己に活を入れるよう、勇気を出すように。
 すると狼男たちは我を取り戻したのか、一目散に森の方へと逃げ出していく。
 だがアレフはそれを逃がさない。
 ズンと一歩踏み出し大きく息を吸い込む。周囲の空気が震えている。
 そして狼男たちに狙いを定め、勢いよく炎を吐いた。その炎は大きな波となり狼男たちに襲いかかる。
「うわああああ!!」
「熱い! 熱いィッ!」
「助けてくれぇえ!」
 ごうごうと音とともに狼男たちは炎にまかれ、その熱さと痛みにのたうち回った。
 肉の焼ける臭いがする。狼男たちの身体がジュウと焼け、ただれていく。

382 :STORY.6 雄叫びをあげて ◆aPqItC/JYI :2007/05/31(木) 22:15:35 ID:3/VUBAzF0
『マリアさんを傷つけたお前たちを、絶対に許さない!』
 アレフはもう一度炎を吐いた。先程の炎よりも火力を上げた、灼熱の炎を。
 空を燃やすほどの炎。それはもがき苦しむ狼男たちを飲み込み、黒い炭へと変えた。
「ヒィッ!」
 一部始終を見ていた妖術師は、そのあまりにも圧倒的な力の差におののき逃げ腰になる。
『……っ』
 消し炭にした狼男たちの残骸を見ると、ちくりと胸が痛くなる。
 モンスターなんだ、モンスターだから。そう己に言い聞かし、アレフは標的を変えた。
 マリアを守るよう背にし、妖術師へとその巨体を向ける。金色に変化した瞳には既に妖術師しか映ってない。
「くっ、おのれ……おのれぇええッ!!」
 逃げたいと思う本能と逃げてたまるかというプライドの間で揺らぐ。
 足下の小石を蹴り上げ地団駄を踏む。その顔は今までよりも更に醜悪に歪んでいた。
「マヌーサァ!」
 惑わしの霧が杖の先から発生しアレフを包むが、アレフが大きく首を振ると霧はたちまちに散開した。
 その間もアレフの目は妖術師から離れない。金の視線は妖術師を貫く。
 アレフは後ろ足で立ち上がり、ブゥンと尻尾を降って妖術師の乗っている祭壇に衝撃を与えた。
 そのあまりもの揺れに、幻術師はその場を動くことができなかった。
 幾度目かには大きな亀裂が入り、轟音とともに祭壇は大小様々な破片となって崩れていった。
「なっ、ぎゃぁぁあああ!!」
 足場を亡くした妖術師は重力に逆らえるべくもなく地面へと落下していった。
 ズン、ドグチァ。落ちた上から祭壇の破片が降り注ぎ、妖術師は破片の下敷きになった。
 重なった石の間から緑色の体液が流れ出ていく。妖術師はそのまま息絶えた。

383 :STORY.6 雄叫びをあげて ◆aPqItC/JYI :2007/05/31(木) 22:16:30 ID:3/VUBAzF0


「グルルルル……」
 地に倒れ伏しているマリアの前で、アレフは呪文も解かずに為す術もなく立ちつくしている。
 いや、”解かず”ではなく”解けない”の方が正しいだろう。力が不安定らしく、変身を解くことができないのだ。
 敵を倒したのはいいが、アレフは回復呪文を持っていない。
 道具袋の中にあった薬草を使っても治療が追いつかない。
 今はまだマリアに息があるからいいが、このままでは死んでしまう。
『どうしよう、マリアさんが……このままじゃ……!』
 マリアの前で半泣きになっていると、近づいてくる影がひとつやってきた。
 その気配に気づきアレフはそちらへ目を向ける。するとそこにはグレッグの姿があった。
 腕の氷は既に溶けており、自由に動いている。
『グレッグ! 生きてたのか』
 アレフは身構えた。いつでも攻撃に転じることができるよう、呼吸を整える。
 しかし当のグレッグには攻撃する気はないらしい。両手を挙げ降参のポーズで近づいてきたのだ。
「もうおたくらに危害を加える気はねーよ、安心しな」
 出会ったときと変わらない軽い口調で語りかける。だがアレフは気を許さない。
 こいつはマリアさんを襲った狼男たちと同じ種族なのだ。モンスターなのだ。
「この嬢ちゃン、微かに生きてはいるが、このままじゃあちとアブねえな。血が流れすぎてる」
 倒れるマリアの前にひざまずき、状態を確認する。腕を掴み脈をとると、とてもゆっくりとしたリズムだった。
 アレフはとたんに狼狽えだした。どうしようどうしようどうしよう。顔を左右に揺らし落ち着きが無くなる。
「……坊や。この嬢ちゃンを助けて欲しいか?」
 アレンの目が驚きに見開かれる。「本当に?」そう言っているような目だ。
 縋るような思いでアレンは頷く。もう敵であることは関係ない。マリアを助けてくれるのなら。

