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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/11(土) 21:30:54 ID:2kKEOzWo0
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

・スレの性質上1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら五泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1134827399/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/

199 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 21:27:44 ID:5fJCFl0l0
4の人マダ〜!

200 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 21:50:44 ID:BAM+iEne0
>>199
ageんな
無理言うな
マナー弁えろ

201 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 22:02:03 ID:5fJCFl0l0
>>200
お前、何様?
お前みたいな奴がいるからスレが荒れるんだよ
死ね

202 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 22:36:35 ID:UvRauvkaO
>>201はsageる方法が分からないだけなんです。皆さん、いじめないでやってください。

203 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 22:43:07 ID:DjE64G+1O
>>165みたいなのが煽ってるだけだと思うけど。

まあそんな事どうでもいいんだけどさ。

204 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 22:56:25 ID:5fJCFl0l0
>>200
なんだよ、ちょっと反論されただけで黙っちまうのか
そんなんなら最初から絡んでくるなよ
こっちはてめぇからのレスなんかいらねぇんだ
いいか、お前みたいな奴がスレの雰囲気を悪くするんだ
そこんところをよく覚えとけ、たわけが
>>202-203
>>200の奴が俺こそが正しいみたいな言い方するからちょっと怒ってやっただけだよ
全ての責任は>>200にある
まあ、こいつが反省するようなタマとは思えんが

205 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 23:00:23 ID:c8Im4s/K0
責任はすべて投稿者自信が負わねばならぬ。

206 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 23:09:24 ID:VGoXZsMe0
急かすと逆にやる気失せたりするから気長に待て。
忘れた頃にうpされてたりするもんだ。
だが、それよりも、だ。
まずsageを覚えて来い、話はそれからだ。

207 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 23:10:38 ID:Ewe+fW2OO
保守乙です
FF12スレ乱立はまだ落ち着かないかな?
もしかすると私の投下方法(アップロード)や内容が不評だったりスレ違いになっちゃってるかもしれないけど、完結まで大筋は出来ているのでもうちょっとお付き合い下さい と酔った勢いで保守しておきます。

208 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 23:20:33 ID:lCYjhIyfO
>>タカハシ氏
無問題です。乙かれ。

ID:5fJCFl0l0はただの構って厨だろ?明らかに釣りじゃんか。もう反応しなくていいよ。

209 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 08:42:28 ID:OYSFxdV80
保守

210 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 09:23:38 ID:2nMTTgFc0
ムーン「ここはムーンブルグの城よ…今は壊滅してしまったけど。」
  ?「ムーンブルグ?……聞いた事は無いな。」

この男は現状が全くわからないという雰囲気がある。もしや・・・・・・・・

 タケ「なあ、あんた。今から言う言葉に心当たりはないか答えてほしい。」
  ?「別に構わないが…」
 タケ「ローレシア、ハーゴン、サマルトリア、ローラの門、ムーンペタ。」
  ?「………すまないがわからない。それはどこかの地名か人物名か?」
ムーン「もょもと、貴方は何をしようとしているの?」
 タケ「なーに、簡単なテストみたいなもんよ。」

やはりこの男も別世界から来た人間だ。

 タケ「あんたは多分、自分の世界の価値観と今の世界の価値観に戸惑う事になると思う。」
  ?「なんだって?一体どういう事だ?」
 タケ「質問するがあんたはどこで眠っていたとか覚えているか?」
  ?「仲間たちと明日に備えてとある町の宿屋で休んでいたのだが…」
 タケ「やはりな。人知を超えた力があんたをここに呼び寄せたんだ。」
  ?「な、なんだと!?あんたなんでそんな事が言えるんだ?」
 タケ「この世界の人間なら今言った地名や町がだいたい分かるはずなんだ。それが分からないとなると、
     ただの馬鹿か全くこの世界を知らない者となる。違うか?」
  ?「へぇ、なかなか頭が切れるな。あんた。」
ムーン「じゃあこの人は別世界の人間って訳!?」
 タケ「そういう事になるな。」

まさかスレの住人がここに来たのか?いや、スレに住人ならいきなりバギマやマジックバリアなど高度な呪文は使えないはずだ・・・・
別のドラクエの世界の住人か?



211 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:24:46 ID:2nMTTgFc0
ムーン「しかし、私達の世界の他にも別の世界があるなんて…信じられないわ。」
  ?「俺も信じたくないくらいさ。失礼だがあんたらの名前を教えてくれないか?呼びにくいものがある。」
 タケ「それもそうだな。俺の名前はもょもと。こっちの女性はムーンだ。」
  ?「俺も名乗っておこう。そうだな………レオンって事にしといてくれ。」
ムーン「……本名は言いたくはないみたいね。もょもとがきちんと紹介したのに。バッカじゃないの!?」
レオン「悪いが今のあんたらは信用できない。」
 タケ「ムーン、やっきになるな。」
ムーン「でも失礼じゃない!?いくらなんでも人をなめ過ぎよ!」
 タケ「レオンはいきなり知らない世界に来たんだ。警戒するのは無理もない。」
レオン「じゃあ質問をするがもょもとはそんなに冷静なスタンスをとれるんだ?」
 タケ「これっと言った理由はない。」

実際俺も別世界の人間だからこんな事も言えるんだけどな。
しかしレオンからは殺気などが感じられないが情報が少なすぎる。敵どうかはまだ分からないって事か。



212 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:25:42 ID:2nMTTgFc0
レオン「ふん…しかし、ここは戦場の跡地だったみたいだな。」
ムーン「………………………………………………」
 タケ「ハーゴンの野郎が世界を滅ぼそうとしているのさ。この世界では。」
レオン「それなりの事情があるのか?そのハーゴンって奴は。」
 タケ「ああ。ハーゴンの手下から無理矢理喋らせた内容では新しい宗教団体を自ら立ち上げたらしい。」
レオン「宗教か…何かひっかかるな。」
 タケ「しかもムーンブルグはハーゴンの軍団に滅ぼされた…しかもムーンはここの王女様だ。」
レオン「な、なるほど………………そうだったのか………………」
ムーン「何話しているのよもょもと。勝手にべらべら話さないで。レオンには関係ないことでしょ。」
 タケ「す、すまん………………」
レオン「……………………………………………決めた。」
 タケ「ど、どうしたんだ?」
レオン「あんたらについていこう。この世界のことは全く分からないし。多分俺の仲間達もこの世界に来ているかもしれない。それに……」
ムーン「な、何なのよ………………」
レオン「可愛い王女様と一緒に旅できるのならそれはそれで楽しみだしな。」
ムーン「はぁ!?ふざけた事は言わないで!!!」
レオン「ムーン、俺は貴方の騎士になりたい。」
こいつ洋画みたいなセリフばっかり言いやがって……………なんか腹立つわぁ〜……………

 タケ「レオン。お前変わった奴だな〜」
レオン「そうか?可愛い女性がいれば即効アタックするのが俺の美学よ。」
ムーン「あんたなんか恋愛対象としては全くの対象外だわ。」

おお!ムーン。良く言ってくれた。さすが女王様!……………じゃなかった。一国の王女様。しかしレオンの行動力は羨ましい限りだ。


213 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:26:35 ID:2nMTTgFc0
レオン「だが、その前に………………」
ムーン「何よ?」
レオンは剣を抜き出した。

レオン「もょもと。俺と決闘をしてもらう。」
 タケ「いきなりどうしたんだ?」
レオン「あんたがハーゴンって奴に立ち向かう価値があるのか俺が試してやる。」 
ムーン「そんなの卑怯よ!もょもとは貴方と違って全く呪文が使えないのよ!!」
 タケ「弁明はしなくていい。ムーン。」
ムーン「で、でも格好つけている場合じゃないわよ!!」
 タケ「言葉が悪いが俺達の邪魔する奴らは蹴散らさないと前には進めないからな。力でねじ伏せるのもいい機会だ。」
レオン「ふん………嘗めた口を叩くとは。後悔させてやる。呪文が使えないからって手加減はしないからな。」
 タケ「……………………………………………言いたい事はそれだけか?」
レオン「なにィ!?」
 タケ「じゃあ始めるとするか。こいよ。」

俺も鋼の剣を抜き戦闘態勢に入った。

 もょ「(タケ、しょさんはあるのか!?)」
 タケ「(・・・・・・ハッキリ言って俺達のほうが分が悪いな。)」
 もょ「(いくらなんでもむぼうすぎるぞ!!しかもレオンはムーンよりまりょくがあるんだろ?)」
 タケ「(勿論策は考えてあるがな・・・・・もょ、お前の力も必要になるで。その内容は・・・・・・)」






 もょ「(い、いくらレオンがつよいっていってもむぼうすぎるぞ!いのちにかかわることだ!)」
 タケ「(リスクはでかいのは承知済みや。頼むで。もょ。)」


214 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:28:20 ID:2nMTTgFc0
レオン「一つ言っておいてやる。俺が無傷で勝つ。」

 タケ「なめんな!」

俺は一直線にレオンを向い強撃を喰らわせようとした時…………

レオン「ちっちっち………甘い!バギッ!!」

小さな竜巻が俺に襲い掛かり向って行く所か逆にふっとばされた。痛みは……あまり無い。
斬り掛かれると思ってもバギで吹っ飛ばされる・・・・小ざかしい野郎だ。

レオン「ハハハ!この程度か?もょもと。」
 タケ「これからに決まっているだろうが。」
レオン「俺もまだまだ余裕はあるからな。覚悟しておけよ。」
 タケ「俺もそれは同じよ。これからが勝負!(バギがやっかいやな。アレを使うか…………………)」

俺はしばらく様子を見ることにした。

レオン「何考えているんだ?もう諦めたのか?」

 タケ「どうした?びびったのか。高慢なレオンらしくないな。肝が座ってない野郎だな。」

レオン「ふん。何の策を考えているか知らんがドンドン行くぞ!バギッ!」

予測どおりバギを連発してきた。阿呆が。こっちの思惑通り……………



215 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:29:47 ID:2nMTTgFc0
レオン「なっ・・・・・こいつ、踏ん張ってやがる。」

 タケ「どうした?こんなカスみたいな呪文で俺を止めれると思っているのか?」

俺は大防御をしながらレオンに近づいていった。予定通りだ。

レオン「だが、剣が届く範囲に近づいても俺が先に攻撃が出来る。くらえっ!!」

 タケ「うぐっ・・・・・・・」

レオンに斬られてしまったが致命傷ってわけではない。何とか動ける。



それに剣が届くって事は俺の範囲でもあるんだよ!俺はレオンに斬りかかった。



しかし俺の攻撃は回避されてしまった。



レオン「なかなかパワーがあるな。しかしテクニックはまだまだ甘い。当てることすらも出来ないのか。」

 タケ「・・・・・・・・・・・・・・・・甘いのはお前の方だよ。」

レオン「なんだと・・・・・・・・・・・」


216 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:31:27 ID:2nMTTgFc0
ヒュン!!!!!!!!!!

レオン「ぐわぁ!!!!な、なんで斬られるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 タケ「かすみ二段!!上手くいったみたいだな。」

レオン「お、お前ごときに・・・・・・・・・・・」

 タケ「俺を格下というなめた先入観がお前の敗因だ。まだやるか?」

レオン「当たり前だ!今度は確実にしとめてやる!」

レオンはべホイミを唱えると傷口が塞がり回復していった。やはり俺の方がかなり不利か。

 タケ「(もょ。ここからが本番やで)」
 もょ「(し、しかし・・・・・・・・・)」
 タケ「(後戻りは出来へんよ。頼むで!)」
 もょ「(わかった・・・・・・・・・・・)」

もょもと&タケ
Lv.13
HP:52/92
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E皮の鎧 E鱗の盾 E木の帽子 
特技:かすみ二段・強撃・チェンジ・はやぶさ斬り(もょもと専用)・ゾンビ斬り・大防御(タケ専用)


217 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 10:21:31 ID:MQx1Zl1q0
あいつら役に立たんな。

218 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 14:48:37 ID:sA4u/lE50
保守

219 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 19:17:11 ID:vF0tnQVI0
レッドマン乙ー
レオンって誰やろな、予想してたのと違うかもしれん

220 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 19:51:59 ID:4m3TwNN8O
レッドマン待ってたぞ
。。・゚゚(゚´Д`゚)゚゚・。。ウワァァァァァン

221 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 09:03:16 ID:Chl+3Q7K0
保守まだ必要?

222 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 12:17:18 ID:3kgeXqA90
落ちない程度に

223 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 13:41:10 ID:1AcS0Pvx0
スター・フォックスのレオンを想像してしまった俺は負け組。

224 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 15:08:38 ID:xLzG2AhpO
FFのレオンを思い出した俺はただの厨

225 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 17:34:01 ID:3kgeXqA90
カードヒーローのレオンを思い出した俺は勝ち組

226 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/03/24(金) 23:10:43 ID:TqNbTQkw0
>>107続き

王様に話を聞いた後、真理奈は先輩・後輩コンビが療養している部屋を訪ねた。
「やっほ〜い!お見舞いだよん!」
「お〜来てくれたのか〜」
「英雄さんの登場だな」
「いや〜そんなんじゃないっすよ先輩w」
先輩はベッド、後輩ちゃんはその脇の椅子に座っていた。
「調子はどう?」
「もう大分いいよ。先輩はもう少しかかるって話だけど・・・」
「そう・・・でも元気そうで良かった!死んじゃったかと思ったから・・・」
「ありがとう。改めて礼を言わせてもらうよ」
「もうお礼はいいってば!正直聞き飽きちゃった」
「ハハハ!」
真理奈と2人は出会って間もないが、流れる空気は親友のそれだった。
戦友と言うべきだろうか。
しかし、それ故に言わなくてはならないこともある。
「え?!旅に出る!?」
「うん。ルビスって奴に言われて世界を救わなきゃいけなくなっちゃったんだ」
「・・・・・・・・」後輩ちゃんは驚いた顔で黙ってしまう。
「ルビス様にか。それは凄いな・・・1人で行くのか?」
「ううん、さっき王様のトコで会ってきたよ。パトリスっておじいちゃんがノリノリでさー
 フィリアって子はあんまり喋ってくれなかったけど、可愛いんだよ〜
 でもジュードってヤツはちょっとムカツクー」
「ふふ。まぁ王様が選んだ人たちなら大丈夫だろう。君が強いのは知ってるしな」
「任せてよ!」
「君ならきっとできるさ。頑張ってくれ」
「ありがとうございます!先輩も傷早く治して下さいね。後輩ちゃんもよ!」
「あ、あぁ・・・」
「??」真理奈は首を傾げる。


227 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/03/24(金) 23:13:01 ID:TqNbTQkw0
「・・・少し話したら疲れたな。すまないが寝かせてもらうよ」
「あ、すいません。話し込んじゃった。じゃあゆっくり休んで下さい」
席を立つ真理奈。後輩ちゃんは黙ってそれを見つめる。
「おい、英雄さんを外まで送ってやれ」
「え?は、はい・・・」
「も〜、怪我してるんだからそんなコトしなくていいよー」
「いいからいいから。それじゃあ元気でな」
「はい、先輩バイバ〜イ」
バタンッ・・・
「・・・ったく。俺も年取ったかな」
言葉とは裏腹に、先輩はその事実を楽しむかのように微笑む。
窓から差し込む陽の光が夕暮れ刻を教えていた。

建物を出るまで後輩ちゃんが相槌しかうたないので、真里奈は一方的に喋る形になってしまった。
この世界のこんなところが不便だとか、自分の世界がどんなものなのかとか。
そんな他愛も無い話。後輩ちゃんにとっては興味のある話。
けれど今は聞く気になれなかった。
「それでさ〜」
「な、なぁ!!俺も一緒に旅に連れていってくれないか?」
「え?」
突然すぎる提案に真理奈はとまどう。
「今はまだ足手まといかもしれない。けど俺、強くなるから!絶対強くなるから!」
「後輩ちゃん・・・」
「だから・・・一緒に行くよ!お前の役に立ちたいんだ!」


228 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/03/24(金) 23:19:38 ID:TqNbTQkw0
「・・・ダ〜メ!まだその体じゃ旅なんて出来る訳ないでしょ」
「こんな怪我なんか―――」
「それにさ」
「何だよ!」
「・・・後輩ちゃんにはこの町を守るっていう大事な使命があるんでしょ?」
「・・・・・・・」
「心配してくれたんだよね。私は大丈夫だから。魔王なんか楽勝楽勝!」
(そんなんじゃ・・・)
「ありがとね」
(そんなんじゃないんだ!)
うつむく後輩ちゃん。
「・・・・・」
真理奈が手を差し出す。
この握手を交わせば終わってしまう。
そう感じるが、それを打開する術が思いつくわけでもなかった。
躊躇った後、その手をグっと握りしめる。
柔らかくて暖かくて小さくて・・・

「・・・バイバイ!」

それはずっと聞いていたいモノであって、最も聞きたくなかったコトだった。
「・・・・・・・」
駆け出した真理奈の背中に昨日の光景を重ねる。
しかし後輩ちゃんは追いかけられず、その場に立ち尽くした。
(いつか・・・いつかその背中に―――)


229 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/03/24(金) 23:22:25 ID:TqNbTQkw0
今日も青い空。天気予報もいらないくらい毎日良い天気だ。
「ピーピー!!」という声に無理矢理起こされた真理奈は町の入り口に向かっていた。
制服のブラウスは綺麗に直っていた。何故か左胸のポケットにはロトの紋章が刺繍されていたが。
「アリアハンの伝統工芸なんだよ。カッコイイだろ〜?」
と女将さんが自慢げに言っていたが、真理奈は苦笑するしかなかった。
入り口に到着すると既に3人の仲間が待っていた。
「遅いぞ」
青年が言う。
「いちいちうるさいのよ!あんたは教師か!」
「ほっほっほ。仲が良いのぉ」
「「良くない!」」
「ピ〜!」スライムが楽しそうに声をあげる。
「何だぁ?こいつも連れてくのか?」
「うん。ブルーは私を守ってくれるんだって」
「ブルーだぁ?」
「名前付けたげたの〜可愛いでしょ?ね〜」「ピ〜!」
「・・・女の考えてるコトは良く分かんねぇ」
「では行くとするかの」
「うん!」

青年――戦士のジュード
おじいちゃん――魔法使いのパトリス
少女――僧侶のフィリア

この3人が「ピー!!ピー!!」
・・・
青いの――スライムのブルー

この3人と1匹が真理奈の仲間。
こうして4人と1匹は伝説の続きという旅に出発した。


230 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/25(土) 07:57:37 ID:W603grm70
レッドマン・暇潰し乙。
時間かかってもいいから挫折せずに最後までガンガレ!



231 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/25(土) 11:03:26 ID:AR+NUru/0
もはや身動きがとれない。仕方がないこいつらぶっ飛ばして道つくるか。
俺が拳を振り上げたと同時に凄い勢いでおっさんが飛びついて阻止してきやがった。

一般人に手をあげるのはよくないですぞ!ぬおっ!

こいつ弱いくせに。魔物と戦う時も今くらいの根性の一つでも見せて欲しいものだ。
おっさんと取っ組み合ってる間にも事態はさらに悪化していた。明らかにカタギではない
恐い顔した人らに囲まれている。おそらくこの国の兵士だろう。
有無を言わさず俺たちはそのまま連行された。まあこれも経験済みのパターンだ。
この国の王に会って誤解をを解けばなんて事はない。さあ俺を王の前まで連れて行け。


…………。王に会うはずがなぜか地下に向かう。なんだなんだここの王は引きこもりか?
…………。ガチャッ。……え?……。そのまま投獄されてしまった。これは読めなかった。
ちょっと待てコラ!いきなりブタ箱はねーだろ!話くらいさせろクソ共が!兵士はまったく
聞く耳を持たない。てめーマジ黒焦げにすっぞコラ!下っ端兵士のくせに世紀末覇王の俺様を
こんなとこに閉じ込めやがって後悔すんぜ?いいのかコラ!…………。無視か…。

今まさにボルテージは頂点へと向かっていた。仮にここに閉じ込められるまでの俺の怒りを
10としよう。だが今は10億10!!!お前らに明日を生きる資格は無い!!!!
くらえ!むぅぅえラゾォオオオオ……総長ちゃんだめ!!!!マァァアッァ!!!!


232 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/25(土) 11:04:25 ID:AR+NUru/0
勇者の叫びも空しく俺の放った特大の火炎球が牢の入り口ごと吹き飛ばした。
響き渡る轟音。吹っ飛ばされる兵士。そしてヒッッヒエェ〜!!!!と奇声をあげて逃げ出した。

俺をこんなとこに閉じ込めるからだ。まったく常識のないヤツらだ。
振り返るとみんな有り得ない程の冷たい視線でこっちを見てる。
なんだよ!俺が何か悪いことしたか!?俺のおかげでおまえらここから出れるんだぞ!
ほんとにこいつらも常識が無い。感謝の一つでもしておおとこじゃねーかまったく。

で?

ねーちゃんが恐ろしく低いイントネーションで言う。いやでって言われても…

で?これからどうするわけ?

ヤバい。完全にブチギレしてる。正直恐い。

もうここでの情報収集は望めないわ。とにかく人が来る前に逃げましょう。
一旦船に戻ってからもう一度出直すわよ。

みんなぞろぞろとねーちゃんについて行く。なんだよまるで俺が悪者みてーじゃんかよ!
おっいい事思いついたぜ!多分オーブ程の代物となると宝物庫とかそんな感じの場所にあるから
このまま襲って奪っちまおーぜ!

誰も聞いていない。サッサと行ってしまった。俺は泣いた。

233 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/25(土) 11:28:48 ID:AR+NUru/0
すんなり帰れるわけもなく城の入り口付近で今度は完全に武装した50人はいるであろう兵士に
囲まれた。しかし問題は無い。俺は昔河原で一人対100人で乱闘になっても生還した男だ。
この人数ならいけるぜ。一気にぶっ飛ばしてやる。

いい?絶対殺しちゃダメよ。出来るだけ最小限の相手だけ倒して一気に駆け抜けるわよ!

ねーちゃんが指示を出す。おい待て。俺は売られた喧嘩は買う男だ。この状況で逃げるなんて
真似できるか!と思ったがとりあえずここはねーちゃんの指示に従おう。どーせ一人で暴れてても
また置いていかれるのがオチだ。…世界征服したあかつきには絶対こいつら全員島流しにしてやる。

おやめなさい!

女の人の鋭い声が響き渡った。兵士が一斉に構えをとく。そこには女と老人がいた。
女の方は勇者と同じくらいの年齢だろうか。兵士が全員ひれ伏した。

そこまでです異国の者達よ。もしこれ以上騒ぎを起こすようならジパングの女王ヒミコの名において
あなた方を処罰します。大人しく武器を下ろしなさい。

このクソジャリ女王だか何だかしらねーが偉そうな奴だ。結局ねーちゃんとヒミコとやらが交渉した
結果、正式に謁見する事になった。そのまま奥の間に案内される。

234 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/25(土) 11:43:28 ID:AR+NUru/0
そなた達は何の目的でこの国に参られたのじゃ?

この国に竜を模ったオーブがあると聞いてきました。
旅の目的達成の為どうしてもオーブ必要なんです!

勇者が答える。

オーブはオルテガ様から預かりし我が国の宝。簡単に旅の者に渡すような物ではない。
いったい旅の目的とはなんじゃ?

旅の目的?んなもん決まってんじゃねーか。

俺らの旅の目的が聞きたいか!耳カッポじって良く聞けよ!俺が世界中を旅すんのは世界征服の為だ!
取りあえずその一環として異常に態度のデカイ魔王とやらを一発ブチのめしてやろうと思ってな。
そのためにオーブが必要だ。さあくれ。

周りがザワつく。ヒミコが噴き出す。

はっはっは異国の者はおもしろいのう!世界征服とは大きくでたな!まあ夢は大きい方がいいわい。
はっはっは

この小娘俺よりだいぶ年下のくせに何を偉そうに…。だいたいその年寄りみたいな喋り方が
感に障る。うぜえ。

235 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/25(土) 11:59:36 ID:AR+NUru/0
お願いします!どうしても必要なんです!

勇者が割って入ってきた。

私は…オルテガの娘です!

一瞬でヒミコの顔つきが変わった。じっと勇者を見つめる。

そなたの眼…嘘は言っておるまいな。

ヒミコは一発で信じたようだ。またこれだ。こいつは本当に相手の目を見るだけで全てを納得
させちまうからすげえ。

しかし今オーブはここには無い。オーブは…
姫!!!!!

隣の老人が割って入ってきた。

姫!異国の者をそんな簡単に信用してはいけませんぞ!もっとジパング大国の女王である
自覚を持たれい!

正直老人の言う事は正しい。自分の事を勇者と名乗る怪しい集団が国宝くれなんて言ってきて
信用するほうが問題ある。

老子よ。この者の眼は本物じゃ。それに異国人という事に何の問題がある?
そのような閉鎖的な時代はもう終わったのじゃ。自らの国の問題を自らで
解決出来ないような我が国に置いて異国と交わるのは今後必要であるだろうぞ。

姫!いくら姫と言えどそのような発言は許されぬぞ!選民であるわが臣民は卑下な異国人と
関わる必要なんてありますまい!

ヒミコは頭を抱えると老子と呼ばれる老人を退室させた。老人は渋々出て行った。

236 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/25(土) 12:23:38 ID:AR+NUru/0
すまぬな異国のものよ。あやつも人一倍愛国心の強いゆえ、無礼な発言許されい。

あの老人は完全な右だったようだ。ヒミコも大変だな。

それでオーブの件なのだが…ここから北の鳥居のある洞窟に安置されているはずじゃ。

はず?どういう事ですか?

勇者が聞き返す。

この国には「やまたのおろち」という巨大な悪鬼がおりましてな。度々現れては
破壊の限りを尽くしわが民を恐怖に陥れておった。だが先代国王の時オルテガ様が
この国に現れ見事に退治なさった。ただその生命力の強さ故完全に葬り去る事ができず、
北の洞窟に封印されたのじゃ。そして封印をより強固なものとするためオーブをそこに
安置された。

じゃあそこに行きゃオーブあるんじゃねーか。

ヒミコの顔が曇る。

悪鬼が……復活したのじゃ。あの封印は簡単に解けるような物ではない。しかもオーブで強化されて
おるので尚更の事じゃ。おそらく…強大な魔力を持つ者がオーブを持ち去った後封印を解いた
のだろう。もう何度も原因究明のため兵を送ってるのだが誰一人として帰ってこないのじゃ。

強大な魔力を持つ者。おそらくその場にいた全員が同じやつを想像しただろう。

237 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/25(土) 12:24:39 ID:AR+NUru/0

偉大なる勇者オルテガの娘達よ。恥をしのんでお頼み申す。どうか…

断る。

ヒミコが話し終える前に断ってやった。どうせまた退治してくれとか言うんだろ?
何で俺らがそんな事しなきゃいけないんだよ。俺はボランティアでも人助けの為にでも
無い。世の中クソ共全部ぶっ飛ばして俺が覇権を握る為に旅をしているのだ。

自分の国のゴタゴタは自分で解決しろよ。オーブがないならもうここには用は無い。
おまえら帰るぞ。

ちょっと!総長ちゃんそんな言い方無いでしょ!もう少し考えてよ!

勇者が怒った顔でこっちを見る。うるせえ。俺は人助けなんてまったく興味ねえ。
空気を読んだねーちゃんが簡単には返事できないので話し合い明日また返答すると
その場をまとめた。ヒミコは宿を手配してくれた。

238 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/25(土) 12:39:05 ID:AR+NUru/0
その日の鬼浜会議は荒れた。過去最高に荒れた。
勇者は引き受けるの一点張りだ。あとのメンバーも勇者に賛同する。そろいもそろってアホ共が。
どうやら勇者はかなり勇者の親父が前に倒したという事を気にしているようだ。今度は自分が
この国を救うのが使命とでも考えているのだろうか。付き合いきれん。

そんなに行きたいなら勝手にしろ。俺は絶対に行かん。

総長ちゃんのバカ!わからずや!

ついに勇者は泣きながら出て行ってしまった。

総長!あっしは心底見損なったでやんす!

パンツも出て行った。それを機に自然解散となった。

239 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/25(土) 18:34:02 ID:nVkqM2H+O
職人さん様、お疲れです

240 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/25(土) 19:50:59 ID:XYjB7xMC0
総長乙。

メラゾーマには笑ったんだが総長孤立カワイソス








241 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/25(土) 23:37:07 ID:hQIEi1ziO
総長乙!
もはや完全に総長の威厳ねーなw

242 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/26(日) 00:25:48 ID:pZO9IQjw0
総長は毎回確実に笑わせてくれる。
GJ

243 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/26(日) 03:44:10 ID:O4Ij01GdO
ちょwwwwww
断るってさすが総長斬新過ぎるwwwwwwww

244 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/26(日) 13:11:10 ID:aJI/02N50
しかしまとめの人は来ないのか?
良作が読めなかったり更新された無かったりしたらかなりショックだな。

245 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/26(日) 19:28:48 ID:1BBv9HivO
いっそのこと新しくまとめてくれる勇者はおらんのか!

