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ぜろちゃんねるプラス
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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら11泊目
1 :
◆Y0.K8lGEMA
:2007/10/12(金) 00:35:18 ID:5ytk/+MG0
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。
・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角)+ 最後に投稿したレス番号(半角数字)」)をつけると読み易くなります。
前スレ「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら九泊目」
ttp://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1185925655/
PC版まとめ「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html
携帯版まとめ「DQ宿スレ@Mobile」
ttp://dq.first-create.com/dqinn/
避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://coronatus.sakura.ne.jp/DQyadoya/bbs.cgi
ファイルアップローダー
ttp://www.uploader.jp/home/ifdqstory/
お絵かき掲示板
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/
540 :
作り合わされし世界
◆8fpmfOs/7w
:2007/12/15(土) 22:04:17 ID:rXAxpJvy0
どんな状況でも慌てずに冷静に対処していく強さがサクヤにはあった。
自分は決して戦闘が得意ではないが、
それにも劣るこの人間達の弱さにサクヤの頭脳は疑問を浮かべざるをえない。
「そんな力量でよくこの神殿までたどり着きましたね。
やはり運命というものがそうさせたのでしょうか」
サクヤの言う運命とは、魔王が復活するという事象に他ならない。
その事象を実現しなくてはならないという必然性があったからこそ、
自分の計画は上手くいったのだし、この人間達はここまで来れたのだと思う。
「……」
それは違うとしなのは思う。
確かに一人ひとりの力は弱いかもしれない。
だけどサクヤの言っている事は絶対に違うんだ、と拳を握りしめた。
それを証明する術が欲しいと思った。
「まぁ今となっては意味のない事です。 ではさようなら」
サクヤは床に突き刺しておいた砂塵の槍を引き抜き、懐からは毒牙のナイフを取り出し、
両手に構えたその武器をヨウイチとしなのの頭部目掛けて投擲した。
ヨウイチとしなのは、まだ動けない――!!
――続く――
541 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/15(土) 22:04:19 ID:tIR5JtxU0
しーえん支援
542 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/15(土) 22:05:32 ID:tIR5JtxU0
ってひとまず終わりなのかOTL
543 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/15(土) 22:08:02 ID:m7yCgfe5O
俺達の闘いはこれからだ
完
544 :
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/15(土) 22:09:07 ID:OGexf1c80
支援してくださった方々ありがとうございました!!
最終章少しばかり長くなってしまったので二日に分けての投下となっています。
また明日の21時から投下再開という形ですので、その時はまた協力をお願いします。
ではまた明日お会いしましょう!
545 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/15(土) 22:35:40 ID:Cd05YfklO
乙!もう終わってしまうんだなぁ…。色んな作者による合作とても楽しめました。また明日もお願いします。
546 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 14:22:49 ID:8/icVwQ+0
とりあえずたんすあさる!
あれ?KY?
547 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:08:04 ID:tiDo3Rhn0
石は古代から不思議な力を持っていると言われている。
いや、人が信仰対象の象徴としての偶像を石で形作る事でその力を具現化しようと
してきた事を考えれば、不思議な力が石を通じて表出されていると言った方がいいだろう。
ギザの大ピラミッド・ロードス島の巨像・エフェソスのアルテミス神殿などが
石基盤の構築物として世界の七不思議として有名だが、
日本でも神社に石が祀られて崇められている。
生活の身近なところでは宝石や墓石を選んだりするし、
海岸や川で綺麗な石を探すという行為は誰もがやった事があるだろう。
人は石を求める生き物なのかもしれない。
石の加工品は多数あれど、その中で石板という物がある。
石板とは黒板のように書くか、もしくは削って刻む仕方で文字を残すものだが、
加工・使用感・保存の全ての点において紙媒体に劣る故に、
現在では目にする事も極めてまれだと言わなくてはならない。
しかしこの世界において石板はとても重要な意味を持つ。
特に彼らにとって石版は自分達の世界へ帰る為の希望の道具だった。
もし石版を通して不思議な力が現れるなら、彼らを帰す為の希望となっても良かったのだ。
が、既にその光は失われてしまった。
愛と友情と絆と嘘と、たった一つの石版を巡る物語。
その結末は運命に委ねられているのか。
それとも運命を導く力が彼らに味方をするのか。
石版はただ静かにその時を待っていた。
548 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:10:10 ID:tiDo3Rhn0
作り合わされし世界〜最終章・後編〜
魔王を復活させようとする狂気のサクヤが放った砂塵の槍と毒牙のナイフは、
二人の命を確実に奪うよう寸分の狂いもなく飛んでいく凶器。
しかしそれがサクヤを狂喜させる事はなかった。
一陣の風が吹き込み、その二つの武器を破壊してしまったからだ。
「な――」
ヨウイチ達の命を救ったその風は止むことなくサクヤにも襲い掛かり、
剣を構える腕に鋭い三本の傷を負わせた。
「う〜わんわん!!」
「タ、タロウ……?」
外へ逃がしたはずのタロウがそこにいた。
鉄の爪や前掛けを装備しているタロウは先ほどよりもいくらか凛々しく見えた。
しかし、助けを呼んでくるにしてもこの帰還は早すぎる。
「タロウ……どうして戻って来たんだ……」
石版を守るという命を受け、タロウは走った。
神殿を抜け洞窟を走った。
石版をあいつに渡してはならない。
タロウは自分の使命を本能的に理解していた。
あの時どうして自分が吠えたのかタロウ自身にもわからなかった。
ただ、サクヤから嫌な匂いがした。
本当にそれだけだったのかもしれない。
549 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:12:14 ID:tiDo3Rhn0
タロウは思った。
この世界に来たばかりの僕はただの迷い犬だった。
でも、いろんな犬や人の協力を得て帰る方法を見つけようとした。
だからきっと今度は僕がみんなを助ける番なんだ。
今の僕にできることは走ることだけ。
でも、僕ならどんな人間より早く走ることができる。
石版を渡さないように逃げること。
それは僕にしかできないことだ。
(光が見えてきたよ。もうすぐ洞窟の出口だ!)
タロウは大きく遠吠えをして、再び神殿に戻る事に決めた。
「その犬がどうして戻ってきたか。それは逃げることができなかったからですよ」
サクヤがタロウの行動などお見通しといった感じでそんなことを言い出す。
「こんなこともあろうかと洞窟の入り口に配下のゴーレムをおいておきました。
とても犬一匹では太刀打ちできる相手ではありません」
しなのたちに絶望が広がる。
サクヤの計画は完璧だった。
「この状況で石版を守る方法。
それは二人と一匹で協力して私を倒すことでしょうね。
その犬はそう判断したのでしょうか。
愚かですね。 素直に石版を渡せばいいものを」
タロウは低い声を出してうなる。
サクヤが暗に無理だと言っている事をまだ諦めてないのだ。
550 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:14:16 ID:tiDo3Rhn0
「そうそう、ゴーレムといえば前にも役に立ってくれましたよ。
私の協力者さん達に私の正体を怪しまれたと思ってね。
ゴーレムに私を襲わせたんです。
そのとき弱みを見せることで私が弱い人間であると印象付けたんですよ。
ちょっとした道化師でしたね。 笑いをこらえるのに苦労しました。
一度私を疑ったことへの後ろめたさか、彼らはそれまで以上に協力してくれました」
サクヤの非情がヨウイチ達の心を奮わせる。
誰かを騙す事に苦労した、などという話を聞いて穏やかでいられるはずがない。
それにタロウが戻ってきてくれたのだ。
そして一緒に戦おうとしてくれている。
タロウも仲間なんだと再確認した今、サクヤに負ける訳にはいかない。
「ベホマラー!」
回復の光が二人を包み、火傷と裂傷を癒していく。
しかししなののベホマラーはあまり効果が高くないのだが、
それでも何とか痛みによる気持ち悪さを我慢しながら立ち上がった。
「ふぅん、まだやるというのですか。
仲間と一緒なら何でも出来るというところですか。
仲間を思う気持ちで何ができるのです?
どこまでも愚か者は愚か者なんですね」
「本当に愚かなのはどっちか教えてやるよ!!」
ダンに鍛えられた心がヨウイチにそんな事を言わせた。
「とは言ったものの、どうしたもんかなぁ……」
「……なぁヨウイチ、サクヤは呪文が使えないんじゃないか?」
傷口に布をあてがいながら止血をするサクヤを見て、しなのがそんな事を言う。
そう言えばサクヤは戦闘中も一切呪文を使っていない。
551 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:16:41 ID:tiDo3Rhn0
神殿の入り口を破壊した時も、今だって腕の傷を呪文で治そうともしない。
「なるほど。 そう言えば特殊武器ばかり使ってるな。
とりあえずあの武器さえどうにかしてしまえばいいのか」
「まぁ痛手を与え続けるのも手だとは思う。
が、呪文が跳ね返されてしまうのはいささかやっかいだからな」
「具体的にはどうするんだ?」
「ん……」
しなのは改めて神殿内を見渡す。
辺りは大分暗くなってきており、もう少しで日が落ちるだろう。
その時灯りのないこの神殿内は真っ暗になるはずだ。
「……タロウは夜目が利くはずだ」
「嫁?」
「わんわん!」
タロウはその言葉でリリアンの事を思い出した。
そういえば「あの子が僕のお嫁さんになったんだよ」と二人に報告するのを忘れていた!!
「違う違う。夜の目だよ」
「あぁ……」
「くぅん……」
「タロウ、光が消えた瞬間を狙ってサクヤの動きを封じて欲しい」
「わんっ!!」
「俺はどうする?」
「サクヤの気を逸らしてくれればいい。後は私が何とかしよう」
「何とか?」
それには答えずしなのは行くぞ、と一声かけた。
552 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:18:43 ID:tiDo3Rhn0
暗くなるまでもう時間がない。
気付かれてはどうにもならない。
上手くいくかも分からない。
けれどこれが決まれば、きっと自分達の勝ちだと信じた。
そう信じなければ失敗してしまいそうで、無理矢理信じるしかなかったのかもしれない。
それでも二人と一匹は互いを見やって頷き合った。
太陽の光がまた一筋、この地から消えた瞬間にどちらからとも無く動き出す。
ヨウイチ達はサクヤを取り囲むようにして攻撃を開始した。
これで必ず誰かがサクヤの死角にいる事が出来る。
しかし決定的なチャンスは得られなかった。
死角から狙ってくる事に早々に気付いたサクヤは見事に対処してのけた。
サクヤとのレベルが違い過ぎたのだ。
もうほんの少しでもタロウ達のレベルが高ければサクヤに勝る事は出来ただろう。
現状ではさざなみの剣一本でしなの達とやり合うのに十分なのだ。
しかしその剣も残りものだった。
氷の刃と砂塵の槍と毒牙のナイフは既に破壊している。
もうこれ以上武器を持っているとは考えにくい。
故にこの策を成功させられれば優位に立てる。
(沈む……!!)
