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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら13泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/29(火) 23:42:43 ID:m1wsBb0V0
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角)+ 最後に投稿したレス番号(半角数字)」)をつけると読み易くなります。

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら12泊目
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1198792331/

PC版まとめ「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

携帯版まとめ「DQ宿スレ@Mobile」
ttp://dq.first-create.com/dqinn/

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/40919/

ファイルアップローダー
ttp://www.uploader.jp/home/ifdqstory/

お絵かき掲示板
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/

301 :Stage.17 [9] ◆IFDQ/RcGKI :2008/09/08(月) 13:01:01 ID:OOboCCOz0

「なんだか貴様はアルセッドを知らぬような口ぶりだな。以前、余に『アルセッドは自分
にとっても大切な存在だ』と言い切ったではないか」
 王様がややキツイ口調で聞きました。タツミ様はそれにも困った顔になりました。
「それは間違いありませんが……。当時は彼がアルスという名で、しかも僕とそっくりだ
なんて知りもしませんでしたけど」
「知らないけれど大切な存在? タツミ殿、どういうことですかな?」
 ロダムが首をひねります。
「えーと、なんて言えばいいのかな。僕の世界では、彼の冒険譚が絵本みたいな形で残さ
れているんだよ。この世界にも古い伝説や神話を描いた子供向けの絵本はあるだろ? 僕
もそういうのを読んで育ったというか……だから、勇者アルスは僕にとって憧れの英雄と
いうか、なんかそんな感じなんだ」
「すでに伝説になってるって? じゃあタツミさんトコの世界って、未来の世界なんスか?
これからどうなるかも知ってるとか」
 興味津々で身を乗り出すサミエルに、タツミ様は微笑みました。
「もしかしたらそうかもね。僕が知ってる話では、勇者は魔王を倒して世界を平和にする
よ。登場人物の名前はハッキリしないんだけど、戦士や僧侶や魔法使いが仲間だったから、
きっと君たちのことなんじゃないかな?」
 おっしゃぁ〜!と嬉しそうにガッツポーズをするサミエルを、王様は呆れたように見て
います。
「まあそれはわかった。で、アルセッドのことだが……まさかと思いたいが、自らの意思
で貴様の世界に行ったのか?」
 王様がそう問いかけると、タツミ様は申し訳なさそうに首を振りました。
「だと思います。でも、なんだかつらそうに見えました。皆さんからこんなに頼りにされ
て、心配されてるんですから、きっとよほどの事情があったんじゃないかな……」
  

 その後もいくつか質問が出ましたが、タツミ様にもはっきりしないことばかりでした。 
「貴様をアルセッドの後継と認めよう。余に報告を怠らぬように」
 最後に王様から正式な許可が下りました。わけもわからず勇者を押しつけられた彼の苦
労が、王様にも察していただけたのでしょう。
 そこでひとまず、私たちは解散したのでした。

302 :Stage.17 [10] ◆IFDQ/RcGKI :2008/09/08(月) 13:22:06 ID:OOboCCOz0

 【ロダム=J=W=シャンメールの場合】

 アリアハン城を出た我々は、その足でルイーダの店に向かいました。タツミ殿が、すぐ
にもレイ殿の歓迎パーティーをしたいと言い出したのです。
「僕のせいで変なことになっちゃったし。……それと、なんと言いますか、このままじゃ
サヤさんところに顔を出しづらいし。もちろん、落ち着いたらちゃんと行くけどさ」
 勢いをつけるために先に一杯ひっかけたい、というところでしょうか。気持ちはわから
ないでもありませんが、そこはまずサヤ殿に謝りに帰る方が先では――。
 と思ったのですが、
「ねえねえ、ダメかな〜?」
 タツミ殿の「お ね が い♪ ウルウル瞳攻撃」にレイ殿とサミエルがあっという間
に陥落したため、多数決で即決されました。


 その後、ルイーダの店の2階の一室を借り切って、大いに盛り上がりました。

 2時間くらい盛り上がったでしょうか。
 そろそろドンチャン騒ぎも一通り落ち着いた頃、私はふと、店内にタツミ殿の姿がない
ことに気が付きました。
 彼はあれでなかなかの酒豪で、少々のお酒では参りませんが、酔って絡んできたレイ殿
をあしらったり、それでまたいきり立ったエリスをなだめたり、調子に乗って脱ぎだした
サミエルを酒瓶でドついておとなしくさせたりと忙しく立ち回っていたので、息抜きをし
に行ったのかもしれません。

 私もそっと席を離れ、外へ出ました。少々気になっていたことがあり、この機会にタツ
ミ殿に確かめられればと思ったのです。

 彼は店の横を流れる城の外堀のふちに座っていました。すっかりお気に入りとなったス
ライムのヘニョを抱き、空中に投げ出した足をまるで子供のようにぶらぶらさせながら、
水面に映った月を見つめています。

303 :Stage.17 [11] ◆IFDQ/RcGKI :2008/09/08(月) 13:26:55 ID:OOboCCOz0

「疲れましたか」
 私が声をかけると、気配には気づいていたのでしょう、彼は微笑んで片手をあげました。
拒む様子はなく、隣に立った私に彼の方から話かけてきました。
「ごめんねロダム、嫌な思いをさせたね」
「それは、王様との約束のことですか? それともレイ殿のことですか?」
 私の言葉に、彼はあう〜っと情けない声を出しました。

「どっちもだけど――。レイさんのアレさ、やっぱり本気だよね。年下をからかってると
かじゃないよね」
「まあ冗談ではなさそうですな。私も女性の気持ちはよくわかりませんが、少なくともレ
イ殿の人となりからして、ふざけてあのような言動はなさらないでしょう」
「だよねー……。いや確かにレイさんの戦力は欲しかったから、ちょっとは『仕掛け』た
さ。でも別に女心をもてあそぶとか、そんなつもりはまったく無かったんだよ」
 水面の月から上空の月へと仰ぎ見て、またうあ〜っとうなっています。
 私はわざと澄ました顔を作って言いました。
「ほほぉ。わざわざ私に『自分が血に弱いことはレイさんに決して話さないで』と念を押
してから、いかにも話してくれとばかりにサミエルと連れ立って武器屋に行ったり。洞窟
内でも、我々にもまだ話していない悩みをレイ殿だけにはこっそり打ち明けたとか、いや
はや勇者様もなかなかやり手だなと感心しておりましたが?」
 そもそも、普段のタツミ殿はご自分がアルス殿の偽者だとバレないよう第三者への態度
にはかなり気を使っています。しかしレイ殿に限っては妙に適当だったり、わざと弱みを
見せていたりところが、ずっと気になっていたのです。

「だーからー! 『なんか頼りない後輩君をちょっと助けてやろうか』なんて思ってくれ
ればいいなぁ、程度だったの! 王様に実力を計られてる状況でこっちから助力を仰ぐわ
けにもいかないし、でもこんなチャンスは逃したくなかったし。だいたいあんなスゴイ人
が僕みたいなガキに惚れるとか、あり得ないだろ? 普通は思わないってば!」

 レイ殿のことは本当に予想外だったのでしょう。いつもどこか冷静に構えている彼が、
すっかり弱りきった顔で言い訳しています。

304 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/08(月) 13:28:04 ID:wsWjFWbj0
リアルタイム遭遇きたーー、
支援

305 :Stage.17 [12] ◆IFDQ/RcGKI :2008/09/08(月) 13:35:55 ID:OOboCCOz0

 なんだか私は、ようやく年相応の勇者様を見られたような気がして、ついつい笑顔になっ
てしまいました。
「ではそういうことにしておきましょう。なに、レイ殿も立派な大人だ、自分の恋はきち
んと自身で責任を取りますよ。あなたを悪く思ったりはしないでしょう」
「う〜……。僕ももう一回、ちゃんと謝るつもりだけどさぁ……」
「そうですね。――まあ、ひとまずレイ殿のことはそれとして」
 それよりも問題は。
 さきほどから、彼がなんとか話題を逸らそうとしている、もう一つの方です。

「……なぜ、我々に黙って国王とあのような約束をなさったんです。しかも、わざと国王
を煽ったでしょう? あなたならもっと穏便に済ませることもできたはずです」
 ヘニョをなぜていたタツミ殿の手が止まりました。
「どうしてですか。理由があるのでしょう?」

 私はなるべく声に棘がないように問いを重ねました。
 アリアハン城でのさっきの話も、私は彼がすべてを語ったとは思っていません。まだな
にか隠しているのは間違いありません。
 ですが、タツミ殿はそこらの15、6歳の子供とは訳が違う。彼が自分の身が可愛くて嘘
や隠し事をするような子ではないことは、これまでの旅でわかっています。この少年がな
にを一人で抱え込んでいるのか、少しでもその重荷を分け持ってあげたいと、そう思うの
です。

「話してはくれませんか? そんなに、我々が信用できませんか」
 スッと月が雲に隠れ、当たりが暗くなりました。

306 :Stage.17 [13] ◆IFDQ/RcGKI :2008/09/08(月) 13:38:07 ID:OOboCCOz0





 
「……このゲームは本当に良くできてるよ」





 ようやく、押し殺したような声が彼の口から漏れました。
「ゲーム?」
 聞き返した私に、彼は独り言のように続けます。  
「本気でクリアを目指すなら、どうしたって心の通い合った仲間が必要になる。利害関係
だけのパーティでエンディングに到達できるほど甘くはなさそうだもんね。でもそうして
絆を深めて、一緒に困難を乗り越えて、その先の最後の選択まで到達できた時、果たして
それを全部捨ててまで『あっち』を選べるものなのかな?」

