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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら12泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/28(金) 06:52:11 ID:kjslZuu70
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角)+ 最後に投稿したレス番号(半角数字)」)をつけると読み易くなります。

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら11泊目
ttp://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1192116918/l50

PC版まとめ「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

携帯版まとめ「DQ宿スレ@Mobile」
ttp://dq.first-create.com/dqinn/

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/40919/ (前スレ中にこちらに移転しています。ご注意ください)

ファイルアップローダー
ttp://www.uploader.jp/home/ifdqstory/

お絵かき掲示板
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/

156 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/18(月) 10:56:08 ID:7yePM2lYO
…だよな…夫である5主が別室待機なのに、赤の他人のトモノリを出産に立ち会い
させるなんておかしいと思ったんだ…
いくら子どもでも、男に奥さんの大股開き見せるのはまずかろう
女の子なら出産立ち会いさせてもらえても自然だね

157 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/18(月) 16:23:45 ID:ND506bOa0
>>151
そりゃリカちゃんの話を信じる気になるさ。
そのじん君も(たぶん)つい最近ドラクエ4の世界に飛ばされて、おまけに最後にどんでん返しをくらって帰ってきたんだから。

158 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/18(月) 17:54:18 ID:LRjx8D+K0
>>157
読み直した。確かに書いてある。スゲー。

159 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/18(月) 18:09:36 ID:KeJeFxDQ0
ホントだ。冒険の書シリーズ、二重三重にすげぇ。

160 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/18(月) 18:44:58 ID:grPqd0Zc0
>>157
いやこれ…ちょ…すげえ!!!新たな感動が俺を包み込むwww

161 : ◆Y0.K8lGEMA :2008/02/18(月) 22:05:41 ID:g/Km0SGD0
ご無沙汰してます。第14話を投下します。

LOAD DATA 第13話 >>7-16


162 :東奔西騒【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/02/18(月) 22:10:24 ID:g/Km0SGD0
甲板に燦々と降り注ぐお日様の光。波の音を運ぶ潮風。
ビスタ港を発った船は、俺達を乗せて西方大陸へ向かう。

「凄ぇ。魚に混じって犬が泳いでやがる…こっちの世界は何でもありだな。」
「シードッグだね。これだけ大きい船なら襲われる事もないから心配ないよ。」

へぇ〜…アレもモンスターなのか。
水面に目を凝らすと、なるほど…犬やらオタマジャクシやらの場違いな生き物まで
優雅に水中を泳いでやがる。

「ブッ飛んだ生態系だなぁ…こっちの世界なら人魚がいても不思議じゃねえな。」
「人魚?マーマンの事かな?」

ママン!?熟女系ktkr!!

「僕はどうも苦手だな。あのピチピチした下半身が生々しくってね。」

ピチピチした下半身!?生々しいママン!?
若妻人魚キタ――――(゚∀゚)――――!!!!

「船旅っては良い物だねえ。ママン…アンタに会うのが楽しみだよ…」

まだ見ぬ海の向こうの恋人に想いをはせる俺。
サトチーの痛い人を見るような視線が気になるが、俺の熱い心は冷めない。

「イサミ様。マーマンという種族はですね…」
「…やめておけ…良い夢は少しでも長く見させてやるものだ…」

抱えたブラウンを熱く抱擁する俺に何か言いかけたピエールをスミスが制する。

数時間後、船は西方大陸へ接岸した…愛しのママンには会えなかった…

163 :東奔西騒【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/02/18(月) 22:12:57 ID:g/Km0SGD0
降り立った町は潮の香りで満ちていた。
西方大陸の玄関 港町ポートセルミのドッグには様々な国の船が並んで停泊し、
様々な国の様々な人種の旅人達がせわしなく町を出入りする。
オラクルベリーとは違った賑わいを見せるこの町は、ある種の万国感を感じさせる。

「まずは、装備を整えてから今後の目的地を話し合おうか。
 酒場には外国の船員が集まってるだろうから、そこで情報収集と作戦会議だね。」
「んじゃ、まずは買い出しだな。」

サトチーはヘンリーから譲り受けた鋼の剣を持ち、俺は天空の剣を持っているので、
武器に関しては当面の心配はないが、問題は防具だ。
修道院〜ラインハットの連戦で俺の鎖帷子はボロボロになっている。
かと言って、鋼の鎧や鉄の鎧は重過ぎてまともに動けなくなる始末。

「うん、これならイサミにも装備できそうだね。」

最終的に選んでもらったのは、鉄の胸当て。
正直これも少し重いのだが、黙っておく。
鉄の胸当てが装備できないとなれば、これより軽い防具として残される選択肢は
スライムの服とかいう奇抜すぎるデザインの服。
男として…いや、人としてアレを装備する事だけは絶対に避けなければ。
店のオヤジ曰く、鉄の胸当ては鎧を装備できない非力な旅人向けの防具らしい。
非力…その言葉に少しカチンと来たが、何も言い返せない。

…サトチーは鋼の鎧を装備して余裕なんだもんなあ。

「じゃあ、装備も整えたし酒場に行ってみようか。」

いつの間にか太陽は西に傾き、反対の空に向かって赤いグラデーションを描く。
いそいそと看板をしまう店とは対称的に、ようやく輝かしいネオンを灯した酒場。
静かに暮れ始める町とはこれまた対称的な活気…を通り越した酒場の喧騒。
思わずその方向に目を向ける。

164 :東奔西騒【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/02/18(月) 22:14:32 ID:g/Km0SGD0
うわぁ…いきなりDQNだよ…

華やかな酒場の雰囲気にそぐわない、ひなびた格好の男。
そして、その男に因縁をつけるのはガラの悪い二人組。
耳が尖って、口がデカくて、毛深くて、山賊ウルフに似てる気がするのは気のせいか?

「性質の悪い酔客が揉めてるみたいだね。」
「やれやれ、あいつらにもサトチー様の爪の垢を煎じて飲ませたいものですな。」
「これじゃあ情報収集どころじゃねえなぁ。」

「おい。何見てやがる。見世物じゃねえぞ!」

俺達の視線に気付いたのか、DQNの一人が俺達に向かって食って掛かってきた。
う〜ん…間近で見るとますます人間離れしてる顔だなぁ…

「んだと?俺の顔が人間離れしてるだと?ケンカ売ってんのか!!」

ヤベ…思わず口に出しちまった…
俺の言葉に激昂したのか、二人組が俺達に詰め寄る。思わず剣に手を伸ばす俺。
その一触即発の俺達の間に進み出るのはサトチーとピエール。

「何があったのかは知らないけれど、その辺にしておいたらどうだい?
 魔物達だって自制心は持っている。人間である君達が持っていないはずはないよね。」
「サトチー様の仰るとおりだ…が、無法を目の当たりにして動かぬは騎士の名折れ。
 お前達がさらに無法を重ねるのならこのピエール、これ以上は自制できぬぞ。」
「んだとゴルァ!!」

ちょ…ピエール、逆効果。お前が興奮してどうすんのさ。
ふと見ると、ブラウンまでピエールの横でハンマーを振り回して臨戦態勢だ。
相手は完全に逆上している。こりゃ戦闘は避けられねえな。

覚悟を決めたその時、しゃがれた呟き声が俺達の足を止めた。

165 :東奔西騒【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/02/18(月) 22:17:27 ID:g/Km0SGD0
「…私の吐息は生者の肺を腐敗させる毒…生きながらに体を腐らせるのは苦しいぞ?」

ぽつりと漏らしたスミスの呟きに、二人組の動きがぴたりと止まる。

「…毒…だと?」
「…疑うのならこの場に留まっていろ…苦しみも意識が途切れるまでの辛抱だ…」

淡々と並べられるスミスの言葉に、二人組の顔がみるみる青ざめる。
スミスの特技『毒の息』の事を言ってるんだろうが、知らなかったら怖いよな。

「あ…兄貴…」
「…ちくしょう!!覚えてやがれ!!」

スミスの仲裁(?)で、二人組が血相を変えて逃げ出す。
すぐにもとの賑わいを取り戻した酒場。これでようやく情報収集ができるな。

「スミスは役者だねえ。結局一人で場を収めちまったな。」
「…剣を抜かずに争いを収拾できるのならば、それが一番であろう…」
「サトチー様、申し訳ありません。主君の御前で憤怒に我を忘れようとは
 騎士としてあるまじき不体裁。いかなる厳罰も慎んでお受け致します!」
「そんな…頭を上げて…いや、剣はしまって…ね?僕も力が入っちゃってたし…」

また切腹しようとするピエールを慌てて止めるサトチー。
俺とサトチーの二人で取り押さえてもジタバタと暴れるピエールだったが、
スミスの説得でなんとか落ち着きを取り戻した。
スミスが発したのは一言『命を粗末にするな』…って、凄げぇ破壊力。

―☆☆??―
「…あぁ…すまねえだ、どこも怪我はしてねえだよ。」

カウンター席の端では、絡まれていた男にブラウンが薬草を渡している。

166 :東奔西騒【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/02/18(月) 22:20:23 ID:g/Km0SGD0
「災難でしたね。怪我がなくて何よりです。」
「いや、あんたらのお陰で助かっただよ。やっぱり都会は怖い所だやな。
 だども、おらぁ村の期待を背負ってるだ。おめおめと逃げ帰るわけにはいかねえ。」

この男、場違いな雰囲気だと思ったが、やっぱり田舎から出てきたばかりらしい。
懐かしいねぇ。俺も群馬から上京した時は、だだっ広い東京駅で右往左往したなぁ…

「ところで、あんたら腕がたちそうd…」
「いつかは故郷に錦を飾れるといいな。俺も応援してるぞ。」

男の境遇に妙な親近感を覚えた俺は、その肩にポンと手を置いて激励する。
頑張れ若人!(…俺より年上っぽいが…)

「いや、おら達の畑を荒らす魔もn…」
「慣れない都会生活は大変だろうが、体を壊したら田舎の母ちゃんが悲しむからな。」

それじゃあ元気で。世界は違えど大都会に同じ夢を見た同士。
ここでの素晴らしい出会いを俺は生涯忘れない!!

