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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら12泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/28(金) 06:52:11 ID:kjslZuu70
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角)+ 最後に投稿したレス番号(半角数字)」)をつけると読み易くなります。

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら11泊目
ttp://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1192116918/l50

PC版まとめ「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

携帯版まとめ「DQ宿スレ@Mobile」
ttp://dq.first-create.com/dqinn/

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/40919/ (前スレ中にこちらに移転しています。ご注意ください)

ファイルアップローダー
ttp://www.uploader.jp/home/ifdqstory/

お絵かき掲示板
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/

2 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/28(金) 06:56:10 ID:fDvWijiv0


俺も気が向いたら書いてみようっと

3 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/28(金) 08:51:49 ID:VvCyQ1pYO
>>1
もう十二泊目か、なんかすごいな

4 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/28(金) 10:48:23 ID:VvCyQ1pYO
言い忘れたけど、梅短編乙っした〜

5 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/28(金) 16:40:19 ID:sX1AjSG+0
スレ立て乙ですー。
埋め短編もよかった。
ミネアさんのお話は姉妹の絆というのが伝わってきてなんかいいなー。

タロウくんのお話も、ほのぼの。元の世界にもどったあともみんな幸せに暮らしてるのですね。
ヨウイチくんと、しなのさんと再会とかしちゃってるかもね。

6 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/29(土) 01:28:23 ID:YWfvpNr60
>>1
スレ立て乙です。

だいぶ間が空いてしまいましたが、第13話を投下します。

7 :命命之志【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/29(土) 01:30:55 ID:YWfvpNr60
ラインハットの関所を後に西へ…サンタローズを越えて更に西へと馬車は進む。
今回の俺達の目的地は、宿場町アルカパ。
サトチーが言う 船出前にどうしても立ち寄っておきたい場所。

「へぇ、デールさんを狂わせてたのも魔性ってやつなのか?」
「多分…だけどね。」

以前、スミスが語ってくれた『魔性』
無害なモンスターを凶暴な存在に変化せしめる黒い意思。
デールさんの異変もそれのせいだとすれば納得出来る話だが、一つ疑問が浮かぶ。

「でもさぁ、知能の低(ゴン!)…発育段階のモンスターはともかくとして、
 魔性ってのは人間の思考まで狂わしちまうのか?」
「…兄を失った事で心に深い傷を追ったデール王…そこにつけ込まれたのだろう…
 しかし…それでも人間を狂わす魔性とは…」
「悔しいけど、それだけゲマの魔力が強力だって事だろうね。」

どうもねえ…ラインハットの件は一件落着となったんだが…腑に落ちないな。
あの鬼ババアが元凶なのは間違いないだろうけどさ、それで全部か?
ライターや殺人機械を作っちまうような科学力とかも鬼ババアの入れ知恵?
ん〜…そうは思えないんだよなあ。

「お話の途中失礼します。間もなくアルカパの町です。今夜のご指示を。」

馬車の外から聞こえる遠慮がちな声。
声の主はパトリシアを先導するスライムナイト ピエール。
ラインハット関所近くで俺達と戦闘になり、仲間になったモンスターだ。

「ああ、もう到着か…ありがとう。それじゃあ、町外れに馬車を着けてくれるかい?
 それから今夜は…スミスとブラウンと一緒に馬車番をお願いしてもいいかな?」
「御意。馬者の守りは我々にお任せ下さい。」

8 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/29(土) 01:31:09 ID:tIMRY67lO
ゲマさんキタ――(゚∀゚)――――

9 :命命之志【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/29(土) 01:32:43 ID:YWfvpNr60
深々と頭を下げ、手際よく下車の準備をするピエール。

「済まないね。本当は君達にこそベッドで休んでもらいたいんだけど…」
「そんな、滅相もございません。どうか我々の事などお気になさらず…」
「初対面のネチッこさが嘘みてえだなあ…人は変わるもんだねえ…」

今でこそ甲斐甲斐しく遠慮深いピエールだが、こいつとの戦闘は本当に嫌になった。
どんなにダメージを受けても回復魔法で何事もなかったように復活し、
魔力が尽きても俺達の魔力を奪って回復魔法で復活。
お供のアウルベアーが全滅しても何度も何度も一人で立ち向かってきたピエール。
最後は奪う魔力を持たないブラウンの会心の一撃でようやくKOだったな。

「いや、耳が痛い。私自身はサトチー様の広い御心のお陰で変わる事が出来ましたが、
 残念ながら戦闘スタイルまでは変わらないようですね。」

ホント。ピエールを一人ねじ伏せるのに、だいぶ消耗させられたもんなあ。
まぁ、今では確かな剣の腕に加えて回復魔法まで使える心強い味方だけどね。
…はぁ、俺ももっと腕を上げなきゃな。
今の俺では、剣も魔法も仲間達に敵わない所ばっかりだ。

「君達なら守りに何も心配はないだろうけど、くれぐれも無茶はしないようにね。
 僕から出す指示は『いのちだいじに』だよ。」

敬愛するサトチーから発せられた指令に、ピエールが跪いて敬礼の仕草をとり、
それを真似してブラウンもその横にちょこんと跪く。

「御意。サトチー様に救われたこの命、無下にするような真似は致しません。」

あの時、俺達とのバトルに敗れ、自ら命を絶とうとしたピエール。

そして、自らに剣を向けるピエールを救ったのはサトチー。

10 :命命之志【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/29(土) 01:35:54 ID:YWfvpNr60
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ブラウンの会心の一本足打法が直撃し、スライムごと吹き飛ばされる異形の騎士。
彼と対峙していたブラウンを制し、仲間達に回復を施すサトチーに騎士が問う。

『…くっ…なぜ止めを刺さぬ!同情か?憐れみか?勝者の優越感か?』
『生憎、僕は倒れた相手に向ける剣は持ってないからね。僕達はもう行くよ。
 君なら自分で傷を癒せるだろう?これからは平和に暮らしなよ。』

投げ掛けられたサトチーの言葉を聞いた騎士の体に僅かな力が宿る。
震える手で取り落とした剣を拾い、震える声で呟く。

『敗れてなおも生き延びろとは…このような屈辱を受けるくらいなら…
 誉れ高き騎士の名に賭けて…血花の下に果ててみせよう!』

騎士の手の中に収まった剣がくるりと一転し、騎士自身の胸に向けられる。
ちょま…HARAKIRIってヤツ?そんなに思い詰めなくっても…

ぱーん!!

爆竹を一本だけ破裂させたような音。それはサトチーの平手が騎士の頬を打った音。

『何が誇りだ。騎士の剣は何の為にある!敵を殺める為か?自分を殺める為か?
 騎士が剣の使い道を忘れてどうする!騎士の剣は”守る”為にあるんだ!!
 今日を生き、明日を生き…その剣で大事なものを守り続けるのが騎士だろう!』

珍しいサトチーの恫喝に衝撃を受けたように立ち尽くしていた騎士。
見つめるサトチーと、見つめ返す騎士の間に風が吹く…
彼は剣を地に下ろし、サトチーの前に片膝をついて深々と頭を下げた。

『…私は騎士の役目を忘れておりました。主に仕え、主をお守りするのが私の任…
 私の名はピエール。あなた方のお陰で役目を思い出した一介の騎士で御座います。
 高貴なる目を持つ主君、どうか私にあなた方の守護を担う役割をお与え下さい。』

11 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/29(土) 01:37:48 ID:zkh9dW3P0
支援

12 :命命之志【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/29(土) 01:38:18 ID:YWfvpNr60
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『いのちだいじに』か…
あっちの世界じゃあ口にする事も考える事もなかったなあ…

一瞬の油断が、迷いが、瞬きする間に俺達の命を刈り取るこっちの世界。
矛盾した話だが、そうだからこそ『いのち』って物を実感できる。

「…命大事に…なかなか良い言葉だな…」

夜営の準備を進めるスミスがぼそりと呟いた。

◇           ◇

北方大陸西方の宿場町アルカパ。 別名―詩人の町―
主無き古城・レヌール城の伝承を求め、世界中の詩人達がこの町へ足を運ぶ。
交通の便に恵まれているわけではないこの町が栄えたのは、その城の影響が大きい。

街角で詩人が歌うのは、悲しい最期を遂げたレヌールの王と王妃への鎮魂歌。
死した後も呪いに縛られ、苦しみ続けた二人の悲哀を奏でる哀歌。
そして、その呪いから二人を解き放った小さな勇者を讃える賛歌。

呪いを解き放った小さな勇者ねぇ。
まぁ、田舎町によくある客寄せのおとぎ話だろうな。

「懐かしいなあ。レヌール城でオバケ退治をしたのは10年前か。」

…ナ ナンダッテー!!
 Ω

多少の脚色はあるが、歌に残る『小さな勇者』とはサトチーで間違いないらしい。
なんだ、そのアグレッシブ過ぎる武勇伝…

13 :命命之志【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/29(土) 01:41:31 ID:YWfvpNr60
「その時、一緒にお化け退治をしたのがこの町の宿屋の娘でね…」

なるほど、船出の前にこの町に立ち寄りたかったのはその子に会うためか。
その子…ビアンカの事を話すサトチーの顔はいつになく楽しそうに見える。

深夜の廃城に忍び込んで幽霊とバトった女の子か…
ゴメン…ベリアルとかダンビラムーチョに似た逞しい女の子しか想像できねえ。
顔を合わせた瞬間、防衛本能が働いて斬ってしまいそうだ。
…いや、モンスターだって全部が全部悪い奴じゃあないんだよな。
だからって愛せるかといったら話は別なんだが…

悶々とする俺を連れたサトチーは、晴れやかな顔で魔城…もとい、宿屋の門を開けた。
上品な装飾の施された木製のドアベルが奏でる乾いた音が来客を告げる。

「いらっしゃいませ。お泊りは二名様でしょうか?」

フロントからにこりと笑いかけたのは、人の良さそうな女将さん。
宿帳を閉じ、手にしていたペンを胸元に差して俺達を出迎える。

この人がベリアr…じゃねえ、ビアンカって子の母親か?
あれ?10年ぶりだってのにサトチーの反応が薄いなぁ。緊張してんのか?