 月が雲の陰から再び姿を現しました。
 タツミ殿が私を見上げます。そして。

「帰りたくないって……思っちゃうのが、普通じゃないのかな?」


 それは、ぐっとなにかに耐えているような。
 私たちには入り込めない深いところで、ひとり孤独な戦いを強いられているような。
 そんな胸が痛くなるような、笑顔でした。

307 :Stage.17 [14] ◆IFDQ/RcGKI :2008/09/08(月) 13:40:01 ID:OOboCCOz0

「ここらでちょっと痛い目に遭わないとダメかなぁ、なんてバカなこと考えちゃったんだ。
本当にごめんね、心配かけて。もうあんな無茶はしないよ」
 なんと言っていいのかわからず立ちつくしている私に、タツミ殿はもう、いつもの飄々
とした調子に戻っていました。「寒くなってきたネー」なんて腕をさすりながら、店に向
かいます。
 その後ろ姿が今にもフッと消えてしまいそうな気がして、私も急いで後を追いました。



 彼の言ったことは、私にはよく理解できません。
 ただ、「ゲーム」というからには勝敗がある。
 そしてその負けというのが、先ほどの言葉の通り、「この世界を好きになり、元の世界
に帰りたくなくなってしまうこと」――なのであれば。

 私たちがこうしていっしょに泣いたり笑ったり、心を通い合わせて旅をしていることの
すべてが、彼にとっては重荷にしかならないと、そういうことになるのでしょうか。

 それはひどく悲しい話だと……私は思いました。

308 :Stage.17 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2008/09/08(月) 13:45:02 ID:OOboCCOz0
本日はここまでです。

お久しぶりです。今回はあまり話が進まなくてすみません。
読み返してみてタツミの行動がいまいち説明不足かなぁと思いまして、
胸の内を少し打ち明けてもらいました。

309 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/08(月) 21:58:11 ID:PRC/S6sV0
>>308
久しぶり乙です。
なんていうか、深い、ですね。
ロダムの立場に立つと色々と考えさせられます。

貴方のSSは読んでていつも頭の中に映像が浮かびます。
完結までじっくりゆっくり頑張ってください。
続きを楽しみにしてます。

310 : ◆I15DZS9nBc :2008/09/09(火) 02:34:49 ID:3B9GOb7n0
すりりんぐぶれいぶはーと・第二話(1)

魔法を行使するには幾つかの手順が必要となる。
ひとつ、魔法を心に刻む。
ふたつ、脳裏に魔法を思い浮かべる。
みっつ、魔法の呪文を唱える。
魔法特性があるなら特に難しいことはない、一度心に刻み、その魔法を使えるレベルに到達すれば後は自動的に行使できるようになる。
そして脳裏に思い浮かべる、これが俺にとって一番の難関だった。
魔法基盤の存在しない世界に生まれたがために魔法を理解することが容易ではなく、ジジィには才能がないと言われながらも本気で努力した。
そうせざるをえなかった、魔法が使えないとほんとに不便すぎて困るわけで、それはつくづく身に染みていたから朝から晩まで頑張った。
ようやくそれを体得したら後は簡単、魔法の呪文なんて覚えることがない、つーか、呪文というより魔法の名前を告げるだけで良いからだ。
まあ、ある意味呪文は安全装置で、ぶっちゃければ魔法を使うと認識さえできればそれすら必要ない。
だから厄介なもので、百兵をもって魔法使いに挑んでも下手をすると魔法を使えない戦士が全滅することになる。
今、魔法を公式に教わることができるのは王家直属の魔法技師とダーマ神殿ぐらいのものだ、庶民は魔法を刻むなんてことはできない。
ダーマ神殿……無料でその人に合った適正を調べ、さらにそのための肉体改造すら行ってくれる、なんと親切な機関だろうか。
やはりそんなことはなく内情はどす黒い、体面上は職の神を祭るが、実際は諸王連合の利権争いの末に生まれたものだ。
王家にとって王国にとって、兵隊はのどから手が出るほど欲しい、さらにそれが優秀であるならなお良い。
しかし、優秀すぎるのは困るわけで、いつの間にか優秀な兵士が王になっていたんてのは目も当てられない。
だから肉体改造を行う時、従属の印を刻む、それは真実を知るもの以外には悟られていないし、王が死ねと命じれば死すらも拒否することができない。
現実とはかくも恐ろしいものなり、古代叡智の結集であるダーマだが今だかつて勇者を輩出していないのが救いか……。

311 : ◆I15DZS9nBc :2008/09/09(火) 02:35:41 ID:3B9GOb7n0
「いかんいかん、そろそろ晩飯を作らんとジジィのどやされる」

レベルの上がったジジィはあの後何度か自殺を試みたようだが今も元気で他にすることもなく魔法理論の構築に励んでいる。
いやー、あの頃は酷かったね、俺の前でジジィが自らに消滅の魔法をかけて粒子に還元されてんの。
しかもそれが復活すんだから勇者のパーティの呪いって恐ろしいは、人間が骨から内臓、筋肉に包まれていく様はほんと気持ち悪い。
もう二度と勘弁と思う俺が居るわけで、そんなジジィだが魔法そのものに対してはぞっこんラブなんで俺がほっとくとほんと一日中部屋に籠って何かしらやってるわけ。
まあパーティの一員であるから一か月ぐらい食わなくても良いわけだが、どうやらジジィは人間の一員だと思ってる節があるらしく人間っぽい生活から外れると俺に対してキレる。
俺だって人間だっつーの、と思うがそれ以前に勇者に組み込まれたからにはどうしようもない。
なんか最近吹っ切れた、というか、もう諦めた、もう人間駄目だは、俺人間じゃないもの、職業勇者じゃなくて種族勇者みたいな。
ジジィが言うには記憶の書き換えらしいが、もう良い、ここまで深層心理が侵されたらもう後戻りができない。
使命としては魔王討伐だけど、顧みれば特に脅威ってわけでもないからこのままダラダラと生活していても良い気がする。
何度か王軍の追手がちらほらと見えたけどあちら側としては不干渉らしいし。
殺せない相手なんだからしょうがない、殺せないことはないけど魔王級のバケモノでもなければ無理ってあたりが微妙。
獄中死した勇者も居なくはないが、あれは勇者としての密度が低かったんだろうなあと俺は思う。
どこぞのオルテガも下の世界で生きてるんだろうし、まあ、焦る必要もない。
このなんとも言えないバランスをいたずらにつつくのもどうかなと。
むしろバラモスを潰してその後に出てくるヤツが厄介すぎる、アイツは本気で世界を潰しにかかってくるだろうからな。
ここ二年の動向を考えると十中八九、バラモスと王家の連中の間では協定が結ばれてやがる。
あんだけ大げさに言ってやがったのに国は滅びる気配はないし、多少の人口の推移もあるが許容内だ。
逆に人口増加に歯止めをかけて良い感じに間引きしてんじゃねえかな。
農耕地は無限ではないし、上手くコントロールできるよ、この世界。
こう楽観的に考えるのはよくないが、ぶっちゃけこのまま百年経っても今まで通りだと思う。

312 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/09(火) 02:37:00 ID:3B9GOb7n0
「だが、俺のゲームクリアは脅威の除去なわけで、それまで俺はこのままなんだろうな」

真っ当な生活ができないのは素敵なまでに約束されてるし、結局エンディングは一つしか用意されていない。
これが現実が覚めてしまったら……俺は元の日本に帰ることを恐れているのか。
もはや俺%

313 : ◆I15DZS9nBc :2008/09/09(火) 02:38:33 ID:3B9GOb7n0
「だが、俺のゲームクリアは脅威の除去なわけで、それまで俺はこのままなんだろうな」

真っ当な生活ができないのは素敵なまでに約束されてるし、結局エンディングは一つしか用意されていない。
これが現実が覚めてしまったら……俺は元の日本に帰ることを恐れているのか。
もはや俺の現実はここで、いや、現代への望郷の思いが覚めたわけではない。
やり残したことはいくらでもあるが、ここに来てからあのまま時が流れているのなら俺の席はあそこにはない。
考えてみればなぜ俺がここにいるのか、これは長い夢なのかもしれない。
本当の俺はチューブに繋がれ、脳死状態……

「おーっとマズイ、またトリップしちまった、あー何すっかなー、調味料をどうにかして手に入れればレパートリーも増えるんだが」

314 : ◆I15DZS9nBc :2008/09/09(火) 02:40:28 ID:3B9GOb7n0
(2)に続く
間が空いてしまった
上げてしまってもうしわけない
書き込み失敗これで二度目、何が原因だろうか

315 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/09(火) 18:44:23 ID:9i/5FQu50
ここ二日で新作が二つも
うp乙です!!マジで面白い

316 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/09(火) 21:55:26 ID:g1l8M0bgO
久々に除いたら新作が!

楽しませていただきました乙です

317 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/10(水) 09:59:35 ID:olHLZKrlO
>>308
R様乙です!

待ちに待った新作だぜコンチクショウ!!

自分もサミサミ同様タツミに惚れ込んでるッス!深みのあるキャラで最高ッス!

