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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/28(日) 12:25:12 ID:AaT+g6Z00
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言、オリジナル何でも歓迎です。

・スレの性質上、レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1142080254/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
tp://www.geocities.jp/if_dq/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」避難所
tp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi

644 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:25:20 ID:rz9ifTto0
どうもどうも

>>582>>584>>599
サンクスです!
コテ通り、暇が無いと書けないのは悪いなぁと最近思う…

>>585
そうかな?自分的にはありがちだと言われるかと思ってましたが
前も何か魔王になっちゃうっていう作品があったような…

>>587
誰もがあぁいう事を感じる時があるんじゃないかな?
とだけ言っておきますかw


ではでは>>580の続きをどうぞ

645 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:27:00 ID:rz9ifTto0
――――――――――――――――――――9――――――――――――――――――――

  「プレナさん…」
  「あ、真理奈ちゃん。起きたの?」

その声は周りの雑音にかき消されるくらいに小さいものだった。
が、プレナはそれに気付き、自分のテーブルに来るように手招きする。
プレナが置き手紙をして、真理奈を呼び出したのだ。
真理奈が席に着くと、飲み物が運ばれてきた。

  「それにしても無事で良かったわ」
  「こっちも、大丈夫だったんですね」
  「パトリスさんがエジンベアの人達を足止めしてくれたの。
   私も怪我しちゃったけど、フィリアちゃんが治してくれたし。
   ジュード君は私の事を守ろうとしてくれたみたい…後から聞いたんだけどね」
  「ふ~ん、アイツが」
  「感謝しなくちゃね。
   ……そっちはどうだったのか、聞かない方がいいのかな?」

真理奈が黙ってしまう事で、他のテーブルの音が耳に入ってくる。
チラリとプレナを見ると、プレナは優しい顔で真理奈を待ってくれていた。

  「私…会ったんです」
  「誰に?」
  「魔王」
  「ま、おう…?」
  「ゾーマだって。モンスター連れてて…王様殺しちゃった…」
  「そう……怖かったね」
  「違うんです! そんな事じゃなくて…」
  「じゃなくて?」
  「その人…わ、私の世界の人だった」
  「――!!」

646 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:29:38 ID:rz9ifTto0
プレナは絶句する。
最近モンスターの活動が再び活発になっている事。
そして魔王が復活したのだという噂も聞いた事がある。
この世界が平和になった後も、モンスターは消滅する事は無かった。
プレナはその中から力を持ったものが現れただけだと思っていた。
それが魔王と呼ばれるようになっただけだと。
しかし真理奈の言った事が本当なら……

  「今まで…私は夢を見ているんだって思ってたのかもしれない。
   だって突然違う世界で生きることになったなんて信じられます?
   ほら、夢の中で冒険したり、何か大変な事に巻き込まれちゃう事あるでしょ?
   そういう時って何だが知らないけど自分は一生懸命生きようとするでしょ?
   あれと同じ感覚かなぁ…
   人が怪物と同じところで生きている世界。
   その中でボスを倒せば私は私の世界に帰れるんだと思ってた。
   夢から覚めれると思ってた。
   けど……そのボスが私の世界の人だったなんて、信じられなくて…
   でもそれ以上に……何で私なの、って……やっぱり思っちゃいます」

うつむいてしまう真理奈。
普段は明るく振舞っていても、その中では自分の問題にしっかりと向き合っているのだ。
けれど普段の性格から、それを他人に話すという事があまり出来ない。
それに、そんな相談は他人にとっては迷惑だという思いもあるのかもしれない。
当人を心配する人にとっては、むしろ話してくれた方が嬉しいのだが…

  「…真理奈ちゃんはさ、勇者ロトの話、聞いた事ある?」
  「詳しくは、知りません」
  「私ね、勇者と一緒に旅した事あるのよ」
  「え?!」
  「凄いでしょ?」
少し自慢するかのようにプレナは笑う。


647 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:32:15 ID:rz9ifTto0
  「アリアハンで勇者に誘われた時、私はまだ見習いの商人だったわ。
   知識を少し齧っただけの初心者。

   それなのにいきなり『ここに町を造ってほしい』って頼まれたのよ。
   普通に考えれば、無理な話だわ。
   正直不安だったし。

   けどその時は『やってやる!!』って気持ちの方が大きかったの。
   このチャンスを逃す手は無いと思って頑張った。

   その甲斐もあってか、町はどんどんと発展していった。
   どんどんと新しい建物が建って、新商品の入荷、そしてたくさんの人が移住して来たわ。

   凄く、嬉しかった。

   勇者も旅の合間に見に来てくれて、褒めてくれたし。


   けれど、町が大きくなると同時に、私の心にも慢心が広がっていったのね。
   ある日私は町人のリコールで牢屋に入れられてしまったの。
   当たり前よね。毎日毎日何時間も働かせちゃったし……
   町の事ばかり考えて、そこに住む人の事は考えてなかったんだわ。

   勇者にその事を怒られちゃった。
   その倍くらい励ましてくれたんだけどね。
   私は反省したわ。

   それからは人の気持ちを第一に考えるようになった」

648 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:33:48 ID:rz9ifTto0
  「でもそんな私がそれ以上に知りたかったのは、勇者の心の中。
   だって私が立ち直れたのは勇者のおかげなんだもん。
   それである時、聞いたの。

   『勇者はどうして世界を救おうとしてるの?』って。

   もう十分だと思ったの。
   その頃の勇者はバラモスを倒していたんだから。
   この世界はいったん平和になったわ。

   でも勇者はまだ行かなくちゃいけないところがあるって言ってた。

   だから…私はすがりついて泣いたわ。
   『もう旅は忘れて、世界の事なんか忘れて、この町で一緒に暮らそう?』って。
   そしたら勇者は何て言ったと思う?
   何も言わなかったわ。
   ただ笑って…『またね』 だってさ。


   私、今でもずっと考えてる。
   世界を救わないといけない人があの勇者だった理由なんて無いって。
   でも勇者は世界を救ったわ。
   そうしたのは、大切な人を守りたいって思ったからなんじゃないかって私は思う。
   彼の隣にはいつも、幸せそうにしている人がいたから…
   きっとその気持ちを貫く事と、世界を救うって事が同じ意味だっただけなんだって思う。


   彼はそれきり姿を現さなかったけど、きっとその人と幸せに過ごしてるんだわ。
   でも案外ひょっこり現れるんじゃないかって思ってる。
   だって勇者の事を思っている人がこの世界にはいっぱいいるんですもの。
   もちろん私もその中の一人」

649 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:35:39 ID:rz9ifTto0
  「これで勇者ロトの話はおしまい」
  「私…私、能登真理奈って言うんです」
  「のと…? そっか。これは偶然じゃないのかも」
  「でも笑えないギャグですよ」
  「そうだねw」

結局笑っておいて、プレナはキレイな色をしたお酒を口に運ぶ。

  「でも大丈夫よ真理奈ちゃん。
   真理奈ちゃんが自分の気持ちを大切にしていれば、いつかきっとあなたの世界に帰れるわ。
   だって勇者がいつも見守っているんですもの。
   これ、何のマークだか知ってる?」

プレナが真理奈の胸を指す。
アリアハンの宿屋の女将が勝手に施した刺繍。

  「それ、勇者があの後装備していた鎧の紋章なのよ。
   今では伝説の武具として有名なんだけど。
   だからこれを付けていればいつでも勇者に会えるわ」
  「勇者…ロト…」

真理奈がドラクエ世界に来た当初から付きまとっていたその名前。
今初めてそれに何だか親近感を感じた。

真理奈は決して勇者ではない。
けれど、勇者のようになれるかもしれない。
そう、それこそルビスの望むように、世界を救う事が……

650 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:41:12 ID:rz9ifTto0
商人の町に音楽が流れる。演奏しているのはスー民族。
商人の町との交流があるとは言え、未だ原始的な生活を守っている彼らの音楽は
真理奈が聴くような曲調とは違い、基本的に単調なリズムの繰り返しである。

