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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/28(日) 12:25:12 ID:AaT+g6Z00
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言、オリジナル何でも歓迎です。

・スレの性質上、レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1142080254/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
tp://www.geocities.jp/if_dq/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」避難所
tp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi

148 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/06/25(日) 00:59:29 ID:gEbneyq60
  「も〜めんどくさいな〜こういう時携帯があれば便利なのにな〜」

話合いが終わったのが夜に差し掛かった頃だったので、出発は明日の朝という事になった。
ありがたい事にプレナの家に泊めてくれるという事になったのだが、
兵士長の事をほったらかしにしていたのを忘れていたのだ。

"探して来い"と言われて嫌々出てきた真理奈だが、
正直、別にあんなヤツいいじゃん、と思っている。
ちなみにブルーは眠たそうだったのでお留守番だ。
あと少し適当にフラフラしたら帰ろうとか考えていると、兵士長の後姿が目に入る。
兵士長は背が高いのですぐに分かる。

  「おーい、兵士ちょ〜」

相手に届くような声量で声をかけながら兵士長の所へ走っていく。
その真理奈の声に気付き、兵士長が振り返る。
と同時に、その右手が振り上げられる。
その行動に真理奈は不思議に思うが、体は近づくのを止めなかった。

一瞬後、チクッとした痛みと共に体の力が抜けていくのを真理奈は感じた。
崩れ落ちていく真理奈を涼しい目で兵士長が見下す。
その右手には毒針が握られていた。
急所に入れればモンスターでさえ一撃で仕留められる武器だ。
刺す時間と毒の種類・量を間違えなければ、人間相手でも上手く戦闘不能に出来る。

  「あ…あ……」

声も満足に出せなくなった真理奈を兵士長は片手で抱き上げる
そして懐から取り出したキメラの翼を放り投げた。
2人の姿は夜の闇に紛れるように消え去った。

149 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/06/25(日) 01:11:22 ID:gEbneyq60
今日はここまで〜

>>114>>115
勇者の性格判断の質問を全部載せてるサイトを見つけたので
真理奈に答えさせてみましたw
多いかな〜とは思ったんですがいかがでしたでしょうか
どういう人なのか分かったような気がしてくれたら幸いです

ちなみに一番最初のは、アリアハンで真理奈と一緒に戦った先輩と後輩ちゃんの会話です
それやる前に他のキャラ紹介しろよ!とは思ったのですが、思いついたのでやってしまいましたw
それと、今回会話ばかりになってしまってスイマセンでした
次は戦うぞ〜!

150 :気にしてないけどw:2006/06/25(日) 01:23:03 ID:gEbneyq60
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは作品を投下していたと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ           思ったら いつのまにかポルナレフに話されていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも 何がおきたのか わからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \   呪文だとか魔法だとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの 片鱗を味わったぜ……

151 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/25(日) 01:55:46 ID:bgt7gMug0
暇潰しさん乙w

152 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/25(日) 11:56:02 ID:KHzgYWSU0
しょうのない職人気取りが現れて鬱

153 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/25(日) 13:04:28 ID:Fxj0dQhmO
こういう流れも楽しみましょう

154 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/25(日) 13:30:22 ID:EXaBJ1qaO
>>152
死ね

155 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/25(日) 15:00:41 ID:0TCGWHyu0
こういうレスみると(ry

156 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/25(日) 17:48:12 ID:Fxj0dQhmO
>>1-156
ローラ乙

157 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/26(月) 00:05:16 ID:EXaBJ1qaO
住人が排他的過ぎる。

158 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/26(月) 00:49:48 ID:5RIJtBYvO
何でこんなんなの?

159 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/26(月) 01:57:31 ID:d1wnrfeY0
まあどこにだって荒らしはつくもんだよ。ましてこの手のスレじゃあね。
気にせずにがんばれ作者さん達。

160 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/26(月) 09:47:57 ID:PhxUXUCr0
こういうレス見るとこのスレって厨房しかいないんだなと思えて鬱になる

161 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/27(火) 18:41:08 ID:CO4x5sUY0
hosyu

162 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/27(火) 22:52:28 ID:yXgPPA0y0









     盛     り     下     が     っ     て     参     り     ま     し     た




163 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/27(火) 23:59:40 ID:9PhD6OGRO
そんなんじゃ面白いものも面白くなくなると思うぞ

164 : ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:35:35 ID:Hk62CTjD0
皆様お久しぶりです。
5スレ目>>639です。
続きが出来ましたので、時間がだいぶ空いてしまいましたが投下させてください。

↓以下5スレ目>>639-645 続き。

165 :シャルルT. 1/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:38:33 ID:Hk62CTjD0
 カビ臭い匂いと、埃っぽさが満たす空間。昼間でも尚薄暗いそこは、ロマリア王立図書館。
 図書館とは言っても現代のように一般の人間が立ち入れる場所ではない。
 そこに五、六才の、蒼銀の髪をした少年――今の自分はいた。
 この世界。
 ドラクエVの世界で目覚めた後に最初に会った男は、やはりこの少年の父だった。
 男は名をローランと言いロマリアの北にあるカザーブの領主だった。
 つまり自分は領主の息子としての権利を使って、この王立図書館に入ることを許されている。
 正直なところある程度の地位のある人間だったのは不幸中の幸いだった。
 少なくとも情報を手に入れることは出来るのだから。これが農民だったら目も当てられない。
 しかし、図書館の存在をローランから聞かされて、すぐに行きたいと言ったのだけれど、随分と意外そうな顔をして驚かれた。
 どうやらシャルルはあまり本を読まない子だったらしい。
 今回は仕方のないことだったが、なるべく疑いを与える行動は避けるべきだ。
 中世レベルのこの世界では命にかかわる。

 それに、佐藤大介というこの世界に迷い込んだ異分子にとって、
少なからずローランという男と居ることは心の平静を保つ支えになっていた。
 目覚めたらゲームの世界の住人になっていた。


166 :シャルルT. 2/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:39:30 ID:Hk62CTjD0
 そんな馬鹿げた現実に対策など思いつく筈も無く、打ちのめされようとしていた自分を救ったのはローランだ。
 信じられない事態に食事も進まなかった自分を見たローランは病にでもかかったのかと勘違いして大慌てで色々な薬を買ってきた。
 葉っぱに色とりどりの薬らしきものが乗ったものやら、株のお化けやら、少し濁ったガラスのビンに入った水やら……etc.
 テーブルの上にあまりに雑多な、怪しげな物の山を築いたローランは。

 ――何が聞くか分からんから、手当たり次第に買ってきた。好きなものを飲め。ああこれなんかどうだ――

 なんて、汗だくの真顔で言った。
 薬なのに好きなのを飲めなんて、そりゃ無いだろうと面食らった。
 が、そのあまりに必死な様子にしまった。と思った。
 ドラクエVの世界に来てしまったのは自分のせいではない。
 しかし、彼のせいでもないのだ。
 彼にしてみても自分の息子を奪われたに等しい。
 そんな彼に無用の心配をかけるのはどうか。

 ――元の世界に帰れば、全て解決する。

 物事には必ず始まりと、終わりが存在する。

167 :シャルルT. 3/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:41:00 ID:Hk62CTjD0

 なにせ原因が思いつかないほどなのだから実は些細ななことなのかもしれない。

 ――それを探ればあるいは……帰れるかもしれない。

 そう思い直し、その為に文献を片っ端からあさり始めて早二十日。
 いまだ元の世界に帰る方法はおろか、糸口すらつかめていない。

「ふーーっ」

 深いため息を1つ。
 朝からずっと文献をあさっていたせいで目がしょぼしょぼしてきた。
 小腹も空いてきたし、そろそろ昼食を摂りに宿に戻るか。と傍らに立てかけておいた護身用にと渡された
銅の剣を手にし図書館を後にする。