今後もご自分のペースで書き進めていってください。楽しみに待っております。

318 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/12(金) 18:55:37 ID:RBcoA4hs0
ほしゅ

319 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/13(土) 09:17:49 ID:33N6kYXf0
移転ほしゅ

320 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/13(土) 09:19:03 ID:33N6kYXf0
おおやっと書き込めた

ついでに>314
たぶん「1行に書ける最大文字数」の制限にひっかかってるんじゃね?
レス番〜IDまでの長さ(全角35文字ぐらい?)を目安に改行入れてみたらどうだろ

321 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/13(土) 20:33:01 ID:SKnCBX3A0
スレの作品、いつも楽しませて貰ってます。

行数32、1行文字数255、容量2KB、名前欄は(トリ含めて)全角24(半角48)文字分、
1行目が空欄の投稿を連続2回以上

移転後も同じかは分からないけど、上の条件に引っ掛かると投稿エラーになるよ。
何かの参考になれば。

322 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/15(月) 11:06:22 ID:2wpMgue30
ほしゅ

323 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/16(火) 21:23:48 ID:sQPX0hWU0


324 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/17(水) 23:43:52 ID:TsdrJRtE0
私は夢も希望もない人間です。
何の才能もないため毎日遅くまで仕事をしなければなりません。
つまらない仕事を繰り返すだけのつまらない毎日です。
でも生きていくためには働かねばなりません。
どこかに何もしないで暮らせるところはないものなのでしょうか。

目が覚めると私はトルネコと呼ばれる男になっていました。
トルネコにはきれいな奥さんと可愛い子供がいます。
彼は商売人として武器屋というところで雇われています。
仕事は単調ですがそれまでの私からすれば考えられないような恵まれた職場環境です。
でも贅沢を言えば結婚前の恋愛というものも経験してみたかったものです。

次に目が覚めると元の世界に戻っていました。
あれは一時の夢だったのでしょうか。
私はいつものように部屋の中で何もしない日々が待っています。
いえ今日は久しぶりに古い友人と会う約束がありました。
現実世界でも夢のように何かいい出会いがあればよいのですが。

友人と会いましたが特に何もないまま終わり家に戻り就寝しました。
目が覚めるとまたトルネコになっていました。
そこで仕事を捨てて放浪の旅に出ることになりました。
労働者として経営者からから搾取されるだけの生活に耐えられなかったのです。
旅先で妙な村に迷い込みました。そこでは一人の男が彼女ができたと喜んでいます。

325 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/17(水) 23:44:53 ID:TsdrJRtE0
目が覚めるとまた元の世界です。
どうやら眠るたびにあちらの世界とこちらの世界を行き来するみたいです。
ところでこの前会った友人から女の子を紹介してもらえるということになりました。
私にもようやく春がめぐってきたようです。
それともまだ夢を見ているのでしょうか。

狐を追い払い男が正気に戻ったことでエンドールへ向かう橋が修復されました。
ボンモールの王子様の手紙をエンドールのお姫様に届けることになりました。
私の活躍で二つの国は戦争を回避することができました。
この二人は結婚することになりそうです。
どうやら春を迎えるのは私だけではないようです。

紹介されたのは思っていたよりもずっと可愛い女の子でした。
夢の中で勇気を出して冒険を始めたようにちょっと勇気を出して告白しました。
なんとこの女の子とお付き合いすることになりました。
これから現実でも楽しい日々が始まることでしょう。
もう夢を見ることはないかもしれません。

夢は見ました。夢の中で店を持つことができました。これで私も経営者です。
国王にコネクションがあるため仕事も発注してもらえました。
そのうち店を大きくして従業員を雇えるようになりたいものです。
けれども経営者と言うのは労働者の敵です。私も敵が増えて行きそうです。
気をつけることにしましょう。敵はどこに潜んでいるか分かりません。

326 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/17(水) 23:46:09 ID:TsdrJRtE0
些細なことで彼女と喧嘩してしまいました。彼女は恐ろしい言葉を口にします。
何ともおぞましいことです。夢の世界で言うところの魔王のようなものです。
奴らは平和に生活する善良な市民の生活を脅かす敵なのです。滅ぶべきなのです。
彼女は邪な存在です。性根が腐っていると言っていいでしょう。
腐ったものを放置すると害にしかなりません。どうにかしなければいけません。

仕事は順調で王さまからの依頼品を納めかなりのお金を手に入れることができました。
このお金でトンネルを掘り新たな商売の可能性を広げることにしました。
そうそう久しぶりにレイクナバへ戻った時に破邪の剣というものを手に入れました。
この武器があれば文字通り邪なものを破ることができるのです。
私はどんな邪悪なものでもうち払える力を手に入れたのです。

彼女はもう二度と邪な考えを抱くことはないでしょう。
私はそばに横たわる彼女の顔を覗き込みます。
なぜか前に見たときよりも可愛いものではないように思えました。
でも恐ろしい言葉は言いません。
今度は腐らないようにちゃんと防腐処理をしておきましょう。

私の店は順調です。奥さんが商才を発揮してくれています。
それなのに私は天空の剣を探す旅に出ることになりました。
強力な敵と戦うために力を持った人とコネクションを作る必要もあります。
でもこれは私の意志ではないような気がします。まるで何かに導かれるようです。
私は危険を冒さず簡単な仕事をして細々とした生活を送りたかった。

魔王を倒せば平和を愛する人々から賞賛されます。
でもこの世界ではそうはいかないようです。
相手が人間ならば罰せられ刑務所に入れられてしまいます。
私はそこで単調な作業を繰り返しています。
この私と馬車の中にいるだけの私、はたしてどっちが夢だったのでしょうか。

327 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/18(木) 22:29:55 ID:FYsJiqip0
>>326
うぉぉぉ!
キレイに纏まった短編お見事。
冒険の書の人っぽいな。

…でも怖かったよ。

328 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/18(木) 23:07:08 ID:bNQdEu9C0
彼女のセリフ

「みなのもの ひきあげじゃあ!」

329 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/19(金) 15:52:58 ID:2hS1m+E4O
荘子…

330 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/21(日) 21:09:01 ID:0NMe/TTY0
ほしゅ

331 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/23(火) 18:48:01 ID:btVWWztZO
保守

332 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 13:45:56 ID:Io8TcM+GO
保守ついでに
心に残った名シーンをあげてみる

総長さんのじいさんメガンテは衝撃だった
割とギャグっぽいノリだったからシリアスに徹底した展開にビックリした

冒険の書シリーズで4のジン君と5のトモノリの関係がわかったとき
読んでて目がカッてなった


333 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/28(日) 13:41:56 ID:grmH1y4/O
保守

334 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/01(水) 08:36:12 ID:uZyKAzD50
hoshu

335 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/03(金) 21:12:49 ID:62cxe6kw0
ほしゅ

336 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/04(土) 02:24:50 ID:zEQGBH6w0
   ◇       ミ ◇
   ◇◇   / ̄|  ◇◇
 ◇◇ \  |__| ◇◇
    彡 O(,,゚Д゚) /<捕手
       (  C `O
      /彡#_|ミ\
       </」_|凵_ゝ
        `´ `´


337 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/04(土) 18:02:58 ID:Ph/Q5Izc0
たまにはあげてみる

338 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/07(火) 12:08:05 ID:Gk8gexYE0
職人さん達、最近こないな・・・
GEMAさんや総長さんや他の職人さん達の小説楽しみにしてます。
早く続きがみてぇ。

339 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/07(火) 12:40:38 ID:VvF5ctIK0
332みたいに感想とか書くのが燃料になるんじゃないかな?

自分は今「すりりんぐぶれいぶはーと」が楽しみで仕方ない。
急かすとかじゃなくて、 マイペースで続けてもらいたい。

340 :男道1 ◆Lh6WfP8CZU :2008/10/07(火) 19:43:52 ID:LCkHUhcm0





いなかった。
そこには魔王を焼き尽くすような恐怖の怪物はいなかった。
願いを叶えてくれるような龍はいなかった。
俺ら全員を乗せて縦横無尽に飛び回るような巨大な蛾はいなかった。


いたのは………ひよこ?


きゃあああああ!!!!!かわいいいいいぃいいい!!!!!!

勇者が物凄い勢いで突撃していった。

気持ちいぃいい!!モフモフしてる!!!





終わった。





終了だ。完全に終了だ。
……これが…これが俺たちの旅の結末なのか…
生き埋めになりかけて…規格外のデカブツと死闘を繰り広げて…
世界中を駆けずり回ってついに復活させたラーミア…
クソが…

その場にガックリとうな垂れてしまった。


ああ これは

なんということでしょう
なんということでしょう

ラーミアは 先の働きで 力を使い果たしてしまったのです
このままでは あなた方を乗せて飛ぶなどということは できません なんということでしょう

341 :男道2 ◆Lh6WfP8CZU :2008/10/07(火) 19:44:37 ID:LCkHUhcm0
……。その力はいつ回復するのかしら。

ねーちゃんがこれ以上ない的確な質問を入れる。
そしてその答えが仮に聞く前を絶望の崖に立っていたとするならそこから完全に突き落とすようなものだった。


50年


ああそうか50年かなるほどな。つまりあと50年ほど心身共に鍛えまくって
準備万端でさあいざ魔王をブチのめしにっておい…

俺はゆっくりとチビ助2匹に近寄ると軽くデコぴんをお見舞いしてやった。
ポテっと倒れるチビ助。


はああああぁぁああああ?????
50年!?50年も待てと!?50年待たなきゃ魔王と闘えないと????
ふざけんなボケッ!50年後なんてもうジジイじゃねーかよタイマン所じゃねーよアホか!!
おまえらは今すぐこのデカひよこを何とかしろ!魔王のとこ攻め込めるくらいの鳥にしろ!!!!