彼らの音楽はルビス様への感謝の証なのだ。
"退屈な日々の繰り返しさえもルビス様のおかげとして喜び合おうじゃないか"
今流れているのはそういう曲である。

  「ジュードっ! 飲んでる~?」

後ろから肩を叩かれ振り返ると、コップを片手にした真理奈が立っていた。
頭にはなぜかモヒカンの毛が…
広場の中央で盛大に焚かれている炎の灯りが真理奈の頬に当たり、微かに揺れている。
顔が赤く見えるのはそのせいだろうか。
……いや、その頭で居られても全然ロマンチックじゃないな。

  「……。どこ行ってたんだ?」

真理奈が横に座るのを待ってから聞いてみる。

  「ん? え~っと、寝てたぁ。んでさっき起きたトコロ」
  「ふ~ん」

ジュードは真理奈がさらわれた事を既に聞かされていた。
けれどそれを聞いたのは、パトリスがエジンベアに真理奈を迎えに行った後だった。
ジュードは刺されたプレナの方に付っきりだからだ。
フィリアがプレナの治療をしてくれたので、命にかかわる事態にはならなかったが。
そんな訳で、すぐに真理奈のところへ行かなかったのが引っかかったのかもしれない。
だからとっさに知っている事を聞いてしまった。
まぁ真理奈にはそこまで伝わってないようだが。

  「聞いたよ~プレナさんの為に戦って兵士長やっつけたんだって?」

651 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:43:18 ID:rz9ifTto0
ジュードは酒に口をつける。あんまり旨いと思わないのはまだ若い証拠だろうか。

  「照れんなって~! あっ、もしかしてプレナさんの事好きになっちゃった?!」
  「ちげーよ。あんな人に会ったの初めてだったからさ」
  「ムフフw そっかそっか! プレナさんキレイだもんね~」
  「…ってかその頭なんだよ!!」
  「えへへ、面白いでしょ? 何か貰ったの~ってかやっとツッコんだね! ずっと待ってたのに~」
  「外せ! こっちが恥ずかしい!」
  「あ、話変えようとしてもダメだよ~正直に言いなさい!」
  「だから~――」

言い合いが収まるまで少々お待ち下さい

………… ……… …… …
夜が深まるにつれ、広場の火の灯りが徐々に落ちていった。

  「私さ」
  「ん?」

真理奈は膝の上でモヒカンの毛を撫でている。

  「魔王に会ったよ」
  「は?」

そんなに気に入ったんだろうか。

  「私の世界の人だった」
  「え? お前それって…」

まぁその行為に意味なんて無いんだろうけどさ。

  「うん。でも全然敵わなかったんだー」

652 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:45:48 ID:rz9ifTto0
  「そっか」
  「だからさ…」
  「うん?」
  「連合作るの、最後まで手伝っても、いいかな?」

ジュードは一瞬分からない。
そんな事でケンカしたのも、大分昔のように思えた。
でも真理奈はまだ覚えていたようだ。

  「…変なヤツ」
  「なに~? 人がせっかくお願いしてるのにー!!」
  「手伝いとかお願いじゃねーんだよ」
  「え?」
  「俺らのリーダーはお前だ。アリアハンの王様も言ってたろ?」
  「そうだっけ?」
  「ったく…… だからさ、お前がやるんだったら、やっていいんだよ」
  「…そっか」

真理奈が嬉しそうな顔をする。

  「じゃあ改めてヨロシクって事で」

差し出されたコップにジュードは自分のを合わせる。
カツンっと音が鳴った。

  「よ~し、じゃあ何か飲み物貰って来て!」
  「は? 俺が?」
  「そう。リーダー命令だよ~」
  「てめぇ!!」
  「キャーww」

                            ~Tower of Babel 完~

653 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/09/15(金) 14:50:54 ID:rz9ifTto0
今日はここまで。長かった…

さてさてステータスを(適当に)考えたので載せますか

能登 真理奈

武道家
レベル/ 17
ちから/ 82
素早さ/ 79
体力/ 60
賢さ/ 15
運の良さ/ 58
最大HP/ 163
最大MP/ 0

はい、バカですねw
真理奈が元の世界に帰れる時が来たなら、賢さの種をどっさりと持って帰らせる事にしましょう

あ、スリーサイズとか考えようかな

654 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/15(金) 20:34:11 ID:ILRD7N3Y0
乙っす!
頭が悪いのは愛嬌でいいんじゃね?
今のフツーの女子高生って感じでさ。

主人公同士のバトルロイヤルも案外面白いかもな。

655 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/15(金) 22:58:01 ID:NxbxRrQbO
ジュードがちょっとツンが入っているなw

656 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/16(土) 16:48:58 ID:Cx86TAvm0
真理奈たんヵヮィィョ真理奈たん


657 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/18(月) 04:51:07 ID:yV0R15TC0
保守

658 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/19(火) 00:31:17 ID:MklJZHdr0



659 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/20(水) 02:17:23 ID:K8Tn7e0X0
保守


660 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/20(水) 08:04:11 ID:v44Us8JE0
それにしても元祖>>1の書記さんはどうしているのだろうか?

661 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/09/21(木) 09:35:03 ID:OGbR6aMw0
さて!投下しますかね!!
>>634の続きだす!!

夜明け前に目が覚めた。
流石にサマル達は疲れてぐっすりと眠っている。
眠れそうもないしこっそり抜け出して散歩でもする事にした。

夜明け前って言う事もあって、人が全くっていない言ってもいい。
漁に出る準備もしている者もいればお店の開店準備している者もいる。

現実世界では俺も仕事に行く準備しているんだよな…

実際問題俺はどうなるのかなって思ったりもするが今はもょもと達と一緒にいたいていう気持ちが強いのだけどな。

浜辺に歩いていると水鳥が20匹位飛んでいて美しく感じられた。

そーいえばガキの頃、田舎に帰った時今は亡きじーちゃんと一緒に朝散歩したよな。すごく懐かしく感じられた。


正体を隠すためとはいえ使い慣れない標準語を喋るのは関西人にとってかなり苦痛やがな。気軽に話したいで。ホンマに。


しばらく海を眺めていると誰かが声をかけてきた。「おはよう。」


こんな朝早く誰が起きているんだ?――――――――――――――――――ゼシカだった。




662 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/09/21(木) 09:38:02 ID:OGbR6aMw0
  タケ「おはよう。早起きなんだな。」
ゼシカ「もょもとも早いじゃない。眠れなかったの?」

  タケ「まあな…今更言うのもアレだけど改めて礼を言わせてもらうよ。ありがとう。ゼシカ。」

ゼシカ「別にいいのよ。当たり前の事しただけじゃない。」
  タケ「そっか…ゼシカに聞きたい事があるんだけどいいか?」
ゼシカ「どうしたの?」


  タケ「どうやってこの世界に来たんだ?」


この点俺も気になっていた。俺の場合は仕事から帰って自分の布団に寝て翌朝、もょもとの体内に入っていた感じだった。

ゼシカ「そうね…私の場合はみんなで宿屋で寝たんだけど夢を見たの。」
  タケ「夢?」
ゼシカ「そう。内容は思い出せないけど誰かが呼んで吸い込まれる感じがして気がついたらルプガナの酒場にいたのよ。」
  タケ「そ、それはまたありえねー内容だな…」

ゼシカ「もちろんお店の人に泥棒扱いされたわよ。何とか説得して働かせてもらう事になったんだけどね。」

  タケ「うむむ…しかしククールやヤンガス達はどうだったのだろうな?」
ゼシカ「わからないわ…反対に聞くけどもょもとがヤンガス達に会った時彼らの様子はどうだった?」

  タケ「そうだな。ククールと会った時はこの世界に来たばっかりって感じだった。ヤンガス達は2日間くらい彷徨っていた感じだな。」
ゼシカ「ふうん…」

  タケ「案外時間のズレがあるみたいだな。エイトがまだこの世界に来ていないって言う可能性はある。」
ゼシカ「その仮説も結構当たりかもね…」



663 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/09/21(木) 09:40:50 ID:OGbR6aMw0
  タケ「話は変わるがドルマゲスってどんな奴なんだ?」
ゼシカ「ドルマゲスですって!?貴方が何故知っているの!!」
  タケ「そうあせんなって。経緯を話すよ。」