しなのが頷いたのを見て、ヨウイチはわざと隙を見せる。
サクヤは正確にそこを狙って剣を突き出してきた。
その切っ先がヨウイチの胸が刺されるかという時、
闇に光が吸い込まれるようにして全員の視界を黒に染め上げる。
何事なのかと一瞬躊躇したサクヤに飛びつくタロウ。
そしてタロウはその体勢のまま装備している風の帽子を使った。
ルーラの効果を持つ風の帽子によってタロウとサクヤの体は飛び上がる。
「がっ……」
553 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:18:51 ID:vNN5WzhwO
wktk
554 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:20:44 ID:tiDo3Rhn0
タロウによって下から持ち上げられる形となったサクヤは、
天井に穴が開く程の勢いで頭をぶつけた。
当然タロウにかかる負担もゼロではないが、サクヤの方が影響は大きい。
天井から落ちて背中を強かに打ち、衝撃でサクヤの脳はさらに揺れる。
「よし!!」
しなのは、炎のブーメランを大きな弧を描かせるようにして投げ、灯りを作り出す。
それで暗闇の中からサクヤの居場所を特定し、懐から爆弾岩の欠片を取り出した。
そのアイテムをサクヤが持っているのをしっかりと覚えていたのだ。
(これで!!)
しかしその時サクヤはしなのを突き飛ばそうともがいた。
しなのはあわよくばサクヤへの止めの一撃にしようと思っていたが、
何とか武器を持つサクヤの右手に爆弾岩の欠片を押し付ける。
互いの力が交差する中で、炎のブーメランが使用者であるしなのの手元に戻ってくる。
その炎が爆弾岩の欠片の着火剤となる。
ドンッ、と花火が爆発した時のような音がそこにあるものを吹き飛ばした。
さざなみの剣と、サクヤの右手と、しなのの体を。
「やったか?!」
しなのが成功したであろう事を信じて今度はヨウイチが松明に火をつける。
松明を掲げて最初に視界に入ったのは、サクヤの不気味な笑顔だった。
ヨウイチは驚きのあまり体を動かす事が出来ない。
「な――」
「いい加減しつこいですね」
サクヤがマグマの杖を振りかざす。
まだ武器があったのか、という思いは焼かれる痛みの中に消えていった。
555 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:22:04 ID:vNN5WzhwO
支援
556 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:22:51 ID:tiDo3Rhn0
「わんっ!!」
ガブリとタロウがサクヤの肩口に噛み付き、鉄の爪でひっかく。
が、サクヤは少しも痛がらずにタロウを体から引っぺがして地面へと強く叩きつけた。
「キャンッ……!!」
痛みに吠えるタロウを面白くなさそうにサクヤは杖で殴り飛ばした。
鉄の胸当てにヒビが入り、使い物にならなくなった。
タロウの体は神殿の壁に当たって止まる。
「……夜が来たんですね」
マグマの杖を支えにするようにしてサクヤは息を整えようとした。
先ほどの爆発で右手を失い、余波で体中に火傷を負っていた。
しかし痛みに焼かれる体から血が抜けていく感覚でさえ、サクヤには快感だった。
「もう終わりしましょう」
そう、終わりなのだ。
もうタロウ達は戦えないだろう。
後は犬から欠片を奪い返して石版を完成させるだけなのだ。
それでこの計画は完遂する。
長く遠回りしてしまった気もするが、かけた時間が長い程感慨も一塩なのだ。
そんな感覚が痛みを興奮に変えていた。
(その前に始末しておきますか)
石版が並みの衝撃では壊れない事を知っているサクヤは、
しなのが取った手段と同じようにマグマの杖を爆弾岩の欠片で破壊する。
杖に込められた呪文の力と爆弾岩の爆発が混ざり合い、相乗効果で威力を高める。
そしてそれはヨウイチ達を確実に死に至らしめる巨大な爆発力を生み出すのだ。
557 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:24:18 ID:vNN5WzhwO
shien
558 :
作り合わされし世界
◆YB893TRAPM
:2007/12/16(日) 21:24:55 ID:tiDo3Rhn0
いや、生み出すはずだった。
しかしそれが留めの一撃とはならない。
呪文による横槍が入った為に被害が及ばない所で効果が霧散してしまった。
「……まだ何か奥の手があったのでしょうか」
煙が晴れ、サクヤの視界が確保されるとそこには八人の勇者がずらりと勢ぞろいしていた。
「おーいしなの〜助けに来てやったぞ〜!」
「ふぅ……どうやら間に合ったみたいですね」
「酷い怪我だ……早く手当てを」
「ゲレゲレ! やっぱりあの遠吠えはゲレゲレだったのか!!」
「人も魔物も動物もみんな分かり合えるはずなのに、どうしてできないんだろう」
「すべての元凶はこいつだったわけだ。こういう悪夢は消し去らなきゃな」
「せっかく友達になれたと思ったのに、君には始めからその気はなかったんだね」
「サクヤ、君が元凶だったとはね。すっかり騙されたよ」
口々にものを言うものだから、正確に全員が何を言っているのかは分からない。
しかしサクヤはこれで形勢が悪くなったのをひしひしと感じていた。
「……どうして神殿での異変に気付いたのです?」
「タロウが教えてくれたんだ」
「この子はみんなとは別の小さな穴から洞窟に入ったんだ。そこから出て教えてくれた」
「俺たちは正面から入ってくる必要があったからちょっと時間がかかっちまったけどな」
「言葉は通じなくても思いは通じるものさ」
サクヤの頭がガクリとうなだれる。
完璧だと思われたサクヤの計画は実は既に崩れていたのだ。
ゴーレムによるタロウの足止めは成功していなかった。
そして勇者達がこの神殿に来る事までは予想出来なかった。
559 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:26:15 ID:vNN5WzhwO
ドキドキムネムネ
560 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:28:00 ID:Ml8tKtBe0
「な……何故……」
「あなたたちは洞窟の外にいたのですか、かな?」
「世界の異変を調べてたらみんなここにたどり着いたって訳さ」
「僕はサクヤ君が無事に元の世界へ帰れるか心配で、
やっぱり近くで見守ろうと思っただけなんだけどね」
「まぁ他人を利用することしか考えていないお前には分からないことだろうな」
「な……何故……何故邪魔をするんですか!! あなた達はいつも、いつも……!!」
ブルブルと体を震わせ嘆くサクヤ。
そんなサクヤにしなのが声をかけた。
「サクヤ、君に足りなかったのは仲間だよ。
心を通じ合わせられる仲間が、ね」
運命は決まっているものではない。
仲間がいたからこそ、ここまで成し遂げる事が出来たのだ。
それが結果として運命を位置づけたに過ぎない。
運命とは人が命をかけて運んでいくものなのだから。
「そんな……そんな事で……」
サクヤはその一言で力が抜けてしまったかのように、地に膝をついた。
「私は負けない……あともう一歩……たった一歩……!!」
そんな言葉を繰り返しながらサクヤは自分の敵達を睨みつけた。
その目に暗い光が再び宿る。
波に削られて今にも崩れてしまいそうな砂の城を建て直そうとするかのように、
サクヤは再生計画が破れるのを諦めきれずにもがこうとする。
561 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:29:52 ID:Ml8tKtBe0
「さて、そろそろ帰りたいと思うのは僕だけかな」
「いーや、もうこんな世界はうんざりだね」
「よし、決めるぞ!!」
「君達のマジックパワーも借りる! 協力してくれ!」
エイトがヨウイチ達に声をかける。
「今こそ心を一つに……」
その声を頼りにして心を束ねていく。
他人に心を許す感覚が力に変わっていくのが分かった。
「「「「ミナデイィィィィィーン!!」」」」
呼び起こすは圧倒的な光の束。
その光が神殿の天井の穴からサクヤの頭上に落ちてくる。
ライトのように白く照らされたサクヤは何故か不気味に笑っていた。
「ククク……」
「……?」
「あえて動揺してみせるのも時には有効な手段ですね」
絶望的な状況であるはずなのに、
そこに先ほどまでのうろたえた様子は一切見受けられなかった。
これが役者なら最高の演技だと言われる程に、嘘をやってのけたのだ。
「私は呪文を使えないのではありません。切り札は最後までとっておく主義なのです」
「しまった!!」
サクヤの意図を察した勇者達は素早く反応する。
562 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:30:48 ID:vNN5WzhwO
支援
563 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:32:26 ID:Ml8tKtBe0
しかしサクヤは笑いながら天に手を掲げ、呪文反射の文句を唱えた。
「マホカンt――」
(キィキィーー!!)
――聞き覚えのある声がヨウイチの頭の中にだけ響く。
その声に押された腹の底からの叫び――
「ドラオォォォォーーーー!!」
ミナデインの発生させた落雷が叫びをかき消す。
ヨウイチには出会った時と同じ、青い体でふわふわ浮かぶドラオが見えていた。
時間が止まったかのように、その表情は詳しく感じ取れる。
「ドラオ!」
「キィ!」
心で交わしたたった一つずつの言葉は、多くの気持ちを含んでいた。
ドラオの笑顔がだんだんと薄れ消えてゆく。
と同時に、ヨウイチの心に置かれた大きな固まりも少し、小さくなっていた。
ミナデインのもたらした音響はバリバリと余韻を神殿に響かせている。
サクヤの呪文は発動する事はなかった。
怖がりなドラオが口を塞いでまた呪文を封じ込めてくれたのだ。
「……クン……」
光が止み、稲妻に焼かれたサクヤの体は地に伏し塵と化した。
その魂は雷と共に天へと昇っていったのだろう。
564 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:35:20 ID:vNN5WzhwO
あんなに一緒だったのに
565 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:35:28 ID:Ml8tKtBe0
「ありがとうドラオ」
「やったな!」
「ん。アレンは?」
「外に出ていった。恥ずかしいんだろう」
「お手柄だったぞ〜タロウ!」
「わんわんっ!」
「おい、見てみろよ」
「あ……」
指差す方を見上げると、
月夜の光が天井に開いた穴から差し込み台座を暗闇の中に浮かび上がらせる。
夕暮れに見た光景とはまた違った神秘的な雰囲気を作り出していた。
穴を見上げると戦闘の勝利を祝福しているかのような綺麗な満月が望める。
絶妙な光加減に見とれていると、その中から何かが舞い降りてきた。
「……人?」
「あ、あなたは……?」
「ふぁぁ……よく寝たわい……わしは神様だよー」
「は……?」
一同は思わず目を丸くしてしまう。
今この人は何と言ったのだろうか。
「大きな音がしたから起きて来てみれば……
ふぅむ、こりゃ他の世界の神に本格的に怒られるかもしれんなぁ。
ま、そういうシナリオもありじゃと思うがの」
いきなり現れては何か意味深な事を言うこの方が神様だとは到底思えなかった。
566 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:36:50 ID:vNN5WzhwO
夕暮れはもう違う色
567 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:38:47 ID:Ml8tKtBe0
「わんわんっ!!」
しかしタロウがすぐに自称神様へと飛びつく。
それでこの自称神様が少なくとも悪い奴ではないと分かる。
「神様……あなたはこの状況を分かっておいでで?」
神様の名にたじろぐ事のないセブンが問う。
タロウの頭をナデナデしながら神様はつまらなさそうに答えた。
「……
今この作り合わされし世界は元に戻ろうという動きをし始めておる。
その動きは結果として互いを排除する行為に等しくなっとるがな。
その力が臨界点を超えると、全ての世界が崩壊してしまうかもしれんのじゃ!