246 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/26(日) 19:51:46 ID:17khfqTyO
まとめの人は体調不良だと、前に書いていたよ

だから、いいだしっぺの法則でどうかな?

247 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/26(日) 21:11:08 ID:pR+tHURO0
ログうpだけならやってもいいお

248 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/26(日) 22:10:14 ID:dcxhKU8k0
>>247
それならもうやってる人がいるよ。

249 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/26(日) 22:28:07 ID:x0G8XrNf0
保守

250 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 01:01:08 ID:xOLvEaHN0
>>248
いや、借りてる鯖にHTMLをうpって意味
まとめの人用にZIP圧縮してうpったこともあるお

251 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 01:07:04 ID:Jzzy8G3A0
>>250
なんだか良くわからないけど、
>>77の人がやってるのと被らなきゃいいんじゃね?

dat2htmlかな?

252 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 03:29:36 ID:VzHvujsV0
いい人ばかりだなぁ
このスレまじ好き

253 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 09:53:14 ID:KqgCS4YUO
とりあえず保守
もう大丈夫かな?

254 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 12:16:31 ID:QcLSA/3Z0
昨日聞いた

255 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/27(月) 22:14:17 ID:1R0/HI8G0
次の日の朝。あいつらはヒミコに会いに行ったようだ。置手紙があった。
無性にイライラする。ちっ…こんな時は飲みに行くしかない。俺はフラフラと宿を出た。
外には小雪がチラついている。どうりで寒いと思った。昨日はそんなでもなかったのにな。
ほんとになんだってんだよあいつら…あの甘ちゃん加減にはほとほと愛想を尽かした。
こうなったら全員辞めさしてまた新しくメンバー集めるか。ったく面倒くせーなチクショウが。
しかし初めて来る場所だ。どこで酒が飲めるかさっぱりわからない。その辺のおばさんに
聞いてみる。少し先に酒屋があるらしい。なぜかおばさんの顔が曇る。まあいい。

そこから500メートル程行った先に酒屋はあった。しかし人気がない。朝だから当然か。
中に入る…うおっこれは酷い。中には店の主人とその奥さんと思われる人がいた。だが凄まじく
顔に生気が無い。世の中終わったみたいな顔をしている。客商売だろ大丈夫かここ!?

……すいません…もうこの店は閉めましたんで…よそに行って下さい…

閉めたって店自体を辞めたって事か?おいおいふざけんな俺は酒を飲みにきたんだ。出せ。

そうですか…なら残ってるお酒全部飲んじゃって下さい…お代は結構ですので…

マジか!?まあせっかくの機会なんで有難く頂く事にしよう。


256 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/27(月) 22:15:32 ID:1R0/HI8G0
そしてアホかって程酒が運ばれてきた。マジで店の在庫全部持ってきやがった。
一口飲んでみる……………これは!?それは俺の世界で言うところの焼酎のような味だった。
酒ってのはその時のテンションにより味が大きく左右される。自棄酒の類ってのは大概
どんないい酒を飲んでも不味いもんだ。ましてや今の俺の心境はどん底だ。
なのにこれはうまい。文句なしにうまい。ここまでうまい酒を漬ける事ができるのに何故店を
閉める必要があるのだろうか。ほろ酔いも手伝ってお節介にも聞いてみる。

娘が…選ばれたのです…

????わけがわからん。何に選ばれたって????
主人が奥から無言で一通の手紙を持ってきた。内容はつまりあんたの娘をやまたのおろちの
生贄にするってもんだった。差出人はジパング…つまり国から直接の指名だ。

うっ……うッ…仕方がないんです…仕方がないんですよ…やっとできた娘なんですが…
国の為に命を差し出せるなら本望です…

俺は無言で手紙を破り捨てた。燃やした。そして主人を殴りつけた。ふっとぶ主人。

な…何をなさるのですか!?

何をなさるのですかじゃねー!!!!!俺はもう一発殴った。てめーはアホか!そんな大事な
娘をなぜ簡単に差し出す!?そんな大事なもんだったらタマ張って守ってみろや!
主人が力なくうな垂れた。

無理です…あの怪物には誰も逆らえないんですよ…人の力ではどうしようもありません…
私は所詮酒を作るしか能の無い人間です…

257 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/27(月) 22:16:04 ID:1R0/HI8G0
く…俺はこいつみたいに卑屈な人間が一番嫌いだ。もう一発どついてやろうと近づくと

やめて!お父さんをいじめないで!

小さい女の子が止めに入った。娘だろう。必死に父親にしがみついてこっちを睨む。
その必死な顔を見た瞬間俺の心のモヤモヤはキレイに吹き飛んだ。

うおおおおぉぉぉぉぉおおおおぉぉぉおおお!!!!!!!!!!!!!

もうゴチャゴチャ考えるのは止めよう。俺らしくねえ。俺はやまたのおろちがムカついた。
だからぶっ飛ばす。それでいいじゃないか。誰の為でもない。俺自身の怒りの鉄拳だ。

いいかてめー店閉めやがったらマジでボコボコにするからな!こんなうまい酒を振舞う
店が無くなっていいわけないだろうがアホが!やまたのおろちは俺を怒らしてしまったため
跡形も無く消し飛ばしてやる!祝勝会はここでするからてめーは準備してまってろ!

主人と奥さんと娘は最初キョトンとしていたがやがてバタバタと駆けずり回ると一本のビンを
持ってきた。

これを使って下さい!これは特別な酵素をつかって我が家に伝わる秘伝の方法でつけた神酒です!
オルテガ様もこれを使いやまたのおろちの動きを止めました!もう残りはこれしかありませんが…
どうせ蔵にあっても眠っているだけです。見ず知らずの旅の方に渡すのも変かもしれませんが
あなたに使って欲しいのです!

258 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/27(月) 22:17:01 ID:1R0/HI8G0
俺はビンを受け取ると走った。とにかく走った。粉雪舞い散る中無我夢中で走った。
国一つをここまでかき回す化け物だ。きっと恐ろしく強いのだろう。
頭の中にはあいつらの顔がよぎる。もしかしてもう戦ってるのだろうか。
俺がいなくて大丈夫だろうか。あいつらあんま強くねーからな…
まさか今頃もうやられてたりは…クソッ!そうなったら総長一生の失態だ。何故あんなつまらん
意地を張ってたんだろうか。自分で自分がムカついて仕方がない。今はただとにかく早く走るのみ!




そして俺は北にある洞窟へついた。おそらくここだろう。周囲の空気が明らかにおかしい。
中から邪気が溢れ出ているように感じる。勇者は!?パンツは!?ねーちゃんは!?
この静けさからおそらくまだ到着してないに違いない。どうやら間に合ったようだ。
もうすぐ来るろう。暫く待つか。

259 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/27(月) 22:17:34 ID:1R0/HI8G0
















だが俺の予想は外れた。勇者達が来たのは…二日後だった。……寒い…



260 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 22:26:04 ID:Xe4G1c390
なんだかしらんが盛り上がってるなwいい傾向だな。

みんなの中のDQ世界が楽しくて読んでるので、
煽りや荒らしに負けないで頑張って欲しい。

261 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 22:39:04 ID:nhN9SVE1O
総長〜〜!

262 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 23:09:34 ID:v7HIIpOB0
あぁ、これでこそ総長だよなw

263 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/27(月) 23:19:52 ID:6SIS3GhV0
総長乙
ああかっこいいよ総長
次もwktkで待っている

264 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/28(火) 00:46:14 ID:TXuFJ6rr0
総長格好えぇ惚れるなぁ
というか勇者達遅っwwwww

265 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/28(火) 03:01:25 ID:esQcZLPE0


おうやっと来たか。おせーぞてめーら。とっととやまたのなんとかってやつ倒して帰るぞ。
俺は寒いんだ。



ぃぎやぁぁぁぉおおおぁぁぁおううううぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!
パンツ。

ぞうぢょーーーーぢゃーーーーんんん!!!!!!
勇者。

二人とも俺の声を聞くなり涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして奇声を上げながら
飛びついてきた…おいコラ!あっ鼻水ついたきたねっつの!離れろ!あーもう!
こいつらほんと涙もろいな。何はともあれ俺たちはようやく合流した。

絶対来てくれるって信じてたんだ!

勇者が満面の笑みで言う。いいから顔ぬぐえ。まだ鼻垂れてんぞ。俺たちは嫌な空気が
プンプンする洞窟の中へ入った。なんて事はない普通の天然洞だ。

へックシュッ!クシャミが止まらない。勇者が総長ちゃんはこんな寒いのにそんな薄着でウロウロ
するから風邪ひくんだよとかぬかしやがる。いや誰のせいで…そういやこいつら二日間も何してた
んだろうか。ねーちゃんに聞いてみる。

266 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/28(火) 03:02:30 ID:esQcZLPE0
やまたのおろちについて色々調べ事してたのよ。強敵だから。でもあまり有益な情報は
得られなかったわ。一つだけあったんだけど…弱点が

おいおい弱点だなんて有益この上ないじゃないか。さすがねーちゃん。

どうやらやまたのおろちの苦手な植物がこの辺に生えているらしいの。それをつかってつけたお酒を
使えばかなり動きを鈍くできるみたい…ただそのお酒探し回ったけど見つからなかったわ。
一軒だけ置いてるお店見つけたんだけど最後の一本旅の人にあげちゃったみたいで…
正攻法で攻めるしか無いわね。

うーむそんな貴重な酒を持ってくとはかなりの酒通の旅人ですな。しかしもしかしたら簡単に
退治できたかもしれぬのに実に残念ですな。


やべ。俺は持っていたビンをそっと捨てた。だって飲んじゃったんだもん…この二日間凍死せずに
すんだのもこの酒のおかげ…神酒だけあって確かに燃えるようなうまさだった…

総長ちゃんぶつぶついっちゃってるけど頭大丈夫!?もしかして風邪が頭まで回った!?

………。仮にそうだとしても普段のおまえらよりは正常な自信はある。絶対に。

そうして俺たちは巨大な門の前に着いた。


267 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/28(火) 07:36:31 ID:Z77ZfqmT0
総長と勇者はツンデレ具合がかなりいいね。

勇者たんモエス

268 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/28(火) 11:41:08 ID:Th6mJBlYO
YABEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!
続きが気になりまくりんぐwwwwwwww総長頑張れ!!!!

269 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/28(火) 16:00:22 ID:59ww2gV50
総長飲んじゃったのかよwww

270 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/29(水) 00:38:42 ID:TVmXwC2e0
そ、総長なんかちっとも面白くないんだからねっ!
毎日このスレ楽しみになんかしてないんだからっ!

そんなにハイペースで書かないでたまには休みなさいよねっ!
ほんとに…バカなんだから。

271 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/29(水) 20:55:18 ID:rLorh02lO

作者によって異なるが4の人の主人公・レッドマン・ローディの様に総長のステータスも表示して欲しいね。

272 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/29(水) 21:34:59 ID:4Xp2QsgH0
総長のステータスはめっちゃ高そうだ
魔法力も攻撃力も体力もあるし…運は低いかもしれないけど






273 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/30(木) 18:47:08 ID:ECcb1KKAO
保守

274 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/31(金) 04:01:00 ID:ClcOJw0S0
保守

275 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/31(金) 19:11:07 ID:a8J4r7dy0
さらに保守

276 :タカハシ ◆ljexnoNGYo :2006/03/31(金) 22:41:54 ID:IQGbz58QO
トリップ忘れてしまったので、変更します
投下は、今しばらくお待ちを。

277 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/32(土) 03:04:38 ID:jlz8hVDI0
32日記念保守

278 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/32(土) 03:22:37 ID:ijP3C3GU0
とりあえずage

279 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/32(土) 04:06:07 ID:ihQLBEyT0
保守

280 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/32(土) 08:12:30 ID:4ZxRkUVv0
なんとかこっちのペースでレオンとなんとか立ち向かえているがやはり呪文が厄介だ。
かすみ二段が決まってもベホイミ回復しやがるし、そかもバギマは使っていない。
ここは剣を打ち込んで即効で決着をつけるか。しかし……

 タケ「確実に仕留めるだと?何をするつもりだ?」
レオン「今まで以上のキツイ攻撃を仕掛けてやるのさ。」
 タケ「どーせハッタリだろう?しかも呪文が使えない俺に押されているとは情けないな。」
レオン「ふん。お前をなめたのは事実だが今からは手を抜かん。行くぞ!」

レオンが俺に斬りかかって来た。パワーでは俺が上回っているのは事実だがレオンはトリッキーな攻撃を仕掛けてくる。

        ガキイン!!カァン!!

初めて他人と剣を交えるのだが完全には防ぎきれないが何とか対処できる。

 タケ「ぐっ…………むん!!」

レオン「へぇ、なかなかやるな。ならこれならどうだ?」

 タケ「なにっ!!??その技は……は、速い!!」



レオン「はやぶさ斬り!!」



 タケ「ぐわぁ――――――――――――――――――――ッ!!」

んなアホな……もょもと以外にもはやぶさ斬りが使える奴がいるとは…………

281 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/32(土) 08:16:39 ID:4ZxRkUVv0
流石に一発目は中途半端な形でちょっとだけ軽減することが出来たが、二発目はまともに斬られてしまった。

ムーン「もょもと!!」
 タケ「まだ……やれる。心配するな」

実際は立って\いるのがやっとだ。気を緩んだら確実に倒れる。

ムーン「で、でも……」 
レオン「た、立ち上がれるとは……いくらなんでもバギで蓄積されたダメージがあるはず……」
 タケ「ま、負けず嫌いなんでな」
レオン「…………もょもとに対して俺は敬意を表する。この呪文でケリをつけてやる。」

イレギュラーはあったが俺の思惑通りに事が進んだ。あとは――――――実行あるのみ。

 もょ「(タケ!もういい!おれとかわれ!!じゃないとしんでしまうぞ!)」

 タケ「(アカン……い、今代わったら俺の苦労が無駄に終わってしまうんや……)」

 もょ「(な、なんでそこまでむりするんだ!)」

 タケ「(覚悟を決めただけや…………)」



282 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/32(土) 08:18:17 ID:4ZxRkUVv0
レオン「覚悟はいいか?」

 タケ「さっさと来い。耐え切ってやらあ!!」

今俺に出来ることはレオンの呪文を防ぎきる事だ。

レオン「追い込められているにもかかわらず生意気な野郎だ…………くらえ!バギマ!!」

レオンがバギマを唱えると高さ約3メートルくらいの竜巻が俺に向ってきた。

しかも竜巻に吸い込まれそうな感じがしたのだが、俺は大防御の構えを取ったのだがその時に別のことを考えていた。


       俺自身何やっているんやろ?


   他人のために体を張っても無意味な事やのに…………


          なんでやろな…………?
 
うっかりしていると竜巻が俺にぶつかっていた。気を抜いたら体制が崩れる。

今はナイフで全身をかすった感じの痛みだがもし体制を崩したら確実に死ぬ。

しかし蓄積されたダメージの影響で体制が崩れそうだ。もうだめぽ………………………………


すまん…………もょ…………俺、アカンかった――――――――――




283 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/32(土) 08:20:27 ID:4ZxRkUVv0
ムーン「バギッ!」

その時ムーンが呪文を唱えてくれた。なぜだ………………?

レオン「なぜ邪魔をする!?」
ムーン「もう見てられないわ。決闘も何も無いわよ!最初からレオンが有利な条件じゃない!ふざけた事しているんじゃないわよ!」
レオン「ちっ、計算外だ。もう一度バギマを唱えないと。」
レオン「し、しまった…………………魔法力が…………まさか………」
 タケ「(――――――――――かかったな!アホが!)」

 タケ「(今や!もょ!ぶちかましたれ!!!!!!!!)」

俺は必死で叫んだ。

 もょ「たああああぁぁぁぁぁッ!! 」

もょもとがレオンに強撃をを仕掛けたのだが…………………………

           ガキィン!!!

 もょ「な、なんだ?」

レオン「やばかった。盾で攻撃は防いだのはいいが………………」
レオンの持っていた盾がコナゴナに砕けてしまった。もょもとの破壊力は予想がつかねぇ。

 もょ「レオン!!おれはおまえをゆさないぞ!」
レオン「な、なぜだ!?致命傷だったはずなのになぜ動ける!?」
 もょ「そんなことはどうでもいい!!ぶったおしてやる!!」

どうやらもょもとは怒りで我を失っているみたいだ。レオンに斬りかかろうとした。その時――――――――


284 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/32(土) 08:21:18 ID:4ZxRkUVv0
ムーン「そこまでよ!」

ムーンがもょもととレオンの間に入ってもょもとを静止させた。………………度胸がある女だ。
 もょ「ムーン!!なぜとめるんだ!?」

ムーン「もう決着は付いたでしょ!!同じ人間同士で殺しあうってどうにかしているわ!」

 もょ「げんいんはつくったのはレオンだぞ。」

ムーン「それにレオンは蹲ってもう戦えないわよ。」

確かにレオンは蹲っている。どうやら強撃で盾を破壊した際に致命的なダメージを与えたらしい。
もし盾が無かったら――――――――――

 タケ「(も、もょ……………)」

 もょ「(タ、タケ!!だいじょうぶか!?)」

 タケ「(な、何とか生きてるわ。意識が失う前にムーンちゃんに回復を頼んでくれ……………)」

 もょ「(それもそうだったな。ムーンにたのんでおこう。)」

奇跡的にも勝つ事が出来た。しかし戦いの最中に別のことを考えた自分自身が理解できなかった。

もょもと&タケ
Lv.13
HP: 6/92
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E皮の鎧 E鱗の盾 E木の帽子 
特技:かすみ二段・強撃・チェンジ・はやぶさ斬り(もょもと専用)・ゾンビ斬り・大防御(タケ専用)



285 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/32(土) 12:34:42 ID:Zd11EyoQO
レッドマン乙!

286 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/32(土) 20:43:19 ID:s+KxCQeE0
もょもとギガツヨスwwwwwwwwwwww

287 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/02(日) 03:21:49 ID:9hI408ia0
おお、ドラマチックだ
頑張れw

288 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/02(日) 21:47:11 ID:7qy1GprbO
>>レッドマン
もうだめぽがナツカシス

289 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/03(月) 00:09:38 ID:yovtBz+s0
は〜開幕6連戦疲れたよ・・・寒かったし
さぁ言い訳終わり

それでは>>229の続きです

290 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/03(月) 00:11:52 ID:yovtBz+s0
〜Forbidden Fruits〜    
「わ〜綺麗な景色〜!」
真理奈達は海の上にいた。
大きな船の甲板、左の船側に4人と1匹・・・と1人。
「いや〜確かに綺麗な景色だ。けれどこの景色より綺麗なモノがある・・・
 それはイシスの姫!マイプリンセスっ!今あなたの王子様が迎えに行きますよ〜」
うわぁ・・・これはちょっと・・・・・・んんっ!失礼。
鉄の鎧に鉄兜、鉄の盾、そして鉄の槍と、全身鉄装備に身を包んでいらっしゃって、
海に向かって叫ばれているこのお方はロマリアの"王子様"
その証拠に、装備しているもの全てにロマリアの紋章が入っている。
そんな柄ではなさそうだが、あの王様ありてこの王子あり、という事らしい。
「こんなヤツで本当に結婚なんか出来んのかよ?」「どうかのぅ・・・」
ジュードとパトリスは呆れて珍しいものを見ていた。
対して真理奈は普段では見られない青い海・青い空に感動していた。
真理奈を真ん中にして左側に王子様、右側にはフィリアがいる。
フィリアは背伸びをして手すりに乗り出し、船首が作り出す波や泡をじっと見ていた。
「フィリアちゃん、海好き?」
フィリアは首を微かに振り、真理奈に応える。
「船、初めて乗った」
「そっか〜気持ちいいよね」
再び頷く。しかし、目線は海面からは離れない。
そんなフィリアに自然と顔がほころぶ。
「砂漠に咲く一輪の花!いやオアシス!まだ見ぬ貴女はきっと可憐な存在であろう!
 真夜中の星!いや月!いや・・・流れ星のような―――!!」
「うるせぇなぁ・・・まったく何でこんな事に・・・」
ジュードの問いに答えるには、少し時間を遡らなくてはならない。
アリアハンを出発した真理奈達は、大陸の東にある旅の扉に入った。
旅の扉を潜る時のあの何とも言えない感触。
体が自分の意思ではなく動かされ別の場所に移動していくような、
もしくは体が溶けてしまってどこかへ流れていくような・・・
そんな不思議体験をして、新たな土地に降り立ったのが昨日の事。


291 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/03(月) 00:15:00 ID:yovtBz+s0
〜1日前〜
「それにしても本当に歩いて世界を回るなんて・・・正気なの?」
「仕方なかろう。アリアハンには世界を回るのに耐えられる船が1隻しかないんじゃ。
 それもサマンオサに向かった使節が使っておるしのう。
 しかし我々はそれでも行かねばならん!世界を魔王の手から救う為にな!」
「何1人で盛り上がってんだよ、じいさん」
「ん?いやいや、ちょっとな・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
旅立つ前のアリアハン城にて――
「ちょいと、レキウスちゃんよ」
「レキウス王だ。王!」
「いいじゃ〜ん、ワシらの仲じゃろ〜」
「うるさい!で、何だ?」
「例のモノ、しっかりと頼むぞ」先ほどまでとは違い、真剣な顔で言うパトリス。
「分かった分かった・・・その代わり、お前もしっかりとな。でなければ・・・」
「分かっておるわい。それじゃあね〜」
「ったく・・・ヤツはいくつになっても―――」ブツブツ・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ムフフ」「何だよ、気持ちわりぃなぁ・・・」
「こっちの話じゃ。気にするでない」
「話、脱線してる」フィリアが珍しく喋る。
「おうおう、そうじゃった。そんな訳でな、とりあえずは歩いて行くしかない」
「ダルい〜外国行くのに歩いて行くなんて・・・飛行機なんて無いんだろうし」
「ヒコウキ?」
「空飛ぶ機械よ。あ、こっちには機械もないんだっけ?面倒な世界だなぁ・・・」
「お前の世界では空を飛ぶのか?」
「そ〜よ。誰でもどこへでもひとっ飛び〜」「それは凄いな・・・」
「勇者ロトは不死鳥ラーミアを蘇らせ大空を飛び回ったと言うが・・・
なんとも便利な世界じゃのう」
「こっちが不便なだけよ」
「話、脱線してる」・・・フィリアさん。もっと喋っていいんだよ?


292 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/03(月) 00:17:44 ID:yovtBz+s0
そんなこんなで真理奈達はロマリアの大地に踏み込んだのです。
王国ロマリア。平原に位置するこの国は、土地に困る事無く栄えていった。
重ねて海・山共に近いので、豊富な食料にも恵まれており、
国民は豊かな暮らしを約束されていた。
町は活気に溢れ、娯楽施設までも存在している。
「へぇ〜アリアハンとは違ってちょっとは楽しめそうなトコロね〜」
「遊びに来たんじゃね〜んだぞ」
「分かってるって!じゃあさっそく王様に会いに行きましょ」
(絶対忘れてたな・・・)

「おぉ、アリアハンのからの使者ですか。何用ですかな?」
ロマリア王ストゥルート。見た目はまだ若く、しっかりとした王様だが、なかなかユニークな人らしい。
何でも仕事を国民に任せて街に遊びに行ってしまうようだ。
しかし、そんなお忍びを繰り返したおかげなのか何故か国民からの人気は高かった。
「何か魔王軍が復活したらしいんで同盟を組みたいんだって〜」
「真理奈、それじゃあ伝わりはせんて・・・
 ロマリア王、魔王軍にアッサラーム・バハラタが滅ぼされたのは聞いておろう。
 このまま放っておいてはどんどんと犠牲が増えるだけじゃ。
 そこでアリアハン王は、世界中の都市と連合を結成することを提案された。
 是非ロマリアもその連合に加わって欲しいのだが、いかがかな?」
「なるほど、分かった。喜んで連合に参加させてもらおう」
「即答じゃん・・・」
「ただし、1つ条件がある」
「えぇ〜?良いって言ったじゃん・・・」
「私の息子がもういい年でな。そろそろ嫁をと思っておるのだ。
 そこで本人の希望を聞いてみると、イシスの姫が良いと申してな。
 何でもイシスでは女王を始め絶世の美女が揃っているらしいではないか。
 カッコイイ私の息子にはそのくらいの嫁でなくてはならないと私も賛成したのだ。
 そこでだ。そなたたちに息子と一緒にイシスまで行き、嫁を貰って来て欲しい。
 無事に息子の婚約を成立させることができれば加盟しよう」
「無理難題じゃん・・・」


293 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/03(月) 00:22:25 ID:yovtBz+s0
「え〜っと、【そんな訳で私は船に乗っていたのです】・・・と」
説明してる間にトコロ変わって灼熱の砂漠を進む王子様一行。
見てるだけで暑苦しい装備のロマリア王子は先頭を切っている。
「この暑さ!君の僕に対する思いが熱気として伝わってきてるんだね!」
よくもまぁそんなに元気でいられるもんだ・・・
そんな王子の後ろをジュードと真理奈は歩く。
「【でも今は砂漠にいるんだよね〜こんなんで世界を救えるのか不安だよ・・・】」
「何1人でブツブツ言ってるんだ?」
「ん〜?いや、メール打ってただけだよん」
「また機械ってヤツか?」
「そ。でもこっちの世界じゃ使い物にならないみたい・・・」
事実、アンテナは今も圏外を示している。ルビスと話す時だけは反応するのだが・・・
(みんな元気にしてるのかなぁ。メールもできないなんて・・・
 ったく、電波届くように出来るならやれっての!まじルビス使えね〜)
「この世界とは違う世界、ね。お前の世界に1回行ってみたい気もするよ」
「じゃあ私と一緒に帰る?」
「そうすっかなー」
「そしたらジュードが私の世界を救うんだよ?」
「あ〜それだけは勘弁だな」
「ピーピー!!」
「自分が一緒に帰るって?確かにジュードよりブルーの方が世界を救ってくれるかもね」
「俺はスライム以下かよ・・・」
「ピー!」
ブルーは当然とばかりにジュードに向かって胸を張った。
・・・どうでもいいけど、スライムって暑さで溶けそうだよね。


294 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/03(月) 00:26:24 ID:yovtBz+s0
今日はここまでっす

295 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/03(月) 01:11:12 ID:/HLzBCN40
>・・・どうでもいいけど、スライムって暑さで溶けそうだよね。
笑った

296 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/03(月) 16:00:06 ID:rHarDqxZO
<<暇潰しさん乙です。今更ですが斬新ですね。続きを期待してます。

297 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/03(月) 18:02:13 ID:DSylJR9C0
レッドマン・>>288

貴様ら!2ちゃん暦5年以上だな!?

暇潰し乙。話のペースが凄い速そう。でも何か和むね。

298 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/03(月) 23:02:25 ID:Xwp96Tzq0
>>297
かぎのおとが
おやがかぎわたしや
もうだめぽ

299 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/04(火) 01:09:29 ID:55QW6ukiO
>>295-297
ありがとう!

話のペース早いか〜もっとじっくり書いた方がいいのだろうか…


300 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/04(火) 03:42:44 ID:G+AFvISaO
いやいや十分楽しませてもらってます。次回期待してます。

301 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/04(火) 07:59:08 ID:q8q61AfP0
しかしでかい。しかも開いてない。鍵はかかってないようだがこんなもん開けれるか。
おいおいこれじゃ開かなねーぞどうするよ?なんだよ。はいはい。わかりましたよ。
俺とパンツは左右の扉の前に立つとあらん限りの力を振り絞って押した。
く…ピクリともしない。ねーちゃんが俺とパンツにバイキルトをかけた。力が漲る。
ふんッ…ぬうううう…ぬおおおおおぉおぉぉぉ…

血管がはち切れそうになりながら必死になる俺とパンツ。やがて扉は少しづつ開いていく。
ある程度開くとあとは惰性でわりと楽に開いた。

熱い。さっきまでの寒気が吹き飛ぶほど熱い。なんだこの熱気は。
そりゃそーだ。これは溶岩だ。所々地面の隙間から熱気が噴出している。
とにかく俺たちは進むしかない。汗を拭いながらひたすら歩いた。
そうしてたどり着いた先は行き止まりだった。一際大きな空洞で立ち止まった。
つーか熱いだけで何もねえ。
…ん?今微かに地面が揺れたような。いや気のせいだろう。気のせいという事にしておこう。


302 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/04(火) 07:59:42 ID:q8q61AfP0

…やはり揺れている…。

……しかも徐々に振動が大きくなる。みんな終始無言だ。

ねえ…ちょっと…揺れてない…?

勇者がついに口を開く。あーあやっちゃったよ。こいつ明らかにズラの人に向かってカツラですか?
って聞くタイプだな絶対。ここは総長としてみんなを鼓舞しなければ。
先頭を歩いていた俺は振り返る。

いいかおまえら。例えこれから相対する敵がどんな怪物だとしてもだ。例えどんな
山のような化け物だとしてもな…鬼浜爆走愚連隊は最強だという誇りをもってだな…

なんだ?みんな目が点になっている。俺の顔になんかついてるか?そんなジロジロ見んな。
おっさんがガタガタ震えながら後ろを指差す。何だよまったく。
俺は後ろを振り返った。そしてとんでもないものを目撃した。

………ダッシュ……

俺が小さな声で呟くやいなやそれはそれは凄い速さで転進した。おそらくマッハはでていた。

303 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/04(火) 08:00:37 ID:q8q61AfP0

むおおぉぉぉぉおおぉぉぉ!!!!!!!!!

