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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら11泊目

457 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:32:00 ID:HHfoHnmT0
2.人形劇の舞台裏 (>>376-381)

サクヤはエイトとセブンとの二人とともに占い師ルイネロの元に行った。
マリベルもついていこうとしたが親のアミットに止められてかなわなかった。
ルイネロの占いでは次のような結果が出た。


まず、この世界が、いくつもの世界が合わさって出来上がっている世界だということ。

例えばセブンとエイト、本当ならばこの二人が出会うはずはなかった。
この二人はそれぞれ長い旅しており、それぞれの世界をよく知っていた。
しかし二人の知っている世界はまったく違うものだった。
それは二人は違う世界の住人なのだから当然なのだが。
しかし、こうして出会っている。
二人の住む世界がつながってしまっていたのだ。
さらにつながっているのは二つの世界だけではなかった。
二つ以上の世界が合わさろうとしているようだった。

458 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:34:11 ID:HHfoHnmT0
次に、異世界の人間が複数この世界に迷い込んでいるらしいこと。

異世界とは、合わさっているこの世界のさらに外にある世界の事である。
その世界の人間がある一枚の石版に封印されたのだ。
セブンやエイトとはまた異なる世界で生きてきたサクヤが、
この世界にとって招かざる客だと感じたのは、自分が彼らとは違う存在だからだ。
マリベルの勘はある意味正しかったのだ。


最後にこの異変は、先の石版がバラバラに砕けてしまったのが原因だということ。

サクヤの持っている石版の欠片は、その石版のパーツで間違いないだろうということ。
そしてそれらの石版をあわせることで世界が元に戻るということ。
合わせる場所はどこかの神殿であること。
この神殿に異世界の人間が集まり石版を合わせる姿が見えること。
ただし、その場所には人間でないものもいるようであること……

459 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:36:45 ID:HHfoHnmT0
「世界が元に戻ると言うことは異世界の人間である君も元の世界に戻れると言うことだろう」
ルイネロの占いの結果を受けエイトが言う。
「石版をあわせるときに人間でないものの姿も見えると言っていたのが気になるね」
「モンスターが待ち構えているのかもしれないな」
「在り得るね」
エイトとセブンがうなずきあう。
「封印されたものの中に犬か何かが混ざっているなんてことかもしれませんよ」
二人の心配をよそにサクヤは楽観的な意見を述べた。
「そんな都合のいい話があると思うのか?」
「この世界ではそういうところにボスが待ち構えていると考えるのが定石だよ」
一番奥にボスがいる。どこの世界もそういうものなのかとサクヤは思った。

「そうだ。ボスと戦うとなるとサクヤを鍛えないといけないな。お前何か得意な武器は?」
サクヤはないと答えた。
サクヤは自分がモンスターと戦う姿を想像できなかった。
だがここではそれをしなければならないのだろう。
「それなら効果つきアイテムをいくつか渡しておくから使うといい」


「とにかく占いにしたがって石版を集めることにしましょう」
サクヤは石版集めの話を進めることにした。
「占いのとおりにするためには石版のほかに異世界の人間を神殿に集めなきゃいけないね」
「異世界の人間を探すとなると結構骨が折れるな」
「…その異世界の人たちはサクヤと同じように石版を持っているのかな」
セブンがふとそんな疑問を抱く。
「どうでしょうね。私がたまたま石版を握りしめていただけかもしれません」
「人も石版も別々の場所に現れたとしたら全部見つけるのは一苦労だな」
「これで占いが外れていたら目も当てられないよね」
「それは…そうだ。――サクヤは占いの結果を信じるのか?」
エイトの質問にサクヤは静かに答える。
「私にはこれに頼るしか道はないですから」

460 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:39:09 ID:HHfoHnmT0
そんな話をしているうちに日が暮れてきていつの間にか空には星が瞬いていた。
夜はモンスターが活発になる。一向は寝泊りできる場所を探すことにした。
屋敷があったので一晩の宿をお願いしようということになった。
しかしその屋敷には人の気配はない。中は暗い。人はいないのかもしれない。
サクヤたちは大きな扉を開けて屋敷の中に入る。不気味なほど静かな闇の中に。