「あの…ここにビアンカという名前の女性は住んでいませんか?
 10年前には確かにここに住んでいた筈なのですが…」

サトチーの顔がみるみるうちに…いや、俺の立ち位置からは顔を見る事は出来ない、
恐らく、俺の予想通りの表情をしているのだろう。

「ビアンカさん? もしかして、私達の前にここに住んでいた方に御用かしら?
 私達は8年前にこの町に移住してきたんです。お役に立てなくてごめんなさい。」

最上階、この宿の最高の部屋に通された後も、サトチーはうなだれたままだった。

14 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/29(土) 01:42:38 ID:m0THvNGK0
サトチー…(´・ω・`)

15 :命命之志【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/29(土) 01:43:52 ID:YWfvpNr60
    ◇
窓の外では小さな篝(かがり)の下で、詩人が夜想曲を奏でる。
静かな夜の町。その背景のように朧げに青白い輪郭を浮かべる廃城のシルエットが
ロマンチックな雰囲気を盛り上げる。

「明日も早いし…もう、寝ようか。」

窓際で夜風に当たっていたサトチーがカーテンを閉める。
数時間ぶりに聞いたサトチーの声は重々しく、どことなく疲れているように聞こえる。

ロウソクの火が落とされた部屋。カーテンの隙間から入り込む薄赤い篝の光。
その頼りない光の下では、互いの顔すら窺い知る事はできない。

「…明日から…世界中を回るんだろ?」

ふと、無反応の暗がりに向かって話し掛ける。
遠くで聞こえる夜想曲が静寂に無彩色を飾る…サトチーは眠ってしまっただろうか。

「俺…あっちの世界では、日本って狭い国の中の狭い一部しか見た事がなくってさ、
 今いる国の外に出る…世界中を回るってのが、凄げぇ楽しみなんだ…
 世界中を回ればさ、何だって見付けられる。何だって見付けられないわけがない。
 今さ…実感してるんだ…『今日を生きている』って事…」

俺は誰に何を話しているんだろう。自分でもわからない独り言。
ただ、思っている事を口に出した…それだけの事。

「…何だって…見付けられるよね…」

無反応な暗がりが返した小さな反応。それだけの言葉。
それでも、その短い言葉の中に感じ取れた『明日を生きる』意志。

それは、神殿から脱走した時とは違う船出への希望。

16 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/12/29(土) 01:47:49 ID:YWfvpNr60
イサミ  LV 16
職業:異邦人
HP:77/77
MP:15/15
装備:E天空の剣 E鎖帷子
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――


〜〜〜〜

今思い出しました。
LOAD DATA 第12話 >>(前スレ)436-443 …orz
今日はここまで。次回はいよいよ船出です。
12泊目でもよろしくお願いします。

17 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/29(土) 10:01:33 ID:JzFtv6Sw0
乙!
そういやヘンリー抜けたから、面子が減ってるんだよな。当たり前だけど。
寂しいけど、新メンバー共に頑張って下さい。

18 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/29(土) 11:53:10 ID:YfdhNDHp0
スライムナイトかっこいいー。
敵に回すとねちっこいけど、裏を返せば最後まで勇敢に戦いぬくということだものね。
ピエールも、スミスも深いですね。
ブラウンも言葉こそすくないけれども信頼感でつながっている感じがするし。

ダンカンさん引っ越しちゃったんだものね。・・。
再会までの長い道のり、サトチーさんにはつらかったでしょうね。
でも明日を信じてがんばりぬいてほしいです・・・。

19 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/31(月) 10:17:58 ID:RPV7CeoxO
保守

20 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/31(月) 11:38:52 ID:xlLiRS+k0
浮上保守

21 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/12/31(月) 12:20:10 ID:QKAZklPz0
お疲れ様です。
時間が出来たので11泊目までの物語をまとめました。
不備を見つけたら避難所まで一言、お願いします。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

住人の皆さんには、今年もお世話になりました。
2008年もよろしくお願いします。

22 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/31(月) 22:00:48 ID:y7GL1IO30
いつも乙です。
来年もよろしくお願いします。

23 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/01(火) 01:06:20 ID:J2+QuhBk0
あけおめ
初カキコはいつもこのスレだぜw

24 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/01(火) 01:23:12 ID:Ka6P/C4G0
>>21
年の瀬に作業乙でした!

職人さんも住人さんもあけましておめでとう!
今年も投下楽しみにしています

25 : 【大吉】 【685円】 :2008/01/01(火) 05:53:15 ID:5ebuaEE0O
職人の皆さん
住人の皆さん
あけましておめでとさん
今年も楽しませて貰います

26 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/03(木) 17:02:33 ID:pcFpCky5O
保守

27 : ◆Tz30R5o5VI :2008/01/04(金) 10:47:49 ID:UEn5lrzxO
>>1>>21


28 :Stage.12 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:17:00 ID:/hmIuvHt0
アルス・タツミ『あけまして、おめでとうございまーす!』
タツミ「まずは合作完結、お疲れ様でした! あとはエピローグを残すのみですね〜wktk♪」
アルス「新スレも立ったしな。>>1様、スレ立て乙っした!」
タツミ「タカハシさんも年末のまとめ作業ご苦労様です。いつもお世話になっております」
アルス「新しい職人さんも来て、ますます盛り上がってるし」
アルス・タツミ『宿スレ住人の皆様、本年&新スレも、どうぞよろしくお願いいたします!』
タツミ「それでは新春サンクスコール!」

アルス「前スレ>>354様、確かにコイツ頭はいいが、そのぶん戦闘はからっきしだぜ。
   合作のサクヤ君くらい機転が利けばまだ戦えるかもしれないけどな」
タツミ「じゃあ僕も最後に……コホン。前スレ>>355様、僕と誕生日いっしょなんだ。
   昔『願いが叶うように』って友達に竹をプレゼントされたけど、そんなことなかった?」
アルス「ねーよwww しっかし俺の誕生日おいしい設定なのに華麗にスルーされたよな。
   絶対、番外でネタ用意してると思ってたのに」
タツミ「番外は前スレ>>356様の疑問に答えるレスになりました。読者様第一主義ですから」
アルス「その後2週間以上も空いてただろ。しかも全然答えになってなかったし。
   なんだよ位相反転だの反物質だのって……前スレ>>478様、俺に説明してください」
タツミ「人に聞く前にまずググる! 2chの常識だよ」
アルス「貴様の家にはネットがないだろうが!」
タツミ「すみません前スレ>>478様、今度ゆっくり前スレ>>493様と一緒に光子魚雷について語りましょうw」
アルス「無視するな。そしてさり気なく読者様を巻き込むな。前スレ>>644様に呼ばれてるぞ、ホラ」
タツミ「ア、アリスちゃん、ですか。一応、平行して執筆は進めてるんですけど……」
アルス「埋め用じゃなかったのかよ。読者様第一主義なんだろ〜?」
タツミ「あは、あははは……そのうち忘れた頃に投下されると思いますので……その、すみません……」


アルス・タツミ『それでは本編スタートです!』


【Stage.12 リアル・バトル】
 リアルサイド [1]〜[12]

29 :Stage.12 [1] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:19:26 ID:/hmIuvHt0
Prev (前スレ)>>344-352 (Real-Side Prev (前スレ)>>211-219)
 ----------------- Real-Side -----------------

 PS3やらWiiやらが台頭している今の世では、すでに3世代くらい前になる置き型ゲーム
機スーパーファミコン。そのドットも荒い原色バリバリなドラクエ3の画面の前で、俺は
きれいに「orz」の姿勢を取っていた。
「やべえ……本試験のこと完っっっ全に忘れてた」

 タツミたち一行がランシールの宿に入り、例の「ターラーラーラータッタッタ~♪」の効果音のあと朝
を迎えたが、携帯電話はいっこうに繋がる気配を見せない。
「なんで通じねぇんだ。なにやってんだあのバカはー!」
 などと俺が一人で騒いでいる間に、ヤツらは町はずれの神殿に入っていった。
 そこで表示された会話を読んで初めて、俺は彼らが「一級討伐士の本試験を受けにラン
シールに来た」ということに気付いたのだ。

 タッちゃんマジでごめんなさい。
 そのあたりもちゃんとナビるつもりでいたんだがなぁ。クリアしてもらっちゃ困るけど、
くだらないことで余計な苦労はさせたくないというのが俺の本音だ。
 矛盾してるのは重々承知だが、なんつーか……タツミには俺の世界を嫌いになってほし
くないんだよ。

 この「本試験」、実はもっと楽に合格できる裏技があったりする。

 一級討伐士のクリア条件の一つに、
【期間内に魔物から村や町、教会など慈善組織(海賊等は含まれない)を護る、救う】
 というのがあるが、裏の仲介屋を通して教会や修道院に金を渡せば、「この方々に危な
いところを救われました」などといくらでも口裏を合わせてくれるのだ。向こうはあんな
世界だからどこも財政難で、そこは持ちつ持たれつ。俺も本試験のみならず、半年ごとの
更新試験のたびに利用していた手だ。
 ズルいとは思わない。本当に魔物に襲われた人々を前にして、「俺が助けたんだ!」な
んて自慢げに世界退魔機構に申請するのは、なにか違うだろ? そんなことのために戦っ
てんじゃねえんだから。

30 :Stage.12 [2] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:21:26 ID:/hmIuvHt0

 なんだけど……もう日にちに余裕がないから今更の話だよな。
 よりによってランシールか。正攻法でいくならレベル的にここしかないだろうが、他の
試験会場の内容と比べると一番面倒なんだよな、ここ。

「ったく、ホントお互いタイミング悪いよな……。って、レイ!?」
 俺が頭を抱えている間に、画面の中ではなにやら妙な展開になっていた。
 レイ=サイモン? あのスカしたキザ野郎と競争だと? 

*「どっちが勝つか わからないが こうなったら 今回は ゆずるよ?」
   はい  >いいえ

*「協定を組む ということで いいのかな?」
  >はい   いいえ

 ゲーム仕様でかなり省略された会話になっているが、どうやらレイと二人で洞窟攻略に
挑戦することになったようだ。
 う〜む……まあ、腕は立つ男だからな。妙に馴れ馴れしくて俺は苦手だったが、最初か
ら勝ちを譲るようなことも言っているし、タツミが一人で行くよりは遙かに安全か。

 どうも洞窟攻略が終わるまでは携帯を繋げる気も無いようだ(怒ってんだろうなぁ)。
今回はおとなしく経緯を見守ることにしよう。
 となると、飲み物とお菓子は必須だろ。俺はタツミの自室を出てリビングに行った。

 キッチン周りの戸棚を適当にあさると、「チョコパイ」と書かれた赤い箱を発見した。
何気なく箱の裏の成分表を見る。小麦粉や砂糖はわかるが、聞いたこともない物がいろい
ろ入ってる。ショートニングってなんだ。ソルビトール? なんの呪文だよ。
 それにしても賞味期限がすごい。これ生菓子だろ。何ヶ月も保つってのが信じられん。
 こんなのが旅の間にあればもっと……。

 ――ガチャガチャ
 

31 :Stage.12 [3] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:23:26 ID:/hmIuvHt0

「んん!?」 
 玄関で鍵を開ける音がして、俺はその場に固まった。まさか。
「あら、タツミいるの……?」
 そのまさからしい。タツミの保護者である「伯母さん」が帰ってきたのだ。

   ◇

 ユリコに事前に確認したが、タツミも普通に「伯母さん」と呼んでいるそうだ。
「なんか下の階の店がボヤ出したとかで、今日は早く終わってさ」
 彼女は高そうな毛皮のコートをそこら辺に放ると、リビングのソファにバタッとうつぶ
せに倒れ込んだ。歳を考えると少ぉしばかり露出度が高い気もするドレスをお召しになっ
ていて、昨日の昼間にはボサボサだった髪もきれいにセットされている。
 うわぁ……酒くせぇ。本当に夜系のお仕事をなさっていらっしゃるらしいです。

 別に職業差別してるんじゃないぞ。俺みたいな、たとえ魔物でも殺してなんぼのヤクザ
な商売やってたヤツが、なにをか言わんやだし。
 そうじゃなくて、昔ルイーダの店で嫌なことがあって、そういう雰囲気を持っている相
手だとどう扱っていいかわかんねえんだよ、俺。
 まして「身内」とくれば。