俺はゼシカにドルマゲスと戦った時の事を話した。

ゼシカ「はっきり言って自殺行為ね。一人っで戦って良く生き延びれたと思うわ。」
  タケ「やっぱり?」
ゼシカ「ええ。私もドルマゲスと初めて対峙した時全く動けなかったのよ。すごく悔しかった…」
  タケ「ある意味俺が生き延びれたのは奇跡的なんだな…」

何とかしたい………このままじゃこれから先、俺がもょもとの足を引っ張るだけ。咄嗟にゼシカに頼み込んだ。

  タケ「なぁ、ゼシカ。」
ゼシカ「どうしたの?」

 タケ「俺に呪文を教えてくれないか?頼む!」

ゼシカ「何か事情がありそうね…」
  タケ「呪文が使えたら戦術も大きく変わるし、それにドルマゲスにやられた無様な自分自身が嫌だからな。」
ゼシカ「なるほど…もょもとは客観的な意見として呪文は使えそうなの?」
  タケ「ある老人に言われたのだが俺に呪文を習得できる資質が無いらしい。その代わり不思議な力があるって言われたんだがな。」
ゼシカ「そうなんだ。しかしその不思議な力に実感性はある?」


  タケ「うーん…ごめん、なんとも言えないな。多分無いと思う。」


俺は咄嗟に嘘をついた。流石にこの状態を気を許して話す訳にはいかなかった。


664 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/09/21(木) 09:42:27 ID:OGbR6aMw0
 
ゼシカ「もょもと、ちょっと私の手を握ってくれないかしら?」
  タケ「ど、どうしたんだよ!?急に?」

流石に俺もドキッとした。

ゼシカ「な~に考えているのよ。魔力があるかどうか調べるだけよ。」
  タケ「そ、そうか。」
ゼシカ「かわいい所あるんだね。もょもと。」
  タケ「うるせー!」

流石にいきなりは恋人フラグは立たないか…

ゼシカ「う~ん。確かに判別できない不思議な力はあるわね。微妙ながら魔力が感じられるわ。」
  タケ「マ、マジか!?俺にもついに呪文が使えるのか!?」
ゼシカ「多分実戦で呪文に揉まれている内に資質が開花したかもね。
     しかし治療呪文や補助呪文などの色んな種類があるけど初期呪文の中でも使える呪文が限られるわね。」
  タケ「まじっすか………」
ゼシカ「超初級呪文のメラぐらいね。使える可能性はあるのは。」
  タケ「まぁ、無いよりはましか。しかしメラってそんなに簡単なのか?」
ゼシカ「ええ、私もメラから覚えたわ。一番使いやすいと思うの。」
  タケ「ふむふむ、さっそく呪文を使いたいのだがどうすればいい?」

ゼシカ「そうね。まず私が魔力を引き出してあげるから後は回数をこなすことね。」
  タケ「なんだかワクワクしてきたなぁ。」
ゼシカ「じゃあ始めるわよ。」

ゼシカが俺の手を握り何かを呟き始めた。ゼシカの体中から光が輝き出したのだ。おおおおッッッッッ!!
強風で体が浮き上がるような感じだ。これが呪文の儀式ってやつか…?



665 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/09/21(木) 09:43:48 ID:OGbR6aMw0
ゼシカ「ふう、終わったわよ。これで使えるようになったわね。」
  タケ「おっしゃあ!」
ゼシカ「他人の魔力を引き出すことが出来る行為って上級魔術師の証でもあるのよ。上手くいって良かったわ。」
  タケ「ど、どういう事だ?」

ゼシカ「中級魔術師が同じ行為をすると魔力を引出す足す対象を傷つけてしまう事もあるの。」

  タケ「極端に例えるとゼシカのメラミが俺に直撃する可能性もあったわけか!?」
ゼシカ「そんなもんね。」

  タケ「スゲー危険な状態かよ!ある意味ギャンブルだな!オイ!かなりギャンブルだったんだな。」

ゼシカ「結構スリルがあったわよ。内心ヒヤヒヤしていたけど。まぁ結果的にはOKね!」

大胆さはムーン以上だな。けどこれで俺自身攻撃のバリエーションが増えたわけだ。

ゼシカ「但し呪文を使うのに制限があるわよ。」
  タケ「えっ!?おこがましくて申し訳ないが、俺頭が悪いから分かりやすく言ってくれ。」

ゼシカ「呪文が得意不得意の相性もあるのよ。それは個人差にもよるわ。私が得意なのは火炎系のメラ系・閃熱系ギラ系呪文だけどね。」
  タケ「逆にゼシカはヒャド系の呪文は不得意なのか?」

ゼシカ「そうね。私も氷系のヒャド系は不得意だし真空系のバギ系は使えないわ。爆烈系のイオ系はそこそこ使えるって感じかな。」

  タケ「ほぼ攻撃呪文のオールラウンドだな。すげえよ…」

ゼシカ「ううん。稲妻系の呪文は使えないし稲妻系は特に限られた術者しか使えないみたい。
     全ての呪文を使える人って俗に言う『賢者』って呼ばれる人の事ね。」



666 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/09/21(木) 09:45:07 ID:OGbR6aMw0
ゼシカ「それにね、慣れてない内に呪文を多用してしまうと術者に負担が大きくなるの。」
  タケ「どういうことだ?」


ゼシカ「例えると今のもょもとが私が使える呪文メラミを使った場合、
    もょもとの体に大きな負担がかかり、最悪の場合死に至る事があるの。」


  タケ「マ、マジかよ…サマル達は呪文を多用しまっくているのは大丈夫なのか?」

ゼシカ「サマル君達の場合は魔力が強いからよ。しかし彼らもいきなり上級呪文を使ったりすると危ないわね。」

  タケ「しかし上級呪文も簡単には習得出来るとは思えないけどな。」

ゼシカ「確かに簡単には習得できないけどそれは各個人の才能が開花してで使えるようになるって感じね。」

  タケ「なるほど。今の俺には天空上の話の内容だな。」




  タケ「それにしてもゼシカはすげー詳しいな。いかにも体験談を語ってるみたいだな。」
ゼシカ「そうね。以前、危ない時にベギラゴンって言う呪文を使ったの。」
  タケ「それってベギラマより強い呪文か?」

ゼシカ「そうよ。しかし無理して使ったとたんに急に苦しくなったの。血も吐いたし。治癒呪文をかけてもらっても中々回復しなかったわね。」

  タケ「無理しすぎたら必ずツケが来るって事か…」
ゼシカ「それを防ぐためには日々特訓するしかないわよ。いいわね!?」
  タケ「わかった。」


667 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/09/21(木) 09:47:05 ID:OGbR6aMw0
ゼシカ「後1つ、気になる事があったわ。」
  タケ「どうした?」

ゼシカ「魔力を引き出している時にもょもとの後ろに男の人の影が見えたの。半透明って感じだったな。」
  タケ「それなんてオバケ?」

ゼシカ「上手くは表現出来ないけど何故かもょもとを見守っている感じだったわ。」
  タケ「そのオバケはどんな感じの特徴だった?」
ゼシカ「間違いなくこの世界や私の世界の人間ではないわね。黒髪に服装も青いズボンに、変わった靴、
     見慣れない文字?の赤色のシャツを着ていたわ。」





それは間違いなく現実世界の俺だ。じゃあ俺はもょもとの守護霊って訳なのか!?
仮にそうだとしても何で背後霊じゃなくもょもとの体内にいるんだ?ツマジマが合わないじゃねーか。訳わかんねぇ…