………。
………。

痛いです。
痛いです。

私たちの力では どうすることも できません。



どうする事もできません…か。ああ確かにこんなチビ助共にどうする事もできねーだろうよ。
もはや怒る気さえ失せてしまった。




復活の間隔が短か過ぎたようね…。

ねーちゃんがため息をつく。伝説の神の鳥はそれに見合うだけの充電期間が必要だってか。
クソ…これじゃまるで詐欺じゃねーか。まったくどこのどいつだこんな飛ぶ飛ぶ詐欺に俺をハメやがった奴は!
………。クソイケか。脳裏にあの人を小馬鹿にしたような笑みが浮かぶ。
……。そういやあいつ私にわからない事などは無いなんて事を偉そうに自慢していたよな。
…。なあねーちゃんと声をかける。ねーちゃんが私も今それを考えていた所よと返してきた。

さすがねーちゃんだ何もかもお見通しというわけか。それならば早速出発だ!!
いざゆかん!!!俺達をよくも騙し腐ってくれたイケをボコボコに!!!!………え?…違うとな?

342 :男道3 ◆Lh6WfP8CZU :2008/10/07(火) 19:45:22 ID:LCkHUhcm0


………。



ねーちゃんの提案で賢者様(笑)に知恵を貸してもらう事になった。
認めねえ!俺こんな展開認めないぞ!だってオーブ集めろっつったのあいつじゃん!!!!

しかし怒りが再燃した所でどうしようもなるわけではなくしぶしぶ、本当にしぶしぶイケの元に向かう事になった。

もちろんこのヒヨコを連れて。

…おい、とっとと行くぞ役立たずが。こい。
なんだその目は。おまえみたいのが睨んでも怖くねーんだよ行くぞオラ

ぐいっと羽を引っ張ったその瞬間

イテッ…!痛いって!!いやつつくな痛いから!!やめろ!!!…ッイテ

敵意むき出しの俺に向かって攻撃してくるヒヨコ。

ちょっと!!!総長ちゃんがいじめるから怒ってるんだよ!!!!もう!!!

…いじめる?まあいい。勇者の言う事を聞くならそれでいい。もうどうでもいい。

外に出るとルーラを使いイケの元へ向かった。





目まぐるしく変わる景色共に見覚えのある塔の前にやってきた。

イケは当然来るのを察知していたかのように腕を組んでそこに立っていた。
糞ヒヨコに近づくと何か考え込んでいる。

…おい

イケ:…ああすまんちょっと考え事をな。
   しかしこのような展開になるとはさすがに予測できなかったな。


そりゃそうだろ。で、どうすりゃいいんだと皆がイケに詰め寄る。


イケ:……。方法は無い事も無い。……。いやもうそれしかないだろう。
   これは非常事態だ。今のラーミアには圧倒的に力が足りない。全てにおいてだ。
   解決方法は二つ。力を蓄えるまで待つか、もしくは外部から力を与えてやるかだ。


外部から力を与える?おいおいそんな事ができるのかよ。くやしいがさすがはイケだ。
よしよしこれでなんとかなりそうだ。

イケ:ただし外部から力を与えると言っても簡単では無い。並大抵の魔力では無理だ。


……まさか今度はそのためのスーパーオーブとかそんなものを集めて来いとは言わないだろうな。

イケ:ならば方法は一つ。私がラーミアと融合しよう。

343 :男道4 ◆Lh6WfP8CZU :2008/10/07(火) 19:46:05 ID:LCkHUhcm0
ねーちゃん:!!!????

融合…?話が見えてこねーぞどういう事だ?

イケ:私は厳密にはもう生命ではない。大精霊ルビスの力によって魔力を得た霊体のようなものだ。
   大分消費されたとは言えまだこの体には莫大な力が蓄えられている。それをそのままラーミアに託す。

ねーちゃん:お父様!!それってつまり…

イケ:……そういう事だ。

ねーちゃん:………。


そういう事ってどういう事だ。つまりイケがこのヒヨコと合体してそしたらヒヨコは本来の力取り戻して
ってそういう事なのか?じゃあイケはどうなるんだ?


イケ:悲しむ事は無い。今お前たちが目にしている個としての私が消えるだけであって私自身が無に帰るわけではない。
   

ねーちゃん:でも…でも!!もう今までようにお話はできないの!?
      お父様の作ったワインを片手に語り合ったり天気のいい日は私が焼いたクッキーでピクニックにいったり…
      そんな…そんな…


ねーちゃんが号泣するとこなんて初めてだ。

………。

344 :男道5 ◆Lh6WfP8CZU :2008/10/07(火) 19:46:42 ID:LCkHUhcm0
イケ:総長。この子の事は頼んだ。そして世界の事も。
   勇者は確かに勇者だ。勇者の存在が力となり世界を救うだろう。
   ただ…いまお前たちが立ち向かおうとしている敵は普通では無い。
   先代勇者が行方不明になっている事といい今回のラーミアの件といい確実に
   大精霊ルビスですら予測し得ない“何か”が起こっている。
   そんな異常事態の中世界を救う救世主と呼ぶにはまだ幼い勇者やうちの娘が心を保って旅を続けられているのは
   総長、おまえのおかげだ。礼を言う。
   本当に長く自我を保った存在としてこの世界にいたが最後におまえのような弟子を持てて幸せだったぞ。



…………。


他に方法があるかも知れない!考えようよ!と言う勇者を止める。
男には例え自分を賭してでも進まなければ行けない道がる。イケにとってはこれがその男道なんだ。
それを止めるなんて無粋な事はできない。一人の男として認めた相手だから。

………気持ちは受け取った。

ただ一言そう伝えた。それに対してフッといつも通りのキザな笑みを浮かべる。

今度こそこれを持っていけ、とイケはいつかのあの分厚くてデカイ本を俺に渡してきた。

イケ:我が奥義は全てそこに残せり。汝らの力となり魔を滅ぼさん。

そう言うとイケはヒヨコの前に、
もはや誰も止めようとする者はいない。
勇者も、ねーちゃんも力強い目でイケを見つめている。

さよなら…お父様…。

ねーちゃんがそう呟いたと同時にイケとヒヨコが光に包まれた。
球体状の閃光が晴れた後、そこには目を奪われるような雄雄しく美しい一匹の巨鳥がいた。

……きれい…

勇者が手を触れる。俺ですら目を奪われたくらいだ。七色に光る羽。
戦いなんて忘れさせてしまうような色合いをしている。

ねーちゃんが鳥の背中の一部に一段と輝く金色の羽が生えている場所を見つける。

……まるでお父様の髪のよう…

そっと優しく何本か抜くとこっちへ持ってきた。

みんな…これをどこか体に身につけるというのはどうかしら?

ねーちゃんの提案。断る理由などあるはずがない。

賛成!私たちってほんといろんな人に助けられてここまでこれたよね…
その羽根つけよう!

こうして俺たちは各々自分の好きな場所に金色に輝く羽根をつけた。
なんだろう。気のせいだろうが心の底から力が沸いてくる。
…みんなに助けられて…か…。
まあ俺は当然最強なのだが確かにここに至るまでは色々世話になったな。

負けられねえ。負けるつもりなんてさらさらないが絶対に負けられねえな今回の喧嘩だけはよ。

345 :男道6 ◆Lh6WfP8CZU :2008/10/07(火) 19:48:01 ID:LCkHUhcm0
さっそくラーミアの背中に乗り船の届いた場所まで戻る。

はええ。高けえ。伊達に伝説の鳥だけあってその飛ぶ姿は何者をも寄せ付けない雄大さがあった。

船に戻るとお馴染みの鬼浜会議だ。
イケの件もあってか驚く程にまともに話は進んだ。
相変わらずパンツと勇者はズレまくりだがまあそれなりに真剣なんだろうというのは伝わってくる。

ええ…では魔王の所にカチ込みかける前に最後にするべき事は
イケのくれた本をみんなで読む事と装備の最終チェックを入念にする事と
あとラーミア復活をチビ助共に報告する、この三つでいいんだな?

ちょっと待ってくだされ。

おっさんが口を開いた。

……。実はずっと考えていた事なんじゃが魔王と対峙するに当たりわしは明らかに足手まといですじゃ。
なのでラーミアで送ってくれないだろうか……ノアニールへ。


固まる空気。ノアニール…あの魔王に滅ぼされた村。じいさんの墓のある村。

わしなりに考えてました。いやはや戦闘においてはまったく戦力にならないもんで
何が自分なりに勇者殿の力になれる事…世界のためにできる事…
そこで閃いたんです。あの村を復興させようと!何年かかるかはわかりませんがね。
あの村でわしはわしなりの戦いを始めてみようかと思います。

…………。
あそこにはおっさんの家族の墓もある。
復興なんて言うがあの状態は生易しい覚悟ではできない。
もちろんおっさんは直で見た事ないだろうが馬鹿じゃないし俺たちの表情から十分過ぎるほど察してるはずだ。
強いな。本当に強い。人として。

総長ちゃん泣いてる…?

やべっ

泣いてねーよアホッ

ポコ

いったー叩かなくでもいーじゃんもう!

私は賛成だわ。

とねーちゃん。

あっしもでやんす!魔王を倒したらすぐにかけつけて手伝うでやんすよ!力仕事は得意なんで!

とパンツ。

ちょっと寂しそうな勇者も賛成のようだ。


決まりだな。


おし!!!!!!今日はもう遅い!!!!出発は明日だ!!!!
イケの所から持ってきたワインやらビールやら色々あるんで今日は宴会だ!!!!!
おっさん新たな門出とイケへの感謝を込めて乾杯するぞコラァ!!!!!!!!!

