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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら12泊目
162 :
東奔西騒【1】
◆Y0.K8lGEMA
:2008/02/18(月) 22:10:24 ID:g/Km0SGD0
甲板に燦々と降り注ぐお日様の光。波の音を運ぶ潮風。
ビスタ港を発った船は、俺達を乗せて西方大陸へ向かう。
「凄ぇ。魚に混じって犬が泳いでやがる…こっちの世界は何でもありだな。」
「シードッグだね。これだけ大きい船なら襲われる事もないから心配ないよ。」
へぇ〜…アレもモンスターなのか。
水面に目を凝らすと、なるほど…犬やらオタマジャクシやらの場違いな生き物まで
優雅に水中を泳いでやがる。
「ブッ飛んだ生態系だなぁ…こっちの世界なら人魚がいても不思議じゃねえな。」
「人魚?マーマンの事かな?」
ママン!?熟女系ktkr!!
「僕はどうも苦手だな。あのピチピチした下半身が生々しくってね。」
ピチピチした下半身!?生々しいママン!?
若妻人魚キタ――――(゚∀゚)――――!!!!
「船旅っては良い物だねえ。ママン…アンタに会うのが楽しみだよ…」
まだ見ぬ海の向こうの恋人に想いをはせる俺。
サトチーの痛い人を見るような視線が気になるが、俺の熱い心は冷めない。
「イサミ様。マーマンという種族はですね…」
「…やめておけ…良い夢は少しでも長く見させてやるものだ…」
抱えたブラウンを熱く抱擁する俺に何か言いかけたピエールをスミスが制する。
数時間後、船は西方大陸へ接岸した…愛しのママンには会えなかった…
163 :
東奔西騒【2】
◆Y0.K8lGEMA
:2008/02/18(月) 22:12:57 ID:g/Km0SGD0
降り立った町は潮の香りで満ちていた。
西方大陸の玄関 港町ポートセルミのドッグには様々な国の船が並んで停泊し、
様々な国の様々な人種の旅人達がせわしなく町を出入りする。
オラクルベリーとは違った賑わいを見せるこの町は、ある種の万国感を感じさせる。
「まずは、装備を整えてから今後の目的地を話し合おうか。
酒場には外国の船員が集まってるだろうから、そこで情報収集と作戦会議だね。」
「んじゃ、まずは買い出しだな。」
サトチーはヘンリーから譲り受けた鋼の剣を持ち、俺は天空の剣を持っているので、
武器に関しては当面の心配はないが、問題は防具だ。
修道院〜ラインハットの連戦で俺の鎖帷子はボロボロになっている。
かと言って、鋼の鎧や鉄の鎧は重過ぎてまともに動けなくなる始末。
「うん、これならイサミにも装備できそうだね。」
最終的に選んでもらったのは、鉄の胸当て。
正直これも少し重いのだが、黙っておく。
鉄の胸当てが装備できないとなれば、これより軽い防具として残される選択肢は
スライムの服とかいう奇抜すぎるデザインの服。
男として…いや、人としてアレを装備する事だけは絶対に避けなければ。
店のオヤジ曰く、鉄の胸当ては鎧を装備できない非力な旅人向けの防具らしい。
非力…その言葉に少しカチンと来たが、何も言い返せない。
…サトチーは鋼の鎧を装備して余裕なんだもんなあ。
「じゃあ、装備も整えたし酒場に行ってみようか。」
いつの間にか太陽は西に傾き、反対の空に向かって赤いグラデーションを描く。
いそいそと看板をしまう店とは対称的に、ようやく輝かしいネオンを灯した酒場。
静かに暮れ始める町とはこれまた対称的な活気…を通り越した酒場の喧騒。
思わずその方向に目を向ける。
164 :
東奔西騒【3】
◆Y0.K8lGEMA
:2008/02/18(月) 22:14:32 ID:g/Km0SGD0
うわぁ…いきなりDQNだよ…
華やかな酒場の雰囲気にそぐわない、ひなびた格好の男。
そして、その男に因縁をつけるのはガラの悪い二人組。
耳が尖って、口がデカくて、毛深くて、山賊ウルフに似てる気がするのは気のせいか?
「性質の悪い酔客が揉めてるみたいだね。」
「やれやれ、あいつらにもサトチー様の爪の垢を煎じて飲ませたいものですな。」
「これじゃあ情報収集どころじゃねえなぁ。」
「おい。何見てやがる。見世物じゃねえぞ!」
俺達の視線に気付いたのか、DQNの一人が俺達に向かって食って掛かってきた。
う〜ん…間近で見るとますます人間離れしてる顔だなぁ…
「んだと?俺の顔が人間離れしてるだと?ケンカ売ってんのか!!」
ヤベ…思わず口に出しちまった…
俺の言葉に激昂したのか、二人組が俺達に詰め寄る。思わず剣に手を伸ばす俺。
その一触即発の俺達の間に進み出るのはサトチーとピエール。
「何があったのかは知らないけれど、その辺にしておいたらどうだい?