「お礼は3000G。前金で1500G渡すだ。これで仕事を引き受けて欲しいだ。」
「…何の話だ??」
「イサミ…熱くなるのは悪くないけど、人の話は最後まで聞くべきじゃないかな…」

突然大金を手にして呆気に取られる俺に、困った様子のサトチーが言葉を投げ掛ける。

「…なんだったらもういっぺん言おうか?」
「悪りぃ…全っ然聞いてなかった。」
「本当にごめんなさい。もう一回最初からお願いできますか?」

サトチーに促され、話を再開した男。その目は完全に俺から逸らされていた。

…仕方ないっちゃあ仕方ないけどね…

167 :東奔西騒【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/02/18(月) 22:24:45 ID:g/Km0SGD0
イサミ  LV 16
職業:異邦人
HP:77/77
MP:15/15
装備:E天空の剣 E鉄の胸当て
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――


〜〜〜〜〜

若干閑話的な内容になりましたが、第14話はここまでです。
きっとイサミにはDQ名物無限ループも通用しません。

何せ、相手の話を聞いちゃいませんので。

168 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/20(水) 08:51:37 ID:MeD+BDEaO
乙であります!

169 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/20(水) 23:56:41 ID:7o4ukmJMO
待ってました、乙です!
しかし久しぶりに改めて見ると、イサミLV上がったよなぁ

170 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/21(木) 20:31:33 ID:NBOacrHMO
諦めないで待っててよかった。乙です。
相変わらずキャラの位置付けがうまくて面白い。
理論的なスミス。堅物なピエール。
癒し系のブラウン。猪突猛進のイサミ。
まとめ役のサトチーは苦労しそうだなwwww

171 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/22(金) 23:37:21 ID:0ESFql5YO
イサミも仲魔モンスターかよw

172 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/24(日) 11:41:45 ID:ppIWtpsPO
スミスのファンになりましたw

173 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/26(火) 23:29:34 ID:dzbwnoQ90
ほすん

174 : ◆Tz30R5o5VI :2008/02/28(木) 12:22:22 ID:4vj+tmRLO
保守だお

175 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/29(金) 17:44:59 ID:AP5L4w6nO
閏年保守

176 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/01(土) 19:42:16 ID:FZ6tpxCkO
保守

177 : ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/02(日) 19:55:52 ID:u+m6MutS0
第15話を投下します。

LOAD DATA 第14話>>162-167

178 :得獣失獣【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/02(日) 19:57:20 ID:u+m6MutS0
月は雲に隠れ、どこまでも深い夜の闇の中。それはあまりにも唐突なコンタクト。
ガサガサと茂みが揺れ、大きな影が飛び出した。

―不意打ち…ヤバイ―

遅れをとった事を感覚で理解し、ある種の覚悟を決めた次の瞬間、
虎のような巨大なシルエットは身を翻し、夜の闇の中に紛れて見えなくなった。

バキバキと枝葉を踏み砕く音。そして、カシャカシャと金属を打ち付けるような音。
音は次第に小さく遠くなり、夜の黒の中に風の音と虫の声が戻ってきた。

「村の中だってのに…今のが畑を荒らすモンスターか?」
「多分ね…でも、なんで襲い掛かってこなかったんだろう。」

ポートセルミで出会った男の故郷。―カボチ村―
これといった交易手段を持たず、決して裕福ではないこの村は危機に瀕している。
夜な夜な現れるモンスターが畑を荒らし回るようになり、作物の収穫量が激減。
自給自足を営んでいた村民の生活を次第に圧迫し始めているらしい。
この事態を重く見た村人は、モンスター討伐を引き受けてくれる冒険者を雇うべく
都会に村の人間を派遣した。 それがポートセルミで出会ったあの男。

「…妙な話だな。てっきりあのままパックリやられると思ったのに…」
「サトチー様、くれぐれも油断めさらぬよう。いつまた闇に紛れて姿を現すか…
 前方の安全確保は引き受けました。ブラウン殿は後方の警戒をお頼みします。」
―!!!☆―
「いや、今夜はもう現れないと思うよ。もう夜も遅いし、今夜は宿をとって休もう。」
「…馬車は私が見張っておく…宿には四人で泊まると良かろう…」

スミスに馬車の守りを任せ、四人で村の宿に入る。
古い農家を改築したような粗末な宿。俺達以外に客はいないようだ。

女将はピエールとブラウンを見て驚いていたようだが、すぐに受け入れてくれた。

179 :得獣失獣【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/02(日) 19:59:11 ID:u+m6MutS0
          ◇
数時間前の騒動が嘘のように静かな夜だ。
さっきまで轟々と不穏な空気を撒き散らしていた風もやや収まったらしく、
固いベッドに身を横たえると、聞こえるのは虫の声とブラウンの豪快なイビキだけ。

どこからか外の空気が漏れているのか、ぶるりと身震いした。
お世辞にも清潔とはいえない薄いシーツ一枚ではやはり肌寒い。
それでも、あの悪夢のような奴隷時代に比べれば…
神殿を逃げ出して何ヶ月が経っただろう…あの地獄を一日だって忘れた事はない。

そして、残してきた仲間達を一分だって忘れた事はない。

「…みんな…元気でいるかな…っぷしっ!!」

やはり窓の建て付けが悪いのか、小さなクシャミが漏れた。
すぅすぅと寝息を立てるサトチーを起こさぬようにそっと窓に手をかける。

「ん…やっぱり少し風が入ってるなぁ。まぁ、仕方ないか…」

窓の外は部屋の中よりも暗い完全な夜色で、その端に一点の薄赤い光を灯す。
あれはきっと町外れで夜営しているスミスの起こした焚き火の光だろう。
光はちらちらと無音のまま身震いを繰り返す。

「…外はもっと寒いだろうな。」

部屋の隅で鎧の隙間から緑色の中身をはみ出させて眠るピエールと、
すでにベッドから転がり落ちてイビキを上げるブラウンを跨ぎ部屋を出る。

宿の女将さんに夕飯の残りを温めてもらい、町外れに向かう。

本人は睡眠も食事も必要ないって言うけど、間違いなく生きてるもんな。

180 :得獣失獣【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/02(日) 20:03:28 ID:u+m6MutS0
火はあまりに弱々しく揺れている。
ただ一度、風が吐息を吹きかければ根元から吹き飛ばされそうに。
そのすぐ前にスミスは無防備に座り込んでいる。

「……スミス?」

まるで生命感を感じさせないスミスを見て、俺の背中をじわりと嫌な汗が伝う。
今にも消え入りそうに揺らぐ灯りに照らされた朽木のような肢体がぴくりと動く。
揺らめく光と影の中では、それすらも錯覚に感じる。

「………イサミか…何の用だ?」
「あぁ…ほら、夕飯の煮物を温めてもらったからさ。持って来たんだ。」

相変わらずどんよりとした視線を浮かべるスミスはいつもと同じ。
簡素な器に盛られた煮物を差し出すと、その濁った瞳に疑問の色を浮かべる。

「寝てたのか?珍しい事もあるもんだな。」

俺の声にほんの僅か首を傾げるだけのいまいち希薄な反応。
スミスは無言のまま、消えかけた焚き火に顔を向けて薪をくべ始める。

「じゃあ…俺は宿に戻るよ。邪魔して悪かった。」

パチパチと再び音を立て始める焚き火に背を向け、宿に向かう俺を呼び止める声。

「……気遣い感謝する…ありがたく頂こう…」
「眠れねえにしても、ゆっくり休んでおけよ。」

焚き火の前で一人。豆の煮物をぼそぼそと口に運ぶスミス。
不意にその手が止まり、虚ろな瞳で崩れかけた自らの掌を見やる。

「…眠っていた…のか…」

181 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/02(日) 20:07:03 ID:pSH1+FdJ0
 

182 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/02(日) 20:27:16 ID:v9GZ9y990
あれ?引っかかっちゃったのかな?

183 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/02(日) 20:32:25 ID:JXfBDw7S0
4円です

184 :GEMA:2008/03/02(日) 21:04:32 ID:gO1biD19O
ごめんなさい!
どうもPCの調子が悪いようで、一回投下を中断します。
gdgdになってしまい、支援して下さっていた方々には申し訳ないです。

また日を改めて投下させていただきます。

185 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/02(日) 21:10:54 ID:v9GZ9y990
乙!規制じゃなかったのか
またの投下をお待ちしております

186 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/03(月) 09:40:33 ID:WqPPJZrM0

PCよくなるといいですね。続き待ってます

187 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/04(火) 00:01:39 ID:DGyJXNvn0
続きに期待!

