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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら11泊目

1 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:35:18 ID:5ytk/+MG0
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角)+ 最後に投稿したレス番号(半角数字)」)をつけると読み易くなります。

前スレ「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら九泊目」
ttp://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1185925655/

PC版まとめ「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

携帯版まとめ「DQ宿スレ@Mobile」
ttp://dq.first-create.com/dqinn/

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://coronatus.sakura.ne.jp/DQyadoya/bbs.cgi

ファイルアップローダー
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お絵かき掲示板
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/

401 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/28(水) 14:31:59 ID:iLEB4Isx0
支援だよもん。
ていうか投下中なのかな?今回の投下終了なのかな。

ロマリアの王様、お調子者だのう。

402 :紫焔一閃【9】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/28(水) 17:29:24 ID:c1qvqYwC0
怒り…悲しみ…嘆き…恨み…一言では到底表現しきれない感情の色。
この世界に存在する全ての負の感情が入り混じった様な色。

怖い…

サトチーを初めて怖いと思った。

「ゲマ!お前だけはっ…!!」

感情をあらわに飛び掛るサトチーの一撃に対し、魔女は一息をついただけ。
そう、小さく息を吐くだけの動作にしか見えなかった。

ふうっ と、青白い吐息を一瞬吹きかけただけで、辺りの温度が急激に低下する。
チェーンクロスはガラスのように砕け散り、一瞬固まったサトチーが崩れ落ちる。

「ほっほっほ…10年振りの再会だというのに穏やかではありませんね。
意識だけは残しておきますから、少し頭を冷やしなさい。」

零下の余波は周囲一体を飲み込み、冷たく輝く風の牙となって中庭を吹き抜ける。
まぶたが、鼻が凍りつく。一瞬で意識から引っこ抜かれそうな寒風。
ブラウンと俺は身を寄せ合って寒さを凌ぐ事しか出来ない。

ヘンリーは倒れたデールに覆い被さり、冷気の直撃から弟を守っている。
その向こう側では、体を半分凍りつかせた兵士達が次々に倒れる。

シャレにならねえ…マジで殺られる…

痛いまでに全身を突き刺していた冷気が止み、再び顔を出す太陽。

格の違い…無防備な目の前の魔女が放つ強烈な重圧に足が震え出す。
居るだけ、そこに存在するだけで周囲を圧倒する絶対的な威圧感。
横に立つヘンリーとブラウンも同じく、その両膝がガクガクと震えている。

403 :紫焔一閃【10】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/28(水) 17:31:06 ID:c1qvqYwC0
「お…お前がラインハットを狂わせてた元凶だってのかよ…俺達に何の恨みが…」

寒さのせいではなく、心の底から震える声で魔女に問い掛けるヘンリー。
対して、ゲマは俺達を見下したような高笑いを発しながら語る。

「ほっほっほ…勘違いなさらないで下さい。私はただの観客ですよ。
 私は王の傍で成り行きを見ていただけ、私自身は何も手を下していませんよ。
 先程のゴミも演技力だけはあったようですが、何も出来なかったようですしね。」
「だったら…デールは…そうだ!本物の大后はどうしたって言うんだよ!」
「言ったでしょう?私は居ただけですよ。大事な兄を失った子供の傍にね。
 ほぉっほっほっほ…やはり観劇は特等席で見なければ臨場感を味わえませんね。
 消えた兄を思う弟の気持ち、遠い地で弟を思う兄の気持ち、堪能させて頂きました。
 せめてものお礼です。受け取りなさい。」

魔女が指をかざす先、何もない空間から人の姿が現れる。
刺々しい鎖で空中に縛り付けられているのは、豪華な衣装を身に纏った初老の女。

「おやおや…大后を魔界に幽閉したのは失敗でしたか?呪縛が解けませんね。」
「て…てめえ…ふざけてねえでさっさと…」

ようやく搾り出した俺の声は魔女の一睨みで止められる。
情けねえ…

「それは、天空の剣…ですか?」

俺を睨みつける表情を緩め、笑みを浮かべる魔女。
魔女が指差すのは俺の背に納められた剣。

「天空の剣の剣閃は一切の魔を祓うと伝わりますが…果たしてどうですかね?
 その剣の力をもってすれば、大后を縛り付ける呪縛を解く事も可能でしょうが、
 ほっほっほ…貴方にその剣の力が引き出せますかね?」

404 :紫焔一閃【11】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/28(水) 17:32:11 ID:c1qvqYwC0
俺の背に背負われた剣。
一切の魔を祓う天空の剣
嘗て、天より舞い降りた伝説の勇者が用いた剣。
この世界と魔界との境界を切り開く伝説の剣。

でも…今、この剣を振るう俺は…

するり と、鞘から剣を引き出し構える。
…が、この後どうすれば良い?

「イサミさん!母上を助けて!」
目を覚ましたデールの懇願が俺の目を覚ます。

「イサミ…お前は俺の子分だ…俺が見込んだお前なら出来る。」
肩を叩くヘンリーの言葉が俺の背を押す。

―!!!―
ブラウンの声援が俺の両腕を持ち上げる。

「…イサミ…君なら…大丈夫だ…」
凍てついた体のまま発せられたサトチーの激励が俺の中に火を点ける。

俺は天空の勇者なんかじゃない…普通の大学生で…今はただの住所不定無職異邦人。
でも、今の状況を何とかしたいと思うのは…親友の声に応えたいと思うのは…
親友を守りたいと思うのは…勇者なんかじゃない俺でも一緒だ。

やってやる!

―オオオォォォ!!―

咆哮と共に振り上げた俺の両腕に力が発現するを感じた。
力が腕から手を伝い、剣に流れ込むのを感じた。

405 :紫焔一閃【12】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/28(水) 17:33:59 ID:c1qvqYwC0
「…ッリャアアアァァァァァ!!!」

真白い光景だけが目の前を支配する…何も見えない…けど、
一心で振り下ろされた剣の先から、全ての力が流れ出すのを感じた。
俺の中の色んな物が流れ出すのを感じた。

立っていられない疲労感…思わず膝をつく。
脱力感…俺の手から力が抜け、剣が音をたてて地に落ちる。
同時に、霧が晴れるように視界が元の色を取り戻す。

支えを失ったかのように落下する大后を、デールがギリギリで受け止めた。

ウシッ!…とか、やってらんねえ…マジしんどい。
いやいや、まだへばってられねえ。あの紫の鬼ババアを…

「ほっほっほ…見事に魔界の呪縛を解きましたか。しかと見届けましたよ。」

高笑いを浮かべる魔女に剣を向ける…ハッタリだけどな。
戦う力なんか少しも残ってやいねえ。

「無理はなさらない方が良いでしょう。ここで貴方達を殺す気はありません。
 残念ながら、そこまでの自由は許されていないようですからね。」
「待て!お前だけは絶対に…」

紫色の霧に包まれる魔女にサトチーが追いすがる。
その足はふらふらとしておぼつかず、再び地面に倒れ伏す。

「ほっほっほ…それではごきげんよう。サトチーと…ホコロビ…
 いずれまたお会いしましょう。それまでその命を大事になさい。」

紫色の霧の中、高笑いを残して魔女は消えた。

406 :紫焔一閃【13】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/28(水) 17:35:08 ID:c1qvqYwC0
「ゲマ!…次こそは…必ず…」
サトチーが虚空に向かって吼える。

…あの鬼ババア、何がしたかったんだ?
全然、聞き足りないのに言いたい事だけ言って帰りやがった。

いや…ここでバトらなかったのは助かったけどさ…
次こそは、か…会いたくないな、出来る事なら二度と…

「後味悪りいけど、デールのやつも正気に戻ったみたいだし…これで一段落か。」

力が抜けたように座り込むヘンリー。
デールは子供の様な表情で大后に泣きすがっている。

「まあ…一件落着なのかな?」
「本当にありがとうな。これできっとラインハットも立ち直る。
 サトチーと、イサミと…この剣のお陰だな。」

地に落ちた剣を拾い上げ、俺に手渡すヘンリー。
その手から剣を受け取り、背中の鞘に戻す。

少しずつ傾きつつある太陽の光を受け、竜のレリーフがきらりと光った。



イサミ  LV 16
職業:異邦人
HP:4/77
MP:0/15
装備:E天空の剣 E鎖帷子
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――

407 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/28(水) 17:38:34 ID:c1qvqYwC0
第十一話投下完了です。
長かったラインハット編も次で終了です。

…そう言えば、まだラインハットだったんだ…

408 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/28(水) 18:10:17 ID:V+J9AxuG0
投下乙でございました。
みんなの応援で天空の剣の力の発現、かっこよかったです。

ほ、ホコロビ。
うーん、気になる。小さなホコロビでもそこから大きな穴があくことがありますからね。

409 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/28(水) 19:56:10 ID:8FEhk7J50
乙。ひと段落は着いたのかね。イサミくん頑張ってていい感じ。
まだ青年編の序盤、小説版なら二巻の初めってところだね。
先は長いけど楽しみにしてます。

410 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/28(水) 20:30:37 ID:D5ifU8230
Vは、ヘンリーと一緒の時までが面白かった・・・・

411 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/28(水) 20:59:02 ID:g28dQQ7E0
>>407
ちょ…仕事しろよ!サボるとムチで打たれるぞw
だが投下乙!
ゲマが天空の剣の力を引き出させる為に嗾けたような言い方も気になる
何を企んでるんだろう

412 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/29(木) 01:21:29 ID:1r1bMF1oO
投下乙。
最後の最後にそう持ってきたか
GEMAさんニヤニヤしてるだろうな

413 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/29(木) 10:22:45 ID:L5SSIzGS0
乙です。
イサミの頑張りいいな

ずっとゲマをホホホな男だと思っていた自分は、
魔女の表記に違和感を感じた
・・・んだが、この話だと不思議としっくり来るな

414 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/29(木) 12:33:55 ID:11wLY2i+O
呪文・特技欄の―――が気になる

415 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 01:52:42 ID:jXMvelc8O
保守

416 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 14:35:06 ID:Pb366fGcO
目が覚めた。天井になんか違和感がある。周りを見渡したらどうも俺んちではない。
俺はちゃんとうちに帰ったよな?昨日は大学が終わってバイトをしてからいつものようにバイクに股がりうちへ直行したはずなんだが。
ここはベッドとカンテラとタンスぐらいしかない部屋。さながらホテルのようだ。ここ、何処だ?そして何で俺はこんなところにいる?
俺は悩んでいても仕様がないのでこの部屋から出ることにした。
あ、人がいる。何処にもいそうなおばちゃんだ。あのー、すみません…と俺は話しかけようとしたその時。
「キャー!魔物よ!」
おばちゃんが血相を変えて逃げていった。えっ?ちょっ、何?魔物ってなんだ?
「出ていきなさいよ!」
血相を変えたおばちゃんは箒を持って戻ってきた。俺に向け、俺を攻撃しようと何度も叩こうとする。
何をするんだ!俺はゴキブリじゃないぞ?俺はほうほうのていでおばちゃんから難を逃れた。
俺はあれから逃げ出し近くの湖へと辿り着いた。はぁ疲れた。喉渇いたな。
湖の水は澄んでいるし飲むかと手を差しのべようとしたら手がない。いや手が出なかったんだ。そして水鏡に写った俺の姿は紛れもない、ドラクエのスライムだった。