「……あれ出してよ」
 伯母さんがかすれた声で言った。
「え、あれ?」
「ビール」
 まだ飲むんですか。迎え酒ってやつですか。
 やめた方がいいですよ、と言いたいけど、うかつなことは言えないし。タツミはいつも
素直に出してんのか?
 冷蔵庫を開けると下段の奥に銀色の缶が並んでいた。一本取り出して、シンク横の水切
りかごに伏せてあったグラスに注ぎ、半分ほど余った缶と一緒に彼女の前のテーブルに置
いた。

32 :Stage.12 [4] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:25:26 ID:/hmIuvHt0

 向かいのソファに座って様子を見ていると、伯母さんは物憂げに顔をあげた。
「なによ……そのままで良かったのに。洗うの面倒でしょ」
「そ、そうだね」
 伯母さんはモソモソと身体を起こして、グラスの中身を一気にあおった。俺が注ぎ足し
てやる間もなく、缶に直接口をつけて残りを飲み干す。
 そしてグテーッと背もたれに寄りかかって動かなくなった。
「あの、もう一本、飲む?」
 恐る恐る聞いてみると、彼女はヒラヒラと手を振った。
 もういらないのか。となると俺はすることがない。

 コッチコッチコッチ……

 家の中は静まりかえっていて、時計の音だけが妙に大きく響いている。
 伯母さん、なんか動かないんですけど。もしかして寝ちゃったんですか? そんな姿勢
だと首をいためるんじゃないかなぁ、とか。
 えーと……。

 コッチコッチコッチコッチ…………

 だぁああああ!! 気まずい!! めちゃめちゃ気まずい!!
 これならおばけキノコとお見合いしてる方がまだマシだぁ!!!!!


 題 【お見合い】

 アルス 「キノ子さん、ご趣味は?」
 キノ子「甘い息を少々」
 アルス 「zzz」
 キノ子「まあ、居眠りするなんて失礼な方ね!」

              〜完〜

33 :Stage.12 [5] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:27:26 ID:/hmIuvHt0

 いやいやいや、4コマに逃げるな俺。現実を見なきゃ。
「あんたさ、大学はどうすんの?」
 いきなり聞かれた。

 ちょ、ここで進路相談!!?? え? 俺が答えていいの?
 でも俺がタツミなんだもんな。これからは俺が決めなきゃいけないんだよな。
「――い、行かせてもらえるなら、行きたいなぁ、とか」
 今在学している「高校」の卒業まで約2年。ここからゼロスタートだとしても、卒業前
までに必要な学力を身につけるだけの自信はある。だてに一級討伐士は取ってないぞ。
 俺の言葉に、伯母さんは「おや?」という顔をした。
「はーん、行く気になったの。働くってきかなかったのに」
 ここの家庭環境を考えると、ヤツならそう言いそうだな。
「その方があの子も喜ぶだろうね。お母さんに報告した?」
「まだ、だけど」
「じゃあ伝えてきなさいよ」
 くいっと奥のドアをあごでしゃくる。彼女の自室で、まだ入ったことはない。
 もたもたしてるのも怪しまれるから、俺は素直にその部屋に入った。

   ◇

 照明をつけてドアを閉める。ムッと立ちこめる芳香。化粧品や香水とかの "女" の匂い。
 バックやら靴やら、果ては下着までそこらじゅうに散らばってる狭い部屋の奥に、そこ
だけきれいに整ってる、不思議な一角があった。

 漆塗りの黒檀に金箔の装飾が施された、東洋版の祠というか。小さな扉が左右に開け放
たれていて、各神具の細かい意味はわからないが、それが死者を悼む祭壇だというのは察
しがついた。文化の違いはあれど、そこに込められた祈りはどの世界も共通だろう。
 中央に白黒の写真が二つ飾られている。一枚が俺のおふくろによく似た女性で、もう一
枚は、親父を少し若くしてひょろっとさせたらこうなるかなって感じの男性。
 タツミの両親に違いない。
 あいつの。

34 :Stage.12 [6] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:29:27 ID:/hmIuvHt0

「……やっぱ甘いか」
 二度目のごめんなさい、かな。

 俺もさ、こっちに来る前はありとあらゆることを予測してたし、覚悟もしてた。
 でも実際、こうして目の前にしてしまうと、なんの意味もないことが思い知らされる。
 俺が? タツミになる? ムチャもいいとこだ。
 どの面下げてこの人達の供養を引き受けるってんだよ。
 俺も最終的には、ショウが言っていたように適当なところでプレイヤーの人生を捨てて、
ここを離れることになるんだろう。そうじゃなきゃやってけねえよな、とても。

「タツミ、どうしたの?」
 伯母さんに呼ばれて俺はリビングに戻った。怪訝そうにしている彼女に、さっきの話の撤
回を告げる。
「あー……大学のことだけど、やっぱりもう少し考えようかと思って」
「そう。ま、好きにしたらいいわ」
 いくぶん投げやりに言う伯母さん。こういう話し合いは今までにも何度かあったようだ。
 そういや俺もおふくろや爺ちゃんから「本当に勇者やるのか」ってよく聞かれてたっけ。
二人とも普段はそれを願ってるようなことを言ってても、やっぱり心配だったんだろう。ど
この家庭も一緒なんだな。
「ごめん、ちょっと忙しいんだ。部屋に戻るよ」
 意識的に目を合わせないようにして、俺は背中を向けた。

 と、リビングから廊下に出る寸前に、玄関のチャイムが鳴った。
 人ンちを訪ねるには遅くないか。なんだかんだで夜の9時を過ぎているんだが。
「タツミ、出てきて」
 伯母さんは玄関をジッと睨んでいる。なぜか少し声が震えている。借金取りのコワイお兄
さんだったりして? ありそうだなぁ。
 ま、そいつが闇の衣をまとって極大呪文を連発するような魔王じゃない限り、2秒で撃退
してやるから心配すんな。もちろん正当防衛が成り立つようにな。
「はいはい、どちらさんっすかー?」

35 :Stage.12 [7] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:31:26 ID:/hmIuvHt0

 玄関のドアを開けてみたが、そこには誰もいなかった。
 その前にパタパタと慌てて去っていくような足音がしたから、ピンポンダッシュってや
つだろうか。暇なヤツもいるもんだ。
 と下を見たら、一抱えくらいのダンボール箱が置いてあるのに気がついた。

 ――これで俺がもう少し現実世界の風潮や時事に聡ければ、爆発物や毒物じゃないかと
まず疑っただろう。昼間の奇襲や、不良少年エージの存在を考えれば警戒して当然だった。

 だが育った世界の違いというのは、ふとした瞬間に表れるもので。
「届け物か?」
 俺は特に疑問にも思わず、その箱を抱えてリビングに戻ってしまった。
「誰からだろ。玄関に置いてあったよ」
 封もしてないのですぐに開けられる。なんの気なしにテーブルの上に置いて、俺がフタ
を開いたのと、伯母さんが叫んだのは同時だった。
「ダメ! 開けるんじゃないタツミ!」
「え?」
 黒い塊が詰め込まれていた。鼻をつくような腐臭がぶわっと広がる。

 そして、俺はミスを重ねることになる。
「なんだこれ。なんかの動物の死骸か?」
 そう……「冷静」に判断してしまったのだ。

「もういやだ! なんなのよあんたはぁ! そんな、なんともない顔して……!」
「な、なんともないっても、えーと……」
 だって見慣れてるんだもん死骸なんかっ。ってか俺自身が死骸の大量生産してたしっ。
 だから伯母さんが金切り声を上げて暴れ出したのにも、「いやなんでそこまで反応しちゃ
うのこんなもんで?」と、俺の方が一瞬ボーゼンとしてしまったワケで。
「あの、とにかく落ち着こう? すぐ捨ててくるから。ね?」
「信じられないよ! あんた、母親もそんな顔で見殺しにしたの!? ねえ!?」
 ちょ、なんすかそれ。母親を見殺しにした?
 伯母さん顔が真っ青になってるし、なにがなんだか。

36 :Stage.12 [8] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:33:30 ID:/hmIuvHt0

「あんたが来てからロクなことないわ! もう出て行け!」
「いや、出て行くのはいいけど、コレとかどうしたら――」
「出てってよぉ! 疫病神! みんなみんなあんたのせいで……!」

 た、た、助けてエリスぅ! ユリちゃんでも可! 俺どうすればいいんですかぁ?

 ――ピンポーン

 玄関のチャイムが鳴り、一瞬、静かになる。……と同時に、俺は反射的に走っていた。
 緊張状態が不意に断ち切られたせいで、フラストレーションが暴発したというのか。
「てめえがやったのかコラぁ!」
 半ば体当たりするようにドアを開けて、勢いで吹っ飛んだ相手につかみかかっていた。

 が、相手はきれいに受け流すと、俺の足をパンっと払った。勢い余って思い切り後頭部
から硬い床に落ちかけたところを、寸前で襟首をつかまれて引き止められる。
 目の前で、色とりどりのブレスレットがぶつかり合って、チャリっと鳴った。
「いった〜。まったくどうしたんですか?」
「ショウ……?」
 仰向けにゆっくり降ろされた俺は、廊下に転がったまま――ふうっと息をついた。
「悪い。こういうの……慣れて、なくて」
 ショウは眉間にしわを寄せると、一つうなずいて中に入っていく。
 俺も、もう一呼吸つけてから、起き上がって後についていった。

   ◇

 ショウはダンボールの中身を一瞥すると、さっさと玄関まで持っていってリビングのド
アを閉め、目に触れないようにした。ソファで顔を覆っている伯母さんの前に腰を落とし、
見上げるようにしてゆっくりと話す。
「僕、タツミ君の友達でショウといいます。大丈夫ですか? ずいぶんと悪質な嫌がらせ
ですね」
「………」

37 :Stage.12 [9] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:35:35 ID:/hmIuvHt0

 第三者の介入を警戒してか、さっきまで半狂乱だった伯母さんもずいぶん落ち着いてく
れた。ショウはあの人好きのする笑みを浮かべ、穏やかに言葉を重ねる。
「これは立派に犯罪ですよ。警察へは届けましたか?」
「警察……」
 彼女は壁際で腕を組んでいる俺をちらっと見て、首を振った。
「それはまずいわ。あの子、奨学金をもらってるんだけど、今度また警察沙汰になったら
もらえなくなるって言われてるの」
「そんなバカなことはないでしょう。本人が罪を犯したならともかく、被害者なんですか
ら。僕の父は警視庁の人間です。きっと力になれると思いますよ」
 ショウの力強い言葉にも、伯母さんはただ戸惑うように視線を彷徨わせている。
「……少し休みましょうか」
 彼女は小さくうなずくと、ショウに支えられながら立ち上がった。
 奥の部屋に向かう前に、こちらに顔を向けて苦しそうに言った。
「タツミ……さっきは悪かったわ。あれ、本心じゃないからね」
 疫病神とか、あんたのせいだとか。思わず本音が出た――って感じだったけど。
「わかってるよ。全然気にしてないから」
 たぶん本物のタツミなら、こう答えるだろう。