ふん、これで良いか? ワシを誰じゃと思っとる」
「くぅん……」
「おーよしよし。
あのサクヤとかいう奴は石版を壊したからこうなったと思ってるみたいじゃが、
異変は魔王を封印した時から始まとるんじゃ」
「どういう事ですか?」
確かにサクヤは多くの嘘をついていたが、この世界に関する事だけは間違っていなかった。
その事は今の自称神様の話で分かる。
「世界を作る時のルールがある。そのルールをワシは破ってしまった。
どうにも我慢できなくての……」
「世界の、ルール?」
「魔王は勇者によって倒されなければならない。 それが絶対条件」
「じゃあ何で破ったんだよ」
「名前じゃよ、名前」
「名前……?」
568 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:39:52 ID:7H9yAvKC0
sien
569 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:41:24 ID:Ml8tKtBe0
「ポックンブリードという名前が気に入らなかったんじゃ。
魔王なのに全然強そうじゃないじゃん?
それで新しい魔王を生み出そうと思ったんじゃが、勇者が現れるのを待ちきれんかった。
つまり悪いのはぜーんぶワシって事!」
ハハハと陽気に笑う神様。
対して一同は呆れるばかりだった。
「ならどうすればいいのです?
もしあなたが本当に神様なら、全てをきちんと元通りに出来るのでは?」
「……疑いに勝る偽り事はない。故に信じる者は救われると言うじゃろ」
「……?」
「石版を」
急に真剣な顔になった神様が腕を伸ばし、その手に乗せるように促す。
石版を調べるようにしばらく眺めた後、その唇が静かに言葉を紡ぐ。
「引き裂かれし大地――
世界の裏側へと落ちた星々――
闇の中へと消える心の光――
全ては在るべき姿へと――
全ては輝ける力へと――
全ては帰る場所へと――」
残っていた割れ目が光り、石版は完全に元の姿を取り戻した。
「さぁこの石版をその台座にはめるんじゃ。
それで間違いなくお前達は元の世界へと帰れる」
再度、台座へと石版をはめこむ。
570 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:44:29 ID:Ml8tKtBe0
しなのはタロウを片手に抱え上げ、ヨウイチの腕を取った。
そして互いを見やって、微笑み合う。
光がみんなを包み込んでいく。
「これで世は全て事もなし、じゃ。
重なっていた幾つもの世界――
複雑に作り合わされし世界――」
その言葉にようやく安堵の表情を浮かべる勇者達。
神様はその表情を順に見回して優しく微笑んだ。
「――そして石版に封印されし魔王も」
「え?! 魔王も?!」
みんなの体が少しずつ世界から消えていく。
「世界に秩序を取り戻す為にはそれしか方法がない。
そしてお前達を安全に帰す為にも、な」
幾つもの不安そうな顔を前に神様は笑った。
「じゃが心配するでない。
ワシには見える。
再び世界を覆いつくすであろう闇に勝る大きな大きな光が。
そしてその様が語り尽くされぬ物語となって語り続けられる事が。
お前達はその物語の一部となった。
だから、礼を言うぞ」
神様の言葉を全て聞き終わる前に彼らはそれぞれの場所へと帰りついた。
そしてこの世界に魔王が復活した。
571 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:45:18 ID:vNN5WzhwO
支援
572 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:45:56 ID:Ml8tKtBe0
【合作イメージ画像作成】
【フラッシュ作成】
【ヨウイチ編】
【最終章】
――タカハシ◆2yD2HI9qc.
【タロウ編】
【サクヤ編】
【最終章】
――◆8fpmfOs/7w
(=◆YB893TRAPM 二役)
【企画立案】
【しなの編】
【最終章】
――暇潰し◆ODmtHj3GLQ
【スペシャルサンクス】
――◆IFDQ/RcGKI
――◆u9VgpDS6fg
FF・ドラクエ板
『もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら』
10スレ記念合同作品
〜作り合わされし世界〜
〜END〜
573 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 21:47:22 ID:vNN5WzhwO
感動のエンディングだ
574 :
作り合わされし世界
◆ODmtHj3GLQ
:2007/12/16(日) 21:53:01 ID:Ml8tKtBe0
終わったー!!!!
さて、作り合わされし世界、いかがでしたでしょうかか。
合作自体がはじめての試みという事もあって色々と至らないところがあったと思いますが、
少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。
当初考えていたよりも遥かに長くかかった合作作成もようやく終わりを見る事が出来ました。
実はエピローグがまだ残っているのですが、
それはEDフラッシュの公開と同時に発表という形を取りたいと思いますので、
どうか楽しみにしていて下さい。
実は一つだけ、本当に残念で、失敗したなぁと思っている事があるんです。
それがもしや合作としての一体感を損なってしまったのではないかとさえ思います。
つまり僕のキャラだけカタカナではないという事。
本当に残念でなりません。
そういった反省点を次の課題として、僕はまた真理奈編の執筆に戻りたいと思います。
また合作等の企画があれば参加してみたいと思います。
それまでにまたレベルアップしたいです。
さぁ個人的な事ばかりを書いてしまいましたが、
合作を作ろうなどと提案した張本人がまだまだ技術的に未熟であるにも関わらず、
作り終える事が出来たのは参加者の皆さんのおかげであると、感謝感謝であります。
僕のワガママに付き合ってくれたタカハシ◆2yD2HI9qc.さん・◆8fpmfOs/7wさん、
そして話し合いに参加していただいた◆IFDQ/RcGKIさん、◆u9VgpDS6fgさん、
本当にありがとうございました。
最後に合作投下にご協力いただいた他の書き手さん達、
投下の際に支援をしていただいた方々、
そして何より読んで下さった皆さんに御礼を言って去りたいと思います。
ありがとうございました!!
575 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 22:05:55 ID:5esvMC610
おお、1〜8の勇者勢ぞろい。
8人分+ヨウイチ、しなのさん(もしかしたらタロウも?)のミナデイン、萌えた。
ポックンブリード噴いた(
http://www5.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/3483.html
)
投下乙でございます&エピローグたのしみです。
576 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/16(日) 23:54:43 ID:QSrX1TTQ0
合作終了 超々々々々乙っした!!!111
けっこう長くかかったよなあ。楽しませてもらったよ。
しっかしポックンwww
エピローグwktkして待ってます!
577 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/17(月) 15:17:40 ID:y0nbb6wZO
合作乙
良い感じにコラボレーションできていたと思います
578 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/20(木) 00:53:51 ID:x5SbEfecO
合作乙(゚д゚)
579 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/22(土) 00:15:20 ID:8ag1nOKVO
上げてみる。
職人さん何処へ行っちゃったの(´;ω;`)合作で疲れちゃいましたか。戻ってきてまだ容量あるよ
580 :
1
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 00:50:32 ID:ojXLm7mQ0
彼女なんて希少生物に出会ったことのない俺は
今日も健やかにエロゲーで一日二回オナニーの日課を順調にこなしていた。
繰り返されるニートの毎日。
漠然とした不安を抱えながらも、某有名なメーカーを自主退社してから
かれこれ五年は経つ。31歳童貞ニート。
朝方になってから、やっとPCの電源を落とす。
最近夜に寝られなくなったなぁと思いつつ消灯。
・・・したはずなのに、モニター画面は明るいままだ。
「???」
電源不良かなぁ、と思い、モニターの電源ボタンを押してみる。
すると「パヂ!!」という電撃音と共に俺の思考回路はショート寸前。
「あばばばばっばばばっばばばばば」
友達をまた一人無くしそうな奇声を発しながら、俺の視界は暗転した。
なにか身体が宙に浮いている。
手足の感覚がまるでなく、堂と頭だけを頼りにぷかぷか浮いてる感じ。
宇宙(そら)ってこんな感じなのかなぁと思いつつ、さきほどの出来事を思い出す。
あれ?これってやべーんじゃね?臨死体験?
そう思うと、おぼろげながらも手足の感触も求めてもがく。
そうやって必死になっていると段々手足の感覚が蘇ってくる。
まるで身体から血管を伸ばし、その伸びた先から順に血肉が現れてるかのような錯覚を覚える。
徐々に、腕や太腿が形成されていくような気がする。
うおおおおお死にたくねぇぇぇぇぇっぇぇ!!!
気張る、とにかく気張る。これが夢だったら絶対寝ながらウンコ漏らしてる。
581 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/22(土) 00:52:22 ID:0c3etcWg0
年末でリアルワーキングがビジーなのですゴメンヨ.....
582 :
タカハシ
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/22(土) 00:55:06 ID:8/Y6oWwz0
みなさん、お疲れ様です。
合作、無事に終わらせることが出来て、協力してくださった住人の方々や一緒に作った方々には感謝です。
個人的に良い勉強になりました。
途中、現実逃避を兼ねて書いた「癒しの魔法」もヨウイチ編のおかげで出来た感じです。
「癒しの魔法」は、内容はともかく少し早いスレへのクリスマスプレゼントですw
反省点としては、後半時間を取れなくなり最終章に関しては本当に少ししか協力できなかったこと。
それから書き手同士の意思の疎通がうまくいかなかった事もありました。
次回、どなたかがやられるとするなら、少しでもIRCなり会話しておいたほうがいいかなと感じました。
合作本編は終わりましたが、エピローグフラッシュを制作するので、完成したらまた告知させていただきます。
たぶん、来年のいつごろか… もうちょっと先になると思います。
まとめ作業は、出来れば年内に11スレと合作をまとめる予定でいます。
>>579
合作で少しだけ、燃え尽きた感はありますw
が、今度はタカハシ編の旅を続けていきます。
583 :
2
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 01:10:07 ID:ojXLm7mQ0
やっとの思いで、身体の感覚が大体蘇ってきた。なんとなく、指先をピクピク動かすこともできる。
おし、後は起きるだけだな、起きろ俺!起きろ!!