417 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 14:35:57 ID:Pb366fGcO
湖をそろそろとゆっくりと早く覗いて見ても俺の姿はどうみてもスライムです。本当に略。
何でどうしてこうして俺はスライムなんだぷるぷる!
うわー動きまでスライムっぽい。俺涙目。
…人の声がする。数人の大人と、子供の声。俺は身体を弾ませ近くの草の中に身を隠した。
姿を隠したはずだが、ちょっ、俺の目の前にスライムが現れた!
「ピキー?」
スライムが俺に話しかけてくる。あんたなんでこんなところにいるの?って言っているようだ。スライム語まで理解してしまう。切ない。
「ピキー」
逃げてきたんだ、と伝える。本当だ。
「駄目じゃないかスラリン。先に行っちゃあ。おや、そのスライムは?」
スラリンと呼ばれたスライムは紫ターバンを巻いた青年に俺の事情を話す。
「逃げてきたんだ。ここらへんはスライムはいない。モンスターが強いからスライムは生息出来ないからね。…どうやら野生ではないようだね。どこからきたんだろう?」
ここらへんは強いモンスターが出るのか…。ターバンの話を聞いて逡巡する。もし出会ったら瞬殺されるな。
なんせ今の俺の姿はドラクエ世界で最弱モンスターと銘打つスライムだもんな。
「ピキー、ぷるぷる」スラリンは身体を震わせターバ

418 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 14:43:33 ID:Pb366fGcO
「ピキー、ぷるぷる」スラリンは身体を震わせターバンに請う。
「一緒に連れてってもいいか、か。どうだいビアンカ?テンとソラは?」
俺は仲間にして欲しそうに見つめている。
「いいんじゃないかしら」
とビアンカと言われた金髪の三つ編みの女性が言う。
テンとソラと言われた子供たちからも了承を得た。
良かった、俺は救われた。殺そうとする人間もあれば救う人間もいるもんだな。ターバンが俺の名前を聞いている。俺の名前はアキラだよ。
「アキラはレベル1なんだね。まだ戦闘要員にならないから馬車へ行こう」
テンと呼ばれた男の子が俺を馬車へと誘う。「君の仲間がいっぱいいるから仲良くしてね!」
女の子のソラが言う。
誘導された俺が見たものはグッドスメルのくさった死体と八本の腕が馬車内を狭くしているアームライオンと俺を鋭い目で狙うキラーパンサーだった。
アキラですが馬車内が最悪です。
そんななか、嬉しそうに寄り添って頬ずり?してきたスライム、スラリン。何とメスなんだそうだ。スラリンは何かと俺に教えてくれる。
この人間たちは家族であり、あの子供は双子とか、ターバンは魔物使いで魔物と仲良くなれることが出来ること、これから暫くレベルを上げて

419 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 14:44:43 ID:Pb366fGcO
皆との旅は楽しかった。
子供たちやターバン夫婦は俺を愛してくれるし、アームライオンやキラーパンサーも見た目は怖いが所詮は猫科動物。なつけばゴロゴロと喉を鳴らす。
スラリンは当初から俺に好意を示してきた。一目惚れだったと彼女は言っていた。俺のどこがいいかは分からないが惚れられて悪い気はしなかった、スライムだが。
だから連れて行きたいと言っていたのかな?
人間の目にはスライムの顔なんてどれも一緒に見えるが、スライムの視点からみるととても表情豊かだ。
俺は幼い頃両親を早く亡くして母方の祖父母に預けられ、育てられた。とても良くしてくれ、今通っている大学だってお金を出してくれ、応援してくれている。
だが、どんなに良くてもやはり母や父から愛情を受けたいとずっと渇望していたんだ。
祖父母と俺。ターバン夫婦と子供たちと俺。俺が付け加えられ出来た家族。これだけでもとても幸せだ。
俺は今度は家族を創りたいんだ。子を成し、親になり、愛情を子供に注ぐんだ。自分が両親から受けられなかった愛情をさ。
スラリンならいいお母さんスライムになれる。スラリンも俺のことを深く愛してくれている。…俺も…。


420 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 14:46:10 ID:nAUHIHyv0
緊急支援

421 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 14:48:54 ID:Pb366fGcO
ターバン夫婦と子供たち、それと俺たちモンスターは死力を尽くして最終ボスを倒した。
やった!俺たち間に喜びが駆け抜ける。皆笑顔だった。ハッピーエンドだ。
と。
俺やスラリン、アームライオン、キラーパンサーが少しずつ身体が透明になってゆく。
ああそうか。俺たちモンスターはきっと最終ボスより作りだされた存在。ボスが消滅してしまえば具現する力を失う。
ドラクエは、ボスがいなくなると他のモンスターもいなくなるもんな。
スラリンが飛び付いてきた。目からぽろぽろ涙が零れている。
アームライオンも、キラーパンサーも。
「行かないで!」
仲良くなったテンとソラ、涙でぐしゃぐしゃな子供たちが俺たちの身体を抱き締めようとしたが、既に触れられなかった。
さよならだ。
ありがとう。ありがとう。俺が消えても、どうか忘れないで下さい。
俺は、ドラクエの世界から消滅した。
俺の身体はベッドに横になり顔に白い布を被されている。俺の横には祖父母が俺の手を握りしめ涙していた。俺はその光景を…天井から見てた。
そうか俺…バイト帰りでバイクに乗って…跳ねられたんだ。
それから意識がなくなっていつの間にかドラクエ5の世界のスライムになっていたんだ。


422 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 15:01:28 ID:nAUHIHyv0
完結・・なのかな?
うおー、なんてこったい、ラスボスを倒すと、味方モンスターまで消滅しちゃうのか。
アキラくんにスラリンちゃん・・・(泣

最後に、死の間際にスラリンちゃんと勇者一家と幸せな思い出ができてよかったの・・・・かな。

モンスターになって勇者一家と旅をする視点は新しいとおもうし、衝撃の結末っ。
投下乙でした。

423 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 15:30:38 ID:Pb366fGcO
俺がドラクエ5をプレイした時3代続く家族物語に感動した。全部のナンバリングをプレイしてきたけど俺の中で一番ずっと心に残る物語。
俺の夢見た夢をドラクエ5の世界は叶えてくれた。現実では俺の夢はもう叶わないから。
俺の身体が消えてゆく。ターバン夫婦やテンやソラ、スラリンやキラーパンサーやアームライオンとお別れした時のように。
今度は祖父母にお別れだ。さようなら。ありがとう。
消えゆく俺の視界にスラリンと両親がいた。迎えに来てくれたんだね。俺は手を差しのべた。

―了―

保守代わりの短編でした。文章が途中で切れてしまって同じ文章を投下したり最後の文章を投下するのに時間がかかったりとハチャメチャでしたが支援と感想ありがとうございました。


424 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 15:45:30 ID:nAUHIHyv0
あー、終とか、了ってないから、おかしいなーとおもってたら、エピローグがあったのねん。これまた失礼しました(汗
主人公くん、迎えに来てくれたスラリンさんとあの世?かどこかの世界で、幸せに暮らせるといいですね。

良作、乙です。

425 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 20:13:47 ID:+1W+BsIS0
>>423
通りすがりだがとても感動した。
死んだ祖父母を想い出してちょっと泣けた。

426 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/01(土) 21:41:55 ID:6IfUCI2X0
>>423
良作短編乙
話に入り込んで涙ぐんでしまった

427 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/02(日) 01:56:07 ID:17b69Kq8O
これは良かった


428 :ウンコ大魔王 ◆/AbS5YUejk :2007/12/02(日) 22:18:01 ID:77UN1qTT0
退屈な毎日から逃れ出るための逃避行の旅…


ある日俺は夢を見ていた。

耳の形が奇怪な、黒いマントをはおった集団が一人の少女を取り囲み、
何やら言葉を取り交わしている。

「…して……我…闇の主が……」
「……瑠璃……急…」
「エサ………剣さえ…」

少女は青みがかった白いローブに身を包ませながら、
脅えきった眼で周りの連中を見ている。

俺は全く身動きができない。

黒づくめの連中から一人、まがまがしい剣をもった奴が
一歩前に出、少女ののど元にその切っ先を突き立てた。
ゴウンゴウンという耳鳴り、くぐもった呪術の詠唱、重く垂れこめた空気。

俺は必死でもがこうと(少女を助けようとしたのか自分が動けないことが苦しかったのか、
今となっては定かではないが)、身をよじらせたが、吹き出るのは冷たい汗ばかり、
咽はからからで眼の前もだんだん暗くなってくる。

それでも必死に体中の全神経を使って失った器官の能力を再生しようともがき、

「や…め……ろ…」
と声にならない声を振りしぼった。

その瞬間、生贄に歓喜していた全ての悪魔達の眼がこちらに向けられ、
俺は目が覚めた。

429 :ウンコ大魔王 ◆/AbS5YUejk :2007/12/02(日) 22:25:15 ID:77UN1qTT0
「はは…は……夢か…」

全身汗びっしょりになりながら、不意の夢オチに虚をつかれながら俺は身体を起こした。

「だりい…風邪ひいたかな……」

などと独り言を言いながらゆっくりとベッドから足をおろす。
風邪などではないことは、はっきりとしていた。

なんだ?あの夢?

あのようなシーンは映画やゲームなどで見たような気もするが、
あんな生々しい感じではなかった。
あの夢の登場人物は現実に存在するものとしての体温や息遣い、そして
他者に対する嫌悪感を持っていた。

あんな…夢。

「まあ…仕事で疲れてんだろうな……」

ふらふらする頭をシャッキリさせるために、俺は冷蔵庫の雪印へと
向かおうと廊下へ出ようと扉をあけたその瞬間、
見たことも無い風景が俺の眼前に広がっていた。

430 :ウンコ大魔王 ◆/AbS5YUejk :2007/12/02(日) 22:36:00 ID:77UN1qTT0
「なんじゃ…こら!?」

どこまでも澄み切った青い空、その下に地平線まで広がる草原。
そこに一本、大きな樹がポーンと立っている。

「アホ…か?」

俺はとっさに振り返った。
確かに俺は、さっき自分の部屋から廊下に出たのだ。
しかし廊下に行くためのドアは無情にも俺を廊下へとはいざなわなかった。
開きっぱなしのドアが手持ちぶさたにキイキイ言いながら
さわやかな草原の風に揺られている。

待てよ待てよ。

俺は昨日どうやって家に帰った?
酒につぶれて帰宅したのか?
それとも知らないうちに死んでて、ここは天国だったりするのか?

「シュールすぎる。」

いつもあり得ないことが起こったときに使う言葉を吐いてみたものの、
世界に存在するのは俺一人じゃないかと思われるように
言葉は空気に散って、目の前にある風景だけが残った。

「会社……行か…なきゃ……」

そう言いながら俺は夢遊病者、はたまたアル中患者みたいに
白昼夢の中をパジャマのままふらふらと歩きだした。


「コンビニ…行かなきゃ……」

431 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/02(日) 22:38:50 ID:17b69Kq8O
名前気になるw的支援

432 :ウンコ大魔王 ◆/AbS5YUejk :2007/12/02(日) 22:58:03 ID:77UN1qTT0
「ストップ!」

突然脳内に高い声がキインと響いた。

「そこから離れちゃ、いけないよ坊や。」

声から察するに小人、いやもっと小さい虫が、
精一杯羽音をばたつかせているようなか細く高い声。
しかしよく通るだけに、混乱した頭をいらつかせる声。

「自分の場所をそう簡単に捨てるもんじゃない。」

自分の場所?