 そうして伯母さんが自分の部屋に入って静かになり、一段落したところで、ショウが小
声で聞いてきた。
「どうします? ここだと筒抜けですよね」
 神経が過敏になってる今の彼女に、余計な話は聞かせたくない。
 裏にある公園に出ようと決めて、俺はショウを先に行かせた。一度、自室に戻ってゲー
ムの進行具合を確認する。
 レイを仲間にしたタツミは、特に問題なく進んでいるようだった。携帯にかけてみると
相変わらず不通のままだったが、取り立てて俺のナビも必要ないってことだろう。
「ちょっと出てくる。なんかあったらすぐ電話しろよ」
 通じないのはわかっているが、画面にそう声をかけて、俺もショウのあとを追ってマン
ションを出た。
 

38 :Stage.12 [10] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:37:28 ID:/hmIuvHt0

   ◇ 

「はい、お疲れ様。あなたのところはいろいろ厄介みたいですねw」
 ベンチに並んで座ったところでコーラの缶を差し出され、俺は冷たいそれをひたいに押
し当てた。
「でもびっくりしましたよ。たまたま近くに来たんで挨拶しに寄ったんですけど、チャイ
ムを鳴らそうとしたら、いきなり中から『出て行け!』ですもん」
 しかもドアで吹っ飛ばされるし、とショウはクスクス笑う。
「すまん、俺も気が動転してたっていうか……」
 自分ではもうちょい冷静に物事に対処できる人間だと思ってたんだが。
 なんか本気で、魔王を倒した英雄だって自信が無くなってきた。

「それで、コレですけど」
 ショウの足下には、例のダンボールが置いてある。
「マンションの前で走っていく人影を見たんです。よく見えなかったんですが、背格好か
らして、たぶん昨日の昼間にあなたが投げ飛ばした子だと思うんですよね」
「やっぱあの不良か。今度会ったら絶対ヘシ折る」
「どこをですか。この国の法律は復讐を認めてませんよ」
「わかってる! でもこんなんされて黙ってられるか!」
 俺は力任せにダンボールを蹴飛ばした。フタが開いて黒い塊が転がり出る。

「この猫はなにも悪くないんですから、八つ当たりしちゃダメですよ」
 ショウが俺の肩を叩いて、猫を拾いに行った。ダンボールに入れて戻ってくると、また
足下に置く。
「モンスターとは違うんですから、たとえ死体でも憐れみを持って接してください。でな
いと『冷酷な人』と思われますよ。ヘタすれば『精神異常者』とされかねない」
「……面倒くせぇ」
 さっき伯母さんも、俺の冷静な態度を責めていた。日々命がけでモンスターとバトルし
てた俺に、そんな甘っちょろい感傷を常識だと説かれてもツライものがあるぞ――。
 

39 :Stage.12 [11] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:39:37 ID:/hmIuvHt0

「魔物を相手に剣を振ってる方が楽、ですか?」
 そう問われると、どっちが楽とかって問題でもない気はするが。
「ま、現実なんてこんなもんですよ」
 ショウは悟ってるように言い切った。
「狭い一地域で、狭い人間関係の中で、毎日こまごましたことに神経をすり減らして生き
ていく。これが現実での戦いなんです」
 俺が冒頭で言ってたのと同じような言葉が並んでるが、意味合いはまるで正反対だ。

 確かにこの世界に来てから、身体より心が疲れることが多すぎる。
 タツミが以前から不良に金をタカられてたってことも、奨学金とやらの関係でそいつら
に真っ向から対抗できないってことも、さらにはネジの外れたゲームサイドの男に襲われ
てもケーサツにすら言えないってのも。挙げ句に猫の死骸を届けられるわ、保護者のはず
の人間に「疫病神」だの「出て行け」だの言われるわ。
 悪者をぶった斬っておしまい、にはならない。なんでも手順を踏んでルールに従って、
いろんなことを我慢して……よくもタツミはここで16年間も生きてきたよ。
 その他人の人生を横取りしようとしてる俺が、言う筋合いじゃないけどさぁ。

「僕のこっちの父親は警察の偉い人間なんです。この件は任せてもらえませんか?」
 悪いようにしませんから、とショウは微笑んだ。
「ん……任せる」
 今は素直に厚意に甘えておく。
 携帯電話を貸してくれと言われて渡すと、ショウはなにやら設定してから返してきた。
「僕の番号を登録しておきました。短縮8番ですぐ僕に繋がりますよ。――あと本名、
教えてください。僕はラグエイト=ハデック。元の世界ではエイトと呼ばれてました」
「なんだよ、本名は伏せてた方がいいんじゃなかったか?」
「そうなんですけど……僕はもう『ショウ』の方が慣れちゃってますが、あなたは『タツ
ミ』と呼ばれるたびに、ちょっと困ってるみたいだから」
 うっ。ホント気の回るヤツだ。俺は苦笑しながら名前を教えた。
「アルセッド=D=ランバート。アルスとか、アルとか呼ばれてた」
 地元じゃ「ジュニア」と呼ばれることも多かったが……あれは大っっっ嫌いな呼び名だ
から却下。

40 :Stage.12 [12] ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:44:06 ID:/hmIuvHt0

「じゃあまた、アルス君」
 ダンボールを抱えて、ショウは離れていく。

 ――俺は迷いつつも、その背中を呼び止めた。
「ショウ、もう一つ頼みがある」
「なんです?」
「その……三津原辰巳の過去を調べられないか? 両親を殺しただの、母親を見殺しにし
ただのと、不穏な話が多くてさ」
 人のプライベートを探るようなマネは好きじゃないが。
「本人には聞けないんですか?」
「携帯がつながり次第、聞いてみるつもりだったけど。あいつ、仲のいい友達や幼なじみ
の女にも秘密にしてるみたいで、本当のことを話すかわかんねえし」
 情報の曖昧さが、俺の判断を鈍らせる一番の原因になっている。背に腹は代えられない。
「わかりました。今回の件をカタすにも必要な情報ですしね。なにかわかったらすぐに知
らせますよ」

   ◇

 マンションに戻ってみると、伯母さんは眠ってるのかシーンとしていた。
 俺は冷蔵庫から缶ビールを何本か取り出して、自室に持ち込んだ。テレビ画面の中では、
タツミとレイが「ちきゅうのへそ」を出るところだった。

*「それでは 君がこまるだろう。本当に 私でいいのかい?」
  >はい   いいえ

 なんだか入り口付近でもめている。レイに何度も念を押されつつタツミは「はい」を選
んでいた。もしかして、勝負をレイに譲ったのか?
 缶ビールを飲んで(金属くさくてまずいコレ)携帯をかけてみるが、まだ繋がらない。
画面の中では、仲間たちが不合格になったことを口々に慰めている。
「……お前、なに考えてる……?」
 なぜか、ひどく嫌な予感がした。

41 :Stage.12 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2008/01/04(金) 11:47:45 ID:/hmIuvHt0
本日はここまでです。
皆様改めて、あけましておめでとうございます。
いざ投下しようとしたらアク禁に巻き込まれていてびっくり。
仕事柄もう一本プロバイダを持っていて助かりました。

42 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/04(金) 21:17:13 ID:twAWSnN+0
ショウって、いい奴ですね。すくなくとも表面上は。
タツミさんの過去とかなんかいろいろ不穏な話がでてきましたね。

勇者試験、譲ってしまったのですか・・・(汗
実に困ったことになりましたね。


43 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/04(金) 23:56:41 ID:wEISS3g4O
アルスガンガレww
大魔王を倒して世界救った勇者も、現実だと一人のただの人間なんだな。
まさにリアルバトルだ。

44 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/07(月) 13:08:01 ID:BV3e3/EJ0
44は保守の呪文を唱えた。
しかし、なにも起こらなかった。

45 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/08(火) 21:59:18 ID:8yEfqXfg0
ほす

46 : ◆Tz30R5o5VI :2008/01/09(水) 12:37:35 ID:n7YSMy7+O
保守しとく

47 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2008/01/10(木) 00:48:14 ID:QdW8FFPs0
よっしゃ〜!!
遅れましたが、新年明けましておめでとうございます!!!!
まだまだ未熟な暇潰しですが、今年もよろしくお願いします!!(`・ω・´)シャキーン!!

新スレ立て乙! ゲマさん&Rさん投下乙! タカハシさんまとめ更新乙!
住民さんたちみんな乙!!

という事で今日は真理奈の方を書いたので投下!

と思ったのですが、続きよりもリメイクを先に書いてしまったんです。
なので今回はテキストでアップという形にします。

http://www.uploader.jp/dl/ifdqstory/ifdqstory_uljp00016.txt.html

たった今書き上げたばかりで申し訳ないのですが読んでみてください。

という訳で今日はここまで。
1レスで済むって素晴らしいww

48 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/10(木) 19:38:51 ID:qS9AAD920
>>47
これはいいリメイク。


49 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/12(土) 16:57:59 ID:2VtORc6ZO
保守

50 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/14(月) 00:00:59 ID:mmb2ImY40
50は保守の呪文を唱えた。
しかし、MPが足りない。

51 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/15(火) 23:23:36 ID:cJjX2FgnO
(´∀`)<保守

52 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/17(木) 21:29:03 ID:gMbr/L2j0
hosun

53 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/18(金) 21:22:11 ID:IfnhlUniO
このタイミングでここまで過疎ることから導き出される答えは一つ!!
書き手さん達、実は受験s(ry

54 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/19(土) 01:38:45 ID:WEhfbBhJ0

―小指の約束―

「あんな昔のことなのに、覚えていてくれたんだ」
「約束したことだから……」
僕は思い出していた。昔の自分、昔の彼、そして昔の約束を。

「ねえ、聞いてくれる僕の昔話。あ、でも笑わないでよ」
「笑わないよ」
「でも面白かったら少しは笑っていいからね」
僕は笑いながらそう言った。そして2人して笑った。

「昔々、僕は夢を見たんだ。だけど今でも夢だとは思っていない不思議な世界の出来事だよ」
「じゃあ、体験談として聞くよ」
そう、僕にとってあれは夢じゃない。紛れもなく体験したことだ。
「その世界で僕は『モンスター使い見習いトモノリ』って呼ばれていた」
「ええ? それって……」
「僕ね、目が覚めたらその世界の宿屋って言うところにいたんだ」

55 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/19(土) 01:39:51 ID:WEhfbBhJ0
――

あれ、僕いつの間に寝ちゃったみたい。
うーん、いつ寝たのか思い出せない。
それにこれって僕のベッドじゃないよ。
ここ、どこだろう。

前に目が覚めたら病院だったなんてこともあった。
僕ってあんまり体が丈夫なほうじゃないんだ。
ここも病院なのかな。
それならどこかにナースコール用のボタンがあるはずだよ。
よく声が小さいって言われる僕だけど、ボタンなら声を出す必要はないんだ。
……あれ、ボタンがない。

あ、足音が聞こえる。誰か来たみたい。

「おお、目が覚めたようじゃな。」
やって来たのはお爺さんだ。病院の先生かな。
「あの、先生ですか?」
「わしか? わしは有名なモンスター爺さんじゃ。」

ああ、やっぱりここは病院みたいだよ……

56 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/19(土) 01:40:52 ID:WEhfbBhJ0
僕は外に倒れていたところをこのおじいさんに助けられたんだって。
それでこの宿屋というところにつれてきてもらったみたい。

お爺さんは宿屋のおじさんと何か話しをしている。
僕もおじさんに挨拶をした。そのあと僕はお爺さんに連れられて宿屋を出た。
どこなんだろう。僕の町とは町並みがぜんぜん違う。
遠いところに来ちゃったのかな。
これから僕は迷子としてお巡りさんのところに行かれるんだろう。
ううう、この年で警察のお世話になるとは思わなかったよ……

でも僕は何故か地下室に連れてこられた。
この地下室には牢屋のような鉄格子がある。
何かを捕まえておくのかな?
ひょっとしたら、さらってきた子供を入れておくのかもね。

……嘘。

えええ! もしかしてそれって僕? 
これって危険なんじゃない?
知らない人についていっちゃいけないってこういうことだったの?
うわわー! 誰か助けて!