そう願ったやいなや、突然視界が回復する。
「フー、蘇生成功?くわばらくわばら」
心地の良い朝日を浴びながら、臨死体験だか金縛りだかから、抜け出せた俺。
貴重な体験したなぁと思いつつ、今ある確実な現実感に感謝。
なんてスバラシイ朝日!空気!緑!生きてるってサイコウ!!
「ん?緑?」
辺りをよく見回してみる。
そこには見慣れたエロゲーのポスターはない。フィギュア(魔改造)もない。
積んでるエロゲーもない。チン○にやさしい、愛用のカシミヤのボックスティッシュもない。
カシミヤはチン○にへばりつくのが難点なのだけれど・・・
いやいやいや、それはどうでもいいが、緑っぽかったのは木々だと認識。周りは野原。壁なんてどこにもない。
「へ?外?なんで?」
「ええええええ!俺生き返ってなかったんか!ここ天国か?」
夢にしては存在感のありまくる景色に戸惑いを隠せない。
しかもなんてキレイな景色。とうとう俺は天に召されたのか。
ヤダヤダヤダ。せめて童貞卒業してから死にてーよぉぉぉぉぉ!
懐かしいAAを回想しながら、ジタバタする俺。すると異様な臭いに気が付く。
なんだ、これは・・・。もしかして・・・ここは見た目はキレイだけど、実は地獄の一丁目?!
うそぉ!俺地獄行きだったのかよ!確かに!納得!合点承知!!
でも、それにしてはお尻の辺りに違和感が・・・
あ、ウンコ漏らしてただけだった。
584 :
3
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 01:35:11 ID:ojXLm7mQ0
「ん?地獄にウンコ?いやまだ天国かもわからんか。天国にウンコ?」
血の池地獄なんて物もあるくらいだし、排泄物くらいできるのかなぁ。
そう思いつつ、このままでは如何ともしがたいので近くに洗面所と洗濯機がないか探す。
ない。つーか大自然の中だから、あるわけない。チクショウ。
近くに水の流れる音がしていたので近寄ってみると小川発見。
とりあえず、ここで洗うしかないのかなぁ・・・。
シャアアアァァァァァァッ
やっと乾いたパンツを履いていると、後ろから奇声が。
振り返ってみると、なんか口が鋏っぽくなっているバカデカイ蟲を発見。
うぇっ!!蟲がガキの頃から苦手は俺は驚きすくみあがってしまう。
眼が真っ青でキモイ・・・。向こうも警戒しているのか、それ以上は寄ってこない。
逃げたら追いかけてくるんだろうなぁ・・・
そう思いつつ、半ば諦めながら脱兎のごとく戦線離脱!
もれなくついてくる青眼鋏蟲!
「やっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!ぃいいいやああぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!」
逃げる逃げる逃げる。どこまでも逃げる。
全力疾走してるはずなのに、中々体力は尽きない。
人間やればできるもんだ。
しかしそうこう言っている内に、崖に突き当たってしまった。後ろには今だにデカ蟲。
何気にヤバくね?スネークだったら崖から飛び降りても助かるんだろうか・・・
そう思いつつも、やっぱこれは夢なんじゃ。という淡い期待と逃避。
こんな時こそあれだ。お決まりの懐かしいアレを言うときだ!
「もうダメぷぉ!!」
ダメだ、力んでしまって叫んでしまった。悲壮感がない・・・。
585 :
4
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 01:49:32 ID:ojXLm7mQ0
あぁ、俺の人生やっぱりこれまでなのかな。
お母さんごめんなさい。お父さんごめんなさい。
姉ちゃん借りた金返さないで死んでごめんなさい。
一通り懺悔は済んだ。よし後は無謀だが特攻おぉぉぉぉぉ!!
倒せるかもしれんもんね!!こっち素手だけど!!
勝てたらラッキー!死んで元々!カナたん俺を守って!!
「きいえぇぇぇぇぇぇえぇ!!」
生まれて初めてこんなに叫ぶ。これが最後の言葉かと思うとカッコわるい。
くらえ!とか、いくぞ!最速風神拳!とかの方がかっこよかったかな。
後悔先にたたず。とはよく言ったもの。
眼前にデカ鋏蟲が迫る。いや、青眼デカ鋏蟲だったか?
そんなのどうでもいい!しかしキメェェェェェ!
飛び掛ろうとした時、横から物凄い速さで何かが蟲に突き刺さる!
よく見ると剣だ。剣が蟲の頭を貫通してる。
青かった眼が光を失い、横にドウっと倒れる。
うはぁぁぁぁ、なんじゃこりゃ。
展開についていけないでいる俺。
「大丈夫ですか〜!」
横から声がかかり、茂みから緑の何かが這い出てくる。
女の子だった。ちょっと露出気味ながらもボ−イッシュな服をまとった女の子。
珍しい。というか初めて見た。緑色の巻き毛(クセ毛?)をしている。
586 :
5
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 01:58:51 ID:ojXLm7mQ0
「ケガとかないですか?」
あっけにとられている俺に、緑の髪の女の子が続ける。
「なんか変な叫び声とかして騒がしかったので探ってみたら・・・」
「素手ではさみくわがたに突撃してる人がいるじゃないですか」
「どう見ても武術に長けてるようには見えなかったので、援護させていただきました。」
顔を見るとかなりカワエエ・・・。
「大丈夫?」
顔を覗き込まれる。
こんなカワイイ子にこんなに近くに寄られたのは何年ぶりだろうか。
不慣れなのも手伝って、真っ赤になってしまう。
「へ?いや!全然ダイジョーブ!」
「き、君が助けてくれたのか!あ、あ、ありがとう!!」
「いえ、いいんですよ・・・。あなたは助けられてよかった」
フッと緑髪の彼女が寂しそうな笑顔をする。
「え?」
「え?」
「いや、どうしたのかなって。」
「え、いや、なんでも、ないです、よ?」
どう見ても何でもなくはなさそうだ。
でもこれ以上聞くのは、彼女に悪い。
何か話題を変えようか・・・。
587 :
6
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 02:11:53 ID:ojXLm7mQ0
「君って天使?」
「え?」
「ここってあの世かなぁ?」
リアルで発したら、大昔のドラマでもやらないような口説き文句とも取れないことを言う俺。
しかし、今は状況確認が先決だ。
「あの、どういうことですか?」
「いや、俺って死んでるんじゃないかと思ってさ」
「・・・。」
「だって俺s」
「生きてるに決まってるじゃないですか!さっき私が助けたでしょう?!」
「いや、そういう意味じゃなk」
「もう!何言ってるんですかアナタは!せっかく・・・助けることができたのに・・・ひっく」
おおおおお、何だか泣きはじめてしまった!
ぐはぁ!なんじゃこれ!なんで泣くんじゃ!
「ごめんごめん!そういうんじゃないんだ!うん、助けてもらってありがとう!」
「グス・・・ひっく・・・」
「俺死んでない死んでない!死ぬなんてことも言わない!ごめん!ごめん!だから泣かないで!」
「・・・・・・はい・・・」
なんだ、この痛少女は。
カワイイから甘やかされてるのか。今時の小学生でもここまで酷くないぞ。小学生ハァハァ。
いや、小学生に萌えるのはどうでもいい。
「とりあえずさ、俺はケイイチって言うんだけど、ここはどこなの?」
聞き方を変えることにした。
「ここですか?私の村の近くです。地域でいうとブランカという国の近くですよ」
ブランカ?それなんてストU?
588 :
7
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 03:45:06 ID:ojXLm7mQ0
「ブ、ブランカ?なにそれ、国なの?」
「? はい。」
ブランカなんて国あったっけ・・・?
「んー、つーか日本って知らない?」
「ニホン?」
「もしくはジャパンとかジパングとか」
「ジャパン???聞いたことないです・・・」
「私も村から出たことないので、地理に疎いんですけど・・・旅人さんですか?」
「いや、旅とかじゃないんだけど・・・気付いたからここにいたってだけで」
なんだか怪しまれてしまったかな?
居心地が悪くなってくると、彼女がハっとしたように見上げてくる
「も・・・もしかして、魔物に攫われていたんですか?」
「魔物?」
「あなたももしかしたら、私と同じように村を襲われて・・・?」
「村を襲う?」
「あぁ!そこから逃げ出してきたんですね!」
「???」
「デスピサロとかいう魔族は知りませんか?!」
「デピスロト?」
なんだか変な話になってきた。
589 :
8
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 04:01:42 ID:ojXLm7mQ0
「あの・・・何がなんだか・・・というか魔物とか全然わからないんだけど」
さっきの蟲とかのことだろうか。
要領を得ない俺を見て彼女がまたハっとした顔をする。
しかし、この子カワイイな〜。頭がヤバそうなのが玉に傷だけど。
「あまりの恐怖に記憶喪失になってしまったんですね・・・」
マテ。
「大丈夫!私がついてます!とりあえず私と一緒にブランカのお城まで向かいましょう!」
「え?城?」
「そうです!お城に行けば何とかなるかもしれない・・・少なくともずっとここに居るわけにもいきません」
「私はソニアっていいます!アナタはケイイチさんって言うんでしたっけ?よろしくお願いします!」
「道中は私が命に代えても守って見せます!命に代えても・・・もう二度と・・・」
自分の知らない間に話がドンドン進む。喋る隙が全然ない。
元気で勢いのある娘だなぁ。てーかテンパってる気がするのは気のせいか?
でも、今は従うしかないのかなぁ・・・。少なくともあの世ではなさそうだし。
外国なのかな。
ハァ、なんだか疲れた。
「ブランカだっけ?そこって近いの?」
「ええ、ここからだと恐らく半日ほどで着きます」
「半日?!それ凄い遠いじゃん!車は?バイクは?・・・まさか徒歩?」
「クルマ?というのはよくわからないですけど、徒歩で半日くらいですよ」
マジか。
近くに、他に村はないのかとか、途中で休憩所とかないのか聞いてみるも
一切ないとのこと。夜になる前にブランカに着いた方が良いとのこと。
出発したときは、まだ昼にもなってないようだったが、俺の歩行ペースが遅いらしく
ブランカとやらに着いた時には、もう日がとっぷりと暮れていた。
590 :
9
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 04:26:05 ID:ojXLm7mQ0
話は戻り、ブランカへの道中、暇だったので
せっかくだから記憶喪失のフリをして、この国(世界?)の常識とやらについて聞いてみた。
どうやらマヂで魔物とかそういうのがいるらしい。
まぁ、考えたらあの青眼鋏蟲(なんかクワガタの仲間らしいが)も魔物とのこと。
凶暴な動物=魔物ってわけでもなく、人語を解する奴らもいるとのこと。
なんか面倒な世界だなぁ・・・。これってファンタジーじゃね?