全員さっきの扉をこえると一気に閉めた。今度はみんなで閉める。必死だ。
落ち着け。あまりの突然の出来事に引き返してきてしまった。逃げてどーする…

おーーーーーーっきかったねー

勇者が半笑いで言った。まあ確かに笑うしかない。冷静に記憶を呼び覚ましてみるが
とりあえず頭らしきものが三本見えた。あれに胴体がついて…うーん…
とにかくとんでもないデカブツだ。これは気を引き締めてかからなければ俺たち全員
あの化け物の胃の中に納まる事になる。

ガンッ!!!ガンガンガンッッッ!!!!!!

突然金属音が響き渡る。どうやらあのデカブツが扉を叩いているようだ。

ガンガンガンッ!!!!ガンッ!ガンッ!

…ちょっと様子見るか。

ガンッ!!!ガンガンガンッ!ガン!!!!!!

あーうるせえ!わかったわかった今すぐぶっ飛ばしやるから静かにしてろ!

俺が扉を開けようとするとねーちゃんに止められた。

待って…妙だわ。もう少し待ってみて。

暫くして音は消えた。どうやら帰ったようだ。

304 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/04(火) 08:01:17 ID:q8q61AfP0

やっぱり。やまたのおろちは自分ではこの扉開けられないわ。

え?どういう事だ…?理解するまで三秒程かかった。つまりだ。あのデカブツは
自力でここを開けられない。でもはジパングを襲われている。

わかったでやんす!アイツは透明人間になって瞬間移動できて空を飛べるで
やんすね!?とんでもな化け物でやんすな!

…つまりだ。自力でここを出れないとなると何者かがここをいちいち開けている事になる。
そして国を襲わせていると。一体何の為にだ!?謎だらけだ。

どうやらやまたのおろちを退治すればいいだけの問題じゃなさそうね。

ねーちゃんが難しそうな顔をする。とりあえず俺たちは一旦引き返して出直す事にした。


305 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/04(火) 08:34:54 ID:HKlrmJD40
総長乙!
                      /⌒\ 
      /⌒ヽ      / ⌒ヽ  _(^ω^ )     /⌒\
     ( ^ω^)―--( ^ω^ ) ̄      ⌒ヽ (^ω^ )
⊂二二二      /⌒   ⌒ ̄ヽ、    /~⌒    ⌒二二二⊃
     |      |ー、      / ̄|297  //`i      /
      | レッド| | 288  / (ミ   ミ)  | 298  |
     |マン | |    | /      \ |    |
     |    |  )    /   /\   \|       ヽ
     /   ノ | /  ヽ ヽ、_/)  (\    ) ゝ  |
     |  |  | /   /|   / レ   \`ー ' |  |  /


306 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/04(火) 13:07:54 ID:5YUG3N820
>わかったでやんす!アイツは透明人間になって瞬間移動できて空を飛べるで
やんすね!?とんでもな化け物でやんすな!

パンツ斬新すぎwwwww
総長GJ

307 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/04(火) 13:27:10 ID:iSjD7R4F0
試練の森東エリア 12:15

「うぉぉぉ!」
ゲンドウが俺に向かって剣を振り下ろしてくる。
その攻撃は体を反らすことでなんとか避けることができたが、続けて
ゲントウは剣を平行に振り、俺の体を切り裂こうとしてくる。
剣が体に当たるギリギリのところでバックステップを使い、胴体を裂かれるのをまぬがれることが
できた・・・
「どうした?逃げてばかりでは俺を殺すことはできんぞ?」
ニヤニヤと笑いながら俺に言葉をかけてくる。

そうは言っても俺は丸腰なんだ、それだのにこの巨体に向かって殴りかかるなんて
無謀にもほどがあるだろう・・・・
そもそもスピアもウルフも俺と巨体を戦わせるなんて・・・死んでこいといっている
ような物だ!
しかしそうは思ってもこの状況が変わるわけでもない・・・あの二人はそれぞれ
小柄なゲイトと女性のカインと戦っている。
 
ゲンドウが剣を水平に振り再び襲いかかってくる!

俺はゲンドウからバックステップを使い距離を離し、なんとか逃げる方法を考えることにする。

まず思いついたのが敵に背をむけ逃げ出すという方法だが、それは危険だ。
なぜなら、背を向け真っすぐ走り出すと後ろから巨体が逃がさないと剣を投げてくる
おそれがあるからだ。漫画なんかのパターンだが現実にも起こらないとは限らない。

でも見たところゲンドウは力まかせに戦うタイプのようだ。
小刻みに走れば逃げることは・・・

「避けてみろよ・・・!」
すると突然巨体が俺に向かって剣を振りかぶりながら突進してきた!
それも普通の人間とは思えないほどのスピードで!

308 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/04(火) 13:43:37 ID:iSjD7R4F0
魔界 魔王城 12:00

「ゾーマ様だ」
キングヒドラが今にも飛びかかろうとするオロチに向かって言った
その言葉を聞いたオロチはあわててイスに座り直した。

その言葉からわずか10秒ほどで大魔王ゾーマが五人の魔王の元へと現れた

巨大な王座に座り、ゾーマが口を開く
「サウム、現在の状況はどうだ?」
サウムと呼ばれた長髪の男は、ゾーマの方に席を座り直し報告を始めた
サウムが主に報告したのは、バラモスの連れてきた男の状態と現在の軍の状態であった

報告を聞き終えたゾーマは静かに口を開いた
「あの方に今さっき会ってきた」
その言葉にサウムを除く四人の魔王は驚きを隠せないでいた
「それで、あの方はなんと?」
バラモスがゾーマに問う
「あの方は現在の状況に満足しておられる・・・・しかし」
ゾーマは空気を吸い、言葉を続ける
「もしあの方の期待に背くことがあれば、消されるのは我々だということを忘れるでない」

沈黙

会議室には緊張が漂っていた

「それでは、皆持ち場に戻るが良い、続きは明日だ」
ゾーマのその言葉の後、魔王達とゾーマは緊迫した表情のままそれぞれの持ち場へと
ルーラを唱え戻っていった・・・二人を除いて・・・・



309 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/04(火) 13:52:47 ID:iSjD7R4F0
「それで、お前はどうするんだ?サウム」

誰もいなくなった会議室で残った二人はサウムとバラモスだった
バラモスはサウムの側へと行き、言葉を発した

「どうにも・・・私の考えに変わりはない」

バラモスにサウムは普段と変わらない口調で言葉を返した。

「しかしどうするつもりだ?一体なにを考えているのか、わしにもよくわからん」

そのバラモスに向かって高くも低くもない声で答える

「ゾーマもあの方も他の魔王達も利用させてもらう。もちろんあの男もな」

「あの男とは?」

「お前が物質界からつれてきた男だ。あれは使えると思わないか?」

「しかし、なにを考えている?」

「いずれ分かるさ・・・近いうちにな。」


310 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/04(火) 13:53:40 ID:iSjD7R4F0
久々に投下。
今は反省してる。

311 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/04(火) 21:05:01 ID:G+AFvISaO
なんで? 面白かったよ

312 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/04(火) 22:46:41 ID:KK7t1FwD0
うむ、面白く読んでるよ
頑張って続けてクレ

313 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/05(水) 06:19:49 ID:ssysLzhcO
魔神氏久々の降臨!
元ネタはむしゃくしゃしてやった。今は反省している。だったっけ?

314 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/05(水) 08:00:47 ID:iFOIg1IK0
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 職人さん達 ガンガレ! ガンガレ! 
 ⊂彡
   _
⊂ヽ ゚∀゚)ヽ    ガーンッ!
  `ヽ  ヽ' ))
   ノ   ノ
  し' ⌒J

    _
  ( ゚∀゚) ミ   ガレッ!!!
 γ 二つ つ
  {   (
  ヽ,_)ヽ,_)
                            それがVIPヌクモリティ

315 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/06(木) 01:33:12 ID:anzrCVbjO
バラモス萌え

316 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/06(木) 13:08:30 ID:zFNoh3+Y0
主人公の陰が薄い件について。

317 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/06(木) 22:56:41 ID:2Fe4jUbNO
保守

318 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/07(金) 00:47:34 ID:2gW1Udxj0
>>293の続き

イシス。砂漠のオアシスに存在する国である。
女王を始め、女性が主として国を治めている。故に男の心のオアシスとも言われる。
ロマリア王の言っていた噂が本当なのか、魅力ある女性が多いらしい。
その噂を確かめようとして、たどり着くまでに死ぬ輩もちらほらいるようだ。
「ようこそロマリアの王子、アリアハンの使者よ。はるばる灼熱の国へようこそ。
 我々イシスの民はあなたたちを歓迎します」
「はじめましてイシスの女王。私はロマリア王ストゥルートの息子、フィリーと申します。
 お目にかかれて光栄です」
(お、王子ってばこんな時は真面目じゃん)
「それでこの度はどのような用件でしょうか」
「はい。実は私、つい先日16になったのです。
 そこでイシスの可憐な姫を結婚相手に迎えたいと思い、本日伺ったのです」
「・・・なるほど。しかしそれは困りましたね。
 イシスでは古来より王族の結婚相手は身内で、という決まりがあるのです」
「それは・・・存じ上げませんでした・・・」
フィリーが落胆を隠し切れないまま言う。
(あ〜あ、王子かわいそ〜)
「・・・他国の王族の方との婚姻という前例の無い事を私だけでは判断できません。
 そこで太陽の王ファラオと聖霊ルビスの意向を知る為の占いを行いたいと思います。
 ですから今日はゆっくりとお休み下さい。部屋はこちらで用意致しますので」
(え?)
首をかしげる真理奈。どこかに違和感があるような気がした。
「・・そうですか。ありがとうございます。それでは失礼致します」
(・・・?なんだろ?)


319 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/07(金) 00:48:57 ID:2gW1Udxj0
女王との会見後、真理奈達は風呂で体中の砂を落とし、ご馳走をたらふく食べた。
食卓に食後のまったりとした時間が流れる。
最もフィリーはイシスの星空を見るとか何とか言って出て行ってしまったが・・・
「ね〜結婚うまくいくかな〜?」
「さぁなー。前例が無いって言ってたからダメかもな〜」
「え〜じゃあどうすんのよ」
「俺が知るか!」「・・ジュードの役立たず」「なんだと〜?」「ピーピー!」
ブルーが2人の仲介に入るが、2人はまったく聞いていない。
「まぁまぁ、そう喧嘩するでない。それに、たぶん大丈夫じゃ」
「どういう事?」
パトリスが少し声のトーンを落として話す。
「恐らく、これは結果の決まった政略結婚じゃ」
「え?!どうして?」
「アッサラームが滅ぼされた今、イシスは陸の孤島と言わざるをえん。
 そんな時期にロマリアからの結納話。成立すれば新たな交流が生まれるからのぅ。
 イシスに断る理由はない。それに伝統を大事にするなら最初から門前払いのはずじゃ」
「じゃあ占いってのは?姫の気持ちはどうなるの?」
「政治上の決断に占いを取り入れてるみたいじゃからの。建前上必要なんじゃろ。
 姫がどのような方かは知らぬが、おそらく彼女の気持ちは考慮されんじゃろう。
 女は政(まつりごと)の道具なんじゃ」
「そんな・・・ひどいよ・・・」
「しかし我々の使命は連合を結成する事じゃ。
 政略結婚だとしてもワシらが手出しする事ではない」
「でもっ―――」
「じゃあ結婚させぬようにしてロマリアへ帰るか?
 それこそイシスに来た意味が無くなるわい。
 真理奈も自分の世界に帰れなくなっては困るじゃろう?」
「それはそうだけど・・・でも・・・そんなのっていいの?」
その問いに答える者はいなかった。答えは皆分かっているはずのに。


320 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/07(金) 00:51:13 ID:2gW1Udxj0
次の日、使用人に(1人を除いて)優しく起こしてもらい、再び女王の間へ。
「おはようございます。旅の疲れは取れましたか?」
「はい・・・正直なところ占いが気になってあまり眠れませんでした」
(だから星なんか見に行ってたのかな?)
無理矢理起こされた真里奈はダルそうだ。
「そうですか・・・お待たせしてしまって申し訳ありませんでした。
 それでは昨夜行った占いの結果を伝えましょう」
皆の息が詰まる。それを確認するように間を空け、女王は話し出す。
「イシスには古来より女王戴冠の儀式というものがあります。
 女王候補がピラミッドから先祖の財宝を1つ受け取って来るというもので、
 財宝を無事にイシスまで持って帰って来られれば女王になれるのです。
 その試練をもってして今回の婚姻が正しいのか否か定めよ、と仰せ使いました。
 ですからあなた達には次の女王候補であるプエラとピラミッドへ向かってもらいます。
 プエラ、入ってきなさい」
プエラと呼ばれた姫は、白い衣に身を纏い、背中まである髪を静かに揺らしながら
真理奈達の前に姿を見せた。少し恥ずかしそうにうつむいている。
(うわ〜可愛い〜)
真理奈の10倍はかわ・・・ごほごほっ!ナンデモナイデス。
「プエラです。よろしくお願いします・・・」
フィリーがプエラに釘付けになる。これは一目惚れしたな・・・
「・・・そして今回あなた達に授からんとする財宝は、黄金の爪です」
「黄金の爪?」
「それでは行きなさい。神の召すままに・・・」
王子の疑問には答えない女王。
「はい!」
しかし王子は女王の言葉の全てを受けて、答えた。


321 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/07(金) 00:53:39 ID:2gW1Udxj0
真理奈達とプエラは軽く自己紹介をし、さっそくピラミッドへ向け出発した。
「それにしても、儀式に我々も付いていってよいのですかな?」
「儀式とは言っても、今では形だけのものです。
 昔は女王候補と、その婚約者だけで行っていたらしいのですが・・・
 危険も大きいので護衛を連れてもいいと決められたのです」
「なるほど。それで黄金の爪についてはご存知ですか?」
「黄金の爪はイシスの財宝の中でも、一番の秘宝と言われています。
 何でもピラミッドの地下深くに眠っているそうですが・・・
 ピラミッドにはモンスターが巣食っております。
 皆様お気をつけ下さいませ。私も微力ながら善処致します」
「姫自ら戦っていただかなくても、このフィリーがあなたを守ってみせますよ!
 なんとしても黄金の爪を手に入れましょう!」
「はい!頑張りましょうね」
プエラがニッコリと答え、その笑顔にフィリーがますます張り切りだす。
「さぁ行きましょう!黄金にも勝る2人の輝かしい未来の為に!!」
「ふふふ」
いつもよりテンションの高いフィリーはむやみに鉄の槍を振り回し砂漠を進む。
危ないっての・・・
「・・・ねぇ、プエラ?イヤだったら止めてもいいんだよ?」
昨晩の事を引きずったままの真里奈が堪らずに口にする。
「どうしてですか?」
「どうしてって・・・こうなったのはプエラの意思じゃないじゃん」
「そうですね。しかしこれはイシスの姫として生まれた私の運命なのです。
 それに・・・フィリー様は楽しい方ですわ」
(えぇ〜どこが・・・?)
それはさすがに口にしなかった。
「お気遣いありがとうございます。
 大丈夫ですよ、正しいかどうかは神様が決めてくださいます」
そう言って微笑むプエラに対して、真理奈は何も言えなくなった。
多くの運命を定める王家の墓、ピラミッドはもう目の前に迫っていた。


322 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/07(金) 00:55:40 ID:2gW1Udxj0
本日はここまでです

それにしてもプエラは良い娘だなぁ〜こっちを主人公にすれば良かったかな
誰かさんはちっとも女らしくないしな〜
おっと、殺気が・・逃げるお( ^ω^)ブーン

323 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/07(金) 01:45:42 ID:XEZ+pth0O



324 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/07(金) 02:18:50 ID:sYtHI5fv0
乙です

325 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/07(金) 18:11:19 ID:GT6kjOA/O
暇さん乙です!

326 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/08(土) 15:37:32 ID:z871vs510
     ,__     |  ついでに職人達の為に祈っといてやるか・・・
    /  ./\    \____________________
  /  ./( ・ ).\       o〇       ヾ!;;;::iii|//"
/_____/ .(´ー`) ,\   ∧∧         |;;;;::iii|/゙
 ̄|| || || ||. |っ¢..|| ̄  (,,  ,) ナムナム   |;;;;::iii|
  || || || ||./,,, |ゝ iii~   ⊂  ヾwwwjjrjww!;;;;::iii|jwjjrjww〃
  | ̄ ̄ ̄|~~凸( ̄)凸 .(   )〜 wjwjjrj从jwwjwjjrj从jr


327 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/08(土) 20:16:19 ID:eeG1QUtF0
保守

328 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/09(日) 14:33:31 ID:BJQjo9PoO
保守

329 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/09(日) 14:43:17 ID:j9ElVlcI0
パンツが腹が減ったとごねるので飯にする事にした。ここでいいんじゃないさっきも
寄ったしと勇者が立ち止まる。げっここは…ここは例の酒屋だ。ヤバイバレる。
おいここはやめて別のとこにしようぜなんか辛気臭い店だしってオイ!総長である
俺を差し置いて勝手に店に入るな!あーあ行っちゃったよ。

中に入るなり店長と目が合う。意味深な目で見つめる俺。いいかくれぐれも俺に神酒を
渡した事は喋るなよ…そんな視線。店長はコクッと頷いた。通じたようだ。
やはり真の男同士は目で語れるものだ。店長イカスぜ!あんたも漢だ!

あなたはさっきの!生きてたんですね…!神酒は役に立ちましたか!?

一気に俺に集まる視線。な…なんだよその目は!見るな!こっちを見るな!
まあいいわとりあえず座りましょうとねーちゃんが誘導する。

さて。うんそうだな。まあここは英気を養うためにまず一杯…ピシッ!
ねーちゃんの張り手が持ちかけた俺のグラスを叩き落した。やっべ目が座ってる。
仕方がないので酒は一旦諦めて真面目に会議をする事にする。


330 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/09(日) 14:44:09 ID:j9ElVlcI0
議題は二つ
・どうやってあのデカブツを葬るか。
・誰があの扉を開けて町を襲わせているのか。

デカブツは本気だせばどうかなるだろ?大体酒飲ませて動けなくなったとこ襲うなんて
男の闘い方じゃねえ!

…………。まあいわ。それよりも問題はあの扉。まず考えられるのは魔王軍。
でも私はこの線は薄いと思う。

…なんと。大本命をいきなり切り捨てやがった。てかありえねーだろ。わざわざあんな
化け物をけし掛けたり閉じ込めたり繰り返す様な奇特なバカは魔王以外いねー。

しかしねーちゃんが続ける。

魔王軍なら一気に滅ぼしてしまうと思わない?なぜ中途半端に襲わせるのかしら。
見たところこの町に目立った被害わないわ。生贄が要求されるくらい。
そんな回りくどい事をするメリットなんて無いわ。見せしめに一気に潰した方がいいもの。

……なるほどな。そう言われりゃそーだ。じゃあ一体誰が…
あの洞窟は普段人は近寄るのかとねーちゃんが店長に尋ねる。店長曰く国の御触れでなるべく
近寄らないようにとの事だそうだ。近づいたら牢ぶっこむぞって程でもないが、
あまりいい思い出の場所でもないので滅多に自発的に行こうという人はいないらしい。

331 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/09(日) 14:44:49 ID:j9ElVlcI0
益々行き詰る。いや行き詰るというよりはなんだろうこれは。強烈な違和感を感じる。
……………。まさかな。そんなはずはない。ねーちゃんと目が合う。どうやら同じ事を
考えていたようだ。

ヒミコの所へ行こう。

まさか国が犯人だとは思えない。ただこんな大掛かりな事をできるのは魔王軍かこの国の
機関かのどちらかだ。少なからず何かは知っているはずだ。

勇者とおっさんは難しい顔をしているが仕方ないと頷いた。パンツは寝ている。
俺達は店長一家に礼を言うと足早に城を目指した。

332 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/09(日) 15:12:26 ID:j9ElVlcI0
衛兵の制止を振り切り俺達は中に入った。そしてヒミコの前に立つ。
勇んで来たはいいものを何をどう説明しようか。やべこのままじゃまた只の侵入者だ。
と、ねーちゃんが簡潔に事情を説明した。ひみこはため息をつくとそこにいる全員席を
外せと命令した。

実は…確かにおかしいのじゃ。突然解けた封印。姿を見せるが実際大して暴れたりはせん。
しかし封書で生贄を出せと要求する。無論あの化け物がそんな事できるわけは無い。
その存在だけで国の民は脅えおる。

コイツは本当に何も知らなさそうだ。……………。よし。明日もう一度あの洞窟へ行こう。
面倒くせえ。ごちゃごちゃ考えるのはアイツをぶっ飛ばしてからだ!

すまんな勇者殿達よ。

勇者はいいんです頑張ってきますと笑顔で答えた。決戦は明日だ。



次の日。さすがに今日は誰一人寝坊する事はなかった。パンツですらキチンと起きたのだ。
奇跡。やれば出来るじゃねーかと話かける。ちょうちょが…ちょうちょが…
寝ぼけてるのか何言ってるのかさっぱりわからない。いや違うこれは寝ぼけてるのではなく
寝ているのだ。体は起きているが頭は寝ている。さすがパンツ侮り難し。

俺達は真っ直ぐ洞窟を目指した。中に入る。一度来ているので今回は進むペースが早い。
迷うことなく扉の前に到着した。一気に開ける。

333 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/09(日) 15:13:28 ID:j9ElVlcI0




最深部に奴はいた。咆哮が腹に響く。無意識に後ずさってしまう。チクショウ前に出やがれ
俺の足!みんな完全に気持ちが呑まれてしまっている。ここは先陣きって俺が行くしかない!

俺はダッシュで一直線にデカブツを目指した。ねーちゃんがすかさず補助呪文を唱える。

いくぜええええぇぇぇぇえええ!!!!!!!!
ガキィィィィィィィイイイインンンッッ!!!!

金属音が洞窟内に響き渡る。コイツなんて硬い皮膚してやがんだクソが!…え?

信じられない光景だった。俺の愛用ドラゴンキラーが真っ二つに折れた。

おいおい!ドラゴンキラーとは名ばかりか!いやいや有り得ないから!そしてデカブツと目が
合う。ゆっくり口を開ける。ははは…次の瞬間凄まじい炎が放たれた。一瞬にして目の前が
真っ赤だ。ねーちゃんが反射的にかけてくれたフバーハのおかげで何とか持ちこたえる。
が、痛い。超熱い。

隣では勇者とパンツが必死に切りかかっていた。炎をギリギリでかわしつつ刃を立てる。
しかし聞こえるのは乾いた金属音だけであまりダメージはないようだ。

…仕方がない。俺だってバカじゃない。こんな超規格外の相手に丸腰で挑んだりはしない。
昨日一晩考えて奥の手を用意しておいた。毒を以って毒を制す。目には目をデカブツには
デカブツを…!

ド ラ ゴ ラ ム !!!!


334 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/09(日) 16:29:52 ID:UcD1SovKO
何ィィィィィッ!!!

335 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/09(日) 16:39:07 ID:1gvx0fE8O
総長ドラゴラムか!

336 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/09(日) 16:40:02 ID:1gvx0fE8O
ごめん
sage間違った…

337 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/09(日) 16:42:46 ID:IRNQLsnU0
原へった

338 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/09(日) 17:07:46 ID:594RKNJoO
DQ3仕様のドラゴラムってはぐれメタルも一撃だしヤバくね?

339 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/09(日) 17:22:20 ID:MMnNMR/e0
わかりやすい住人だな。

340 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/09(日) 18:06:02 ID:tkrsRsdN0
リュウジさんが竜になった!!!


341 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/10(月) 01:42:43 ID:1FTb1UNOO
すごいな総長!

342 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/10(月) 01:43:29 ID:5hh/KXo90
あぁロトの紋章のドラゴラム×2の怪獣大決戦を思ってしまう

343 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/10(月) 03:10:15 ID:wOPno65XO
ここらでハヤトが助けに来る展開キボン。

344 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/10(月) 16:21:56 ID:5fgW9QZKO
ジュワ!

345 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/10(月) 17:27:33 ID:zPVQ5wk60
タケ………………………………タケ…………………

懐かしい声だ。―――――――― 誰だ?しかし思い出せない。次第に声が大きく変わっていった。

 もょ「タケ!!」
 タケ「あ、ああ………………もょか。どうしたん?」

声の主はもょもとだった。しかし最初は確かに別人の声だったのだ。

 もょ「ぶじでよかった!!しんぱいしたんだぞ!」
 タケ「す、すまん。今はどこにいるんだ?」
 もょ「ムーンペタだぞ。あんしんしてやすんでてもいいぞ。」
 タケ「悪いな。迷惑かけてしもうたわい。それよりムーンちゃんとレオンは?」
 もょ「ムーンはとなりのへやでねているぞ。なんでもタケをちりょうしてつかれたらしい。レオンはそとにいるぞ。」
 タケ「わかった。ムーンちゃんには感謝しなきゃな。あの娘には頭があがらへんわ。ムーンちゃんは慣れてないから結構疲れていたんじゃないのか?」
 もょ「ムーンはとちゅうでおれがおんぶしてもどったんだ。ムーンはちょっとおもかったぞ。」
 タケ「ア、アホ!!そんな事言ったらアカンやろが。いくらなんでも失礼やんか!」
 もょ「なにおこっているんだよ。へんなやつだなぁ。」
 タケ「もょに言われとうないわ。このドアホ!」

ムーンに聞かれなくて良かった。しかしもょもとの頭の悪さはどうにかして欲しいものだ。

レオン「よう。ちょっといいか?」
レオンが部屋に入ってきた。何か申し訳なさそうな表情をしている。

レオン「もょもと。すまなかった…………………」


346 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/10(月) 17:29:11 ID:zPVQ5wk60
 もょ「きにするなよ。それよりもひだりうではだいじょうぶか?」
レオン「えっ!?と、とりあえずは大丈夫だ。」
 もょ「それならよかった。」
 タケ「(おい!もょ!何言ってるねん。俺は殴りたらへん位むかついているんやで。)」
 もょ「(タケのきもちもわかるがここはおれにまかせてくれないか。)」

俺なら完全にブチ切れているんだがここはもょもとに任せるか。
 
レオン「し、しかし納得できない点がある。」
 もょ「どうしたんだ?」
レオン「普通なら俺みたいな立場の人間がここにいれるはずがないんだ。何故俺を受け入れるんだ?」
 もょ「そうだなぁ…………だれにもしんでほしくないからかな。」
レオン「どういう事だ?」
 もょ「ムーンはおやじさんをなくしたんだ。たましいだけおしろにいるってかんじだな。」
レオン「残留私怨か…………」
 もょ「そのときムーンがすごくないたんだ。ああゆうのはにどとみたくはないな。」
レオン「そうか………もょもと、お前は純粋な奴だな。」
 もょ「いきなりどうしんだ?」
レオン「あの御方以来だな。何か暖かいものを感じだのは。ありがとうよ、もょもと。」
 もょ「なにいっているんだ?かんしゃされることはしていないぞ。」
レオン「気にするな。俺にとって懐かしい物を思い出したからな。」

何言っているんだこいつは?しかしもょもとの純粋な心意気は俺も理解は出来る。



347 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/10(月) 17:30:34 ID:zPVQ5wk60
 もょ「レオン、おれたちといっしょにくるか?」
レオン「えっ!?あ、ああ。しかしなんだか一緒に行動しにくい感じだな。」
 もょ「レオンがいたらこころづよいぞ。いっしょにいこう。」
レオン「ただし、俺の仲間達を一緒に探して貰うけど構わないか?」
 もょ「かまわないぞ!」
レオン「そうか。決まりだな。改めてよろしく。もょもと。」


>レオンが仲間に加わった。


 もょ「レオン、すまないがおれもよすませてもらうよ。」
レオン「おっと、悪かったな。俺も自分の部屋に戻るとするよ。」

 タケ「もょ。おまえは立派な奴やで。」
 もょ「いきなりどうしたんだ?」
 タケ「俺なら同じような真似はできへんよ。」
 もょ「そうか?しかしなぜそういえるんだ?」
 タケ「いや、寛大な心の持ち主やなって思ってさ。」
 もょ「かんだいってなんだ?」
 タケ「『度量が大きく、思いやりがあり、むやみに人を責めない。』って事やで。まぁ、そんなもょだから俺も力になりたいって思ったんやで。」
 もょ「やっぱタケはかしこいな!おれがしらないことをなんでもしってそうだ。」 
 タケ「そんな事無いで。」
 もょ「そんなことないな。」
 タケ「突っ込みは相変わらずきついやっちゃの〜。」
 もょ「まぁいいじゃないか。」