57 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/19(土) 01:41:58 ID:WEhfbBhJ0
僕の願いが神様に通じたのか誰かがこの地下室に降りてきた。
がっちりしたお兄さんが2人。
お兄さんたちはお爺さんと何か話している。
「わしが有名なモンスター爺さんじゃ。」
また言ってる。やっぱり怪しい。

「この子は?」
「ああ、モンスター使いとして育てようと思ってな。」
……何か変なこと言ってる。
さらってきた子供だと気づかれないように誤魔化そうとしてるんだ!

「お前、名前は?」
「ぼ、僕? 僕の名前はトモノリ……。」
僕は何とか声を振り絞って答えた。
「もう少し大きな声でしゃべれよ。トモノリって言うのか。変な名前だな。」
緑色の髪の毛のお兄さんが笑う。
「モンスター使い見習いトモノリね。いいじゃないか。」
黒い髪のお兄さんは優しくそう言った。
ううう、違うのに……。

ああ、このままじゃお兄さんたちが帰っちゃうよ!
僕は自分の中の勇気を全部出し切って叫んだ。いつもとは違う大きな声で。
「た、助けて! 僕、誘拐されたの!」

2人のお兄さんの顔色が変わった。
「貴様! 人攫いだったのか!」
「モンスター爺さんなんて名乗るから怪しいと思っていたんだ!」
「待て! 誤解じゃ!」
「問答無用!」
「うおぉぉぉ!」

58 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/19(土) 01:42:59 ID:WEhfbBhJ0
「結局のところトモノリは爺さんに誘拐されたわけじゃないんだな。」
騒ぎは収まった。収めたのはイナッツというお姉さん。
モンスター爺さんの助手で騒ぎを聞きつけて出てきたんだ。
お兄さんたちはすっかり説得されてしまっている。
ちなみにお爺さんは僕を孤児だと思って引き取ろうとしただけらしい。
ごめんなさいモンスターお爺さん。

イナッツさんの格好はバニーガールって言うのかな?
これはこれでかなり怪しいよね。
もしかしたらモンスター爺さんの趣味なのかな。
でもこんな格好で街中を歩いていたら捕まっちゃうよね。お爺さんが。

「それでトモノリはどうなるんだ?」
そうだよ。僕はおうちに帰れるの?
「どうにも分からん。まるで別世界から来たようじゃわい。」
僕が住所を言ってもまるで分からないみたい。
「そうなると本当にモンスター使い見習いとしてここで暮らすしかないな。」
緑髪のお兄さんがそう言い放つ。ううう、そんなぁ……

「かつて勇者の前に別世界の人間が現れ奇跡を起こしたと伝え聞く。」
お爺さんがまた良く分からないことを言う。
「一説には天空の民だとも言われておるが……トモノリもそうなのかもしれんの。」
天空って……その人、本当に人なの?
「それならトモノリを大事に扱えばいいことが起きるんじゃないか?」
大事にしてもらえるのかな。それなら昔の天空の人ありがとう。
「勇者様の前に現れたなら、トモノリと一緒に旅をすれば勇者様に会えるかもね。」
黒い髪のお兄さんがそんなことを言う。でも……
「僕、体が弱いからお兄さんたちと旅をするなんて無理だよ。」
「いま、何って言った?」
緑色の髪のお兄さんが僕の言葉に反応した。え、僕、何か変なこと言ったの?

59 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/19(土) 01:44:05 ID:WEhfbBhJ0
「いま、お兄さんって言ったよな?」
「う、うん。」
「そうだよ、俺たちはまだお兄さんなんだ!」
え、何? 何なの?
「外でかくれんぼしていたガキどもはおじさんなんて言ったが、そんなことはないぜ!」
どうやら誰かにおじさんって言われていたことが気に入らなかったんだね。
「よし気に入った。お前は俺の子分にしてやろう。これからは俺を親分と呼んでいいぜ。」
ごめんなさい。意味が分かりません。

「お兄さんが親分ならこっちのお兄さんは?」
「この青年はモンスター使いの才能があるようじゃ。いろいろ教えてもらうといい。」
ううう……。僕がモンスター使い見習いになるって確定事項なんだ。
「じゃあ、こっちのお兄さんはお師匠様って呼ぶよ。よろしくお願いします、お師匠様。」
黒髪のお兄さんはちょっと照れくさそうだ。
「おい。親分より師匠様のほうがかっこいいじゃないか!」
親分は必死だ。ちょっと面白い。

60 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/19(土) 01:45:06 ID:WEhfbBhJ0
黒髪のお兄さん……お師匠様がモンスターを連れて来て、ここで面倒を見るんだって。
モンスター爺さんはモンスターの研究をしているのかな?
僕はそのモンスターの世話のお手伝いをすることになるみたいだ。
でもさ、そもそもモンスターって何? 怪獣みたいなの?

「モンスターの世話をしてくれるなら代わりにトモノリが家に戻れる方法を探してみるよ。」
お師匠様は僕の目線までかがみこみ、そう言ってくれた。
「約束だよ。」
僕は小指を立てて前に突き出した。
でもお師匠様はどうしていいかわからないみたい。
「約束をするとき小指を絡ませるるんだよ。」
僕がそう言うとお師匠様はにっこり笑って小指を突き出して僕の小指に絡めた。
約束だよ。……嘘ついたら針千本だからね。


――続く

61 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/19(土) 23:38:20 ID:DuAaA5QP0
>>60
今度の主人公は子供か
5主とヘンリーは人攫いには個人的な恨みもあるから
イナッツさんが止めなきゃきっと本気でモンスターじいさんを
やっちまう気だったんだろうなw

62 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/23(水) 08:52:55 ID:H7R9ca8e0
hosyu

63 : ◆Tz30R5o5VI :2008/01/25(金) 17:51:08 ID:fHqkqBZNO
でっていう

64 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/25(金) 23:44:53 ID:bRo/hUrXO
>>63
続きマダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
俺は待ってるぜ〜

65 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/26(土) 01:23:55 ID:XYMYLafC0
―薬指に指輪―(>>54-60

僕ってついてないよね。
何で僕ばっかりこんな目に遭わなきゃならないんだろう。
理由も分からずこんな変なところにいるんだから。
僕はこの場所でモンスター使い見習いとして生活することになったんだ。
そういえばここってベッドがひとつしかないんだって。
イナッツさんのらしいけど一緒に寝るってことでいいのかな?

「それでさ、モンスターってどこにいるの?」
「今はまだいない。あの青年が連れてくるまで待つのじゃ。」
お師匠様しだいなんだ。いつごろになるんだろう。
「モンスターは馬車に入りきれない奴を連れてくる。先の話じゃよ。」

モンスター爺さんはそう言っていたけどお師匠様はモンスターをすぐに連れてきた。
「このホイミスライムの面倒を見て欲しいんだ。」
そう言ってお師匠様が見せてくれてのは宙を漂う青い海月みたいな生き物だ。
「これがモンスターなの?」
「ホイミンって言う名前なんだ。可愛がってやってね。」
「うん!」
どんな怖いのが来るのかと思っていたらこんなに可愛いなら大歓迎だよ。
「ホイミスライムなら馬車に入れておけば何かと便利じゃろうに。預かっていいのか?」
「はい。よろしくお願いします。」

あ、もしかしてモンスター爺さんに押し付けたってことは暴れん坊なのかな?
「ホイミスライムはモンスターの中でも特に優しい性格をしておるのじゃ。」
そっか。良かった。
「こいつはホイミという回復魔法を使い傷ついた仲間を助けるのじゃよ。」
モンスターの次は魔法か。次は神様かな。
「かつては人間になったホイミスライムもいるというぞ。」
僕が子供だと思ってでたらめ言ってるでしょ。
そんなこと言ったら進化論の人が泣くよ。

66 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/26(土) 01:25:58 ID:XYMYLafC0
そのあとしばらくして今度はお師匠様と親分が女の人を連れてきた。
マリアさんっていう綺麗な人だよ。どういう関係なんだろう。

お師匠様たちは不思議な鏡を使って何かをする相談をしている。
「ねえねえ、この鏡でどうするの。どんな作戦?」
「子供には関係ない。」
ううう……。親分が冷たい。
「マリアさーん。親分がいじめるよー。」
「まあ、酷い親分さんね。」
「いじめてない! いじめてないですよ! むしろ可愛がっています!」
マリアさんの言葉を親分は否定する。でも、ちょっと必死すぎじゃない?

「ヘンリーさんたちは大切なお話をしているの。私たちは向こうに行っていましょう。」
「うん。おいで、ホイミン。」
ホイミンはふわふわしながら僕に近づいてくる。
「あら、可愛いわね。」
「いいでしょ。お師匠様から面倒を見るように任されているんだ。」
「トモノリさんが寂しくないようにお友達をつれてきてくれたのね。優しいお師匠様ね。」
あれ、そうなのかな。

マリアさんによるとお師匠様たちはあるモンスターの正体を暴く計画を立てているみたいね。
そのモンスターは親分の故郷で人間に化けて悪いことをしているんだって。
お師匠様の故郷もそいつのせいで酷い目にあったらしいよ。
悪いモンスターもいるんだね。
「お2人とも子供のころから苦労してこられて、さらにこんな仕打ちはあんまりです……」
「苦労って、どんな苦労してきたの?」
「あら、2人とも話していませんでしたか。私の口から言ってもいいのかしら?」
マリアさんは話していいものか迷っている。そんなに酷い目に遭ってきたの?
「でも、奴隷だったなんて私の口からは言えないわ。」
天然だ! この人天然だ!
それより何、奴隷……?
「詳しく教えてください!」

67 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/26(土) 01:27:14 ID:XYMYLafC0
その夜、僕は眠れずにいた。
ホイミンを抱えたままずっとベッドの上で考え事をしていた。
お師匠様と親分は子供のころ攫われて奴隷として何年も働かされていたって。
その上お師匠様はお父さんを殺されて、家も町も壊されていたんだ……
そんな酷い目に遭ったのにぜんぜんそんな風に見えないよ……

僕がそんな目に遭ったら平気でいられるかな。
ぜんぜん知らないところに来ちゃったのは一緒だけど……
僕はみんな優しくしてくれる。酷い目になんて遭っていない。

でも、これからどうなっちゃうんだろう。
すぐに帰れると思っていたけど、もしこのまま帰れなかったらどうしよう。
もしかしてずっとここで暮らさなきゃならないのかな。
お父さん、お母さん、今頃僕がいなくなって心配しているだろうな……