188 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/06(木) 06:42:18 ID:Iy5YIgP+0
保守

189 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/07(金) 11:55:31 ID:epJse3GL0
>>151
わー、最後の最後までこんな伏線があったとは。
でも、正直感動した。仲間のモンスター達とのやりとりとか、お師匠様に赤ちゃんができたことへの葛藤とか。

>>157-158
まじ?俺もよみなおしてみるよ。

190 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/10(月) 13:14:10 ID:Uo885gvlO
保守

191 : ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:22:00 ID:3V5v2oYI0
前回の続きを投下します。
今日は第十五話を終了させる予定です。

それでは、よろしくお願いします


192 :得獣失獣【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:25:10 ID:3V5v2oYI0
           ◇
「冗談じゃねえ! 村長。考え直すベ。村の事は村の人間でなんとかするだよ!」
「なぁに言ってるだ。この人達は信用できるだよ!おらの目に狂いはねえだ!」

朝になり、村長の家へ足を運んだ俺達を出迎えたのはあまりにも不愉快な光景。
村長の家に入った俺達一行を見て、一人の農夫が不信を口にしたのが発端。
それにポートセルミで出会った農夫が噛み付き、口論に発展してしまった。

「化け物を連れた連中を雇うだなんて、おめえの目はケムケムベスだべか!?」
「おめえこそ、この人達を疑うだなんて頭にトンネラーでも巣食ったベか!!」

―気分悪りいなぁ。
収拾のつかない口論を見るのも気分悪いが、本人達の前で信用できねえだとか、
人様の仲間を化け物だとかよく言えたもんだな。

「私を化生と蔑むのは一向に構わぬ。だが、サトチー様に対する侮辱は許さぬ!!」

サトチーに対する攻撃に関しては短気なピエールが吼えると、部屋は静かになった。

「あなた達にとってモンスターとは畏怖の対象でしかないのかもしれません。
 ですが、僕達にとって彼等は大事な家族であり、信頼のおける仲間です。
 仲間を信用して頂けないと仰るのならば、この仕事はお受けできません。」

そう言いながらテーブルの上に前金の入った袋を置くサトチー。
その言葉にピエールは感激の涙し、ブラウンはサトチーに強く抱きつく。

「信用する…あんたも、あんたの仲間もだ…だから、金をしまって欲しいだ。」
「村長!!」
「なら、おめえが魔物を退治するだか?おめえにも、村の誰にも無理だんべ?
 村を救うにはこの人達を信用して全てを任せるしかないだ。」

193 :得獣失獣【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:30:13 ID:3V5v2oYI0
再び静まり返る部屋、数秒の沈黙を破って席を立ったのは最後まで懐疑的だった男。

「勝手にするだよ!そん代わり、おらも好きなようにやらせてもらうだ。
 よそ者にデカイ顔されて黙ってられねえべ。」

男はボロボロの扉を蹴破らんばかりの勢いで乱暴な足音を立てて家を飛び出す。
村の総意を得たとは言い難いが、俺達は改めて依頼を受ける事になった。

「あんたらにはこれを渡すだ。きっと何かの力になってくれるだよ。」

村長から手渡されたのは奇妙な装飾が施された腕輪。

「なんでも、不思議な力が込められてるって話だで。ぜひ持ってって欲しいだ。
 おらぁ、あんたらを信用したべよ。」

魔物のすみかはこの村の西にある。距離にして半日かからない程度。
馬車に飛び乗り、白い馬を早足で走らせる。

嘗ては敵だったモンスター達も、今ではサトチーの信頼に応えて力を貸してくれる。
俺達も村長の信頼に応えて力を貸してやることにしましょうかね。


旅人を乗せた馬車は走り去り、村長と農夫の二人だけが残された村長の家。
農夫が震える声で村長に問う。

「村長。なんであの腕輪を渡しただか?」
「あの腕輪さ持ってれば、間違いなく魔物を仕留められるべ。」
「んだども、あれで魔物を仕留めるって事は…」
「…なぁんも問題ねえ…これで村は安泰だぁ。」

ほぼ白湯に近い出涸らしのお茶をすすり、村長が細く息を吐く。

194 :得獣失獣【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:33:27 ID:3V5v2oYI0
大きく開かれた洞窟の入口は、全てを受け入れているかのようであり、
その内に広がる深みは、全ての侵入者を拒んでいるかのように俺達を威圧する。

内部は鍾乳石が複雑に入り組み、滴る水に侵食されて崩れた岩壁が進路を塞ぐ。
長い時間をかけて造り上げられた自然の迷宮。

「視界が悪いね。皆、周囲には充分気を付けて。」
「前衛は私とイサミ殿。スミス殿とブラウン殿は後方の警護をお頼みします。」

最近の隊列はこのパターンが多い。
前衛にピエールと俺が立ち、先手必勝で相手に一撃を加える。
怯んだ相手にサトチーが剣と魔法で追い討ち、とどめに後衛の二人が殴りかかる。
前衛がダメージを受ければ俺が相手の足止めを受け持ち、サトチーは回復に専念。
タフな二人が後方を守っているので、背後を取られても被害を最小限に留められ、
その場合はサトチーが即座に治療に回れる。

スミスとピエールが提案した隊列だが、なかなか機能的だ。
この隊列なら剣、魔法、回復、指示出しをこなすサトチーが臨機応変に動ける。

神経毒を含んだクチバシを武器に、目を血走らせて飛び掛ってくるデスパロット。
巨体に似合わぬスピードと、体躯に恥じぬ怪力で猛攻を仕掛けるビッグスロース。
パチパチと燐光を散らす体から発する閃光で俺達を焼き殺そうとするデススパーク。
狂気に満ちた眼光をこちらに向け、槍を振りかざて突進してくる突撃兵。
一癖も二癖もあるモンスター達だが、俺達の連携の前では敵ではない。

襲い来るモンスターの群れをあらかた殲滅し、仲間に治療を施すサトチー。
その腕を指差しスミスが問い掛けた。

「…サトチー卿…先刻から気になっていたのだが…その腕輪はどうした?」

スミスが指差すのは、カボチ村の村長から受け取った腕輪。

195 :得獣失獣【7】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:36:32 ID:3V5v2oYI0
「うん。この腕輪かい?カボチの村長から貰ったんだ。」
「…なるほど………その品…私が貰い受けるわけにはいかないだろうか…」

装飾品には興味なさそうなスミスの頼みに、サトチーも少し驚いていたようだが、
すぐににこりと笑いながらスミスに腕輪を手渡した。

「…ありがたく頂戴する…」

ドス黒い肌の上、神秘的に輝く宝石と施された装飾が奇妙なバランスで調和する。
腕輪に飾られた血のように赤い宝石。その隅にチラリと影が映りこんだのを見つけた。

「新手みたいだね。話が通じる相手ではなさそうだ。」
「え、よっこいしょ…休憩時間は終わりだな。」

周囲を警戒していたブラウンがハンマーを固く握り、鋭い眼光を影に向ける。
俺も重い腰をあげ、剣を正眼に構えて襲撃に備える。

さしたる音も立てず、物陰から姿を現したのは鈍色の騎士。
馬を繰る騎士ではなく、ピエールと同じくスライムに跨る異形の騎士。
―ピエールの同族か?

ヒュッ…ガギン!!

一瞬戦闘に入るのを躊躇した隙に、騎士がブラウン目掛けて突きを繰り出す。
間一髪でブラウンのハンマーが剣を弾き、喉元を狙っていた剣は大きく逸れた。
―いきなり痛恨即死コースで狙ってきやがった。

「お待ち下さい!」

睨み合う俺達の間に、ピエールが割り込む。

196 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/10(月) 21:37:55 ID:jMDitB5E0
支援

197 :得獣失獣【8】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:39:40 ID:3V5v2oYI0
「ヤツの相手は私にお任せ願えませんでしょうか…」
「そんな…ありゃ同族じゃねえのか?」
「その通り、ヤツは紛れもなく嘗ての同族…だからこそ私が討つのです。
 ヤツは誉れ高き騎士の名を汚した種族の裏切り者。メタルライダー一族。
 騎士の誇りに懸けて、私自身の手で決着をつけねばならないのです。」

言いながら剣を抜き放つピエールの気迫に押され、意思とは無関係に道を譲る。
一人、敵前へ赴く騎士の背にサトチーの声が投げ掛けられる。

「ピエール。作戦は『ガンガンいこうぜ』…だ。」
「勝手をお許し下さい。そして…『私にまかせろ』であります。」

静かな…そして、心強いサトチーの激励に応えて剣を高く掲げるピエール。
対峙するソレは、この薄暗がりの中ではピエールと瓜二つの容姿に見える。

ピエールと違うのはそのスライム。鮮やかな生命を感じさせる若草色に対し、
無機質な金属色。それも、メタルスライムのような光沢を持つ銀色ではなく、
騎士としての心の輝きを棄てたかのような鉛色。

「私の名はピエール。高貴なる主君、サトチー様にお仕えする騎士。
 下郎にも名乗る名くらいはあるだろう。その下劣な名を名乗るが良い。」

構えた剣を頭上高く水平に掲げ、名乗りを上げるピエール。
対するメタルライダーは喉の奥で短く笑い、空っぽの鞘を後方に投げ捨てる。

「…脆弱な騎士め。貴様が大事にしている誇りなど無価値だと証明してやる。」
「誇りと一緒にその下劣な名までも捨てたか。誇りを捨てて得た力など無力。」

手にした剣をメタルライダーに向けながら、ピエールも同じく鞘を投げ捨てる。
それは―どちらかが果てるまで戦う―という決闘の意思表明。

「「覚悟!!」」

198 :得獣失獣【9】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:42:50 ID:3V5v2oYI0
若草色と鈍色が交差し、入り乱れる画像に遅れて金属同士の衝突音が鳴り響く。
一合、二合と切り結ぶ度に、若草色の液体が飛び散り、鈍色の破片が弾ける。