  タケ「案外守護霊かもしれないなそいつは。根拠は無いけどそのような感じがするよ。」

ゼシカ「無根拠なのにそんな事良く言えるわね。」

  タケ「さぁ?俺自身がそう感じているからな。他人が聞いたら納得できないけど。」

ゼシカ「うーん私はなんとも言い切れないわね。何かの暗示かもしれないし…まぁいいでしょ。もょもとがどこまで言うのなら。」



668 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/09/21(木) 09:53:20 ID:OGbR6aMw0
  タケ「ゼシカ、今日の事は内緒にしといてくれないか?」

ゼシカ「どうしたの?」

  タケ「俺がメラを完成させた時みんなにびっくりさせたいからな。格好良くバシっって決めたいモンよ!」

ゼシカ「それだけじゃないでしょ?」

  タケ「他に何か理由があるのか?」

ゼシカ「決まっているでしょ。朝から私と一緒にいたらムーンやリアに疑われるからでしょ~☆ムーンがカンカンに怒りそうね。」

  タケ「そんな事ないってば!!でも怪しまれるのは間違いないな…」

ゼシカ「そんなに悩まなくてもいいわよ。黙っておいてあげる。その代わり私もローレシアに連れて行ってもらうわ。」

  タケ「それなら良いよ。よろしく頼むぞ。ゼシカ。」

ゼシカ「こちらこそよろしくね!もょもと。」





もょもと&タケ
Lv.16
HP:112/112
MP:  0/  2
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜 
特技 共通技:チェンジ
 もょもと専用:隼斬り・魔人斬り
 タケ専用  :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御・メラ

669 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/21(木) 19:15:42 ID:pdnSobgVO
乙です。
しかし、一年以上書き込んでいる作者は4の人、総長、レッドマンの3人だけなんだよな。
ある意味凄いな。

670 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/22(金) 06:30:05 ID:ucDu0OgaO
乙デイン。

671 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/22(金) 10:11:29 ID:KORdkVGk0
しかし主人公・2・8キャラをどう上手く絡ませていくのか
見ものだな。
グダグダした展開にならないで欲しい。

672 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/22(金) 14:27:36 ID:sXq2cTisO
4の人と総長て初代スレからいるんだよな
今さらだけどここまで続くとはねぇ当時は単発ネタスレだと思ってたのにw

673 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/23(土) 12:57:32 ID:4kd0zycy0
つまらん。つまらんぞーーー

674 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/23(土) 16:32:18 ID:nYxQvsCQO
>>673
お前はじめてかここは。
力抜けよ。

675 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/24(日) 17:18:26 ID:xjXhxyp20
遅い、早く書け。

676 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/24(日) 18:22:47 ID:IpHdfPZd0
>>675の人生

677 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/25(月) 00:03:43 ID:+q/ART6RO
「心にも無い事言ってくれるじゃないの ところで俺の*を見てくれ こいつをどう思う?」

678 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/25(月) 12:31:07 ID:8W1u/3aIO
死ねばいいと思う

679 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/25(月) 16:38:20 ID:KYwXitxb0
しかしこのスレは敷居が高い気がするのは俺だけか?
メンタル的に強い奴じゃないと投下しにくいと思うのだが。

680 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/25(月) 17:28:44 ID:rmZJOot50
七スレも続いたのが奇跡だな

681 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/25(月) 18:48:30 ID:w6erd/7lO
>>679
どうして?

682 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/25(月) 18:59:15 ID:/m82jn3RO
定期的に嵐が出るし、住人も他の職人スレに比べると辛口気味だからじゃないか?

683 :679:2006/09/26(火) 09:02:25 ID:eGDesQlo0
>>679
スレの悪い雰囲気で書き続ける事を辞めた職人さんが過去にいたからなぁ。
それに新人が中々投下しにくいと思う。


684 :679:2006/09/26(火) 09:07:36 ID:eGDesQlo0
間違えた
>>681ね。

685 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/09/26(火) 09:45:33 ID:HgDvcceO0
まとめサイトのURLが変更になりました。
URLは
http://ifstory.ifdef.jp/index.html
になります。
理由は、以前使っていたFC2がどうもおかしな挙動をするためです。

まとめ作業はゆっくりになってしまいますが、ご容赦下さい。

686 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/27(水) 13:21:04 ID:pNFtGUNl0


687 : ◆ltQdejOgQI :2006/09/28(木) 14:30:49 ID:pLVaiHNY0
兵士「まずは王様に会いにゆけぱらりりゃ

俺は王様に会いに行った。

王「おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!
勇者ロトの血を引く者よ!」

王様は俺に会うなりバケツをひっくり返したように感激の涙を流した。

王「そなたの来るのを待っておったぞーっ!う、ううう。
もうね、聞いて聞いて!大変なの!この世の中!聞いて聞いて!」

王はハンカチで鼻汁をすすりつつ泣きついてきた。

王「あのね!チーン!竜王って言う悪い奴がね!チーン!
光の玉っていうね!チーン!すっごい大切なもの盗んでね!チーン!
そんでね!チーン!さらにね!チーン!ぼくの大切なローラひめまで…

「わかった、わかった」
俺は王のほとばしる鼻水にびしょ濡れになりながら言った。
「とりあえず、その汚い鼻水を全部出し切ってからしゃべりなさい。

688 : ◆ltQdejOgQI :2006/09/28(木) 14:32:44 ID:pLVaiHNY0
「ウン!わかった!」王は大きくうなずいた。
「ぼく、鼻水出し切ってからしゃべる!」

王はひとりうなずきながら王座から立ち上がり、
すううっと大きく息を吸い込むと天も割れよとばかりに
勢いよく鼻水を鼻腔から噴出しだした。

王「ブッ!チーーンブリュリュリューッズババババーーーーーーーーッッ!
ヂッ!ヂヂッ!ヂーーーーーーーーズズズーーーー
ピーーーーゴロードンガラガッシャーングバババーッグバッ!
グババッ!!ギューンギュギュギューンドロドロピシャーーーーッ
ドリュルルイドバババーーーーーーーーーーッビビビビーンブリュァーーーーーーーーッ
シュゴーーーーーーゴゴゴッ!ゴッ!ドベッ!ズビズバビビビビョ!
ブビョ!ドバババブーゴブゴゴゴゴ!
・…ゴゴッ!ゴッッ!!!!バタン」
兵士A「王!
突然王が倒れ、後頭部をしたたか床に打ちつけた。
兵士B「し、死んでる…
兵士C「鼻汁を出しすぎたんだ…

その日ラダトームでは盛大な葬式が行われた。


689 : ◆ltQdejOgQI :2006/09/28(木) 15:18:40 ID:pLVaiHNY0
※葬式の間にて

ラダトーム兵「ウ、ウウ…王…
城の門番「この大変な時期に何で!どうして!
女性「せめて最期にローラ姫に会わせてあげたかった…
道具屋の前の青年「おいたわしや。おいたわしや。
武器と鎧の店の前の女性「ヒーン!
老人「おお!神よ!何ゆえこのような苦しみを!
老婆「終わりじゃ。もうこの国は終わりじゃ。

国民の嗚咽と絶望の声が教会に響き渡る。
と、その時。

兵士A「皆!聞いてくれ!」

教会の祭壇に、あのとき部屋にいた兵士Aが飛び出した。

兵士A「王に先立たれ、わが国の行く末を案じる者もいるだろうが、
まずは事の真相を知って欲しい。
あのとき、王が亡くなられたとき、
王はそこにいる1人の若者と謁見中であった。」

兵士Aが指差す方に皆が一斉に注目する。俺だった。


690 : ◆ltQdejOgQI :2006/09/28(木) 15:20:48 ID:pLVaiHNY0
兵士A「俺は聞いたぞ。そいつが王に『鼻水を出し切れ』というのを。」
兵士B「そうだ。俺も聞いたぞ。」
兵士C「王は『鼻水を出し切ったら死ぬ病』におかされていたというのに。」

途端に批難罵倒の声が俺に対して浴びせ掛けられる。

女性「何て酷いことを!
武器屋のおやじ「それでも人か!
老人「鬼じゃ!悪魔じゃ!鬼畜じゃ!
道具やの主人「お前が王を殺したんだ!

