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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら10泊目

612 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 13:54:50 ID:qNl9ubYi0

「さ、さむい……」
「……」

ヨウイチは自分の甘さを後悔していました。
森を抜け雪の積もる山を登り始めた最初はよかったのです。
足をとられ汗をかき、暑いとさえ感じていました。
ですが体が慣れてくるとそれはもう寒くてたまりません。
毛布で体を包みますが多少マシなだけでした。
ドラオはというと、寒さで凍ってしまったかのように口をつぐみ道具袋の中へ身を隠しています。
歩みは極端に遅くなり、きつくなる山の斜面はなかなか思うように進ませてはくれません。

「おい。 す、少しはしゃべって体を温めたほうがいいぞ…」
「……」
「…ったく。 しょうがないやつだな…」

風もびゅうびゅう吹き、細かい雪の粉が舞い、視界を遮ります。
時々やってくる強風に体が押され倒れそうになりますがなんとか堪えます。
そしてドラオには言いませんでしたが、この時点で方向を見失っていました。
雪に覆われどこに路があるのかぜんぜんわからなかったのです。
後ろを見てもどこを見渡しても飛び回る粉雪に隠されてしまいます。

「はぁ… 俺はなんで… こんなことしてるんだろ…」

山に入って丸二日、ほとんど食べず眠らずで進んできましたが一向に町は見えません。
夜だって早く町へ到着するために這いながら進んだのです。
ですがあまりの寒さと疲労で頭はもうろうと、あんまりよく考えられなくなってしまいます。

 もう、いいじゃないか。
ここまで頑張ったんだ。
ここで眠って目が覚めれば、きっと元の世界だ。
これは夢だ、夢に違いないんだ。

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