考えれば考えるほど不安になってくる。
僕は枕に顔をうずめた。
「ホイミ。」
そのとき僕に何かが起こった。まるで毛布で優しく包まれたような……
「ホイミン。君がやったの?」
これが魔法の力なのかな?
「ありがとうホイミン。僕、大丈夫だよ。」

お師匠様たちの作戦はうまくいったみたい。
親分はお城に戻って暮らすんだって。
……それにしてもヘンリー親分が王子様だったなんて。
人は見かけによらないものだね。

お師匠様は船に乗って新しい土地を目指すそうだ。
僕もついていきたかったけどできなかった。
ここでモンスターの世話をするのが僕の仕事できる精一杯のことだから。
どうか新しい土地でお師匠様にいいことがありますように。

68 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/26(土) 01:28:20 ID:XYMYLafC0
お師匠様が旅立って何日か過ぎた後、親分が僕を訪ねてきた。
「荒れていた国もだいぶ落ち着いてきたよ。デール……弟が頑張ってくれてな。」
「そっか。良かったね。それで、僕に何か用?」
「いやさ、あいつからお前のことよろしくって頼まれたからな。」
お師匠様、やっぱり僕のこと心配してくれてるんだ。
「それでな。トモノリさえ良ければ俺の国で暮らさないか?」
「ありがとう。でも僕、モンスターの世話をするって約束したから。それに……」
「それに何だ?」
「親分が迎えに行くべきなのは僕じゃなくてマリアさんだよ。」
僕の言葉に親分は慌てふためいている。親分、分かりやすい。

「親分、マリアさんゲットするなら今しかないよ。」
「だから何でそういう話になるんだよ!」
「いいの? マリアさんお師匠様に気があるみたいだから取られちゃうよ。」
「ちょっと待て。それ本当か?」
「マリアさん、お師匠様のこと優しい人だって言ってたよ。気になってる証拠だよ。」
親分は無言になってしまった。
「まあ、冗談だけどね。」
「冗談かよ!」
「ふふふ。親分ってやっぱりマリアさんが好きだったんだね。」
「大人をからかうもんじゃない。俺が子供のころはもっと素直だったぞ。」
本当かなぁ。
「ま、そりゃ気に入った奴を子分にするなんてことはしたけどさ。」
「それ、今でもやってるじゃん。」
あ、親分が凹んだ。

「でもさ、マリアさんに告白するならちゃんと伝えなきゃ駄目だよ。」
「何でだよ。」
「マリアさん天然だから遠まわしに言っても気づかないよ。きっと。」
ストレートに言っても気づくまで1分くらいかかりそうだけどね。

69 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/26(土) 01:29:22 ID:XYMYLafC0
ヘンリー親分とマリアさんが結婚した。
親分、行動が早かったね。僕も結婚式に呼ばれたよ。
「マリアさんの花嫁姿すごく綺麗だったよ。」
僕はホイミンにご飯をあげながら話しかけていた。
「それは見てみたかったな。」
どこからか聞き覚えのある声がした。
「お師匠様!」

お師匠様はルーラって言う便利な魔法を覚えて帰ってこれるようになったんだって。
「そのルーラを復活させたのがベネットって言うおじいさんなんだ。」
ベネットさんの家では魔法の研究をしていていつも煙を出しているんだって。
「そのお爺さん、天才は理解されないものだってなんて言っていたよ。」
「でも、きっとそのお爺さんが理解されていないのは天才だからじゃないよね。」

「そうだ、紹介しておくよ。キラーパンサーのプックルだ。」
そう言うとお師匠様はトラのようなモンスターを連れてきた。
ううう……。ちょっと怖いかも。
「心配しなくてもいいよ。とってもいい子なんだ。本当はね……」
あれ、今お師匠様ちょっと寂しそうな顔をした気がする。
「ねえ、何かあったの? 僕でよければ聞いてあげるよ。」
「いや……実はプックルがある村で恐ろしいモンスターだと誤解されちゃってね。」
確かに見た目はかなり怖いからね。でも……
「僕は誤解しないよ。だから安心して。」
お師匠様はちょっと驚いた顔をして、その後にっこり微笑んでありがとうと呟いた。

70 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/01/26(土) 01:30:24 ID:XYMYLafC0
「ところでお師匠様、親分には会ってきた?」
「うん。幸せそうだったよ。だからヘンリーに言ってやったんだ。」
「何って言ったの?」
お師匠様が辛い目に遭っているとき、親分は幸せの絶頂にいたんだよね。
「許さないって言ったのさ。」
「え?」
「マリアさんを不幸にしたら許さないって言ったんだ。」
もう脅かさないでよ!
「ねえねえ、お師匠様は結婚しないの?」
「ん……。まずは母さんを探さなきゃいけないから……」
うーん。それってどうなんだろう。

「あのね、お師匠様。僕さ、今こうして知らない世界にいるよね。」
「うん。なんとしても帰れる方法を見つけるからね。」
「ありがとう。それでね、もしも僕がお師匠様の子供だったとしてさ。」
「トモノリが? いきなり大きな子供ができちゃったね。」
「仮の話だよ。それで僕がお師匠様のところに帰ってきたらどう思う?」
「それはもちろん良かったと思うよ。すごく安心するだろうね。」
「じゃあさ、いなくなっていた間、僕が幸せに暮らしていて欲しいって思う?」
「もちろんだよ。たとえ会えなくても幸せを願うはずだよ。」
「それって、お師匠様のお母さんも同じだと思うよ。」

きっと僕のお父さんとお母さんもそう思っているよね。
お父さんお母さん心配しないで。僕はこっちの世界で幸せに暮らしているよ。
みんなとっても良くしてくれているんだ。

お師匠様はまたルーラで戻っていった。
今度はサラボナっていう町を目指すんだって。
きっとお師匠様も自分の幸せを考えてくれると思うよ。
でも結婚はまだ先だと思うけどね。10年くらいかかるかも。

――続く。

71 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/26(土) 08:43:34 ID:ItmHE06zO
イナッツと同じベッドで寝てるのだろうか…トモノリはエロい子供だな

72 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/26(土) 13:04:05 ID:LsjNhgES0
やっぱり冒険には参加しないんだね。
なんかこういう視点もおもしろいですね。
次にお師匠様に会う時はビアンカさんをつれてくるのかな。フローラさんをつれてくるのかな。どきどき

>>71
うーん、同じベッドでねてるだろうね(うらやましい)。

73 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/26(土) 14:16:18 ID:nKvdAtysO
トモノリ…ガキのくせに的確なアドバイスばっかしやがって…!

74 : ◆Tz30R5o5VI :2008/01/26(土) 17:08:07 ID:VixQxJ8sO
>>64
先の長い話なんでお楽しみに・・・
パソコンなおったらハイペースで書きますんで

75 : ◆I15DZS9nBc :2008/01/27(日) 02:52:13 ID:sCvKnpPg0
「……What?」
えげれす人でもない生粋の日本人な俺はその唐突な出来事に何かしらの言霊を漏らしていた。
豪奢な造りの天井、一人で寝るにはあまりにも大きすぎるベッド、簡素ながら品のある家財道具。
ぶっちゃければそんな部屋に居た。
「つまりあれか? 昔はやったどっきりか? カメラどこだカメラカメラカメラ……」

――鍵をかける習慣は欠かさないってのにクソッ、大家のクソババァが手を貸しやがったな。

心の中で悪態をつきながら窓を開ける。何ともいえない風が部屋へと吹きそそぐ。
「何この、何? ヨーロッパ村!? ヨーロッパ村ですかここ!?」
違う、ぜってー違う……意識の裏側で俺じゃない俺がツッコミを入れるも唖然として切り返せない。
目前の王城へと放射状に続く道のり、区画を丸ごと保存したとは思えないほどによーろぴあんな人々が歩いているのだ。
これだけの規模を維持しながら観光客が居ないなんて酔狂な話があってたまるかというわけでして……。
「……寝よう、こりゃ南下悪い夢の類だ、いや待てよ……夢なら夢でも良いじゃないの」

「うおっしゃあああああああああああああっっっ!!!!!」
俺は雄叫びを上げながら窓枠からソラへと飛んだ、跳んだじゃなくて飛んだ。
夢の中で夢と気付いたら全力で遊ぶことに決め込んでいるのだ、たまには嫌なリアルを忘れてメルヘンも良いってことなのさ。


76 : ◆I15DZS9nBc :2008/01/27(日) 02:53:27 ID:sCvKnpPg0
「いぎゃああぅぇああああああああいっっ????!!!!」
痛い痛い痛い痛い痛い、何だこれ、何これ痛い痛い痛い、け、ケツの骨が、うぎいいいいいいいいいいい。
夢の中でありえないはず激痛に俺がのた打ち回っているとしばらくして人だかりが出来ていた。

「……ありゃあオルテガんところの子倅じゃねえのか?」
「重圧に押し潰されてついに狂っちまったようだな」
「あらまあ、彼が魔王を倒さないといけないのにどうするのかしら?」

痛ましい目で見る一群、どうやらメルヘンではなく俺がメンヘルだったようだ。
引いてきたとは言えどケツはまだ痛い、というより周りが引いた。
あぶそりゅーとなんたらふぃーるどな距離関係、一定間隔を保ちながら俺を動物園の珍獣の如く眺めている連中をかき分けながら迫る影ひとつ。
初見な人物、いや待て、この夢でまだ知ってる人物に会ってないと、それより聞いてくれ、この背筋をつたう冷たい汗はなんだろう。
心は知らない、体は知ってる、あれ?何かエロくね?一人ツボにはまってケタケタ笑ってると、引っ叩かれた。


77 : ◆I15DZS9nBc :2008/01/27(日) 02:54:11 ID:sCvKnpPg0
「ロンリーロンリー、ここ狭くね?」
三階からダイブした俺を心配もせず引っ叩いたご婦人はなんとまあ俺のママンだったのさ、いや待てそれおかしいとか今無しで。
どうやら俺は俺じゃなくなったようなのだ。幸いにも連中は中身が変わったことに気付いていない、逆に危うい立場に居るらしいんだけどな。
なんつーかまあ、あれですよ、俺っつーか、俺じゃねーっつかー、この肉体の持ち主さんは勇者に成る者らしく国からがっぽがっぽ援助してもらってたらしいのね。
下手な貴族も裸足で逃げ出すような巨大なあぱーとめんとに家族三人で住まうなんて基地外じみたことができるのは俺以外に世界の脅威に対抗し得る勢力がないってことで。
スーパーお説教タイムで数時間ガミガミーなら俺でも耐えるさ、でもね、女の人泣いてるのね、うわー俺でも心を痛めるわさ。
そんでその後、豪邸の地下、魔法の訓練室にマジ監禁、真っ暗闇で時間の感覚なんてもうないです。
そろそろ出してくれないとこのまま発狂コースですね、いや、周りから見たら十分黄色い救急車なわけですが。