互いの歯軋りが聞こえるような鍔迫り合い。優勢なのは体格に優れる鈍色の戦士。
頭上から押し込まれる力を横にいなし、ピエールが距離をとる。

「ぬぅ…下郎と罵ったが、貴様の剣の腕は本物…悔しいが認めざるを得ん。」

下のスライムと同じリズムで肩を上下させ、荒い呼吸を整えるピエール。
対するメタルライダーは所々に傷が見えるものの、その呼吸は穏やかだ。

―剣の腕は俺が見る限り互角。だとしたら、パワーで劣るピエールが不利か…

「だが何故だ!何故それほどの剣の腕を持ちながら魔に魂を売った?」
「逆に聞こう。弱者の盾となって戦う事に何の意味があると言うのだ?
 私は狩られる側よりも、狩る側につく…弱者は弱者のまま狩られていれば良い。」
「儚い種族であるスライム族を守る…それが我等スライムナイト一派の存在意義。
 己の存在意義を捨て、同族を狩る側に寝返った貴様を許すわけにはいかん!」
「今の私の存在意義は貴様等を狩る事。魔界の力を得た私が脆弱な貴様を叩き潰す!」

どちらが発したか、それとも両方が発したか、雄叫びと共に両者が肉迫する。
最上段から最大の力を込めて振り下ろされる鈍色の剣。

一太刀でピエールの脳天から下のスライムまで一刀両断する
…はずだった剣は、奇妙な液体音とともに天高く舞い上げられた。

「…な…貴様、私の腕を…」

最小限の動きで最短距離を縫い進むピエールの突きが相手の右肘を抉る。
その突きはカウンターとなって、全力で振り下ろされようとしていた鈍色の戦士の
右肘から先を完全に粉砕し、斬り飛ばした。

199 :得獣失獣【10】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:46:05 ID:3V5v2oYI0
「そこが邪な力の限界だ。何かを裏切って得た力は、必ず最後に自らをも裏切る。
 騎士は誇りを忘れぬ限り何度でも立ち上がる。そして、必ず最後に勝利するのだ。」

剣を失い、剣を握る手をも失い、短い悲鳴をあげてうずくまるメタルライダー。
ピエールの剣は、曲線を描いて相手の首筋に当てられ…その先の動作は中断された。

「下郎とは言え、剣を失った相手を斬る事は騎士の名折れ。命拾いをしたな。
 貴様なら自分で傷を癒せるであろう?今後は過去を悔い改めて生きるがよい。」

ピエールがその剣を引き、くるりと踵を返す。
傷付いた体を意思で支え、それでも胸をはって仲間の下へ帰る騎士。
―あのピエールのセリフ…どこかで聞いたなぁ。

ごきん

ありえない衝突音。ピエールの雄々しい姿が大きく傾き、そのまま崩れ落ちた。

地に伏した騎士の背後、鉛色の塊を左手に抱えて立つ鈍色の鎧。
その右腕から流れる銀色の液体で地を汚し、ドス黒い復讐の気配を背負っている。

「…なるほど…確かに下郎だな…」
「ピエール!!」

―背後からメタルスライムでぶん殴りやがった…卑怯者め。

「手助け無用!!」

駆けつけようとする仲間を片手で制し、よろよろと立ち上がるピエール。
剣を支えにして立ち上がるも、それで精一杯なのが目で見てわかる。

当然だ。あの硬いスライムで後頭部に痛恨の一撃を喰らったんだ。

200 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/10(月) 21:46:47 ID:vyBj/uwX0
支援します

201 :得獣失獣【11】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:49:21 ID:3V5v2oYI0
「騎士の剣は”殺める”為ではなく、”守る”為にある…そうでしたな。サトチー様…
こやつに『明日を生きる』事を命じた私の判断は正しいと信じております…」

消え入りそうな声で語り、再び剣を正面に構えるピエール。
その若草色のボディーを狩らんと、鉛色のスライムを振り回して突進する鈍色の鎧。
対して、ピエールはその場を動かずに構えた剣を引き絞る。

「だからこそ許せぬのです。サトチー様の御心を踏みにじったこやつを。」

怒れる騎士の懺悔に、悲鳴のような音が覆い被さる。
それは例えるなら、ピアノの一番右の鍵盤を大音響で鳴らしたような音。

かたや、鉛色のスライムを前方に振りかざす体勢のまま…
かたや、一直線に伸ばした剣で鉛色のスライムを押し留める体勢のまま…
静止画像のように硬直していた二人。

ゆっくりと剣を引くピエール。メタルライダーは動かない。

鉛色のスライムの胴を透かして鈍色の鎧が見える。
そして、鈍色の鎧を透かして後方の壁が見える。

会心の牙突は鉛色のスライムを貫通し、鈍色の胴にも風穴を開けていた。

「さらば、嘗ての同胞。貴様を殺めたのは私…全ては私の力不足ゆえ…」

動かないメタルライダーの鎧。その隙間という隙間から水銀のような液体が漏れる。
最後に残ったモノは銀色の水溜りと、バラバラになった鎧。
そして、その前に剣を立て追悼の構えを取る若草色の騎士の姿。

―騎士は何度でも立ち上がり、必ず最後に勝利する―
ピエール以外の存在が口にしたなら、これほどの説得力を持っただろうか。
ピエールはその行動をもって自らの言葉を証明した。

202 :得獣失獣【12】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 21:52:23 ID:3V5v2oYI0
「ピエール…」

俺の呼びかけに対し、ピエールはこちらに背を向けたまま動かない。
生命を失った水溜り。変わり果てた嘗ての同胞の前で騎士は何を思うのだろう。

「…私は…騎士として失格ですな…」

胸の底から絞り出すような声。顔は見えない。

「私は何一つ守れていない…主君の御心を汚し…嘗ての同胞を殺め…
 騎士として守るべき物を何一つとして守れず…」

―それは違う。ピエールは正真正銘…
俺が発しようとした陳腐な言葉は、横から伸ばされた手によって遮断された。

「騎士ピエール。主として君に命じる。」

いつもの優しい声ではあるが、どことなく威厳を感じさせるサトチーの声。
敬愛する主の声に、騎士がようやくこちらを振り向く。

「高潔な騎士である自分自身を否定する事を今後一切禁じる。
 そして、騎士の信念に従った行動を後悔する事…それも今後一切禁じる。
 例えどんな形だろうと、君が導き出した結果を僕は受け入れ、君を祝福する。」

ゆっくりとした動作で剣を地に置き跪くピエール。
水銀色の返り血に塗れたその姿は、勇猛さと同時に気品さえ感じられる。
絞り出すような声は変わらず、けれども、その声に迷いはなく…

「仰せのままに。我が信念はサトチー様の広く深い御心と共に…」

203 :得獣失獣【13】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:04:10 ID:3V5v2oYI0
治療は終えたが、かなり消耗したピエールを隊列の中央に据えて洞窟を進む。
ピエールの代わりに前衛を務めるのはサトチー。
普段は隊列中央からの回復やサポートに回ることが多く、前線に立つことは稀だが、
長い時間をかけて磨かれた剣の冴えは見事だ。

突進力で相手を突き破るピエールの剣が”動”の剣だとするならば、
相手の踏み込みをいなし、すれ違いざまに相手を斬り伏せるサトチーの剣は”静”の剣。
果敢に攻め込んでいたはずが、気付いたら斬られている受け身の剣術。
恐らく、倒れた相手は斬られた事にすら気付かず命を落とすのだろう。

相手を不必要に傷つける事を嫌うが故に身についた優しい剣技。
それが相手の命を一瞬で刈り取る死神の鎌になるとは皮肉な話だねえ。

「さて…かなり奥まで辿り着いたけど、みんな怪我はないかい?」

その呼びかけに、ついさっきまで治療を受けていたブラウンが全身で答える。

「ははは…ブラウンは元気みたいだね。安心したよ。」
「私は問題ありません。魔力も完全とはいかないまでも回復しております。」
「俺も平気。道中サトチーがマメに回復してくれてたからな。」
「…サトチー卿…失礼ながら貴公の消耗が著しいように見受けられる…」

俺の心許ない回復技で治療を終えたスミスがサトチーに辛辣な言葉を投げ掛ける。
…いや、本意はわからんけど、無表情・無感情な言葉から真意を測るのは難しい。
実際、ピエールが後ろのほうで『無礼者!!』とか叫びながら抜刀してるし…

まぁ、確かに受けに重点を置いたサトチーの剣術は被弾確率が高いよな。
実際にサトチーの左腕には突撃兵の攻撃を受けた痛々しい傷が見える。

「ん?あぁ、これくらいならベホイミで全快できるさ。」
「…ふむ…一つ進言させてもらおう…時に慈悲は足枷となる…
 …慈悲を向ける相手を見誤らぬよう…首領を失った一軍は非常に脆い…」

204 :得獣失獣【14】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:07:54 ID:3V5v2oYI0
「わかった。君達を危険に巻き込むわけにはいかないからね。」
「…そうではない…貴公にはもう少し我が身を案じて頂きたいだけだ…
 …我々にとって貴公の存在は貴公が考えているよりも重い…」