168 :シャルルT. 4/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:43:23 ID:Hk62CTjD0
 すると入り口で嫌な奴に出くわした。
 今の自分と同じくらいの五、六才の少年。
 やたらと高価そうな服に身を包んだソイツはロマリア大貴族の子供でサティロスという。
 ロマリアではローランは高名な騎士で、その剣腕と人柄には多くの人が一目置いているという。
 カザーブの領主である彼がロマリアに来ているのも、王に何か陳情する為らしい。
 それが何かまでは知らないが、ロマリア貴族には都合の悪い事なのだろう。
 1週間ほど前に始めて会った次の日から、サティロスは事あるごとに嫌がらせをして来るのだ。
 ……まぁ、子供じみたイタズラなので大した事はないのだが。
 一線を越えて剣で挑まれたとしてもこれでも小中高と剣道を学んだ身だ。
 見た目が同じくらいでも経験に大差がある。 負けることなど無いだろう。
 それに、相手は格上の身分ではあるが、さすがに先に手を出しておいてやられても文句は言えないだろうというのもある。
 注意する程ではないが、身分の差から無視することも出来ない。
 つまり、ウザイのだサティロスは。

「おい。シャルル着いて来るのだ」
 声を掛けられたので大人しく着いて行く。

「オマエ……僕に声を掛けられて返事をしないとは何事か! 」

169 :シャルルT. 5/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:46:27 ID:Hk62CTjD0

「これは失礼致しましたサティロス殿。本日は何用でございましょうか」
 怒っているので早めに下手に出て頭を下げた。

「……フン、まぁ良い。シャルル、君の父上はかの高名なローラン卿であったな」
「左様ですが……それが何か? 」
「いやなに、父君があれ程の剣腕を誇るのならば、さぞ君の腕も確かなのだろうと思ったのだ。
 さて、君に1つ頼みがあるのだが聞いてはくれないだろうか」
 サティロスはにたり、と口を歪めている。
 何か悪巧みをしているのだろうが、彼の身分が上である以上は頼みごとを聞かないわけにもいかない。
「どのようなことでしょうか? 」
 そう聞き返したが、着いて来れば分かる。という一言で封じられてしまった。
 どうにも着いて行くしかないようなので、彼の後に続いて歩き出した。

 サティロスに連れられて、たどり着いたのは図書館から少し離れたサティロスの家が所有しているらしい森だった。
 サティロスは森の少し奥、十五メートル程行った先にある開けた場所を指して言った。



170 :シャルルT. 6/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:49:20 ID:Hk62CTjD0
「君に頼みたいこととはあのスライムを倒して欲しいのだ。スライムとはいえ街中にモンスターがいるのは困る。
 兵士を出すほどの相手ではないが、放っておくわけにもいかなくてね。
 アレの処理を父上に任されたのだけれど貴族である僕が手を下すような野蛮なまねはしたくない。
 そこで、君に退治してもらおうと思ってね。――さあ、任せたよ。見ててやるから早く退治してくれ」

 これか、と思う。
 ロマリア周辺にはスライムはほとんど生息していない。
 大方こいつが親にねだって嫌がらせの為に自分の家が持つ森に放したのだろう。
 ……全く下らないことをするものだ、さっさと倒して昼食にするとしよう。
「かしこまりました。すぐに倒してご覧にいれましょう」

 剣を抜き、下草を押し分け森の中に入った。
 無造作に歩いてスライムに接近する。
 ……構える必要は無い、だってスライムだし。
 サティロスも少し離れて後ろに続く。
 そして、あと3歩程で攻撃できるというところで――スライムは、突然横合いから飛び出した牙に、捕食された。



171 :シャルルT. 7/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:50:13 ID:Hk62CTjD0
 ……嫌な汗が噴き出す。
 スライムを食べたのは、全長六十センチ位の小型のキャタピラーだった。

 ぐじゅ、ぐじゃ、ねちゃ。

 キャタピラーがスライムを咀嚼する音が森に木霊する。
 既に半ば以上かじり取られたスライムが虚ろな瞳で笑いながら此方を見つめている。
 
 ごくん。
 
 それは自分達が息をのむ音だったのか、それともキャタピラーがスライムを飲み込んだ音だったのか。
 確かなのはキャタピラーは己以外にこの場にいる2人の人間に気が付き、こちらに頭を向けたということだけ。

 ――まずい。
 新たな食事として認識されたか、それとも食事の邪魔をされて怒っているのかは解らないけど友好的なはずがない。

「逃げるぞ! 」
 サティロスに声を掛ける。

172 :シャルルT. 8/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:52:39 ID:Hk62CTjD0
「あ? い、うぁぁぁーーーーーっ!! 」

 無理も無かった、サティロスはパニックになっていた。
 今のは例えるなら野良犬が共食いを始めた様なモノだ。
 五、六才の子供の見るモノでは断じて無い。
 とにかく、これで逃げるという選択肢は難しくなった。
 サテイロスは気に入らない奴だが見捨てて逃げた、とあっては問題だろうし、死ねと思うほど嫌な訳でもない。
 応戦しなければ。まずは――

「寄るなってんだ! 」
 剣道の面の要領で近づいてきたキャタピラーの頭に一撃入れる。
 青銅製の刀身は、キャタピラーの頭部を狙い通り捉えた。
 キシャーと声のようなものを上げてキャタピラーは後退し、のたうちまわる。
 が、すぐに先程よりも敵意を込めてこちらを向いた。

 ――効いて、無い?!


173 :シャルルT. 9/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:55:09 ID:Hk62CTjD0
 いや、そんな事は無い。
 よく見れば確かにキャタピラーの頭部の外皮は僅かにだがヒビが入っている。
 幾ら硬いといっても金属である青銅より硬い筈は無い。
 ましてや小型のキャタピラー、剣で打たれて全く無事ということはやはり無い。
 ならばと、次の技を繰り出す。

 小手、面、胴の三連撃。
 剣道において何度も練習する基本の技。
 何年も繰り返した動作は体が子供のものとなり速さも落ちていたが、それでも淀みなく繰り出されキャタピラーを簡単に捕らえた。
 最後の胴を薙ぎ斬るように放ち、足を止めぬように稽古と同様に相手の脇を抜ける。

「――な! くそっ」

 振り返ってみて自分の目が信じられなかった。
 いまだ、のたうちこそするもののキャタピラーは健在だった。
 稽古の時と同様にきれいに決まった筈だった。
 それが効かないと言うことは……子供になったせいで膂力が足りないのか?
 ……ならばコイツとの戦いは――――自分と、コイツの体力。どちらが先に無くなるかの我慢比べ――――?


174 :シャルルT. 10/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 17:57:28 ID:Hk62CTjD0
 嫌な汗が、今まで以上に噴き出し。服が肌に張り付く感覚が、一層不安感を煽る。
 ……しかし、賽は投げられてしまった。
 後には引けない。
 サティロスを守らなければならないし、何年も練習した技全てが通じないとは思えない。

 ――――上等だ。我慢比べ。乗ってやろうじゃないか――――!