384 :STORY.6 雄叫びをあげて ◆aPqItC/JYI :2007/05/31(木) 22:17:33 ID:3/VUBAzF0
「グルル……」
「了解。ちょっと待ってろ」
 グレッグはマリアの手のひらを天に向け、なにやら呪文を唱えだした。
 するとぽつぽつと水滴が地面へと落ちてきた。雨だ。グレッグによって雨が召喚されたのだ。
 不思議な雨だ。身体に当たっても濡れることがない。まるで幻の雨に当たっているようだ。
 その雨の雫はマリアの背の傷に染み込んでゆき、みるみるうちに傷が塞がっていった。
 意識までは戻らないが、マリアの顔に赤みが増えていく。
『っ、マリアさん……ッ!』
 アレフはその長い鼻先をマリアに近づけ、擦り寄った。助かってよかったという想いを込めて。
「ふう……これで大丈夫だ。坊や、おたくはどう……」
 治療を終えたグレッグはアレフの方へ顔をやった。
 しかし当のアレフはいつの間にか元の姿に戻っており、その場で気絶していたのだ。
 安心して気が抜けてしまったのだろう。その顔には安堵の表情を浮かべていた。
「……ここまで無防備でいいのかねぇ」
 その光景を見て、グレッグは呆れたように耳を掻き苦笑する。
 静かになった森にアレフとマリア、ふたりの寝息が響いた。

385 : ◆aPqItC/JYI :2007/05/31(木) 22:20:28 ID:3/VUBAzF0
投下終了です。
今回はアレフの一人称じゃなくて神視点で話を書きました。

っていうか、途中「アレフ」じゃなくて「アレン」になってる場所があります。
アレンじゃあ2の主人公の名前だよ……
まとめ様、保管庫に入れるときは直してください。すみません。orz

386 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 00:03:07 ID:eE0i5KeJ0
投下乙です。
グレッグ、なんかいいですね。
早く逃げないと・・・っていうセリフも幻術師が出てくる前に逃がしてあげるつもりだったんでしょうね。
考えてみれば、グレッグさんの言い分も聞かずにこちらから一方的に攻撃してしまったような。

それとドラゴラム、圧倒的ですね。
読んでてもすごい迫力でした。

387 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 05:45:33 ID:pjc7SiI50
ルビスが出た辺りからふってわいたいやな予感・・・
厨房好みの展開んになってきましたよっと。普通切り札のはずだろ登場早えなオイ。
どうせこれから勇者呪文とか無節操に覚えンだろ。職の概念ないVが下敷きなのはそのためか。
なんでこうホイホイ力をテキトウに力をもらって手軽に強くなるんだろ。レベル幾つなんだよ頭の。
他力本願だな独力でなんとかしようとはおもわんのか、思いつかんのか、おもしろいか。
挙句にわけのわからんオリキャラにオリ呪文かよアホか?
これがゲーム脳かね?わけわかんね。

388 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 09:49:14 ID:+G12BdZs0
>>387
>>69

389 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 11:10:56 ID:+XKeG7ksO
というか一人で勝手に続きを予想してそれにケチつけるなんてスゲーな
投下されたものに対する意見だけならまだ許せるけど

390 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 15:34:14 ID:dZzRIA+uO
>>387これがゲーム脳かね?(笑)

391 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 16:04:55 ID:vdlhumSi0
みんな落ち着くんだ!
>>387はきっと朝早すぎて寝ぼけながらレスしたに違いない

392 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 19:42:13 ID:S877CBGR0
ゲーム脳の恐怖・・・・。
Oh!、Noぉぉぉぉぉ〜〜〜〜っ!!!

