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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら11泊目

238 :Stage.10.5 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/11/05(月) 00:33:22 ID:pqiM/cEN0
本日の投下はこれにて終了です。
多数のご支援、ありがとうございました。
忘れている登場人物や設定、説明不足の部分などありましたら、
今後すこしずつ補完していきたいと思います。

239 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/05(月) 02:33:26 ID:tPKJQVr20
久しぶりに来たが…これまた随分と本格的なのをやってるなw

240 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/05(月) 08:02:34 ID:5xmqLCJWO
>>220
投下乙!
少しずつタツミの過去が明らかになってきたな。
アルスも本人に早く聞いちゃえばいいのにと思っていたが、
無意識に遠慮してたのか。

>>238
すげえ細かいな!
タツミとアルスの誕生日がわかりやすいww

241 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/05(月) 20:05:26 ID:TUfCckLV0
では、予告どおり第9話を投下します。

LOAD DATA 第8話後半 >>166-173

242 :迷鏡止水【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/05(月) 20:08:28 ID:TUfCckLV0
「そうですか…ラインハット軍がこの修道院に…」

ラインハットから帰還した俺達の報告を耳にしたシスター・シエロ。
沈痛な面持ちで目頭を手で覆い、深い溜息をつく。
彼女達が毎日、神に祈ってきたのは『世界中の人々の平和』
それを裏切ろうとしているのは、他でもない人間そのもの。

「私達は…ここに留まります。」
シスター・シエロの決断。顔を上げ、窓の外に目をやりながら言葉を続ける。
「貴方がたの好意はありがたく思います。ですが、修道院の外は魔物だらけです。
 ここには老人や幼い子供もいます。連れて逃げるのは難しいでしょう。」

窓の外。手入れの行き届いた花壇の周囲を走り回る幼い少女。
それを幸せそうな顔で眺めるのは年老いた女性の姿。
多少の心得では、非戦闘員を庇いながらの逃避行は不可能だろう。

「じゃあさ、せめて近場の町まででも…」
言い掛けた言葉が詰まる。
ビスタ港が封鎖されている以上、逃げられる場所は三ヶ所。
まず、オラクルベリーは却下だ。ラインハット軍の第一目標に揚げられている。
次に、サンタローズ…ラインハット国境に程近いこの村も危険過ぎる。却下。
サンタローズの西に存在するアルカパの町は距離がありすぎる。
まさか、シスター達に樽に乗って逃げろなんて言えるわけもなく…

「…これは、八方塞がり…ってヤツだなあ…」
「こうなりゃ、もう一度城に忍び込んで力づくでデールを止めるしか…」
「いや、あれだけの騒ぎになった直後だ。それこそ難しいんじゃないかい?」

「ときに、ヘンリー様。一つお聞きしたいのですが…」
 黙ったまま、窓の外の小さな幸せを眺めていたシスター・シエロが口を開く。

243 :迷鏡止水【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/11/05(月) 20:10:09 ID:TUfCckLV0
「ヘンリー様の知るデール王は、そのような非道を冒せる御人でしょうか?
 兄のヘンリー様から見て、デール王の行為は本心からの物だと思われますか?」

どこまでも真っ直ぐなシスター・シエロの瞳がヘンリーを捉える。
ヘンリーは目を逸らさない。同じく真っ直ぐに、シスター・シエロを見据える。
「デールは俺とは違って、誰にでも優しい心の広いヤツだったよ…
 俺が子分と認めた男に、あんな外道な真似を出来るような男はいねえ。」

目線と同じく真っ直ぐなその言葉に、シスター・シエロの顔に笑みが浮かぶ。
「危険な場所ですので、本来はお教えするべきではないのかもしれませんが…
 南の塔の最上階に、ラーの鏡と呼ばれる真実を映す鏡が安置されております。
 ラーの鏡でデール様を映せば、その心の奥底に隠された真実が見えるやも…」

優しく心が広い弟。ヘンリーが語るデールの姿とは噛み合わない今のデール。
ラーの鏡…真実を映す鏡…それを使えば、デールの本当の心が見える。
きっと、ヘンリーが語る優しく心が広いデールが姿を現す。

「これは、決まり…でいいのかね?」
「ああ、あれがデールの本心であるわけがねえ。」
「行こう。急がないとラインハット軍が攻めて来る。」

三人で目を合わせ、頷き合う。
目的地は南の塔。

「今のヘンリー様が、ほんの少しでもデール王を信じておられるのでしたら、
 信じるままに王を導いて下さいませ。それが兄であるヘンリー様の役目です。」
子供をあやす母親のように、優しく語りかけながるシスター・シエロ。

優しい言葉と同時に向けられた笑みはどことなく悲しげにも見えた。
…のは気のせいだろうか?

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