――ばたん。

扉が閉まる。

静かな屋敷は一変する。屋敷の中には人ならざるものの気配で満ち溢れていた。
サクヤたちの前に泥人形やミステリードールが現れ、襲い掛かってくる。

「サクヤは下がってて!」
セブンとエイトは剣を構える。
二人は襲ってくる人形たちを次々に打ち倒していく。
ザクザクと斬っていく。
しかし人形は何度倒されても起き上がってくる。
サクヤは部屋の隅でその戦いを見守るしかなかった。

461 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:41:14 ID:HHfoHnmT0
――わけではなかった。
サクヤは自分の横のタンスにナイフを突き立てた。
「うがッ!」
悲鳴とともにモンスターが飛び出す。
「あれはパペット小僧!」
エイトが叫ぶ。

「ど、どうして分かった?」
パペット小僧が叫ぶように言った。
「人形がいるからには近くに人形遣いがいると考えるのが自然ではありませんか」
「しかし、隠れている場所まで見破ったのはどういうわけだ」
「人形たちは私に襲い掛かってきませんでした。何故か」
それは私があなたの死角にいたからでしょう。
私が見えない地にあって誰かが隠れられそうなのはこのタンスだけですからね」
サクヤは淡々と説明していった。

「見つけたのは褒めてやろう。だが貴様一人で何ができる?」
気がつけばサクヤの周りを人形が取り囲んでいた。
「ははっ! お前が得意げに解説している間に呼び寄せた!」
「しまった! 奴の特技は巧みな話術で人を引き付けることなんだ!」
エイトが叫ぶ。エイトとセブンの位置はサクヤを助けるには離れすぎていた。
「俺がちょいと合図を送れば人形どもがお前を地獄に送るのだ」

462 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:43:25 ID:HHfoHnmT0
「うーん。奇遇ですね」
緊迫した空気に場違いな軽い口調でサクヤがしゃべる。
「会話によって時間を稼いでいたのは私も同じなんですよ」
「何だと?」
「そろそろ毒が回ってくるころじゃないですか?」
サクヤがタンスに刺したナイフを引き抜きながら言う。
「これ毒牙のナイフって言うらしいですね。かすっただけでも相手の動きを封じるとか」
「そんな! ひぃ!」
パペット小僧は小さく悲鳴を上げた。サクヤはマグマの杖を構えているのだ。
「何か言いたいことがあれば聞いてあげますよ?」
「俺が悪かった! 助けてくれ!」
パペット小僧の台詞を聞くとサクヤはにっと笑いこう言った。
「確かに聞くことはしましたよ。じゃあ、バイバイ……」

サクヤはマグマの杖を振りかざした。

463 :作り合わされし世界 ◆YB893TRAPM :2007/12/04(火) 19:45:31 ID:HHfoHnmT0
「こんな状況だと言うのに恐ろしく冷静だったな」
エイトは驚きを隠せない。
「そう見えますか? 背中は冷や汗でびっしょりですよ」
「サクヤ、君って何者なの?」
セブンの質問にサクヤは答える。
「実のところですね、まだ思い出せないのです」
サクヤは続けて言った。
「きっと人に言えるようなことはしていなかったでしょうね」

「石版を集めるいい方法を思いつきました。彼に協力してもらいましょう」
サクヤの指差す先には虫の息のパペット小僧がいた。
マグマの杖でおきた炎は氷の刃によって消されていた。
「石版で元の世界に戻れると言う噂を流せばいんです。彼の話術は使えますよ」
「どういうことだ?」
サクヤの思いつきの解説をするようにエイトが促す。
「異世界から来た人が自分で石版を探し集まるようにする。
そうすることで異世界の人間と石版を探す手間がはぶけます」
サクヤはパペット小僧に近づくとこう聞いた。
「協力していただけませんか。そうすれば止めを刺さずに済みますし」
「は、はいよろこんでぇやらせていただきますぅ」
「それは良かった。名前はあるんですか?」
サクヤの問いにパペット小僧が答える。
「あやつりヨシキィと申します」
涼しげな顔で脅迫してくるサクヤによってパペット小僧が仲間になった。
「…サクヤってこの世界でもたくましく生きていけそうだよね」
少し呆れたようにセブンが言ったのだった。

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