口下手だが、はっきりと伝わるスミスの心。
ピエールも納得したのか、ようやく剣を鞘に収めてくれた。
当のサトチーには意味がわからないらしく、きょとんとしている。

「素直じゃねえなあ。ハッキリ言わねえとニブニブサトチーには伝わんねえよ。」

―スミス達にとって何よりも大事なのはサトチー自身。それを忘れるな―

つまりはそういう意味だ。
ようやくスミスの言いたい事が伝わったのか、サトチーの顔に笑みが浮かぶ。

「ありがとう。スミス。」
「……治療が終わったのなら先を急ぐべきではないのか?…」

ぷい と、そっぽを向くスミス。
―もしかしてスミス、照れてんのか?この辺はまだサッパリ読めねえけど。

下層に向かうに連れ、狭く入り組んだ様相を見せる洞窟。
足場の悪い通路だろうが、狭い袋小路だろうが襲い掛かってくる魔物。
それらを薙ぎ倒して(時には宝箱に化けた魔物を谷底に蹴り落として)俺達は進む。

そして、辿り着いた最下層。
こぢんまりとした洞窟内の小部屋にソレは居た。

「サトチー様、前衛に出てはなりません。こやつは…キラーパンサー。
 地獄の殺し屋の異名を持つ呪われし魔獣です。」

205 :得獣失獣【15】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:11:13 ID:3V5v2oYI0
地獄の殺し屋 キラーパンサー。
発達したしなやかな筋肉。その体は薄暗がりの中でも明るい金色の毛皮で包まれ、
燃えるように真っ赤な鬣が彩りを添える。首周りに付着しているボロ布が邪魔だが、
その物騒な名前とは裏腹に、その姿は美しい。

…が、象牙のように艶やかに輝く長い牙は紛れもない獰猛な肉食獣のそれ。
同時にカボチ村での風のような身のこなしを思い出し、身が硬くなるのを感じた。

「先手必勝!呪われし魔獣め、そこになおれ!!」

鬨の声を上げたピエールが狭い室内を疾駆し、渾身の突きを繰り出す。
次の瞬間、俺の視界にいたのはピエール一人。

魔獣の姿は消え、前方から呻き声と円盤状の何かが飛んできた。

「ぬう…やはり速い。」
「ピエール!!」

ピエールに後の先の一撃を喰らわせ、その盾を弾き飛ばしたキラーパンサーは、
床を蹴り、壁を蹴り、僅か一足で間合いを飛び越え俺達の背後に回っている。

「心配無用。これしきのカスリ傷…」
「動かないで!すぐに治療しなきゃ!」

ピエールの左腕には三本の傷が刻まれ、緑色の体液が滲み出している。
―鎧で覆われたピエールに傷を負わせるなんて…

―!!!―

隊列の後方を守るブラウンのハンマーが小部屋を揺らす。
身を翻した魔獣は回避の瞬間、ブラウンに強靭な後肢で蹴りを喰らわせる。

206 :得獣失獣【16】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:14:56 ID:3V5v2oYI0
「…これならかわせまい…朽ちて悶えろ…」

スミスの口から迸るドス黒い気体。
強力な毒素を相手に浴びせるスミスの特技『猛毒の霧』
地を這う生物である限り、広範囲に流動する霧から逃げる術はない。

そう…地を這う生物である限り…

目を疑った。
暴れるブラウンをその口に咥え、その四つ足で取っ掛かりのない天井に立つ獣。
強靭な爪を固い岩盤に食い込ませ、落下する事なく天井に文字通り『立って』いる。
これには無感情なスミスも驚きを隠せないらしく、その動作が一瞬止まる。

そして、その一瞬を見逃す相手ではなかった。

「…なるほど…鉄の爪か…」

天井を蹴った魔獣がスミスに襲い掛かり、その背に爪を刻み込む。
事も無げに、猫科特有の身の柔らかさを駆使して地に降り立ったキラーパンサー。

「てめえ!ブラウンを放しやがれ!」

ピエールも、ブラウンも、スミスも一撃で戦闘不能にする戦闘能力。
俺が敵う相手ではないのはわかってるが、せめてその回復の時間を稼ぐ。

キラーパンサーの直前で身を屈め、その足元を狙って水面蹴り。
突進からフェイントで足払い。プロトキラー戦で編み出した俺の必殺コンボだ。

思いっきり外した。

てか、普通に避けられた。

207 :得獣失獣【17】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:19:40 ID:3V5v2oYI0
胸の辺りから黒板を引っ掻くような嫌な音。
足払いをミスった不安定な体勢のまま、胸に重い衝撃を受け、吹き飛ばされる。

「…痛ってぇ…」

痛みを堪え、なんとか受け身を取って立ち上がる。
ただの意地。だけど、この防具なら一撃に耐えられることがわかったのは大きい。

「さすが鉄の胸当てだ、あの一撃を受けてもなんともない…ぜ…」

胸の防具に目をやって絶句した。
ポートセルミで購入した鉄の胸当て。その表面に三本の太いエッジが刻まれている。

「…イサミ…ヤツは鉄の爪を身に着けている…天井に爪を食い込ませる荒業も…
 …ヤツの異常な攻撃力もその力だ…生身で喰らえば助からぬ…」

背中に三つの傷を浮かべたスミスが倒れたまま忠告する。
鉄の爪…抉り取られた鉄板…もし、これが生身の部分だったら…
子供の頃、テレビの動物番組で見た肉食獣の捕食シーンが脳裏に浮かぶ。

ごくり…と、生唾を飲み込む俺。俺も相手も睨み合ったまま動かない。
こちらの攻撃は全て回避され、その瞬間を狙って強烈な一撃を叩き込んでいる。
動けない…それでも、相手が痺れを切らして襲い掛かってきたらそれまでだろう。

―☆!!☆!―

膠着状態はあっさりと終わりを告げた。
一番先に痺れを切らしたのは俺でも魔獣でもなく、その口に捕われていたブラウン。
小さな体をフルに使ってバタバタ暴れ、その赤い鬣を引っ掴む。
魔獣は堪らず首を大きく振り、ブラウンを俺の胸元へ放ってよこした。

208 :得獣失獣【18】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:22:35 ID:3V5v2oYI0
「…っと、危ねえ!」

魔獣に噛み付かれて振り回されたはずのブラウンは思ったよりも出血がない。
見ると、蹴り飛ばされた時に作ったのか頭に大きなコブができているが、
軽く目を回している以外は引っ掻き傷も噛み傷も見られない。
魔獣に捕われて天井に離脱したのが幸いしてか、猛毒の霧の巻き添えも免れたようだ。

「皆、下がってくれ。」

ピエールの治療を終えたサトチーが、一行の前に進み出る。
低く構えて動かない魔獣を、真っ直ぐにその瞳で捉えながら。あくまでゆっくりと。
その手には、ついさっきブラウンが相手の首からもぎ取ったボロ布。

「サトチー様!なりません!!」
「作戦変更!『僕にまかせろ』イサミとピエールはスミスとブラウンの治療を。」

ピエールにとって、サトチーからの指示は絶対。
強い警戒心をあらわにしたままではあるが、即座にスミスの治療に向かう。
俺にとっても歯痒いが、戦闘の場ではサトチーに従う。それが俺達のルール。

「鉄の爪…この刺繍入りのケープ…大きくなったね…」
―ガァウッ!!―

無造作に振るわれる鉄の爪。サトチーの体にじわりと赤い色が浮かぶ。
それでも、そのゆっくりとした歩みは止まらない。

「サトチー様!!おのれ…」
「大丈夫だ。持ち場を動かないで…」

鉄の爪が何度も振るわれ、金属が擦れ合う音が何度も鳴り響く。
その度にサトチーの服に小さな傷が増える。

209 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/10(月) 22:24:51 ID:vyBj/uwX0
もう一回支援

210 :得獣失獣【19】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:25:09 ID:3V5v2oYI0
―おかしい…
続けられるキラーパンサーとサトチーのやり取りに、何か違和感を憶えた。
俺と同じ違和感を他の仲間達も憶えたらしい。

―???―
「ええ…ブラウン殿の仰る通り奇妙ですな。あれ程の猛攻を繰り出しながら、
 どの攻撃もサトチー様のを浅く傷付けるのみ。それは一つの幸いなのですが…
 だとしても、サトチー様に傷を負わせる蛮行を目の当たりにしてむざむざ…ぬぅ…」
「…我々が受けた傷にしても同じ事が言えるな…あえて浅く…急所を外している…」

無防備な所に受けた傷。だと言うのに、俺達の誰も致命傷は負っていない。
俺が受けた一撃も急所となる首筋や腹部ではなく、胸当ての上を傷付けただけだ。

「ずっと一人で…寂しい思いをさせたね…」
―グウゥゥゥ…―

低い唸りを上げながら、じりじりと魔獣が後ずさる。

「その爪も、このケープも、僕から君にプレゼントした物だよね。
 十年…ずっと大事にしてくれていたんだね。ありがとう…
 僕も君との思い出をずっと大事に持っているんだ。」

―サトチーの腰帯に結び付けられていた、薄汚れた赤い布紐。
白と紫で統一されたサトチーの服装の中で、それは一際異彩を放つ存在。
以前、サトチーに尋ねた事がある。

『なあ、サトチー。気になってたんだけど、それ何かのお守り?』
『そうだね。僕にとっての大事なお守り…そして、いつでも僕を守ってくれる。』
『ふぅん…よくわかんねえけど、俺の世界でのミサンガみてえな物か。』
『みさんが?攻撃系の呪文かい?』