346 :総長 ◆Lh6WfP8CZU :2008/10/07(火) 19:50:16 ID:LCkHUhcm0
なんと6レスに収まるというすごいや60行規制!

てなわけで久しぶりに投下しました
いろいろプライベートでゴタついてなかなか投下できずすみません…

今後はもっとちょくちょく投下していきたいのでよろしくお願いします

347 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/07(火) 20:19:17 ID:J975sv/v0
うおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
総長おおおおおおおおおおお!!!!!

348 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/07(火) 20:57:38 ID:EupAOqQ90
総長さん、乙です

349 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/07(火) 22:37:53 ID:lc1+um/K0
>>346
ラーミアひよこwwwwクソワラタwwwwww


でも、イケが…。・゚・(ノД`)・゚・。


相変わらずシナリオ喜怒哀楽うめー。乙でした。

350 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/08(水) 02:15:13 ID:EJA9DnkT0
待ってましたあああ!!!!!!!!!!
総長おおおおお!!!!!!!!
かっこいいいいいいいいいい!!!!!!!!!

351 :338:2008/10/08(水) 13:55:19 ID:BACJ4ahT0
総長さん、キター
さすがですね!こんなすごい話をかけるなんてマジで尊敬します!


352 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/09(木) 13:46:33 ID:bTYJ51aTO
総長さんの話に出てくるキャラ全員惚れたw

353 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/11(土) 23:23:22 ID:FIM5nOHY0
イケorz・・・…

総長はつくづく面白いな

354 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/14(火) 08:44:50 ID:Xr8nlLgm0
ほしゅ

355 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:41:01 ID:fRYaMN8X0
○心の変化○

タケ「149・・・150・・・はあっ!!はあっ!!」

俺達は今ベラヌールの街に来ている。ムーンペタで水の紋章とラダトームで月の紋章を見つけた後、
航海しているうちに新たな町を発見した。

結果的にはサマルとムーンと行動を起す事になったのだが、やはりもょもとと俺の実力の差は明確である。
あいつらに大口を切った以上は隠れてでも今まで以上にトレーニングをして実力をつけなければならない。
自分自身の誇りと誓いを守るため・・・・・・

しかし最近どうも気分的に優れない。焦り、不安、恐怖・・・・・・・・
そして俺が消滅する可能性・・・・・・・・・・

俺にはこの不安を無くす為に闇雲に剣を振ることでまぎわらす事しか出来なかった。

翌朝、サマルが病気で寝込んでしまった。何でもハーゴンの呪縛とかが関係があるらしい。
嘘か真かはともかく現実問題、上薬草やムーンのべホイミ、キアリーでも効果がない。


ムーン「だめだわ・・・・全く効果がないのだわ。」
 リア「そんな・・・・・」
 もょ「サマル、よわきになるな。しっかりしろ!」
サマル「ぼ、ぼくに構わずみんなは先に行ってくれ・・・・・・」


こんな状況を見ていると流石に俺も何か助太刀したくなる。・・・・・・・まてよ、そういえば・・



356 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:42:16 ID:fRYaMN8X0
 タケ「みんな。一つ提案があるんやけどええか?」
 リア「どうしたの?」

 タケ「一旦ルプガナに行こうと思うねん。シャールさんなら解決の糸口がみつかるはずやで。」

ムーン「・・・・確かに呪文が効果がない以上は薬剤師であるシャールさんに何か情報を貰うのが一番なのだわ。」

 タケ「それなら、俺ともょで行って来るわ。二人はサマルの看護を頼むで。」

ムーン「待ちなさいよ!何で貴方は後先を考えずにいつも直に行動をとるわけ!?」

 タケ「時間があらへん。それに長引いたら最悪死に至る可能性もあるで。急がへんと・・・」

ムーン「焦らないで。あなた達には回復呪文が使えない。ここは私も一緒に行くわ。」

 タケ「・・・・・・わかった。よろしく頼むわ。リアちゃん留守を頼むで。」
 リア「うん。気をつけて行ってきてね・・・・・・・はぁ・・・・・」
 もょ「ん?どうしたんだ。リアちゃん。」
 リア「な、何でもないよ!そ、それじゃあ!」

その後ルプガナに寄り、シャールの話ではザハンの村に呪いを解く手がかりを知る人物がいるらしい。
しかしシャールが訪れたときにはその人物に会えなかったそうだ。名前はラゴスと言う。
シャールは一ヶ月近くラゴスを待ち続けたのだが漁に出ていたらしく
風の噂では嵐に巻き込まれ消息不明と言う話だ。

今度の目的地はザハンという村か。船で大体一週間近くかかるそうだ。



357 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:43:39 ID:fRYaMN8X0
 タケ「一週間か。かなりの長旅になりそうやな。」
 もょ「ああ。みずとしょくりょうがたくさんひつようになるぞ。」
ムーン「しかしラゴスっていう人が消息不明だったら無駄足になると思うのだわ。」
 タケ「無駄足と思っていても行くしかないやろ。今の俺らじゃ情報が少なすぎるしさ。」
ムーン「仕方がないわね…それなら行きましょ。」 

一週間の航海が始まった。
昼はもょもと、夜は俺の担当で役割分担で決まったのだがムーンが全く眠らない。
やはりもょもとや俺を信用していないらしい。


特にあんな事言っちまった俺を信用しろって言うのも無理な話だが。


更に三日後の夜………
俺はもょもとを寝かせて航海しながら周りを警戒していた。
それよりもムーンが寝不足で相当ヤバイ。
ウトウトしながら警戒しているのだが目の焦点が合っていない。流石にもう限界だろう。

 タケ「ムーン。いい加減に早く寝ろ。もう体の限界ちゃうのん?」
ムーン「う、うるさいわね……貴方には関係ないことでしょ!」
 タケ「俺もこれ以上何にもいわへんけど無理すんなや…」

やれやれ、水と油の関係じゃお互いの意見が通じ合うわけがないか。
だが―――その時!!



358 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:45:42 ID:fRYaMN8X0
魔物達が近づくいてきた。ガーゴイルとホークマン2体、更にパピラスが二匹…
ムーンは完全に絶不調。まともに戦えない。もょもとも昼間頑張ってくれた御陰で熟睡中。
ここは俺一人でやるしかない!

 タケ「ムーン!ここは俺一人でやるわ。無理すんな!!」
ムーン「貴方だけじゃ悲惨な結果しかならないわ!」
 タケ「ちっ…それなら足ひっぱるなよ!仮に死んでも文句はいわさへんで!」
ムーン「わ、分かっているわよ!!これでもくらいなさい!イオ!!」

しかしムーンの呪文はホークマンしか命中していない。パピラス達は速攻でムーンに襲い掛かる。
ムーンの判断能力が高いおかげか難なく回避する。−−−−−−が、やはりよろめいたため体制を崩した。
更にガーゴイルがムーンに突っ込んでくる!

ガキィン!!

 タケ「ふん。おまいさんの相手は俺や。ムーン!大丈夫か?」
ムーン「うっとうしいわね!私の事を心配する必要なんか無いでしょ!」
 タケ「あっそ。とりあえずはこいつらを蹴散らすで!」

この状況ではガーゴイルを倒してムーンのフォローを回るのが一番最善。
火炎斬りで始末しようとしたのだが、ガーゴイルはすぐに上空にへ逃げた。

その瞬間、虚を付かれた俺はホークマン達の同時斬撃―――――ツインスラッシュをまともに喰らったのだ。


パピラス達も更に俺に攻撃を仕掛けたのだが咄嗟に大防御をして難なく防げた。



359 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:48:01 ID:fRYaMN8X0
ここで安心している場合じゃない。格下の敵に虚を付かれた自分自身に怒りが立ってきた。

 タケ「いつまでもちょうしにのってんじゃねぇ!!」

まずは屈辱を与えたホークマン達から始末するために全力で向かい斬りつけた。
それが信じられない事だが特別な剣技を使った訳でもないにも拘らずホークマンをやっつけた。
もう一体のホークマンは畏縮して動く事ができずあっさりと倒した。

残るはガーゴイルとパピラス二体のみ。
ムーンがパピラス達と応戦しているがパピラス達はヒットアンドウェイで確実にムーンにダメージを与えている。
ガーゴイルもムーンに攻撃を仕掛けに行こうとしたのだが俺に背中を斬りつけられた。

確かに戦いでは弱者から攻めるのは正しいのだが、周りの状況判断をしなければあっさり背をとられる訳だ。
小ざかしい罠を張ったツケとしてガーゴイルを火葬処分にした。

ムーンは立っているのがやっとだった。呪文は当たらない。パピラス達の攻撃はほぼ確実に喰らう。
おまけに睡眠不足で戦いに集中するのは相当難しい。

しかも現状で唱えられる呪文は限られている。彼女はそれでも戦わなければいけない状況なのだ。
もょもとや俺に負けたくないという意地の一方で一人で立ち向かっている。


ムーン「なぜ全く呪文が命中しないの・・・・?あんなやつ(タケ)に比べたら私の方が優れているのに!」




360 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:50:08 ID:fRYaMN8X0
ムーンは焦っていた。


自分が負けるはずがない。


あんなやつの決闘から更に実力をつけるため、ほぼ毎晩夜遅くまで呪文の勉強したり練習もした。
それにも係わらず追い込まれている。

嘘だ!嘘だ!嘘だ!私がこんな所でつまずいている場合じゃないのに!!