「そうさ。あんたは言わば新参者。そう簡単にこの世界に飛び出すんじゃないよ」

こいつ、知ってる。
俺がこんな馬鹿げた状況になってる理由を知ってるぞ。

俺は少々ムカついてきた。
早くこんな馬鹿げた状況から抜け出て会社へ行かなきゃ。
遅刻などしたら、日頃の俺の業績に付け込んで上司が面倒なことになる。

「誰だよ!姿を現わせ!」

俺は宙に向かって叫んだ。

433 :ウンコ大魔王 ◆/AbS5YUejk :2007/12/02(日) 22:59:25 ID:77UN1qTT0
「ハハハハ。鬼さんこちら、手の鳴る方へ。」

なんだこいつ。完全にバカにしてやがる。

「何がしたいのか知らねえがとっとと元の世界へ戻せ!」

「元の世界?今いる世界が元の世界だとしても?」

「ハア!?俺は会社行かなきゃなんねえんだよ、
いちいちお前のお遊びに付き合ってられるかこのバカ!」

「バカはあんたさ、ぼ・う・や☆」

今度はどこから声がしたのかハッキリわかった。

俺は怒りで一杯の表情で、元いた自分の部屋(今は隔絶された空間にポーンと存在している)
を振り返り、ベッドの上にそいつ、つまり「妖精」を見つけた。

「ようこそ、初めまして。
そして、久し振り」

434 :ウンコ大魔王 ◆/AbS5YUejk :2007/12/02(日) 23:02:35 ID:77UN1qTT0
疲れた。これからドラクエになる予定。
ヒマなとき頑張ります

435 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/03(月) 02:04:02 ID:8NHbfLAI0
第十二話投下します。

LOAD DATA 第十一話前半 >>385-393  後半 >>402-406

436 :比翼連理の双星【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/03(月) 02:06:17 ID:8NHbfLAI0
あのゴタゴタの後、城の中はそれ以上にゴタゴタになっちまった。
当然だよな。国の在り方を変えちまう様な大事件だったんだもんな。

一堂に集められたラインハットの王族や貴族達で緊急対策会議中。
今回の事件を、どのような形で国民に発表するか、誰が発表するか、
どこまでの内容を発表するか…会議は揉めに揉めているらしい。

まず人選。強いカリスマを持つ大后は、長い幽閉の影響で床に伏せっている。
大后が無理のきかない体である以上、発表はおのずとデールからになるだろう。
次に内容。『散々国民の皆さんを苦しめていた王は正気じゃありませんでした。』
…なぁんて発表したって誰も納得しないのは火を見るより明らか。

長い会議の結果、
『王と大后は偽物だった。長旅から凱旋したヘンリー様とその一行が偽者を成敗し、
本物の王と大后を無事に助け出した。めでたしめでたし。』
…って内容の声明を国民に発表する事になったんだ。
大后が偽者だったのは事実だけど、王まで偽物だったいう内容にしたのは、
国民の反発心を最小限に抑える為…らしい。偉い人ってのは大変だな。

その夜、城の中庭には多数の国民が集められた。
不審そうな…不安そうな表情の国民達は皆ざわざわと落ち着かない様子。

バルコニーから国民の前に姿を現すデール。水を打ったように静まり返る中庭。

「この国を狂わせ、大事な国民を苦しめたのはこのデール。弁解の余地はない。」

皆の顔が凍りついた。勿論、俺達の顔も。

「国の混乱は全てこのデールの弱さが招いた事。謝って許される事ではないが…
 償いはさせて欲しい…兄さん、こちらへ…」

バルコニーのデールに手招かれ、ヘンリーがデールの横に立つ。

437 :比翼連理の双星【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/03(月) 02:08:28 ID:8NHbfLAI0
「兄さん…この場で僕を斬り捨てて下さい。」

デールが悲しい笑みを浮かべながらヘンリーに剣を手渡す。

「僕の命で許されるとは思っていませんが…せめてもの償いです。
 兄さんなら国を立て直せる…どうか…国をお願いします。」

償いって…命を捨ててどうするんだよ!ヘンリーと一緒に国を立て直せば…
間に入ろうとした俺達を制したのはヘンリー。

「そうか…俺も覚悟を決めていた事だ。そこになおれ。」

冠を外したデールは、ヘンリーの前に進み出て目を瞑る。
駄目だ…そんなの絶対に…やめろ…

「……でえぇぇぇい!!」 ばちぃぃっ!
「痛あぁっ!!!」

ヘンリーの渾身の平手がデールの尻を引っぱたく。
うわぁ…痛そう……って、アレ?

「覚悟決めてたんだ。国が乱れた原因がデールの弱さによるものだったら、
 城に戻ってその尻っペた引っぱたいてやる…ってな。」

ヘンリーが民衆に向かい合い、大声で叫ぶ。

「国の皆!こいつのしでかした事がこれっぽっちで許されるとは思っちゃいねえ!
 だから…今日は皆の気が晴れるまでこいつに灸をすえてやる!!」
ばちぃぃっ!
「痛あぁっ!!!」

438 :比翼連理の双星【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/03(月) 02:10:25 ID:8NHbfLAI0
「まだまだぁ!!」 ばちぃぃっ!
「痛あぁっ!!!」

延々と繰り広げられる公開お仕置き尻叩き。
最初は唖然としていた民衆だが、次第にその中から笑い声が漏れ始める。

「おらあっ!反省しやがれえっ!!」 ばちぃぃっ!
「痛あぁっ!!!」

笑い声は次第に大きくなり、やがて歓声となって中庭を埋め尽くす。

「子分のクセにでしゃばりやがってぇっ!!」 ばちぃぃっ!
「痛あぁっ!!!」
「俺が帰ったからには二度と好き勝手はやらせねえぞ!!」 ばちぃぃっ!
「痛あぁっ!!!」
『いいぞ!もっとやれー!!』 『ヘンリー様が戻られれば国は安泰だー!!』
『デール様ー!応援しておりますー!!』 『思いっきり引っぱたいてやれー!!』

「これからは…ずっとずっと俺と二人で国を守るぞおっ!!」 ばちいぃぃっ!!!
「痛あぁぁぁっ!!!」

涙で顔中をグシャグシャにするデールを引き起こすヘンリー。
ヘンリー自身も涙目で荒い息をしているが、息も正さずに民衆に向かって叫ぶ。

「俺は王家に戻って国を建て直す!!この泣き虫な馬鹿王と一緒にだ!!
 親分が直々に後見人になるからには、二度と国民に苦しい思いはさせねえ!!
 今宵、俺達兄弟の姿を目に焼き付けろ!!俺達の働きを見届けろーーーっ!!!」

わあっ と、一際大きな歓声が中庭に挙がる。
ヘンリーを讃える声…デールの名を呼ぶ声…二人を応援する声。
さながら大物ミュージシャンのライブ会場の如く盛り上がる民衆。
俺も素直に感心した。やっぱり、ヘンリーのカリスマは天才的だ。

439 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/03(月) 02:10:42 ID:BbAuWo3YO
し…えん……?

440 :比翼連理の双星【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/03(月) 02:13:02 ID:8NHbfLAI0
        ◇           ◇
そして よがあけた …ってやつ?
ラインハット城下町を一望できる国賓用の寝室で朝を迎えた。
うん、なんて清々しい朝だ。

…この二日酔いの気分以外は…

昨日の演説の後、悪ノリしたヘンリーが国をあげての大宴会を宣言。
王族も兵士も国民も死体も一緒になって朝け方まで飲み明かした…ってわけ。

「昨夜はお疲れ様でした。僕も王という身分を忘れて楽しませて頂きました。」

旅立ちの前に謁見の間に立ち寄り、デールに別れの挨拶をする。
サトチーもデールも昨日の宴ではだいぶ酔っていた筈なのに清々しい顔をしている。
下戸のフリして実はザルなんじゃねえの?

「国を救って頂いた事、国民を代表してお礼を申しあげます。本当にありがとう。」

デールは玉座から降り、俺達の前に片膝をついて頭を下げるデール。
その肩に手を置きながら、サトチーが優しく語りかける。

「頭を上げて下さい。デール王。あなたが頭を下げる相手は僕達ではありません。
 あなたを…国を信じて進み続けたヘンリーこそラインハットの救世主です。」
「ヘンリーの活躍がなかったら、俺達もとっくの昔に全滅してましたからねえ。」

…あれ?いつもならここで入る筈のヘンリーの茶々がない。

「えぇ、兄には一番にお礼を言おうと思っていたのですが…」

途端に難しいものになるデールの表情に思わず俺も身構える。

まさか…ヘンリーの身に何か…

441 :比翼連理の双星【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/03(月) 02:15:14 ID:8NHbfLAI0
「朝から兄の姿がないのです。城中どこを探しても…」
「いない?こんな時に一体どこに…」

デールの顔が横に振られ、嘆息した様な深い溜息をつく。
家出した子を案じる親の様なデールの表情を見ていると、どっちが兄だかわからない。

「ご存知の通り、兄は堅苦しい王家のしきたりを好まない性格の人ですから…
 勝手に城を抜け出してハメを外してなければ良いのですが…」
「これから苦労しそうですね。」

サトチーとデールの乾いた笑い声が謁見の間に響く。
二人とも声では笑っているが、顔は笑っていない。

「ところで…連絡ではビスタ港に船が入港するのは明日だったはずです。
 もしよろしかったら、今夜も城に泊まられてはいかがでしょう?」
「ありがとうございます。ですが、船出の前に立ち寄りたい所がありますので…」
「そうですか…何の力にもなれませんが、お二人の旅の無事をお祈りしております。
 どうか道中お気をつけて。」

開かれた城門をくぐり抜け、メインストリートから城を振り返る。
固く重く閉ざされていた城門は、全てを受け入れるかのように大きく開かれ、
その城の景観は、道行く人々の幸せそうな顔を見渡すように雄々しくそびえる。
町で無法を働いていた傭兵達は国外に追放され、代わりに子供達が走り回る。
常に耳にしていた怒声の代わりに聞こえるのは、王家を讃える詩人の歌声。
忌まわしい兵器の生産工場は、建築木材の加工場に改造するらしい。
町が元の姿を取り戻すのには、たいして長い時間はかからないだろう。

「そろそろ行こうか。スミス達が町外れで待ってる。」

町外れで俺達を待つ一台の馬車と二頭の白馬。

お待たせパトリシア…と……誰?