 そうして自分は、より気合を入れてキャタピラーに打ち込んでいった。
 ――この時は。自分はあんな事になるなんて、思いもしなかった……。


175 :シャルルT. 11/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:01:08 ID:Hk62CTjD0
 眼前の敵から目を離さぬように額を流れる汗を無視する。
 荒れた呼吸を整える為、大きく肩を上下させ深呼吸。

 ――まだ、保つのか? コイツ。

 あれからキャタピラーに打ち込んだのは、十合を超え二十合に届くか、というところ。
 時間にしても十分程度だろう。
 しかし、自分の体力と集中力を奪うには不足ない時間だった。
 状況は一見、拮抗していた。
 だがキャタピラーにはいくらかの傷こそ負わせているものの、いまだ致命傷といえるダメージは与えることは叶わなかった。
 キャタピラーが負ったダメージというのも体力を奪い、その動きを止めるには程遠いもの。
 一方の自分といえば、辛うじて無傷ではあったが、その動きは確実に精彩を欠きつつある。
 ここにきて天秤はキャタピラーへと傾きつつあった。
 これ以上は不利だ。
 かくなる上は――。

 覚悟を決め、剣を頭上に大きく掲げる。


176 :シャルルT. 12/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:02:56 ID:Hk62CTjD0
 上段。
 振り落とす力を最大限に利用し得る型、試合でも実際に使われる事は少ないが最も一撃の威力が増す構えを取る。
 勝負は一太刀で決する。
 この一撃で倒しきれれば、勝利。
 さもなくば、敗北。

 動きを止めたのを好機と見たのか、キャタピラーが迫る。

 ――故に。狙うのは頭部、それも芯だ。

 息を吸う、
 腰を落とす、
 呼吸を止める、
 腹に力を込める、
 貯めた力は拡散し、全身へ。
 そして再び集結させ、一刀の元に切り伏せる――――!



177 :シャルルT. 13/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:05:34 ID:Hk62CTjD0
 がぎん。という鈍い音。

 裂帛の気合と共に放たれた刀身は半ばまでキャタピラーの頭に外皮を破り食い込んだ。
 だが、そこまで。キャタピラーは止まらない。
 頭部から緑色の液体を振りまきながら、その牙をこの身に突き立てようと襲い来る。

 死ぬ。そう、思ってしまった。
 全力の一撃の後。
 体は当然動いてはくれず、避けることもできない。
 不満はある、後悔もある、未練など溢れている。
 ゲームの世界に来て、人生の結末を迎えるなど在り得ない。
 何故、自分だけがこんな終わり方で死ぬのか解らない。
 ……だから、せめて目を見開いて少しでも、そのふざけた現実に抵抗しようと思ったのだ。
 そして牙が触れようとした瞬間――剣(つるぎ)と共に弾丸と化し、彼は現れた。

 あれほど硬かったキャタピラーの外皮は容易く十字を施した剣(ゾンビキラー)に貫かれ、その身体は剣によって木に磔にされている。
 彼、ローランはそのままキャタピラーを磔にした木ごと切り上げた。
 身体の半ばから真っ二つに分かたれたキャタピラーだったモノから、緑の血泉が勢い良く噴き出す。

178 :シャルルT. 14/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:07:36 ID:Hk62CTjD0
 その中で、ローランは静かに背を向けて立っていた。
 それは残酷と言っていい光景だ。
 けれども、その光景。
 その一点、救ってくれた背中に安堵を覚えている自分がいた。
 届かなかったモノに容易く背中に憧れを覚える自分がいた。
 子は親に安堵を覚え、憧れを覚える。
 この気持ちがこの身(シャルル)から出たものなのか、精神(じぶん)から出たものなのか。
 それは判らない。
 確かなことは一つ、自分はこの人に救われた――――

「無事か? 」
 背を向けたまま振り向かず、静かな声が投げかけられた。
「は、はい。大丈夫です。」
「そうか……では、――オマエはだれだ? 」

 ――――――ッ!!

 唐突に隠すべき真実を抉られ、心臓が掴まれた。

179 :シャルルT. 15/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:09:18 ID:Hk62CTjD0
 こちらを見ようともせず背を向けたままローランは続ける。

「父さん……いや、私はシャルルにあの様な技は教えていない。
 とっさに振るった剣にしては洗練され過ぎている、先程の技は明らかに長年修練を積み反復して覚えた技だった。
 シャルルは私以外と剣の鍛錬は積んでいないし、有ったとしてもそれほど洗練されるまでの時間はない」

 ローランはゆらりと振り向き、この世界に来てからの自分に一度も見せたことの無い険しい顔で睨み付けながら言う。

「もう一度聞く。オマエは誰だ。私の、父の目を欺けるとでも思ったか」

 

180 :シャルルT. 16/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:11:16 ID:Hk62CTjD0
 ローランがそれに気付いたのは偶然だった。
 昼になっても宿に戻らない息子を心配して、息子がここ最近通い詰めている図書館を訪れた時に耳に入ってきた町人の話だった。

 ――サティロス様がまたシャルル様に絡んで――
 ――またかよ。これで何度目だ? いつもの――
 ――いや、今日は何か企んでいる様で森の方へ――

 ローランは自分がサティロスの家を始め、貴族達に疎んじられている事を知っている。
 いや、正確にはローランを重用した先王が王位を退いてから、
冷や飯を食わされているのだから今の王を含む中枢のほとんどからだろう。
 彼は今の悦楽を至上とする王とは折り合いが悪いのだ。どこぞの一派が彼の息子を狙わないとも限らない。
 よもや、と思いローランは駆け出した。


181 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/28(水) 18:13:06 ID:h7LTmAq0O
支援

182 :シャルルT. 17/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:13:19 ID:Hk62CTjD0
 ――私の息子に、もしものことが遭ったなら……ただでは済まさん――

 サティロスと、図書館近くの森。とくれば目的地は1つしかない。
 石造りの民家がひしめき合うように立ち並ぶ裏道を駆け抜け、緩やかなこの地方特有の丘を越え。
 森への最短距離をローランはひた走る。
 そして目的の森へとたどり着いた。
 そこでローランが目にしたものは、確かに彼の息子が襲われている光景だった。
 ただしその相手はローランが思い浮かべた様に人ではなく、モンスター。
 そして彼の息子は、見たことも無い構えで剣を操り、モンスターと戦っていた――――


183 :シャルルT. 18/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:15:36 ID:Hk62CTjD0
 ――どうする、正直に答えるべきか?

 この期に及んで何も答えないということはできない。
 かといって、正直に答えても信じて貰うことはできないだろう。
 何せ自分でも未だに信じられないのだ。
 事実だから受け入れていただけ。
 ローランは黙ったままの姿を見て疑惑を深めたのか、より険しい視線を向けている。
 この人と二十日間暮らしてみて解ったことがある。
 とても子煩悩だということだ。
 いつも子供(じぶん)のことを見守っていた。   
 今、この場にいるのも、険しい視線を向けてきているのも。
 考えてみればその証明。
 ……この人なら、子を愛する父親ならばわが子(シャルル)を救う為にも事情を話せば力を貸してくれるかもしれない。
 そう、ならば答えは決まっているはずだ。
 だが言うべき言葉は閉ざされた口から出ることは無い。

 ――単に足りないだけ。


184 :シャルルT. 19/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:17:30 ID:Hk62CTjD0
 先程命を救われ、さらに力を貸してくれるだろうこの人に。
 一歩を踏み出す勇気が自分には足りないだけ。  
 先程見た。救ってくれた背中は自分のものではでは無いと認めるのが、
頼るものの無いこの世界で自分が否定される事がただ恐ろしかった。

 ローランも自分も固まったように動かない、二人の時は静止していた。
 だから、平静を取り戻したサティロスが最初にソレらに気がついたのだろう。

「ぁ、う、あ、あ、アアアーーーーーッ!! 」

 悲鳴に驚き、サティロスの視線を追った先にあったのは。
 森の木々のそこかしこから此方をうかがう2メートルはありそうな巨大な猿――暴れ猿達の姿だった。
 その数は十……いや、二十匹以上はいるだろう。
 ローランがここまで気が付かなかったことから推察すると、よほど上手く気配を隠して近づいたのだろう。
 ……或いは、始めからそこにいたのか。 
 どちらにせよ自分にとって絶望的だ。
 
