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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら13泊目

565 :※DISPOSABLE HEROS ◆fzAHzgUpjU :2009/01/07(水) 21:51:21 ID:R3LU84zu0
>>552-558の続き

 チビとノッポとデブ、三人とも男だった。三対九本の手足は誰のものにも濃い体毛が生えている。
気を遣われたことなどただの一度もないのであろう粗末な衣服とそろいの青銅の鎧が、
彼らのみすぼらしさと汚らしさをさらに引き立てていた。
 「兄ィ、これを届けたら、おれたち大金持ちだよなぁ」
「そしたらよぉ、モンバーバラまで行って、オッパイのでっかい踊り子いっぺぇはべらして、イイコト三昧しようぜ」
 チビとデブが、黄色い歯をむき出しにして下品な笑いをげはげはと浮かべる。
だが、闇に溶ける笑い声に「兄ィ」と呼ばれたノッポは反応しない。
 「お前ら、そんな『消耗品』に金使って楽しいのか?」ノッポの淀んだ琥珀色の目がぎらりと光った。
 「いいかお前ら。この腕輪をエビルプリーストの旦那に渡したら、おれたちに入るのは十万ゴールドなんていう大金だ。
それを元手にしてさらに金を増やし、武力を蓄える。……そうすりゃ、南方のボンモール王国みてぇな小せぇ国ぐらいなら、
おれたちの手に落ちる。……一国の王にだって、やり方によっちゃあなれるんだぜ?」
 計画されつくされた大きな夢に、チビとデブはひゃー、と甲高い歓声を上げながら飛び上がった。足取りも軽くノッポを
追い抜きながら、「エビルプリースト」と落ち合う約束の場所であるテンペ地方の山深い場所を目指した。
 人間のような生活臭でも、エルフのような花の香りでも、純潔なる魔族の闇の匂いでもない、混濁した気配が三人の
鼻を突く。悪趣味な細工が施された肩当に、魔界では死を表す色の白いローブを身に纏い、「エビルプリースト」は
そこにいた。
 「エビルプリーストの旦那、約束のモンだ。さあ、金を払ってもらおうか」
「おお、おお、ありがたやありがたや……。これでピサロ様もさぞかしお喜びになろうぞ。よくやってくれたの。
褒美の金じゃ。受け取れ」
 伸びて尖った十の爪の先で丁寧に腕輪を受け取ると、足元にあった麻袋を蹴って三人の前に放り出した。
紙の束がぶつかり合う幸せな音がバサバサと袋の中で踊っている。
 「……む……?」皺だらけの顔の上部、眉間と額にさらに深い皺を刻み込んで、エビルプリーストは短く唸った。
 「まずは祝杯と行くかぁ。サランの町の酒場で一杯ひっかけて、明日からはエンドールを目指して、
資金捻出の策を練ろう」
 でこぼこの高さで折線を描く、高さの違う頭が同時に弾けとんだ。脳髄をぶちまけて周りの木々にこびりつかせる
三人の男たちは、ノッポの手からずり落ちて地面に倒れた麻袋が立てる幸せの音を最期に聴くことも叶わなかった。
 「誰がこのようなまがい物を持って来いと言った?」
 地面に叩きつけられるようにして落ちた反動で、麻袋の口を閉めていた紐が緩んだ。
重力に逆らわずするすると落ちてくる麻袋の中身は紙幣ではなく、インクの染みの一滴もないただの紙束だった。
 「黄金の腕輪を取りに行ったのはサントハイムの王女一行だったはずだ……。ククク、面白い。
このワシを出し抜こうなど、よくぞ考え付いた。褒美に、ワシの力のほんのひとかけらをお前たちにくれてやろう」
 血の臭いを嗅ぎつけて、暴れ狛犬の群れが涎を垂らしながら集まってきた。
食欲という本能にぎらついたいくつもの赤い双眸を尻目に、エビルプリーストはサントハイム方面に向かって歩き出した。

566 :さえずりの塔1 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/07(水) 21:52:08 ID:R3LU84zu0
 お城って初めて見たけど、綺麗だったな〜。ヨーロッパの観光名所なんて、きっと比べ物にならないくらい。
本音を言えばもうちょっとゆっくりお城の中を案内してもらいたかったけど、そうは問屋がおろさないって奴だった。