思い出せたわ………俺が他人のために体を張る理由が………

信頼。これほど嬉しいものはない。もょもとは俺を絶対的な信頼をしてくれている。

もょもとの思いやりに答えなくては………俺も気持ちを切り返して頑張るとするか。この世界で。

348 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/10(月) 17:31:51 ID:zPVQ5wk60



一週間後。
俺達はムーンペタを離れることになった。サマルは槍術に慣れたみたいだし、リアも新しい呪文を習得したらしい。
戦力的には少しはマシになっただろう。
パーティ編成はもょもと(俺)・レオン・サマル・リア・ムーンの5人(実質6人)でなった。
  もょ「そろそろしゅっぱつするか。みんな。」
  リア「次の目的地はどこかなぁ?」
 ムーン「ルプガナって町よ。途中で砂漠を越えないといけないから水と食料は沢山持っていかないとね。」
 サマル「さ、砂漠を越えるのかい?大丈夫かな?」
 レオン「悲観的に考えてもしょうがないさ。とにかくルプガナで情報収集しなきゃな。」
トーマス「王女様………大丈夫でしょうか?」
カタリナ「私も心配です。ぜひ同行させて下さい!」
 ムーン「ダメよ。貴方達まで巻き込む訳にはいかないわ。それにもょもとやレオンみたいに頼もしい用心棒もいる訳だし。」
トーマス「し、しかし………」
 ムーン「これはムーンブルグの王女としての命令よ。兵士長トーマス!カタリナ!ムーンペタの警護を命ずる!!」
トーマス・カタリナ「はっ!!了解しました!」

へぇ、なかなかいい感じじゃないか。俺も思わず感心してしまったよ。

トーマス「もょもと王子。私からこれを………………」
  もょ「ん?この防具はどうしたんだ?」
トーマス「私が使用していた防具ですが、是非もょもと王子に使っていただきたいのです。」
  もょ「そういうわけにはいかないぞ。トーマスさんのだいじなぼうぐだろう?」

するとトーマスは小さな声でもょもとに話した。


349 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/10(月) 17:32:55 ID:zPVQ5wk60
トーマス「王子のもう一人の人格、タケ殿に私や王女様達を救っていただいたお礼です。」
  もょ「な、なぜタケのことをしっているんだ?」
トーマス「カタリナから聞きました。王子は二重人格であると。」
  もょ「け、けど………」

  タケ「気にすんな。もょ。」

  もょ「タ、タケ!?」
  タケ「脅かしてすまん。カタリナさんはトーマスさんに話たんやで。俺の存在を。」
  もょ「えっ!?い、いいのか?タケ?」
  タケ「俺は別にかまへんよ。それにトーマスさんは俺等の事を毛嫌いしている事はないしな。」
トーマス「タケ殿。私からもお礼をさせて頂きたいのです。」
  タケ「そんなん結構ですよ。私はもょ…いや、もょもと王子の力になりたかっただけです。」
トーマス「私ごときに敬語など滅相もない!!命の恩人にそそうな真似はしたくありません!今後にも役に立つはずですから使ってやってください!」
  タケ「わ、わかった。もょ、トーマスさんの心意気を飲んでやってくれ。俺からも頼むわ。」
  もょ「タケがそこまでいうのならしかたがないな。わかった。よろこんでつかわせてもらうよ。」
トーマス「ありがとうございます。もょもと王子、タケ殿。王女様をよろしくお願いします。」

トーマスから鋼の鎧、鉄の盾、鉄兜を受け取った。早速もょもと身に着けるとちょっとは重たいが気分的には強くなった気がした。

  リア「もょもとさんかっこいい〜」
 レオン「今のもょもとなら勝てる気がしないな。貧相な防具で俺と戦ったもんだ。」
  もょ「そ、そうか?」
 サマル「これからも頼りにしているよ。もょ。一緒に頑張ろう!」
 ムーン「さあ!皆いくわよ!」

俺達はルプガナに向う事にした。


350 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/10(月) 17:39:37 ID:zPVQ5wk60
訂正です

×レオン「悲観的に考えてもしょうがないさ。とにかくルプガナで情報収集しなきゃな。」
○レオン「悲観的に考えてもしょうがないさ。とにかくルプガナに行って情報収集をしなきゃな。」


351 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/10(月) 22:25:17 ID:xANdqKVp0
レッドマン氏乙!
ルプガナへ行ったら新天地の道が開けるのかな?
これからの活躍を応援しているぞ

352 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/11(火) 06:11:09 ID:qTQh6aJSO
レッドマン乙!
もょもとの「ムーンはとちゅうでおれがおんぶしてもどったんだ。ムーンはちょっとおもかったぞ。」
素直な意見にちょっとモエス

353 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/11(火) 09:17:10 ID:yTWKf0r90
メインヒロインどっちなのか気になるな。


354 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/11(火) 13:53:41 ID:t0dYpWUt0
どうしてもフォックスのカメレオンを思い出してしまうofz

355 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/11(火) 17:52:03 ID:t0dYpWUt0
保守


356 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/11(火) 22:20:03 ID:U4FiKkYZO
生存証明保守

357 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:31:40 ID:4cLXcxQB0
>>195
から続き
ついでにトリップ思い出したので戻します

●メイの両親

「ごめん」

宮殿を出てすぐに謝る俺
町の明るさが全く変わらないためどれくらいの時間なのかがわからない
太陽の動きがわかっても早朝、朝、昼、夕方、夜くらいしか判断出来ないが

「儀式で眠る人なんてまずいないから、驚いただけ 泣いてなんかないわ」

目が赤くなってるじゃないか
心なしか鼻声だし
ルビスもタイミングを考えてくれよ…

「ところで、魔力を引き出してもらった感想は?」
「感想? …あまり実感が無いな、俺は魔法を使えないし」
「え、そうなの? 神父さまにそう言われたの?」
「ルビス─ じゃあない! …そうだろうなぁって思っただけ」

危ない、思わずルビスの事を話してしまうところだ

358 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:32:35 ID:4cLXcxQB0
「ルビス様がどうかした?」
「なんでもないんだ たぶん、夢でもみたんだよ ははっ」
「ふーん… 後で簡単な魔法を教えてあげるわね」

困ったな
使えないってわかってて教えてもらうのは、悪い
しかしどう説明したらいいんだろうか

「いや、今は剣を─」
「遠慮しなくてもいいのよ 私は賢者なんだから教える事くらい簡単」

仕方ない
教わっても使えない所をみてもらえば、諦めてくれるか
……なんか悲しいけど

「わかった 楽しみにしておくよ
 それで今どこへ向かってるんだ? 宿屋か?」
「当然、私の家よ
 お金払って宿屋に泊まるなんて、家があるのにもったいないわ」
「そっか じゃあお世話になろうかな」

359 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:33:29 ID:4cLXcxQB0
助かった
これで宿代が浮く
1ゴールドだろうと無駄遣いは出来ないから節約だ

宮殿の正面の大通りを途中で曲がり、民家らしき建物がある通りを歩いていく
"民家らしき"というのは、どの建物も人の住む家に見えないからだ

「ここよ 結構立派でしょ? どう?」

メイが腕を右へあげる

二階建ての四角い石造り
雨が振らないから雨樋を要しておらず余計なでこぼこが無い本当に四角い家
そして空間制御のおかげかとてつもなく広い 軽く百坪はあるだろう
例に洩れず外壁は白だ

家の大きさと合わない扉を開け家へ入る
メイの両親は俺を歓迎してくれた

娘が男と旅をしてるなんて正直、なにか言われるんじゃないかと思っていたが…

360 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:34:24 ID:4cLXcxQB0
父親はカシムといいドワーフ
母親はネリスといい人間
二人はとても温和で、やさしい
俺とトルネコの話をじっと聞いてくれ、それからメイを呪いの解けた勇者様へ送り届けてほしいとお願いされた
メイとの旅は封印の洞窟までと決めていたのだが、その場の雰囲気に押されて"はい"と返事をしまう

この世界で何度、妥協と安請け合いをしてきただろう
俺のこの行動が後々トラブルを起こさなければ良いけど

しばらく談笑し、やがて食事が運ばれてきた
ネリスの作る料理はとても美味しく、メイが作ったという何かのスープも同じく美味い
旅ではゆっくり食事を作る時間も設備も無いから、俺はしっかり堪能した

食事後、疲れていた俺は失礼かと思ったが眠気を我慢できず先に寝かせてもらう事にし、湯を借りた
その後客間へ案内されたのだが、光苔は植えられておらず真っ暗
客間と寝室は、俺はすぐ寝たいので断ったが移動できる台に光苔を植えたモノを使うそうだ

俺が客間へ入った後も家族の会話は聞こえたけど何を話していたのかはわからない
メイと両親は明日から長い時間会えなくなるんだ、いろんな話があるんだろう
気にせず柔らかく厚い布団に潜り込む

明日からまた固い地面と薄い毛布と渇いた食事─
その事を忘れるように目を瞑り、俺は一瞬にして夢の住人となった


361 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:35:16 ID:4cLXcxQB0
●オリハルコンと魔力の力

「お世話になりました」
「メイの亊、よろしくお願いします」

朝になり、俺はカシムとネリスに礼を告げていた
ネリスが俺に言葉を掛け、カシムは黙ってうなずいている

「今度は勇者様もお招きするわ いってきます!」

メイが元気良く両親に挨拶をし、俺と共に家を出る
俺は食事をして眠っただけだが家族は遅くまで話し込んでいたようだ
娘を苛酷な旅へと送り出す親の気持ち、俺には今後も理解できそうにない

「スープ、美味しかったよ」
「ありがとう 私が唯一、自慢できる料理なのよ」
「唯一? 他は?」
「他は… 勉強中です!」

ちょっと怒った表情で、メイは大声で答えた

362 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:36:42 ID:4cLXcxQB0
旅をしている間は否応なしに軽い食事になってしまう
だけど俺は朝からそんなに腹へ入れられない
だから朝食は昨晩メイの作ったスープを出してもらった
調理されている食事はこれで当分お預け、メルビンに出会えれば別だけど方向が違うから会えないだろう

メイの家から歩き、宮殿正面の大通りへ出る
真っ白な建物には真っ白な店の看板
いくら白が好きだといっても、これじゃ迷うよなぁ

「旅に必要なものを用意しましょう」
「うん、店に寄って準備だ」

話し合い、まずは食料品店へ入り食べ物を買った
栄養価が高く保存も利く、いつもと変わらない乾物だ
それから魔法の鎧の代わりを探すため、武具の店へ

「いらっしゃいませ!」

小さな店主が出迎える
この店は武器と防具両方を扱っているため広い

「鎧を見せてほしいのですが」
「鎧ですね? それなら─」

店主がカウンター奥のカーテンをシャッと引く
その向こうには鎧が二つと木の人形に着せられた衣が一着

363 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:37:50 ID:4cLXcxQB0
「左から"水の羽衣"、"ドラゴンメイル"、"魔法の鎧"となっております」

俺が扱えそうなのは魔法の鎧とドラゴンメイルの二つ
水の羽衣はヒラヒラしすぎていて、剣を持って前に出るには不向きだ
メイはどうする?

「あ、私は大丈夫よ 良いローブを着ているから」

メイが身に着けているのは、薄いベージュで所々がキラキラ光るローブ
そういえば昨日までのローブと違う

「昨夜、母にもらったの プリンセスローブっていって"炎"、"風"、"氷"の魔法ダメージを軽減できるのよ」
「へぇ たいしたローブなんだな」

耐性というやつか
これから長い旅になるんだし、そういう事も考えていかなきゃいけない

「耐性なら魔法の鎧が良いと思いますよ!」

店主がそういいながら魔法の鎧をカウンターへ乗せる

トルネコもちゃんと耐性を考えて俺に装備させていたんだな…

364 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:39:04 ID:4cLXcxQB0
「ドラゴンメイルは耐性無いんですか?」
「炎に対してだけ、高い耐性があります」

"炎だけ"なのか、うーん…
赤い色がかっこいいんだけど、守る範囲は広いほうがいいもんな

「じゃあ、魔法の鎧を」
「ありがとうございます! お代は9000ゴールドです
 今装備している鎧は… おやそれも魔法の鎧ですか!
 穴が空いているようなので1000ゴールドで引き取りましょう
 8000ゴールドのお支払いをお願いいたします」

思ったより高い 金が…
しかし穴があいたままでは気持ち悪いし仕方がないか、この鎧を引き取ってくれるんだ…

俺は残った金17000ゴールドから8000ゴールドを支払う
その場で、穴の空いた魔法の鎧を外し店主へ渡した後、新しい魔法の鎧を装備した

「とてもお似合いですよ! ありがとうございました!」

同じ鎧でも新しいモノは気分がいいな

「鎧だけでいいの?」

メイが俺に問いかける

365 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:40:20 ID:4cLXcxQB0
「そうだなぁ… 兜は重いし、これでいいよ」
「あ! 盾はいかがですか? どんな攻撃でも弾き返せますよ!」

店主が勢いよく提案し、別のカーテンを引く
見ると盾がズラリと立てかけられていた

「すみません 俺は盾を扱えないんです…」
「そ、そうですか 最近、盾が売れないんですよねぇ」

そういえばピピンもテリーも、そしてトルネコも盾は使ってなかった
魔物くらいだろうか、使っているのは
とりあえず俺には必要無いな

「じゃあ、これで…」

今度は武器を薦められてしまいそうな雰囲気だったから、急いで武具店を出る
武具屋の扉から"またどうぞ!"と店主の声が聞こえた

「さて もう準備はいいかな」
「ええ、町を出る?」
「そうしよう」

遠くに見える町の入口へちょっとの時間でたどり着き、階段を昇る
昇りきると、まぶしい陽射しが出迎えてくれた

やっぱり本物の陽は違う
なんというか、暖かさがあるもんな

366 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:41:24 ID:4cLXcxQB0
「よし どっちの方向へ向かえばいいんだ?」

地図を出しながらメイに聞く

「ここからだと… 南ね、この偽物の町をこのまま通り過ぎれば分れ道があるわ
 その先は私も行ったことが無いから地図を頼りに、迷わないように」
「フィッシュベルへ向かう途中、何回か迷ったからな…
 今度はしっかり確認しながら行くよ」

地図をしまい、偽廃墟を通り過ぎる
しばらく進んだところで振り返って見ると、なるほど
普通の人間でもこの距離から眺めれば本物の廃墟だ
しかしこれじゃあ何も知らない旅人はきっと廃墟だと勘違いして素通りするか近付かないだろう

「ホイミ、教えてあげる」

イシスの偽廃墟を眺めていると突然、メイが言った

「あ いや、いいんだ魔法は任せるから」
「任せるって、魔力を持ったのに魔法を使わないつもりなの?」
「うーん、今はオリハルコンと魔力の二つの力を見てみたい
 魔法はまた今度、教えてよ」
「そう? タカハシがそう言うなら良いけど」

367 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:42:59 ID:4cLXcxQB0
ルビスの事を言えないのは面倒だ
"誰にも言うな"とは言われてないんだから構わないんだけど、説明するのがなぁ
俺が違う世界から来たなんて、とてもじゃないけど言えない
今はなんとかなってるから、別にいいか 俺はこの世界からいなくなるんだしな

ちょっと不満そうなメイと並び、チゾットへ向け再び歩きだす
俺は魔力とオリハルコンの関係が知りたくて魔物と戦いたくて仕方がなかった
そっと、剣に手を添える

…そういえば魔力の使いかたを知らない
魔法と同じような感じなのだろうからメイに聞いておこう

「魔法を使うには、使おうとする魔法を思い描く事から始めるの」
「魔法を思い描く?」
「例えば、簡単に言うとメラなら炎を相手にぶつける様ね」
「なるほど そうすればメラが出るのか」
「そう そうすることで術者の魔力と反応し魔法が使える」
「メイはメラミっていうでっかい炎をよく使っているけど、そういう魔法はどこで教えてもらえるんだ?」
「魔法のほとんどは書物や人から教えてもらったり… 中には魔法自体を封じ込めてある特別な道具からとか」
「特別な道具か きっと賢者の石みたいなものなんだろうな」
「たぶん似たような物ね でも魔法の効果を知ったとしても使えるようになるには訓練が必要なのよ」
「ははぁ 訓練が必要だなんて、剣術と同じなんだなぁ」
「強力な魔法を扱うにはそれ相応の魔力も必要になるの 魔法使いはただ叫んでるだけじゃないのよ」

魔法を使うにも訓練が必要か
じゃあ、オリハルコンの剣が魔力で強くなるって言うのも訓練が必要なのかもしれない

368 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:44:30 ID:4cLXcxQB0
その後、魔力の話を中心にしながら歩き、夜を迎えた
メイは毛布にくるまって休んでいる
夜は交替で見張りをするため、交互に休む
俺は焚火を前に座り、干し肉をかじりながらボウボウと踊る炎を眺めていた

テリーは今ごろどうしてるかな
メルビンとうまくやっているだろうか
剣の事になると他の事が考えられなくなるから、心配だ
もしかすると武器商人を目指していたりしてな はは…

俺は眠い目をこすりながら、そんな事を考え交替の時間まで過ごした


「おはよう…」

今日も朝からよい天気
結局、魔物が現われることはなく夜は明けた

水筒の水で顔を洗い、草の茎で歯を軽くこする
歯ブラシが欲しいけどこの世界には存在しない

369 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:46:11 ID:4cLXcxQB0
「チゾットまでどれくらいかかるかな」
「わからないわね 私も行くのは初めてだから」
「ゆっくり進んで行こう いつかたどり着くだろうし」
「…朝から大雑把ね」
「ゆっくり眠れなくて… 正直、ベッドの上で寝たいよ」
「私が我慢してるんだから、男のあなたはもっと我慢しなきゃ」

よくわからないメイの言葉に思わず言う

「いや、そのりくつはおかしい」
「なにか言った?」
「……いえ」

女を敵にしちゃぁイカン、ここは大人しくしとこう…

イシス周辺の景色とは違う開けた大地
所々に密集した木々があり地面を短い草が覆いつくす、メルキド周辺に良く似ている

寝起きの頭がハッキリしてから歩きだし、三十分ほどでハイオークが行く手を阻んできた

「ここは俺にまかせてくれ 魔力と剣の威力を試したい」

荷物を降ろし、オリハルコンの剣に手をかけながら俺が言う

「危なくなったらすぐに回復しに戻ってきて」
「わかった」

メイには後ろで待機してもらう

370 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:47:06 ID:4cLXcxQB0
「ウゴゥゥ」

俺は剣を構え、ハイオークの前に立つ
剣に対して魔力を送り込むイメージを作り、柄をギュッと握り斬りかかった
剣尖が弧を描き、動きの鈍いハイオークへ刃が当たるギリギリ─

勝負は一瞬で付いてしまった
ゴウと刀身が金色の光を纏い、上半身と下半身がまるで達磨落としのように跳ね、土の上へ不様に落ちるハイオーク
剣は魔物の体には触っていない
だが明らかにいつもと違う感触 それだけだった

「う…! これが オリハルコンの、力…!」

魔物を倒したというのに、剣から放たれる光は一向に収まろうとしない
俺の身体から力を、魔力を吸い取りつづけているような感覚

このよくわからない現象を抑えようと必死に違うことを考えたりしたが─
やがて俺はその場へ膝からガクリと崩れ落ち、立てなくなってしまった
立てなくなっても柄から手を離すことが出来ない
刃にまとわりつく金色の光は一層、大きく強く激しくなる

371 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:48:16 ID:4cLXcxQB0
「魔力を抑えて! お腹の、下腹部へ魔力を戻す様を!」

メイの声に従い、剣から下腹部へ魔力を呼び戻すイメージを必死につくる
すると、カシャリとオリハルコンの剣が手から滑り落ち、力を吸い取られる感覚も無くなった

「な、なんだったんだ今のは…」
「…たぶんあなた自身が魔力の扱いに慣れていないから、このままだったら魔力どころか体力全てを吸い取られていたわね」

吸い取られる?
もしメイの助言がなかったら危なかったって事なのか

"ふぅ"と一息ついて、立ちあがる

「助かったよ、ありがとう
 それにしても魔力を扱うってのは難しいんだな」
「剣に与えたり自分へ戻したりするのはすぐに出来ていたから、すぐに慣れると思う
 後は上手に、自分の思う通りに強弱を付けられれば更に良いわね」
「強弱か それは魔力で出来たあの光の強さを変化させるって事かな?」
「そうよ メラでも、魔力を抑えれば弱くなり効果を抑えられる
 そして魔力を強めれば効果が上がり強くなる オリハルコンの剣も同じだと思うの」

そういう事か 魔力ってのも奥が深い
うまく扱うにはやっぱり訓練が必要って事だ

372 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:50:04 ID:4cLXcxQB0
「今後は意識して魔力をコントロールしなきゃならないな
 戦いかたが全く変わってしまいそうだ」
「こんとろーる?」
「えっと… 操作って意味だよ 魔力を操作しなきゃならないって」
「変な言葉ね どこの言葉?」
「どこの言葉って言われても… 何か変な本でも読んだのを覚えていただけかも」
「ふぅん」

存在しない言葉があるっていうのは、難しい
思わず普段遣いの口調になってしまう、元の世界の

「魔力を増減させるのはそんなに難しい事ではないわ
 経験を積んでいけば自然に体得できるから、あまり考えすぎないで」
「それを聞いて安心した しばらくは俺一人で戦うよ」
「私が楽でいい案ね 出来ればずっと一人で戦ってもいいのよ?」
「いや、それはちょっと…」

実際、魔力をうまくコントロールできるようになれば一人で戦っていけるような気もする
敵に触れることも力一杯叩きつける必要もなく、切り裂いてしまう力
だけどテリーみたいに戦闘マニアじゃないから遠慮しておく

373 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:52:03 ID:4cLXcxQB0
「あ、ちょっと待って」
「ん?」
「魔力は大丈夫? まだ残ってる?」

"残ってる"というのはどういう…

「魔力は限りがあるから、時々休んで回復させなきゃならないの
 経験を積んでいけばその上限は際限なく上がっていくのよ」
「その"残った魔力"はどうやったらわかる?」
「さっき言った下腹部へ魔力を集中させて
 そうして目を閉じると青い光が見えるから、その光の眩しさでわかるはずよ」

下腹部っていうのは丹田の事か
気功みたいだな 本で読んだことがある

「どんな光か、教えてね」

目を閉じ、体全ての末端から力を丹田へ集めるイメージを頭の中で描き、魔力を集中させた
少しして、まぶたの奥に大きな青い光が浮かびあがってくる
その輝きは、少し淋しそう

374 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:52:57 ID:4cLXcxQB0
「大きな光が… でも輝きは弱い」
「魔力が残り少ないと弱い光になるの
 大きな光という事は、魔力自体は強いのね
 でも剣にかなり吸い取られたみたいだから… 少し休んでいきましょう
 魔力の回復は身体を休めるだけでも自然に回復するんだけど、座って今みたいに目を閉じ
 静かに、魔力を下腹部で造り出すようにすれば早く回復できる
 熟練してくるとあっというまに回復できるようになるから」
「わかった」
「今の魔力を知るのも、経験していけば目を閉じて集中しなくても出来るようになる」
「なんだかめんどうな事が増えたなぁ」
「ふふ 頑張ってね
 魔力を集中する練習をたくさんしておくと良いわ」

妄想なら得意分野だし─

「…妄想じゃないから」

!!
まずは思ったことを呟かなくなる練習が必要みたいだな……


375 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:53:39 ID:4cLXcxQB0
●守れない

イシスを旅立ってかなりの日数が経った
グランバニアからフィッシュベルの距離よりも長く、遠い道程
目の前には高い山がそびえ立ち、俺とメイの旅を更に苛酷なモノにしようとしている

「はぁ この山を登っていくのか、嫌になるな…」
「さすがにこれは厳しいわね…」

あまりに嶮しい山道に思わず溜息と愚痴が出てしまう
しかし文句を言っても仕方がない
毎度の事だが進むしかないんだ

急な上り坂のような、道らしき岩を登っていく
だが角度がありすぎる 二人の移動速度は平地の時よりかなり遅い歩みとなった

376 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:54:36 ID:4cLXcxQB0
「こんなに苦労をして… 洞窟に何もなかったら笑うしかないな」
「ごめんね 私もこんなに厳しい旅になるなんて思ってなかったから…」
「いや、それは構わないんだ どっちみち俺は、自ら進んで可能性を探るしかなかったから」
「…そう言ってもらえると私も気が楽になる 勇者様の呪いを解くシャナク、あるといいんだけど」
「シャナクが無くたって構わない 剣術の修行が出来るだけでもありがたい
 だけど願わくば、呪いも解きたいよ」

この地へたどり着くまでに、オリハルコンと魔力をほぼ思った通りにコントロール出来るようになった
その力は正に素晴らしく、戦いを格段に楽にしてくれた
それはよかったのだけど、困ったこともある
食糧が常に不足しているのだ
旅商人と出会えたのは一回だけ、しかも食糧屋では無かったため十分に補給する事が出来なかった
だから時々森へ入り、自然に育つ木の実や果実を採取していたがほとんど魔物に荒らされ数は採れない
水だけは休憩所のおかげで困ることが無かった
旅人がメンテナンスしてくれるおかげだ

377 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:55:35 ID:4cLXcxQB0
「それにしても、ここ最近魔物に遭遇しなくなったよなぁ」
「そういえばそうね お腹が空きすぎて気付かなかったわ」

この数日、実は魔物と戦ったのはたったの一回
まさか俺たちに恐れをなして姿を見せないわけではないだろうから、不気味だ

「はぁ… ちょっと、休憩しよう いくらなんでも急過ぎるよ」

小一時間ほどあるいただけで息が切れてしまう
この世界に来て一時間歩くなど造作も無いことだったのだが、この山道は別
富士登山した時も同じようにすぐ息切れして休憩した事を思い出す

その日、実際に歩いた時間は五、六時間だが進めた距離はほんの少しだろう
いや、上に向かって歩いているんだから距離は稼げたのかもしれない
岩の窪みへ座り込み、火も起こさず見張りも立てず、ぐっすり眠ってしまった

378 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:57:17 ID:4cLXcxQB0
翌日、昨日と変わらない嶮しく急な山道を歩いていく
背中に背負う荷物は残り少ない食糧の分だけ、軽い
昨日あまり進めなかった反省から、今日は暗くなっても進もうと二人で頑張ることにした
魔物の気配は全く感じられない
何か、おかしな事でも起きようとしているのだろうか…

翌々日、相変わらず平に削られた道
全くの無言で、その岩に対し疲れをぶつけるかのようにかかとを蹴って進む
この道はいつまで続くのか

山道を進み始めて数日
体も慣れ、あまり休憩を必要とせず進めるようになっていた
だけど食糧が底を尽きそうだ
道の起伏が激しくなり、標高は上がったり下がったりを繰り返し、今いる場所が高いのか低いのかすらわからない

379 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 14:58:23 ID:4cLXcxQB0
更に数日
降り道が思った以上にキツイ事が判り、そして食糧は尽きていた
水も、節約してきたつもりだが残り少ない
歩みは止まりメイが─ 熱を出し寝込んでしまった
俺も相当疲れていたがここで動けなくなると共倒れ、最悪二人とも"死"
そんな状況を脱するため俺は一人、何か食べ物になる物は無いかと探しに出た
ここ数日を考えれば、魔物はたぶん現われないだろう
メイを休ませフラフラと道を進んでいく

進み始めたはいいが、草一本生えていない
これじゃあ意味が くっ…

小さな石に躓き、その拍子に膝からゆっくりと力が抜けへたり込む

380 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:01:34 ID:4cLXcxQB0
めまいがする
頭がいたい
足腰が安定しない
考えがまとまらない
ここで俺が倒れたら、メイがやばい
今動ける俺しか守って、助けてやれないんだ
そのためにもなんとか進まなければ……
くそっ…!
こんなところでへばるな! 動け!

こわばった足を拳で殴り、気合いを入れる
太股に少し力が戻り、膝を持ち上げ脛と脹脛を前に出す
"うおお!"と叫びながらやっと立ち上り、ズリズリと足を引き摺り─

だが、無情にも再び膝から力が抜け、前のめりに倒れ込み頬を地面にくっつけた状態

もう─ 動けない
ここまで頑張ってきたのに
誰にも見付けてもらえずこんなところでひっそりと死ぬのか
どんなに剣術で強くなったとしても、身体が健康じゃなきゃ無駄だ…

すまないメイ… トルネコさん…
俺には誰も、守れない……

意識は 頭の中から どこか遠いところへ 運ばれて──


381 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:02:14 ID:4cLXcxQB0
ちょっと休憩…

382 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:04:04 ID:4cLXcxQB0
●チゾット

どれくらい 倒れた?
ここは どこだ?
メイは どうなった?
俺は どうなっている?

もしかしたら死の世界かもしれない
瞼を開くのがとても恐ろしい
あの状況ではとてもじゃないが助かったとは思えない

だけどこの感触
柔らかいシーツにベッドだ
俺は、ベッドの上で寝ているんだ
助かったのか?
だとしたらここは… チゾット?
それとも元の世界、か?