リアルにファンタジーな所に来ると結構厄介なんだなと、認識。
普通にのんべんだらりと暮らせるところはないものか。
日本って良いところだったんだなぁと、しみじみ思う。
フと、日本に戻れるんだよな?と不安になった。残してきた物が大きすぎる。
11年待った、やりかけのゲームが先日出たばかりなのだ。
二番目に来週発売されるフィギュアが届くことが気になった。
両親や友達のことを思ったのは6番目だった。
道中、何度かカワイイ魔物に出くわした。
ソニアはえらい強かった。
剣を振り回して必死に自分に敵をひきつけ、俺を守ってくれる。
結構グロいシーンもあったが、虹黒・三次黒の住人でもあるので、むしろ大好物だった。
蟲は嫌だけど・・・
驚いたのがトイレで、設備とか何もないためにその辺ですることに。
当然ソニアも二度ほど用を足しに行っていた。
魔物が出たら困るので、つかず離れずの距離にいてくださいといわれたので
無類の尻フェチ、尻マイスターでもある俺は当然覗いた。ごちそうさまでした。
若い子の生尻をリアルで見れる日が来るとは・・・!感涙モノですな。
足が棒になるのと魔物に襲われるのを除けば、こんな旅なら何度でもしたいと思った。
591 :
◆qLjap6DEzk
:2007/12/22(土) 04:27:20 ID:ojXLm7mQ0
スレ汚し失礼しました。
新たにこちらで書かせてもらおうと思いました。
拙い文ですが、これからどうぞお付き合いいただければと思います。
こういうの書くの初めてなんで、キリは悪いですが、今日はこれにて。
592 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/22(土) 08:28:21 ID:HGX/PaTk0
>579
ヒント1:職人の都合もあり毎日書けるものではない
ヒント2:書き上げたとしても誤字脱字チェックがある
>591
乙!
カオスな予感にwktkw
593 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/22(土) 09:25:45 ID:8ag1nOKVO
職人さんいたんだね(´;ω;`)
すぐじゃなくてもいい、待ってます。
594 :
約束
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/22(土) 11:58:55 ID:8/Y6oWwz0
待ち合わせをしていた。
先日、仕事の帰りに見つけた目立たないこの喫茶店で、コーヒーを飲みながら。
もう結構たつのに来る気配を感じない。
なんだか眠たくなってきた。
店に張り巡らされた地味な電飾が、ぱちぱち眠気を誘ってくる。
だいぶ待ってるんだ。
少し、居眠りするくらいは構わないよな… ……
595 :
約束
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/22(土) 11:59:43 ID:8/Y6oWwz0
「そろそろ起きて。 今日は約束してた日じゃない」
目を開くと場所が、喫茶店ではない部屋の中になっている。
「きたか……」
俺はこのドラクエ世界へ来た事があった。
そんなに離れていない過去に、だ。
「なんのこと?」
「…夢の、話だ」
宿屋を出て町を歩く。
町は以前と何も変わっていなかった。
「私との約束、覚えてる?」
前、この夢みたいな世界へ始めて訪れたとき彼女と出会った。
約束を交わし、約束の朝にはこの夢から覚めてしまったんだ。
「もちろん、覚えてるよ」
「よかった。 さっそく行こう」
見渡す限り緑に包まれる平地を並んで歩く。
やがて町と建物と人の波が押し寄せ、二人で混ざる。
596 :
約束
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/22(土) 12:01:31 ID:8/Y6oWwz0
「今日はやっぱり人が多いね。 またにする? どうしよう」
「…いや、このまま行こう。 次の約束は、しないほうがいい」
「どうして?」
「約束をしてしまうと… いいんだ、なんでもない」
人をなんとかかきわけ、その場所へようやく着いた。
「わぁ…!」
彼女が喜ぶ。
その姿を見る事ができて、もちろん俺はうれしい。
「今日は連れてきてくれてありがとう」
「いいんだ。 けど、もう約束は無いから、会えなくなるな…」
少し、寂しくなりうつむく。
597 :
約束
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/22(土) 12:03:37 ID:8/Y6oWwz0
「何を言ってるの? それより遅れてごめん!」
顔を上げると彼女が居る。
場所は、もとの喫茶店だ。
「電車が遅れちゃって。 携帯の電池もなくなっちゃったんだ。
公衆電話から電話したのに出ないから…」
ポケットに収まるマナーモードの携帯にはたくさんの着信が入っている。
「…大丈夫だよ、俺も寝てたから。 じゃあ行こうか」
ゆっくりとした時間が流れる店を出た。
外は暗く、ツンとした寒さがコートを通して伝わってくる。
「なぁ。 前に約束してた場所に行ってみないか?」
「いいの? だって人が多いから…」
「構わないよ。 ここからならそう遠くないんだし」
人が行き交う大通りへ出て人の波と二人で混ざる。
姿は完全に波の一部となり、やがて消えていった。
598 :
約束
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/22(土) 12:06:03 ID:8/Y6oWwz0
おしまい。
ドラクエと全く関係ない内容で申し訳ない。
書いた後に気付いたんです orz
599 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/22(土) 13:25:22 ID:Q8Tt2V++0
>>591
ケイイチのダメっぷりが他人の気がしない。次回にも期待っ!
> 日本に戻れるんだよな?と不安になった。残してきた物が大きすぎる。
黒歴史モナー。処分を友人に頼んでおかないから・・・。
> 11年待った、やりかけのゲームが先日出たばかりなのだ。
11年待ち、テラわろす。
女勇者(?)の生尻、和露た。
>>598
わわ、癒しの魔法の続ききたー。
現実でも彼女さん(?)できたんですね。よかった。
でも、僧侶ちゃん・・・・゚・(つД`)・゚・
600 :
タカハシ
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/22(土) 14:34:57 ID:8/Y6oWwz0
>>599
感想ありがとうございます。
まぎらわしくてごめんなさい。 実は「癒しの魔法」の続きじゃないんです。
設定はおんなじのを使ってるんですが、テーマというかそういうのを共有した「短編」でした。
次からは名前欄に短編て入れておきます。
もちろん、タカハシやまとめ作業の合間に創る話なので、今後いつ書くのかはわかりません。
一ついえるのは、年内にまた書くかもしれないってことだけですw
601 :
タカハシ
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/23(日) 11:01:05 ID:FexaC70o0
おはようございます。
朝から修正を。
>>597
「顔を上げると彼女が居る。」
↓
「顔を上げると、夢のままの彼女が居る。」
へ修正します。
602 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/23(日) 23:39:20 ID:dDBxb/Ck0
いつからネタスレに、キモイ厨房の恋愛小話書くようになったんだ
603 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/24(月) 01:33:17 ID:HL5wo8i70
完全に出遅れたが合作超乙!
面白かった〜!
エピローグ期待してます!(・∀・)ノ
604 :
ネガティブ君とおバカ君:プロローグ1/2
:2007/12/24(月) 02:46:03 ID:zchPHpDM0
―――うおー、頭が痛い。昨日は飲みすぎたか?
ってか、やべぇ。昨日、居酒屋出てからの記憶が全くねーんですけど。
こんなんでよく帰宅できたな、俺。犬並みの帰巣本能だ。
ああ、朝日が眩しい。溶けちまう。俺は夜が好きなんだ。どっかいってくれ、太陽。
* 「ううん…」
俺 「おわっ!?…って加藤じゃねえか。驚かすんじゃねぇよ」
俺の隣のベッドにいたのは、親友の正志だった。茶髪のベリーショート。見間違える筈もない。
正志「おはよー、竜司。ってかなんでお前、俺の部屋にいんの?」
と、とぼけた顔でとぼけた事をいいやがる。ちなみに、竜司ってのは俺の名前だ。
俺 「ふざけんな、ここは俺の…」
言いかけて、違和感を覚える。
あれ?ここ、俺の部屋じゃなくね?そもそも、俺の部屋にはベッド1つしかないもんな。
じゃあやっぱ、ここは正志の部屋なのか?
俺 「わり、たぶん俺、間違えて…」
正志「あれー、ここ俺の部屋じゃないやー。ここどこー?」
605 :
ネガティブ君とおバカ君:プロローグ2/2
:2007/12/24(月) 02:48:07 ID:zchPHpDM0
あれ?正志の部屋でもねぇのか?
じゃあ、ここはいったい何処なんだ?
…考えてても埒があかねぇな。正志に昨日のことでも聞いてみるか。
こいつに期待はしてねぇけど、手がかりにはなんだろ。外に出てみるのが一番早いんだろうけど、心の準備ってやつがな。
俺 「なぁ、正志。昨日のこととか覚えてる?」
正志「えー、ごめん。居酒屋出てからのことは覚えてないやー。竜司は?」
俺 「俺もお前と同じだわ。起きたらここにいた」
正志「マジかぁー。うわー、ありえねー」
こいつも記憶にないのか。やべぇ、怖くなってきた。
ここは一体どこなんだよ。ってか、そもそも日本なのか?
家具とか家の造りが、普段目にしてるのと全然違うぞ。
―――もしかして、拉致られた?
正志「ねーねー」
俺 「…なんだよ。今、考え事してんだけど」
正志「ちょっと外出てみよーよー」
うーん……。まぁ、ここにいてもしょうがねぇな。不安になるだけだ。うし、心の準備完了!
俺 「だなー。その前に、とりあえず着替えよ―か。俺ら、いつの間にかパジャマだし」
正志「うわ、ホントだー。誰かが着せてくれたんかなー」
そんなことを話しながら支度を済まし、ドアの前に立つ。
歯磨きくらいはしたかったけど、洗面所がねぇからしょうがねぇ。
そして俺は、ドアノブに手を掛ける。だが、そこで固まる。
目の前のドアを開け放つ勇気が、どうにも湧いてこねぇ。
もしも、そこが言葉も通じねぇ異郷の地だったら。もしも、ワケのわからん事件に巻き込まれてしまっていたら。もしも―――
正志「さっさと開けちゃいなよー」ドンッ
俺 「わッバカッ!!」
正志の糞バカに背中を押され、俺はドアを開け放った。
そこで目にした風景は俺の想像を遙かに上回るものだった。
【すいません、続きは後日で】
606 :
タカハシ
◆2yD2HI9qc.