 旅芸人のメイさんを助けたあと、フレノールの南の洞窟へ黄金の腕輪を戻しに行こうとしたら、とんでもない問題が
起きてしまいました。うん、話を聞けば誰だって想像はつくだろうけど、案の定……抜けなくなっちゃってました。
 腕輪がきつくて抜けないんじゃないのがまたタチが悪いの! なんで抜けないかって言うとね、手首のところまで
きたら、腕輪がきゅう〜っと縮まるのよ、これが! で、二の腕のほうまで持っていくと、ぐい〜っと輪の部分が
広がるの。別に私としては汗疹が出来ないなら困ることもないけど、ほかの三人の心配と不安が痛くて仕方ない。
 まーまー、なんとかなりますって〜なんて言いながら、私たち四人は砂漠のバザーにたどり着いた。
この世界のドライフルーツを食べ歩きながら武器屋や防具屋を回って装備を整えていると、
サントハイムの紋章をつけた兵隊さんが、アリーナちゃんを見つけるなり吹っ飛んできた。
 こんなところまで兵隊さんが探しにくるなんて、よっぽどのことがあったに違いない! ということで、
バザー見物も終わったからと彼女たちの国、サントハイムに。戻る途中の魔物は鬱陶しかったけど、
クリフトくんと新しく買った「ホーリーランス」はものすごく使い勝手がよくて戦闘が苦にならなかった。

 サントハイムに着くと、すぐに玉座の間に通された。アリーナちゃんのお父様であるサントハイム王が、必死に
身振り手振りで何かを訴えようとしていた。なんと、突然声が出なくなってしまったのだそうだ。
 泣き出しそうなのを我慢してアリーナちゃんは拳を固く握り締め、玉座に座るお父さんの前から立ち上がった。
 「待っててねお父様。絶対に、お父様のお声を取り戻してみせるわ!」
 意気込みも強く、アリーナちゃんは旅芸人のメイさんからもらった盗賊のカギで、お城のすみっこにあった
小屋みたいに小さな部屋の扉を開けた。部屋の中では、ブライ様なんかまだ若いって思えるほどよぼよぼの
おじいちゃんが、一生懸命ノートに羽ペンを走らせていた。ゴンじいと呼ばれているその人の話によると、
サランの町にいる吟遊詩人のマローニさんは、喉を痛めたことがあるのに今も美しい声で歌っているから、
話を聞きに言ってみてはどうかと言われた。
 マローニさんは「私が喉を痛めたときは砂漠のバザーで見つけた『さえずりの蜜』を飲んだのです」と言う。
砂漠のバザーに行けば「今はもうさえずりの蜜はないんだよ。西にあるさえずりの塔にはエルフが降りてくるって
言うけど、ひょっとしたら……」と、なんとも見事な堂々巡りをやってのけてしまった。

 そんなわけで、私たちは今、さえずりの塔にいるんです。が、……。

567 :さえずりの塔2 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/07(水) 21:52:51 ID:R3LU84zu0
 「きゃあ、やだ!人間よ!逃げなくちゃ!」
「あっ……さえずりの蜜が……」
「そんなのいいから!早く!捕まって虐められてしまうわ!」
 肺にこびりついたタールがまだ抜けない私と、高所恐怖症のクリフトくんがひーひー言いながら最上階に
たどり着いてみれば、あっからさまに酷すぎる言われようをされてエルフの子たちに逃げられてしまいました。
堂々巡りの次はいわれのない誹謗中傷ですか……。第一、私には弱者を捕まえて虐めるような趣味なんて
ありません。―――虐めるぐらいなら虐められたほうが、人間としてまだマシです。
 逃げ出したエルフたちが落っことしていったさえずりの蜜を手に、元来た道を通って塔を降りる。
 「げほっ……げほっ、ごほごほ……っうー……げんげんげん!」
「ひどい咳ですね……大丈夫ですか……?」
 私のこと心配するよりも自分の心配したほうがいいんじゃないかってぐらい真っ青なクリフトくんが、
震える手で私の背中をさすってくれる。
 「平気……。タバコの悪いものがまだ体から抜けてないだけ」
 咳のしすぎで頭までぼんやりしてきた。喉が痛い。階段の上り下りで膝関節がびしびししてる。
 塔から出てキメラの翼でサントハイムまで戻った。戻る途中、空へ引っ張られる感覚が気持ち悪くなったけど、
空中でそんなことになったらものすごく悲惨なことになるから我慢した。