うろたえている時にパピラス達が攻撃を仕掛けてくる体制になった。
その時あんなやつが私の前に立ちパピラス達の攻撃を捌き、更に1体に対して反撃した。

あんなやつが更に斬り付けられたパピラスを倒しもう一体のパピラスとの戦闘をしているのだが私に言ってきた。


『お前の呪文が必要や。俺にバギを唱えてくれ。疾風斬りで一気にケリをつけるで!』


私はあんなやつの言う通りにした。その方が楽だったから。正直立っているのが限界だったのだもの。
結果的に一瞬にしてパピラスを倒し敵を全てやっつける事ができた。


しかし私は疲労の限界で倒れこんでしまった。その後の事は覚えていない――――――



361 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:52:08 ID:fRYaMN8X0
―――――3時間後
 タケ「よう、ムーン。起きたか?」
ムーン「え、ええ・・・・・・」
 タケ「しんどそうやったから簡単なスープ作ったからもって来たで。味は保障できんがな。熱いからふーふーするんやで。」
ムーン「こんなものいらないわよ!!」

ガシャン!!

 タケ「あーっ!お前何すんねん!」
ムーン「誰もスープなんか頼んでいないのだわ!」
 タケ「ムーン・・・・」

パァン!!

ムーン「い、いきなり何するのよ!!誰にも殴られたことないのに!」
 タケ「食べ物がもったいない!」
ムーン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」
 タケ「しかもお前はロクに飯とってないやろが。飯を食べなきゃ体調も悪いやろ。スープが一番喉に通りやすいんよ。もう一度持ってくるわ。待ってろ。」


ムーン「・・・・・・・・・・ひっく・・・・ひっく・・・・うぇぇぇぇぇん・・・・・」


 タケ「お、おい!どないしたんや!?大丈夫か?」
ムーン「だ・・・・だって・・・・何でそんなに優しくしてくれるの・・・・・?
    タケに対して冷たくしたのに・・・・・・ひっく・・・・・・・・・」
 タケ「んー・・・・・あんまり気にすんな。とりあえずスープ飲んで落ち着け。な!」
ムーン「うん・・・・・・・」

この変化には流石に俺もびっくりした。とりあえず早くスープを持っていく事にするか。


362 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:53:52 ID:fRYaMN8X0
 タケ「持ってきたどー。自分で飲めるか?」
ムーン「(ぶんぶん)」
 タケ「そっか。もう少し後にするか?」
ムーン「ううん。あ、あのね・・・タケ。」
 タケ「どしたん?」
ムーン「し、しんどいから飲ませて欲しい。」
 タケ「ん?ああ。わ、わかった。はい、ムーン。あーん・・・・・味はどうや?」

ムーン「・・・・・おいしい。」

 タケ「そ、そりゃー良かったわ。男冥利につくで。」
ムーン「タケ、聞きたい事があるの。」
 タケ「どうしたん?」
ムーン「その・・・・上手くは言えないけど、どうして自己犠牲をしてまで私やもょもと達を助けてくれたの?」
 タケ「あんまり答えたくねいけど・・・・答えんとアカン?」
ムーン「(コクリ)」
 タケ「やっぱそんなん言えへんわ。かなり私情が入ってるしさ。」
ムーン「だめ・・・・・?」

ムーンが悲しそうな目で見つめてきた。流石にノーとは言えない雰囲気だ。

 タケ「しゃ、しゃーないのう。今から話す事は絶対に誰にも話さず秘密にしてくれるんならええで。」
ムーン「本当!?」



363 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:56:03 ID:fRYaMN8X0
 タケ「ああ。じゃあ話すで。結論から言うともょ、いやもょもとは俺にとって可愛い弟なんよ。」
ムーン「ど、どういう事なの?」

 タケ「俺がチビの時やけどさ、元の世界にいるかーちゃんが妊娠したんよ。
    その時ごっつぅ喜んだのを覚えているわ。僕がお兄ちゃんになるんだ!って。
    けどその喜びも4ヵ月後には辛い現実になんたんや。」

ムーン「辛い現実って・・・・まさか?」
 タケ「そう、流産したんよ。かーちゃんは何とか生き延びたけど妊娠した赤ちゃんは死んじまった・・・」
ムーン「そんな・・・・・・・・・・・・・・・」

 タケ「流石にその現実をガキの頃は受け入れるのが出来なかった。ある時学校の先生が言ってくれたんよ。
    『くよくよしてはだめ。あなたはお兄ちゃんだからしっかりしないと。
     天国の赤ちゃんは死んだんじゃなくあなたをの心と共に生きているの。だから悲しむことはないよ。』ってさ。」 
ムーン「・・・・・・・・・・・・・・・」

 タケ「そしてこの世界に来たときもょもとをみて思ったんよ。
    もし赤ちゃんが無事生まれて成長してならもょもとみたいになっていたんだろうな。って思ったりしてさ。
    例え血が繋がって無くても可愛い弟がピンチの時に守るのが兄貴の責務と決めた訳や。」

ムーン「・・・・・・・・ご、ごめんなさい。辛い事言わせて・・・」

 タケ「ううん。気にせんでえーよ。伊達に25年は生きとらん。」
ムーン「うそ!?本当にその年齢なの信じられない。おっさんのくせに。」
 タケ「うるせー!!やかましいわ!アホ!!誰がおっさんや!」
ムーン「ふふっ……ムキになるのはだめよ☆オ・ジ・サ・ン。」

険悪なムードが確実に和やかな雰囲気に変わりつつあった。


364 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 00:58:30 ID:fRYaMN8X0
 タケ「しかし話は変わるけどムーン。お前に謝らないとあかんのよ。ほら、竜王の城でさ・・・・」
ムーン「あの事はいいの・・・・事実私達が悪かったんだから。タケが謝る事はないわ。」
 タケ「それは違うで。もょもとを守るためとは言え侮辱したのは事実やから。ホンマに悪かった!ごめん!」 
ムーン「済んだ話だから気にしなくていいわ。それにしても、もょもとが羨ましい・・・・・・」
 タケ「何でよ?」

ムーン「もょもとには頼りになる立派なお兄さんがついてるし、リアには何だかんだ言ってサマルがいる。
    私にはお父様やお母様がいないから一人だもん・・・・・・」

 タケ「心配せんでえーよ。ムーン。お前は一人やない。」
ムーン「えっ!?」

 タケ「今日からから俺がムーンの兄貴代わりになるわ。今更一人妹が増えても別にかまへんし。」

ムーン「な、何言っているのよ!」
 タケ「よーし、お兄ちゃん可愛いお穣ちゃんの頭なでなでしちゃうぞー!」
ムーン「バ、バカぁ!おっさんのくせに!可愛いお穣ちゃんって言うのは10年早いわよ!(///////)」   

 タケ「アッハッハ・・・・・・・おおきにな。ムーン。」
ムーン「どうして?」

 タケ「最近夜寝るのが怖かったんよ。もしかしたら俺は明日死んでいるかもしれないって思うんよ。」

ムーン「そうなの・・・・・・やはり魂の消滅すること?」

 タケ「ああ。翌朝の太陽を見た時は安心するんやけど夜を迎えるのが不安になるんよ。
    寝たら二度と起きれない感じがしてさ。寝ない為にもここ最近ずっと闇雲に剣を振っていたんや。
    けど今夜、ムーンと理解しあえて良かったで。そんな不安が一気に吹っ飛んだわ。」

ムーン「それは良かったわ。早く紋章を集めて魂の消滅をさせないようにしなくっちゃ。」



365 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 01:00:31 ID:fRYaMN8X0
話し込んでいる内に夜明けを迎えた。その日の日の出はとても美しく黄金色の光を照らしていた。
その光に照らされているムーンは見とれるくらい美しかった。

ムーン「綺麗な太陽ね・・・・・・」
 タケ「ああ・・・・やはり生きてるって感じがするで!」
ムーン「本当にそうね。」
 タケ「そうそう。ムーン、今思ったんやけど、今の話しかたの方が好印象あるで!」

ムーン「ええっ!・・・・あ、しまったなのだわ!」

 タケ「そんなことあらへんで。自然体が一番や。」
ムーン「今後からそうするね!!それにしても眠くなっちゃった・・・・・」
 タケ「全く寝てへんから無理もないわな。ゆっくり休みや。」
ムーン「うん。今日はありがとう。タケ。じゃあ先に休むね。」

もょもと&タケ
Lv.19 Level up!!
HP: 112/141
MP:   6/ 12
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜 錆びた剣
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:隼斬り・魔人斬り・ドラゴン斬り
  タケ専用:かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御・メラ
       火炎斬り


366 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2008/10/16(木) 01:03:31 ID:fRYaMN8X0
更新が相当遅くなってすみません。
今後もよろしくお願い致します。

367 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 07:58:25 ID:KncD50f1O
乙です
仲直りできてよかったよかった

368 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 13:18:51 ID:XIS0AXuH0
おかえり!待ってたよ!
これからも頑張ってくれ!

369 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 23:47:06 ID:UuNtNjbP0
懐かしい作者が降臨か。
待ってたぜ!!


370 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/18(土) 04:47:51 ID:YjuhRIiEO
べ、別にレッドマンなんか戻って来なくても良かったんだからね!