:2007/12/24(月) 17:23:35 ID:VYR8vZVE0
お疲れ様です。
ここまでまとめました。
恐らく、今年のまとめは今回で最後になるかと思います。
来年もよろしくお願いします。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html
>>602
そういうつもりはなかったのだけれど、不快にさせて申し訳ない。
自重します。
607 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/24(月) 18:26:33 ID:jgq26otQO
>>606
乙リークリスマス!!
確かに
>>602
の言いたいことも分かるのでアレだけど、自重し過ぎないように頼むぜw
608 :
ネガティブ君とおバカ君
:2007/12/25(火) 09:43:45 ID:cIQ0wfwc0
投下します。
609 :
ネガティブ君とおバカ君:ボッツ登場
:2007/12/25(火) 09:46:01 ID:cIQ0wfwc0
―――何だこりゃ?
目に入ったのは、見渡す限りの草原。遠くにはでっかい城(?)みたいなもんが見える。さらに遠くには…何だありゃ?塔か?
まぁ、それだけでもここが日本じゃねぇことは解るんだが、問題はそこじゃねぇ。
青くてプルプルした気持ちわりぃ物体やら、やたらでかいなめくじやらが、
嬉しそうにそこら中を跳ねまわってやがることだ。
…ああ、これ夢だわ。最近疲れてるもんなぁ…。だからこんな幼稚な夢を見るんだ。
よし、決めた。冬休みには、久々に実家に帰ろう。たまにはゆっくりして、親孝行でもしてやらなきゃな。母さん、元気かなぁ…。
正志「ねーねー」
うるせぇぞ、夢の住民。俺は今、てめぇの相手をしてる暇はねぇんだ。
正志「あの青いの、スライムだよな?で、その横にいるのがファーラット。かわいーな
ー」
ああ、スライム。ドラクエの。そういやそうだな、似てるわ。
ホントに幼稚な夢見てるなぁ、俺…。
正志「なんかこっちに向かってきてるよー。逃げよーよー」
ほっとけ、どうせ夢だ。痛みなんざ感じねぇし、運がよけりゃ目も覚めるかもな。
ん?頭の中に数字が…?HP 30 MP 0?
さすがは夢。ここまでゲーム通りとは。
正志「わ、来たー!!竜司、そっちにスライム行ったよー!」
だから、大丈夫だっての。夢の中でまでうざったい奴―――
ド ン ッ !
次の瞬間、俺はあばらに強い衝撃を受け、2,3m吹っ飛ばされていた。
610 :
ネガティブ君とおバカ君:ボッツ登場
:2007/12/25(火) 09:47:58 ID:cIQ0wfwc0
クソが、なんだよこれ…!!めちゃくちゃ…痛ぇじゃねぇか…!
呼吸が……できね…ぇ!夢じゃ…ねぇのかよ…!!
正志「りゅ、竜司!誰か!たっけてー!!」
* 「おーい!大丈夫か!?」
ん…この声…誰か…きてくれ…たの…か?
これが…大丈夫な様に…見え…るのかよ…クソが…。
ぜってーアバラいってるぞ…これ…。痛恨の…一撃ってやつか…。
* 「大丈夫じゃないみたいだな…ホイミ!」
ん…?あ、あれ…!?痛くねぇ!!
すげぇ!これは…呪文か!?
* 「これでだいぶ良くなったはずだけど…」
顔を上げ、俺を助けてくれた男を見る。やたら毒々しい色遣いだな…特に髪。
真っ青はねぇだろ…。まぁ、助けてくれたわけだし、礼は言っとくか。
俺 「ありがとな。助かったわ」
* 「礼は後でいい!今は敵を倒すことだけ考えて!」
倒すっつったってなぁ…元剣道部員とはいえ、素手じゃ到底無理だろう。
* 「何してんだ!その腰の剣は飾りか!?」
何言ってんだ、剣なんてどこに…。あ、あれ?
刀がある…。そんなバカな、ついさっきまでは無かっただろうが!
正志「戦おう、竜司!元剣道部員、なめんな!」
俺 「あぁ!?」
611 :
ネガティブ君とおバカ君:ボッツ登場
:2007/12/25(火) 09:48:49 ID:cIQ0wfwc0
見れば、正志は既に刀を抜き、正眼に構えている。
なんて適応力のある奴だ…バカの癖に。
しょうがねぇ。俺もぼちぼち行くか。死にたくはねぇしな。
しかし、いきなり武器が現れるとは。しかも、「刀」なんて俺らにお誂えの物が。
都合が良すぎねぇか?やっぱ…夢なのか?
* 「早く!」
分かったよクソが。そう急かすな。
考えてても仕方ねぇ。やっぱりここは、戦うしかねぇか。得物もある事だしな。
腹を括った俺は、腰に差した刀を抜き、右上段に構えた。息を整え、心を落ち着ける。
そして…
「りゃあ!!」
気合を発する!心なしか目の前の青い化け物が、怯んだように感じる。
その機を逃さず、抱えた刀を振り下ろす!
「っ面ーーーん!!」
ビチャア!と水を叩いたような音がした。
命中。当然だ。こちとら、高校時代は掌が豆だらけになるまで、何万回、何憶回と練習
してたんだ。化け物如きに、避けられてたまるか。
口の辺りまで真っ二つになったスライムは、一度、二度と点滅したかと思うと、幻か何かのように消え去っちまった。
…ん?頭の中に文字が流れ込んできやがった。なんだこれ?…
「スライムAをたおした!」 だぁ?…ゲーム通りってことか。ご親切にどうも。もう何が起きても驚かねえよ。
正志の方を振り返ると、あいつもちょうど化け物を始末し終わった様だ。荒い息をついている。
612 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/25(火) 09:48:53 ID:5/BH2zZNO
クリスマスは仕事支援
613 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/25(火) 09:51:06 ID:lzIAHH870
リアルタイムktkr!支援
614 :
ネガティブ君とおバカ君:ボッツ登場
:2007/12/25(火) 09:51:15 ID:cIQ0wfwc0
普段はとぼけてるが、やる時はやる奴だからな。
「スライムBをたおした!」アナウンス(?)が聞こえた。
正志「竜司!今、変なのが頭ん中にきた!すっげー!」
俺 「俺もだよ。何なんだろうな?」
で、あのツンツン青髪野郎は、と。
今まさに、モコモコした緑色の化け物(ファーラットだっけ?)に止めを刺そうとしている所だった。
手にした剣で、化け物を袈裟掛けに斬りつける。化け物は、俺の時と同じように、明滅して消えた。
「ファーラットをたおした!」
どうやら、これで全部片付け終わったようだ。…ああ、疲れた。
ひと息ついていると、そこでまた、アナウンスが流れる。
「まもののむれを やっつけた!
それぞれ 10ポイントの けいけんちを かくとく!
りゅうじは レベル2に あがった!
りゅうじは メラを おぼえた!」
ああ?俺か?…そういや、なんか強くなった気がするぞ。
メラってあれか?火の呪文か?
そんなことを考えていると、頭の中に、また何かが流れ込んでくる。
…どうやら今度は、呪文の使い方を教えてくれるらしい。
…えーと、何?「メラを使いたいと念じ、相手に手をかざす」…か。
随分と簡単だな、オイ。まぁ、今はMPが無いから、使えないんだろうな。
…なんだかんだ言って、適応しつつあるな、俺も。
「まさしは レベル2に あがった!
まさしは ホイミを おぼえた!
8ゴールドを てにいれた!」
今度は正志か。あいつはホイミ、か。イメージ合わねぇな、オイ。
615 :
ネガティブ君とおバカ君:ボッツ登場
:2007/12/25(火) 09:53:07 ID:cIQ0wfwc0
どうやら、あの青髪はレベルアップしねぇらしいな。
元のレベルが高いからか。
正志「竜司ぃ!俺、レベル2だってさー!ホイミ覚えちゃったー!!ホイミ!ホイミ!
あれ?MP足りないや!あはは!!」
俺 「うるせぇよバカ」
正志とそんなやりとりをしていると、先ほど助けてくれた青髪が、話しかけてきた。
* 「いやー、強いな、あんたら!レベル1とは思えないよ!こりゃ、助けなくても
よかったかな?」
などと笑っている。親しみやすそうな奴だ。
俺 「いや、危なかったよ。ホントにありがとな。えっと―――」
そういや、こいつの名前、聞いてねえな。
俺が困っていると、青髪はそれに気付いたのか、自分から名乗ってくれた。
* 「ごめん、まだ名前を言ってなかったな!俺はボッツ!ライフコッドのボッツだ!