442 :比翼連理の双星【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/03(月) 02:18:41 ID:8NHbfLAI0
「遅せえ!子分の分際で親分をいつまで待たせやがる!」

パトリシアの隣。もう一頭の白馬の上から声が投げかけられる。
王族らしい豪華な衣服を身に纏い白馬にまたがるヘンリー。その手には花束。

「何やってんの?そんな似合わな…じゃなくって、珍しい格好して。」
「ん…世話になった修道院のシスター達に今回の件のお礼を言いに行くついでに、
 旅立つ子分達を見送ってやろうと思ってな。」

見送り…それはつまり、俺達との別れの証。
わかりきっていた事だけど、実際にその言葉を耳にすると…どうもね…

「そんな情けない顔すんな。最初からわかってたことだろう?それに…
 それにさ…場所が離れてたって俺達はずっと…その…」
「大事な仲間だからね。」

サトチーが発した言葉に、ヘンリーの顔が真っ赤になる。
…本当、素直じゃねえの。

「…っまぁ、辛い奴隷の生活も旅の間もさ…お前達と一緒で…その…楽しかったよ。
 本当に………ありがとうな。」

ぷいっ と、目線を逸らしながらヘンリーが言う。

「ヘンリー…君は本当に大事な仲間だ。体に気をつけて…」
「女の尻ばっか追いかけて、デールさんを困らせるんじゃねえぞ。」
「ふん。お前達が次に来るまでには、この国を今以上に立派な国にしてみせるさ。」

三人、拳を合わせて互いを讃え合う。そのエールに言葉はない。
それでも、そのエールはどんな言葉よりも俺の体の真ん中らへんを揺さぶる。
 ―負けるなヘンリー…負けるなサトチー。 何があっても負けるな…俺―
二頭の白馬が行く道は途中で二つに別れる。 それでも…俺達はずっと仲間だ。

443 :比翼連理の双星【7】&後書き ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/03(月) 02:22:26 ID:8NHbfLAI0
イサミ  LV 16
職業:異邦人
HP:77/77
MP:15/15
装備:E天空の剣 E鎖帷子
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――



―――
第十二話 ラインハット編エピローグを投下しました。
次回からは新章突入です。

その前に小ネタを挟む予定ですが…

444 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 09:35:48 ID:Ish8Z3lR0
○微かな癒し○

ムーン達と別れた後、もょもとに上薬草を煎じて貰ったがあまり回復していない。
やはりゼシカの言う通りいきなり上位呪文を唱えると体の負担が大きい。
死なずに済んだのが不思議なくらいだ。

もょ「だいじょうぶか?タケ?」
タケ「すまんのう…少しはマシになったんやけどまだ本調子やないわ。」
もょ「じょうやくそうでもだめなのか!?」
タケ「そうやな。まだ5、6分力が戻ったっていう所やで……全力で動くのはちょっとしんどいかも。」
もょ「そうか…しばらくはおれががんばるよ。」
タケ「最悪の結果を招いてしまったな。サマルやムーン達の関係が修復は不可能レベルまでなったやろ。
   ああ〜 やり過ぎてもうた…」
もょ「もうすんだはなしだ。きにするな。ぎゃくにおれはうれしかったぞ。」
タケ「な、なんでやねん?」
もょ「おれのことがほんとうにだいじだとおもってくれたのがすごくかんじたよ。これほどうれしいものはない。
   それにおれがタケのたちばならおなじことしていた。おれ、バカだからうまくいえないけど。」
タケ「ホンマに悪かったな……」
もょ「もうきりかえていこうぜ!!」
タケ「そうやな………話は変わるが現実問題どうするよ?」
もょ「まずはククールたちとごうりゅうしよう。そのほうがまちがいなくさいぜんさくだろう。」

タケ「そうやな。パワーのヤンガス、スピードと回復のククール、魔法のゼシカ、結構バランスも取れているで。」

もょ「じゃあきまりだな!」

俺達が行動を起こそうとした時誰かがやってきた。

もょ「タケ…ここはおれにまかせろ!」
タケ「ヤバくなったらとんずらするのもありやで。気をつけろ!」   

戦闘体制に入って構えているとやってきたのがリアだった。

445 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 09:36:52 ID:Ish8Z3lR0
もょ「リ、リアちゃん!?どうしたんだ?」
リア「ま、間に合って良かった〜 どうしてもお礼が言いたくて。――――――――タケさんに。」
もょ「しかし…」
リア「お願い!タケさんにお礼が言いたいの!」

真剣な眼差しにもょもとも承諾するしかなかった。

もょ「タケ…リアちゃんがはなしたがっているぞ。」
タケ「わかったで………………………はじめましてやな、リアちゃん。一体どないしたん?」

リア「は、初めましてタケさん………そ、その……助けてくれてありがとう……」

タケ「ええんよ。俺は当然の事しただけやで。それにもょとの約束もあったしな。」
リア「そ、それとごめんなさい!お兄ちゃんやムーンさんがあんな事言うなんて…」
タケ「もう済んだ話やから別に構へんよ。しかしよく抜け出せてここに来れたなぁ。」


リア「お兄ちゃん達とケンカしちゃって居辛くなったの…」
タケ「マジかいな……やっぱやりすぎたんやで!/(^o^)\ナンテコッタイ」
リア「だって………タケさんは……グスッ…助けてくれたんだもん……2回も……」
タケ「お、おいおい!泣く事もあらへんやんか!今回がともかく、以前いつ助けたっけ?」
リア「ラーの鏡を……取りに行ったとき。」
タケ「ああ……あ、あれはもょがやってくれたんやで。俺やないよ。」
リア「ううん…トーマスさんやカタリナさんが私に話してくれたの。その時の状況を――――――――」



――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――
――――


446 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 09:38:17 ID:Ish8Z3lR0
〜 ムーンペタ出発前夜 〜

カタリナ「リア様。報告があります。」
  リア「どうしたの?カタリナさん。」
カタリナ「実はもょもと様の事でお話が。」
  リア「もょもとさんの事?」
トーマス「その先からは私から話そう。カタリナ。リア様、結論から言います。もょもと様には別の人格がいます。」
  リア「ええっ!?どう言う事なの?」
トーマス「つまり二重人格です。もょもと様の体内にもう一人分の人間がいるのです。」
  リア「そ、そんな…」
トーマス「確かに信じられない話ですがその御方に私やサマル様、リア様も助けられたのですよ。勿論もょもと様も含まれます。
     その御方の名前はタケと仰っておられました。レオン様と同様、異世界からきた人間らしいのです。」

  リア「そのタケって言う人がもょもとさんの体内にいるわけ?」

トーマス「仰る通りでございます。しかしタケ殿は私達にとって命の恩人なのです。
     もょもと様達が敵の呪文で眠らされた時、タケ殿が代わりに戦ってくださったのです。そこでリア様にお願いがあるのです。」

  リア「お願いって………………私に?」

トーマス「はい。この事実は知っているのは、私達三人のみ。
     もし、王女様やサマル様にこの事実が発覚した場合、もょもと様達と対立するという事がありえるかと思われます。
     仮にその情況が訪れた場合、もょもと様やタケ殿を助けていただきたいのです。」

  リア「で、でも……………」

トーマス「カタリナの報告ではタケ殿は自分を犠牲にしてでも、もょもと様を守る様な御方だと聞いております。
     私もタケ殿が悪人とは思えません。どうかお願いを受け入れて頂けないでしょうか?」

カタリナ「私からもお願いします!リア様!」
  リア「うん………私はもょもとさん達に協力するわ。」
トーマス「ありがとうございます!くれぐれも口外無用でお願い致します!」

447 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 09:40:41 ID:Ish8Z3lR0
リア「って言う事なの。」

タケ「ちっ、あいつら…余計な事言いやがって……ホンマに………」

リア「それにダースドラゴンの時でも私を守ってくれた……」
タケ「あ、あれはたまたまや。気にすることはないで。」
リア「グスッ……グスッ……ごめんなさい…………」

タケ「よしよし、もう泣いたらアカン。可愛い顔が台無しやで。」

リア「うん……」

もょ「くっくっく…………よかったな、タケ。」
タケ「な、何やねんお前……不気味な笑いをしやがって。」
もょ「リアちゃんみたいなりかいしゃがあらわれたのいいことだろ?」
タケ「うっ…………ま、まぁ結果的にはそうなるわな。俺にとっては嬉しい話やで。」


もょ「それならいいじゃないか。それにタケはいじょうにリアちゃんにはやさしいしなw」


タケ「お、おい!ゴルァ!これ以上アホな発言していたらブン殴るで!!」
もょ「ふだんのおかえしだ。それにじぶんじしんをなぐるつもりなのか?すこしおちつけ。」

タケ「…………クソったれ!!俺からおちょくりのスキルをパクりやがって!」

リア「くすくす………もょもとさんとタケさんて凄く仲良しなんだね。」
もょ「そうなのか?タケ、おまえはどうおもう?」
タケ「うーん、何かこの関係が当たり前って感じやからなぁ……仲が良いとか悪いとかあんまり意識はしてへんで。」
もょ「おれもそんなかんじだな。」
リア「へぇー…自然な感じなんだね。話は変わるけどタケさんはどうして私達に力を貸してくれるの?」


448 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 09:42:10 ID:Ish8Z3lR0
タケ「そやなー もょの前やから恥ずかしいけど黙秘権は無さそうやし…………
    俺自身がこの男について行こうと決心したからやな。」

リア「タケさん自身が?」

タケ「うん。最初のもょは頼りねー奴だと思っていたけど、処がドッコイ今はすげえ頼れる奴になったんよ。
   それに赤の他人がイキナリ自分の体内に入ったら気持ち悪いにも拘らず受け入れてくれたのもあるわ。
   話は変わるけど、もょの人生でアカンかった所は良き指導者と仲間に出会えてなかった事やと思う。
   そこで俺が少し教えただけで、有り得ないほど成長しやがったからな。ある意味怖いで。
   今後の成長を見たみたいっていう個人的な事情もあるんやけどね。
   それに命の恩人やしな。俺も2回助けてもらっているんよ。」

リア「どういう時に助けてもらったの?」

タケ「ドルマゲス戦と今のサマル&ムーン戦やな。その時どれほど嬉しかった事やら。
   唯一の友達がかなり協力的にやってくれた御蔭で今が自分があるって感じやね。」

完全にリアのペースに乗せられて話してしまった。『この娘の前では素直に本音で話そうか。』って感じになったのだ。ククールもこれにやられた訳か。
タケ「しかし、まぁ…なんや…そういうこっちゃ。」
これ以上あんまり追求されたくなかったので話を打ち切る事にした。

もょ「し、しかしてれるなぁ…そこまでタケがおもっていたとは…」
タケ「しゃーないやろ!かなり本音トークやで!もうこれ以上ネタはないで!!お客さん!!」
もょ「タケ、おまえがこんなにじぶんのことをはなすのは、はじめてじゃないのか?」
タケ「そうやで。もーこの話題は無しや。はい、しゅ〜〜〜〜〜〜〜りょ〜〜〜〜〜〜〜〜
   で、話は変わるが今後はどうするん?」
リア「タケさんを助けるためには紋章を集めないといけないんでしょ?」
もょ「そうだな。リアちゃんもいるし3人でさがそうか。ククールたちにたよるひつようがなくなったしな。」
タケ「それならこれで決まりか。二人共ホンマにありがとう…今後もよろしゅうな!」

3人で談笑していると1人の女がやってきた。どー見てもオロオロしている………
一体何が起きたのか理解していないみたいだ。そいつは俺達に話しかけてきた。

449 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/03(月) 09:44:56 ID:akkEbyxiO
支援

450 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 09:47:02 ID:Ish8Z3lR0
 *「あんた達。ここがどこ何かわかるかい?」
リア「えっと、竜王の城の近くだよ。どうしたのお姉さん?」
 *「竜王の城!?何だいそれは?」
もょ「もしかして……いせかいからきたのか?」
 *「えっ!?」
もょ「このあたりはたいがいこのせかいにいるにんげんはしっているぞ。まったくしらないひとはいないんだ。」
 *「そうなのかい…弱ったね。まずはどこか街にでも行きたいね。」
リア「それなら近くにラダトームまたはリムルダールっていう街があるよ。」
 *「ありがとう……その前に金も貰おうか!」
リア「えっ!?」
女はいきなりナイフで脅してきた。