211 :得獣失獣【20】 ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:28:09 ID:3V5v2oYI0
音もなく解かれた赤い布。
俺の世界でのミサンガは、それが解けた時に持ち主の願いを叶えるお守り。

ふわり…と、赤い紐が魔獣の鼻先を掠めた瞬間、魔獣の唸り声が消える。
何かに憑かれた様に身を伏せ、硬直する魔獣。その首にサトチーの腕が廻された。

「くじけそうになる度に、そのリボン…君とビアンカの思い出が守ってくれた。
 この十年…一度だって忘れた事はないよ。」

鮮やかな赤い鬣に結ばれた薄汚れた赤のリボン。

「生きていてくれて…本当にありがとう…」

身を伏せていた魔獣が、がばっと身を起こす。
その目からは涙が溢れ、その金色の体毛に覆われた顔中を濡らす。

―オオオオォォォォォ…―

洞窟内に響き渡り、反響する遠吠え。それは歓喜の雄叫び。
顔を濡らし、その豊かな毛皮を伝う涙が地面に流れ落ちる。

こっちの世界のミサンガも、それが解けた時に願いを叶えるお守り。
ただ一つ違うのは、持ち主の願いを叶えるお守りではなく…

持ち主と持ち主にとって大事な存在、両方の願いを叶える…

両方にとって、大事な大事なお守り。

212 : ◆Y0.K8lGEMA :2008/03/10(月) 22:31:55 ID:3V5v2oYI0
イサミ  LV 16
職業:異邦人
HP:41/77
MP:15/15
装備:E天空の剣 E鉄の胸当て
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――


〜〜〜〜
第十五話はここまでです。
長時間のお付き合いありがとうございました。

193でsage忘れ…マジ申し訳ないです。

213 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/10(月) 22:37:11 ID:vyBj/uwX0
>◆Y0.K8lGEMA さん
お疲れさまです。

リアルタイムで読めて楽しかったです。

214 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/10(月) 22:40:38 ID:95XWqT6N0
おぉ、ついにキラパンが……!
名前を次回に持ち越すあたりが憎いw

215 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 03:13:47 ID:oje2l/xm0
指輪が気になるな…。
欝展開だけはやめてくれぇ…。

216 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 09:24:55 ID:2UqS+MtF0
このシーンはいつどういう流れで見てもいい話だなー。非常に乙。
スミス生きろ。死んでも生きろ。俺はお前を失いたくない。

217 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 10:22:00 ID:BVHW20sX0
星降る腕輪だってあたい信じてる

218 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 10:24:15 ID:071Gxyot0

目から水が止まらん
サトチーはやっぱり上に立つ素質のある人物なんだな。カッコいい
腕輪とタイトルのことを考えると次回が不安だ

219 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 12:31:17 ID:UOWifcXM0
カボチの奴らの会話からすると多分あの腕輪なんだろうな…
スミスいやだああああああああ

220 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 13:08:46 ID:c24/MXn8O
乙です。
いつも楽しみにしてます!最近職人さん少ないけど頑張って!
誰か死ぬのかな・・・

221 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 14:22:51 ID:gBjMGgUu0
カボチの地下室のあの腕輪か・・・?
・・・・・・スミスううううぅぅぅぅぅ!!!!

222 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/12(水) 01:18:16 ID:fWxA1Rju0
おつ
カボチにある腕輪だよな。
ま、この村はそれくらいのが納得できるがなw

223 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/12(水) 04:09:46 ID:OAhVARnnO
カボチだけは滅ぼしていいよ、ゲマさん?

224 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/15(土) 11:48:40 ID:hobB94uVO
続き楽しみ保守

225 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/16(日) 12:51:41 ID:XRq+xQxW0
おおおお、ピエールVSメタルライダーといい、キラーパンサーとの再会といい、正直感動した。
洞窟の入り口の描写といい、メタルライダー戦の緊迫感といい、GJなんてレベルじゃねぇよ。超GJ。

226 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/16(日) 14:13:04 ID:U6G1ppSM0
おお。久美先生もこの洞窟でピエールvsメタルライダー戦を描いていたが、
こっちの矜持を賭けた我の張り合いも格好良くて好きだなぁ。


227 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/16(日) 18:01:41 ID:XbwzF01TO
>>226
久美先生て誰?

228 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/16(日) 20:08:58 ID:a0hzGAMSO
目覚めたらアリアハンの宿屋のベッドの上でさ、もうね、慌てず騒がす兎にも角にもね、酒場直行だね、ああ、ルイーダ?
うん?ハーレムパーティー?ちっちっ、ノ〜ンノン、ここはあえて女戦士たんオンリー加えなくっちゃね、だめよ、常識的に。
やあよろしく女戦士たん、ん?ああ、いいのいいの、二人なら経験値倍でしょ?(どう考えても目的は別のところにあるのだが)
二人で力を合わせてがんばろうぜ!さ、いくか!
まずは財布と相談しながら多少装備強化、と・・・鎧のサイズ合わせやら試着を免罪符にセクハラチャンスタ〜イム。
いや、ほら、ここ、こんな隙間空いてると動くとズレたり?してまずい?んじゃない?
なんて具合に逞しいエロエロボディにボディタッチ?スキンシップね、やっぱ意志の疎通?的な?色々後々のためにもね、深めとかないとね、最初が肝心。
さあてと、しち面倒臭いが外に出て・・・危ないから城門から極めて近いとこでうろうろすっか。
まずは軽く一戦、あんまりいっぱい出てくんなよ、バカガラスライム軍団。
・・き・・た・・・うりゃ!こんちくしょう!

う〜ん・・・あ痛たたたたた・・・勝ったが・・もう・・だめだ・・女戦士たん、今日のところは・・宿屋で・・回・・復を・・・・・
!!?!
チャンス!!歩くのも辛いような重傷のフリをしてのろのろと足を引きずるように歩くと・・・
案の定、気の短い女戦士たんがこちらの作戦、思惑通りイライラしだして・・・
・・んもぅ!しょうがないね!大丈夫か?
と肩を貸してくれた。
・・す・・すまない・・うっ・・
と非常に安っぽい猿芝居をしながら女戦士たんにもたれかかり、むき出しの素肌胸お腹お尻太腿あたりに狙いをさだめ、かなり際どいボディタッチに挑戦する。
な・・ちょっ・・ぉ・・・い・・
と、嫌そうに拒否られるか怒られるか突き飛ばされるかされないかギリギリのところを見切りつつ危ないヤバいと感じたらすごく苦しそうなフリをしてごまかす。
むほっ、さて、宿屋はもうすぐだ。
はやる気持ちと股間の欲棒を抑えつつ、まだ日は高いが・・・・・


???
スレタイ見てこういう妄想を書きなぐるスレだとおもったんだが・・・

229 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/16(日) 21:27:25 ID:1m69yedXO
>>227
DQ5の小説の作者

230 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/16(日) 21:36:10 ID:XbwzF01TO
>>229 サンクス
つまりプロか
ツマラン

231 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/17(月) 08:01:13 ID:uKbI7x1O0
>>228
続けてくれw

232 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/17(月) 19:06:36 ID:TV0MJuZOO
>>228
>YES,I am!チッ♪チッ♪
まで読んだ

233 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/19(水) 10:02:15 ID:YCB8zkra0
新たなる可能性が参上してるのか保守

234 :一発ネタ1/3 ◆6hMIYUciEM :2008/03/19(水) 11:39:37 ID:KhNWUY4O0
もし目が覚めたらそこがDQ○世界の宿屋だったら

朝。
窓から容赦なく目を射るまぶしい陽光に目を覚ます。
寝不足の頭を振り、気だるさを振り払う。

そして、頭がはっきりするにつれ、俺はあることに思い至った。
ココハドコダ?
ビルの谷間の俺の部屋の窓からは、はげかけた灰色のコンクリートの壁、そして洗濯物しか見えないはずだった。
陽光が差し込むことなど決してない。
一気に目が覚め、目をこすりながらうす暗い部屋の状況を確認する。

鼻先に洋服掛けの迫る、俺の部屋の四畳半じゃない。しかも古風で質素だが、布団ではなく大きなベッドで寝ている。
窓にはよろい戸があり、その隙間から日光がシマシマの模様を作っている。ちょうど俺の目の位置にもひとすじの日光が当たっていた。
「ちゃんと計算されているんだな。角度とか・・・」
俺は誰に言うともなく、ひとりごちた。

少々立て付けの悪い、鎧戸を開け放つと、俺は思わずまぶしさに目を細めた。
やがて目が慣れてくると、その光景に息を呑んだ。

235 :一発ネタ2/3 ◆6hMIYUciEM :2008/03/19(水) 11:41:12 ID:KhNWUY4O0
窓の外には、まるで西部劇のテーマパークのような光景がそこに広がっていた。
そして、俺のいる部屋のレンガ作りの壁からは飾り文字でINNと書かれた看板が突き出していた。
外を歩く人々も妙な格好をしていた。甲冑をかぶったもの、上半身裸で覆面までかぶったものが前後左右に闊歩している。
女性はさすがに上半身裸ではないが、手の込んだ民族衣装のようなものを着ていたり、いずれにしても俺の見慣れたものではない。
「ここは日本じゃないのか?」
状況が飲み込めず、頭が痛くなってきた。