 「わしは恐ろしい夢を見たのじゃ……。闇の帝王が蘇り、世界を滅ぼそうとしている夢を」
 さえずりの蜜でお声を取り戻した王様は、サントハイム王家の血が見せる予知夢の詳細を話した。
闇の帝王が蘇り、世界を滅ぼそうとしている。帝王の名前はわからない。だけど、同じ形で色の違う怪物が
三体、不気味な肉体形成を繰り返して世界を死で包み込もうとする。そんな恐ろしい夢を見たと、王様は言った。
 「アリーナよ。お前の強さと意志の固さはよくわかった。世界を見て来なさい。そして、よからぬことが
起きているのなら、その手で止めて来なさい。……行け、アリーナよ。わしはいつでもそなたの身を案じておるぞ」
 親子が理解しあうときって、どんなリレーションシップでも勝てない絆が生まれると思う。
しっかりとアリーナちゃんを抱きしめて、王様は彼女たちの旅立ちをようやく快諾してくれた。
 よかったね、アリーナちゃん。これで世界を見て回れるね。そんなことを考えたら、安心したのか世界が
回り始めた。いやいや、世界は回らなくてもいいのよ。世界を回るの。私じゃなくて、アリーナちゃんが。
だから、世界は回らなくてもいいんだってば。あららら、膝がガクガクしてぐらぐらり〜……?
 「こ、こりゃいかん!すごい熱……カゼじゃな。喉も腫れておるようじゃ。これ、大臣。
残ったさえずりの蜜を、この娘に飲ませてやりなさい。呼吸や喉の痛みがやわらぐだろう」
 たかがカゼっぴきで倒れた奴にさえずりの蜜はもったいないからいいです。
 と、言おうにも、リンパ腺が腫れてて言葉にならなかった。

568 :エンドールへの旅の扉 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/07(水) 21:53:31 ID:R3LU84zu0
 キメラの翼でフレノールに行き、南下して小さな祠にたどり着いた。朽ち果てたブロック積みの壁が
崩れて、向こう側が見通せるようになっている。アリーナちゃんたちに敬礼してから見張りのサントハイム兵が
見せてくれたものは、……私をこの世界に連れてきてイアンさんから引き離した、あのぐるぐる水だった。
 「この先はエンドール国領となります。出現する魔物もサントハイム国領とは違いますので、どうか、
お気をつけて行かれますよう……。我々は姫様たちのご無事をお祈りしております」
 姫様「たち」とは言ってるけど、この兵隊さん絶対アリーナちゃんのこと好きだ。目で語ってる。
クリフトくん。うかうかしてられないんじゃないの……? こんなに優しくて大丈夫なのかな、この人は。
 「ここから先がエンドールなのね。武術大会に選手として出場できるだなんて……!きゃ〜っ!夢みたい!」
 喜びにくるくる回るアリーナちゃんが、私の目には大回転しているように見える。喉の腫れや呼吸のつらさは
王様がくれたさえずりの蜜の残りでよくなったけど、相変わらず熱は下がらない。
ただ、熱があるのに全然体はつらくないんだよね。我ながらおかしな体だなぁ。
 「よーし!行くわよ!いざ行かん、武術大会へ!」
「エンドールへ、じゃろうに……。姫様のおてんばには本当に先が思いやられるわい。
旅の扉なんぞ、老体をいじめるもの以外の何物でもありませんぞ」
 ぶつぶつ文句を言いながら、さっさと「旅の扉」に飛び込んでしまったアリーナちゃんを追ってブライ様が
渦の中に脚を入れ、ゆっくり沈んでいった。続くクリフトくんも、新天地への期待と不安で複雑な顔をしながら
入っていく。
 もしかしたら元の世界に帰れるかもしれないと淡い期待を抱いた。でも、あのときの渦は「反時計回り」だった。
この旅の扉は、時計回り。右回転をゆっくりと繰り返している。
 ものはためしだ。戻れたらそれでラッキー、戻れなかったらまたアリーナちゃんたちについて反時計回りの
渦の謎を突き止めればいい。