 *「金が無ければ何も出来ないからねぇ……あんた達には恨みが無いが――――――拒んだら刺すよ。」

もょもともリアも戦闘態勢に入ったが咄嗟に止める事にした。
 タケ「待てぇ!!」
もょ・リア「えっ!?」
 タケ「金が要るんだろ?100Gくれてやる。」
俺は金を女に渡した。
 *「キップがいい男だね。一体どうしちまったんだい?」
タケ「フン。俺の気まぐれだ。その代わりにアンタがこの世界で見た事や聞いた事、全ての情報を話して貰おうか。」
 *「取引かい?いいよ。金も貰ったし。あんた達位の細身の男とほっかむりをかぶった女がこの先モンスター達に襲われているよ。」
リア「ええっ!」

間違いなくサマルとムーンだ。

 *「助けるのであればさっさと行ってやりな。じゃないとあの二人は死んでしまうからねぇ。」
タケ「サンキュー!恩にきるぜ!でも俺は……」
リア「急ごう!お兄ちゃんとムーンさんが危ない!!」
もょ「そうだな。いまはたすけにいくぞ!」

さすがにこの情況では拒否は出来ず、俺達はサマル達の元に向かった。

451 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 09:47:46 ID:Ish8Z3lR0
サマルとムーンがマンイーターや泥人形達と戦っているのだがどうも様子がおかしい。  
ムーンの得意な呪文が唱えられないみたいだしサマルも相変わらず腰が引けてまともな攻撃が出来ていない。

ムーン「くっ…こんな奴らごときに手こずるなんて…サマル!!しっかりしなさいよ!」
サマル「で、でも泥人形達の不思議な踊りの影響で魔法力が無くなっているよ!」
ムーン「うるさいわね!言い訳は無用なのだわ!!」
サマル「こんな時に……もょ達がいれば……」
ムーン「あ、あいつらがいなくても私達だけで乗り切らないといけないのだわ!!」

ムーンは相変わらず強情を張っている。

 タケ「…………あいつ(ムーン)はアホか!変に意地を張りやがってホンマに……
    しゃーないのう!もょ!俺の呪文で火炎斬りを出来る様にするから戦闘は任せていいか?」
 もょ「ああ!ここはおれにまかせてくれ。きっちりふたりをたすけるよ。いくぞ!リアちゃん!」
 リア「うん!」

もょもととリアがモンスター達に立ち向かっていった。

サマル「も、もょ…それにリアまで…」
ムーン「い、一体何しに来たのよ!」
 もょ「はなしはあとだ!いまはこいつらをやっつけるぞ!」

 リア「もょもとさん!まずは私に任せて!!え〜〜いっ!!ベギラマ!!」

リアから大きな火炎が繰り出して大半のモンスター達をやっつけたのだが血を吐いている。
まだ不慣れな証拠だ。

 もょ「だ、だいじょうぶか!?」
 リア「う、うん…」
 もょ「あとはおれがやるからまかせろ。いくぞ!かえんぎり!」

もょもとがモンスター達を勢い良く斬り込んで行った。火炎の影響がある御蔭かすんなりとモンスターを倒すことが出来た。

452 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 09:49:14 ID:Ish8Z3lR0
もょ「ふー。それにしてもまほうけんってすごいな。かなりらくにたおせたぞ。ちょっとやけどしてしまったけどな。」
タケ「しかし俺の場合と比べたら火炎の持続時間が短いな。」
もょ「おれがじゅもんをつかえないからじかんがみじかいとおもう。」
タケ「かもな。それより二人を手当てしてやれ。無事でよかった。」
もょ「よし、わかった。」

もょもと達はサマル、ムーンの手当てを始めた。

ムーン「ど、どうして助けに来たのよ!誰も助けろとは頼んでいないのだわ!!」
 タケ「大概にせえ!もょやリアちゃんに感謝するんやな。そうじゃないと誰がお前等など助けるか!ボケェ!!」
 もょ「ふたりともいいかげんにしろ!!けんかしているばあいじゃないだろう!!」
 タケ「す、すまねぇ……」
ムーン「ご、ごめんなさい……」
流石にマジギレしたもょもとには俺もムーンも少し竦み上がった。

 もょ「はなしをかわるがおれとタケ、リアちゃんはもんしょうをさがすことにするがふたりはどうする?」
サマル「ええっ!?どういう事だい?」
 もょ「おれたちとわかれてハーゴンをたおしにいくのはかまわない。しかしいまのままでは
    ハーゴンどころかドルマゲスすらおれたちはたおすことができない。いまはちからをあわせるときなんだ。」
ムーン「………………確かに現実問題はそれが最善策なのだわ。」
サマル「そ、それじゃあ………」
ムーン「仕方がないのだわ。サマル。確かに今の私達だけじゃ無駄死にするだけだわ。
    タケがいるのは気に食わないだけど。」

こいつは………もう、あきれて何も言えへん…しかし回復呪文が使えない俺達にとっても
欠点が塞がる訳だからここは我慢して妥協するか。

 もょ「それならきまりだ!タケもリアちゃんもそれでいいだろ。」
 リア「…………………………うん。」
 タケ「成り行きやし、しゃーないわ…………お前に従うよ。もょ。」

ムーン「何か文句あるのならハッキリいいなさいよ!!」

453 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/03(月) 09:51:15 ID:akkEbyxiO
支援

454 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/12/03(月) 10:44:34 ID:Ish8Z3lR0
 タケ「はいはい。こんなに見苦しい馬鹿女は俺の世界でもめったにおらへんわ。これだけ言っといてやるわ!
   『思い込む』という事は何よりも『恐ろしい』事や。
    しかも自分の能力や才能を優れたものと過信している時はさらに始末が悪いしな。
    その場合、我が身だけではなく回りの仲間にも迷惑をかける事になるんや!
    後、お前がアホ過ぎて反論する気にもならへん。」

ムーン「フ、フン!!何よ!!え、偉そうな事ばっかり言って……」

ムーンが反論したが流石に欠点を突かれたらしく無理に反論した感じだった。

 タケ「あっそ。もう終了な。キリが無いから。もょ。話は変わるが今から紋章探しか?」
 もょ「ああ。もんしょうをそろえることができたらせいれいルビスにあえるからな。それにタケもじったいかするかもしれない。」
サマル「そ、そうするのが今後の計画なんだね………?」

サマルがビビリながら発言するのは無理もない。
 タケ「今は仲良くしようや。言っておくがこっちから仕掛けることは無いから安心せえ。」
サマル「し、信用してもいいのかい?」
 タケ「勿論や。ただし、そっちから仕掛けてきたら………………確実に殺すで。ええな?」

サマルは震えながら頷いた。

もょ「よし。じょあもんしょうさがしにいくとするか。」

もょもと&タケ
Lv.18
HP: 56/130 
MP: 0/  9
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜 錆びた剣
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:隼斬り・魔人斬り・ドラゴン斬り
  タケ専用:かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御・メラ
       火炎斬り

455 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/03(月) 20:39:08 ID:akkEbyxiO
二人とも乙!なかなかの力作だった。

>>GEMAさん
良い感じな兄弟愛だな。
呼んでいるだけでも和んだ。
>>レッドマンさん
物語より人間賛歌が重視しているみたいだな。
色々と考えさせる。

しかしヘンリーもタケもちょっとツンデレかw

456 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/03(月) 21:12:49 ID:1u+Pe9e70
お二方とも乙。
それにしても嫁を差し置いて比翼連理とは、マリアが嫉妬するぞw

457 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:32:00 ID:HHfoHnmT0
2.人形劇の舞台裏 (>>376-381)

サクヤはエイトとセブンとの二人とともに占い師ルイネロの元に行った。
マリベルもついていこうとしたが親のアミットに止められてかなわなかった。
ルイネロの占いでは次のような結果が出た。


まず、この世界が、いくつもの世界が合わさって出来上がっている世界だということ。

例えばセブンとエイト、本当ならばこの二人が出会うはずはなかった。
この二人はそれぞれ長い旅しており、それぞれの世界をよく知っていた。
しかし二人の知っている世界はまったく違うものだった。
それは二人は違う世界の住人なのだから当然なのだが。
しかし、こうして出会っている。
二人の住む世界がつながってしまっていたのだ。
さらにつながっているのは二つの世界だけではなかった。
二つ以上の世界が合わさろうとしているようだった。

458 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:34:11 ID:HHfoHnmT0
次に、異世界の人間が複数この世界に迷い込んでいるらしいこと。

異世界とは、合わさっているこの世界のさらに外にある世界の事である。
その世界の人間がある一枚の石版に封印されたのだ。
セブンやエイトとはまた異なる世界で生きてきたサクヤが、
この世界にとって招かざる客だと感じたのは、自分が彼らとは違う存在だからだ。
マリベルの勘はある意味正しかったのだ。


最後にこの異変は、先の石版がバラバラに砕けてしまったのが原因だということ。

サクヤの持っている石版の欠片は、その石版のパーツで間違いないだろうということ。
そしてそれらの石版をあわせることで世界が元に戻るということ。
合わせる場所はどこかの神殿であること。
この神殿に異世界の人間が集まり石版を合わせる姿が見えること。
ただし、その場所には人間でないものもいるようであること……

459 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:36:45 ID:HHfoHnmT0
「世界が元に戻ると言うことは異世界の人間である君も元の世界に戻れると言うことだろう」
ルイネロの占いの結果を受けエイトが言う。
「石版をあわせるときに人間でないものの姿も見えると言っていたのが気になるね」
「モンスターが待ち構えているのかもしれないな」
「在り得るね」
エイトとセブンがうなずきあう。
「封印されたものの中に犬か何かが混ざっているなんてことかもしれませんよ」
二人の心配をよそにサクヤは楽観的な意見を述べた。
「そんな都合のいい話があると思うのか?」
「この世界ではそういうところにボスが待ち構えていると考えるのが定石だよ」
一番奥にボスがいる。どこの世界もそういうものなのかとサクヤは思った。

「そうだ。ボスと戦うとなるとサクヤを鍛えないといけないな。お前何か得意な武器は?」
サクヤはないと答えた。
サクヤは自分がモンスターと戦う姿を想像できなかった。
だがここではそれをしなければならないのだろう。
「それなら効果つきアイテムをいくつか渡しておくから使うといい」


「とにかく占いにしたがって石版を集めることにしましょう」
サクヤは石版集めの話を進めることにした。
「占いのとおりにするためには石版のほかに異世界の人間を神殿に集めなきゃいけないね」
「異世界の人間を探すとなると結構骨が折れるな」
「…その異世界の人たちはサクヤと同じように石版を持っているのかな」
セブンがふとそんな疑問を抱く。
「どうでしょうね。私がたまたま石版を握りしめていただけかもしれません」
「人も石版も別々の場所に現れたとしたら全部見つけるのは一苦労だな」
「これで占いが外れていたら目も当てられないよね」
「それは…そうだ。――サクヤは占いの結果を信じるのか?」
エイトの質問にサクヤは静かに答える。
「私にはこれに頼るしか道はないですから」

460 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:39:09 ID:HHfoHnmT0
そんな話をしているうちに日が暮れてきていつの間にか空には星が瞬いていた。
夜はモンスターが活発になる。一向は寝泊りできる場所を探すことにした。
屋敷があったので一晩の宿をお願いしようということになった。
しかしその屋敷には人の気配はない。中は暗い。人はいないのかもしれない。
サクヤたちは大きな扉を開けて屋敷の中に入る。不気味なほど静かな闇の中に。


――ばたん。

扉が閉まる。

静かな屋敷は一変する。屋敷の中には人ならざるものの気配で満ち溢れていた。
サクヤたちの前に泥人形やミステリードールが現れ、襲い掛かってくる。

「サクヤは下がってて!」
セブンとエイトは剣を構える。
二人は襲ってくる人形たちを次々に打ち倒していく。
ザクザクと斬っていく。
しかし人形は何度倒されても起き上がってくる。
サクヤは部屋の隅でその戦いを見守るしかなかった。