部屋の中に視線を戻すと、着替えらしいものはなく、甲冑と剣、盾、そして皮袋があった。
皮袋の中には漢方薬のような束ねられた草、ゲーセンのメダルのような金貨、趣味の悪い装飾のついた大きな鍵が入っていた。
もしや・・・。
昨日寝る前に見たスレを思い出す。ここは、噂のDQ世界の宿屋なんじゃないか。
ということはラスボスを倒せば元の世界に戻れるけだ。
それにしてもドラクエいくつなんだろう。それがわからないと目的とこれからすべきことがわからない。
ふくろがあるということは・・。いや、外に出てみればわかるだろう。
とりあえずDQn世界(nは自然数)としておこう。
俺は鎧をみようみまねで身に付けて、武器を身につけて、皮袋を持ち、宿の廊下の階段を下りた。

236 :一発ネタ3/3 ◆6hMIYUciEM :2008/03/19(水) 11:45:56 ID:KhNWUY4O0
そこには、緑色の服に金ボタンをつけた宿の主人が待っていた。
だが、その宿の主人は俺の想像していたお決まりのセリフは言わなかった。
それどころか、くちゃくちゃとガムを噛み、安物の香料臭い息をさせながら眉間にしわをよせ言った。
「あ〜ん?ゆうべは眠れたんか?じゃあさっさと行きな。」
宿の主人はあごでドアの方を示した。

その勢いに気おされながら、黒い金具のついた重厚な扉を開ける。
そこには、二階の客室からは見えなかったが、想像を絶する光景が広がっていた。
俺を押しのけて入れ違いに宿に入っていく者。
宿の玄関前にたむろって、袋にいれた液体を吸う者。
昼間っからラリって、ふらふらと前後左右に不規則に歩く者。
路地から俺をにらみつける者。
地べたに座り車座になる者。

しまった。ここはDQn世界ではなくDQN世界だったのかっ!!orz

おしまい

237 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/19(水) 15:30:17 ID:NwQ4sLR20
なんてひどいんだ

238 : ◆I15DZS9nBc :2008/03/19(水) 18:45:58 ID:lqYfkwAd0
すりりんぐぶれいぶはーと・第一話(1)

「山に潜んではや一週間、体臭がヤバイを通り越してもう何も感じなくなりました……でも風呂より温かい料理が食べたいです」
テンションガタ落ち、HP満タン、されどもMP空っぽ、薬草も尽きたわけで食えそうなものを図鑑と見比べ吟味、せめて茹でないと青臭くてかないませんよ。
草特有の灰汁っぽさ、お腹の調子は悪いけれどもひとまずステータス異常とまでは至ってませんよと自分を慰め大きくため息。
「魔法に関連する書物を奪取してこないことには始まらんぞおい、Lv上がったっぽいけど一向に覚える気配ないし」
知識は自分で付けなきゃならないっぽいです、もうちょい上手い具合のシステムを築いて下さい偉い人。
ぶっちゃけ二百年ほど前に魔法使いの反乱が起こって以来魔法はほんの一握りの人間だけが学べる免許制の特殊技能なわけで、必然的に学ぶための書は限られてくる。

239 : ◆I15DZS9nBc :2008/03/19(水) 18:49:45 ID:lqYfkwAd0
ルイーダの店みたいに職業斡旋やってるところでも武道家だとか戦士だとかが余るぐらいたくさん登録されて続いて盗賊、商人と言ったネゴシエーター。
まあダンジョン内での鑑定も受け持つこともあるが圧倒的に交渉事に役に立つ。
そして何より引っ張りだこの僧侶と魔法使い、これの数はイーブン、似たようなもんだし……。
あー忘れてた、遊び人なんて言うふざけた職業もあるが……仲間の下の世話もリーダーの責務というもので、街中で性犯罪なんてものを起こされれば最悪打ち首ですからね!
んで賢者、高慢ちきが多いのと何より絶滅危機種かっつーぐらい個体が少なく保護対象となっているため滅多にお目にかかれないらしい。
いやまあ勇者ほどじゃないんだけど。
「あー何話してたんだっけか? あー魔法だ魔法、脱線しまくってるな」
こんだけだらだら話して何が言いたいかって……魔法習得無理ぽいです、てへ。
「洒落になんねー、無理ぺー、つーか、死ねるぜ」
動物性タンパクなんて当分くってねーなーと夜空に嘆く、カラスは復讐が恐ろしいから手を出さないしキノコマンとか中間すぎて食いたくない。
「誰が考えたんだよあんな万博不思議生命展、植物っぽいくせに肉っぽい感じ、毒持ってるし良いとこねえよ。スライムとか噛り付いたら舌に吹き出物がぶつぶつ出やがるし」
あれには本当に参った、元々ある舌のざらざらの上に数の子みたいな感触の密集体ができて、さらに悪いことに高熱にうなされること二日間。
さらにゲエゲエ吐いてせっかく詰め込んだ草が胃の中から消え去り胃液まで出し尽くす始末。

240 : ◆I15DZS9nBc :2008/03/19(水) 18:50:28 ID:lqYfkwAd0
それだけならまだ良かったが悪いことはかさなるもんで下のほうも壊れた蛇口みたいに噴き出し脱水症状一歩手前。
いやぶっちゃければ重度のになってたんだけどな、干物だ干物。
まあそれでも死なないのが勇者の定め、パラメーター異常が長く続いてたせいもあって筋力と体力が衰えたのもご愛敬。
魔法なし武器なし知恵なし、けれども体は頑丈……だと思いたい、わりと元気じゃないけど今日も生きてます、と。
「つーかなんで魔王襲ってこないんだ?今の段階でフルボッコにしたら立ち向かってくる馬鹿は居ないだろうに……」
勇者を放置することは最悪自らを滅ぼすことに繋がる、ならその災厄の目をサクッと摘むに限る。
というか人類掃討を謳いながらなぜ圧倒的物量を誇る魔王軍を動かさない?
軍産複合体が裏で戦争を継続させている陰謀論、なんてものがあるなら分かりやすいがこれは不可解すぎる。
そんなものがあるなら勇者や魔王なんていう不確定要素があってもらった困るはずだ。

241 : ◆I15DZS9nBc :2008/03/19(水) 18:51:13 ID:lqYfkwAd0
「ルビスってどこの祠に居たんだっけか、あれ?あれって四作目か?ちくしょう、なんでここまで覚えてないんだよ……」
自分の知識の何が正しく何が間違っているのか、それすら分からないのだ。
魔法がぽんぽん使えるファンタジーに自分の常識が屈伏している。
「いいや待て、金になりそうなことを思いついたぞ俺、そうだよ、ファンタジーだ、産業革命も起きてないんだ、チャンスは幾らでも転がってるじゃないか!」
え!?金がない!?借りれば良いじゃないの!!
子供じゃねーか!?無理!?d
「……現実味がないな、蒸気機関の仕組みは分かるがあんなもん作れるかよってんだ」
熱効率が半端なく悪くさらに強度がなくボロっちいのならイケそうだけどな、とぼやく。話が平行線だ……つーか誰と話してるんだよ俺。

(2)に続く

242 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/19(水) 19:47:44 ID:MoihoE3v0
>>237
ゴメソナサイ

243 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/20(木) 11:20:24 ID:KbQnUbkv0
>>238-241
続きに期待!
シニカルな進行がオモロイ


244 :激闘!v.s.カンダタ戦!編1 ◆Tz30R5o5VI :2008/03/20(木) 20:14:52 ID:o1/pPq9qO
長く広い、迷路の様なシャンパーニの塔を迷いながら進んでいった。トラップの仕掛けられた床、侵入者を阻むために配置されたモンスター達、先の階に進ませないためのトリック。
外を見たら分厚い雨雲が塔を覆っていた。
これだけ好調に冒険してきたのにバラモスへの道のりが、進めば進むだけ不安になるのは何故だろう。
全てのモンスターを従えるバラモス。おそろしいほどの魔力。世界を黒く覆い尽くすその存在。その存在があまりに静かで、不気味な気配があるのだ…。
オルテガがただ一人でバラモスを倒すために旅立った。
各地にその伝説は語られていた…。その強さを、勇気を。
しかしその後どうなったかは誰もたぶん知らない。
そう、ぼくはその偉大なるオルテガの息子―勇者として、アリアハンをでたのだ。
ピカ一の剣の実力をもつ戦士サイモン。ただ、いまだ本気で戦っていないようで実力は未知数である―。
オルテガを慕い幼い頃から武闘家の道を選び鍛練を続けてきたエリー。その男勝りの性格の奧にある淋しさややさしさをぼくは知っている。
神を信仰する僧侶ナナ。口数は少ないが、そのあたたかい空気、雰囲気がぼくらを癒してくれる。
―さあ行こう、この上にカンダタがいる、そして国宝を取り返すんだ―。

