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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら12泊目

344 :Stage.14 [3-3] ◆IFDQ/RcGKI :2008/04/05(土) 22:29:52 ID:h37KA7+K0
 神竜は強かったが、俺たちも弱くはなかった。ゴリ押しで叩いてたら意外と早く倒すこ
とができた。偉そうにしてっからだ。

 そしたら願いを叶えてやろうと言われた。親父の復活さえ可能だって!?
 信じられなかった。この俺が、あの時は心の底から感謝したもんだよ。魔王討伐の後、
あの幻(?)の通りにアリアハンに戻れなくなったとしても、これならおふくろだけが残
されることはない。息子としてはロクな孝行をしてやれなかったけどさ……これで少しは
許されるんじゃないかなぁ、って。

 神竜に父親の復活を頼んで、アリアハンで久々に親父とツラを会わせた。
 もう言いたいこと、山のようにあった。まずは最初に恨みつらみをぶつけてやる予定だっ
たけどなw 何年も家ほったらかしてこのクソ親父、おふくろがどんだけ苦労したかわかっ
てんのか!
 んで十分反省したら、改めて「おかえり」って言ってやろう。
 そんな風にさ、いろいろ考えてたんだ。

 なのに……最初にちょっと会話しただけで、急にフッと意識が無くなって。


 その冒険はリセットされた。

345 :Stage.14 [4-1] ◆IFDQ/RcGKI :2008/04/05(土) 22:30:52 ID:h37KA7+K0

 2周目。

 次に意識が戻ったとき、俺は再び16歳の誕生日の朝を迎えていた。
 ……なぜこんなことが起こったのか、まったく理解できなかった。あれだけ過酷な旅を
したにも関わらず、エリスたちはなにも覚えていないという。
 なんだこれ? なぜ俺だけが前の冒険の記憶を持っている??

 起きたことは強引に解釈するしかなかった。前の冒険の記憶は、例の不思議な「夢」と
はまた別の「予知夢」かなにかで、ルビス様が事前に教えてくれたのかもしれない。
 急げばあの時は助けられなかった親父も死なせずに済むだろう。サマンオサで偽国王に
理不尽に殺されてしまった人や、前の冒険では間に合わなかった人たちを助けることがで
きるんじゃないか。

 俺は死に物狂いで突き進んだ。一日でも一秒でも早く進めば、それだけ誰かを救えると
信じていた。でなきゃやってられなかったよ。あの冒険のすべてが夢オチとか、冗談じゃ
ねえ。俺だけが「未来」を知っていることに、なにか意味を持たせたかった。

346 :Stage.14 [4-2] ◆IFDQ/RcGKI :2008/04/05(土) 22:31:37 ID:h37KA7+K0

 旅には同じメンバーを連れて行った。なんど過去の話を振っても誰もなにも思い出して
はくれなかったが、それでも俺の無謀とも言える旅程に必死に付いてきてくれた。
 やっぱりこいつらはいい連中だ。大事な仲間だ。――そう自分に言い聞かせて。
 エリスに結婚は申し込まなかったけどな。せめて彼女だけでも思い出して欲しかったか
ら。だから、なんか裏切られたようで、どうしても許せなかったんだ。

 あの不思議な「夢」もまた見るようになった。ボケッと平和に過ごしているガキが腹立
たしくて、俺はもう無視することに決めた。


 結局、俺たちがどんなに頑張っても、未来は変わらなかった。
 前の冒険より数ヶ月も早く到着したってのに、レイの父親の勇者サイモンも、他の人た
ちも、みんな間に合わずに死んだ。親父もやはり俺の目の前で殺されてしまった。



347 :Stage.14 [5] ◆IFDQ/RcGKI :2008/04/05(土) 22:33:05 ID:h37KA7+K0

 なんで? どうして? 時間軸おかしいだろ!
 わかっているのに助けられない。
 苦しんでる俺を、エリスたちは本気で心配してくれる。だが本当の意味で俺の苦しみを
理解できてるわけじゃない。否応なく孤独感は増していく。心がすさんでいくのが自分で
わかった。

 それでも俺たちはなんとか魔王を倒した。わかりきってた結末だから、達成感はなかっ
たが。凱旋式もその後のパーティーでも、俺はぼんやりと酒を飲んでるだけで、仲間も扱
いに困ってるみたいだった。
 どうせこのあとは……とか思ってたら案の定、前回と同じくいったんショートループに
巻き込まれて魔王を倒す前に戻された。
 そこから「予定通り」天界へと向かい、神竜と戦って今回も短期決戦で勝利できた。
 願いを叶えてくれるというが……しかし二度も救えなかった人々のことを考えれば、
俺だけ親父を生き返らせるなんて、できないだろ?
 せめて平和な世の中に似合う娯楽でも増やしてやろうかって。
 仲間の猛反対を押し切って、俺は半ばヤケになりながら新しいすごろく場を頼んだ。