(ワーワー、ワーワー)
「待たれよ皆の衆!」

突然飛び出す白い陰。

大臣「この方をどなたと心得る!」

大臣が祭壇で民衆に向かって話し始めた。

大臣「この方はかの勇者ロトの血を引き正しきものぞ!
あのとき王に謁見していたのも竜王を倒す命を授かっていたからだ!」

「そんなの知るか!」
1人の戦士が怒鳴り返す。「王を殺したのはそいつだぞ!竜王じゃない!」
「姫様だっていないのにこの国はどうなる!」
今度は違う方から声がした。


691 : ◆ltQdejOgQI :2006/09/28(木) 15:22:26 ID:pLVaiHNY0
大臣「フム…確かにおぬしたちの言う事も一理ある。
王殺しの罪は重い。ならば、その罪を洗い清めるため、
また今は無き王座の後継ぎへとなる姫を取り返すためにも、
この若者を竜王討伐へと向かわせればよかろう。」

そして、俺は竜王討伐の旅へ出発することになった。

―出発の日―

大臣「この城を出るととなりにマイラの街がある。
そこでまず武器と防具を買い揃えることだな。
これは少ないが旅の足しにするがよい」

大臣はGの入った白い皮袋と松明をよこした。
袋の中をのぞくと10G入っていた。

俺「たったこれだけ…!」
大臣「何じゃ?不満かな?」
大臣は長い眉毛をひそめいぶかしそうに言った。

大臣「忘るるでないぞ。おぬしは罪人だ。
本来ならば死刑のところをこのわしが助けてやったのだからな。
よいか。必ずや竜王を倒し姫をとりもどし、
この世に再び光をもたらすのだ!ゆけ!勇者よ!」


692 : ◆ltQdejOgQI :2006/09/28(木) 15:25:00 ID:pLVaiHNY0
※ラダトーム城下街。

「人殺しー」
「モンスターにでも喰われちまえちまえー」
「気取ってんじゃねーぞこの豚やろうー」
「王様を返せー」

わーわー。わーわー。

見晴台より見下ろす、大臣
「ひひ。これでこの国もろた。
邪魔者であるロトの末裔も追い出す事に成功した。けけけけけ。
どうせあいつも1人で竜王の城までたどりつけっこあるまい。
ひひ。いひひ。いひひひひ。」

別室にて、水晶を眺める呪い解き爺さん
「かわいそうじゃ・・・勇者アレルはアリアハン王の要請を
受けて、人々の歓呼に送られ冒険の旅に出発した・・・
それなのに、わしらの勇者に対する仕打ちはこれか!?
勇者が・・・あまりにかわいそうじゃ・・・」

693 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/28(木) 18:24:33 ID:ZxMnKNxV0
アレルって観呼どころか見送りすらされてなくね?

694 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 07:38:57 ID:q9drhJJ9O
きっとそこは、ロト紋パクったんだよ

695 :mbl116-129.mable.ne.jp:2006/09/29(金) 09:44:34 ID:qTOfz/Xz0
   

696 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 10:12:28 ID:wy1GDuh40
今後も見守っていこうではないか!!
1の世界がベースみたいだな。

697 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 17:09:19 ID:qNuz2kmU0
なかなか面白い

698 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 18:46:47 ID:ZoQ/9113O
もはや宿屋じゃないけどな

699 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 23:25:53 ID:eQBgm2b/O
まぁ宿屋から始まってないのもあるからなぁ

700 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/30(土) 11:19:22 ID:VAoWOktn0
スレタイも読まない阿呆は(ry

701 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/01(日) 18:29:57 ID:JAMvoGaa0
埋め

702 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/02(月) 06:15:21 ID:AGNo+F6oO
チンクルだろ

703 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/02(月) 16:45:33 ID:y4U2osXd0
無限ループに突入しているな。

704 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/03(火) 09:41:42 ID:9v3dOaXnO
保守

705 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/03(火) 19:12:40 ID:HY0KfNvd0
点検

706 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/05(木) 11:05:44 ID:PRud503jO
保守

707 : ◆ltQdejOgQI :2006/10/06(金) 06:40:00 ID:CEVz+TbY0
>>692の続き

ラダトームを追い出されて2日、北に向かって歩いて行くと街が見えてきた。

いや、正確には「聴こえて」きた。
何かのメロディーが町から流れている。
今日はお祭りか?
ウキウキしながら町へ入ると、

「こんにちはぁ~♪ここはガライ♪ガライ♪ガライの」
『町ですう~~~♪』←合唱

町人達が一斉に歌いながら集まってきた。

「ようこそ~♪ミューズに愛されし町ガライへぇええ~♪」
「きみィ~の歌声、聞かせておくれよォ~♪」
『楽しみっ!楽しみっ!楽しみっ!楽しみっ!』←合唱

まるで町人全員がミュージカルをやってるみたいだ。

「私はロトの末裔です。
竜王にさらわれたラダトーム姫を探して旅をしているのですが、
みなさん何かご存知ないでしょうか」
『!!♪』

一瞬町人全員に驚きと、焦りと、苦悶の表情が浮かんだ。

708 : ◆ltQdejOgQI :2006/10/06(金) 06:40:56 ID:CEVz+TbY0
「?どうか・・・なさいまし」
「ララ!ラララ!ラララ~♪」
「勇者は歌声を持たないー♪」
『持たない!持たない!持たないー♪』

必死にメロディーを作り上げようとしているのだ。

「こォ~の町では歌わなければならないィ~Ah hooo♪」
『ならないィ~♪』
「そォ~れがこのまち~の掟さぁ~~♪」
『掟さァ~♪』
「屁をこくにしても!」
「プップ~♪」
「糞するにしても!」
「ブリッ♪ブリブリミチミチィッ♪」
『歌わなけれ~ば、な~らない~♪』

そう歌うとみんな「ラララ」と合唱を始め、
1人の少女が道に出された大便を嗅いで
「く、くさい~♪」と歌いながら倒れた。

どうやらこの町ではみんなで一つのメロディーを作らねばならないらしい。
レストランに入れば食器でリズムをとったり、
パンの食べカスを口からとばしながら歌ったりしているし、
道行く人も足音でタップダンスをしたり、
合唱の輪に加わろうと声を張り上げ歌ったりしている。

町人たちの歌によると、なにやらこの町を作ったのが
有名な吟遊詩人とかで、自然と町自体も歌と踊りの町になったらしい。

709 : ◆ltQdejOgQI :2006/10/06(金) 06:42:16 ID:CEVz+TbY0
しかし、一見このミュージカル風の町の雰囲気は楽しそうに見えるが、
例えば排尿の際に
「ジョボボボジョボボボジョボボボボ~♪流れるよ、わたしの真っ黄色なオシッコ~♪」
と歌わねばならなかったり、
「あん、ア、アアア~♪」
「どうだいぼくの×××の味はァ~♪君のアソコに△△して○○~♪」
「E!E!気持ちE♪」
といった、あられもない人間の生理現象、性衝動さえも、
この町全体を包み込む1つのメロディーに昇華しなければならず、

「ぉおっと、かわいい姉ちゃんだね~♪」
「へっへへ、おいらたちと一緒に遊ぼうや~♪」
「なんです!あなたたちは♪やめて下さい♪」
「いいじゃねえか遊ぼうよ♪」
「やめて♪やめて♪やめて下さい~♪」
『やめて♪やめて♪やめて下さい~♪』
「ああ、やめて、あん、そこは・・・やめて触らないでお願い・・・」←哀しそうなメロディーで

といったことも、全体を通して流れるメロディーの雰囲気に
調和していれば誰も何もとがめず、むしろはやしたてたりする。
これを、メロディーを無視して例えば「やめろ!」となど言って殴りかかると、
すぐさま町から追放されたり、音楽それ自体の持つ陶酔感によって
群集が怒り狂って死刑にまで発展するからたまったもんじゃない。
「やめろ~♪」と歌いながら止めに入らねばならない。

要するに町全体に流れる音楽にマッチしていれば何でもアリなのだ。

(姫の情報を聞いたら、こんなアブナイ町すぐおさらばしよう)



俺は何とかみんなの歌に混ざりながら竜王と姫の情報を聞き出し、町を出た。

710 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/06(金) 09:09:55 ID:RenIcMak0
ヴォースゲー!
乙です。町人がイカレポンチばっかりに噴いたw

711 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:23:01 ID:jDZDth3R0
「う………?」

変だな…
違和感を感じる…

「起きた 起きたよ!」

!!
だ、誰なんだ…?
なんで勝手に俺の部屋に─

「よかった、気がついたのね」

誰だあんたは?
うまく… ものを考えられない…

「まだぼんやりしてるみたいだね」
「それはそうよ、長い間、眠っていたんだから…」

長い間…?