461 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:41:14 ID:HHfoHnmT0
――わけではなかった。
サクヤは自分の横のタンスにナイフを突き立てた。
「うがッ!」
悲鳴とともにモンスターが飛び出す。
「あれはパペット小僧!」
エイトが叫ぶ。

「ど、どうして分かった?」
パペット小僧が叫ぶように言った。
「人形がいるからには近くに人形遣いがいると考えるのが自然ではありませんか」
「しかし、隠れている場所まで見破ったのはどういうわけだ」
「人形たちは私に襲い掛かってきませんでした。何故か」
それは私があなたの死角にいたからでしょう。
私が見えない地にあって誰かが隠れられそうなのはこのタンスだけですからね」
サクヤは淡々と説明していった。

「見つけたのは褒めてやろう。だが貴様一人で何ができる?」
気がつけばサクヤの周りを人形が取り囲んでいた。
「ははっ! お前が得意げに解説している間に呼び寄せた!」
「しまった! 奴の特技は巧みな話術で人を引き付けることなんだ!」
エイトが叫ぶ。エイトとセブンの位置はサクヤを助けるには離れすぎていた。
「俺がちょいと合図を送れば人形どもがお前を地獄に送るのだ」

462 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:43:25 ID:HHfoHnmT0
「うーん。奇遇ですね」
緊迫した空気に場違いな軽い口調でサクヤがしゃべる。
「会話によって時間を稼いでいたのは私も同じなんですよ」
「何だと?」
「そろそろ毒が回ってくるころじゃないですか?」
サクヤがタンスに刺したナイフを引き抜きながら言う。
「これ毒牙のナイフって言うらしいですね。かすっただけでも相手の動きを封じるとか」
「そんな! ひぃ!」
パペット小僧は小さく悲鳴を上げた。サクヤはマグマの杖を構えているのだ。
「何か言いたいことがあれば聞いてあげますよ?」
「俺が悪かった! 助けてくれ!」
パペット小僧の台詞を聞くとサクヤはにっと笑いこう言った。
「確かに聞くことはしましたよ。じゃあ、バイバイ……」

サクヤはマグマの杖を振りかざした。

463 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:45:31 ID:HHfoHnmT0
「こんな状況だと言うのに恐ろしく冷静だったな」
エイトは驚きを隠せない。
「そう見えますか? 背中は冷や汗でびっしょりですよ」
「サクヤ、君って何者なの?」
セブンの質問にサクヤは答える。
「実のところですね、まだ思い出せないのです」
サクヤは続けて言った。
「きっと人に言えるようなことはしていなかったでしょうね」

「石版を集めるいい方法を思いつきました。彼に協力してもらいましょう」
サクヤの指差す先には虫の息のパペット小僧がいた。
マグマの杖でおきた炎は氷の刃によって消されていた。
「石版で元の世界に戻れると言う噂を流せばいんです。彼の話術は使えますよ」
「どういうことだ?」
サクヤの思いつきの解説をするようにエイトが促す。
「異世界から来た人が自分で石版を探し集まるようにする。
そうすることで異世界の人間と石版を探す手間がはぶけます」
サクヤはパペット小僧に近づくとこう聞いた。
「協力していただけませんか。そうすれば止めを刺さずに済みますし」
「は、はいよろこんでぇやらせていただきますぅ」
「それは良かった。名前はあるんですか?」
サクヤの問いにパペット小僧が答える。
「あやつりヨシキィと申します」
涼しげな顔で脅迫してくるサクヤによってパペット小僧が仲間になった。
「…サクヤってこの世界でもたくましく生きていけそうだよね」
少し呆れたようにセブンが言ったのだった。

464 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:47:40 ID:HHfoHnmT0
今日はここまでです。

465 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/05(水) 13:47:59 ID:15rtfcBn0
激しく乙
いよいよ完結編か

466 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/06(木) 15:52:01 ID:oB9qruab0
サクヤ冷静だな。

467 :目覚めた武闘家、エリー編1 ◆Tz30R5o5VI :2007/12/06(木) 19:43:17 ID:JivhPQorO
前回までの話>>400

巨大国、ロマリアを離れて北へ向かうことになった我ら勇者一向…。
装備をそろえたものの、あいかわらずこの地域は強いモンスターがよく現れる。
エリーはほぼ素手だったので、敵の防御力についていけないようだったのだが…。
エリーはすこし何かに、悩んでいるようだった。
なんなのだろうか。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「エ…」
男戦士サイモン「ふう…。なんか嫌な予感がするんだよな」
エリーと話そうと思ったがタイミングが悪かったようだ。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「嫌な予感って」
男戦士サイモン「あのロマリアの国王さ。あの王サマが、俺にひどい災いをもたらす気がするんだ」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「国宝を見つけて渡すだけだし、変な事にならないと思うけど……」
男戦士サイモン「まっ、そうであることを祈るだけだ…俺、嫌な予感は七割の確立で当たるんだ」
不幸な特技だな…。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「もう、日が暮れるね…。今夜はあそこでキャンプにしよう」
パチパチと薪の火の音がする。静かな夜…。
その静寂さのなか、夜行性の怪物達のうめき声が時折聞こえる。
街や村のベッドが恋しい。
サイモンとナナは先に眠った。
ぼくとエリーはその間、二時間の番をするわけだ。キャンプは危険だから、交替で寝るのである。
母は元気だろうか……。
長い夜は始まったばかり。

468 :目覚めた武闘家、エリー編2 ◆Tz30R5o5VI :2007/12/06(木) 19:47:08 ID:JivhPQorO
美しい月だった。
どの世界でも夜空はキレイなんだ。
女武闘家エリー「ねえ」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「あ、うん」
女武闘家エリー「あたしのコトどう思ってるの」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「どうしたの」
女武闘家エリー「あたしは、力じゃサイモンに勝てないし…。ちゃんと、役に立ててるかな?」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ぼくも、そんなこと言われたらさ、魔法使いにも僧侶にも戦士にも、武闘家にも勝ててないと思う…。あと、申し訳ないけど」
女武闘家エリー「…うん」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「エリーはサイモンよりも、力とスピード、あるって。きっとどこかで、その力をセーブしているんだ」
女武闘家エリー「……あたしは、自信がないんだ。偉大な人のために役立ちたくて、でも、その人は、遠くて、身近すぎて、考えるほど、自分が分からなくなってくるの」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「その人ってオルテガのこと?」
女武闘家エリー「って、偉大なのはあんた!…あなたの事よ」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ぼくが…偉大…?」
女武闘家エリー「…違うわ、これからあなたは偉大になるの…、きっと。血と使命が、将来あなたを偉大にするわ、誰もがあなたを讃える。その時に平和が……訪れてるの」
買いかぶりすぎだ。
オルテガの名は重すぎる、ぼくには…。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「じゃあ、平和が訪れたら、エリーも偉大な仲間として語られていくよ。ぼくと一緒に」
エリーの瞳にぼくがおおきくうつっている。
女武闘家エリー「一緒ね!」
エリーはその時笑顔で笑った―。

469 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/06(木) 19:52:13 ID:RbQLZ9W00
リアルタイム遭遇支援

470 :目覚めた武闘家、エリー編3 ◆Tz30R5o5VI :2007/12/06(木) 19:56:07 ID:JivhPQorO
ガサ…と音がした。
剣は…!
女武闘家エリー「誰!!?」
薪の火がいつのまにか消えていた。姿はよく見えないが、この体重を感じられる足音や、鼻からなくような声には覚えがあった。
イノシシによく似ていて、ドラキーなどの飛行系の仲間とよく出現するモンスターの気配である。
こいつらを相手にするのには、ぼくらが四人揃っていなければ勝ち目がない。
しかし、テントには二人が眠っている。逃げることはできない。
大声で叫べば二人は気づくかもしれない、しかし、周囲のモンスターを呼び寄せることにもなってしまう。
つまるところエリーとぼくが倒すしかない!!
ぼく(男勇者ゆきひろ)「エリー!離れるな!エリーならこいつらの気配が分かるだろ、ぼくはとどめをさす、だからっ!!」
女武闘家エリー「わかったわ!!!」
そう! その最速のスピードですべての攻撃をかわし、先制攻撃できる!それがエリーの力だ。
エリーはきっと今、目を瞑り、五感を研ぎ澄ましているだろう。
女武闘家エリー「はああっ!!」
ドッ!!と殴った音! 拳がモンスターをとらえる!!!
至近距離でようやく見えた倒れたモンスターをぼくがとどめをさす。あと何匹だ?!
ぼく(男勇者ゆきひろ)「大丈夫か?エリー、あと…」
女武闘家エリー「もう一匹は、あんたの後ろよ!!!!」
後ろ! 振り向き、剣を振り下ろした………手応えはあった!!!!
あと…。
ようやく目が暗やみになれてきた…。
エリーに襲いかかるモンスターの影!! あのモンスターは一人じゃだめだ。
そのモンスターに斬りかかろうとしたら。
女武闘家エリー「大丈夫! あたしにまかせて!」
ぼくは見た。その数百キロの巨体をエリーは一撃できめたのだ。
倒した瞬間、その巨体が地面にめりこみ、森がゆれた…。
女武闘家エリー「はあ、はぁ…」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「エリー…」
テントからサイモンの声。
男戦士サイモン「うるせえよバカ、なにやってんだよ…」

471 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/06(木) 20:02:31 ID:W077HCBN0
支援!!

472 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/06(木) 20:05:52 ID:RbQLZ9W00
> じゃあ、平和が訪れたら、エリーも偉大な仲間として語られていくよ。ぼくと一緒に
か・・・かっこいい。

倒し終わった頃に出てくるサイモン、テラワロス。

473 :目覚めた武闘家、エリー編4 ◆Tz30R5o5VI :2007/12/06(木) 20:06:37 ID:JivhPQorO
その次の朝に出発し、カザーブの村についたのは二時間後。
看板が汚れていてよく読めなかったが、村の人に聞いて村名が分かったのだ。
秘境という言葉がぴったりくる村…。ここがロマリアの国王が言っていた村に間違いなさそうだ。
村人「ああカンダタね、その盗賊なら子分らと一緒に村にたまに来るよ。ていうか西のシャンパーニの塔は奴らのアジトだから今はそこにいるだろうな」
有力な情報である。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ありがとうございました。たすかりました」
村人「いやいや、いいさ」
この後、村をまわってみた。宿屋は高く、武具屋などはなし…。やはり物静かな雰囲気の村であることがあらためてわかった。楽しみといえば温泉があることだった。夜に入ろうかな。
女武闘家エリー「ねえ、ゆきひろ、あれ…」
ん…墓だ。
『素手で熊を殺した、偉大なる武闘家、ここに眠る』
ぼく(男勇者ゆきひろ)「名前は誰なんだろう…」
汚れていて読めなかった。
女武闘家エリー「すごい人だったのね」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「うん……」
男戦士サイモン「お、さっきのおっさんが来たぞ?」
村人「見たところ、冒険者だね、昔やってた店の武器やらがあるから、うちの家にこないか? 格安にしとく」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「へえ…。じゃ伺います」
そんなわけで、行くことになった。普通の民家、そのうらの物置に。
女武闘家エリー「えっ!!」
村人「どうだい、何か欲しいのはあるか?」
女武闘家エリー「これ、鉄の爪じゃない! きゃあ、やった!!!!」
ロマリアにもなかった武闘家専用の武器だった。なぜか武闘家の武器はレアのようで、これまで見たことはなかった。
女武闘家エリー「すごいね、ゆきひろ! あたしの武器、見つかったわ!」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「うん、すごいな!」
思わず、いきおいで抱擁しあってしまった…。
男戦士サイモン「おまえら、そんなに仲よかったっけ」
女僧侶ナナ「よかったですねエリー!」
村人「武闘家さんなら武闘着もあるから、武器と一緒で1000Gでいいよ」
高い攻撃力の鉄の爪と、高い防御力の武闘着がやすく買えてしまった。
偉大なる武闘家が眠る村には、すばらしい武闘家の装備品が売っている。
バラモス、着実におまえに近づいているんだ。