 そのすごろく場でゴールした瞬間、フッと意識が遠のいた。
 ああ、また最初からだと……ゾーマが大喜びしそうな絶望の中で、俺は眠りについた。

348 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/05(土) 22:34:34 ID:xScTyvd70
 

349 :Stage.14 [6-1] ◆IFDQ/RcGKI :2008/04/05(土) 22:35:04 ID:h37KA7+K0

 3周目。

 16歳の朝に戻ったと気付き、俺はすぐに1回目の自殺を試みたが死ねなかった。寝間
着のままアリアハン王の前にワープしてきたバカは俺くらいだろう。
 そのまま外出許可をもらい、その足で外に出て魔物に食われてみたが、やっぱり無駄に
生き返るので早々に諦めた。死ねないってのもある意味呪いだよなぁ。

 家に戻ったらおふくろが半狂乱になっていた。当然だな、前日までは「明日から勇者と
して頑張るぞ!」とか意気込んでたヤツが、起きるなり割腹自殺を図ったら何事かと思う
わ。いちいち説明するのも面倒だったから無視して旅の支度をし、ルイーダんとこに行っ
た。メンバーは全員違うヤツらで、遊び人とか盗賊とか、なんか楽しそうな連中ばかり適
当に見繕った。……あいつらと一緒にいても俺がツライだけだし。

 かったるい。もはや他人の生き死になんかどうでも良かった。飛ばせるイベントはガン
ガン飛ばした。すごろくやら闘技場やらに入り浸り、冒険はまるで適当だった。さっさと
役目を降りても良かったが、実は勇者ほど金回りのいい職業はないってことは知ってたか
ら、とりあえず続けていただけだ。

350 :Stage.14 [6-2] ◆IFDQ/RcGKI :2008/04/05(土) 22:35:44 ID:h37KA7+K0

 例の奇妙な「夢」は相変わらず見続けていた。
 タツミの世界は平和そのものだ。その頃に気付いたが、向こうはどうもループしていな
いようだった。こっちと比べると恐ろしく時間の進み方が遅いが、前の冒険の頃に見てい
た「夢」よりは明らかに季節が進んでいる。
 なんか知らんが向こうはこれから「ショウガッコウ」とやらに通うことになるらしい。
こちらのことなど露知らず、ガキは妙にはしゃいでいる。
 ったく、俺はお前くらいの年の頃に親父が死んだとか聞かされて、同時に勇者の十字を
科せられたんだからな。こいつブチ殺して入れ替わりてえよ、ホント。

 そんなんでも魔王を倒してしまったんだから、世の中は本当に適当だ。
 親父はまた目の前で死んだ。いっそ火山に落ちた時点で素直にくたばっててくれりゃ良
かったのに。

351 :Stage.14 [7] ◆IFDQ/RcGKI :2008/04/05(土) 22:36:54 ID:h37KA7+K0

 ついでだから神竜も倒した。願いはエッチな本ってやつ。別に勇者の肩書きのお陰で女
に不自由はしてなかったが、神様直送便がどんだけスゲエんだって気になったから頼んで
みた。期待してたほどじゃなかったが。

 冒険の最後がエロ本で終了。そして振り出しに戻されるわけだ。
 ったく、すごろくの落とし穴よりひでえ。あんまりひどいと、なんか逆に楽しくなって
くるよ。人間どうしようもなくなると笑うしかないって言うが。
 あははは。
 あはははははははははは。
 






 誰か助けてくれ。




352 :Stage.14 [8-1] ◆IFDQ/RcGKI :2008/04/05(土) 22:40:22 ID:h37KA7+K0

 4周目。

 ……感覚的なものだが、前回から随分と間が空いていたように思う。うんざりしつつも、
久々に冒険に出るような軽い高揚感があった。

 それは間違いじゃなかったんだろう。例の「夢」の中のガキが、急にデカくなっていた
のだ。俺と同い年くらいまで成長していて、しかも驚いたことに、アイツは気味が悪いほ
ど俺とそっくりな顔をしていた。
(これなら本当に入れ替われるな……)
 そう思ったがすぐに打ち消した。くだらねえ、「夢」の中の相手とどうやって入れ替わ
るってんだ。

 変わったことはもう一つあった。俺の他にもう一人、過去を覚えてるヤツがいたのだ。
今までに何度も会っていたのだが、敵同士だったので気付かなかった。
 切っ掛けは些細なことだった。

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