「とにかく、起きてくれてよかった
 おはよう、私はレア」
「おはよう、僕はレムス」
「お、おはよう… 俺は、タチバナ…」

う…あ…
俺は何を普通に挨拶して…
だいたい─

「ちょ、ちょっと待った!」

712 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:23:57 ID:jDZDth3R0
少し裏返った声に二人がきょとんとした表情になる

「い、いや ここって何処?」

ようやく、驚きの次に感覚を取り戻したタチバナが誰にとでも無く問う

「ここはメザレの宿屋だよ」
「メザレ?宿屋?」

わからない わからない…

「ねぇタチバナ、あなたはまだ目が覚めて少しだから混乱してると思うの
 だから少し落ち着いて、とりあえずお父さんとお母さんを呼んでくるから」

そう言いレアが部屋を出て行く

俺は一体、どうしてこんなところに居るんだ…
レアという女の言う通り、混乱だ

「まぁ少し落ち着いてさ、少し気持ちはわかるよ
 そうそう、あんたの服は着替えさせたよ
 まさか寝かせるのにあんな格好じゃあね」

あ…
これはベッド…
俺はベッドに寝かされていたのか

"あんたの服"
現実的じゃない場面での現実的な"この"言葉に、俺はようやく落ち着きだけは取り戻した

713 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:24:35 ID:jDZDth3R0
「あ、ありがとう… 俺、いつ頃からここに? それと、どれくらい眠ってた?」

すぐ意味があるとは思えないけど、頭に浮かんだこの疑問を、俺はレムスに聞いてみた

「う~ん 確かアプリーリスの5日朝だったと思う
 ごめん、僕もあんまり覚えてないんだ
 それで今日はユーニウスの13日朝だから…70日くらいかな?」

70日!
アプリーリスとかユーニウスとか意味がわからないけど、70日…
どうなってるんだ…………
そうか!
夢!
夢だ、夢なんだこれは!

そう考えると楽しくなってしまい

「フフ」

と声に出して思わずほくそ笑んでしまった
レムスが少し驚いた顔をしたが俺は"なんでもないよ"と誤魔化す

そうか、夢ならどうって事はない
寝て起きれば現実に戻れるんだ

714 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:25:33 ID:jDZDth3R0
「お待たせ」

レアが部屋へ戻ってきた
その後ろにはレアの両親だろう二人が続く

「やぁ、俺はカルリ
 レアとレムスの父親だ」
「私はテティス
 カルリの妻よ、身体は大丈夫?」
「あ、俺はタチバナといいます」

レアとレムスは姉弟なんだな

「あの… ところでここはどこなんですか?」

夢なんだからどうでもいいんだけど、一応聞いてみる

「うん、ここはメザレの村だよ」

メザレの村か
夢にしては姉弟や親子や村の名前がやたらしっかりしているんだな
もしかして俺は天才なんじゃないか?
よくわからないけど

「タチバナさん、起きられる?
 動けるなら、食事を摂ったほうがいいわ
 寝ている間はずっと薬草だけだったから」

身体は─ 動かせる
どこも調子は悪くない 夢なのに健康だ
ん? 夢だから健康なのか

715 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:26:37 ID:jDZDth3R0
「はい、動けます」

"ヨッ"っとベッドを飛び降りる

「レムス 彼の服を取ってあげなさい」
「わかった、父さん」

"ありがとう"とレムスから受け取った服
それは俺が気に入ってしょっちゅう来ている白の長袖シャツと薄色Gパン

タチバナが着替え始めるのを見てレアとテティスは部屋を出る

「あれ靴は…?」
「君は裸足で村の入り口に倒れていたんだ」

カルリがそう言いながらゴツゴツとした革の靴を差し出す

うーん、これしか無いな
蒸れて変な病気にならなきゃいいけど…
まぁ夢だからいいか

着替えもすっかり終わり、三人は部屋を出る
短い廊下を歩き、階段をミシミシ下りるとすぐフロアに出た

「ここがこの宿自慢の食堂兼休憩室なんだ」

カルリが少しテレながら言う

なるほど、どうやらこの宿屋は全て丸太を組んで作ったログハウス
広いこのフロアは観葉植物が並び大きな窓があり開放感に溢れている
窓の外では緑が陽の温かさを全身に浴び、嬉しそうに揺れていた

716 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:27:34 ID:jDZDth3R0
「へぇ 心地いいですね」

俺は素直な意見を言った
嬉しそうなカルリは俺を広いテーブルの席へと案内し、その対面へ座る

「君は… タチバナくんはどうしてこんな辺境の地へ?」
「あ、タチバナって呼び捨てで呼んでもらえますか?
 なんだか慣れなくて…」

額をカリカリ掻きながらカルリへ伝える

「ん、そうか …タチバナ、よければ教えてくれないか?」

テティス、レア、レムスは料理の盛られた皿を忙しく運んでいたがやがて、席に座り俺とカルリの話に耳を傾けた
各人の前にはメインであろうスープ皿と拳大のパンが二つ、中央には大きめの更に緑のサラダ

そう言われても…
これは夢で、目が覚めたらここにいたんだからどうにも答えようが無いし…
あ、もしここで"夢だから"って言ったらこの夢は終わるかな?
"おもしろそうだ"
俺は軽い気持ちで、それでも顔は真剣に答えた

「それはもちろん、これが夢だからですよ」

717 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:28:53 ID:jDZDth3R0
俺は─ "ここで目が覚め時計を確認している" そんな様を思い描いていた
だけれど目は覚めず、代わりに四人のまっすぐな、別の意味で目が覚める程の注目を浴びる事になる

「あ… あれ?」

この、変な違和感は何だ?
あの、目覚める前に感じたモノと同じ
その、リアルな感情はまるで現実
とても夢とは感じられない、感覚

そんな…
夢だったんじゃないのか?

夢はここで、終わりだったんじゃ─ ないのか?



718 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:34:32 ID:jDZDth3R0
久しぶりに投下してみました。
タカハシの旅はまだ続編が出来てません。
まだしばらくの時間を下さい。
再度書きますが第三部まで、という事でお願いします。
投下済みの第四部は破棄します。

その間、短編─ で終われるかわかりませんが、短い話を投下していってみようと思います。
トリップに関しては、タカハシの旅だけ「タカハシ ◆2yD2HI9qc.」とするつもりです。
では、また新しい話が書けた時に。

719 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/08(日) 19:20:36 ID:ekiEsmwCO
乙乙

うん、まぁやっぱりタカハシの続き読みたいよね

720 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:30:41 ID:dbWlljoc0
以下の前スレ579からの続き
ttp://ifstory.ifdef.jp/log/ifyado_log006.html#R579



●前後

「こ ここもか…」

青い鎧を身にまとったその男、言葉と共に乾いた地面へ腰を下ろす
彼の名はテリー

世界からはゆっくりと人間が消えていた
なんの前触れも無く刺激も痛みも声も無く
まるで幻の源がその場から立ち去ってしまうかのように

「世界は一体、どうしてしまったんだ
 人は消える… 神の加護を全く感じない… 魔物はかつて無いほどの群れをなし襲ってくる…
 このままでは魔物の世界になってしまうではないか…!」