 戸惑う自分とは反対に、暴れ猿の群れを見たローランの行動は早かった。
「話は後だ! サティロスを連れて早く逃げろっ! 」
 そう叫ぶや否や、猛然と暴れ猿の群れの真っ只中に向っていった。


185 :シャルルT. 20/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:19:45 ID:Hk62CTjD0
 気絶したサティロスを背負って、ローランの言うとおりに森へと来た道を転げるように駆け戻る。
 ハッ、ハッ、ハッ――
 息は上がっている、けれど背中のサティロスを重いとは感じなかった。
 ローランのことが心配でない訳、無い。
 いくら彼でもアレだけの数を相手にするのは正気の沙汰ではない。
 かといってキャタピラーにすら殺されかけた自分が、暴れ猿との戦いに介入できる筈が無い。
 自分に出来ることは一刻でも早く助けを呼ぶこと、その程度。

 ――なら。背負ったモノが重い、なんて思う権利など、自分には無い。

 力が無いのが恨めしい。
 剣道をやっていた程度でいい気になっていた。
 それがどうだ? 実際蓋を開ければこのザマだ、元の世界で学んだ技は通じず、命を救ってくれた人を置き去りに無様に逃げている。

 ――強く、なりたい。 心も、体も、逃げ出さなくて済むように。


 そして視界が悔し涙で濡れた頃、目的の場所に辿り着いた。天を衝くような石造りの壮麗な建物。

186 :シャルルT. 21/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:21:39 ID:Hk62CTjD0
 そこはロマリア城、確実に兵士が詰めている所。
 ここなら助けが呼べると思った。
 涙で滲んで歪なレンズのような視界で、門の前にいた兵士らしき人を捉えて駆け寄った。

「お前は? ん、後ろにいるのは……サティロス様!? 貴様、サティロス様に何をしたっ」

 背負ったサティロスを見た兵士は、慌てて詰め寄ってくる。
 そんな問答している時間は無い。構わず口を開いた。

「ハァッ、ハァッ……たす、けて、下さ、い」

 くそっ、息が上がっているせいで上手く喋れない。
 深呼吸して息を整え一気に伝える。

「助けて下さい! 図書館の方にある森に暴れざるの群れが出ました父が戦っていますが二十匹以上います。
早く助けに! 長くは保ちません」

「な!? そんなヨタ話が信じられるか! そんな事よりサティロス様を此方に渡せっ小僧!」
 兵士は憤り立って背負ったサティロスを奪い取ろうと手を伸ばして――背中から発せられた怒声に止められた。

 「うるさいっ! 良いからコイツの言う通りにしないかっ!――それとも僕の言うことも聞けないとでも?」

187 :シャルルT. 22/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:24:06 ID:Hk62CTjD0
 ――時間は少し遡る。

 ひどく乗り心地の悪い揺れで目を覚ました彼が聞いたのは、彼と同じぐらいの少年が噛み殺したような泣く声だった。
 声の主はカザーブの田舎領主の息子で、彼が嫌う少年だった。
 彼はゆっくりと辺りを見渡し、森の中にいた筈が城の近くまで来ていることに気が付いた。

 ――助かったのか? そう、安堵して再び瞼を閉じる。
 しかし、耳に飛び込んできた彼を背負った少年と、兵士の声で閉じた瞼はすぐに開けられることになった。

 ――なん、だって。一人であの群れと戦っている――?

 彼は思う。
 彼の父は真実、貴族だった。   
 ――貴族とは人々を良き方向に導く為にその地位を与えられている。
 そう彼に、常々繰り返していた。
 そんな父親のことが彼は誇らしかったし大好きだった。
 彼は父親の教えてくれたことはこなそうと彼なりに努力したし、洩らさず聞こうとした。
 だから。

188 :シャルルT. 23/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:26:05 ID:Hk62CTjD0
 ――あの田舎領主めは、全体を見ようとしていない。税を減らしたら皺寄せがどこかに出る。民の生活ばかり気にして、彼奴めは其処のところが分かっていない――そう食事時に父がこぼした何気ない愚痴も聞き取ってしまった。
 そして彼は子供らしい発想で、ソイツの息子を少々困らせようとしただけだった。

 ――こんな事、僕は望んじゃいなかった――
 
 彼にも田舎領主――ローランが自分たちを逃がす為に、あえて戦っていることはすぐに察しが付いた。
 そしてただでは済まないだろう事にも。

 ――なんとかしなきゃ――

 押し寄せる後悔を吐き出すように言葉にして、彼は兵士に叩きつけた。
「うるさいっ!――――――――


189 :シャルルT. 24/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:27:45 ID:Hk62CTjD0
 サティロスの一声で兵士は弾かれたように従った。
 兵士は仲間を呼びに兵舎へと走っていった。

「おい。いつまで僕を背負っているつもりなんだよ」
「あ。悪い」

 あっけにとられて思わず敬語で話すのを忘れてしまった。
 取り合えずサティロスを下に降ろす。
 ……それと、礼を言わないと。
 自分一人では助けを呼ぶだけすらままならなかったのを助けられたのだから。
 彼に向き直り頭を下げる。

「ありがとう。助かりました。」
「……別に。別にお前の為にやったんじゃない。僕だってあんな事になるのは望んでなかった……僕の、僕の為に言ったんだから。
――僕こそ、すまない」

 下げた頭は拒まれ、逆に謝られる。
 サティロスが関わっていたのは最初のスライムだけだろう。

190 :シャルルT. 25/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:29:45 ID:Hk62CTjD0
 その後の反応を見ていても分かるし、彼は自分とは違い本当の子供なのだ。
 今日の一件はやりすぎではあったが、それでも子供じみたイタズラには変わりなかった。
 それが切欠で命の危機に晒され、救ってくれた人は今も窮地に追い込まれているとしても、
あんな所にモンスターがいたのは彼のせいじゃない。

 ――そもそも甘く見ていた自分の油断が原因だ。

 戦えるなんて思ってキャタピラーに挑まずに、始めから彼を引きずってでも逃げることに専念していれば
暴れ猿に会わずに済んだかもしれない。
 切欠はどうあれ、こんな事になったのは自分の責任だ。
 なのに、彼には本来自分がするべき事まで結果としてやってもらった。
 ……正真正銘の子供に、だ。
 だから、自分には礼を言う義務がある。
 もう一度頭を下げた。
 傍から見れば滑稽だろう。
 こんな時に二人して謝って、無言のまま動かないのだから。
 でも、それは自分たちには必要なコトだったのだ。
 ガシャガシャと鎧が擦れる音を立てて兵士達が集まり始めた。


191 :シャルルT. 26/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:31:32 ID:Hk62CTjD0

「兵達が来るぞ」
 言外に、もう行け。とサティロスは言う。
 その通りだ、自分はあの森まで兵士達を連れて行かなければ。
 頭を上げてくるり、と踵を返し兵士達の方を向く。
 背中に言葉が投げかけられた。

「必ずローランを連れて戻って来いよ、――――お前の父にも謝らなければならないんだから」

 無言で歩き出す。
 サティロスは、今度は返事をしなくても怒らなかった。




192 :シャルルT. 27/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:34:12 ID:Hk62CTjD0
 兵士達の鎧が当たる音が警鐘のように頭に鳴り響く。
 森への道を兵士達と駆ける。 
 完全武装とはいえ訓練された大人のペースで走り続けて汗は滝のように流れ、心臓は今にも破れそうだ。
 だが、そんなもの。
 今も窮地にいるローランと比べれば無いに等しい負荷だ。
 犬のように口を開けた。
 汗と共によだれを垂れた。
 もつれそうになる足を、無理やり前に出す。 