遅すぎじゃない…バカぁ…

371 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/19(日) 10:59:00 ID:xVvNKXXw0
>>370に萌えた・・・

372 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/22(水) 18:21:35 ID:JPqNbr6OO
保守しておく

373 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/22(水) 18:57:14 ID:HOivD4dwO
総長!レッドマン!投下乙でした!
ゆっくりでいいんでまたお願いします。

374 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/25(土) 10:22:23 ID:tOpfwcjFO
保守

375 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/28(火) 04:12:26 ID:N2xJUbth0
保守〜

376 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/31(金) 10:39:22 ID:hS5jHHTX0
ほしゅ

377 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/31(金) 13:06:44 ID:DzMjhu6o0
あげ

378 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/03(月) 16:40:54 ID:fL+Q/VOmO
おちるぅ

379 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/06(木) 00:26:36 ID:PKG+Qr/H0
保守

380 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/08(土) 22:17:48 ID:5S5RuKH40
ほしゅ

381 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/09(日) 12:48:02 ID:+hVuzuZ1O
ぬるぽ

382 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/09(日) 16:06:53 ID:QW+BoEdkO
がっ

383 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/11(火) 00:06:25 ID:UFNQ/mwT0
ぬるぽぬるぽ

384 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/11(火) 01:36:59 ID:5DiUuaFA0
蛾!牙!

385 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/11(火) 06:22:24 ID:mz9Kvbvl0
             ┌ ┐
____________________________.|  |  ミ
___________________________  |._____
久杉          `i  |,.-ァニ=`=ー-、.,_
               .|  |>'´  /  .  `〉
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  | /、/i  / / i
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  |イ.ォ-!、ハ /_i/'! 〉
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  |'〈ヒ_ノ`レ',!、i./ /
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  |"     〈ンi/イ
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  |ヽ.  -  ,"イ/ 職人さん達はまだでありますか?
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  |/_7`T、´ヽ!/
・・・・・・・・・・・・・・・  . | r-ヽ. //i
・・・・・・・・・・・・・・・  . | !、 `| lヽ. !
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  |:`´| |  Y
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  |:::://  /
・・・・・・・・・・・・・・・  . |  |:// /
_____________________________!  |'ァ-'´
_____________________________.  |i
      ./::::/ :::::::::::::|   | ',
      /::::/    :::::::|   |ハ


386 :Stage.18 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2008/11/11(火) 21:03:40 ID:nEQvdHkf0
アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。今回は久々にリアルサイドだけど、どんな話になってたっけ?」
アルス「前回はひたすら電話でしゃべってただけだからな。その前は、玄関に猫の死骸が置かれてて、
   お前の伯母さんに出て行け!とか言われて、そこにショウが来て……」
タツミ「なんかそっちもゴタゴタしてるねー」
アルス「もう何度も言ってるが、俺、平穏な生活がしたくて現実に来たのにorz」
タツミ「絶対に無理だと思うよ。それではサンクスコールですっ」

アルス「>>309様、お久しぶりっす! 俺もロダムには世話になったな。
   後ろで見守っててくれると安心感があるっつーか、保護者みたいな感じで」
タツミ「僕もロダムは内心頼りにしてる。ちょっとジジ臭すぎないかと思う時もあるけどw
   そ し て >>317様!
   最高ですか!? 僕が!? そんな風に言ってもらえるなんてスッッッッゴイ嬉しいですぅ♪♪」
アルス「はいはい良かったね。あんまり有頂天になんなよ」
タツミ「参ったな〜照れるな〜なんかサービスしないとな〜どうしよ〜……脱ぐ?」
アルス「キモイだけだ!っつうか映像出ねーし!って聞けよ!」
タツミ「いや〜ホント主人公冥利に尽きるっていうかも〜〜〜♪」
アルス「ダメだこりゃ。勝手に始めるか」


アルス「それでは本編スタートです」


【Stage.18 SAKURA MEMORY -Part2-】
 リアルサイド [1]〜[5]
  Prev >>293-307 (Real-Side Prev 前スレ>>337-368)

387 :Stage.18 [1] ◆IFDQ/RcGKI :2008/11/11(火) 21:05:21 ID:nEQvdHkf0
 ----------------- Real-Side -----------------

 繋がらない。
 何度リダイアルしても、タツミは一向に携帯に出る気配はない。
(とうとう面倒になったのかね……)
 テレビ画面には、青い海原と船だけがドットで映し出されていた。船の名前は、俺が最
初に旅をした時と同じ「リリーシェ号」だと前に聞いたことがある。白百合の名を冠する
船はタツミの旅にこそふさわしい気もするが、それにしても、時々表示される会話ウィン
ドウの中身はとてつもなく変だ。

  ※「いいじゃないか 少しくらい うわきしても」
     はい
    >いいえ

  ※「せめて チューくらい いいだろ?」
     はい
    >いいえッ

  ※「そうは言っても 君の年なら たまってたりしない?」
     はい
    >い い え!!!

  ※「どんな プレイでも 応じるけど」
     はい
    > ……………………イイエ

「なに迷ってんだお前は」
 どうやらタツミ君ってば、レイおねーさまにモーションかけられまくってるらしい。さっ
きからずっとこんな調子だ。

  ※「私だって女だ 恋のひとつやふたつは したいじゃないか」

 という決定的なセリフがあったお陰で、レイが実は女だったということがわかって俺も
ホッとしてはいるんだが(あいつ女だったのか)、しっかし勇者同士でなんつー会話をし
とるんじゃ。
「とりあえず、命に関わるような大事にはなってないみたいだな……」
 試験で合格をレイに譲った時は妙に胸騒ぎがしたんだが、なにごとも無く済んだみたい
だ。まあ試験は所詮ただの試験だし、落ちたところで死にやしないが。


 ――実際はアリアハン国王によってあやうく腕を切り落とされるところでした、という
話を俺が聞いたのは、ずっと後になってからだ。
 もしこの時、俺がそのことを知っていたら……どうしたんだろう。



388 :Stage.18 [2] ◆IFDQ/RcGKI :2008/11/11(火) 21:07:32 ID:nEQvdHkf0

 俺が現実に来てから、今日で3日目を迎える。
 起きてからとりあえず顔を洗って、それからずっと、俺はベッドに寝っ転がったままぼ
んやりテレビを見つめていた。携帯を片手に、延々とリダイアル操作を繰り返している。
 タツミの方は大きな戦力となるレイを仲間に引き入れ、なんだかんだで順調に旅を進め
ている。このまま放っておけばまさかの強制送還もアリ。以前ショウに忠告されたように、
俺もヤツをうまく誘導して向こうに永住させるよう仕向けるとか、なんらかの手を打たな
きゃいけないんだろうが……。
 こうも予想外のゴタゴタが続くと、あまり動く気になれなかった。まったく、俺はなに
をやってんだか。

 なんとはなしに部屋の中を見回した。向こうにある俺の部屋と比べると物の数も色彩も
格段に豊かではあるが、面白みがない感じがする。オーディオ機器だとかマンガや雑誌と
か、そういった道楽に関するものが、この部屋にはまるで見あたらないのだ。
 ゲームもドラクエ3だけ。他のソフトは一本もなかった。ユリコやカズヒロは、タツミ
はあまり外出しないと言ってたが、アイツは普段どういう休日を過ごしているんだろう。
「エロ本くらいねえのかよ」
 起き上がってベッドの下をのぞき込んでみても期待するようなものはなにもなく、片手
に収まるくらいの透明な空のビンがひとつ無造作に転がっているだけだった。拾ったビン
を机の上に置く。今までは「移行が完了するまでは」と遠慮していたが、あいつの過去に
通じるものがなにかないかと、机の引き出しを開けてみた。筆記用具やファイルの類など
が整然と収まっているだけで、見事になんにもない。日記でもあれば助かるんだがな。

 プルルルルルル! プルルルルルル!
 
「お、タツミか?」
 てっきりヤツが折り返しかけてきたと思っだんだが、相手はユリコだった。
『もしもし、アル君? あれから身体の具合はどう』
 心配そうな声だ。考えてみれば、謎のサイコ野郎に襲われて意識不明になったのって、
つい昨日の話だもんな。しかもユリコパパとも真剣勝負しちゃってるし、彼女が不安に思
うのも当然か。
「大丈夫だよ。傷もほとんど治りかけてるし」
 そう答えつつ、サイコさんに斬られた左手の甲に目をやると、うっすらと赤く線が見え
る程度にまで回復していた。俺としては普通のことなんだが、
『本当に一晩で回復しちゃったの!? ゲームの人ってすごいのね』
 ユリコは心底驚いている様子だ。現実ではありえないらしい。
 それなら、と彼女の声が明るくなった。
『昨日頼まれてたやつ、いくつかいいの出てきたんだけど。良かったらついでに、あたし
とデートしない?』

  ◇
 

389 :Stage.18 [3] ◆IFDQ/RcGKI :2008/11/11(火) 21:09:36 ID:nEQvdHkf0

 公園で待ち合わせた俺たちは、ユリコの案内で街に行くことになった。「街」とは言っ
ても、向こうでルーラ座標に登録されてるような大きな単位のことじゃなく、おもに駅前
や繁華街といった中心部を指す言葉だそうだ。
 そして「地下鉄」初体験。
 昨日乗った「電車」と似たようなものだが、なんだか落ち着かない。真っ暗な中を高速
ですっ飛んで行く体感だけがあって、まるで明かりの無いダンジョンをなすすべも無く延々
と滑る床に運ばれているような、妙な気分だ。
 次の駅で降り、地上に出たところで、今度は正面の大きなビルに目が釘付けになった。
高さだけなら神竜の塔の方が遥かにあるが、全面に鮮やかに空が映り込んでいるのだ。
「ああ、あれね。イグリス・グループの本社ビルよ。ミラーガラスっていうのを使ってて、
外から中が見えないようになってるの」
「あれじゃ鳥が間違ってぶつかったりしないのか?」
「よくあるわ。だからってわけじゃないけど、あたしはあんまり好きじゃないわね」
 ふと、ラーミアが激突してしまうシーンが頭に浮かんだ。大量のガラス片とともに墜落
していく奇跡の鳥を、俺はただ見ているしかなくて……。
「アル君?」
 ハッとして首を振った。つい後ろ向きな想像をしてしまうのは、自分が異端者という負
い目があるからだろうか。
 