魔物達だって自制心は持っている。人間である君達が持っていないはずはないよね。」
「サトチー様の仰るとおりだ…が、無法を目の当たりにして動かぬは騎士の名折れ。
お前達がさらに無法を重ねるのならこのピエール、これ以上は自制できぬぞ。」
「んだとゴルァ!!」
ちょ…ピエール、逆効果。お前が興奮してどうすんのさ。
ふと見ると、ブラウンまでピエールの横でハンマーを振り回して臨戦態勢だ。
相手は完全に逆上している。こりゃ戦闘は避けられねえな。
覚悟を決めたその時、しゃがれた呟き声が俺達の足を止めた。
165 :
東奔西騒【4】
◆Y0.K8lGEMA
:2008/02/18(月) 22:17:27 ID:g/Km0SGD0
「…私の吐息は生者の肺を腐敗させる毒…生きながらに体を腐らせるのは苦しいぞ?」
ぽつりと漏らしたスミスの呟きに、二人組の動きがぴたりと止まる。
「…毒…だと?」
「…疑うのならこの場に留まっていろ…苦しみも意識が途切れるまでの辛抱だ…」
淡々と並べられるスミスの言葉に、二人組の顔がみるみる青ざめる。
スミスの特技『毒の息』の事を言ってるんだろうが、知らなかったら怖いよな。
「あ…兄貴…」
「…ちくしょう!!覚えてやがれ!!」
スミスの仲裁(?)で、二人組が血相を変えて逃げ出す。
すぐにもとの賑わいを取り戻した酒場。これでようやく情報収集ができるな。
「スミスは役者だねえ。結局一人で場を収めちまったな。」
「…剣を抜かずに争いを収拾できるのならば、それが一番であろう…」
「サトチー様、申し訳ありません。主君の御前で憤怒に我を忘れようとは
騎士としてあるまじき不体裁。いかなる厳罰も慎んでお受け致します!」
「そんな…頭を上げて…いや、剣はしまって…ね?僕も力が入っちゃってたし…」
また切腹しようとするピエールを慌てて止めるサトチー。
俺とサトチーの二人で取り押さえてもジタバタと暴れるピエールだったが、
スミスの説得でなんとか落ち着きを取り戻した。
スミスが発したのは一言『命を粗末にするな』…って、凄げぇ破壊力。
―☆☆??―
「…あぁ…すまねえだ、どこも怪我はしてねえだよ。」
カウンター席の端では、絡まれていた男にブラウンが薬草を渡している。
166 :
東奔西騒【5】
◆Y0.K8lGEMA
:2008/02/18(月) 22:20:23 ID:g/Km0SGD0
「災難でしたね。怪我がなくて何よりです。」
「いや、あんたらのお陰で助かっただよ。やっぱり都会は怖い所だやな。
だども、おらぁ村の期待を背負ってるだ。おめおめと逃げ帰るわけにはいかねえ。」
この男、場違いな雰囲気だと思ったが、やっぱり田舎から出てきたばかりらしい。
懐かしいねぇ。俺も群馬から上京した時は、だだっ広い東京駅で右往左往したなぁ…
「ところで、あんたら腕がたちそうd…」
「いつかは故郷に錦を飾れるといいな。俺も応援してるぞ。」
男の境遇に妙な親近感を覚えた俺は、その肩にポンと手を置いて激励する。
頑張れ若人!(…俺より年上っぽいが…)
「いや、おら達の畑を荒らす魔もn…」
「慣れない都会生活は大変だろうが、体を壊したら田舎の母ちゃんが悲しむからな。」
それじゃあ元気で。世界は違えど大都会に同じ夢を見た同士。
ここでの素晴らしい出会いを俺は生涯忘れない!!
「お礼は3000G。前金で1500G渡すだ。これで仕事を引き受けて欲しいだ。」
「…何の話だ??」
「イサミ…熱くなるのは悪くないけど、人の話は最後まで聞くべきじゃないかな…」
突然大金を手にして呆気に取られる俺に、困った様子のサトチーが言葉を投げ掛ける。
「…なんだったらもういっぺん言おうか?」
「悪りぃ…全っ然聞いてなかった。」
「本当にごめんなさい。もう一回最初からお願いできますか?」
サトチーに促され、話を再開した男。その目は完全に俺から逸らされていた。
…仕方ないっちゃあ仕方ないけどね…
167 :
東奔西騒【6】
◆Y0.K8lGEMA
:2008/02/18(月) 22:24:45 ID:g/Km0SGD0
イサミ LV 16
職業:異邦人
HP:77/77
MP:15/15
装備:E天空の剣 E鉄の胸当て
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――
〜〜〜〜〜
若干閑話的な内容になりましたが、第14話はここまでです。
きっとイサミにはDQ名物無限ループも通用しません。
何せ、相手の話を聞いちゃいませんので。
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