 ――走る。

 それがどんなに無様でみっともない姿でも。
 その程度で間に合うのならば。

 ――それが自分に出来る、ただ一つのことならばせずにはいられない――



193 :シャルルT. 28/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:35:55 ID:Hk62CTjD0

「――――――――――――」

 そうして辿り着いた森で見た彼の姿に目を奪われた。
 彼は体中に細かい傷は負ってはいる、しかし。
 あれだけいた暴れ猿達は、そのほとんどが森の所々に伏し、物言わぬ骸となっていた。
 ローランは剣士だ。
 魔法は使えず、平時であったため身を守る頑強な鎧も、攻撃を受け止める盾も持っていない。
 薬草など有るはずも無く、持っていても一対多の戦闘では使えまい。
 一度でも足を止めたならば数の暴力に飲み込まれる。
 そして回復もままならないまま死を迎えるだろう。
 故に、持っていたとしても使えない。
 だがそれは一度も大きな傷を負わずに避わし続けると云う事だ。

「――――――――――――」

 兵士達も、自分も言葉が無い。
 それはそうだ、避わすだけでは相手は倒れてはくれない。

194 :シャルルT. 29/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:38:43 ID:Hk62CTjD0
 しかし、その回避すら不可能に近い。
 だが。現実に暴れ猿達の大半は息絶え、残るは五匹。
 一体誰がこの結果を予想できよう―――――――――!?
.

 ローランが疾風のごとく駆ける。

 一匹目、向ってくる相手とすれ違い様に一閃。攻撃してきた腕ごと切り落とした。

 二匹目、左斜め後方よりの腕の振り下ろしを低い姿勢でかい潜り、剣を穿つ。
     反転、そのまま剣を背負い投げの要領で切り上げる。

 三匹目、体当たりを狙った突進を回転する足捌きのみで避わし、後方から挟撃を試みようとしていた四匹目にぶち当てる。
     回転の勢いも加え跳躍、三、四匹目の丸太ほどはありそうな首をまとめて斬り落とした。

そして五匹目、一番奥に陣取り動かない相手をローランはキッと見据え、剣を下段に構え一直線に駆け寄り、最後の一撃を解き放つ。
 それは確実に相手を捕らえ――――空を切った。




195 :シャルルT. 30/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:40:28 ID:Hk62CTjD0

 ――相手は黒い、怪しい影となり、霧散した。

「なっ―――――?!!」

 ローランが息を飲み驚く。
 その場に居た者は皆、同じ気持ちに違いない。
 唯一の例外、影が再び集まり姿を現した敵。――アークマージ以外には。
 そのアークマージの両手には剣呑な光が集まっていた。

「――――イオナズン」

 力ある言葉が静かに紡がれ――光と共に、世界が炸裂した。
 生じた爆発は木々と人の区別無くことごとくをなぎ倒し、遅れてやってきた熱が追い討ちをかけるように全てを焔に包んでいく。
 閃光の中、馬鹿になった目で暴れ猿の死体が燃え上がるのを見た。
 隣にいた兵士の肉が鎧ごと焼け焦げる匂いを嗅いだ。


196 :シャルルT. 31/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:42:05 ID:Hk62CTjD0
 ただの人間、それも子供がこの炎獄の中で生きていられる道理は無い。
 白に染まった視界に引きずられるように、意識もまた白に染まろうとしたその時、自分に覆いかぶさる温もりを感じた。
 熱いはずの焔の中、尚暖かいと感じたソレは自らを盾としたローランだった。

「あ、どう、して。なん……で? 」

 頭が廻らない。
 ――何故。この人は。
 自分とサティロスを救う為に、たった一人で暴れ猿の群れ戦った。
 自分をイオナズンから守る為に、その身を盾とした。

 ――――何故、そこまで出来るのか――――?

 閃光が収まり静けさをかって森だった場所は取り戻す。
 ローランは意識を失っていた。
 否、そんな生易しい物ではない。
 ローランの体は無事な所など探す方が難しい、肩まであった髪は焼け焦げその殆どを失っている、
衣服はボロボロ、自分を抱きかかえている腕や背中は見れば炭化している箇所すら珍しくない。

197 :シャルルT. 32/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:44:35 ID:Hk62CTjD0

「なんで……どうして……そんなにボロボロになってまで……」

 答えは無い。

「――答えて、くれ。どうしてっ、そんなにボロボロになってまで俺なんかを守ろうとしたんだ!! 」

 やはり答えは無い。
 代わりにカンに障る声でアークマージが口を開いた。

「――ほう。子供が一匹燃え残りましたか……。まあ、良いでしょう、此方の損失分の元は取りました」

 ――やめろ。

「魔王バラモス様に楯突く人間どもの剣豪一人とこの程度の数の下等モンスターとなら……交換してお釣が来ると言う物です」
 
 ――――やめろ。



198 :シャルルT. 33/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:46:37 ID:Hk62CTjD0

「さて、そこの子供(ゴミ)。……気分はどうですか? 何も出来ない自分の非力さを味わった気分は? 」
 
 ――――――やめろ。

「いや、何も出来ないという訳ではありませんでしたねぇ。意図しなかったとはいえこの男を始末できた最大の功労者は
――あなたでした」

 ――――――――やめろ。

「礼を言わせて貰いますよ……クッ、ククッ、フッ、ハハハハッ――――! 」

 その、耳障りな声を――――――――「やめろってんだ――――――!! 」

 体の底から声を張り上げ、アークマージを睨み付けた。

「ククッ、おや?――良い目をしていますねぇ。自分の至らなさと無力さがそんなに憎いですか?」
 歯を食いしばって、筋が切れるんじゃないかという位強く力を込めて、手を握り締めた。


199 :シャルルT. 34/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:49:48 ID:Hk62CTjD0

「フフフッ、あなたは生かしておくことにします。絶望は魔王様の望み、――精々後悔の檻に囚われて生きなさい」
 では、と言い捨ててアークマージは去っていった。


 
 悔しいけどヤツの言うとおりだ。
 自分の甘さからこんな事になった。
 もし、自分の力を過信せずにいれば、
 もし、キャタピラーから逃げていれば、
 もし、問い詰められた時勇気を出して答えていれば。
 ――こんな事にはならなかった。

「ちく、しょう」
 知らず声が漏れた。
 自分が憎い。
 自分のせいで、この人を失ってしまった。
 自分のせいで、家族もいただろう兵士の人たちも殺してしまった。


200 :シャルルT. 35/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:50:52 ID:Hk62CTjD0
 もし神様がいるのなら、何の為にこんな自分を送り込んだのか。
 成しえた事は何も無く、撒き散らした物は不幸だけ。
 涙が堰を切ったかのように溢れ出す。
 
「チックショーーーーー!!! 」
 
 湧き上がって来るモノを吐き出すよな慟哭は、いつの間にか陽が傾きかけた
 空に飲み込まれ、消えていった。

 

201 :シャルルT. 36/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:52:25 ID:Hk62CTjD0
 ゆらゆらと蝋燭の光が揺れる。
 自分は夜の帳が下りる頃、宿屋に戻って来ていた。
 あれから爆音を聞きつけた人々が集まって来るまでローランを抱えたまま泣き続けていた。
 ――ローランはまだ僅かに息が合った。
 あの場っで生き残った者は自分とローラン二人だけ。
 何があったのか聞いてくる人々を押し分け、集まった人々の中にいた神父が回復魔法を掛け続けてくれたのだ。
 そして薬が有ったここに運び今に至る。

 部屋の中にはローランと神父、そして自分。
 ベットに寝かされ体中を包帯でグルグル巻きにされたローランに、神父は今も玉のような汗を浮かべて回復魔法を掛け続けていた。
 その甲斐があったのかローランの閉じたままだった瞼がぴくりと動き、やがてゆっくりと開いた。

「ここ、は? 」

 傷が痛むのか顔をしかめながらローランは口を開く。
 亡くなったと思った人が生きている。
 それはなんて喜びだろう――良かった。心からそう思えた。


202 :シャルルT. 37/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:53:29 ID:Hk62CTjD0
 ――決心を固める。
 伝えないといけない真実があった。
 言わなければならない言葉があった。
 自分はこの人に与えられてばかりで、何もしていない。

 ――返さないと。
 例え、その結果がどんなことになっても――言わないといけない。

「――――――――――」
「――――――――――」

 ローランと視線が合う。
 ローランは瞳から意思を汲み取ったのか、神父の方を見て言った。

「神父、済まないがもう良い」
「! で、ですがあなたの体は「息子と話がある、席を外してくれないか」――ッ! 」
 神父の言葉を遮るようにローランは口を開いた。
 暫くの間迷っていた神父だったが、やがて静かに席を立ちローランに告げた。

203 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/28(水) 18:55:22 ID:MU4x32+H0
私怨
…間違えた、支援!