474 :目覚めた武闘家、エリー編5 ◆Tz30R5o5VI :2007/12/06(木) 20:11:49 ID:JivhPQorO
次の日、村を出発し西へと向かった。
ぼくらの旅に休日はない…。
『さまようヨロイが現れた。』
ロマリアのあたりでエリーが苦戦したモンスターだった。
女武闘家エリー「来たわね!!!!!はあっ!!!」
エリーが跳んだ!
頭部へと強烈な一撃を繰り出したのだった。
男戦士サイモン「おいおい! 強いな…。どうしたんだよ?!」
おそろしく強くなっていた。
サイモンも、負けていられないとシャンパーニの塔までの道中、めずらしく戦闘に気合いが入っている。
そういうぼくも負けてはいられない。
男戦士サイモン「ははは、なかなか張りがあっていいよな、なあ、ゆきひろ」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「うん」
女僧侶ナナ「ふふ」
エリーが誇らしげに鉄の爪を見ている。
その表情は、不安などどこにもみられなかった。
これならどんな敵にも勝てると、その時はそう思っていた。
そして…。
目的地である塔が見えたのだ。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「いくぞ、シャンパーニへ!!」
サイモン&エリー&ナナ「おお!」
そこはカンダタ達のアジトだ!

475 : ◆Tz30R5o5VI :2007/12/06(木) 20:16:18 ID:JivhPQorO
>>469
>>471

支援されてよかった
行数ではじかれて焦った
どうもありがとう。投下は終わりです

476 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/06(木) 20:29:04 ID:RbQLZ9W00
新作&投下乙でございました。
装備も整えて、パーティーのみんなもコンディション最高で、エリーさんといい雰囲気ですね。

> その時はそう思っていた。
波乱の予感・・・。

477 :Stage.? 雑談 ◆IFDQ/RcGKI :2007/12/07(金) 22:24:21 ID:MXoTTvC/0
※本日の雑談はタツミ君とエリスさんにお願いします。

エリス「みみ皆様こんにちは! エ、エリス=ダートリーと、も、申します!」
タツミ「そんなに緊張しなくても大丈夫だよw
   えーと今回は、>>356様のご質問にお答えしよう、というのが主旨らしいね」
エリス「やはりわかりにい部分ですよね」
タツミ「でもぶっちゃけさぁ……作者が設定厨なだけで、わからなくても問題ないよね?
   どうせこの話だけのオリジナル設定だし、今後もほとんどストーリーに絡まないだろうし」
エリス「それを言ってしまうと、雑談ここで終わっちゃうんですが」

タツミ「タネ明かしをすると、実は僕のように『現実』から来た人間には、
   この世界の魔法の習得はものすご〜く簡単なんだ」
エリス「そうなんですか?」
タツミ「以前、アルスに外側から僕のステータスを画面で確認してもらったことがあったけど、
   あの時、僕は頭の中でコマンド指定の流れを想像しただけで、それが実現したでしょ」
エリス「あっ、ゲームの中から直接コマンド指定ができるなら……」
タツミ「呪文の発動も同じ要領でできちゃうわけ」
エリス「では私たちのように『着火までの過程をできるだけ具体的に想像してー……』
   なんてプロセスを踏まなくてもいいんですね」
タツミ「もっとも実際やってみると、イメージウィンドウでのコマンド入力の方が難しいけど」
エリス「なぜですか」
タツミ「目の前にモンスターがぐわーっと迫ってるところで、
  『のほほんとテレビにゲーム画面が映ってる状態』を想像しろって方がムリだよ。
  『大爆発が起きてモンスターをぶっ飛ばす!』ってイメージの方が咄嗟に浮かぶし、爽快だしね」
エリス「その場合、勇者様はどのような過程をイメージされるんですか?」
タツミ「簡単だよ、モンスター周囲の大気成分が位相反転して反物質になったと仮定して……」
エリス「それ、たぶん現実の方々でもそう簡単にイメージできるとは思えないんですが」


タツミ「結局、全然答えになってないような」
エリス「そうですね」

478 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/07(金) 22:43:22 ID:7POy2A/A0
おお、コマンド入力をイメージするですか。
確かに反物質と物質が接触すると対消滅してエネルギーになりますね。
物質を構成する電子を陽電子に、陽子を反陽子に変換する過程のイメージは慣れるまではちょっとだけ難しそうですね。

479 :幕間 街角にて… ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/08(土) 00:56:50 ID:IEWvA9510
※時間軸はサンタローズ攻略直後くらいでしょうか。
『寄ってらっしゃい見てらっしゃい!旅に欠かせない道具の実演販売だ!』
「へぇ、あんなチビッコを引き連れて路上販売?珍しいな。」
「オラクルベリーらしい商売だね。少し見ていこうか?」
『お、兄さんノリが良いねえ。セル君、準備はOK?』
『OKOK準備万端だよ。兄ちゃん。それじゃあ今日の商品は…コレだあ。』
『一見何の変哲もない袋。 この中に…そうだ、兄さんの剣でも入れてみようか?』
「はぁ?こんな小さい袋に剣が入るわけが…」

―すぽっ!―

「!?」
「…いや…袋ってのはこういうもn…「SUGEEEEEEE!中国雑技団みてえ!!」
『驚くのはまだ早いよ。それじゃあセル君、兄さんの剣を返してあげようか?』
『OKOK勿論勿論。借りたものは返さなきゃね。ハイヨッ!!』

ポイッ! ⊃鋼の剣  ポイッ! ⊃マジックシールド  ポイッ! ⊃亀の甲羅
ポイッ! ⊃破邪の剣  ポイッ! ⊃うまのふん …(ry

「SUGEEEE!!なんかいっぱい出て来たあっ!!」
「…だから…袋ってのはこうi…「ブラボー!おぉブラボー!!」
『兄さんノリが良くて気持ち良いねえ。それじゃあそろそろ剣を返そうか。』

ポイッ! ⊃天空の剣

『はい、兄さんありがとうね。』
『さぁ!この袋に今なら福引券をつけて、たったの¥5000ゴールドだ!』
「かっけえぇぇぇ!!あの袋欲しい!ちょっと天空の剣売って金作ってくるわ。」

「「駄目!!」」

(´・ω・`)

480 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 11:43:18 ID:2IQBwLulO
ふくろって不思議だなぁ…

481 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 20:45:45 ID:eAdcY7Kg0

 〜作り合わされし世界〜

    → 冒険をする
      →0:サクヤ
        1:しなの  
        2:ヨウイチ 
        3:タロウ 

482 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 20:50:10 ID:eAdcY7Kg0
3.風の噂と道化師(>>457-463)

異世界の人間が石版を集めることで元の世界に戻れると言う物語。
話はヨシキィによって人形劇として演じられる。
これを本当の話であることを匂わせて人々に噂を広めることにした。

「匂わせるんじゃなくて本当のことをきちんと言ったほうがいいんじゃないか?」
「噂なんていうのはどこか秘密めいていたほうが広まるものですよ」
エイトの質問にサクヤはにやりと笑いながら答える。
「噂を広めるなら人の出入りが多い場所がいいよね」
「そうですね。どこかよさそうな町を見つけ次第取り掛かりましょう」

一向は人々でにぎわう町を見つけた。噂を広めるにはよさそうな町である。
活気にあふれた町は人々が集まりザワザワと大いににぎわっていた。
「僕たちは町の人たちから情報を集めてくるよ」
新しい町にきたら隅々まで調べる。それは旅をする者の習慣のようなものだった。
「町の中とはいえ悪魔のつぼやミミックがいるかもしれないからサクヤは待っててくれ」
セブンはつぼや宝箱に化けたモンスターが襲ってくることがあると説明した。
「そういう擬態を見破るインパスという呪文がある。赤く光ったらモンスターだ」
「自分たちの仲間が多いときは戦うのも手だけど人数が少ないと脅威なんだよ。
危ない橋は渡るなってね」
そんなことを言った後セブンとエイトはサクヤを残して情報収集に向かった。

483 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 20:52:12 ID:eAdcY7Kg0
サクヤはヨシキィとともに人形劇を準備を始める。
「おうおう、お前ら誰の許可をもらって仕事をしようって言うんだ?」
そこへ見るからに柄の悪い男が因縁をつけてきた。
「おや、許可が必要だったのですね。それは知りませんでした」
「分かったんなら場所代を払ってもらおうじゃないか」
「すみませんね。あいにく今手持ちがないのですよ」
「なめた口利くんじゃねぇ! この町のルールってのを教えてやるよ!」
男はこぶしを振り上げた。
「この人は知らなかったと言っているんだ。そのくらいにしておくんだな」
誰かが男の手を掴んでいた。見るからに屈強そうな男だった。
その男を見て柄の悪い男は舌打ちをしてその場を去った。

「助かりました。お礼を言わせていただきます。ありがとうございました」
「礼はいい。金があれば飯でもおごってもらうところだがな」
サクヤの礼に男は少しおどけた調子で答えた。
「ええ、それくらいはさせてもらいます」
「おいおい手持ちがないんじゃなかったのか?」
「あの男に払うようなお金は持っていないと言う意味ですよ」
サクヤはおかしそうにそう言ったのだった。

484 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 20:54:15 ID:eAdcY7Kg0
町で知り合った男はダンと名乗った。サクヤはダンとともに町の食堂で食事を取る。
この町に来る途中モンスターと戦い少しばかりのお金は持っていたのだ。
「以前この町に来たときはあんな連中はいなかった。裏に誰かいるかもしれないな」
「困りましたね。この町での公演はあきらめたほうがいいかもしれません」
「そのモンスターに人形劇をやらせようってのかい。大丈夫か?」
ヨシキィも食堂についてきていた。
「手なずけてありますから。でも裏切ったときは遠慮なくどうぞ」
ダンが腰に挿しているナイフを指差してサクヤは言った。
ちょっと趣味の悪い冗談だとダンは思った。
「どうもただの人形劇じゃなさそうだな」
「石版を集めたいのですよ。それを神殿にもって行けば私の願いが叶うのです」
サクヤの言葉にダンは少し眉をひそめた。
「願いというのは私のような異世界の人間が元の世界に戻ることです」
サクヤはそういうと防具袋の中から石版のかけらを取り出した。
「こんな石版なのですがどこかで見かけませんでしたか?」
「いや、知らないな。なんなんだイセカイというのは」
「遠いところです。もし異世界の人間がいたら石版の話をしてあげてください」
そんな会話を交わした後サクヤたちは食堂を出た。