"イチ、ニィ、サン…"と心で掛けながらゆっくりと瞼を開く
石で出来た天井に大きなランプが下がっている
元の世界でも死の世界でも無い、この世界の部屋

383 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:04:36 ID:4cLXcxQB0
身体中を大きな倦怠感に支配され、起き上がりたいけどそれも出来ない
仕方がないから顔だけを横に向けると、隣のベッドで白いシーツに包まれたメイの寝ている姿

「…ここは」

俺の声に反応したのだろう
誰かがコツコツと足音を立て近付いてくる
反対方向を向くと、スラリとした長身の男が居た

「気がつきましたか 私はここチゾットで医者をしているクリーニといいます」
「チゾット… 医者… じゃあ俺たちは助かったんだ……」
「貴方は運が良かった
 たまたま、東から来た旅の剣士が通りかかりこの村の者へ知らせてくれたのです
 お二人とも脱水症状があり、栄養失調になりかけ他にもいろいろ、です」
「助けていただいて感謝します… メイは…?」
「一緒にいた女性ですね 大丈夫、今は熱も引き寝ているだけですよ
 しかし貴方が意識がはっきりしないにも関わらず、この女性の事を言わなければ存在に気付かなかった」

目立たない岩影に寝かせていたから、見付けてもらえなかったんだ
また、トルネコを目の前で呪われてしまったように、メイも助ける事が出来ないと─
とにかく助かって本当によかった
もう、俺の目の前で誰かが立ち上がれなくなるのは、見たくない

384 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:05:25 ID:4cLXcxQB0
「さぁ、あなたもまだ回復していません
 この薬を飲んでもう少し休んでください」

クリーニから粉薬と水の入った器を受け取り、それを飲み干す

「その薬は身体の回復力を促進させる効果がありますから……」

薬の説明を全て聞く前、現状に安心した俺は深い眠りに落ちた


俺を夢から引っ張り出したのは
クリーニが村の人の治療をしている声

ゆっくり身体を起こしてみる
身体の痛みと疲労感はすっかり無くなり、完全に回復したようだ
今までの旅の疲れも、消え去った

メイは─
隣のベッドで眠っていた

385 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:06:12 ID:4cLXcxQB0
「おや、目が覚めましたね
 身体はすっかり治ったのでもう動いて大丈夫ですよ」
「ありがとうございます、クリーニさん
 俺はタカハシで、この娘は俺と旅をしているメイといいます」

ベッドから降り、履き慣れた革靴に足を収める
健康に戻った俺の身体はとても軽かった

「はは タカハシさん、礼なら旅の剣士殿に言ってください
 要らないというのに治療費まで支払っていったのですから」
「治療費まで?! その剣士は今どこに」
「なんでも、強い魔物を探すんだとかですぐに旅立っていきましたよ」
「そうですか… 名前はわかりませんか?」
「ええと… テルー? いえ… テリー、と名乗っていましたね」
「テリーだって?! はははっ」

思わず大きな声で笑ってしまった
そうかテリーか!

「テリーさんからあなたに伝言を預りました
 "約束を、忘れるな!"
 だそうですが、知り合いですか?」
「ええ、まぁ 友人なんですよ」
「そうでしたか! それはそれは」

話をしたかったけど、相変わらず忙しく動いているみたいだ
感謝するよ、ありがとうテリー
それにしても、メルビンはどうしたんだ
もう修行は終わったのか?
そしてテリーの言う約束
俺が元の世界へ戻る方法を見付けたとしても─
果たさなきゃならないな

386 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:07:35 ID:4cLXcxQB0
よし
なんだか心も元気に戻ってきた
俺は俺の今の目的を、精一杯やってやろう

「…俺たちの荷物はどうなりました? それから何日くらい眠ってましたか?」
「荷物は、私が責任を持ってお預かりしていますよ
 タカハシさんは十日、そしてメイさんはかなりひどい状態だったのでまだ休ませたほうが良いでしょう
 無理もありません、いろんな症状が一度にでていたんですからね
 あ、身体は治っていますから安心して下さい」

クリーニはそう言い、地下への階段を降りる

俺たちが休んでいる部屋はクリーニの診療室だろう
広い机と診察台、大きな本棚にはたくさんの本が詰められている

あれ?
この世界に病院や医者というものは存在していないんじゃぁ……

「さぁこれです」

クリーニが大きな布の袋三つとオリハルコンの剣を抱えて戻ってきた

「ありがとうございます ところで…」
「なんでしょう?」

受け取ったオリハルコンの剣を腰に携えながら質問する

387 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:08:34 ID:4cLXcxQB0
「この世界、というか、医者というのは?」
「ええ、私が作った職業です
 一般には病気になったり怪我をした場合、薬草や魔法、そして教会で治療することが当り前ですが
 その手段を持たなかったり教会では間に合わなかったりします」

悲しそうな表情で話すクリーニ

「薬草で病気は治りませんし、魔法は使える者が限られている
 最近は病気も複雑化して野草では治らない事が多い
 そうなると教会で人体に詳しい者が治療するのですが、これもまた神官の高齢化でままならなず知識も中途半端
 そこで、です
 私のように怪我や病気を治す事を専門にした人間が町にいれば、そんな事は無くなるだろうと考えた」
「なるほど それで"医者"という職業を始めたんですね」
「そう、今はまだ私しかいませんがきっと認められ、もっと広まると信じています
 "医者"は"医療"で人を助ける
 医者の医は病気を治すという意味があるのでそう名付けました」

医者という職業が広まるのは確実だ
教会から文句を言われるかもしれないが、頑張ってほしい
その為には勇者が世界を救わないといけないんだが…

388 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:09:45 ID:4cLXcxQB0
「ルビス… 様……」

メイが上ごとで小さく呟く

そう、ルビスが誰を勇者にするかだ
そのルビスが、この世界を救うのは俺では無いと言った
でも俺はオリハルコンという特別な金属を扱っている
…どうも信用できないな 俺に何をしろって言うのか
また変なタイミングで現われるだろうからその次こそは聞き出そう

「ええと、それで治療費なんですが…」
「いえいえ 先ほども言いましたがテリーさんに受け取りましたから結構です
 それに医は仁術、人に恵みをもたらすという意味もあるのですよ
 私はその喜び、仁徳を受け取れるだけで満足です」
「そうですか… では余裕ができたらいつか、寄付させていただきます」
「ええ 余裕が出来たらぜひ、お願いします」

ニッコリと微笑むクリーニ
この世界の人は必要以上に欲がないというか、羨ましい

389 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:10:47 ID:4cLXcxQB0
「あ…!」

急に、メイの何かを追いかけるような声
そのまま動かず横になったまま、目と表情だけが動いていた

「コホン… では私は少し席を外しますので」

クリーニが診療室を出る

「大丈夫か?」

俺はメイのベッドへ行き、話しかけた
その顔色は良く、体調も回復しているようだ

「タカハシ…」
「ん?」

キュッと、俺の手をとり心配そうに顔を見つめるメイ
ほとんど死にかけた二人、助かったんだから感激しているんだろう

「助かったね… ここはどこ?」
「チゾットだよ テリーが偶然俺たちを見付けてこの村の人に知らせてくれたんだそうだ」
「テリーさんが? どこにいるの?」
「それが、もう旅立ってしまったって」
「そう… 今度テリーさんに合ったらお礼言わないとね」
「そうしよう それから今後だけど、まだ予定は何も決めていないから後で一緒に─」
「あの……」
「どうかした?」
「…いいえ 私はもう少し休ませてもらっていい?」
「ああ、ゆっくりしてていいよ」

メイがまた、布団へ潜り込む

390 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:12:24 ID:4cLXcxQB0
さて、これから何をするか
とりあえず、食料品でも買い込んでおこう

空になった食糧袋を背負い診療室を出る


チゾットの村は山に沿って作られていた
崖に沿って山肌を切り崩し道を作り、その道沿いに家が並ぶ
"並ぶ"というよりは岩をくりぬいてある
家は岩の奥深くまで続いていて、その中で数十人が暮らしているようだ
店を探すと食料品屋と道具屋しかない
特に見て回る場所もないようなので食料品屋へ直行した

「いらっしゃいませ!」

食料品屋はとても広く、品揃えが多い
対照的に客は俺一人
住民が買い物にくるにしては広すぎるし、こんな山の中でどうやってこんなにたくさんの食糧を用意できるのか
不思議に思い店主に聞いてみた

391 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:13:37 ID:4cLXcxQB0
「はは あんたが運ばれてきた道と反対方向の地、西側に村を無くした人達がたくさん住んでいるんだ
 そういう人達が二十日に一回ほど大勢でまとめ買いにくるんで、それで広くしている
 品物は西側へ採りに行って加工してるよ
 ここらは旅人も多いし、商売するには困らないさ」

西の地へはすぐに行ける?

「すぐもなにも、二日かからない
 それにしてもグランバニアからならもっと楽に行けるのに東側からそれもたった二人でくるなんて
 あんたずいぶん遠回りしてきたんだなぁ、イシスから来たんだろうけど」

グランバニアから…?
え! 地図にはそんな道のってなかったぞ?
じゃあトルネコの地図は…?

「もっとも、グランバニアからの道は今まで隠されてきたから、知らなくても無理はないけどね はっはっはっ」
「なぜ隠されていたんです?」
「ここからずっと西にはカルベローナがあってな
 その町の住民の意向でそうしてきたんだが、町は魔物に破壊されてしまった
 だから隠す必要が無くなって、知られるようになったのさ」

392 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:14:43 ID:4cLXcxQB0
隠されていた道 それなら地図に載っていなくても仕方がない
それにしても…
経由できる町を考えると、グランバニアから行ったほうがはるかに安全だ
西からならチゾットまで三日かからない事も含めて…

店主の話にショックを受けながら、保存の利く食糧を買い店を出る
大きく膨らんだ食糧袋を背負い、俺はクリーニの診療室へ戻る事にした


393 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/12(水) 15:15:23 ID:4cLXcxQB0
今回はここまで、以上です
溜めてしまったから投下が大変だった…

394 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/12(水) 15:55:04 ID:mH2TP8g90
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwwすげぇ更新wwwww乙wwww

395 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/12(水) 17:22:52 ID:D6pKPBCJ0
あげ

396 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/12(水) 18:08:51 ID:HLcwAC47O
タカハシ氏GJ!!!!!!!!
遅れたが暇つぶし氏と総長も乙かれっす!!!

397 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/12(水) 19:32:22 ID:aTbtxyDVO
タカハシSUGEEEEEEEEEEEEE!!
メイたんカワイス。

しかし今残っている職人さんは総長・レッドマン・4の人・タカハシ・暇つぶし・魔神くらいか?

398 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/12(水) 20:06:58 ID:eDJljDTD0
タカハシさんGJ

そして4の人待ってるよー

399 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/12(水) 20:06:58 ID:HLcwAC47O
オルテガも頑張ってるじゃないか!!!!

400 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/13(木) 11:20:31 ID:TH369VKm0
いや正直かなりの賭けだった。イケが一回使った呪文を見よう見真似で使うことは。
だがしかし!俺は!賭けに!勝った!ぬをををををおおおおおおおっっ!!!!!!!!

これは…凄い…!

ねーちゃんが唖然としている。そりゃそうだ。俺のドラゴラムはその辺の奴のとは
訳が違う。このデカブツを一目見たときから考えていた。こんな化け物に勝てるのは
ヤツしかいない…そう…幾度と無く日本を壊滅させかけ、終いにはニューヨークにまで
遠征かけた…

ドラゴラムは呪文を唱えた本人の能力やイメージが強く反映されるわ。
ただこれは…禍々しいというか何というか…そうこの世界の生物ではないみたい…!

当たり前だ!俺たちのヒーローをこんな世界のチンケな竜なんかと一緒にすんな!
今日俺は「ゴジラ」の名においてコイツを倒す!!!!!!!!!!!!!

野生の本能かデカブツは即座に俺を敵だと判断すると飛び掛ってきた。
それでもまだなおデカブツの方が二周りはデカい。だがしかし!ゴジラの名において
敗北は許されない!俺は正面から取っ組み合った。

ぐんむぬぬぬガアアアアアァああグアアああッッ!!!!!


401 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/13(木) 11:21:01 ID:TH369VKm0
巨体がぶつかり合う。もはや小細工無しの力と力の真っ向勝負!
俺の強烈なパンチが炸裂する!が、相手はたくさんある頭で同時に噛み付いてくる!
ぐッ…これはズルい…キングギドラですたら頭3つだったと言うのに…
俺は渾身の力で全身を叩きつける。体が小さい分小回りが利く。一撃の重さに劣るなら
こっちは手数で勝負だ!洞窟内に硬い皮膚と皮膚がぶつかり合う鈍い音がこだまする。
しかし徐々に押され始める。コイツは文字通り頭数が多すぎる!
ふんぐああぁぁぁぁぁ!!!これでどうだああああああ!!!!!!
力任せに一つの首を締め上げた。フロントチョークみたいな状態だ。そうとう苦しいのか
他の首が一斉に暴れだした。体中噛み付かれてボロボロだ。放さねえ!絶対放さねえ!
やがてゴキッと鈍い音があすると締め上げていた首の力が抜けた。

ぎゅアアアアアアァアアァ!!!!!!

さらに追い討ちと俺は口から強烈な炎を吐いた。温度でこそのダメージは薄いものの強烈な
圧力により相手は怯む。チャンスだ。一気にタコ殴りにする。俺の鉄拳連打が完全に相手を
捕らえた。

一瞬グッタリしたように見えた。まじかよ…コイツは一体何処までタフなんだ!?
直に体制を立て直し反撃に出てきやがった。残った口という口から猛烈な炎を吐く。
衝撃に押されて後退する俺。

バギッックロスッッ!!!!!


402 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/13(木) 11:21:33 ID:TH369VKm0
ねーちゃんの起こした真空波がデカブツの炎を切り裂き顔面に命中した!
助かったぜナイスねーちゃん!立て続けにパンツが同じ箇所に一撃を見舞う。
この首も動かなくなった。

お父さん…私に力をかして!…ラィッディイイイインンッッ!!!!

勇者が強烈な雷を落とした。こいついつのまにこんな強い呪文を…

ギャアアアアオオオオオオオオおおううウウウウ!!!!!!!

これはさすがにかなりのダメージを与えたようだ。悶絶するデカブツ。
よしここで俺が一気にカタをつけてやる!あれ?なんかコイツさらに巨大化してないか!?
デカブツの目線がどんどん高くなる…いや違う!これは俺が縮んでるんだ!!!

…元にもどっちまった…。だがこの好機は逃せねえ!炎が効かないなら逆を攻めるのみ!
くらえ!ヒャダイン!!!!!!氷の刃を含む猛吹雪がデカブツを包む。
凍ったせいなのかはたまた体力が尽きたのかデカブツは動かなくなった。
倒したのか…?おそらく一気にダメージをおって動かなくなっただけよ!ねーちゃんが
叫ぶ。膝の力がガクッと抜けた。ち…ちょいとばかし飛ばしすぎたようだ。
もう一息なのに!動け!ドク…ドク…とバカでかい心音が響く。デカブツの回復力半端ねえ。

ゆっくりとだが動き出しこっちを睨む。こいつどうしたら倒せるんだ!?

まずいわ!体力も回復力も異常だもの!このままでは競り負ける!


403 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/13(木) 11:22:06 ID:TH369VKm0
次の瞬間デカブツの振り回した頭により勇者とパンツが宙を舞った。
壁に打ち付けられ崩れ落ちる。どうやらパンツが自らを下敷きにして勇者をかばったようだ。
確かにこのままじゃこっちがもたねえ。クソこっちは
5人がかりだというのに…あれ?5人…そういやおっさんどこいった!?

総長殿総長殿…おっさんが話しかけてきた。てめえ無事か!?はい!身の危険を感じた故
あの岩の陰に最初から隠れてました!っていばるなそんなもん!…え!?なんだと?
おっさん曰くあの動きからして頭はたくさんあれど脳は一つらしい。で、その脳の場所だが
全部の首の付け根が怪しいらしい。ほんとか!?

間違いありません!あやつさっきからそこだけかばっておる!わしはずっと見ておった!

この際試してみるしかない。ねーちゃんに回復してもらう。ある程度はこれで動ける。
問題はどうやってその弱点を狙えるかだ。さてどうするか。今こっちの戦力は…
ねーちゃんはほぼ魔力使い果たし、パンツは完全に動けない。残るは俺と勇者。
勇者を呼び寄せる。俺がなんとかしてアイツの注意をひくからお前が剣で弱点を突け。
俺のドラゴンキラーは折れてしまったためこれがベストの選択だろう。
わかったと勇者が頷く。ここで失敗すると勝ち目は無い。気合入れてくぞ!



404 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/13(木) 11:22:49 ID:TH369VKm0
ageちまったすまねえorz

405 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/13(木) 11:31:42 ID:HbBKSvGYO
リアル支援。
総長乙。

406 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/13(木) 13:29:42 ID:xdgHPHoD0
ゴジラ吹いたw
総長乙。

407 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/13(木) 15:06:36 ID:rOOkj7rW0
ゴジラって、これはまた斬新なww


408 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/13(木) 16:32:31 ID:rr6jFPaR0
ゴジラってこれ?
              /     NY\
            /_____,,=─-.`、__
            / /      \ ̄ヽ `‐、
            | / iilllllii.   oilllllii ヽ | ̄~
            |y =・= r ‐、 =・= ∨、   
          r-r'    i   i    | i   
\         { / ; ∵; ,|. : : 人; ∵; | {    / 
  \       しi| `''" `ー- '   ー  | _)   / 
            |ヽ i  ィュエエェュ、 i  |r~   
            |  | |     | |  |      /  _/\/\/\/|_
    \    ノ//, |    |     | ! .|,ミヽ    /   \          /
     \ / く  |!  ヽLィニニニ 」/ /  \      < バーーカ  >
     / /⌒   \___'"_,/ ⌒\ \    /          \
     (   ̄ ̄⌒          ⌒ ̄ _)    ̄|/\/\/\/ ̄
      ` ̄ ̄`ヽ           /´ ̄
           |            |  
  −−− ‐   ノ           |
          /            ノ        −−−−
         /           ∠_
  −−   |    f\      ノ     ̄`丶.
        |    |  ヽ__ノー─-- 、_   )    − _
.        |  |            /  /
         | |          ,'  /
    /  /  ノ           |   ,'    \
      /   /             |  /      \
   /_ノ /              ,ノ 〈           \
    (  〈              ヽ.__ \        \
     ヽ._>              \__)


409 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/13(木) 18:22:19 ID:TH369VKm0
ねーちゃんが最後の気力を振り絞って竜巻を巻き起こす。デカブツの注意はこっちにむいたようだ。
勇者が駆け出す。よし後は勇者が回りこむまで俺がヤツを引きつけるだけだ。
とりあえず回りこんでることに気づかれてはいけないので派手なの一発かましとくか。
イオ!!!わざと爆発の中心手前にずらした。デカブツは口をこっちに向けると炎を吐く。

俺はフバーハを張ると後は仁王立ちだ。耐え切ってみせる!!!!
熱風が視界を塞ぐ。だがしかし俺は倒れん!!息切れか炎は止まった。
デカブツが大きく息を吸い込む。俺はポケットに詰めてあった薬草を全部口に押し込んだ。

ぐにゃあ!ぐるぢゃらごういびゃ!(コラ!くるならこいや!)

第二波がきた!俺は男の意地にかけて倒れん!…………ぬううううう………
意識が遠のきそうになる。勇者は!?勇者は今どこだ!?勇者がデカブツによじ登っているのが
見えた。もう少しだ。ちくしょうだが目の前の敵はまた大きく息を吸い込む…きた!!!!

やられてばっかじゃないぜ!ヒャダルコおおおお!!!!!!

冷気が炎を押し返す。ぐうううううううう!!!!…だめだ魔力がもたねえ…!
逆に押し返される。多少勢いは抑えられたようだ。なんとか踏みこたえる。

これはもう限界だ。視界がボヤける。デカブツが二重にも三重にも見える。ここまでか…。
総長!起き上がったパンツが体全体を引き摺りながら寄ってきた。そして俺の横に並ぶ。
次の一発が最後になるだろう。その間に勇者が一撃見舞えれば俺たちの勝ちだ。
パンツ!俺たちの根性をあのクソデカに見せてやるぞ!はいでやんす!俺達は肩を組むと
デカブツを睨み付けた!

怒号共に一際大きな炎が飛んできた。耐える耐える耐える!根性なら誰にも負けん!!!!!
全ての力を振り絞った。もはや体力は尽きている。だが時に気力は体力を凌駕する!!!!


410 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/13(木) 18:23:06 ID:TH369VKm0
イヤああああァァァァあああああぁ!!!!!!!

勇者の叫び声が聞こえる。どうなったんだ?炎が止まりそこに写ったのは深々とデカブツの
首元に剣を突き立てる勇者の姿だった。

さっきまでの激闘が嘘のように一瞬静まり返る。

……グ……グッウィヲヲオオオオオオオオオオオオ…!!!!!!!!!

明らかにさっきまでとは違う苦しみ方だ。七転八倒して大暴れした後、動かなくなった。
勝った…のか…?満身創痍の俺達が集まる。いやーいやいや凄まじい死闘でしたな!
…いや一人だけピンピンしてやがる奴がいた…だが突っ込む元気もねー…

デカブツはもう完全に動かない。コイツ…本当に強かったな。デカイとはいえこっちは五人がかりだ。
おそらく俺一人でタイマンはってたら勝ち目は無かっただろう。強敵だった。
できる事なら墓の一つでも掘ってやりたいがさすがに無理がある。俺達は洞窟を後にした。
みんな疲弊しきっているのか無言だ。おっさんは一人興奮しているが誰も聞いちゃいねえ。
入り口で立ち止まる。どうしたの総長ちゃんと勇者が振り返る。

イ オ ナ ズ ン  ! ! !

轟音と共に入り口が崩れる。数分後岩盤で埋め尽くされ完全に埋まった。
強敵との闘いに敬意を表してこの洞窟をデカブツの墓標にしてやろう。我ながら粋な計らい…
完全に気力も体力も魔力も使い果たした俺はその場で気絶した。




411 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/13(木) 20:07:21 ID:Gs+1FuL8O
総長カッコヨス

412 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/13(木) 20:46:03 ID:m+GnZTnHO
総長スゴスwwwwwwwwww
確実に某魔王よりは強いな。
>>409
オレンジジュース吹いた

413 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/13(木) 22:22:44 ID:Spu2TPAH0
>>409
男塾か?

414 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 06:30:05 ID:Ff5OfH1cO
>>412-413
おまいらレスミスりすぎw
>>408だろ?しかもにしこりだったっけ?

415 :素股三四郎 ◆BmPkDhDVz6 :2006/04/14(金) 08:04:47 ID:AJOGTKft0
朝、目覚めるとそこは見たことも無いベットの上だった。
ガンガンする頭を振りながら横を見ると、見たことも無い女が寝ている。
(またやっちまったか・・・)酔うと見境無く女を連れ込んでしまうのが俺の悪い癖だ。
よっ、とベットから飛び出すと思いっきり窓を開け朝日に俺のマグナムを晒す。
うーん、いい天気だ。
「いつまで俺のベットで寝てんだよ」俺は牛のようにだらしなく寝る女の形のいい尻をぴしゃり、と叩く。
童貞諸君の皆さんは人の家に泊まっておいてこれは無いと思うだろうが、
こう理不尽に言ってやったほうが女と縁は切りやすいのだ。 「とっとと出てけ、この売女」
「あなたは198人目のプレイヤーです」突然、女が機械のようなかすれた声でしゃべりだした。
「あなたはこのゲームの主人公です。迫り来る敵を倒し、大魔王から世界を救い出してください」
なんだ?何を言ってるんだこの女は?状況の飲み込めない俺は冷静さを装いながらも
ついチンコをしごいちまう。コレも俺の悪い癖だ。 「どういうことだ?」
突然、窓がぶち破られ、外から見たことも無い馬鹿でかいコウモリが現れた。「キキーッ」
何かやばそうだ。コウモリはかわいいつぶらな目をしているものの、
しかしその大きく開けた赤い口は、完全に人肉をほおばる種類の生き物である事を俺に告げていた。
やばいぞ。完全にやばい。しかし俺はこういうときこそ落ち着いて考えられる男。冷静に考えよう。
俺は今、見知らぬ女の家で見たこともない怪物に襲われている。そんなときどうすればいいか。
すぐさま俺は人差し指を両のこめかみにあて、「ぽっく、ぽっく」と独特のリズムでいい案を考え出した。「チーン」
思いついた。俺はすぐさま部屋にあるものを片っ端からコウモリにぶつけることにした。
鏡も、花瓶も、タンスの引出しも、全てだ。知ったこっちゃない。全部この知らない女のものだからだ。
後で警察が来て面倒な事になったらすぐ逃げてやる。

416 :素股三四郎 ◆BmPkDhDVz6 :2006/04/14(金) 08:05:56 ID:AJOGTKft0
「死ねええ!」飾台を思いっきりぶつけたのが功を奏したようだ。でかいコウモリは動かなくなった。
しかし俺を驚かせた罪は重い。すぐさま俺はコウモリを何度も何度も踏み潰す。
そして出てきた内臓に火をつけて燃やした。「ふはは、燃えろ、燃えろ」
「そこまで!」つんざくような声で、さっきまで動かなかった女が叫ぶ。
「もういいわ。もうやめてちょうだい」 呆れたように女がため息混じりに呟く。
金髪をふりみだしてベットに中座すると、桜色の乳房が朝日の中で美しく揺れていた。
「いかがでしたか?私は反対です」突然、女は誰もいない天井へ向かって話し掛けた。
「確かに冷静ですが、余りに残虐すぎます。勇者には向かないかと」
勇者……?何言ってんだこの女。クスリで頭がイカレちまってるのか?可愛そうに。
俺は女の前に仁王立ちになる。
「ハイ…ハイ…しかしマスタ」ぴしゃん、と俺は自慢の超ロング馬並ポコチンで女の頬を叩た。
「お空と交信中のとこ悪いな」イカレちまってる女を落ち着かせるには、これだ。「咥えろ」
ピシャリ。遠くで何かが割れる音がし、耳の奥がキーンと鳴った。「調子に乗ってんじゃ、無いわよ!」
どうやら俺はこの女にひっぱたかれたらしい。
茫然自失の俺にかまわず、女はますます別世界との交信を始める。
「ハイ。どうやらあなたの見込み違いなようです。この男に世界を救う力があるとは私には思えません!」
ふつふつと、俺の中に怒りが充満するのが分かった。「おい、黙って聴いてりゃ勝手なことばっかり言いやがって」
俺は完全に切れた。「てめえみてえな女が一番俺は気にくわねえんだ」
「何するの、やめなさい」 抗うのも構わず、俺は女に飛びかかった。
「やめてええ」俺は無理やり女の乳首を物凄い速さで擦る。
その摩擦力で火がつくぐらい、俺はコレでもかと擦り上げた。 「ああ、そんな、乳首にメラなんて」
訳の分からんことを、だがまあいい、どうやら感じてきたらしいぞこの女、と
俺は自分のもくろみが上手く行ってニヤリと笑う。女の股に手をやると十分湿った陰毛が、
俺の指をパックリ開いたアレに勝手に誘った。「ああん、いや、やめて、あっ、やめてえええ」

417 :素股三四郎 ◆BmPkDhDVz6 :2006/04/14(金) 08:36:41 ID:AJOGTKft0
「……ハイ……ハイ」
十分満足の行く行為が終わって、俺は煙草に火をつけていた。
「ハイ。ですから、その、やはり、私の勘違いでした、ハイ。この男、いいえ、このヒトには素晴らしい
勇者としての素質があります。ハイ。確かに、この世界の枠にはおさまらない破天荒なところがありますが、
それはでも、このヒトの魅力…というか、そんな型破りな性格だからこそ、大魔王から世界を救えるのかもしれません。
ハイ。分かりました。では、本格的に冒険を始めます。それでは」
「もうお空との交信はいいのか?」口に含んだ煙を一気に肺に流し込み、ふーっと吐き出して俺は言う。
「改めまして、初めまして」女は今にも四つ指立てそうな勢いで、俺のほうに向き直って恥ずかしそうに言い出した。
「こんな形で出会う事になっちゃって、ごめんなさい。と言ってもこれはあなたの無意識下のイメージのせいなんだけども」
「何が何だかわからねえや」もう一度煙草のフィルターから煙を吸い出す。
「あんた頭おかしいんだろ?SEXは最高だったけどな」
「ドラゴンクエスト」女がじっと俺の目を見詰めてつぶやいた。「やったこと無い?」
ふーっと煙を吐き出して、俺は言う。「あるよ」指先がかすかに痺れた。「小さい頃な」
「その世界に突然自分が飛び込んじゃったら、どうする?」
しばらく時間が流れた。女は真剣な眼差しで俺の目を真っ直ぐ見詰めてくる。
「見て」女が指差した方向には、さっき俺が燃やし尽くしたコウモリの残骸があった。
「あれは、ドラキーよ。あなたが倒したのは、まぎれもない、本物のドラキーなのよ」
「ちょっと待ってくれ」嘘を言っている様子は無かった。
「それじゃ何かい?」しかしこんな奴に限って関わるとろくなことが無い。
「俺は今ドラゴンクエストの世界にいるっていうのかい?」「そうよ」
女は自信たっぷりに言い切った。ヤバイ。俺の直感がそう告げていた。この女、ヤバイ。

418 :素股三四郎 ◆BmPkDhDVz6 :2006/04/14(金) 09:09:17 ID:AJOGTKft0
ゲームをやっているうちに自分がそのゲームの世界にいるような錯覚、
それは俺も味わった事がある。だからこの女の言っている事は何となく理解できるのだが、
ここまでくるともう完全に‘キ印’だ。ご愁傷様。
「いいSEXありがとう。俺帰るわ」俺は立ち上がるとその辺に落ちていた衣服をつかみ取り、
足早に部屋を出て行こうとした。「ちょっと待って」
後ろの方でいそいそと女が着替える音が聞こえたが、どうでもいい。
まとわりつかれないように、早いとこ逃げるだけだ。
西洋の旅館風の廊下を服を着替えながら足早に走り抜け、カウンターの親父の髭面にも目をくれず扉を開く。
開いて、俺はあんぐり口を開けた。「どういうことだ!」
街を歩いていたのは、どう考えても時代錯誤な衣服に身を包んだ人々と、
中世ヨーロッパにまいこんじまったかのような町並みの光景だった。
「だから言ったでしょ。あなたは今、ドラゴンクエストの世界にいるの」
追いついて来たた女が、俺の背後で静かに言った。「それも、勇者としてね」
「ああ?うるせえ!ここはどこだよ」
「始まりの街、ラダトーム」女は呟くように俺に言った。「とりあえず、王様に会いに行きましょう」
王様?ラダトーム?付き合ってらんねぇぜ。頭がこんがらがってきた。
俺はぎゅっ、っとチンコを握るとゆっくりさすりながら女に向かって言った。
「これは何かの祭りかアトラクションか?それともディズニーランドとか」
「期待していたより理解が遅いのね」長い睫毛をした青い瞳で俺の顔を覗き込んで女が言う。
「これはもう現実よ。レベル1の勇者さん」

419 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 16:23:41 ID:K+LYU/XR0
エロエロな主人公降臨!!
ウッフンアッハンな展開に期待していいかな?