204 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/28(水) 18:56:52 ID:MU4x32+H0
アゲてしまった
ごめん

205 :シャルルT. 38/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:57:11 ID:Hk62CTjD0

「……一刻(三十分)だけです。貴方は今だ回復魔法でも癒しきれない程の重態です。 それに貴方は祝福を受けていない。
 一刻を過ぎたら問答無用で眠っていただきます」
「承知した」
 短くローランは答え、神父は部屋を出て行った。

「――さて、話を聞かせて貰おうか」
 そして話し始めた、二十日前自分に突然起きた出来事を――

 精神がこの世界の人間ではないこと、
 元の世界で剣を学んだこと、
 目覚めたらシャルルとなっていたこと、
 どうしてそうなってしまったのか原因もわからないこと、 
 せめて少しでも情報が欲しくて図書館に通っていたこと、次々と包み隠さずローランに話した。
 そして――ああこれだけは言わないと。

「ごめんなさい。……貴方の息子を奪い、貴方の息子とこの二十日間偽った。――それと、ありがとう。貴方に何度も救われた」

206 :シャルルT. 39/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 18:58:49 ID:Hk62CTjD0

「……一刻(三十分)だけです。貴方は今だ回復魔法でも癒しきれない程の重態です。 それに貴方は祝福を受けていない。
 一刻を過ぎたら問答無用で眠っていただきます」
「承知した」
 短くローランは答え、神父は部屋を出て行った。

「――さて、話を聞かせて貰おうか」
 そして話し始めた、二十日前自分に突然起きた出来事を――

 精神がこの世界の人間ではないこと、
 元の世界で剣を学んだこと、
 目覚めたらシャルルとなっていたこと、
 どうしてそうなってしまったのか原因もわからないこと、 
 せめて少しでも情報が欲しくて図書館に通っていたこと、次々と包み隠さずローランに話した。
 そして――ああこれだけは言わないと。

「ごめんなさい。……貴方の息子を奪い、貴方の息子とこの二十日間偽った。――それと、ありがとう。貴方に何度も救われた」

207 : ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:01:12 ID:Hk62CTjD0
ゴメンミスった。

208 :シャルルT. 39/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:03:08 ID:Hk62CTjD0
 そう言って頭を深々と下げる。
 これで与えられたモノを返せたなんて気はしていない。
 でも、これが今の無力で情けない自分に出来る唯一だった。

「……一つ。一つ訊く、何故キャタピラーに立ち向かった」

 眉間に皺を寄せながら黙って話を聞いていたローランが口を開いた。
 ずきり、と胸が痛んだ。
 ローランの痛々しい姿はそのせいだ。
 でも答えないと、せめて今からでも勇気を出さなければ。

「……それは、自分の力を過信して「そうではない」――え? 」
「何の為に、何をする為にキャタピラーに立ち向かった? 」

 こちらの返事を遮ったローランが重ねて訊いて来た。
 何の為って、あの時は――


209 :シャルルT. 40/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:04:59 ID:Hk62CTjD0
「守ろうとしました」
「あの貴族の少年――サティロスをか? 」
「はい」

 そうあの時パニックになったサティロスを守ろうとした。
 だけど、それが何だと言うのだろう。
 結果として最悪の事態を自分は招いてしまった。
 ――あのアークマージの言う通りに。
     
「それで良い」
「は? 」
「それで良い、と言ったのだ。お前は守ろうとしたのだろう? ならば結果がどうあれ、お前は間違っていない。
 ――剣とはその為に取るモノなのだから」

 お前は正しい。そうローランは言った。

 ――何て人だろう。
 自分が全身にこんなひどい怪我を負って、その原因にそんな事が言えるなんて――本当になんて人だろう。

210 :シャルルT. 41/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:06:45 ID:Hk62CTjD0

 脳裏にキャタピラーから救ってくれた時のこの人の背中が浮かんだ。
 あの時に覚えた気持ちが、どちらから出たかなんて――関係無かった。
 例えこの身が覚えた物だったとしても、心もこの人に惹かれたのだから。

「お前の名は? 」
「サトウ、佐藤大介といいます」

 しっかりと目を見て答えた。
 では、とローランは続ける。

「サトウダイスケ、君が元いた世界に帰る方法を探せ。……出来るならシャルルの精神を救う方法も探してくれ」
 そう言われて頷く。

「――ああ、それと。サトウダイスケ、君を私の息子として認める。
 帰るまでで良い。私の後を継いで、領主となれ、騎士となれ。解らぬ事はカザーブの城にオリビィエと言って妻がいる、彼女に訊け」
「なっ!! 」
 驚きだった。

211 :シャルルT. 42/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:08:48 ID:Hk62CTjD0
 息子として認めると言ったのもだが、――何で、これで最期みたいな口ぶりなのか。

「何故そんな言い方をするんです!? 」
 思わず横たわるローランに詰め寄る。
 ローランは視線を外し、天井を仰ぐようにして言った。

「ああ、私はもう長くない」
「な、ならすぐに回復魔法を――」
 すぐに神父を呼んで来ようとして、腕を掴まれる。
 その力はもう長くない、と言った人間の者とは思えなかった。それに振りほどくことが出来ない意思を感じた。

「……私は、祝福を受けていない。祝福を受けていない者は蘇生する事は無い。それに回復魔法でもこの傷では二度と……剣は握れまい。
 ――頼む、息子よ。剣士として、騎士として……子を守った父として死なせてはくれないか」



212 :シャルルT. 43/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:10:05 ID:Hk62CTjD0
 騎士としての矜持だろうか。正直、自分には分からない。
 ここで掴まれた腕を無理にでも振りほどいて、神父を呼べばこの人の命は助かるだろう。

 命より大切なものなんて無い……でも、それは――正しいのか?
 この事態を引き起こした自分の事を、正しいと言ったこの人に――報いることなのか? 