ガツンと、彼は拳を地へ叩き付けしばし項垂れる

彼、テリーはタカハシと別れた後グランバニア近郊で商いをするメルビンと合流した
毎日まいにち剣の修行に明け暮れ過ごした
数ヶ月してメルビンの教え全てを吸収したテリーは単身修行に出る
壮絶な修行だったけれど自身が強くなるのを自分で感じることが出来た
修行の途中、チゾット近くで倒れるタカハシを手助けしたりもした

721 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:31:38 ID:dbWlljoc0
ある日、旅商人と大地の上で会話していると目の前で突然消える商人
テリーは嫌な予感と焦りを感じ、情報収集のためグランバニアへ赴いたが町人も兵士も王も
そして姉ミレーユの姿もついに見つけることが出来なかった
姉を思いテリーは少し泣いた
泣いたけれどそれではいけないと、何が起こっているのかを知りたいと
タカハシを探しここライフコッドへやってきたのだ

「タカハシ…! お前は一体どこにいるんだ…
 まさかお前も消えてしまったのか……?!」

突如、耳の中、頭の中へ音が響く
やさしく聞いたことがある、初めて聞く声

「……そうか、そういう事なのか─」

テリーは立ち上がり歩き始める
増え始めた魔物と剣を交えようとする決意

希望と少しの笑顔が混じる、それは凛とした顔だった


722 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:32:14 ID:dbWlljoc0

●再び

真白な空間にぼんやりと浮かぶ白い影

『あ、あれは…』

手の届きそうなほど遠い箇所に、その影が次第に灰色の人物へと姿を変える
対峙する三つの、見覚えのあるシルエット
禍禍しい男が手を伸ばすと、その情景はぐしゃりと歪む
突如、目の前の弱弱しい男が後ろにある細細とした女を斬る

『俺、だ…!』

何度も何度も、時折り息継ぎながら伝わる殺気と共に斬りつけてゆく

『やめろ…! わからないのか…! 結末は………!』


723 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:32:58 ID:dbWlljoc0
「タカハシが苦しそうだ… なんとか、早く元に戻せないだろうか」

タカハシの苦しむ姿を直視出来ず、つい漏らす
いままで何十回、何百回おなじ言葉を口にしただろう
聞いたところで答えは変わらないのだが、交わしたかった

「…今はただ、祈り待つだけしか…」


俺は、あの魔物による大襲撃の間、ずっと戦い続けていた
何人かと一緒に戦ったけど、圧倒的なその数には敵わず
終には一人となり、おかしな術でここへ連れてこられたのだ

ここは生気の抜けた人間が集まるまさに地獄
名前を付けてやるなら"絶望の町"
何人かは強い意志を持って自我を保っているが、大半の人間はからっぽだ
どういう事か、話を聞いて廻ってわかった事がある
この世界で少しでも気を抜くと、すぐさま力を吸い取られてしまう
俺もこの状況に心が折れそうになってしまったが、どうにか堪えている
それはここにいるタカハシ、そして姉ミレーユと再開することが出来たから─

「姉さんだってこうして生きる力を取り戻すことが出来た
 タカハシだってきっと、戻ると思うんだ」
「ええ、ほんとうに… テリーのおかげね、ありがとう」

こんな状況だというのに、俺は少し気恥ずかしくなって俯いた

724 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:33:47 ID:dbWlljoc0
そう、姉も他の人間同様、力を抜かれまるで生きる屍
俺は傍に、ずっと傍について声を掛け続けた
それはとてもとても長く、終わりの見えない遥かな時間

姉が立ち、初めて絶望の町を隅々まで見てまわったとき
静かに、だけど苦悶の表情を浮かべ横たわるタカハシを見つけた
その様は姉やその他の人間とは違い、まるで何かに憑かれているよう

「彼もきっと、こうして私達が傍にいてあげれば、私のように力を取り戻すに違いないわ」
「うん…
 だけど俺も姉さんも、そして他の人間も戦う力だけは一向に戻らない
 話に聞いた"魂の集まる場所"へ行けば、なんとか…
 戦う力さえ戻れば…!」

気配を感じた
言葉は途切れ、その正体が判明するまでの僅かな時間─

「どうですか? 様子は…」


725 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:34:29 ID:dbWlljoc0
●仕組み

「あ、トルネコさんか…」
「おや 私で何かご不満でも?」
「いえ、なんでもないんです」

トルネコ─
彼は、この絶望の世界で連れてこられた我々人間を管理していた

「さぁ、彼の着替えです
 少しだけ部屋を空けてもらえますかな
 …見たいなら構いませんけど ほっほっ」
「ああ、ははは… お願いします」

俺と姉はトルネコとタカハシを残し部屋を出る

ここ絶望の町は魔物が用意した割りに設備が整っている
トルネコによると健康を保たなければ上質な力を吸い取れないかららしい

「トルネコさん、どうしてあんなに…」
「仕方が無いよ姉さん あの人は以前の心を無くしたまま、連れてこられたんだ…
 ルビス様の選んだ勇者というだけであんな事をやらされてる
 誰の事も、人間の世界の記憶だって残ってない」

しばらくして着替えが終わり、部屋へと戻る

「あなた方も、まだ元気なんですねぇ
 知ってますか? 力は一定量溜まると吸い取られてしまうのですよ」
「ええ、それは… 知ってます」
「意識をもって辛い思いするより、無意識で楽にしていたほうが良いと思うんです
 力を吸い取りつくす事はないですし」

726 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/09(月) 04:37:41 ID:HD/6Z1BTO
回避

727 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:37:53 ID:dbWlljoc0
思わず反論しそうになる
だけど…
彼は、記憶も人間の意志も持たず、ただただこの世界を管理しているだけなんだ
魔物側でもなく人間側でもなく、ただただ中立な存在なんだ
この発言もその所為で…

「そういえば、力はギリギリまで持っていかれるんですよね?」

姉はずっと黙っているが、表情が辛い
話題を変えようと俺は常々疑問だった事を聞くことにした
トルネコはいろんな事を教えてくれる
この町や世界から抜け出る方法以外で知っている事だけだが─

「ええ、そうですよ 死なない程度に」
「持って行かれた側は力を無くす だけどまた吸い取るなんて出来ないですよね?」
「そうですね さっきも言いましたが一定量の力を蓄えると…
 ええと、力を吸い取るにも上限下限があるんです
 ここで言うのは"吸い取られる側の限度"ですね」
「だけどそれは、吸い取られきった人に対しての答えでは…」
「それは今からお教えしますよ
 ようするに、人間は食事を摂っていれば栄養になり力となる
 少なからずそれは、意識を持っていようがなかろうが潜在的な力にもなるわけです
 知っていると思いますが、意識を持たず生きている人たちも食事だけはしています
 それはこちらである程度操作している部分もあるわけですが、大半は必要として自ら摂る
 力を失い絶望を感じ自らを失っている、だけど本能はそれを許さない
 深い深い所では"生きようとする力"は失われていないわけです」
「へぇ… わかるようなわからないような…」
「そういう人たちの場合、下限で力が吸い取られます
 貴方たちのようにはっきりと意識を持つ人たちは上限まで蓄えられます」

728 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:38:35 ID:dbWlljoc0
「それはなぜ? 私達も下限で力を吸い取れば、こんなに元気ではいられないわ
 その方が魔物にとっては都合が良いと思うのだけど…」

沈黙していた姉が、トルネコをまっすぐにそう言った

「明確な生きる意思を失った者の上限から吸い取るよりも、上質な強い力を頂けるからですよ
 それに貴方たちの強い力を中途半端な段階で吸い取ると、その効率は落ちるのです
 どういう仕組みなのかはわかりませんが、そういう事なんですよ
 …話がずれてしまいましたが、ようするにこの世界に居る人間は私が管理している以上、
 力が完全に無くなってしまう事はないのです
 固い意思で自ら命を落とす人も、もちろんいますけどね」
「…生かされず殺されず、という事ですか」
「そうなりますね
 ただ貴方たちは少なくとも"生きて"いますよ
 他にも数人、元気な人がいますがいつ力を無くす事か」
「……トルネコさんは、どう思いますか?」
「ほ? 何がですか?」
「人間が、このまま全員だめになっていくほうがいいのか…
 それとも全員が奮起してこの世界を崩すほうがいいのか…」