 洗濯機で洗われている服の気持ちがよく理解できた。向こう側の旅の扉につくなり併設の宿屋のご主人に
「お手洗い貸してください!」と言って返事も待たずトイレ駆け込んで、今朝食べたものと盛大な再会を
決め込んでしまう程度には理解できた。具合が悪いときに旅の扉はヤバイ。本当にヤバイ。
 白い顔で出てきてうがいをする私を見るなり、アリーナちゃんは私の横で何か言いたそうにこっちを見ている。
「どしたの?」と聞くと、ぐにゃー、と視界がぶれた。

569 :※THE OUTER MISSION ◆fzAHzgUpjU :2009/01/07(水) 21:54:44 ID:R3LU84zu0
 旅の扉から抜けるなり嘔吐し倒れたメイをアリーナが背負い、三人で魔物と戦いながら一行はエンドールに
たどり着いた。人々の賑わいが八方を流れ、様々な体臭や声や文化が混在している。ブライが宿に部屋を取り、
荷物を置いてメイをベッドに寝かせた。固い革の服を脱がせると、半袖のシャツから伸びる腕にはやはりあの
不気味な金の塊がそこにある。肘と手首の間で眠るように静かな黄金の腕輪は、誰の目から見ても信じがたいほど
当たり前のように落ち着いていた。
 「ひとまず、メイはここに置いて行っても平気じゃろう。姫様、この街には大勢の人々が集まる大きなカジノが
ございます。まずはそこで武術大会についての情報を集めるのが先決かとブライは思いますぞ」
 一刻も早く出場手続きをしに行きたいと目で訴えていたアリーナを制するように、ブライはクロスボウをテーブルに
寝かせて椅子に腰を下ろした。
 「では、私はメイさんを看ていますので、ブライ様と姫様はエンドール見物も兼ねてカジノへ行かれては?」
 気を利かせたのであろうクリフトが、青銅の鎧をはずし言う。しかし、ブライは腰を上げようとはしない。
 「冗談はよせい。これ以上この年寄りに鞭打つようなことはせんでくれ。お主と姫様で行くがよい」
「で、ですが」「『ですが』は禁止じゃ。ほれほれ、さっさと行けい。姫様がうずうずしとるじゃないか」
 クリフトの言葉をさえぎり、ブライは二人に背を向けるように椅子の向きを変えてしまう。
 「……ま、ブライがそう言うなら仕方ないわね。ほら、行きましょ!」
「ひ、姫様!あっ、お、お待ちを!わわっ!」
 顔を真っ赤にしたクリフトの手を引いて装備もはずさぬまま部屋を飛び出していくアリーナを尻目で見送ると、
ドアが閉まったのを確認してブライはメイの左腕を薄い掛け布から取り出して見つめる。
 ―――この娘、これほど禍々しい魔力を肌に当ててもなお、ひとの姿を保つとは。……何者じゃ?
 メイはまったく意に介していないようだが、彼女を背負ってここまで来たアリーナは武術大会への期待を
その心から抜けば、肉体は疲弊によって倒れこむ寸前だろう。魔力を受けることに才がない代わり、アリーナは
魔法が使えない。幼い頃は父王もアリーナ本人もそれを気に病んでいたことがあったが、ブライは今ここで彼女に
魔法の才がないことに対し、神に感謝した。もしもアリーナに魔法の才があれば、メイの腕に光る黄金の腕輪の
魔力にあてられ、武術大会どころの話ではなくなっていたからだ。
 ―――ちょっと上背と乳がでかい以外は、異界からやってきたとはいえ何の変哲もない人間じゃ。
だが、普通の人間が黄金の腕輪を身に付ければ、心は壊れ、『命』が無理な進化を遂げるはず。だのに、なぜ。
 眉ひとつ動かないメイの顔からサングラスを取り、その顔を覗き込む。切れ長のつり目を閉じた、ただの娘だ。
 ―――異界からやってきた者に対して我々がとやかく考えをめぐらせるのは粋なことではない、ということか。
 ふう、とひとつため息をついて、ブライはメイが眠るベッドから椅子を離した。
黄金の腕輪の魔力に少しあたってしまったらしい。
 ―――クリフトは姫様と上手くやっているじゃろか?……それこそわしが考えるのは粋ではないか。
 備え付けのポットで茶を入れて、老魔道士は一度思考を停止した。