「サトウ、私の剣を此処に」

 黙ったまま答えない自分の腕を放し、ローランは言う。
 迷いながらも言われた通りに彼の十字を施した剣を持ってくる。
 剣を手に取ったローランは、戦いの時の動きなど見る影もない生まれたての小鹿のような動きで半身を起こした。

「私の前に跪け」 

 言われ跪いた肩に抜き身の刀身がとん、と当てられる。
 剣にはあれだけの戦いの後でも刃こぼれ一つ、曇りの一つも無い。
 しばらくそのままで静止し、ローランが口を開く。


213 :シャルルT. 44/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:12:50 ID:Hk62CTjD0
「弱きを守るのだ。力なき民を守るのだ。常に正しき道を歩め。虐げられた人々を救い、闇を晴らせ。
 ――私の息子よ。
 お前のその四肢は、その血潮は、そしてその心は。――今この時より、その為に在れ」
   
「この剣を持て」
    
 おもむろに差し出された抜き身の剣を、そのまま両腕で抱えるように抱きしめた。
 くしゃり、とローランは満足そうに頭を撫でてきて、最初にこの世界で目覚めた時のような嬉しそうな笑顔を見せた。

 ざあざあと木の葉を揺らして風吹き明かりが消えた。

「それで、こそ……わた、しの……わた、しの、あい、する、む、す、こ――――」
   
 それが最期。

 笑顔のままでローランは逝った。
 託された剣を抱く腕に力が入った。


214 :シャルルT. 45/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:14:26 ID:Hk62CTjD0
「――――――ちかう、から」だから、と言いかけて止めた。
 それは違う、と思ってしまった。
 この人は己が息子に騎士の剣(ちかい)を託して笑顔で去った。

 ――この人に報いるなら。

 ――何度も救ってくれた、息子と呼んでくれた、許してくれた人に報いるのなら。

 ――託された誓いを貫き通す。

 そうしなければこの人の笑顔を汚してしまう。
 自分の息子がいなくなって平気な親などいる筈が無い、その心中は如何程のものだっただろう。
 それでも。
 この人はわが子を奪った人間を息子と認め、笑って逝ったのだ。

 ――その想いを汚すことだけは絶対にしてはいけない。

 だから。

215 :シャルルT. 46/46 ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:17:49 ID:Hk62CTjD0
 自分が言うべき言葉は、この人の生を願う言葉じゃない。
 ――――この人の想いに応える言葉こそ、言うべきなのだ。
 立ち上がり、去った人を見据え、剣を捧げる。

「――――誓う。今、この時、この瞬間より佐藤大介は、シャルルの精神を救うまでローランの息子として弱きを守り、力なき民を守り、
常に正しき道を歩み、闇を晴らすと。――父、ローランに己が全身全霊を以って誓う」

 返る言葉は無い。
 当然だ、去った人が応えるという定理はどこにも無い。
 それに、返事(えがお)は既に貰っている、ただ自分がすべき誓いを遅れて口にしただけ。
 重い剣(つるぎ)を握る手を固く、固く握り締めた。

 ――この剣の重さに負けない自分に。必ず、なる。

 月明かりすらない闇の中。
 剣は鈍く。だが、確実に輝いていた――――
 

216 : ◆zu/zVku.Kc :2006/06/28(水) 19:18:38 ID:Hk62CTjD0
投下終了。以上です。
御免なさい投下ミスしてしまった……orz
>>206は脳内消去の方向でよろしくお願いします。


217 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/28(水) 19:56:11 ID:0G8PvIvT0


218 ::2006/06/28(水) 20:03:54 ID:vhr/LRSmO
そっこ〜自分が主人公か調べる

219 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/28(水) 21:02:50 ID:2+hutyKdO
おー、お疲れ様ー
かなり読み応えがありました

220 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/28(水) 21:44:36 ID:+2ddTIFRO
乙だねェ

221 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/28(水) 22:25:18 ID:iREgOkXB0
超面白
これだからこのスレはやめられない

222 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/29(木) 00:46:23 ID:eygBUBtCO
シャルルさん乙。
単発で終わると思ったんだがすげー更新されましたなぁ。
ダイスケがどういう展開になっていくのが楽しみです。

223 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/29(木) 09:23:19 ID:aqffZKU00
シャルル氏乙。とてもよかったです
ぐいぐい引き込まれました

224 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/29(木) 14:43:49 ID:e1Isa8Qv0
もっと短くできんもんかねぇ

225 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/29(木) 15:32:19 ID:yuUkBMTFO
頭悪い子ハケーン。

226 :224:2006/06/29(木) 15:41:58 ID:z5PLjJnu0
>>18

227 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/29(木) 16:05:11 ID:FTVj7ZSHO
色々なスレがあるんだな


228 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/29(木) 16:29:18 ID:mJXj1Cd90
>>226
いわゆる日本語でオkというやつか

229 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/30(金) 21:08:35 ID:0PrSc3P+O
保守

230 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/01(土) 00:29:07 ID:tMTM+C4V0
>216
今更ですが乙です。

展開良し、文体もお気に入り。そしてボリューム大とかなりいい感じです。

ですが…パナマ上陸とか航宙自衛隊とか突撃し続ける三州公とか言いたくなるのは何故でしょうか。(最後の一字が違うが)

231 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/01(土) 09:13:24 ID:krEl1sQD0
ドラクエ自衛隊とか妄想してみる

232 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/01(土) 09:53:16 ID:q6XuHz6q0
>>231 こんな感じ?
http://jbbs.livedoor.jp/movie/4152/fjieitai.html

233 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/01(土) 17:17:40 ID:bD+EsNcA0
>>232
うはwwwそんなスレあったのかwww

234 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/01(土) 17:31:40 ID:tMTM+C4V0
まあ似たようなことを考えるヤツは居るわけで…

235 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/02(日) 22:42:41 ID:7xYBOQe4O
ほす

236 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/07/03(月) 09:49:12 ID:/7h50aHS0
俺達は港町ルプガナに到着した。結構大きな町で結構人が歩いていた。
しかし、シャールが俺達に護衛を頼むって言う事は何かあったのだろうか?

シャール「ありがとう。無事に町に着く事ができたよ。」
 サマル「何事も無くて良かった。」
  もょ「まずはムーンをやどやにはこんでそれからこんごのことをかんがえるか。」
  リア「シャールさん、宿屋はどこにあるの?」
シャール「わしが知っている所に連れて行ってあげよう。」

シャールはそう言うと俺達を案内し始めた。案内された宿屋はローレシアやサマルトリアの宿屋も大きな建物だった。

 サマル「で、でっかいなぁ…」
  リア「結構高そうじゃない?」
シャール「この町は色んな国から旅人や商人が集まってくるからここは大衆向けの宿屋なんだ。料金はそんなに高くは無いぞ。」
  もょ「なにからなにまでありがとうございました。」
シャール「護衛をしてくれたお礼だ。わしもやっと娘に会いにいけるからな。」
 サマル「へぇ、そうなんですか。」
シャール「ああ、機会があったら是非わしの家にも来てくれ。後、薬を買うとしたら必ずわしの所に来るようにな。」
  リア「シャールさんって商売上手だね。」
シャール「こりゃ可愛いお嬢さんに一本採られたか。ハハハ…」

シャールはそう言いながら町の方へ戻っていった。


237 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/07/03(月) 09:50:36 ID:/7h50aHS0
 もょ「さて、どうしようか?」
サマル「まずはムーンが目を醒めるのを待つ事だね。」
 リア「ムーンさんが起きるまで休憩だね。」

うーん、このままではおもろーないわ。――――――――――ここは一発かき回すか。
  
 タケ「サマル。留守番を頼めないか?」
サマル「どうしたんだい?もょ?」
 タケ「リアちゃんとちょっと町をブラって回りたいからさ。」

 もょ「(お、おい!タケ!い、いきなりなにいっているんだ!?)」
 タケ「(まーまーここは俺に任せておけって。)」

サマル「えーっ?でも………………」
 タケ「もっとこの町の情報を知りたいからな。それに男一人で動き回るよりもリアちゃんと一緒の方が効率が良い。」
サマル「わかったよ………じゃあ行っておいで。」
 タケ「なら決まりだな。リアちゃん、行くぞ。」
 リア「うん!」

よしよし俺の思惑通りに行ったで。さぁ!!!イッツ・ア・ショウタイムや!!!