420 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 20:29:54 ID:df1TVm6Y0
期待保守

421 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 20:41:41 ID:xnXMUSfUO
>>418よくできてんな〜

422 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 20:48:36 ID:YwL1EuX60
文体は上手いんだがこれはちょっと・・・

423 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 21:03:19 ID:DLTlylqs0
鬼畜王?w

424 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 21:56:55 ID:hVDdU7Gz0
>>422に同意。
既出の作品群には無い個性だが、やはり表現に抵抗を感じてしまう。
今後の展開が面白そうなだけに、残念。
下ネタ有りと明記して別スレたてて、他の同志募ってみては?

425 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/15(土) 02:05:09 ID:QdN7q59G0
面白いし、気になる作品ではあるだけど、板の性質上、小学生とかも
来訪者もいるからな…今後は全年齢版ではなく大人板寄展開になりそ
うだし

大人板でこのスレからの派生ということをスレタイに入れたスレを立てて、
続きを連載した方が良いかも。読みに行くので…

426 :素股三四郎 ◆BmPkDhDVz6 :2006/04/15(土) 19:15:28 ID:z8H9VnHX0
分かった。別スレ立ててシコシコやるよ。お目汚しすいませんでした。

427 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/15(土) 20:19:50 ID:6iLw95v4O
ちょwwこの板にたててるじゃねーかwwまぁ心意気は大いに認めるw

428 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/15(土) 21:31:43 ID:QdN7q59G0
まぁFFのヒロイン関連で結構あっち系が立ってたりするから良いんじゃね

429 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/16(日) 18:35:39 ID:DKLxb9DcO
保守

430 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/17(月) 00:37:37 ID:hXyOkRmI0
次に目を覚ましたのはあの酒場だった。そう例の神酒のとこだ。パンツがここまで担いできたらしい。
店長は号泣しながら礼を言ってきた。別にお前のためにデカブツと倒したんじゃねえ。
うざいから泣くな。と、ねーちゃんが手招きしている。ははーんさては俺の男の中の男の闘いっぷりに
惚れちまったか?ったくこれだからモテる男はつらいぜ。誘われるがままに店の外に出る。

勇者殿…

来た来た。いつでも準備は万端だぜハニー。今晩は最高級のスイートルームを予約しようかってぬお!
振り返った視線の先にいたのはおっさんだった。なんでてめーがここに居るんだチクショーが!!!
実は洞窟でこんなものを拾ったのですじゃとおっさんが勲章のような物を見せた。
竜の形をしていて真ん中にはよくわからない文字が刻まれている。なんだこりゃ。

それはジパングの紋章よ。それもかなり地位の高い人しか身に付ける事ができないものよ。

ねーちゃんが続ける。男心を弄びやがって酷いぜねーちゃん…ってえ!?どういう事だ!?
あの洞窟にこの国の偉い奴しか身につけられない物が落ちている。どうやら嫌な予感は的中した
ようだ。沸々と湧き上がる俺の怒り。すぐに酒場に戻り全員に召集をかける。

おまえらこれを見て欲しい。

みんなの視線が竜を象った紋章に集まる。


431 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/17(月) 00:38:34 ID:hXyOkRmI0
これは洞窟に落ちていたものだ。おっさんが拾った。ブローチだかペンダントだか何だかしらねーが
どうやらこの国のお偉いさんしか身に付ける事ができないものらしい。

勇者の顔が強張る。パンツが何か大発見をしたような顔で喋りだす。総長それはつまり…黙れ。
会議中においておまえに発言権は無い。

俺はハッキリ言ってブチ切れた。今から城に殴りこみに行くぞてめーら!

俺は大声を張り上げた。ちょっと待ってとねーちゃんが話し出す。

今日はみんな疲弊してる事だし準備を整えて明日改めて訪ねましょう。それにその格好じゃ
多分城の中に入れてくれないわよ。

自分の服を見つめてみる。ボロだ。これは服というより完全なボロだ。いやしかし服装など関係ない!
俺は今殴りこみをかけたいんだ!

あの…お取り込み中失礼しますがささやかですが出来る限りの料理と酒を用意しました!
娘の恩人です!遠慮なく食べて下さい!

……よし。出発は明日にしよう。

432 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:38:35 ID:RdyazwDA0
>>321続き
ピラミッドは王家の墓であり、財宝庫であり、イシスの象徴であった。
見るもの誰もがその大きさに圧倒されるだろう。
そして夕日がピラミッドに沈む光景には自然の偉大さを感じ、
夜の暗闇に佇む姿に畏怖と崇高さを覚える。
ピラミッドという存在は、ファラオの力を一番端的に示しているのだ。
「こっちの世界にもピラミッドあるんだね〜ますますエジプトみた〜い」
エジプトみたい、じゃなくてそうなんだけどね・・・
「よ〜し、一番乗りだ〜!!」真理奈が正面の入り口に駆ける。
「こらっ!ここは王子である僕が一番に決まってるだろ!」
フィリーが真里奈の後に続く。
「あっ、フィリー様!私も行きます!」
「待て待て、ここは危険が無いかワシが調べてからじゃな―――」
プエラ・パトリスもピラミッドに入って行った。
皆が宝探しにワクワクしている中、残されたジュードは
「は〜やってらんねぇぜ。何であんなヤツの為に・・・」と1人ダルそうにしている。
「・・・・」コクコクッ
ジュードの隣でフィリアが同意、とばかりに頷く。
「何だ?お前もアイツ嫌いなのか?」
「・・・・」コクッ
「だよなぁ〜あのうるさいトコが気にくわねぇ。お前もそうか?」
「・・・・」
違うよ、という目でジュードを見る。
「あ?違うのか?」
「・・・・・・・・・名前、似てるから」
フィリアとフィリー。
「名前?あぁ確かに似てるな!ってか同じじゃん!ははっ、こりゃ笑える!!」
爆笑するジュードの事を軽く睨み、フィリアは脇腹にパンチを入れる。
「いでっ!!・・・何だよ・・・」
ジュードを無視し、フィリアもピラミッドに向かう。
ごめんねフィリア。あんなのと似てる名前にしちゃってごめんね・・・


433 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:40:05 ID:RdyazwDA0
ピラミッドの入り口はそのまま大回廊となっている。
が、横幅が無いので2列なって進むしかなかった。
先頭に真理奈とパトリス。真ん中にフィリーとプエラ。しんがりはジュードとフィリア。
暗く、静かな廊下に唸り声が響いてくる。そして突然襲い掛かってくるモンスター。
「げげー!!これってミイラ?!」
「そうじゃな。気をつけるんじゃぞ真理奈。ここは狭いからの」
「大丈夫だって!うりゃあ!!」
ミイラ男にお得意の蹴りをかます。体をくの字に曲げ吹っ飛んでいった。
「王家の財宝を守るモンスター、か。もしくは財宝荒らしを獲物にしとるんじゃな」
しかし財宝が眠っているのに、このピラミッドの造りは何だろうとパトリスは思う。
普通何かを隠したり、大事なものを守ろうとする場合には厳重な扉をつけたりする。
それがピラミッドにはまったく無かった。イシスの兵士が警備をしてるでも無い。
「どうぞお取り下さい」とばかりに開け放たれている。
その代わりにモンスターがいるのかもしれないが・・・
(意図的にそうしている・・?まぁモンスターは財宝に興味はないからのぅ)
「それにしてもおじいちゃん達はジュードみたいに鎧を装備しなくていいの?」
真理奈の問いかけによって思考は中断されてしまう。
「ん?あぁ、あんな重たいモン装備しなくてもワシには呪文があるからの。
 例えばスカラという呪文がある。対象者の守備力を上げる効果があってな。
 これを使えばワシやフィリアのように防御力が低い者でも、
 モンスターの攻撃に耐えれるようになるんじゃ」
「へ〜」
「むっ!信じておらんな?よ〜し、スカラ!!さっ、真理奈よ。ワシに攻撃してみぃ」
「いいの?」「あぁ。逆に真理奈の方が痛いかもしれんがな。フォッフォ」
「じゃあいくよ〜」ボコッ!!!
「!!!!!!!」
「あっ、ゴメン!やっぱ痛かった?」
「いやいや、スカラのおかげでちっとも痛くないわい・・・おおぅ・・」
パトリスは真理奈に見えないように、懐からそっと薬草を取り出したのだった。


434 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:42:01 ID:RdyazwDA0
回廊を真っ直ぐには進まず、小さな部屋を片っ端から見て回る。
その途中で宝箱をいくつか見つけたが、どれもからっぽだった。
「まぁ、黄金の爪は地下に眠っているという話じゃからのぅ」
「でもどうやって地下に行くの??」
「・・・分からん。もっと先に進まんと地下への階段がないかもしれんな」
しかし、モンスターが引っ切り無しに襲ってくるので、中々先に進めない。
大体は真理奈の一撃やパトリスの呪文で倒せるのだが、
この狭い回廊では倒したモンスターをまたぐ必要があるので面倒なのだ。
そうこうしている内に大王ガマが姿を現す。
と、それまで珍しく静かにしていたフィリーが声をあげた。
「ええい!僕はロマリアの王子だぞ!僕だって戦える!!」
一番前に飛び出し、赤いカエルに突っ込むフィリー。
攻撃を仕掛けようとした瞬間、踏み出した足元の床が抜け、フィリーは姿を消した。
「フィリー!!」プエラが叫ぶ。
穴の中からは「わ〜!!助けて〜!!」という声が・・・
真理奈がすぐさま飛び込み、フィリーの上に着地する。
上の階より暗いが、周りにモンスタ−がいるのが雰囲気で分かる。
「ぐえっ!」という声を無視して、足に力を入れモンスターに飛び掛る。
「フィリー!?」
プエラが穴から降りて、これまたフィリーの上に着地する。
「うぎゃっ!」
「あっ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「ぜ、全然平気ですよ・・・」
「そんなカッコで言ったって説得力ないわよフィリー。
 ったく、どうせ姫にイイトコ見せようって思ったんでしょ?」
モンスターを追い払った真理奈がちょっかいを出す。
「まぁ、そうなのですか?」「っ!!」
赤面するフィリー。まぁ暗くて表情はあまり見えないんだけどね。
「違いますよ!僕はただロマリアの王子としてですね!」「ふふふ」
フィリーはプエラに手を引かれて立ち上がる。
そんな2人を見て真理奈は、うまくいけばいいなと思う。


435 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:43:07 ID:RdyazwDA0
ピラミッド地下1階。視界の利かない中を真理奈達はゆっくりと進む。
プエラはここに来てようやくピラミッドの本当の怖さを実感していた。
それは、暗闇がいっそう濃くなったとか、ここから無事に地上に出られるのだろうかとか
そういった不安や恐怖がもたらすモノではない。
明らかにここは力の強さが違う。
まるでファラオ王に直接見られているような―――
実際に会った事はないが、ファラオ王にはこんな風に場を支配する力があったのだろう。
そう感じざるを得ないような場所に隠す財宝は、まさに秘宝を呼ばれるのに相応しい物。
つまり黄金の爪をはそういった類の物なのだ。
それ故に手に入れるには危険も数段高くなる。
女王があの時、占いの結果を伝える時に躊躇いを見せたのも分かった気がした。
しかし、もしそうならば女王はなぜ今回の儀式に黄金の爪を選んだのだろうか。
プエラ『占い』が建前だという事を知っている。
所詮ファラオやルビスの名を借りて、思うままに政治を行っているに過ぎないのだ。
それなのにこんな困難な命を下したという事は、この結婚話は成立しない方がいい。
そんな風に女王は考えているのかもしれない。
(どうして・・・?私達が死んでしまってもいいと言うの?)
周りの雰囲気も手伝ってか、嫌な考えばかりが浮かんでくる。
プエラは立ち止まり、その場で強く目を閉じてしまった。
どうしようもない不安から逃げ出したくなったのだ。
その時、不意に手をギュッと掴まれた。相手の温もりが伝わってくる。
「プエラ」 「・・・フィリー?」
「大丈夫。黄金の爪はもうすぐそこだよ。一緒に国に帰ろう」
「・・・・・・はいっ!」
それは太陽のような―――
「邪魔するなよモンスター!そしてピラミッドの主ファラオよ!!」
手を繋ぎ、再び歩き出す・・・・と、
「イシスの姫プエラと、ロマリアの王子フィリーがっ!!あぁあああぁぁぁ〜!!」
ガシャンガシャンガシャンガシャン―――ドシンッ!!
派手な音を立てフィリーは再度、奈落の底へ落ちていった・・・。


436 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:45:37 ID:RdyazwDA0
(また落ちた・・・)
誰もがそう思い、呆れた。
「フィ、フィリー!!」
びっくりして思わず手を離してしまったものの、一番早く我に返ったプエラ。
フィリーを追いかけ、階段を駆け下りる。
「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・」
フィリーはモンスターの唸り声に似たうめき声を上げていた。
「フィリー!フィリー!!しっかり!!」
「・・・フィリア、ホイミしてあげなさい」
パトリスに言われ、フィリアが嫌そうな顔でフィリーに近づいた。
そして薬草をプエラに渡す。
(相当嫌いなんだな・・・)
その様子を見てジュードは一人納得する。
「しかし、まだ下があったとはのう」
「きっとこの先に・・・?」
長い間空気を入れ替えていないのであろう。息をするのも嫌になりそうだ。
フィリーのうめき声が止むと、また沈黙が辺りを包んだ。
そして誰からとも無く歩き出す。
曲がり角を含んでいるが、これまでと違い変哲も無い一本道。
それは、この先に捜し求めていた物があるという確信でもある。
再び左へ曲がる。
そこは行き止まりで、小さな部屋になっていた。
部屋の中央には1つの棺。
棺を見る者が必ず見上げるようにするため、その床は他より高く造られていた。
正真正銘のファラオの墓だった。
「やっと、たどり着いた・・・」
フィリーが皆の思いを口にする。
そしてフィリーとプエラは祭壇のように奉られている棺へと近づいた。


437 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:47:58 ID:RdyazwDA0
今日はここまで、と。
思ったより長くなってしまうなぁ・・・
もう少しスマートに話を展開したいと思うオール明けの日曜日。

438 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/17(月) 18:26:32 ID:1o+24vtY0
暇潰し氏乙です!
長くなるのは歓迎ですw

439 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/17(月) 19:20:33 ID:dLjJSU6k0
>>総長
現金主義で身替りが早いなw
>>暇潰し
内容的には申し分はないが文章の間に間を上手く開けたら
もっと読みやすくなって面白さが良くなる…か・も。


440 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/17(月) 20:04:55 ID:zMQCTWcDO
総長のギャグとシリアスの微妙なさじ加減にはいつも関心させられるw

441 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/18(火) 08:01:29 ID:hsXxyjcW0
あっつい・・・・・

俺達はドラゴンの塔に向っている。道中に教会があって水と食料を補充したのだがやっぱりしんどい。
俺の場合はもょもとがいるから交代制で歩く事ができるがサマル達はそう言う訳には行かない。 
 もょ「(タケ…すまん…)」
 タケ「(ええんよ。しばらく休んどき。しかし砂漠はホンマに疲れるで。)」
 タケ「レオン、大丈夫か?」
レオン「俺は慣れているから問題無いがムーンとリアがちょっとしんどそうだ。」
 タケ「日影になる場所があればいいのだが………」

マジ困った。なかなか日影になる様な場所が見つからない。やっぱり馬とかラクダは必要だったのだろうか?

サマル「ムーン。地図にはオアシスは載ってないのかい?」
ムーン「はぁ…はぁ…の、載ってないわ。」
サマル「そうなのか…ちょっと休みたいなぁ…」
 リア「しんどいよぉ〜…こ、こんなに疲れるなんて…」
流石に休憩はしないと本気でやばい。熱中症で誰かが倒れてもおかしくは無かった。
レオン「おや……あれは?おい、もょもと。」
 タケ「どうした!?」
レオン「オアシスがみつかったぞ!」
 タケ「マジっ!?みんな!オアシスが見つかったってよ!」
 リア「本当!?早くいこっ!」

俺達はレオンが言う通りの方向に向かった。

サマル「やったー!!これで休めるぞ!」
 タケ「ヒャッハー!水だ水だ!」
レオン「ここで野宿をしよう。日が暮れてきているし体力的にも限界だな。」
ムーン「そうね。休める場所があるだけでも贅沢は言えないわ。」
 リア「本当にありがとうレオンさん。」
レオン「可愛いレディのために男として当然の事さ。」


442 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/18(火) 08:03:14 ID:hsXxyjcW0
 タケ「いいぞベイベー!ここで水浴びしなければ只の馬鹿だ!ホント オアシスは天国だぜ!フゥハハハーハァー!」
            
                   ざっぶ〜ん

 リア「きゃあっ!」
ムーン「ふふっ、もょもとって子供みたい。」
 タケ「うるせーな、ムーン。水浴びはいいぞ!レオン、サマルも入れよ!」
サマル「ぼ、僕はいいよ。」
レオン「確かに水浴びしないとやってられないな。俺も行くぞ!」

レオンもオアシスに入ってきた。

 タケ「レオン!お主のお陰で余は大満足じゃ!かっかっか。」
レオン「まぁ、無事で良かったぜ。それにしてももょもと、最高のチャンスが回ってきたぞ。」
 タケ「どう言う事だ?」
レオン「まぁ聞けよ・・・・ゴニョゴニョゴニョ・・・・・・」
 タケ「マ、マジで!?」

こいつ、もしかしたらかなりウマが合いそうだ。別の意味で。

 タケ「しかしそれは大丈夫なのか?」
レオン「当たり前だ。恋愛の百戦錬磨の俺が言うのもアレだがたまには違うスリルを味わうのもいいかなって思ってな。」
 タケ「レオン。なかなかの悪ですな。しかし自分で恋愛の百戦錬磨って言う奴はいるか?」
レオン「ククク、俺には実績があるからな。まぁもょもとほど悪でもないけどな。」
 タケ「阿呆。プラン立てた奴に言われたくはないけど。」
レオン「まぁ実行するのは夜だ。それまで飯を食ったり、明日の準備をしたりして待つとするか。」

俺達は夜を待つ事にした。今夜はまさしくハプニングミッドナイトの予感!!


443 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/18(火) 08:04:59 ID:hsXxyjcW0
 タケ「隊長。夜になりました。自分はドキドキドッキンの状態であります!」
レオン「緊張するな。先に俺が様子を伺ってくるからな。しかし意外な一面があるなもょもとは。」
 タケ「そ、そうか…?」
レオン「まあいい。俺が先陣切ってくるからな。」

レオンは先に行動を移した。

 もょ「タケ、なにをしようとしているんだ?」
 タケ「たいした事は無いっすよ。まぁ、サマル達の警護やで。レオンと一緒にする事にしたんや。」
 もょ「なにかあやしいな〜べつのもくてきがあるんじゃないか?」
 タケ「ホ、ホンマにみんなの警護だけやから!」
 もょ「いっておくがへんなことしたらだめだぞ!」
 タケ「わ、わかってるがな…」

言えねぇ…ムーン達の所にタシーロしに行くなんて言えねぇ…

レオンの指示通りに待っていたのだがなかなかレオンが戻ってこない。何があったのだろうか?
これは気になるな。とにかく指示を無視して後を追いかけるか。
レオンの後を追いかけるとリアがレオンと一緒にいた。あの野郎!今度はリアに手を出すつもりか。
あのスケコマシめ!鋼の剣の錆びにしちゃる!
しかし二人とも様子がおかしい。何か入り込めない雰囲気がある。匍匐前進状態にしてここは様子を見るとしますか。


444 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/18(火) 08:09:49 ID:hsXxyjcW0
レオン「なぁリア。眠れないのか?」
 リア「うん…」
レオン「それにしてもいい夜空だな…あいつら、大丈夫かな…」
 リア「あいつらって誰なの?」
レオン「俺の仲間達さ。この世界に来ていると信じたいのだが、確証はもてない。」
 リア「そうなんだ、レオンさんの仲間が早くみつかればいいね。」
レオン「ああ…馬鹿ばっかりな奴らだけど、バラバラになったらやっぱり寂しい物があるな…」
 リア「レオンさん元気出して。必ずいるはずだよ!この世界に。」
レオン「どうしてだ?何か根拠があるのか?」
 リア「………わからなくてごめんなさい。でも、私は信じていたいの。レオンさんの仲間がこの世界にいるって。」
レオン「悲観的に考えても仕方がないな。僅かな可能性に賭けてみるか。」

そのうちレオンは自分の事を語り始めた。

リア「……なんて言えばいいのかわからないよ。」
レオン「気にするな、でも…もょもとと同様にリアも優しい女の子だな。」
 リア「えっ…で、でも…(////)」
レオン「いい笑顔だ。何か引き寄せられるものがある。」
 リア「そ、そうなんかなあ?」
レオン「俺もあんまり自分の事を話したくはない。けど、もょもとやリアの影響で思わず話してしまった。ハハッ…」
 リア「でも、ちょっとだけレオンさんの事を理解できて良かったと私は思うんだ。明日からもよろしくね!」
レオン「ああ…そろそろ寝るとするか。」

リアは自分のテントに戻っていった。俺もレオンにばれる前に自分のテントに戻るとするか…

テントの中でと何かゴソゴソする音が聞こえる・・・・・・・ドロボウか!?思わず俺は

 タケ「何しているんじゃクルルルルルルァァァァァァァァ!!」
  ?「し、しまった!!」

誰かがいた…俺は側に置いてある鋼の剣を持って戦闘態勢に入った。

445 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/18(火) 18:10:10 ID:h15tWj8z0
ちょww
ここでやめるかwwww

446 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/18(火) 22:16:57 ID:sTYlvsJjO
外道すぎるwwwwwwwwww
だが、そこがいい!

447 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/19(水) 07:12:50 ID:ZAFEuJSQO
まさかこのスレで某コピペが見れるとは思わなかったw

448 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/19(水) 19:13:52 ID:w7zcJyYM0
ああ・・・タケがますますネタキャラに・・・

449 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:03:31 ID:V8Ajd0Z10
>>436続き
2人が棺を恐る恐る開けると、暗い部屋の中で、名前の通り黄金に輝く財宝が現れた。
  「おお〜」
  「うわ〜何か趣味悪い〜」
  「鉄の爪に似てるな。お前装備できるんじゃねーの?」
  「ヤだよこんなの!」
  「鉄の爪より攻撃力がありそうなんじゃがのう」
  「おじいちゃんまで何言うのよ〜」
その時、低く聞き取りづらい声が辺りを支配した。
              ―――我の眠りを覚ますのは誰だ―――
  「え?!」
  「何なに?」
         ―――王家の財宝を荒らす者よ。生きて帰れると思うな―――
突然棺から光が放たれる。暗闇に慣れた目にはひどく眩しかった。
  「・・・・・・?」
数秒の沈黙。何も変化が無いと思われたその瞬間、
  「ぐはっ!!」 ドカンッ!
ジュードが攻撃を受け、倒れる。
いつの間にかミイラ男が真理奈達の背後に迫っていた。
  「・・このッ!」
真理奈が鉄の爪をミイラ男に突き刺す。その一撃で勝負は決まった。
が、ミイラ男が倒れると、その後ろからまたミイラ男が・・・
目を凝らすと、この小部屋にどんどんとミイラ男が入って来るのが分かった。
  「何これ!さっきまでこんなにいなかったのに・・・!!」
目の前のモンスターを倒しながら真理奈が舌打ちする。
  「よし!ここはワシにまかせんしゃい!ベギラマ!!」
炎の渦がミイラ男達を焼き尽くさなかった。
  「・・・ありゃ?ベギラマ!ベギラマ〜ッ!!」
  「ちょっと!何してんのよ!!」
  「呪文が使えない・・・・」
な、なんだっ(ry


450 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:09:10 ID:V8Ajd0Z10
  「ホイミ」
フィリアもジュードに呪文を試してみるが、効果は表れなかった。
パトリスを見上げ、首を横に振る。
  「・・・呪文なんか無くったって平気だっての」
ジュードは薬草を乱暴に飲み込み、ミイラ男の群れに突っ込んで行った。
狭い通路に真理奈とジュードが並び、少しずつモンスターの波を追い返していく。
  「今回ワシらは出番なさそうじゃのう・・・」
パトリスは戦う2人を眺めて嘆息し、フィリアは不思議そうに棺を見つめていた。

斬る。殴る。薙ぐ。蹴る。刺す。突く。裂く。
真里奈・ジュードはそれらを向かってくる相手にお見舞いしていく。
と同時に少しずつ相手の懐へ踏み込んで行く。
何せ通路いっぱいにミイラ男の列が出来ているのだ。
ただ倒すだけではここから一生出られないだろう。
パーティーはそれに合わせて徐々に前進して行く。
が、この通路では一度に2人しか戦えないのでその前進は微々たるものだった。

一番後ろで待機しているパトリスは再び疑問に思う。
通常倒したモンスターはそのまま死体となる。
中にはそのまま消えてしまうようなモンスターもいるが、少なくともミイラ男は違う。
それなのに真理奈とジュードが倒したミイラ男は跡形も無くなっているのだ。
暗闇に溶け込むように体が消失していく。
まぁそのおかげで、通路が死体だらけにならずに済んでいるのだが・・・
さらに呪文が使えない謎。人智を超えた力が働いているに違いない。
  (これが王の呪いなんじゃろうな・・・まったく女王も無茶させおるわ)

  「あぁぁあ〜もう!!いつまで続くのよ〜!!!」
ピラミッドにこだまするその声は、真理奈の苛立つ姿を嘲笑っているかのようだった。


451 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:11:31 ID:V8Ajd0Z10
階段を上り、地下1階へとようやくたどり着いた。
しかし今度は四方からモンスターが迫ってくる。
未だ呪文の使えないパトリスやフィリアも戦闘に参加せざるを得なかった。
  「出口っ!どっち!?」
  「知るかよ!!」
さすがに真理奈やジュードには疲れの色が見え始める。
  「ピーピー!!」
それまで真里奈のバッグに隠れていたブルーがツノを出し、訴える。
  「あっちが出口なの・・?オッケー!ブルー、信じるよっ!!」
皆は真理奈を信じ、進行方向を定める。
戦えないプエラを守りながら周りに気を配り、モンスターを排除していく。
4人は何とかそれを実践していたが、1人フィリーだけが何もしていなかった。
いや、正確には何も出来なかった。
これだけのモンスターに囲まれ、足がすくんでしまっている。
真理奈達についていくだけで精一杯。
初めて感じるここまでの恐怖。
この試練がどれだけ難題だったのか、今になって実感しているのだ。
その時、1匹のミイラ男が4人の隙をつき、フィリーとプエラに襲い掛かってきた。
ミイラ男の包帯に巻かれた両腕が振り上げられる。
  「きゃあああぁぁぁぁあああ〜!!」
  (こんなの・・・・無理だよ・・・・)
  「フィリー!!」
気付いた真理奈が叫ぶ。しかしフィリーは動けない。
  「ロマリアの紋章が泣いてるわよ!」
  (そうだ!僕は・・・!)
  「うわああああああああ〜!!!」
フィリーは大声と共に気合を入れ、鉄の槍を突き出した。
が、王子様渾身の一撃はミイラ男には当たらず、脇に外れてしまう・・・
そして勢い余った王子はそのままミイラ男に渾身の体当たりをする形になる。
フィリーのヘンテコな会心の一撃はミイラ男を見事に吹き飛ばした!