/

部屋から引きずりだされた俺は馬車にぶち込まれドナドナ気分、上半身裸でへるめっぽなムキムキマッチョな屈強お兄さん怖。
がたごとがたごと、止まれば死刑執行待ち。

/

人を運んでいるとは思えない扱いで俺は王城の赤い絨毯の上をずりずり、摩擦で何かズボンがすけすけで痛いです。
乱暴に投げ飛ばされ王の目前、洒落にならないオーラを纏ったご老体のつんざくような視線に俺素で土下座。
「勇者サードよ、魔王バラモスを倒す旅に出る時が来たようだ。 ここに50ゴールドを用意した。 それで装備を揃え早々我が前から立ち去れよ」
怒気の孕んだ言葉、悪意としか思えない50ゴールド、あれだけでかい家を用意していながらこの落差。
ビビった俺は文句も言えないままに後方へと向かって思いっきり前進した。決して逃げたわけではない。

78 : ◆I15DZS9nBc :2008/01/27(日) 02:54:53 ID:sCvKnpPg0
たかが50ゴールド、されど50ゴールド、これが全財産であり、他に装備と言えば寝巻きぐらい。
頼る家もない、50ゴールドじゃ冒険者ギルドと言う名の派遣会社で仲間を雇うこともできない。
ぶっちゃけ今さっき気付いたんだけどこれってドラクエVなんだよね、とりあえず服を買って着替えて薬草調達……武器はその辺で拾う。
何でも風の噂じゃ勇者の特権たる屋内突入強制徴発、別名押し込み強盗は取り消されたらしくもしやって見つかったら首チョンパ。
そして国中の魔法使いを掻き集めて魔法付加された羽のように軽いフルプレートアーマーと薙ぎ払えば鋼鉄の壁さえも切り裂く剣は宝物庫の主と化したらしい。
最悪なことに噂がもう街中に流れているらしくさっさとアリアハンを脱出しなければ命が危ないみたいなのだ。
宿に泊まるなんて論外、野生児的な生活を強いられるらしい。
しかし何がモラルの欠如かと言えば俺の体まだ十にようやくとどくかどうか、ってところなんだよね。
こんなガキを外にほっぽり出すなと思うけど連中の怒りはそれほどのことだったらしく、はあむなしい。
「まあ最終兵器の勇者が使い物にならんとなるとぷっつん行くわな」
あー晩飯どうしよと嘆きながらとぼとぼ道を歩く、お情けに貰ったレンジャー図鑑が重い……でもこれガチで生命線。
とりあえずキノコは食べちゃ駄目ってことだな、道具屋で買った水筒に井戸で汲んだ水を入れたし一日は持ちそうだ。
「そういや朝飯も食ってないし昼飯も食ってない……」
勇者は多少じゃ死なないらしく、1ヶ月ぐらいの絶食なら余裕だそうだ、それ以上は精神が持たずに発狂だってさ、ありえねー。
それでもお腹はすくし凄くひもじい、さっきキノコは駄目と言ったが毒ぐらい食らっても最終的に外的なダメージを受けなければどうってことないらしい。
最悪キノコを食べて繋げばいい、道で転んだら即死だけどな!

79 : ◆I15DZS9nBc :2008/01/27(日) 02:55:33 ID:sCvKnpPg0
「ぷにぷにー」
可愛く言ってみたけど凄いグロい、青い半透明ゼリー、通称スライム、俺の初めての敵、きっと食べられない。
取りあえず用意していた拳大の石を二、三個投げつけてみる。
「!!!!!!!!!」
ピギィィィィとかそんな感じの鳴き声?人語じゃちょいと表しにくいけどキレたみたい、まずい。
成人男性を軽く凌駕するポテンシャルとはいえど基本性能はガキ、レベルは底無しに上がるけどレベル1。
魔法の訓練とかやってたみたいだけど俺そんな記憶ないし使えない、マジ宝の持ち腐れ。
「かわいそうだけど俺の糧になってくれ、いや食わないけどな」
獣道にはわりと武器になりそうなものが転がってるんで助かるなーとか思ったり。
岩でぺちゃり、と。
「!!!!!!!!!」
声にならない断末魔、心にチクチクするけどたくさん殺して経験値をたくさん集めないと俺が死ぬ、さらばスライム、そしてこんにちはスライム。
仲間の最期に駆けつけ大軍来たれ、何かカラスの軍勢もやってくる始末……。
「あー焼き鳥食えそうだ、でもアイツら俺の屍突きに来たんだよな、おい」
撤退!撤退!撤退だ!!

/

ライターがなければメラがあるじゃない、俺使えないけどな!
「薬草不味ぃ、ちくしょうメラを覚えないことには死活問題だぜ」
さすがに生肉を食べる習慣はない、それになんだろう、火を通せば何でも食えそうな気分になれるのは。
「ばっちいの殺せるけどこの世界の何が悲しいって毒、毒、毒、毒物多すぎ、でも食える魔物が居るのはラッキー、なんか二足歩行なのも居るけど誰だ試した美食家は」
ロールでプレイングなゲームではこんな悩み無かったんだけどなーと乾いた笑い。
「しっかし恐ろしいのはゲームと大幅に時間軸がずれてるってことだ、知識は役に立たない、緒王連合の助けは借りれそうにないし……ロマリアにカンダタ一味が居ないのは幸いか」
いや、あれが無ければ王の信頼も買うことはできない、ジリ貧だ。

80 : ◆I15DZS9nBc :2008/01/27(日) 03:01:35 ID:sCvKnpPg0
「どこかで仲間を調達できれば最良なんだが金も無ければ王の後ろ盾も無く、ガキは人を雇う資格はない」
ぶっちゃければ世界に搾取されるとはいえ勇者は王を除けば貴族すら凌ぐ特権階級だ、つーか、神授な時点で王より偉い。
発生率が凶悪に少なく、しかも二代続くとなれば運命を感じずに居られないのが世の定め、裏切られちゃかなわんと今まで贅沢していたわけだこの体は。
殆ど絞っていない体、子供とはいえ勇者とは思えない、実を言えばていのいい厄介払いだったのかもしれない。勇者とはそれほどまでに俗物であるらしい。
「塔に登って鍵を回収しその足で魔法の玉を……でも勝手に入るのは王命により禁じられるか、あの高性能爆薬がなければ大陸からの脱出は難しいぞ」
航路は魔物が溢れ、しかも船数が減っているとなるとチケットの値段が昂騰しているし、子供の一人旅は怪しまれる。
「旅の扉以外に選択肢がない、下手をすれば王軍すら敵に回す覚悟か、最低の勇者じゃねえか」
さすがに海路も分からず風も読めず星なんてさっぱりな状態でイカダを浮かべるのは避けたい。それは別の意味で勇者すぎる。
「時間の調整しかないよなあ、その頃にはほとぼりも冷めてるだろうし動きやすいだろう。 現代と違って人外魔境も多いし姿を隠すには……」

81 : ◆I15DZS9nBc :2008/01/27(日) 03:04:08 ID:sCvKnpPg0
ん、今なんて言った?一人言が多い今日この頃だが、自分でなんかありえないことを言った気がする。
「現代? そうだ現代だ、俺の居た場所だ、色々ありすぎて忘れかけてるじゃねえか、どういうことだよ」
魔王?知ったこっちゃねえ、ルビスさえ本気になりゃあなんとかなんだよこんなことは、畜生、そうだよ、帰るんだよ俺は。
「しかしどうすんだよ、最悪神龍まで駒を進めなきゃならんのか?」
それこそ本当に最悪だ、あそこまで到達するのに後何年かかる?俺に思い浮かぶ手段はもっとバッドなことにそれしかない。
畜生、今日何度も呟いた悪態、その度に言葉が軽々しく思えるが逆に深まるのが最悪。
つーか順応してきたのが嫌過ぎる、そうしてもっと最悪があった。
「そういやドラクエ最後にやったのいつだ? 細々としたイベントなんてもう覚えてないな」
原作から脱線しても分からない、そうだ、この時点ですでにゲームと違う、一昼夜で行けるはずの村すら辿り着かない。
マップの密度からしておかしい、市街地戦を想定した入り組んだ迷路のような街だ、さすが城下。
「まあ、何とかなるだろう、多分。 なってほしいなホント」

プロローグ すりりんぐぶれいぶはーと 完

82 : ◆I15DZS9nBc :2008/01/27(日) 03:39:38 ID:sCvKnpPg0
間幕

目が覚めると横に裸の男が居た。
「……ちょっとお酒が残ってるのかな?」
悪い冗談にしか思えない、僕が同性と一緒に一夜を共にするなんて何かの間違えに違いない。
横ですやすや眠る彼は無邪気そのもの、でも起こそうとは思わない、だってこれは夢なんだから。
たとえ夢であっても万が一男に掘られるなんてことはあってはならないから僕は静かにとこから出てスーツに腕を通す。
やや古めかしい感じが良い味を出してるって思ったけど気分は最低。
カウンターのおじさんもやっぱり同じ風な趣でここはそういうところなんだろう。
このホテルは食事は出さないらしく朝食は……。

「ここどこ?」

道路、じゃない、正真正銘の田舎道、石畳ですらなく土。
舗装こそされているけど踏み慣らされてている場所を除けば凹凸が痛々しい、管理者は何をやっているのか脇は草がぼうぼうと生えてる。
通好み、と言えば聞こえは良いけど多分怠慢。
僕は昨日の晩はこじゃれたバーでお酒を嗜んでいたと思う。
と言うのもどうも記憶が曖昧でよく分からない。
でも空気の良さは買う、清々しい、どうも都会の雰囲気は僕には合わないので良い感じだ。
「さて、駅はどっちだろう?」

とぅびぃこんてぃにゅうど

83 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/27(日) 13:32:30 ID:S84r6+iV0
> どうやらメルヘンではなく俺がメンヘルだったようだ。
和良た

荒削り?だけど勢いがあって、先が楽しみです。

84 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/30(水) 00:30:04 ID:BsEq0GKsO
保守

85 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/31(木) 21:25:28 ID:ozCYHK120
文体が面白いな。
一気に読めるし読ませてくれる。
作者の知識もそれなりにあると見える。
楽しみ。

86 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/02/01(金) 23:09:07 ID:EMeSbvNg0
―中指で挑発―(>>65-70

サラボナに行ったお師匠様が帰ってきた。
僕のいるオラクルベリーとサラボナって結構遠いけどすぐに帰ってこれるんだ。
ルーラって便利だね。

「これから火山に行くから暑さに弱いガンドフを預かって欲しいんだ。」
ガンドフは顔の真ん中にひとつ目がある毛むくじゃらのビッグアイっていうモンスターだ。
「うわー! もふもふだね!」
僕はガンドフに飛びついた。
「ううう……」
「どうしたのトモノリ?」
「……獣くさい。」

「火山というのは死の火山じゃな。厄介なところに行くことになったの。」
モンスター爺さんが心配そうに言う。
「これも天空の盾を手に入れるためです。」
サラボナにはすごいお金持ちがいて、その人が家宝にしている盾が欲しいんだって。
「気をつけるのじゃぞ。あそこにいるモンスターはかなり凶悪じゃ。」
火山に行くってだけでも大変なのに悪いモンスターもいるんだ。
「お師匠様、そこに行かなきゃ駄目? そんなに盾が欲しいの?」
「確かに盾は手に入れたい。でも……いや、何でもない。」
あれ。なんだか歯切れが悪いね。何か隠しているのかな?