 タケ「(もょ。ついに初デートやな。)」
 もょ「(か、か、かってにはなしをすすめるなよ!)」
 タケ「(あのなー、もょも男ならこのチャンスをモノにしろや。まぁ、頑張れ。ひひっ。)」
 もょ「(お、おい………………よわったなぁ……………)」 
 リア「もょもとさん。はやくぅ。」
 もょ「あ、ああ………」


238 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/07/03(月) 09:51:31 ID:/7h50aHS0
ドッキン、ドッキン――――――――――もょもとがすごく緊張しているのが良く分かる。

 リア「もょもとさん。どうしたの?」
 もょ「な、なんでもないぞ。」
 リア「耳まで真っ赤っ赤だけど大丈夫?」
 もょ「だ、だいじょうぶだぞ。と、とにかくいこうか。」
 リア「あっちの方に行ってみようよ。」

リアがもょもとの手をつなぎ、引っ張っていった。

 タケ「(もょ、どないや?)」
 もょ「(き、きんちょうしてどうすればいいのかわからないな…)」
 タケ「(ホンマに奥手やな〜。変に気持ちを入れ込む必要はないんやで。」
 もょ「(あ、あたまではわかっているんだが…)」
 タケ「(普段通りにしとけばええやん。俺も流石にイキナリ決めろって言っているんやないで。)」
 もょ「(そ、そうゆうものなのか?)」
 タケ「(ああ、何でも時間をかけて成長しやんとアカンやろ。剣も恋愛もな。)」
 もょ「(だ、だからなにいっているんだよ!!)」
 タケ「(もょ必死やなwwwwwwwwほらほら、リアちゃんが呼んでいるで。)」

 リア「もょもとさんボーッっとしてどうしたの?」
 もょ「ああ、ごめんごめん。さぁいこうか。」

俺は何も口出しせずにもょもととリアのやり取りを見ていた。


俺にもこうゆう事をしていた時があったっけ……懐かしいな……
まぁ、今は感傷にひたってもええやろ…



239 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/07/03(月) 09:53:07 ID:/7h50aHS0
しばらく町を歩いて情報収集していたら、いろんな情報が集まった。
その内容は

・ルプガナから北東に向かうとラダトームの城があるのだが定期船の運行が中止になったらしい。
・しかもラダトームはロトの子孫アレフの故郷。
・ある富豪が嵐に巻き込まれて財宝を海底の底に沈んでしまった。
・シャールがルプガナに2年ぶりに帰ってきた。

 リア「う〜ん・・・・船が要るみたいだね。」
 もょ「ていきせんもないからふねをかりることがひつようだな。」
 リア「シャールさんに頼んでみようよ!」
 もょ「そうだな。とにかくなにもしないよりはこうどうをとることにするか。」


もょもと達はシャールの店に向う事にした。

シャールの店に入ろうとしたら怒鳴り声が聞こえた。

   *「バカタレ!今頃に何しに帰ってきたんじゃ!この放蕩息子が!!」
シャール「悪かったよ。親父。だから誤っているだろう?」
   *「自分の娘を2年間もほっておいた父親にそんな事言える立場ではないわ!」
シャール「マリンには申し訳ない事したって思っているよ。だから帰ってきたんだ。」
   *「屁理屈言うとる奴なんかウチの敷居を跨ぐ事など許さないんじゃ!!出て行け!!」
シャール「ああ、わかったよ。このクソ親父!!」

シャールが勢い良く店から出て行った。ヤケになってたのかもょもと達に気がつかなかったみたいだった。

  リア「ど、どうしたのかなぁ…シャールさん…?」
  もょ「とにかくはいってみよう。」

数分後もょもと達は店に入った。

240 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/07/03(月) 10:02:46 ID:l9yJ9+n20
数分後もょもと達は店に入った。

もょ「こんにちは。」
 *「やぁ、いらっしゃい。」
もょ「じょうやくそうを3ついただけませんか?」
 *「上薬草?生憎ウチではとりあつかっておらんのぉ。」
もょ「そうですか…」
 *「お客さんすまんのぉ。ワシの息子なら作れるんじゃが…」
もょ「シャールさんのことですね?」
 *「………………………………………なぜワシの息子を知っているんじゃ?青年。」
もょ「シャールさんがくださったじょうやくそうでわたしをたすけていただいたのです。」
 *「そうじゃったのか………」

老人が納得した表情で答えた。

もょ「シャールさんはどこに?」
 *「どっか行ってしまったワイ。行き先は見当が附かないんじゃ。」
もょ「そうですか…」
 *「しかし青年よ。シャールに何の用事だったのじゃ?」
もょ「ラダトームにいきたいのですが、ていきせんがちゅうしになったので、ふねのことでそうだんしにきました。」
 *「そうだったのか…力に馴れなくてすまんのぉ。」

店の奥から女の子が出てきた。

241 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/07/03(月) 10:04:26 ID:l9yJ9+n20
 もょ「このこは?」
  *「ワシの孫のマリンじゃ。マリン、あいさつしなさい。」
マリン「こ、こんにちわ。」

女の子は元気が無さそうに挨拶した。シャールとじいさんの口論を見て凹んでいるのだろう。

 リア「こんにちはマリンちゃん。私はリア。よろしくね!」
マリン「………………………………」
 リア「マリンちゃん、お姉さんと一緒に遊ぼうか?」
マリン「う、うん!」

マリンの表情が一瞬だが嬉しそうな表情をした。やはり、リアには人を元気つけさせる力がある。

 もょ「かってにしては………」
 タケ「行っておいで!気をつけてな!」
 リア「ありがとうもょもとさん!マリンちゃん行こう!」

リアとマリンが店から出た。


242 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/07/03(月) 10:06:11 ID:l9yJ9+n20
 *「大丈夫ですかの?」
タケ「リアなら大丈夫ですよ。彼女は少しながら呪文も使えます。それに剣術も中々の腕ですよ。」
 *「まぁ、青年が言うなら安心じゃの。」

もょ「(いまのはとめたほうがよかったんじゃないのか?)」
タケ「(リアちゃんは自由に伸び伸びさせた方ええで。その方があの娘にとってプラスになるわ。)」
もょ「(こんきょはあるのか?)」
タケ「(サマルと一緒におる時と今と全く表情が違うからな。今の方が生き生きしとるよ。)」
もょ「(う〜ん…そこまではみぬけなかったな。)」
  
もょ「おじゃましました。」
 *「明日またきてくだされ。シャールの事で何か分かったら報告させてもらいますわい。」
もょ「しつれいします。」

俺達は店を出た。 

もょ「これからどうする?」
タケ「宿屋で夜を待つ事にするか。まぁ、のんびりしようや。今日は疲れたで。」    
もょ「じゃあやどやにいくか。」
タケ「おう。」

Lv.15
HP:91/105
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜 
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:はやぶさ斬り・魔人斬り
タケ専用  :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御


  

243 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/03(月) 12:18:55 ID:IG/mjASdO
タケ乙!
ルプガナにとうとう着いたか〜。
ここから世界が広がってゆくよな…。
ムーンに照れてるもょカワイスwwともかく乙!

244 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/03(月) 12:21:10 ID:IG/mjASdO
スマン、レッドマン氏だった…。
乙!

245 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/03(月) 12:22:28 ID:IG/mjASdO
再度すまない、リアちゃんだった…。
逝ってくる

246 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/03(月) 12:40:28 ID:45sTEGkAO
レッドマン
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
いなくなったと思ったぞ。とにかく乙!

247 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/04(火) 07:49:37 ID:LoPYaCWz0
シャルル・レッドマンGJ!

他の職人さんが戻ってくる起爆剤になろそうだな。

248 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/04(火) 07:50:42 ID:LoPYaCWz0
×なろそう
○なりそう

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