よろしくな!」
【ここまで。支援ありがとうございます。最早ネガティブでもなんでもない件。
本来ライフコッド周辺にはスライムは出現しないんですが、
最初の敵はやはりスライムがいいと思ったのでこうなりました。】
616 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/25(火) 11:50:08 ID:08NlY5mR0
おお、続きが投下されている〜〜〜。
剣道部員強ぇぇぇ〜。
しかも早速レベルあがって呪文も覚えているし。
wktk
617 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/25(火) 12:01:41 ID:3LMeX1tqO
まさしきゅんハァハァ
618 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 01:32:49 ID:MTVm6yA+O
埋め用短編投下します。
619 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 01:35:00 ID:MTVm6yA+O
腰まで届く桔梗色の髪をブラシでとかして艶をだす。軽く化粧を施し頭からシルクのローブを身に纏う。セットしたあと手に気品ある緋色の天鵞絨に包んだ水晶玉を携える。
ドレッサーの鏡に写る自分の姿はまるで占い師の様な風貌。否、今の私は占い師だ。
目が覚めた時、知らぬ場所にいた。ココハドコワタシハダレと軽く混乱していると丁度よくドアから現れたのが…。
ちらり、とベッドでだらしない格好で寝ている踊り子マーニャを見た。
踊り子マーニャとくれば私はマーニャの妹、占い師ミネア。そう、何故か私はミネアになっていたのである。もうかれこれ一ヶ月たつと思う。
私には年子の姉がいる。背丈も顔もそっくりだが姉は運動好きで明るくムードメーカー。対する私は占いが好きな大人しいタイプ。
丁度小学生高学年に流行っていたドラクエ4のキャラクター、モンバーバラの姉妹の設定が似ていると良く言われた。
ドラクエ4。そう言われたからプレイした。姉ちゃんは見ているだけだった。確かに似てるねって二人で話していたことがある。
顔は似ていても性格は真逆だから喧嘩やぶつかり合いも多かったし、姉ちゃんなんていなければいいなんて何度も考えた。
そんな私たちも歳をとるにつれて生活スタイルも変わっていった。
私は地元の専門学校を卒業してから地元で就職。姉ちゃんは都会の大学へ行き卒業してそのまま就職した。
仕事は忙しい、だけどやり甲斐はあると以前電話で話してた。
大型連休がとれても遊ぶことがメインになってるようで、地元には一年に数回程度にしか帰郷することしかなくなった。海外旅行に行った時はお土産だけは荷物で送ってくれてた。
仕事も遊びも楽しんでやる姉ちゃん。最後にうちに帰ってきたのは結婚すると将来の旦那さんを連れてきた時かな。もう随分前だ。
小さい頃から一緒に過ごしていた姉ちゃんがいつの間にか私の知らない他人の妻になり、やがてそのうち母になるなんて身内としては複雑だけれど…。
…姉ちゃん最近連絡を寄越さないな。きっとまた忙しくしているんだろう。
あ、もう仕事の時間だ。行かなければ。私は寝ているマーニャを起こさないようにこの宿屋兼踊り子の寝所から離れた。
620 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 01:44:22 ID:MTVm6yA+O
私は小さいながらも街の隅に店を構えていた。お店っていってもテントだけど。
野外でやってもいいけど天候に左右されるのが難点だったので。
テント内の光源は数本の蝋燭だけにしている。お香も焚いて雰囲気作り。
お客さんとは基本的には一対一。カップルを相手することもある。
テントの外には既にお客さんは何名か待機中。準備が整い次第お客さんを招き入れた。
私は小さい頃から占いが好きで占星術、風水、血液と様々な占いを勉強してきたけどタロットは一番得意だ。姉ちゃんは占いは見向きもしなかったけど。
幸いドラクエ世界のタロットは現実世界と一緒だから占い方法も一緒だ。
私はお客さんに悩みを聞いてからタロットをシャッフル、その悩みに似合った展開をし、ガードから意味を読み取る。それを悪い内容ならやんわりと、良いようならそのまま伝える。
もう一つの占い、水晶占いも人気。これは「ミネア」になってから見えるようになったんだよね。水晶から未来が見えるなんて嘘臭かったけど実際見えるんだからびっくりだ。
透視ではないから部分的なものを伝えるだけどね。
今が変われば未来が変わる。自分が変われば未来が変わる。これは私の持論。
占いはあくまでもより良い
621 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 01:46:48 ID:MTVm6yA+O
翌朝私とマーニャはモンバーバラの街を離れた。
殺された父親の仇討ちの旅に…。
私はミネアではないが外見はミネアなのでマーニャは普段変わりなく話しかけてくる。どうやらバレていないようだ。まさか外見がミネアで中身は別人だなんて理解していないとは思うが。
私はゲーム内のミネアの言葉使いを思い出しながら言葉を選ぶ。姉ちゃんと呼んできた私に姉さんと呼ぶのは照れがあるがそれは慣れだ。
性格もちゃらけた姉をみるしっかりものの妹のように。
私たちはモンバーバラを離れ、モンスターと戦いながら北へ向かう。途中生まれ故郷コーミズに寄り、飼い犬のペスタと戯れたり洞窟に潜り父さんの弟子のオーリンを仲間にして…とゲームでいう第四章をリアルに体験してゆく。
私はこの物語の結末を知っている。私にとってこの旅はドラクエとしてプレイした『ゲーム』だからだ。
これから何処へ行き、誰と対面して敗れ、逃げるようにして何処へ行くのか…。
だからこそ岬の御告げ所の占い師にあなたはこれから先を視ていると指摘されたとき頷いた。マーニャはそのことに驚いていたが私は冷静であった。
「そう、分かっていた。今の私たちではバルザックに勝ち目のないこと…ううん何でもな
622 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 01:50:49 ID:MTVm6yA+O
私たちはエンドールで暮らすことになった。世界の中心地。大都会エンドール。
ここで私たちは劇的な出逢いを果たすことになる。それがいつになるか分からない。だが待たなければならない。それまでに生活もしなければ食べていけないので仕事をしていた。
占いが好きで自分で占いをするようになってから実は恥ずかしながら占い師になりたいとは思っていた。
だが現実は厳しいもので得られる金額が微々たるものと知ると副業にするには良いがそれだけではご飯は食べれないと。
副業といっても現実世界では本業が忙しく副業にまで手が出せないのでせめて趣味でと占いをしていたのだが。
都会で人が多いからなのか、占いの腕がいいからなのか。連日お客さんは途切れなかった。
外見は違うけど中身は私。占い一本でごはんが食べれるようになり夢が叶った。仕事は大変でも好きなことをしていく苦労は辛くなかった。
エンドールで生活をして数ヶ月たったある日。その日はやって来た。絶望に打ちひしがれた顔でこの都会をさ迷う緑髪の青年。勇者と定められた者の姿を。
勇者を加え、エンドールを離れ、私たち姉妹の旅はまた始まる。旅の途中同じ光を持つ仲間たちを導く。
最後の戦士を迎える為に私た
623 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 01:54:41 ID:MTVm6yA+O
マーニャは火炎呪文メラゾーマを唱え、巨大な火炎球を進化の秘法を使い進化した巨大な敵にぶつける。
敵は開口し冷たく輝く息を吐いた。
「フバーハ!」
私はすかさず光の粒子の衣で仲間を守る。
「ありがとミネア」
マーニャがウインクした。
「進化の秘法は父さんのものよ。あんなものに悪用されてたまりますか!」
マーニャは再度メラゾーマを唱えた。
私は回復呪文ベホマを唱え、仲間の傷を全快する。回復呪文で傷を癒すのが私ならば精神的なフォローをしていたのはいつもマーニャだった。そして今日も。
以前から思っていた。この戦いが終わったらもしかしたら私、元の世界に帰還するんじゃないかって。だってこれで『ゲーム』は終わりだもの。
隣で攻撃呪文を舞うように放つマーニャ。そこにいるのはマーニャなのに、何故だろう。自分の姉ちゃんに見えてしまっていた。
「姉さん…」
「こら、これは戦いよ。ぼっとしている間もないわ!」
「姉ちゃん!」
マーニャは驚愕した顔だった。
「姉ちゃん、わたし、姉ちゃんが結婚してもずっとずっと好きだから。喧嘩しても、離れてしまっても。だって、二人っきりの姉妹だもの!」
私は何を口走っているんだろう。だけど言わずにはい
624 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 01:56:39 ID:MTVm6yA+O
『昔ドラクエに出てきたモンバーバラの姉妹っていたじゃん?あたしが姉のマーニャであんたがミネアになっているの。それで最後の敵いるじゃん。その時ミネアが姉ちゃんってあたしに話しかけるの。姉ちゃん好きだって。なんだかすんごくリアルだったんだ』
え…もしかして…。
姉ちゃんの告白に私は驚きを隠せない。
『離れてしまっても、ずっと思っている。だって、二人っきりの姉妹だもの』
姉ちゃんには、私も同じ夢を見たよとメールを打ち返した。
―――了―――
625 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:05:56 ID:GmSZKpP+0
GJだが途切れてるぞ。
626 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:08:44 ID:MTVm6yA+O
そうなんです!ごめんなさい。文字数も確認したんですけど。もう一回最初から投下させてください!
627 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:11:36 ID:MTVm6yA+O
腰まで届く桔梗色の髪をブラシでとかして艶をだす。軽く化粧を施し頭からシルクのローブを身に纏う。セットしたあと手に気品ある緋色の天鵞絨に包んだ水晶玉を携える。
ドレッサーの鏡に写る自分の姿はまるで占い師の様な風貌。否、今の私は占い師だ。
目が覚めた時、知らぬ場所にいた。ココハドコワタシハダレと軽く混乱していると丁度よくドアから現れたのが…。
ちらり、とベッドでだらしない格好で寝ている踊り子マーニャを見た。
踊り子マーニャとくれば私はマーニャの妹、占い師ミネア。そう、何故か私はミネアになっていたのである。もうかれこれ一ヶ月たつと思う。
私には年子の姉がいる。背丈も顔もそっくりだが姉は運動好きで明るくムードメーカー。対する私は占いが好きな大人しいタイプ。
丁度小学生高学年に流行っていたドラクエ4のキャラクター、モンバーバラの姉妹の設定が似ていると良く言われた。
ドラクエ4。そう言われたからプレイした。姉ちゃんは見ているだけだった。確かに似てるねって二人で話していたことがある。
顔は似ていても性格は真逆だから喧嘩やぶつかり合いも多かったし、姉ちゃんなんていなければいいなんて何度も考えた。
そんな私たちも歳をとるにつ
628 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:12:11 ID:MTVm6yA+O
腰まで届く桔梗色の髪をブラシでとかして艶をだす。軽く化粧を施し頭からシルクのローブを身に纏う。セットしたあと手に気品ある緋色の天鵞絨に包んだ水晶玉を携える。
ドレッサーの鏡に写る自分の姿はまるで占い師の様な風貌。否、今の私は占い師だ。
目が覚めた時、知らぬ場所にいた。ココハドコワタシハダレと軽く混乱していると丁度よくドアから現れたのが…。
ちらり、とベッドでだらしない格好で寝ている踊り子マーニャを見た。
踊り子マーニャとくれば私はマーニャの妹、占い師ミネア。そう、何故か私はミネアになっていたのである。もうかれこれ一ヶ月たつと思う。
私には年子の姉がいる。背丈も顔もそっくりだが姉は運動好きで明るくムードメーカー。対する私は占いが好きな大人しいタイプ。
丁度小学生高学年に流行っていたドラクエ4のキャラクター、モンバーバラの姉妹の設定が似ていると良く言われた。
ドラクエ4。そう言われたからプレイした。姉ちゃんは見ているだけだった。確かに似てるねって二人で話していたことがある。
顔は似ていても性格は真逆だから喧嘩やぶつかり合いも多かったし、姉ちゃんなんていなければいいなんて何度も考えた。