245 :激闘!v.s.カンダタ戦!編2 ◆Tz30R5o5VI :2008/03/20(木) 20:20:43 ID:o1/pPq9qO
カンダタ「何だおめえらは…? 下の階に子分達がいたはずなんだがなんで此処にいる?」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「全員倒して来たんだよ、あとは君だけだ。―国宝『金の王冠』を返してもらう」
カンダタ「なるほど…おめえらは勇者御一行サマってわけだ」
少しの静寂。対峙している時間がとても長く感じられた。
女武闘家エリー「かんねんしなさいよ」
カンダタ「はっはっは!王冠ならこの塔の屋根に飾ってある。俺を倒せたら持っていっていいぞ」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「…なんでロマリアの国宝を盗んだんだ」
男戦士サイモン「そうだな。どんな理由があったんだ?」
カンダタ「いずれ、世界のお宝の全てを手に入れるからだ」
盗賊らしい答えだった。ぼくらがバラモスを倒さなければいけないように、彼もまた確固たる自分の信念があるようだ。
戦いは避けられない―。
『カンダタがあらわれた。』
ついにバトルだ―。
『カンダタが先制攻撃をとった!』
なっ!?
カンダタ「おおおおッッ!!!!」
おそろしい巨体がふるう豪腕――。
『カンダタ、会心の一撃!』
ナナを襲ったその一撃を、サイモンがかばう―。
女僧侶ナナ「…さっ!サイモン!…」
サイモンはナナをおおうように前に立ち、カンダタの攻撃を背で受けた―。
男戦士サイモン「うぐ……。ナ…ナ……」サイモンは膝をつきガクリと倒れた。「……ゆきひろ…こんなところでお前は死ぬなよ………」
…そして目を閉じた…。
サイモンのHPが0…………。
―――サイモンが…、死んだ……。

246 :激闘!v.s.カンダタ戦!編3 ◆Tz30R5o5VI :2008/03/20(木) 20:25:30 ID:o1/pPq9qO
サイモンが死んだ…。
カンダタ「ま、まだやるか?」
敵も少し状況に困惑していた。
女武闘家エリー「あの体力馬鹿がこんなに簡単に……う…あああぁ!!!」
ぼくは攻撃にはいろうとしたエリーを止めた。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「やめろ! うかつに飛び込むな、まだサイモンは大丈夫だ、ぼく達だけでカンダタを倒すしかない…。三人で連携してもちこたえて戦うんだ!」
そうは言ったものの長期戦になり、サイモンの死に動揺した今のぼくらに勝ち目はうすかった。
いつのまにか、雨が降りだしていた。
まるでサイモンへ捧ぐレクイエムのようにシトシトと降りそそぎ、そのうち稀にみる大雨――嵐へと変わった。
こんな非力なぼくが勇者なのか? 許されることじゃない。ぼくらはまだ負けるわけにはいかない…。バラモスを倒すために生まれた運命の血…。この血が敗北を許さないだろう。
どくん…。
血が逆流したかのように身体中が熱くなった。
女武闘家エリー「あっ!」
攻撃を防御されたエリーの鉄の爪が折れてしまった。
ナナのMPもきれてしまっていた。
もうぼくしかいないんだ。
バラモスへの道のりをとじるわけにはいかない。
ぼくはカンダタに向かっておたけびをあげて、剣をかまえ走りだした。

247 :激闘!v.s.カンダタ戦!編4 ◆Tz30R5o5VI :2008/03/20(木) 20:28:36 ID:o1/pPq9qO
例えばコンマ数秒のことが鈍く数十秒にも一分にも感じられるという死の直前におこるといわれる走馬燈のように、悲しいほどぼくの一撃はゆっくりとかわされ、カンダタにそのまま身体ごと吹き飛ばされた。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ぼくは………」
女武闘家エリー「ゆきひろ!!!」
女僧侶ナナ「大丈夫ですかっ!?…」
二人が駆け寄ってきた…。こんなに頼りないぼくが勇者なんて。
カンダタ「…このまま帰れば生命まではとらないぞ」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「か…帰れるわけがない、ぼくは勇者なんだ…だから…。必ずおまえを」
カンダタ「おめえは弱い。弱いヤツとは戦いたくない。出なおしてくるんだな……」
その時雷鳴が鳴り響いた―。
ぼくは弱い…。確かに非力だ。
ナナのような魔力もなければ、サイモンのような腕力も、エリーのような俊敏さもない。
ぼくにあるものはなんだ?
また雷鳴が鳴った。
雷が屋根を吹き飛ばし空が見えた。
この雷のように強くなれたなら―。
速くてそしてなによりも強い力―。
かみなり―雷。
雷だ…。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「…カンダタ、勝負だ」

248 :激闘!v.s.カンダタ戦!編5 ◆Tz30R5o5VI :2008/03/20(木) 20:32:55 ID:o1/pPq9qO
ぼくは剣を天空にむけた。
それがどんなにおそろしいことか分かっていた。
女武闘家エリー「あんた! 何をやる気なの?!」
カンダタ「読めたぞ…。そんなことをしたら死ぬのがわからないのか」
どくん…。
血が逆流する。不死鳥ラーミア。精霊ルビス。ぼくに力を。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「勇者の名において命令する―。雷よ我に力を与えよ―。―雷よ!!!」
雷鳴が鳴った―。
剣を伝いぼくは雷に貫かれた。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「………ら、ライデインだ。―これがライデイン…。カンダタをも貫け!」
カンダタに向かってぼくはまた駆け出した。これが最後の力―。
ぼくはカンダタに剣を突き刺したまま、カンダタを逃がさないようにするために自らをもまきこむように呪文を唱えた。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ライデイン!!!!!」
稲妻はカンダタとぼくを直撃した。
『カンダタを倒した。』
これでよかったんだ…。
ぼくの残りのHPは1。紙一重だった。
そしてぼくも倒れた……。
女武闘家エリー「ゆきひろ!」
倒れて意識を失うまでによくエリーの声が聞こえた。
エリー、ごめん…。

249 : ◆Tz30R5o5VI :2008/03/20(木) 20:36:45 ID:o1/pPq9qO
久しぶりに続きを書きました
ぜひご一読ください
投下終わります

250 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/20(木) 21:32:48 ID:iLI5NdD80
ゆきひろの、何も出来ない焦り、そして土壇場になっての捨て身の大逆転、緊迫しました。
カンダタも、なんだか根っからの悪人じゃないみたいですね。
#まあ、本編どおりだとしたら、性懲りもなく出てくるのですが・・・。

251 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/20(木) 22:12:03 ID:yDKWVojqO
テリーが叫ぶだけで役立たずだなwww

252 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/21(金) 22:11:12 ID:H6JLvFmS0
スレ宣伝のため浮上


253 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/21(金) 23:55:54 ID:Gfyz9MmA0
>>249
面白い!
勇者が超人でないとこがまたイイ

254 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/22(土) 01:05:07 ID:XXjlhrCf0
すげぇ。
3年前にこのスレをはじめて立てた者ですが、まだ残っていたんですね…
頑張ってください。

255 :総長 ◆Lh6WfP8CZU :2008/03/22(土) 09:19:03 ID:2kL+VFjy0
…………………。




…………。



……。



ん………んン?




痛い。頭がめちゃくちゃに痛い。意識は戻ったのだが目は開きたくない。
もうこのまま死ぬまで眠っていたい気分だ。

…………みっ……みず……。

そう、これは俗に言う二日酔いというやつだ。まあ一年中毎日ゲロゲロになるまで飲んでるから
今更なのだが今日はいつもに増して気持ち悪い。とりあえず水を……おおッ!?

ベッドから起き上がって俺は数秒間フリーズした。これは………どこだ!?
見慣れた小汚いせまっ苦しいボロアパートの一室ではない。確実にない。

きれいなシーツに洋風の家具、窓から覗く空は心なしか普段より澄んで見える。
俺は痛い頭を必死に回転させてある結論を導いた。


256 :総長 ◆Lh6WfP8CZU :2008/03/22(土) 09:19:55 ID:2kL+VFjy0
……よし!逃げよう!

部屋から出て階段を下る。一目散に出口と思われる扉を目指す。
幸運な事にここの家主はいないみたいだ。おそらく俺は酔っ払ってどこか知らない家に上がりこんで
眠ってしまったに違いない。確実に不法侵入だ。サツはもう懲り懲りだ。

バタンッ!

…………おおおおッうッ!!!!

なんだこののどかな田舎町は!?一瞬強烈な違和感を覚えたがその理由はすぐにわかった。
電柱がない。アスファルトがない。車なんてもっての他だ。
さすがに泥酔して無意識に行動したにしてもこんな僻地まで来るもんだろうか。
俺のアル中も比較的末期のようだ。とりあえず家に帰らなくては。

ここがどこかまったく見当もつかないが探せば駅くらいはあるはずだ。
そこから電車で帰ろう。俺はとりあえず村の出口らしき所から外に出た。
その辺の人に道を聞いてもよかったのだが田舎町ってのは人の出入りがない分よそ者が目立つ。
俺があの変な家から出てくる所を目撃していた人がいるかも知れない。
ここは一刻も早く離れるべきだと俺の直感が伝えていた。

しかし出たはいいものも見渡す限り謎の大自然である。下手したら今日中には帰れないかも知れない。
トボトボ歩き出した目の前に何かが飛び出した。

青い寒天のような物体。寒天に目と口がついている。これは………かわいい……
こんな生き物は見たことがない。もしかしてツチノコとかそういう類か?それなら捕まえたら
金になるかもしれない。つーかかわいい。飼いたい。

頭を撫でようと近づいた。よしよし…………ガブリッ!!いてッ!!!

いきなり噛み付く青寒天。なんて凶暴な生き物だ!俺はすかさず蹴りで反撃した。
青寒天はプゲッと潰れてしまった。田舎の野生生物はなんて危険なのだろう。

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