452 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:15:15 ID:V8Ajd0Z10
フィリーに飛ばされたミイラ男は、後ろのモンスターにぶつかり将棋倒しになる。
その先には天井から差し込む光が・・・
  「プエラ!行こう!」「はいっ!!」
王子と姫は手を繋ぎ、ピラミッドを脱出した。
プエラのもう片方の手にはもちろん黄金の爪がしっかりと握られている。
  「よっしゃ〜私達もこんなとこからオサラバしよっ!」
モンスターを適当にいなしながら真理奈達もピラミッドの外に出る事に成功する。
どうやらミイラ男達はピラミッドの外までは追って来ないようだ。
太陽がオレンジ色の光を放ち始め、一日の終わりを告げようとしていた。
  「はぁ〜終わった〜・・・」

  「きゃあぁぁぁぁあぁ〜!!!」
  「え?!」
突然プエラの前の地面が盛り上がり、赤くて巨大なカニが現れる。
地獄のはさみだ。ミイラ男のように次々と湧き出てくる。
  「ちょ・・・終わりじゃないの・・・?」
うんざりする真理奈を横目に、地獄のはさみの前に立つ者が1人。
  「ふっふっふ。神はちゃんとワシにも活躍の場を与えてくれたようじゃな。
   ここはワシに任せんしゃい!」
パトリスが子供のように楽しそうな表情で言う。
  (外に出ればこっちのもんじゃて!それに少しは働かんとご褒美にありつけんからのう)

フィリーがプエラを避難させ、パトリスが一番前に出る。
その間6匹の地獄のはさみは攻撃をしかける事無く、しきりにはさみを上下させていた。
[スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト]
みるみると地獄のはさみ達の甲羅が堅くなっていく。
  「無駄じゃ無駄じゃ。ワシの呪文の前ではな!!
   メラミメラミメラミメラミメラミ〜!!」
パトリスがここぞとばかりに張り切り、地獄のはさみを焼いていく。
その一帯だけ昼間の灼熱の熱さを取り戻したかのようだった。


453 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:21:10 ID:V8Ajd0Z10
炎に焼かれ、地獄のはさみが動かなくなる。
  「どうじゃ!呪文の力を思い知ったか〜!!」
  「カラ剥いて食べたらおいしいかな?」
  「お前モンスター食うのかよ」
  「え〜だってこれカニでしょ?カニっておいしいんだよ〜!」
  「・・・・・・・」
パトリスをかつて無い程のやるせなさが包んだ。

何を思ったかフィリアがトテトテと地獄のはさみに近づいた時、
  グググググググググ・・・
良い具合に焼かれた地獄のはさみ達の中から低い唸り声をあげ、生き残りが現れた。
  「もー勘弁してよ!早く帰ってシャワー浴びたいっ!!」
  「よ、よしっ!今度こそこれで終わりじゃ!メラミ!!」
しかし、パトリスの杖からはメラの炎は出現しなかった。
  「・・・・・MPが足りないようじゃの」
  「もーおじいちゃん使えない〜!」
  「な、なんじゃと!」
  「やるなら最後までしっかりと締めてよねっ!」
真理奈が止めを刺しに地獄のはさみへと走り、背中に飛び乗る。
  「おりゃ〜!!」
ガキンッ!!
  「・・・・!!!痛った〜!!!」
金属の壁を殴ったかのような衝撃。鉄の爪を通じて腕に痺れが伝わってくる。
  ググッ!グググ・・・
地獄のはさみは真理奈を攻撃しようとするが、はさみが届かなくてもだえる。
  「ありゃダメだよ。硬すぎ〜」
真理奈が地獄のはさみの背中からジャンプして戻ってくる。
  「やはりワシの呪文が無いと困るじゃろ?」
  「使えないのに言われても・・・」
  「・・・どうする?」
一応攻撃を試したジュードも戻ってくる。どうやらダメだったらしい。

454 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:33:22 ID:V8Ajd0Z10
  「・・・」
そこでフィリアがここは私が、と声を上げる。
いや声は出してないんだけどね。
  「ルカニ」
久しぶりに聞くフィリアの声は、やはり凛としていた。

  「ねぇねぇ、ルカニって?」
  「ルカニは相手の守備力を下げる呪文じゃ。これで攻撃が効くように―――」
  グググ! [スクルト!]
地獄のはさみは不気味な笑みを浮かべながらはさみを振り上げ、呪文を唱える。
  「・・・あれじゃあ意味無いよね?」
真理奈の質問に対して、パトリスは明後日の方向に目を逸らした。

  「・・・ルカニ」
敵の的確な対応に少しムッとしたフィリアが再び呪文を唱える。
  [スクルト]「・・ルカニ」[スクルト]「ルカニ」[スクルト]「ルカニ!」・・・
フィリアと地獄のはさみの呪文が応酬を繰り返す。
フィリアを見下すように呪文を唱える地獄のはさみ。
それが気に食わないのか、意地になってフィリアも呪文を唱える。
  「なんじゃコイツは・・・MPが尽きんのか?」
それは魔法使いの自分よりMPがあるのではないかと思わせる程だった。

  「フィリアちゃん頑張って〜!!」
  「頑張ってください!」
  「ピーピー!!」
皆の声援を背中に受け、フィリアは呪文を唱え続けた。

ってかもうバギで倒せばよくね?


455 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:36:40 ID:V8Ajd0Z10
  「はぁはぁ・・・」
魔法合戦はフィリアの方が先に息を切らして終わった。

  グガァァァァ〜
スクルトを唱えた姿そのままで地獄のはさみはチャンスと攻撃をしかけてくる。
幸いに地獄のはさみのスピードはそこまで速くなかった。
が、力尽きそうなフィリアは完全には避けきれずに倒れる。
そこに続けてはさみが振り下ろされる。
 ガキンッ!!
ジュードがフィリアと地獄のはさみの間に入り、剣で受け止める。
しかし力の差は地獄のはさみに軍配があり、ジュードの体は砂漠に沈んでいく。
  「くっ!!」
ジュードの顔が苦しくゆがむ。

  「攻撃が効かない、か。こりゃあ万事休すかのぅ・・・」
  (マリア・・・使ってもいいか?)
パトリスが心の中で何かを決めようとした時、真理奈が叫んだ。
  「そっか!スカラよ!」
  「何じゃと?強くしてどうするんじゃ!防御力を下げないと――」
  「違う!私にスカラしてって言ってんの!」
  「真理奈ならあんなヤツの攻撃食らわんじゃろ」
  「いいからっ!早くっ!」
  「!!スカラっ!!」
驚いたパトリスが思わず呪文を掛ける。
  「オッケー。姫様、ちょっとコレ借りるね」
  「は、はい!」
次に鉄の爪を外し、プエラが持っていた黄金の爪を手にはめる。
  「よ〜し!行っくよ〜!!」
真理奈は再度、地獄のはさみに向かって走り出した。


456 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:44:50 ID:V8Ajd0Z10
  「ジュード!どいて!」
ジュードがフィリアが無事なのを確認してから、剣をずらす。
はさみが刃を滑り、力のベクトルが変わる。
ドシンっ!!地面にはさみが飲み込まれ、砂煙が舞い上がった。
ジュードはその隙に敵の懐から抜け出した。

視界が晴れると、地獄のはさみの目に真理奈が立ちはだかっているのが映った。
  グゥゥゥゥ〜
地獄のはさみは攻撃を低い声で唸りながら仕掛けてくる。
  「フィリアちゃん!もう1発ルカニを!」
フィリアは頷き、最後の力を絞って呪文を唱える。
  「ルカニっ」
地獄のはさみの防御力が下がる。ニヤリと笑う真理奈。
  「や〜い!スクルトしなくていいの〜?体がヤワくなってるよん」
真理奈の挑発に乗り、地獄のはさみが呪文を唱えようと体を起こし腕を振り上げる。
  (今だ!!)
真理奈は素早く地獄のはさみの体の下に入り込み、
  「よっ・・・っと!!」
綺麗にサマーソルトを決めた!!
  [スクル―――]バクンッ!!
だらしなく開いていた口が閉じられ、地獄のはさみの体が宙に浮いた。
真理奈は着地時の屈伸と同時に右腕に力を込める。
スカラのおかげで足に痛みは無い。そして思いっきり足を伸ばし跳躍。
  「とぉりゃあぁ〜!!」
黄金の爪を地獄のはさみに突き刺し、そのまま腹を引き裂いた!
最後の地獄のはさみは泡を吹いてそのまま仰向けに倒れる。
  「うしっ!」
真理奈のガッツポーズが決まる。
モンスターの血がその右腕にある爪に吸収されていく。
そしてイシスの秘宝は黄金の輝きを夕暮れに負けじと再び放ち始めた。


457 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:56:03 ID:V8Ajd0Z10
戦闘終了〜今日はここまで

>>438
歓迎ありがとうございますw
ってか読んでみたらそんなに長くないかな
自分としてはこんなに物語を書いたのは初めてだ・・・

>>439
指摘ありがとうございますー
やはり読みづらいですよね・・・
一応今回、少し試してみましたがどうだったでしょうか
行数制限が無ければもっと空けたりできるんですが・・・
ってか1レスに詰め込みすぎですよね
もう少し考えよ

458 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/20(木) 03:06:32 ID:Q3qNO7eoO
ジュード!どいて!そいつ殺せない!

459 :たかはし ◆2yD2HI9qc. :2006/04/20(木) 21:52:37 ID:pi9ouaoiO
職人さん住民さん、お疲れさまです
展開に悩みついで、保守しておきます

460 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/21(金) 01:03:42 ID:soZhbYVI0
そろそろ4の人が来る頃な予感
た の し み

461 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/21(金) 09:51:09 ID:HY5Krcjy0
>>460
プレッシャーかけんなよ

462 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/21(金) 17:11:00 ID:z6/ndob70
>>460
こういうのがいるから困る

463 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/22(土) 08:31:25 ID:QblPf5ze0
>>460の人気に嫉妬wwwww

464 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/22(土) 09:22:11 ID:/hQSZ6Aq0
ほかの職人達もあんなのは気になさらずに気ままに投下してください。

465 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/22(土) 15:55:52 ID:84pH0c25O
暇つぶし氏もそうだからいまさらだけど、
別に三人称小説でもありなんだよな?

466 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/22(土) 18:10:36 ID:B+SFArZj0
別に良いんじゃね?

467 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/22(土) 23:17:27 ID:2CA4plR/O
最近、物語の終わりを考え迎えるるのがなんというか、こわい
今まで一生懸命書いた、自分にとっては大事な話が、エンディングで全てを決定付けしてしまう気がするから。
だから、保守する
なかなか投下できなくてごめん

468 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/23(日) 00:50:21 ID:yxMT4yKx0
タカハシさん推敲がんばってー
急がず自分のペースでまったり書いてくださいな

469 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/23(日) 02:12:51 ID:KzSmMtMqO
頑張れ頑張れ!
そういう悩んでる時間も無駄じゃないから

470 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/23(日) 15:02:04 ID:06FMUuLY0


471 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/23(日) 15:52:38 ID:EDzOVYEc0
やあ、あげるよ

472 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/24(月) 14:51:41 ID:MLq8/WWf0
    /          ヽ、
      ィ              i
     /        i      ヽゝ
    //´    / ノ イl       、ヽ
    l   , ‐ィ ´ir'´〃',       トl
    {  f三ミ'' アT ー-'ヽ       ノ
    ヽ !、´ /i ヽ    }、     /
     ヽ l´ .ノ   `ー 'ノ l    l
   _,. - Jィヘ. `、''__  ヽ'ノノ   ,.人、
  /  /ヘ ヘ ー   `ィ_ /  lヽ\
  l   _,\  /`ー,. ''_,.ゝ'   /   |   \
  | r┴―┐' r´-く    ハ  l
  l l_   !  .|  ゝ、  /  ヽ--
  r '´__,.)〜┤  !ーi  ヽ /    `7
 / /, -‐- 、 l /i  |   /     /
 } '´ _, =-く┘'   l  /     /
 l ''   , ィ     ! /
 ヽ ‐ ´ ノ     | /

     ショクニン・オツ [Shain Otz]
      (1949-1988 アメリカ)


473 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/24(月) 18:04:49 ID:T9cYdfXH0
男は度胸!なんでもやってみるものさ。>タカハシ
暇潰しさんGJですぅ。すごくよくなったと思うのですぅ。

474 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/24(月) 19:54:01 ID:4BFi3ghn0
更新しようと思ったがメモした内容が紛失したwwwwofz

475 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/24(月) 22:25:18 ID:5nuXSItp0
>>474
頭の中のメモまでなくしたというのかね?

476 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/25(火) 09:50:46 ID:Xwjra6Ep0
>>475
あらすじは把握してても書いてるうちに変わってくことだってあるんだよ

477 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/25(火) 15:21:53 ID:MoQmn3q20
話の内容全部覚えられるとでも思(ry

478 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/25(火) 18:32:17 ID:qGbAFdqHO
>>475はそういった意味じゃないと思うが…

479 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/26(水) 09:53:38 ID:BZ0IFYhT0
本人なりの事情があるんだろ。俺達にとやかと言うことはできない。

480 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/26(水) 09:59:45 ID:5zoXgKtV0
× とやかと
○ とやかく

481 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/26(水) 11:40:58 ID:wY0eq9qC0
リーザス村  11:52

扉を開ける音とともにサイモンは自分の部屋に入った。
ふと前を見ると筋肉が盛り上がり、身長は・・・・・サイモンよりは低い男
が彼のベットに横たわっていた。
 おい!」
っとサイモンは体格の良い男をベットから蹴り落とした。それでその男
はようやく目が覚めたようで起きあがると元気よく。
「お帰りなさいサイモンさん」
「人の家に無断で入り込むとは良い度胸してるじゃねぇか。アベル」
アベルと呼ばれた男はサイモンの言葉を受け流し論点をすり替えた

「村を出るんですね?」

「何で知ってる?」

「ゼシカお嬢様の屋敷での会話を盗み聞きさせてもらいました。屋根で」

「なるほど・・・・俺の感動の別れを盗み聞き・・・死にたいようだな」
サイモンは剣を引き抜く体制をとった。しかし肝心のアベルはそんなことは
気にもとめておらず。ニヤニヤと笑いながら話を続けた。

サイモン          アベル

Lv30           Lv10
HP200/200 HP30/30
MP300/300 MP0/0
武器:鋼の剣 鉄の胸当て 武器:銅の剣
呪文:ライデイン マホステ      呪文:
特技:隼切り        特技:正拳突き


482 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/26(水) 11:42:37 ID:wY0eq9qC0
ずれたofz
サイモン            アベル

Lv30             LV10
HP200/200          HP30/30
MP300/300          MP0/0
武器:鋼の剣 鉄の胸当て    武器:銅の剣
呪文:ライデイン マホステ       呪文:
特技:隼切り         特技:正拳突き


483 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/26(水) 11:44:32 ID:wY0eq9qC0
またずれたofzスレ汚しスマン

アベル
LV10
HP30/30
MP0/0
武器:銅の剣
呪文:
特技:正拳突き

484 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/26(水) 17:28:31 ID:HQq5XQow0
内容短すwwww
三人称は苦手なようですな。

485 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/27(木) 14:49:20 ID:YnI7YmDrO



486 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:02:25 ID:bHmsBRUz0
>>392
から続き

●慣れない男と小さな事件

「おかえりなさい、タカハシさん」

診療室へ戻った俺をクリーニが迎えてくれた

「あ、そういえばここを宿屋変わりに使ってしまって…」
「とんでもない
 実はもともと私は宿屋を営んでいまして、実際ここは宿屋だったんです
 私が医者を始めてしまったせいで、この町からは宿屋が無くなってしまいました
 旅人は皆、民家へお金を払って泊めてもらうんです
 そんな環境ですし、構いませんよ」
「そうでしたか」
「お代はテリーさんにいただいてますから、どうか気にせず」
「…遠慮なく使わさせていただきます」
「私は地下の自分の部屋にいますから、何かあったらすぐに呼んでください」

クリーニが地下へ降りていく
俺は背負っていた食糧袋を床へ起き、メイの寝ているベッドの側にある椅子へ腰かけた

487 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:03:19 ID:bHmsBRUz0
ここチゾットから封印の洞窟まで、メイの持つ古文書の地図を見る限り距離はないからすぐ行けるだろう
だけど…
隠されていた道が今では誰でも利用できるようになり、商人や旅人は当然あちこち見て回る
洞窟が誰にも見付かっていないなんて保証はどこにもない
むしろ、すでに見付かっていると考えたほうが良い
…封印された魔法は、高度な魔力を持つ者にしか封印を解くことが出来ないという事だけが安心材料
しかしこれは封印方法にもよるよな
もし持ち運べる程ちいさな封印であれば持っていかれているだろうし
とてつもなく巨大なものであれば、持っていかれないとしても破壊されているかもしれない
賭けだ これからいく洞窟に果たして、何が待っているのか
メイの事を考えれば封印が残っていると、信じたい
俺にはシャナクがなくてもまだ、カルベローナの生き残った住人という可能性がある
それにしても…
しばらく魔物の姿を見ていない
もしかするとここら辺一帯は魔物がいないのだろうか
道具屋の話だと旅人も多いそうだし、壊滅させられた町の人も西には多く住むという
魔物が現われないから交流も盛んに行われているんだな
魔物はどこへ行ってしまったのか…

メイの顔を眺めた
とても落ち着いた表情で眠っている

488 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:03:57 ID:bHmsBRUz0
…なんで俺と行こうと思ったんだろう
俺なんて、フィッシュベルにいる時はとても弱かったし助けられてばかりだったのに…
もっと強い人と旅をしていればこんなに身体を痛めつけることもなかったのに…

気付くと、濃い茶色の長い髪
メイの頭へ手を乗せてしまっていた

「うぉ…」

思わず発し、手を除ける

「どうしました? 顔を真っ赤にして」

ベッドの横の階段からクリーニが登ってきながら言う

「あー 邪魔をしてしまいましたか?」
「え、うぅあ そんあ、そんなこと無いですよなんでもないですから」
「はは、そうですか さっき言い忘れてしまいましたが、お湯を用意しました
 どうぞ使って下さい」

はぁ なんてザマ
別におかしな事はしてないんだから堂々としててもいいはずなのに
無意識だったけど、慣れない事はするもんじゃないよ…

489 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:04:53 ID:bHmsBRUz0
気をとり直し、クリーニへ返事をする

「それは助かります 二十日も水浴びすらしていなかったですから」
「では地下を降りてまっすぐ、突き当たりへ
 これ、タオルです」
「ついでに洗濯してもいいですか?」
「どうぞどうぞ」

クリーニからタオルを受け取り、荷物から全部の着替えを取り出し風呂場へ向かい湯を浴びた

「ふぅー…」

この世界では始めての湯舟に浸かりながら一息

やっぱり湯に浸かるに限る
水じゃなんだか、うまくないんだよな

そのまま裸で、衣類全てをゴシゴシこすり洗い、風呂場を出ようとしたとき事件は起きた

「着替えまで洗っちまった…!!」

まずいぞこれは
まさか全裸で上がるわけにもいかない
考えろ、俺!
………そうだ魔法の鎧!
いやっまてっ!
裸に鎧は、胴体しか隠れないし明らかに変質者じゃないか
このまま服が渇くまでここにはいられない…

この世界に来てたぶん一番脳をフル活用して出た答えは─

490 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:05:40 ID:bHmsBRUz0
「クリーニさん!! クリーニさーん!! 服を貸してください!!」

この場から助けを呼ぶ事
しかし、ついてない事にその時クリーニは出かけていた

そうとも知らず俺は必死に叫びつづけ
急いで着替えを持ってくるクリーニを
かなり長い時間待ったのだった


491 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:06:20 ID:bHmsBRUz0
●静寂と形跡

メイは夜になって目を覚まし、クリーニから完全回復のお墨付きをもらい喜んでいた
だが気が、少し疲れているのだろう
湯を浴びた後すぐにベッドへ入り、上半身を起こした状態で会話をしている
クリーニは自分の部屋へ戻り、夜の診察室はランプの中で燃える炎の灯りでぼんやりと照らされる

「さっきは本当にこの世界… いや、ここまで生きてきた中で一番の恥ずかしさを味わったよ」
「ふふ タカハシはどこか、いつも抜けているのよね」
「いや、まぁ、言い返せないな はは
 ん? ところでその首に下がっているのはなんだ?」

メイの首には小さなガラス玉
透明で穴が開けてあり、紐が通されている

「これ? これはね、私のお守りなの
 ずっと首から下げていたんだけど、ローブのせいで見えなかったわね」

メイはこの診察室に運ばれた後、民家のおばさんに借りたサイズの大きいパジャマのような服装に着替えさせられていた

492 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:06:53 ID:bHmsBRUz0
「お守り? 何か特別な力でもあるのか?」
「これは"静寂の玉"っていって、場の魔力を封じ込める特別な水晶らしいの
 私が幼いときにイシスの外で見付けて、それからずっと身に着けているのよ」
「魔力を封じる… 封じた事はある?」
「いいえ、一度もない
 静寂の玉は古代魔法と同じ古代の力で作られた水晶玉
 身に着ける者の思いを、長い年月をかけて込めなければ効力を発揮しないそうよ
 だからいつも身に着けているの」
「そうなのか もしもの時の為に、これからも身に着けておかなきゃな」
「─もし、私ゃタカハシが危険な時、助けてくれたら いいね…」

少し、どこか遠くを心で見つめるような表情で答えるメイ

「うん? なんだ、大丈夫だよ
 俺達はきっと、目的をやり遂げる …必ずだ」

俺が言い終わるのを待っていたかのように、外でザアザアバシャバシャと音が弾け始めた

「雨? そういえば雨なんて初めてだ」
「初めて? いくらなんでも初めてなんて、やっぱりタカハシは変わっているわね
 と言っても、雨は私も一回しか見た事がないけどね」

この世界の雨は滅多に発生しないんだな
まぁ俺の世界とは気候も違うだろうし、別に変ではないか…

その夜降り始めた雨は激しく止むこと無く一晩中、世界をびしょ濡れにし続けた
何かを必死に、洗い流すかのように─

493 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:07:28 ID:bHmsBRUz0


「本当にお世話になりました
 すっかり元気になって、クリーニさんと村の方のおかげです」

翌朝、俺たち二人はクリーニの診察室を出て封印の洞窟へ向かう事にした
洞窟はここから近い
ならばすぐにでも行って封印の無事を確認したい、そう思っての決断だ
丁寧にクリーニと俺たちを運んでくれた人達に挨拶をし、村を出る

今まで隠されてきた"西の道"
その道は平坦に舗装され登り降りもきつくない
しっかり休んで回復できたのもあるだろうが東の道を進んできたときよりも遙かに、楽に進むことが出来た
あんなに苦労して歩いてきた東の道の苦労は、なんだったんだろう

西の道を歩み初めてまる二日、俺たち二人は緑に囲まれる森の入口に居た
相変わらず、魔物とは一度も遭遇していない

「この森、古文書の地図にも書いてある
 それで地図は… ここから更に西を指しているわ」

だが、目の前にある道はまっすぐ北へ延びている
西へ行く道なんて存在していない
あるのは背丈ほどの鬱陶しい草の壁だけ

「しかしというかやはりというか、西への道なんてないぞ?」
「うん でも地図は西を指しているの だから…
 先頭で道を作っていってね、よろしく!」
「やっぱりそうなるよな、仕方がない…」

494 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:08:14 ID:bHmsBRUz0
俺は先頭にたち、オリハルコンの剣でバサガサと草を薙ぎ斬り倒し道を作っていく
魔力はもちろん使わない
使えば楽に進めるとは思うが、草相手じゃあな…

バサバキと草が茎から折れ、倒されていく音だけが森の中へ響く
鳥や虫の声も聞こえず、時折り剣がヒュウと空を切る音が混じる
メイはというと大人しく俺の後ろを着いてくる
こんな調子で休憩を挟みながら数時間は進んだだろうか
目の前から草が無くなり、変わりに地面に張りつく石畳が姿を見せた
その石畳はまっすぐと続く道を作り、道の両脇には刈り取られ枯れ果てた大量の草の山

「道が、現われたのはいいが… これは誰かが通ったみたいだ…」
「…」

なんとも言いようの無い、重たい空気が流れ始める
俺はそんな空気を嫌いメイへ話しかける

「どうしようか?」
「……もちろん、進む
 もし誰かが洞窟を見付けて入っていたとしても、封印を解かない限り古代魔法を取り出すことは出来ないから…」
「そうだな 封印は魔力の強い者にしか解けないんだよな?」
「そう、私の様に賢者かそれ以上の魔力を持たないと封印を解くことは出来ないわ
 そしてそれほどに魔力が強い人間はとても少ないから─」
「よし、行こう」

剣に着いた草の切れ端や汚れを拭き取り、収めながら俺は一歩踏み出し振り返り、ちょっと笑って言う

「もう剣は必要ないよな?
 このまま草刈りばかりしてたら剣も腕も錆びてしまうよ」


495 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:09:09 ID:bHmsBRUz0
●封印された魔法

夜になり、まだ洞窟へはたどり付けず俺達は石畳の道沿いで過ごすことにした
メイは、古代魔法が近くにある為かなかなか寝つけないようで、見張りをいつもより長くしてくれると申し出てくれた

「眠たくなったらすぐに声をかけてくれよ」
「ええ、ありがとう
 でもここ最近、魔物の気配は感じられないしこんな森の奥に人が来るなんてなさそうだから」
「魔物か… どうして急に姿を見せなくなったのか気になるけど、体力を温存できるから助かるな
 でも油断は禁物だよ」
「もちろん 何か起こったらすぐに起こすわ
 だから、たまには… タカハシは安心して休んで」
「たまには? ははっ いつも安心して休んでいるさ
 まぁそう言ってくれてるんだから、今夜は少し多めに休ませてもらうよ
 何度も言うけど、何かあったとしても一人で無理するなよ」
「うん」

木々の隙間からわずかにのぞく深い青色をたたえる夜空
その夜を物憂げに見上げるメイにその場をまかせ、俺は固く薄い毛布に身を包んで眠った




496 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:09:56 ID:bHmsBRUz0
この世界に"季節"は存在しないのだろうか
もうかなりの年月、この世界を旅しているが気温も湿度も変わりなく一定だ
雨だってこの間が初めてだった
俺は、そんな気持ちの良い風と空気にすっかり慣れきってしまっている…

だけど、今いるこの場所の環境はとても酷い
多量の水分を含み生温かい空気
体中にじっとりとまとわりついてくる汗
こんな場所早く出たい 外が恋しい
ここは─ 封印の洞窟内部

夜が明け、歩きだした俺達は程無くして、外へぽっかりと口を開ける岩山を見付けた
それはすぐに洞窟だと分かり同時に目指す場所であることもわかった
だが入口周辺には洞窟を見付けた人間が残した者であろう焚火の痕と、置き去りにされ朽ち果てかけたいくつかの布袋
"もう 封印は解かれてしまったのでは─"
ここまでリアルな人の形跡を見せつけられ、そんな思いが頭をよぎった
だけどやっぱり諦める事なんて出来ない
だから俺が率先して中へと踏み込んだ
メイの、不安そうな表情をなんとかしようと思ったのもあるが─

497 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:10:35 ID:bHmsBRUz0
焚火に使う燃料用の油を布へ染み込ませ、それを手頃な木の棒へ巻き付け松明を作り進んでいく
洞窟の中は人間三人が横に並んで歩ける幅
高さは二メートル半ほど
壁はデコボコで、明らかに手で堀進んだことが分かる
一面にびっしりと苔も張りついている
魔法を封印するためだけに掘ったのだろうが真直ぐ続く道はとても深い
相当の年月がかかっただろうと思う

「嫌な空気… 早く古代魔法を見付けて外へ出たいわ」
「きっと、長い時間人の出入りがなかったのだろうから空気の入れ換えができず、澱んでしまったんだろう…」

警戒して足早に進んで行き、やがて丸く広がる空間へとたどり着いた
松明の明りでうっすらと先が見える

「正面の奥、何かあるわ!」

メイの言葉に急いでその場所へと進み寄る
炎で照らし出されたのは石出で出来た石の土台と数メートルはある巨大な石の球体

「これが 封印…か?」

少し緊張しながらメイへ問いかける

「ええ… 古文書にはこの"丸い石に手をかざし念じろ"と書かれているわ
 …やってみる」

メイが球体へ手をかざし、集中を始める

「…… …… よかった! この封印はまだ解かれていない!」

498 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:11:15 ID:bHmsBRUz0
顔を見合わせお互い安堵の表情
先に入った人間は、恐らく封印を解くことが出来なかったのだろう
これだけ巨大であれば持ち出すことさえ不可能だ

「いよいよ、封印を解くわね…」

メイは手をかざしたまま古文書に書かれた古代文字を指でなぞり、何かを呟く
すると、その呟きに反応するかのように球体が赤くぼんやりと光り、ゴゴと音をたて二つに割れてしまった

「! 割れたぞ……」

俺は声に出して驚いたが、メイは目を瞑ったまま集中している
その様子に俺はなんだか声を掛けられない
しばらくしてメイが、口を開いた

「……封印されていた魔法は、全部で三つ 全て、会得出来た…」
「もう終わったのか?
 いやにあっさりしてるんだな… それで─」
「ごめんね…… シャナクは、無かったの…」

499 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:12:47 ID:bHmsBRUz0
シャナクは 無かった─

「ここまで来て… 本当に残念……」
「いや、これは誰も悪くない 謝ることは無いよ」
「でも 私が期待させるような事を言ってしまって─」
「気にしなくて、いい
 元々、イシス以降まったく宛の無かった俺の旅なんだ
 そんな旅に希望をくれたのはメイなんだよ 感謝してるさ
 それにまだカルベローナがあるんだ
 大丈夫、まだ希望はあるし何があっても誰のせいでもないから」

泣きそうな顔のメイ
俺は自分自身にも言い聞かせるように、そう言った


500 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:13:44 ID:bHmsBRUz0
●巨大なその、邪悪なるモノ

「早くここから出よう ここは空気が悪い」

ゆっくり、松明を左右に揺らしながら元来た道を帰ろうと振り返る
と─

「あれは…?」
「もしかして… これと同じ魔法が封印されていた丸い石じゃあ…」

うっすら見える巨大な物体へ近付くとやはり
さっき俺達が封印を解いた球体の割れた姿

「もしかして誰かが封印を解いたとか…」
「そうとしか、考えられないわね
 でもどうして全ての封印を解かなかったのかしら…」

この球体にはどんな古代魔法が封印されていたんだろう
ん、そういえば魔物たちは古代魔法ルーラを使っていたな
……まさか!?