629 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:14:30 ID:MTVm6yA+O
私は地元の専門学校を卒業してから地元で就職。姉ちゃんは都会の大学へ行き卒業してそのまま就職した。
仕事は忙しい、だけどやり甲斐はあると以前電話で話してた。
大型連休がとれても遊ぶことがメインになってるようで、地元には一年に数回程度にしか帰郷することしかなくなった。海外旅行に行った時はお土産だけは荷物で送ってくれてた。
仕事も遊びも楽しんでやる姉ちゃん。最後にうちに帰ってきたのは結婚すると将来の旦那さんを連れてきた時かな。もう随分前だ。
小さい頃から一緒に過ごしていた姉ちゃんがいつの間にか私の知らない他人の妻になり、やがてそのうち母になるなんて身内としては複雑だけれど…。…姉ちゃん最近連絡を寄越さないな。きっとまた忙しくしているんだろう。
あ、もう仕事の時間だ。行かなければ。私は寝ているマーニャを起こさないようにこの宿屋兼踊り子の寝所から離れた。
630 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:17:59 ID:MTVm6yA+O
私は小さいながらも街の隅に店を構えていた。お店っていってもテントだけど。
野外でやってもいいけど天候に左右されるのが難点だったので。
テント内の光源は数本の蝋燭だけにしている。お香も焚いて雰囲気作り。
お客さんとは基本的には一対一。カップルを相手することもある。
テントの外には既にお客さんは何名か待機中。準備が整い次第お客さんを招き入れた。
私は小さい頃から占いが好きで占星術、風水、血液と様々な占いを勉強してきたけどタロットは一番得意だ。姉ちゃんは占いは見向きもしなかったけど。
幸いドラクエ世界のタロットは現実世界と一緒だから占い方法も一緒だ。
私はお客さんに悩みを聞いてからタロットをシャッフル、その悩みに似合った展開をし、ガードから意味を読み取る。それを悪い内容ならやんわりと、良いようならそのまま伝える。
もう一つの占い、水晶占いも人気。これは「ミネア」になってから見えるようになったんだよね。水晶から未来が見えるなんて嘘臭かったけど実際見えるんだからびっくりだ。
透視ではないから部分的なものを伝えるだけどね。
今が変われば未来が変わる。自分が変われば未来が変わる。これは私の持論。
631 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:19:58 ID:MTVm6yA+O
占いはあくまでもより良い未来への手助けに過ぎない。それに頼り過ぎたり占い内容を丸のにしてしまったりしてしまうのは違うと思っている。
占いの捉え方は人それぞれだからそれはその人に任せる。
そうこう考えているうちにお客さんはひっきりなしに入る。いつもの倍かな?それは今日でお店を終うからだと思うんだ。別れを惜しむ人も多い。だけど明日から父さんの仇討ちにマーニャと旅立つんだ…。
翌朝私とマーニャはモンバーバラの街を離れた。
父親の仇討ちの旅に…。
私はミネアではないが外見はミネアなのでマーニャは普段変わりなく話しかけてくる。どうやらバレていないようだ。まさか外見がミネアで中身は別人だなんて理解していないとは思うが。
私はゲーム内のミネアの言葉使いを思い出しながら言葉を選ぶ。姉ちゃんと呼んできた私に姉さんと呼ぶのは照れがあるがそれは慣れだ。
性格もちゃらけた姉をみるしっかりものの妹のように。
私たちはモンバーバラを離れ、モンスターと戦いながら北へ向かう。途中生まれ故郷コーミズに寄り、飼い犬のペスタと戯れたり洞窟に潜り父さんの弟子のオーリンを仲間にして…とゲームでいう第四章をリアルに体験してゆく。
632 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:21:18 ID:MTVm6yA+O
私はこの物語の結末を知っている。私にとってこの旅はドラクエとしてプレイした『ゲーム』だからだ。
これから何処へ行き、誰と対面して敗れ、逃げるようにして何処へ行くのか…。
だからこそ岬の御告げ所の占い師にあなたはこれから先を視ていると指摘されたとき頷いた。マーニャはそのことに驚いていたが私は冷静であった。
「そう、分かっていた。今の私たちではバルザックに勝ち目のないこと…ううん何でもないの。姉さん」
そして、本懐を遂げられないまま私たちは大陸を離れる―――。
633 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:23:51 ID:MTVm6yA+O
私たちはエンドールで暮らすことになった。世界の中心地。大都会エンドール。
ここで私たちは劇的な出逢いを果たすことになる。それがいつになるか分からない。だが待たなければならない。それまでに生活もしなければ食べていけないので仕事をしていた。
占いが好きで自分で占いをするようになってから実は恥ずかしながら占い師になりたいとは思っていた。
だが現実は厳しいもので得られる金額が微々たるものと知ると副業にするには良いがそれだけではご飯は食べれないと。
副業といっても現実世界では本業が忙しく副業にまで手が出せないのでせめて趣味でと占いをしていたのだが。
都会で人が多いからなのか、占いの腕がいいからなのか。連日お客は途切れなかった。
外見は違うけど中身は私。占い一本でごはんが食べれるようになり夢が叶った。仕事は大変でも好きなことをしていく苦労は辛くなかった。
エンドールで生活をして数ヶ月たったある日。その日はやって来た。絶望に打ちひしがれた顔でこの都会をさ迷う緑髪の青年。勇者と定められた者の姿を。
634 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:25:12 ID:MTVm6yA+O
勇者を加え、エンドールを離れ、私たち姉妹の旅はまた始まる。旅の途中同じ光を持つ仲間たちを導く。
最後の戦士を迎える為に私たちは大陸を渡る。故郷の地。再度踏むことが出来た。
二人では不可能だったことが仲間を得てようやく叶った。本壊を遂げられた。仲間たちは我が身のように喜んでくれた。今度は私たちが皆にお返しをしてゆく。
旅の仲間は面白い人たちばかりだった。時には深い話しもした。深い話しが出来るほど仲間たちの絆は深まっていた。
だがやはりマーニャ以上にはなれない。
それは血の繋がった二人っきりの姉妹だからなのか。旅の仲間たち以上に長い時間を過ごしてきたからなのか。
ミネア一人では仇討ちを決意しなかった。性格上泣き寝入りしていただろう。姉が、マーニャがいたから、行動に移すことが出来た。
それはきっと―――マーニャも同じだっただろう。
苦労した。だけどそれ以上に笑顔で旅が出来た。あんな散々に姉のことを愚痴っていたけどそれは愛嬌。他者がマーニャのことを悪く言ったらミネアは怒り狂っているかもしれない。
私は…ミネアは…悔しいけれど…マーニャが大好きだった。
それは…真逆の性格をした私の姉に対する感情と同じだった。
635 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:28:58 ID:MTVm6yA+O
旅を続け、大いなる運命に導かれ、私たちは最後の戦いに挑む。
マーニャは火炎呪文メラゾーマを唱え、巨大な火炎球を進化の秘法を使い進化した巨大な敵にぶつける。
敵は開口し冷たく輝く息を吐いた。
「フバーハ!」
私はすかさず光の粒子の衣で仲間を守る。
「ありがとミネア」
マーニャがウインクした。
「進化の秘法は父さんのものよ。あんなものに悪用されてたまりますか!」
マーニャは再度メラゾーマを唱えた。
私は回復呪文ベホマを唱え、仲間の傷を全快する。回復呪文で傷を癒すのが私ならば精神的なフォローをしていたのはいつもマーニャだった。そして今日も。
以前から思っていた。この戦いが終わったらもしかしたら私、元の世界に帰還するんじゃないかって。だってこれで『ゲーム』は終わりだもの。
隣で攻撃呪文を舞うように放つマーニャ。そこにいるのはマーニャなのに、何故だろう。自分の姉ちゃんに見えてしまっていた。
「姉さん…」
「こら、これは戦いよ。ぼっとしている間もないわ!」
「姉ちゃん!」
マーニャは驚愕した顔だった。
「姉ちゃん、わたし、姉ちゃんが結婚してもずっとずっと好きだから。喧嘩しても、離れてしまっても。だって、二人っきりの姉妹だもの!」
636 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:30:18 ID:MTVm6yA+O
私は何を口走っているんだろう。だけど言わずにはいられなかった。
マーニャは私を見つめ…そしていつものように笑った。
「あたしもミネアがいて良かったよ。ありがとう。結婚して離れてもあたしたちはずっと一緒よ」
まだ感傷に浸るのは早いわ。さぁ、片付けちゃいましょとマーニャは再度メラゾーマの呪文を紡ぎ出した。
私たちは敵を倒した。魔族と人間の戦いに人間が勝った。
父エドガンが発見した進化の秘法は私たち姉妹が奪回し封印した。
マーニャはまたモンバーバラのステージを踏んだ。私はまた占いを始めようとしていた。そこで…記憶は途切れた。
…私はどうやら夢を見ていたようである。現実と間違えてしまいそうな長い長い夢を。
部屋の中は真っ暗。今日が休みだとはいえ一日潰して夜まで寝込んでいたようである。身体を伸ばすと間接がパキポキ乾いた音を立てた。
携帯をチェックする。メールが届いていた。姉ちゃんからだ。久々だ。
637 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 02:33:24 ID:MTVm6yA+O
『おひさー。元気でいる?あたしは元気だよっ。別に用事はないんだけどさ、夢にあんたが出てきたんだ。だからどうしているかなって』
更に続く。
『昔ドラクエに出てきたモンバーバラの姉妹っていたじゃん?あたしが姉のマーニャであんたがミネアになっているの。それで最後の敵いるじゃん。その時ミネアが姉ちゃんってあたしに話しかけるの。姉ちゃん好きだって。なんだかすんごくリアルだったんだ』
え…もしかして…。
姉ちゃんの告白に私は驚きを隠せない。
『離れてしまっても、ずっと思っている。だって、二人っきりの姉妹だもの』
姉ちゃんには、私も同じ夢を見たよとメールを打ち返した。
―――了―――
投下しました。連投や文章が途切れてしまい散々でした。ごめんなさい。今度は気を付けます。読んでくれた人ありがとう。
638 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 06:44:30 ID:kjslZuu70
乙です。
次スレ立ててきます。
639 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/12/28(金) 06:52:59 ID:kjslZuu70
立てました。
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら12泊目
ttp://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1198792331/l50
640 :
作り合わされし世界・外伝
◆8fpmfOs/7w
:2007/12/28(金) 06:57:11 ID:kjslZuu70
・タロウの犬活躍
「ジロウ聞いて。僕の大冒険した物語を!」
「冒険なんてどこでしたのタロウお兄ちゃん。」
「不思議な世界だよ。僕はそこでお嫁さんまで貰ったんだ!」
「わー! お兄ちゃん現地妻ゲットだね!」
「ジロウ、どこでそんな言葉覚えたの?」
「それでそれで、その世界でどうしたの?」
「いろんな人や犬に助けられていろんなところを冒険したよ。」
「知らない人ばっかりで寂しかった?」
「はじめはね。でもみんな親切だったよ。それにね。」
「それに?」
「しなのさんとヨウイチさんっていうこっちの世界の人もいたんだ。」
「お兄ちゃんと同じようにその世界に行っちゃったんだね。」
「そうみたい。それでね、僕はその世界で石版を手に入れたんだ。」
「石版?」
「うん。それでおうちに帰れるっていう話だったからね。」
「ふーん。不思議だねー。」
「でもね。石版で帰れるっていうのはサクヤって人の嘘だったんだ。」
「えー、悪い奴だね。」
「しかもね、石版は魔王を復活させるためのものだったんだ!」
「怖いよぉ! でも、魔王って何?」
「凄く悪い奴だよ。僕が吠えたおかげで復活を阻止したんだぞ。えっへん!」
「お兄ちゃんすごいねー。」
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