485 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 20:56:18 ID:eAdcY7Kg0
「見つけたぞお前たち!」
食堂を出てすぐ先ほどサクヤに絡んできた男が再び現れた。
「先生お願いします!」
男は自分では敵わないと思い用心棒を連れてきていた。
その先生と呼ばれたのはモンスターだった。
「あれは地獄のピエロだ。強力な攻撃のほか魔法まで使ってくるぞ」
モンスターを見てダンがサクヤに忠告する。
「戦いは避けられそうにないですね。先手必勝です」
そういうとサクヤは一本の槍を振りかざした。
「砂塵の槍。道具として使うと目くらましになるそうです」
地獄のピエロは幻に包まれた。
「あれあれー、自慢の攻撃も当たらなきゃ意味がないですねー」
サクヤが地獄のピエロを挑発する。
「おい、こいつには魔法攻撃があることを忘れるな!」
ダンが忠告したまさにそのとき地獄のピエロがメラミを放つ。

「楽でいいですね。こんな煽りに簡単に乗るなんて」
メラミの炎はサクヤの手前で進行を止め、術者に戻っていく。
「さざなみの剣。道具として使うと魔法を跳ね返す効果があるそうです」
サクヤは燃え上がる地獄のピエロに向かって解説した。
「まだやりますか?」
サクヤは柄の悪い男に向かってにっこり微笑む。

その後ダンはクレージュという町に行くといってサクヤと別れた。
邪魔が入らなくなったことでサクヤは人形劇を始める。

「ねえ、見てよ。変なのがいる」
情報収集から戻ってきたセブンがエイトに話しかける。
セブンが見たものはサクヤの人形劇の呼び込みをしている焦げたピエロだった。

486 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 20:57:02 ID:OacaC8DMO
シエンナ

487 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 20:58:20 ID:eAdcY7Kg0
「サクヤってさ何者なの?」
何が起きたのかを知ったセブンがサクヤに尋ねる。
「何度も言いますけど覚えてないです」
セブンの質問にサクヤはしれっと答える。
「さすがに何も覚えてないってことはないだろ」
エイトの言葉にサクヤは少し間を空けたあと口を開いた。
「たとえばの話ですよ。
私が目を覚ましたら見知らぬ宿屋にいました。私は異世界の人間です。
――なんていう人間がいたとして信じられますか?」

「僕は信じてもいいと思う」
「…もう少し人を疑うことを覚えたほうがいいですよ」
セブンの言葉に少し呆れたようにサクヤが言う。
「何も教えてくれない人間よりは信じてみようって気になるさ」
エイトがサクヤを非難するように言う。
「それにさ。誰だって自分のことを信じて欲しいものだろ」

「信じてくれなくてもかまいません。私はずっと独りで生きてきたんですから」
そう言うとサクヤはその場から去ろうとする。
「どこ行くんだよ」
「少し一人になりたいんです」
「待ってよ」
「ほうっておけ」
あとを追おうとするセブンをエイトが引き止める。

488 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 21:00:24 ID:eAdcY7Kg0
サクヤは町の外に出ていた。
そしてあの二人、セブンとエイトとのやり取りを思い出していた。
自分はずっと独りで生きてきた。それは間違いないことだ。
だから自分はこんなところにいても物怖じせずにいることができるのだ。
しかしそれ故に自分は他人に信じてもらうということが苦手なのかもしれない。
人に弱みを見せることができない。それこそが自分の弱点なのかもしれない。
…自分はこれからどうすべきなんだろう。

サクヤは外の空気を吸って深呼吸をしていた。
あたりはすっかり暗くなっている。
頭を冷やしたことでとてもすっきりした気分になった。
なんだかあの二人ともうまくやっていける気がする。

ドシン。

静かな夜を打ち破る大きな音がした。サクヤの前にはゴーレムがいた。

サクヤは目の前にいるモンスターを見る。
力が強そうな魔物だ。
この魔物と戦うならば直接やりあうのは得策ではないだろう。
サクヤはすかさず眠りの杖を振りかざした。

しかしゴーレムには効かなかった。

「そんな!」
ゴーレムのこぶしがサクヤに振り下ろされる。
こんなものを普通の人間が一撃でも食らったらひとたまりもない。これで終わりだ。
サクヤは静かに目を閉じた。

489 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 21:02:26 ID:eAdcY7Kg0
「こんなことで諦めちゃ駄目だ!」
「お前は元の世界に帰るんだろ!」
セブンとエイトがゴーレムの攻撃を受け止めていた。
この二人が力を合わせればゴーレムといえどもひとたまりもない。
ゴーレムはその場に崩れ落ちた。

「大丈夫、サクヤ?」
「夜はモンスターの動きが活発になる。気をつけろよ」
サクヤはしばらく黙っていた。そしておもむろに口を開いた。
「私は…ずっと一人で生きてきました。誰の力も頼らず…
だからこの見知らぬ土地に来て…ここでも独りで生きていこうと…」
その声はほどんど聞き取れないほど小さなものだった。

「もっと僕たちを信じてよ」
「自分を信じて欲しかったら他人を信じることも必要だぞ」
「私のこと…私のこと、信じてくれますか?」

490 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 21:03:07 ID:OacaC8DMO
シエンナギロリー

491 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/08(土) 21:03:28 ID:eAdcY7Kg0
今日はここまでです。

492 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 21:42:16 ID:JaRqtPRr0
焦げたピエロの呼び込み和良た(wwww

エイトも、セブンもいい奴ですね。

493 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/10(月) 13:59:32 ID:yXLN9vqH0
>477-478
すごく…光子魚雷です

494 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/11(火) 19:56:20 ID:uS1qVh+KO
ベビーデーモンは保守を唱えた!

しかしMPが足りなかった!

495 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/12(水) 20:01:44 ID:VEX62hOd0

〜作り合わされし世界〜

    → 冒険をする
      →0:サクヤ
        1:しなの
        2:ヨウイチ
        3:タロウ

496 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/12(水) 20:04:17 ID:VEX62hOd0
4.裂けいく異世界

「私ってよっぽど怪しい人間だと思われていたみたいですね」
「ああ。こいつ絶対裏があるって思ってた」
「そんなこと言っちゃ悪いよ」
「いえ、今にして思えば私も警戒するあまり不審な態度をとっていました」
「確かに見知らぬ世界にすんなり馴染む人間がいたらそっちのほうがよっぽど怪しいよな」
「それ言いすぎだよ」
町で戻る途中サクヤとエイトとセブンはそんな会話を繰り広げていた。

帰り着いたあとセブンとエイトがサクヤに集めた情報を伝える。
「面白い話が聞けたよ。魔王が現れたけど急にいなくなったんだって」
「その原因は不明だけどな。そして同じころ世界がおかしくなり始めたようだ」
魔王という言葉にまたもやサクヤの表情が険しくなる。

「消えた魔王っていうのが世界の崩壊と関係あるのかもね」
ふとセブンがそんなことを言い出した。
「どういうことでしょう?」
サクヤが少し不安そうに尋ねる。
「魔王がこの世界の外側に行ってそこから世界を壊しているのかもしれない」
「面白いですね。いえ、面白いなんて言っちゃいけないですね」
「もしかしたらその世界を崩壊させる方法ってのがサクヤたちなのかもね」
「私にそんな力はありませんよ」
セブンの言葉をサクヤは否定する。しかしセブンはこう続けた。
「石版にはそんな力があるかもしれないよ。
異世界の人間を封印することで世界が変になったんじゃないかって思ったんだ」

497 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/12(水) 20:05:55 ID:0cCMlwTHO
キング支援が あらわれた!

498 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/12(水) 20:06:21 ID:VEX62hOd0
「封印されているのはこの世界そのものなのかもな」
それまで黙っていたエイトが口を挟む。
「つまり、この世界がおかしくなっているのは封印されている状態だってこと?」
「私が封印されているわけではないというわけですね」
エイトの意見にセブンとサクヤが興味を示す。
「この世界は封印されて壊れ始めた。
その影響でできた次元の裂け目みたいなものにサクヤたちは飲み込まれてきたのかもな」

「封印されて壊れだした世界。裂けいく異世界というわけですね」
「裂けいくってよりも合わされし世界って感じじゃない?」
サクヤの言葉にセブンが反論する。
「裂けいく異世界。なんとも暗示的な言葉ではありませんか」
しかしサクヤはその言葉が気に入ったらしく何度かつぶやいていた。
「そうかなあ。そもそも世界が封印されているって決まったわけじゃないんだよね」
「とにかく石版を集めれば分かることだ」

町から町へ渡り歩きヨシキィの人形劇が演じられる。
モンスターが客をひき演じるその話は人々の心をつかんでいく。
劇に魅せられた人は石版の話をまた別の誰かに話し噂を広める。
噂話は町から町、国から国、そして夢の世界にまで広まっていった。

夢の世界のある町での出来事。
二人の子供、イリヤとジーナが宝探しごっこをしている。
探す宝は不思議な石版。
その様子を一人の少女――バーバラが見つめていた。
こうして石版の噂は異世界からきた者の元へ届いていくのであった。

499 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/12(水) 20:08:26 ID:VEX62hOd0
「今回はこの教会で劇をやらせてもらうことにしましょう。
近くには勇者の泉と言うものがあってこの教会には旅人が集まるそうですよ」
教会は荘厳な雰囲気の中にありパイプオルガンの音が似合いそうだった。
ステンドグラスの窓がキラキラと輝いていた。
「俺はどうにも教会って言うのが苦手なんで――いえ、やりますやります」
ヨシキィはセブンとエイトを見てすぐさま抵抗を諦めた。
二人はサクヤを元の世界に返そうと一生懸命になっている。
サクヤを仲間だと思うようになっていたのだ。
「私も教会なんて落ち着かないですよ。でもこれも石版を集めるためです」
サクヤの言葉に促され、地獄のピエロが人を集める。

「近頃石版の噂をよく聞くと思ったが、君たちの人形劇のせいだったのか」
人形劇を見た神父がこんな感想を述べた。人のよさそうな神父である。
「ここはすでに噂は広まっていたのですね」
「ふむ、噂を信じて4人連れが石版を見つけると言っていたがどうなったのだろうか」
神父はその旅人のことが気にかかっているようだった。それはサクヤも同じだった。
その言葉を聴いてサクヤは自分の狙い通りになっていると確信した。

「どうやら私たちの旅も終わりのようですね」
石版の噂は十分広まった。これ以上旅を続ける理由はないのだ。
「神殿に向かうんだね。祭壇がある場所まで送るよ」
「やめておこう。異世界の人間が元の世界へ戻るのに巻き込まれる可能性がある」
セブンの提案にエイトが反対する。
「そうですね。最後くらいは自分一人の力だけでいきましょう」
「ああそうだ。ヨシキィはスカモンとして俺が預かろう」
「地獄のピエロはモンスターパークに入れるよ」

500 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/12(水) 20:10:31 ID:VEX62hOd0
「サクヤともお別れだ。寂しくなるな」
一人神殿へと向かうサクヤの背中を見てエイトが漏らした。
「別れた者のその後の幸福を願うなら決してその別れを嘆いてはいけない」
セブンのいつもとは違う力強い言葉を放つ。
「僕の言葉じゃないよ。でも、僕にとってとても意味のある言葉なんだ」
すぐにいつもの調子に戻ってそう続けた。
「そうだな。サクヤのことは笑顔で送り出そう」
こうしてサクヤの人形劇を利用した石版を集めるための旅は終わった。

サクヤは神殿へ向かう。
靴の音だけがカツカツと聞こえる。
もうすぐこの世界ともお別れだ。
裂けいく異世界。
このばらばらになった石版のような世界から。


――最終章へ

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