思わず、どうしても気持ちを抑えきれず意味の無い質問をしてしまう
今のトルネコにこんな事を聞いたって、仕方がない事なのに

「私としては、どちらでも構いません
 どうなっても管理するのは私ですからね
 自分の仕事をするまでですよ」

やっぱり…
ほんの、ほんの少しでも良い答えを期待した自分が情けない

729 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:39:32 ID:dbWlljoc0
「…ですが、ここまで堕ちた人達が再び奮起するなんて事があるのであれば、見てみたいですね
 興味として、ですがね」

興味として…
だけど、その答えって自分の意思、じゃないのか

「トルネコさん、あなたはもしかして─」
「私はこの町の管理人トルネコです
 それは、少しの意志くらいは持ってます
 ですがそれでどうこうという話はありませんぞ?
 前と同じ事を言おうとしたのはわかってます
 自分で言うのもおかしいのですが、私に期待したって何もありません ほっほっ」

やはり味方に出来そうにはない
俺は以前に、実はトルネコがわざと演技でこんな事をしているんじゃないかと問い詰めた事がある
いろんな情報を提供してくれるだけでも、ありがたいと思わないといけないか

その後、他愛の無い話をし、トルネコは別の部屋へと移っていった

勇者トルネコが守ろうとした世界は今─
こんな世界に人間としての記憶を持たず彼がここにいるという事
それだけが俺にとっても救いであった


730 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:41:47 ID:dbWlljoc0
なんだか中途半端だけど、ここまで。

>>719
タカハシの続き、やっぱり自分でも知りたいから奮い立たせる意味でも投下してみました。

731 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:43:33 ID:dbWlljoc0
書き忘れた
何度もごめんなさい

>>720
から仕切りなおしの第四部始まりです

732 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/09(月) 11:56:37 ID:eBR88P7pO
タカハシGJ!
ありがとう

733 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/09(月) 21:35:39 ID:GUF2tENd0
タカハシ乙
ローディとか総長とか来ないかなぁ

734 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/10(火) 10:23:17 ID:w5hdGNxE0
隙間風氏が帰ってくるの待ってる
あの先の読めない展開が今後どうなるのか気になって気になって

735 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/10(火) 15:54:50 ID:pHhMRi8C0
今回はテリー編みたいだな。
乙!!

736 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/10(火) 21:39:57 ID:gSbG275A0
アッー!

737 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/12(木) 11:49:03 ID:dvdRhvZTO
保守

738 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 02:04:59 ID:9pRpT/MI0
まとめサイト
http://ifstory.ifdef.jp/index.html
埋めマン◆TZg1R4cTLE氏とタカハシ◆2yD2HI9qc.氏の物語を現行スレまで更新しました。

739 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:49:36 ID:9pRpT/MI0
>>729
からの続き


●逃毀

ある日、夜も昼もわからないこの世界
目覚めた頃に二つの魔物、りゅうき兵が現れこう言った

「そこの女、お前ついてこい」

耳を疑った
意味はわからないが、身体が動く

「待て、何の用なんだ!」

俺は椅子に座り緊張する姉をかばう様に、立ちふさがる

「女、早くしろ」

りゅうき兵はそれを無視してミレーユを睨む

「くっ…! お前ら俺を無視するな!!」

敵うわけが無い
武器も鎧も魔法だって無いんだ
だけど何もしないわけには─

740 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:50:25 ID:9pRpT/MI0
ミレーユを睨みつける一つの魔物、それめがけてテリーは殴りかかった
"バシリ"と少し平手打ちに近い音
テリーの拳は確実にりゅうき兵の頬を捕らえている

「なんだお前は」

"ジロリ"とようやくテリーへ眼を向けるりゅうき兵
同時に腕を強く引き上げられ、宙に浮く身体
渾身の打撃は魔物の顔をわずかに動かすだけ、期待した効果を発揮しなかった

「う…ぐ…! 離せ!!」

やはりどうする事も出来ない…!
くそ!
このままでは姉が…
どうしたら、どうしたら……

「こんなに生気にあふれる人間だ、殺すわけにはいかん
 しかし頬に触った 俺はひどく痛憤している」

意地の悪い顔を、テリーに向けるりゅうき兵

「まって!」

ミレーユが声をあげる

「なんだ女 俺は今こいつをどう苦虐させるか考えているんだ、邪魔をするな!」

姉さん…!
だめだだめだ絶対にダメだ!

741 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:51:11 ID:9pRpT/MI0
「言う通りに、します… 弟に何もしないで……!」

悔しさなのか恐怖からなのか、ミレーユの身体が小刻みに震える

「んん? こいつはお前、女の弟なのか ク、ククッ
 ならば話は更に易い」

先よりも邪悪な笑みを浮かべる魔物二つ

「女、お前 今から連れて行くが、今後一切抵抗してみろ
 ククッ こいつの無事は無いと思え 貴様ら人間が想像できない苦しみを与えてやる
 言っておくが自害するなど無駄だ
 古代魔法ザオリクを以って、悪魔神官が苦しみを永遠に与えてくれるだろう クックッケッケッ!」

な、な、なんて事だ……
俺が、おれが抵抗したばかりに余計な条件が…!
いらない事をしなければ… まだ、もしかしたら救える方法があったかもしれないのに……!

りゅうき兵の手が開く
俺は地面へ落ちガックリと頭をたれ、掌を握る
素早く、傍へ来た姉がそっと、耳元で囁いた

「どうあったとしても、私は連れて行かれる…
 こんな世界だけど、少しの間だけど一緒に過ごせて良かった
 …無事でいて、そしていつかタカハシと一緒に世界を─」

"バサッ"
ミレーユが魔物に腕を捕まれ連れて行かれる

俺は、顔を上げて姉を見ることが出来なかった
きっと俺を見ているだろう、姉の顔を……


742 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:51:50 ID:9pRpT/MI0
●白い女性

時間だけが過ぎていた
変わらず俺はタカハシへ話しかけている
違うのはただ一つ

姉さんがいない

この世界でたった一人
これは、思っていた以上に辛い
目の前で捕らえられる姉を助けることが出来なかった
それは現実で、実際に俺は一人だ

「俺は何の為に…」

今までの戦いを全否定したくなる
"勇者になろうと思う"
そう、タカハシに語った事が懐かしい
戦えなかった事が恥ずかしい─

今はただただ、タカハシを元に戻すことだけを考え、力を持っていかれないようにするだけだ…



「テリーさん、いいですか?」

トルネコが、入り口に立っている
どうやら俺は、床に座ったまま膝を抱え、寝入ってしまったらしい

「あ、ああ… はい…」

椅子へ座りなおし、中へ入るよう促す

743 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:52:45 ID:9pRpT/MI0
「ええと、新しく来た人がいるのですが」
「まだ戦っている人がいたのか…」

トルネコへ言うでもなく呟いた

「戦うようにはみえないんですけどね」

そう言い、入り口に向かって"どうぞ"とトルネコが言う
その声に応え、そこに白い女性が現れた

「ここですか… あれが…」

女性が、タカハシの姿を見つけ言った

「この人、名前を思い出せないそうです
 ちょうどあなたのお姉さんが連れて行かれてここが空いたので、いろいろ教えてあげてもらえませんか」

トルネコの、悪気のないその言葉に、俺は歯を噛む

「トルネコ 案内、ご苦労でした」
「え? あ、ああ、じゃあ、私はこれで
 何かあったら呼んでください」

女性の言葉に戸惑いながらも、トルネコは部屋を出る
女性は立ったまま動かない
俺も特に、声を掛けることなく、タカハシを挟み奇妙な時間を過ごす

744 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/13(金) 03:55:05 ID:18aiQ84oO
回避

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