570 :※THE OUTER MISSION 2 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/07(水) 21:55:24 ID:R3LU84zu0
 「もし、そこの人。わたしはバトランド王宮戦士のライアン。つかぬことをお伺いするが、
あなたは『伝説の勇者』と呼ばれるお方について、何か知っていることはありませぬか?」
 重装備に身を包んだ戦士は、小柄な少女と一緒にモンスター格闘場を見物していた青年に声をかけた。
見たところ、旅の神官らしい。血沸き肉踊る魔物同士の戦いの興奮にすっかり支配された少女が闘技場の柵から
身を乗り出そうとしているのをそっと止め、青年は戦士のほうを振り返る。
 「伝説の勇者、ですか……。古い書物では何度かその話を読みましたが、残念ながら私の知っていることは
既存の記録を少し齧った程度です。お役に立てず申し訳ありません」
「伝説の勇者?その人って、勇者ってぐらいだから、やっぱり強いのかしら?もし本当にいるなら一度手合わせ
してみたいわね」
 少女の言葉に苦笑する青年を微笑ましい気持ちで見ながらも、戦士は心の中で落胆した。この大きな国でなら、
少しは頼れる情報を得られると思っていたのだが、それも見当違いのようだった。
 「……ならば、もうひとつ聞きた」
「ねぇ、あなたも武術大会に出場するの?」
「姫さ……、アリーナ様。初対面の方に失礼ですよ」
「いや、構いません。アリーナさんと言いましたか。残念ながら、わたしにはかのような催しに参加する余裕は
ありませぬ。ですが、こちらから見る限り、あなたも相当腕の立つ方と感じられる。いずれ、またどこかで会った
ときは、ぜひ手合わせ願いたいものですな」
 戦士の言葉に気をよくしたアリーナは、にっこり笑って青年を見上げた。花のような笑顔に目を白黒させる
青年に丁寧に礼を言って、戦士は賑わうカジノを静かに去った。
 三年前―――バトランド地方イムルの村では、子供が神隠しに遭う事件が頻発していた。子供たちをさらった
魔物を倒す旅に同行した女が、湖の中央に聳え立つ塔の屋上から落ちて、湖水に飲まれ姿を消した。
女とは、未だ再会できていない。ほんの数日の間、旅を共にしただけの女が、なぜか三年という月日が経った今でも
忘れられない。伝説の勇者を探す旅を続ける限り、この広い世界をくまなく見て回ることになるだろう。
その旅の一端に、水の中で姿を消した「メイ」という心優しい異邦人を見つけ出すことも、彼の目的であった。
 戦士の大きな背中を見送り、再び闘技場に視線を戻したアリーナがぽつりと呟く。
 「ねえ、クリフト。メイさんも今日、ここに来られたらよかったのにね。……あ、見て見て。あそこのステージ。
ギター弾いてる人がいる。帰ったらメイさんにも教えてあげよ?カゼひいて来れなかった分も、いっぱい教えて
あげなくちゃ」
「そうですね。……アリーナ様。柵を乗り越えてはいけません」
「はぁい」
 広いエンドールの街の隅にある安宿に戦士が帰り着いたころ、カジノの上に併設された宿の一室でメイは目を覚ました。



Lv.12 メイ
HP:51/51 MP:53/53
E ホーリーランス
E うろこの盾
E 革の服(革ジャン)
E −
E サングラス・黄金の腕輪

戦闘呪文:ホイミ・メラ・ヒャド
所持金:821G(メイ個人の所持金額)

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