87 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/02/01(金) 23:10:09 ID:EMeSbvNg0
お師匠様が火山から戻ってきた。しかもまたモンスターを仲間にしたんだって。
「爆弾岩のロッキーだよ。」
ロッキーは大きな石のモンスターだ。生き物なのかな?
「こやつはメガンテというそれはそれは恐ろしい技を使うのじゃ。」
「わー、すごーい! 見せて見せて!」
「馬鹿もん! 恐ろしい技って言ったじゃろ!」
……モンスター爺さんのけちぃ。

「メガンテって言うのは自分の命と引き換えに敵を倒す技なのよ。」
イナッツさんが恐ろしい技の正体を教えてくれた。
「こんなところで爆発されたらひとたまりもないぞ。」
「見せてなんて言ってごめんねロッキー。使ったらロッキー死んじゃうんだよね。」
「知っていたらそんなこと言わなかったよね。大丈夫だよトモノリ。」

「それで、このロッキーを預かればいいのか?」
ロッキーは預けないんだって。馬車に入れて連れて行くんだ。

お師匠様、今度は船に乗って冒険するんだって。
なんだか落ち着かないようなんだけど気のせいかな?

88 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/02/01(金) 23:11:13 ID:EMeSbvNg0
お師匠様が結婚することになった。
僕もその結婚式に招待されたけど寝耳に水だったよ。
火山や船での冒険は結婚するための試練だったんだって。

僕と同じく結婚式に招待されたヘンリーさんとマリアさんが迎えに来てくれた。
「結婚のために危険な冒険をするとはあいつもやるなあ。」
「それがね、何故か最後にお嬢様と幼馴染とでお師匠様をめぐって戦ったらしいよ。」
修羅場だったのかな。うーん、僕もその場にいたかったね。
「俺の聴いた話と少し違うぞ。」

「あいつどんなプロポーズしたんだろうな。」
親分が茶化すように言った。
「そう言う親分はどんなプロポーズしたの?」
「ど、どうだっていいだろ。」
柄にもなく照れちゃってるよ。
「どんなプロポーズだったのマリアさん?」
親分がわーわー大きな声を出しているけどマリアさんは気にせず答える。
「白馬に乗って迎えに来て結婚してくれって言ったんですよ。」
これはまたストレートだね。
「私、プロポーズだって気づくのに3分くらいかかりました。」
強いねマリアさん。

結婚式が始まった。なんだか緊張しちゃう。
綺麗なお嫁さんだね。純白のヴェールを被って神秘的でさ。
お嫁さんと2人並んでお師匠様幸せそうだよ。
いいよね。憧れちゃうよ。

ホントお師匠様良かったね。
僕、うれしいはずなのに涙が止まらないよ。

89 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/02/01(金) 23:12:23 ID:EMeSbvNg0
お師匠様の奥さんの知り合いが僕のいるオラクルベリーの近くにいるらしい。
その人に結婚の報告をするためにお師匠様たちは夫婦で会いに行きたいんだって。

「それならさ、その間モンスターたちは僕が預かるよ。」
「いいのかい?」
「うん。新婚旅行だと思ってゆっくりしてきなよ。」

僕は彷徨う鎧のサイモンをつれて夜の町を散歩する。
「夜道を散歩しながらの一服は最高だね。」
「歩き煙草は駄目だよ、サイモン。」
「ああ、トモノリは煙草が嫌いだったな。」
「誰がそんなこと言ったの?」
「お師匠様だよ。お前のお師匠様だ。」
あれ、僕そんな話したっけ?
「ベネット爺さんの家から出る煙を嫌がっていたろう。だから煙草も嫌いなんだろうって。」
お師匠様そんなこと覚えていてくれたんだ。

「トモノリが煙草嫌いだから私は預けられない。預けるモンスターは大人しいのばかりだ。」
「そういえばホイミンもガンドフも大人しいね。」
うーん。でもそれじゃ僕、お師匠様の旅の助けになってないんじゃないかな?
旅がしやすいようにモンスターを預からなきゃいけないんだよね。

90 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/02/01(金) 23:13:25 ID:EMeSbvNg0
「トモノリは大切にされているんだな。」
「それは僕が別の世界の人間だからだよ。」
昔、別の世界から来た人が活躍したから同じことを期待してるんだよね。

「伝説ではその別世界の人間は滅んだ村を復活させたなんて話も残っているな。」
「もしかして魔法使いか宇宙人だったのかな。」
「天空人説というのはあったな。どうも別の伝説と混ざったようだが。」
「僕とは大違いだね。僕……何もできないよ。」
「いや、何もできないなんてことはないさ。」
サイモンは僕を慰めようとしてくれようとしたみたい。
僕とサイモンはしばらく黙ったまま散歩を続けた。

「実を言えば、その謎の人物は何もしなかったという説もある。」
「何もしなかったのに伝説になってるほうがすごいよ。」
「はっはっは。まあ、本当のところは良く分からないのだ。」
まあ、昔の話だからね。

「このサイモン、守るべきものを守れず死に、その悔恨の念が鎧に宿ったモンスターだ。」
「サイモン?」
「私はただただ彷徨うしかなかった。我が主、お前のお師匠様に出会うまではな。」
「お師匠様に?」
「ああ、あの人に出会うことで私は救われ、生きる道を見つけたのだ。」
「そっか。お師匠様はすごいね。」
モンスター使いってかっこいい。でも僕は何もできないや。

「僕も頑張らなきゃいけないね。」
「うむ。お前のお師匠様も今頃頑張っているころだろう。」
え、何を?

91 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/02/01(金) 23:15:00 ID:EMeSbvNg0
「だけどな、私はトモノリにも救われたのだ。」
「ええ? 僕、何かした?」
「わが主は多くのモンスターを仲間にしている。お前のために。」
「僕のため?」
「お前が寂しくないように、お前が退屈しないように、な。」
……やっぱりそうなんだ。
「だからお前がいなければ私はまだ彷徨い続けていたかもしれない。」
「うーん。それって何か無理やりじゃない?」
「そう考えたほうが人生楽しいってことさ。もっとも私は人間ではなく鉄の塊だがな。」
「鉄の塊じゃないよ。サイモンって熱い魂を持ってるもん。」
「はっはっは。うれしいこと言ってくれるじゃないか。」
おかしいよね。ホイミンやサイモンがモンスターって呼ばれちゃうのさ。

「そうそう。それからな、お前はお師匠様を救っているのだ。」
「えええ?」
「トモノリがいてくれたおかげでずいぶん助けられたと言っていたぞ。」
「お師匠様がそんなことを? でも僕何もしてないよ。」
「どういうことか、直接本人に聞いてみるといい。」
「うん。そうするよ。」

92 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/02/01(金) 23:16:01 ID:EMeSbvNg0
次の日の朝、お師匠様が帰ってきた。
僕は早速本当に僕がお師匠様を助けたのか聞いてみた。

「初めてトモノリと会ったとき昔の自分と重ねて同情していたんだ。」
「お師匠様も子供のとき知らないとところに連れて行かれたんだよね。」
「だからこそ助けてやりたいと考えていた。でも、いつの間にか逆に助けられていたんだ。」
「僕、何にもしてないよ。」
「そんなことないさ。この結婚だってトモノリの言葉で決めたようなものだよ。」
「僕がいなくてもお師匠様は結婚していたと思うよ。でも、僕が助けていたらうれしいな。」

「いつまでも助けられるばかりじゃないさ。人と人の関係なんて移ろい行くものだ。」
「関係が変わっちゃうのって、なんか怖いよね。」
「そんなことないさ。敵だったものが味方になることもあるんだよ。」
「あ、そっか。モンスター使いってそういうことができるんだ。」
やっぱりモンスター使いってすごいね。

「お師匠様、僕モンスター使い見習いだからどんなモンスターでも面倒見るからね。」
「うん。いっぱい仲間にするよ。」
「どんなモンスターとも仲良くなるから大人しいモンスター以外も遠慮なく預けてね。」
「よし、いろんなモンスターを預けるから頑張ってね。」
お師匠様はそう言うとにっこり笑った。

「うん! そういえばお師匠様も昨日の夜は頑張ったんでしょ? サイモンが言ってたよ。」
その後何故かお師匠様はすごい剣幕でサイモンを呼びつけた。

「サイモン。後で話がある。」
サイモンはホイミンと一緒にいる。
「ああー! お師匠さまぁー! サイモンが僕のホイミン取ったぁー!」
「ホイミンとは旧知の仲でね。」
ううう……サイモン嫌い。よく分からないけどお師匠様に怒られるといいよ!

93 :冒険の書5 ◆8fpmfOs/7w :2008/02/01(金) 23:17:07 ID:EMeSbvNg0
お師匠様は奥さんとモンスターをつれてまた旅に出た。
今度は船旅だって。どんなところに行くんだろう。

「お師匠様、早くお母さんが見つかるといいわね。」
イナッツさんが僕に話しかけてきた。
「そのためには勇者様を見つけなければならないのよね。」
勇者様を探すために天空の盾が欲しかったんだよね。

「勇者様ってどんな人なの?」
「地獄の帝王が復活するとき生まれて世界の希望となる存在なんですって。」
「なんだかすごい人だね。」
「かつての勇者様もその存在をめぐり多くの人や魔物の運命を変えたらしいわ。」
「今度の勇者様もお師匠様や、いろんな人の人生変えてるよね。歴史は繰り返す、だね。」

歴史は繰り返す。
男の人と女の人が結婚するってこともずっと繰り返してきたんだよね。
そう考えると何か不思議な気がするよ。

でもお師匠様は奥さんといちゃついてる場合じゃないよ。
早く勇者様を探し出さないとね。
僕にもっと力があればその手伝いができるけど、僕にそんな力はない。
でも、僕はモンスターの世話をすることで助けるよ。
僕はお師匠様の弟子、モンスター使い見習いなんだから。


――続く

94 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/01(金) 23:28:16 ID:5rk//Xqw0
オラクルベリー近辺にいる奥さんの知り合いって誰だろな。
お師匠様…ゆうべは おたのしみでしたねwwww

95 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/02(土) 01:16:14 ID:4/Uohp93O
奥さんの知り合いは建て前で、本当は2人っきりでお楽しみだったのでは

96 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/02(土) 12:34:33 ID:UM7KsvV60
サイモンの過去もハードだなぁ・・・・。
魔物を仲間にするってことは、相手の人生(魔物生?)も救うってことなんだね。
正直感動した。

> 「うむ。お前のお師匠様も今頃頑張っているころだろう。」
wwwwwwwwwww

結婚相手はビアンカさんかな。フローラさんかな・・・。それともわからないほうがいいのかな。

97 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/02(土) 13:20:16 ID:3K9fN62V0
>>93
乙でした。続きたのしみ。

>>94-95
普通にアルカパに行ったのでは?
ビアンカの故郷だし。
夜のアルカパ限定イベントあるしね。

98 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/02(土) 14:33:25 ID:dnWsodWF0
南にはフローラが世話になった修道院があるし、
その辺は読む人が心の嫁を当てはめてくれ、ってスタンスなんじゃないか。

99 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/02(土) 14:47:58 ID:OuwIhLj/O
>>98
俺の嫁がヘンリーと結婚してしまっている件

100 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/02(土) 22:55:05 ID:V4/NGSaa0
>>98
おお。そうだ。
作者巧いな。

何にしても乙

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