 二人とも朝メシはまだだったんで、手近なファーストフード店で食べながら話すことに
した。席に着き、オーダーが出来るまでの間に、ユリコはいくつかの書類を狭いテーブル
に広げた。
 本題に入りますか。
「アル君が帰ったあと、お父さんの会社の人に聞いてみたら、うちの系列のホテルで何件
かバイトさん募集してるって。もっと探せば他にも、住み込みOKの働き口は出てくると
思う。ただ、18歳以上じゃないと保護者の承認が必要になるから、年齢はごまかないとい
けないけど」
「ありがとう、助かるよ」
 昨日、帰りがけにユリコに頼んでおいたことだ。こっちじゃ経歴に『勇者』なんて書け
ないし、簡単なアルバイトで現実に慣れてから、本格的に生活を考えるのが妥当だろう。
最初はタツミの名前で大学まで行くつもりでいたが、ヤツの家庭の事情がはっきりした今
は、そこまで甘える気にはなれない。
「この3食付きっていいな。ああでも寮費でけっこう天引きされるんだ。となると、こっ
ちの水光熱費とメシ代だけ徴収って方が節約できていいのか……」
 バイトの募集要項に目を通していると、向かい側が妙に静かになった。ユリコが、なん
だか曖昧な表情で俺を見ている。
「……もしかしてアル君、自分の世界に帰りたくないの?」
「まさか。帰れるなら帰りたいさ」
 即答する。でも心の中ではNOだ。俺はあの世界に帰るわけにいかない。
「万が一の話だよ。昨日も話したけど、タツミが戻ってきたあとも、いったん実体化して
しまった俺が、必ず元の状態に戻れる保証はないし。一応の準備はしときたいんだ」
 タツミが戻ってきたあと、か。俺もよく言うな。
 だが、もしヤツを犠牲にすることなく俺がこの世界にとどまれる方法があるなら、その
方がいいけど……。

 

390 :Stage.18 [4] ◆IFDQ/RcGKI :2008/11/11(火) 21:11:29 ID:nEQvdHkf0

 彼女はまだ納得しかねる様子だったが、そこにいいタイミングで店員がオーダーを運ん
できた。
「食べようぜ。こっちってなに食ってもうまいもんな、感心するよ」
 これは嘘でもなく本当に思う。東西南北あらゆる食材が集まってる国ならではの、深み
のある味わいというのか。俺が頼んだ照り焼きポークバーガーも、いったい何種類の調味
料が使われてるのか見当もつかない。
 ユリコは自分が頼んだフィレオフィッシュを見つめて首を傾げた。
「そうなの? アル君の世界の方が、天然物で新鮮そうで、おいしそうな気がするけど」
「宮廷料理ならともかく、庶民のメシはシンプルだよ。乾パンとたっぷり塩のきいた薄切
りベーコンだけってのが3食とか。干すか塩漬けにした保存食がほとんどだし」
「そっか、冷蔵庫なんて無いもんね。モンスターも食料になるの?」
「食える種類はほんの一握りだからなぁ。ゾンビ系は言わずもがな、毒攻撃を使わないや
つでも体内に毒素を持ってるのが多いし」
 食料調達は冒険者にとっても頭を悩ませる問題だ。戦闘なんてこなせば嫌でも腕は上がっ
ていくが、どんな熟達者でも食えなきゃ死ぬ。
「俺も旅の間に食料が底を付いて、仕方なくガルーダって鳥型のモンスター食ったら腹壊
してエライ目に遭ったよ。あ、食事中に失礼」
「いいえ。それにしても――」
 ユリコはハンバーガーの包みを片手に、ふう〜と溜息をついた。
「アル君って本当に普通なのねぇ」
 っう。そんなしみじみ言わなくたっていいじゃないか。
「どうせ俺は勇者様らしくねえ小物っすよ」
 俺が頬を膨らませると、ユリコは慌てたように手を振った。
「そ、そうじゃなくて! 逆よ、感動してたの」
「カンドー? なにが」
「だって、たった数人で世界を救っちゃうんだから、勇者ってすごい人なんだろうなって
思ってたんだもん。世界一の学者みたいに頭が良くて、演説したら大統領みたいにカリス
マ入ってて、それで、一国の軍隊なんか軽くひとひねりで、しかも一目見たら卒倒するく
らい超絶美形で――とか」
「……いまどきのゲームってそんな超人が主役なのか? 俺なら興醒めするな」
「違うけどっ、なんかそういうポテンシャル? 秘めたる力みたいな? そういうのを最
初から持ってる人を想像してたの。だから……」
 普通の人が一生懸命に努力して『勇者』になったんだってわかって、感動したの。
 一息に言って、彼女は照れたように笑った。

「………」
「やだ、ちょっと黙らないでよアル君。ごめんってば、変なこと言って」
「あ、いや……」
 なんか、びっくりした。
 初めてかもしれない。こんな風に、俺自身の努力をストレートに認められたのは。
 

391 :Stage.18 [5] ◆IFDQ/RcGKI :2008/11/11(火) 21:12:46 ID:nEQvdHkf0

 あっちじゃいつも、「あの」オルテガの息子ならこれくらい出来て当然って目で見られ
てたから。何事も人並み以上で当たり前、ちょっとでもしくじれば、まるで俺がとんでも
ない怠け者かと言わんばかりに責められた。身内や仲間は、俺が寝ないで努力しているこ
とを知っていたから決して責めたりはしなかったが、それでも俺は特別な人間だと心から
信じ切っていて。
「あなたはあの人の息子なんですもの。絶対にできるわ!」
「アルス様なら大丈夫です。オルテガ様のご子息なのですよ? 誰にも負けませんわ!」
 ……結構、プレッシャーだったんだよな。

 「普通」だよ、俺は。
 どこにでもいる、ただのガキだよ。
 ずっと誰かに言いたかった。その上で頑張ってるんだってわかって欲しかった。
 それがまさか、こんな別世界の人間にあっさり言われるなんて――。

「あ……あのさ、ユリちゃん」
「ん、なにアル君?」
「もしも、だけどさ。もしも、タツミが……」

 プルルルルルル! プルルルルルル!

「タツミから!?」
 途端に彼女の空気が一変した。キラキラと期待に満ちた目がジッと俺の手元に注がれる。
 携帯の表示は「SHO」。そういえば、わざわざ俺の携帯に登録してくれたっけ。
「ごめん、俺の知り合いだ」
「あ、そうなの……」
 見るからに落胆する彼女に、俺の中に生じた妙な気分も、急速に冷えていく。
 
 所詮、他人。
 深入りしてはいけない相手だ。

「悪いユリちゃん、ちょっと待っててくれな」
 いったん席を離れて着信する。
『良かった! 出なかったらどうしようかと思いましたよ』
 いつも落ち着いた印象のあるショウにしては、妙に焦った口調だった。
『今どこにいます?』
「中心街の、なんつったかな、駅前の店でハンバーガー食ってるが……」
 切迫するような問いかけに、やや戸惑いつつ答える。
『ああ、わかりました』
 そこで気が緩んだのかもしれない。本来なら言わないつもりだったのだろうが……ショ
ウは口を滑らせた。
『昨日ゲームサイドの男に襲われたでしょう。気をつけてください、そいつがまたあなた
を狙う可能性があるんです』

 

392 :Stage.18 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2008/11/11(火) 21:17:24 ID:nEQvdHkf0
本日はひとまずここまでです。
ここからしばらくはリアルサイドにお付き合い下さい。

せっかく行数規制が緩んだので1レスを多めにしてみました。
投下回数が少なくて楽ですね。

393 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/11(火) 22:52:44 ID:c7It4OP5O
職人サン
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!
グッッジョッッーーーブ!!!!


待ってたよー・゚・(つД`)・゚・


394 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/12(水) 03:02:21 ID:1A4qZf270
今回も面白かったよ!
久々のリアルサイド、この先どうなるか気になります。

395 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/12(水) 20:52:24 ID:oPHPST0i0
更新待ってました!!!
今回も夢中になって読みました。
アルスのレイについての誤解が解けてよかったよ。

何よりずっと普通の人として努力を認めてもらいたかったアルスの
嬉しい気持ちが伝わってきて泣きそうになりました。・゚・(つД`)・゚・
今後のリアルサイド、楽しみにしています!

396 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/15(土) 00:41:56 ID:52T5alQm0
職人さんGJ
我々は待っていたぞ

397 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/18(火) 01:11:59 ID:zKTiOxMG0
ほしゅ

398 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/18(火) 01:21:34 ID:1HofaQpw0
久しぶりに覗いてみたら更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!

リアルサイドオモスレ〜!
サスペンスの予感!イイ!

399 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/21(金) 06:17:27 ID:JMvxWdfP0
hosyu

400 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/21(金) 23:01:58 ID:u1JB/MNG0
職人さんたちお疲れさまっす。
総長×タケ×タツミのクロスオーバーもありじゃね?
と妄想してみる。

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