393 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 20:10:30 ID:+G12BdZs0
実は意外と、読み流しおざなり感想じゃなさげな濃さに思うが。
いや、そうでもないか。

さて、またまったり新作投下を待つとしよう。

394 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 23:17:42 ID:2ufAussd0
ドリーム少s…いや何でもない

395 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 23:58:58 ID:oYnUYcuwO
(=ω=.)

396 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/02(土) 21:54:05 ID:EQKEosTr0


397 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/06/03(日) 22:54:58 ID:7mGjuyeu0
お疲れ様です。
携帯まとめサイトをPCまとめサイトからリンクさせていただきました。

まとめ作業の方はまだ出来ていません。
しばらくお待ちください。

398 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/04(月) 09:18:01 ID:VvIV98zV0
お久し振りです、おはようございます
かなり間が開いてしまいましたが
>>173の続きです


399 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/04(月) 09:19:45 ID:VvIV98zV0

目を開けると俺は城の外に立っていた。
予想通りだったので動揺はしなかったが、ビアンカは
不可思議そうに辺りを見回して『あら?』と呟いた。
入るときには気付かなかった、城門の内側すぐの小さな観賞用の池のほとりに、
皺だらけで頭の禿げ上がった老人が一人佇み、
俺達はその老人が焚いている小さな焚き火のそばにいた。

『おや、目が覚めたかね』
老人が俺の視線に気付き、しわがれた声で言う。

傷んだはずの腕の痛みは、すっかりと消えてなくなっていた。
触れてみるとすべすべときれいな子供の肌。
疲労していた体も、心も。驚くほどきれいに元に戻っている。
恐怖さえ、僅かな休憩でなかった物のように俺の中から消えている。
そのほとんど気分のいい感覚に、逆に俺は少し気味悪さを覚えた。

寝てる間に変な薬でも飲まされてるんじゃないか。
そんな薬がこの世界にあるのかも判らないけれど。
老人は伺うように俺とビアンカを交互に見、
『この城には幽霊が出るそうじゃから、気をつけなされよ』
言ってほっほっほ、と笑った。

400 : ◆u9VgpDS6fg :2007/06/04(月) 09:21:03 ID:VvIV98zV0

『自分のほうが幽霊みたいよね』
とビアンカが俺の耳元で囁いて、俺は思わず笑いそうになった。
ここを後数歩離れた時の、ビアンカの反応が楽しみだ。

期待通りのビアンカの反応をひとしきり(勿論心の中で)笑った後、
俺達はもう一度城に足を踏み入れた。今度は簡単だった。
王の力か、あれだけ固く閉ざされていた正面扉は、驚くほどあっさりとその両の手を解いた。
広間を抜けて真っ直ぐに、俺達は玉座の間を目指した。

出くわすモンスターは敵ではなかった。
呪文を唱える隙も与えず叩き落す。
例え呪文を食らったとしても、覚悟をしていればそれはもう恐ろしいものではなかった。
取り乱すこともなかった。
あの僅かな眠りの中で。何が自分を変えたのか、自分にも測りかねていた。

暗闇に松明の明かりを放って、とうとう俺とビアンカは玉座の間に立っていた。
真っ赤な絨毯と黄金色に装飾された玉座の中央に、
ゴーストの親玉はゆったりと深く腰掛け、こちらを見て微笑んだ。
『ほう・・・、ここまで来るとは。大した餓鬼共だ』
ちらちらと揺れる松明の炎が、浅黒いボスの表情をより不気味に演出している気がした。
つり上がった細い両の目を更に細め、舐めるようにこちらの表情を伺っているのが判る。
時折、暗い色のローブからはみ出した湿った枯れ枝のような細い指で、
持て余すように金の肘掛をかちりと鳴らす。

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READ.CGI - 0ch+ BBS 0.7.4 20131106
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