「早くここから出たほうがいいかもしれないぞ」
「どうして?」
「実はな、トルネコさんと旅をしているときにルーラを使う魔物がいたんだ」
「ルーラ それは確か古代魔法ね… !」
「そう、この封印を解いたのは魔物かもしれないんだ だから」

501 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:16:56 ID:bHmsBRUz0
何か、やばい気配が辺り一面に流れ込んでくるのを感じた
俺とメイは急いで洞窟を駆ける
正面に外のまぶしい光が見え、その光へ飛び込むように洞窟から抜け出す

外には森のさわやかな風が吹いているが、身体は汗だらけ
走ったのもあるがそれだけではない

「気配が消えない─」

『ガサリ』

「貴様ら、何をしている?」

不穏な気配の正体
それは目の前に突如現われた巨大な魔物 一目で、鍛え上げられた身体を持つ、アトラス

「まさか封印を解いたのではないだろうな?」
「お前に言う必要は無い…!」

オリハルコンの剣を抜きながら俺は、アトラスの前に立つ

「ふん 弱い人間のくせに口答えするか
 …もう一度だけ聞く 封印を解いたのか?」

アトラスの大きな身体にギュッと力が入るのが分かった
こいつは簡単に倒せそうな相手では無い
救いは魔力を僅かしか感じられないから、力だけかもしれないという事だ

502 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:18:46 ID:bHmsBRUz0
「もちろん解いたわ! なにか、不満?」

メイが俺の前へズズイと出て、強気な返事を返す

「メイ、俺の後ろへ…」
「不満だと?
 封印を解いたのなら生かしておくわけにはいかんな
 解いてなくても殺すがな! ぐあっはっは!」

久しぶりの戦いだ
魔力も体力も完全に回復している
どう仕掛けるか…

「殺されるのなら、知りたいわ
 他の封印を解いたのはあなたたち魔物?」
「ふむ どうせ死ぬのだから教えてやろう
 俺達魔物では無い ゾーマ様自ら封印を解いたのだ
 魔法はルーラだけだったが、俺のように強い魔物にもゾーマ様はルーラを授けてくださった」
「ルーラだけ… 魔王にしか封印を解けないのだったらあなたは何をしにここへ?」
「俺か? ゾーマ様がルビスの力を潰せと俺に命じたからだ」
「ルビス…だって?」

唐突に出た"ルビス"という単語に、今度は俺が聞き返す
こいつは単純なのかよく喋ってくれる

503 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:20:01 ID:bHmsBRUz0
「そうだ 下らない、創造神ルビス
 相当の猛者がいるのだろうと期待してみればどうだ
 いたのは貧弱な男と女ではないか…!」

足を踏みならし悔しさを表現するアトラス
右手に持つ巨大な棍棒をドスンと地面へ叩きつけ、俺達二人を見下ろした

「ゾーマ様はこうもおっしゃった
 ルビスの力はどんなに小さくてもいずれ大きな力となり我々魔族を脅かす、とな
 そして貴様等は"か弱い"くせに封印を解き古代魔法を手に入れた
 貴様等のどれがルビスの遣いで、なんの魔法を手にしたかは知らんがな!」
「ルビスなんて、俺は知らん…」

俺はかなり迷った
こうなってしまっては、メイに俺の正体を隠しつづけるなんて出来ないからだ
だけどメイには、メイにだけは話しても…

「さて 貴様等と下らない話をするのにも飽きてきた
 さぁ! 死ね!」

アトラスがドシンと前足を出し棍棒を俺に振りかざす
俺は戦いの事以外を考えていたから反応が一瞬おくれてしまった
やばい…!

504 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:21:25 ID:bHmsBRUz0
「イオナズン!」

ズドドォと、アトラスの居たあたりに凝縮され圧力の高まった爆発が起き、激しい爆風が辺り一面に埃のカーテンを作り出す

「はぁはぁ… やっぱり古代魔法はまだ私には負担が……」

メイだ
メイは俺とアトラスが話をしている間に魔力を溜めていた

「メイ! 大丈夫か?!」
「ええ… 古代魔法の一つよ、すごい威力だわ…
 これだけで魔力をほとんど使ってしまった…」

爆発は空気中で起きていた
爆風は収まり、もうもうとのぼっていた埃が消え視界がはっきりしてくる
その痕は、木々をほとんど薙ぎ倒し残っている
アトラスは地面に俯せ倒れていたが、致命傷にはならなかったらしい

「く… なんて魔法だ…」

頭を抑えながら立上り俺達を睨み付けるアトラス
胸元はブスブスと煙が立ちこめ焦げている
あれだけの爆発を一身に受けながらこの程度の傷しか与えられないとは、なんと恐ろしい魔物だろう

「うがががががああああああ!!」

薙ぎ倒された木々を更に蹴飛ばしながら、力任せに棍棒を俺にいくつも振るうアトラス
その度にドスンズシンと地面が揺れ、意外にも素早いその動きを懸命に俺が避ける

505 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:25:11 ID:bHmsBRUz0
「しねぇぇぇぇえええぇ!!!」

ただひたすらに、前に立つ俺を追いかけ回し棍棒を地面へと叩きつけるアトラス
俺は叩きつけた後に出来る少しの隙を狙い、魔力を十分に送り込んだオリハルコンの剣で斬り付ける
が─ 刃があたる瞬間、妙な感触のせいで思った以上に深い傷を与えることが出来ない
魔王の力なのかなんなのか、とにかくこのまま地道に小さいダメージを与え蓄積させるしかない─

そうしてそんな追いかけっこが数分続いた所で、俺はある事に気づく
それは─
アトラスが蹴り飛ばす木は、確実に退路を絶っているのだ
その事に気付いたときはもう手遅れで、俺とメイは積み上がった折れた木に挟まれ、目の前には余裕の戻ったアトラス

「俺が力だけだと思っていただろうが、残念だったな!
 貴様等の魔法や剣など闇の衣の魔力の前では無力!
 もう逃げ道はない さぁ、死んでゾーマ様の力となれ!!」

おおきくゴツゴツとした棍棒がいままでよりも遙かに早い速度で近付き、俺は両手を使いオリハルコンの剣で受ける
が、とてつもなく重いその一撃に直撃こそ免れたが、俺とメイは地面から足が数十センチ浮き、吹きとばされてしまった

「くっ……… なんて、力……!」

ゴスッ!

「カ ハッ……!」

腹に激痛と苦しさ
同時にゴキッという骨の砕ける音
俺の口から苦く、温かい液体が飛び出す
血だ

腹の上にはアトラスの大きく太い足がグイグイとのしかかる

506 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:26:05 ID:bHmsBRUz0
「タカハシ!」

少し離れた所へ飛ばされたメイが、ヨロヨロ立ち上がりながら声をあげる

「女 人の心配をしている場合か?」

アトラスは俺から足を除けおもむろにメイへ近付き、身体に見合う大きな手で、叩き払った
メイの小さく軽い身体はまるで折紙のように空を舞い、倒された木々へガラガラと落とされる

「う……」

折れた木の枝が、胸部を貫通し真っ赤に染まってゆく
表情を歪ませその枝から身体を引き抜き、更に地面へ落ちるメイ



『力を─』

ルビス…か?
俺に、こいつと戦う"力"をくれ…

『あなたはすでに"力"を持っている 守りたいモノや人を強く、思いなさい…』

507 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/27(木) 16:26:21 ID:S+iMreCV0
>>魔神
テラ少なす・・・
>>タカハシ
テラ多すwww

508 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:27:01 ID:bHmsBRUz0
俺の中で何か大きな力が起き上がり、身体を支配する
逆にオリハルコンの剣は輝きを無くし、変わりに刀身が純白へと変わる
だが酷く損傷した俺の身体は思うように動かせない

「ベホ……」

メイが何かを小さく呟き、俺の身体にフワリとした感覚─

『ズシュ』

「クッ!! なんだキサマ!? この後に及んでまだ俺に抵抗しようというのか!
 人間が無駄な事を!」

意識とは無関係に、アトラスの腕へオリハルコンの一撃を見舞う俺

その後は 覚えて、ない
気が付き目の前にあったのは 横たわり動かない、アトラスだった


509 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:28:37 ID:bHmsBRUz0
今日はここまで
さんざん迷いまくって、結局こうなった
かなりツギハギしたから話の前後が今まで以上にわかりにくくなったかも…
脳内補間、お願いします

>>507
たぶん、今後も長くなると思いますw

510 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/27(木) 16:54:24 ID:9DeGN5oLO
GJGJ!

511 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/27(木) 17:01:23 ID:g9gkIwP30
そうだ…うまいぞ…タカハシ…

やればできるってもんだ。っと阿部さん風に言ってみる。

とにかくGJ!!

512 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/28(金) 12:36:52 ID:9V435TaC0
ま〜え〜ま〜え〜こ〜な〜ぎ〜


513 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 18:53:37 ID:hdMcF9gS0

拝啓、皆さま。お久しぶりです。
私は今、死出の洞窟の前に立ち、こうして最期の別れを告げるべく筆を取り……じゃない。

今私たちは、ラダトームから北、岩山の麓から地下へと延びるほら穴の前にいる。
この奥が、宿屋を後にしてから町中で聞きまわり、ついに引き出した賊たちの隠れ家だ。
「じゃ、いこうか」
私の前に立つミモザが、気合を入れるように鞭を振るった。
「……うう」
行きたくない行きたくない行きたくない行きたくない生きたくない、いやいやいや逝きたくない!

最初はラダトームの宿屋でミモザを見送るつもりだった。だけど今の私には、彼女のほかに頼るものも
なし、金……ゴールドもなければ知識常識もない。
そしてそんな私に、ミモザは言い放った。
「あ、付いて来ないんなら、あんたの面倒見ないからよろしく」
……そんなこと言われたら、付いてくしかないじゃん。あんた鬼や。

このアレフガルドとやらに迷い込んでからこちら、ろくなことがない。
ちょいと振り返ってみれば、
朝起きーの、宿屋追い出されーの、魔物に襲われーの。トツギーノ。いや、嫁いではないけど。むしろ
嫁ぎたいですけど。
おまけにその後ときたら、盗賊に助けられーの、下っ端になりーの、山賊退治に同行させられーの。
トツギーノ…とか言ってるバヤイじゃない。
まあ大体そんなことがあって、今現在、こうして私はミモザという女盗賊の金魚の糞をやっているわけで。

「ほらほら行くよ、あたしの荷物ちゃん」
ミモザは元気に洞窟の入り口へと足を踏み出す。ていうか人のこと「荷物」呼ばわりかい。人権なんて
あったもんじゃないですか。…まあ確かに荷物運び以外は役に立ってないけどね。
「……荷物って呼ばないでください」
私も死にそうな顔で洞窟の入り口へと足を踏み出す。ああ、父さん母さんごめんなさい。娘はこんなわけも
分からぬところで死んでゆきます。

514 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 18:55:03 ID:hdMcF9gS0

洞窟のなかは思ったよりも広く、思ったよりも乾いていた。人の手が随分加わっていて、あちこちに燭台が
設置され、石造りになっている壁面もある。
ミモザの掲げるランプのおかげで、辺りはばっちり見えた。
真っ暗だったらつまづきそうな足元も、あちこちに生えているコケだのシダだのも、隅っこで朽ち果てている
不気味な骸骨も、雄たけびを上げてこちらへ襲い掛かってくる魔物も…
!!11!!!!1!!
「ちょ、ま、うわ、魔物マモノまも」
「……あんた慌てすぎだよ」
慌ててるんじゃない、テンパッてるだけです。ってそりゃ言い訳にならないか。
「ほら、ちょっと下がってな。あぶないから」
自信満々、余裕綽々でミモザは鞭を振るう。
「何だ、トロルか。戦うのめんどいなー…」
手に持った武器を眺めて、目の前の敵を眺めて、そして彼女は呟いた。
「バシルーラ」

……
…………
しかし なにも おこらなかった!

「……あれ?」
「どうしたんすか?」
「……魔法が使えないみたいだ」
「えっ」
それってやばいんじゃ、と思った私の勘は正しかった。
ていうか考えればそんなことすぐに分かるか。はは、私ったらおばかさん。
「ぎゃあああAAAAaaaaa!!1!」
「逃げるよっ!」
手に持った棍棒を思い切り振り回し、魔物――トロルが襲いかかってきた!

515 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 18:59:18 ID:hdMcF9gS0

がきぃんッ!

……
次の瞬間。私はまだ生きていた。
「ばかっ何してる!」
「あ……」
ミモザがいた。盾で棍棒を受け止めて、私の前に立ちふさがっている。また助けられた。
「はやく逃げな、もうもたない……きゃあっ!」
軽いからだが、いとも簡単に吹っ飛ばされた。
私は慌ててミモザのもとに駆け寄る。ほかに、どうしていいか分からなかった。
「ミモザさん、ミモザさん、しっかり、ねぇ、ねぇ!」
「揺らすなっあほっ!……くぅ」
悪態をつきながら足に体重を乗せようとして、ミモザは眉をしかめる。立ち上がれないのだ。

ずしん。がきん。ずしん。どすん。
醜い足で地面を揺らしながら、無骨な棍棒で壁を破壊しながら、トロルが迫ってくる。
どこにも逃げられない。
死ぬ?
――やだ。ヤダ。嫌だ。
武器は? 無い。でも何かしなくちゃ、このまま死んで魔物の餌になるなんて嫌だ。
そのとき。ミモザの腰に吊るされていた短剣が、ちらりと目に入った。
咄嗟。
「これ、借りますっ!」
「え、ちょっと、おいっ!」
私は武器を手にとり、がむしゃらにトロルめがけて突きこんでいく。

とすん。
刃は、あっけないほど簡単に魔物の体を貫いた。

516 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 19:03:16 ID:hdMcF9gS0

「ごがああぁあぁぁあ!!!!」
トロルは狂ったように叫び声をあげ、そして、
「よけろ、潰されるよっ!」
「え、あ、はい!」
よろけて倒れ、そのまま動かなくなった。
ミモザのとっさの声で後ろに下がっていなかったら、その巨体の下敷きになって私も死んでいたかも
しれない。

――倒した、んだ。私が、魔物を。

「大丈夫か?」
何とか立ち上がったミモザが、私の横にやってきた。
「怪我はないか?」
「……」
「ちょっと、ねぇ?」
「ひっぅ……ふっ……えぐぅ……」
止まらなかった。
緊張の糸が切れた途端、さっきまでの恐怖が襲ってきた。こわかった。こわかった。こわかった。
大人のくせに泣きじゃくるなんてみっともない。分かっていたけど、止まらなかった。
「……大丈夫だよ、もう泣かない。な」
「うん……」
ぽんぽん、とミモザが肩を叩いてくれる。その感覚が、とても温かかった。

トロルの死骸から離れて、私たちは岩陰に身を潜めた。今、他の魔物にあったら、多分逃げる暇もなく
やられてしまう。
ミモザは黙って荷物の中から薬草を取り出して、打撲や裂傷になっているところに貼り付けていく。
私にもいくつか分けてくれた。
治癒呪文をつかったときと同じように、あっというまに傷が治ったけれど、その不思議さは何だかもう
どうでもよくなっていた。そういうもんなんだ、と納得するしかなかった。

517 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 19:04:53 ID:hdMcF9gS0
そしてだいぶ気分も落ち着いてきたところで、ミモザがぽつんと言った。
「それ、あんたにやるよ」
私の手の中にある短剣を指差して。
「え? いいの?」
「あたしにはこれがある。気にすんな」
短剣の鞘が吊るされているその反対側には、鋼鉄を紡いだ鞭。「それに、ここじゃあ駄目みたいだけど
魔法だって使えるしね」
そして彼女は腰のベルトから鞘をはずして、それを私に放る。
「ほら、しまっときな。あ、その前にちゃんと汚れを落としときなね、錆びたら大変だから」
確かに短剣は魔物の血でずぶぬれになっていた。……へえ、トロルの血って青いんだ。
ミモザから布を受け取って、丁寧に汚れを落としていく。刃はランプの光を反射して、紫色にきらめいた。
「やっぱり、紫色なんだ」
「ああ、毒が仕込まれてるからね。ちょっとした魔法剣みたいなもんだよ」
「へぇ」
「さっきトロルがあっさり死んだのはそのせいだろ。急所に入ればどんなでかい奴でも簡単に倒せる」
「へぇ。あの、ミモザさん」
「なに?」
「……ありがとうございます」
大事な武器を譲ってもらって。転んで動けないときに庇ってもらって。怪我の手当てもしてもらって。
そしてこうして面と向かってちゃんと彼女にお礼をいうのが初めてだと、言ってから気がついた。
「ございますはいらないよ」
ミモザは白い歯を見せて笑った。
「あ、はい、その……」

518 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 19:07:51 ID:hdMcF9gS0


「ありがとう」

先は長い。当面の目的である山賊退治もこれからだ。ミモザの魔法も使えないし、私はただの足手まとい。
だけど、不思議だ。
――何とかなるかもしれない。
アレフガルドに落ちてきて、そのとき初めて、私はそう思った。


クロベ Lv8 フリーター
HP 17/55 MP 0/1
E アサシンダガー E ピーコート ミモザのにもつ




―――――――――
コピペ失敗orz
下の分は514と515の間に入りますよ

519 :クロベ ◆LZJDwNvDH2 :2006/04/28(金) 19:09:29 ID:hdMcF9gS0

人間をむりやり数回りふくらしたような青い体に、一つ目の豚のような顔。だらしなくにやけた口からは、
舌がぶらんとはみ出している。
滑稽な姿をしているが、多分あの武器が一度でも当たったら、五回分くらいは軽く死ねるだろう。
ガスッ!ドスッ!と嫌な音が後ろから追いかけてくる。何が起きているのか気になったけど、振り向けば
待っているのは間違いなく、死だ。

でっぷりとした見た目に似合わず、奴は意外と俊敏だった。
走る。走る。走る!
ものの壊れる音が、後ろから迫ってくる。
もっと早く、早く。逃げなくちゃ、逃げなくちゃ。
でも。
息が詰まる。
足がもつれる。

――がくん。
「……っ!」

そこが私の限界だった。
つんのめって、肩にしょっていた荷物が前にふっとぶのがやけにはっきりと見えた。
肘を思い切りぶつけたようだった。本当なら泣きわめきたいくらい痛いはずだ。
でも、声が出ない。
あたまのなかが、まっしろに、なる。

何も考えられず、私はとっさに振り返った。
棍棒が、目の前にあった。トロルの顔には、いっそうニヤニヤと嫌な笑みが浮かんでいる。
ぐわん。
あ。もうだめだ。
しぬ。

520 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/28(金) 21:26:55 ID:iBHRdHWGO
クロベ氏、乙
主人公が本格的に参戦、楽しみです
これからが大変だと思いますが、頑張ってください

521 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/29(土) 14:41:42 ID:Qgm7nNciO
クロベさん乙。
久しぶりの更新だな。

522 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/29(土) 15:14:10 ID:If2KLtkBO
乙!
主人公の運テラタカスwww

523 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/29(土) 21:19:11 ID:ZFAHOL0n0
期待あげ

524 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/29(土) 23:30:21 ID:FOFV0E5/O
そーうーちょーうー

525 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/30(日) 11:52:34 ID:mr0vm9Le0
524 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/04/29(土) 23:30:21 ID:FOFV0E5/O
そーうーちょーうー


526 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/30(日) 12:32:31 ID:MMoXms1V0
4の人は書くのが遅すぎるのであげ

527 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/30(日) 14:02:36 ID:cSQ18Q0uO
どうして毎回こう失礼なやつが現れるのか理解に苦しむのでsage

528 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/30(日) 15:21:41 ID:FtYOzSmh0
4の人マダーー?とか言ってるマルチは放置

529 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 21:57:46 ID:wRmz2JKx0
>>444の続き

その泥棒は食料や水を盗もうとした所で俺に見つかったらしい。良く見てみると北斗の拳のハート様の様な男だった。

タケ「この小ざかしい泥棒がぁ!ブッた斬ったるわ!」
 ?「チッ!ここはズラかるか。」
タケ「待たんかい!!うわっ!!」

泥棒が俺に砂みたいなものを振り掛けて逃げ出した。目がぁ〜〜目がぁ〜〜って言いたい所だがこのまま逃がすわけにはいかん。
何とか視力が回復させ、泥棒が逃げ去った方向に走って向った。

















すぐに追いつけた。なんだかあっけねぇな……………………やっぱりハート様だな。


530 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 21:58:35 ID:wRmz2JKx0
 ?「ちっ!ここまでか…」
タケ「人様の食料勝手にパクって何様や!ボケェ!」
 ?「なら強引にでも奪ってやるぜ!」
ハート様が大きな斧を持ち出し構えた。パワー型の盗賊って言うところか。足は遅いけど…

タケ「こいやオラァ!!」
俺が斬りかかったのと同時にハート様も斧を振り下ろしてきた!

ガキィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!

タケ「なっ………なんちゅ〜馬鹿力や…」
 ?「オラオラどうしたぁ?俺様をなめるなよ!」

コイツ、パワーだけは一級品だ。このままの体制なら確実に力負けをする。だが…

タケ「足元ががら空きやで!」
 ?「し、しまっ…」

俺は足払いをした。ハート様はステンっと簡単にこけた。今がチャンス!

タケ「おまん逝けや!!!」
ハート様に追い討ちをかけるように俺は剣を突き刺した。



それが甘かった。




531 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 21:59:39 ID:wRmz2JKx0
タケ「ガハッ!!」
ハート様が(寝ながらだが)サマーソルトを俺に食らわした。俺の攻撃は回避され
しかもあごにまともに入ったためにちょっと脳震盪をおこした。

――――――――まだ動ける。

もょ「(だ、だいじょうぶか!?)」
タケ「(ちぃっ!パワーだけがやっかいやな。今の所は大丈夫やで。)」

タケ「中々やるやないかい!詰めが甘すぎたワ。」
 ?「てめぇもなかなかやるな。簡単にやられてたまるかってんだ。」
タケ「死にさらせ!」  
 
剣を打ち込んでいるのだが中々クリーンヒットがしない。
テクニックでは俺のほうが何とか勝っているが致命的な一撃打たせないために早く打ち込む事に精一杯だった。
しかもハート様のなぎ払いで吹っ飛ばされた。

タケ「ハァ…ハァ…こいつのパワーはある意味人間やないな。」
 ?「しつこい野郎だ。俺様の最強の技喰らわせていやる。」

ここで本領発揮って所か。スピード系の技はまず有り得ないな。大防御で対処できるだろう。

 ?「くらえ!蒼天魔斬!!」



532 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 22:00:37 ID:wRmz2JKx0
ハート様が斧で地面に円を削ると紺色の霧のようなものがハート様の周りを包み始めた。
なんと霧が髑髏の形になって俺に襲い掛かってきたのだ。

俺は咄嗟に大防御の構えを採ったのだが恐怖で身震いしていた……
死ぬんじゃないだろうか?まして夢の世界であるはずなのに―――――――――

髑髏が俺を飲み込んだときに全身に激痛が走った。

タケ「あがががががががが!!!!!!!!うぐぐっ………!!」
もょ「(タ、タケ!!)」
タケ「(も、もょは出たらアカン!!お前も激痛が走るで!)」

次第に髑髏が消え去っていった。大防御のおかげか何とか防ぎきった。マジで死ぬかと思ったぜ。

タケ「甘くみるんやないで。防ぎきったわい。びびらせやがって。」
 ?「ガハハハハハ!!上手くいったようだな!」
タケ「何やと?そのアホ面を斬り刻んでやったる!」

体を動かそうとしたら全く動けない。どうなっているんだ?


 ?「蒼天魔斬の真の目的は相手の動きを止めることだ。思惑通りに麻痺させる事ができたぜ。」




533 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 22:01:44 ID:wRmz2JKx0
タケ「アハハハハハ!だから体が痺れて動けない訳やな。」
 ?「な、何笑っているんだ?こいつ…」
タケ「だってよぉ〜
            ヾヽ'::::::::::::::::::::::::::'',    / 状 .あ ま ヽ
             ヾゝ:::::::::::::::::::::::::::::{     |  況 .わ だ  |
             ヽ::r----―‐;:::::|    | と て    |
             ィ:f_、 、_,..,ヽrリ    .|  ち る     |
              L|` "'  ' " ´bノ     |  ゃ よ     |
              ',  、,..   ,イ    ヽ う う    /
             _ト, ‐;:-  / トr-、_   \わ な   /
       ,  __. ィイ´ |:|: ヽ-- '.: 〃   `i,r-- 、_  ̄ ̄
      〃/ '" !:!  |:| :、 . .: 〃  i // `   ヽヾ
     / /     |:|  ヾ,、`  ´// ヽ !:!     '、`
      !      |:| // ヾ==' '  i  i' |:|        ',
     |   ...://   l      / __ ,   |:|::..       |
  とニとヾ_-‐'  ∨ i l  '     l |< 天  ヾ,-、_: : : .ヽ
 と二ヽ`  ヽ、_::{:! l l         ! |' 夂__ -'_,ド ヽ、_}-、_:ヽ   」※AAはイメージです。

 ?「ムカツク野郎だぜ!状況が悪くなってケロっとしている奴などはいないはず…」
タケ「(もょ。蒼天魔斬だけ気をつけたら何とかなるわ。)」
もょ「(そうてんまざんってドクロがでてくるわざだな!)」
タケ「(ああ。蒼天魔斬は遠距離攻撃みたいやから接近戦で攻撃したらもょのペースでいけるやろ。隙があったら魔人斬りを喰らわせてやれ。)」
もょ「(まじんぎりってなんだ?)」
タケ「(もょが以前、レオンが持っていた盾を破壊したやんか。勝手にそう呼ばしてもらった。強撃って呼ぶのも弱弱しいしな。)」
もょ「(なまえのつけかたがうまいなタケは。あとはおれにまかせろ!)」
タケ「(すまん。頼むで!)」

もょもとと代わり、もょもと対ハート様とのバトルになった。


534 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 22:02:35 ID:wRmz2JKx0
もょもとが向った行った瞬間にハート様はさずがにとどまった。その隙を突いてもょもとは攻撃を仕掛けた。
 ?「バ、バカな!ありえねぇ…」
もょ「とにかくこうげきさせてもらうぞ!!」
もょもとが先手を取ったようで有利な体制で力比べになった。
 ?「ぐぐっ………こいつ、こんな底力を隠していたのか…」

もょもとが強引にハート様を押し込んでいる。このまま押し倒す事ができそうだ。
 ?「足元がお留守だぜ!」
ハート様が足払いを仕掛けてきたがもちろん想定の範囲内である。
タケ「(もょ!バックステップや!)」
もょ「(おう!)」
 ?「く、くそっ!かわされた!」

もょ「たにんのわざをつかうなんてまだまだあまいな。」

こいつめ、いっちょ前に格好つけやがって。

もょ「いくぞ!まじんぎり!」
 ?「こ、これは…ぐばぁ――――!!!」

魔人斬りが綺麗に決まった。流石に立ってこれまい。
 ?「こ、ここまでか…」
もょ「さぁ、ぬすもうとしたりゆうをきかせてもらおうか!」
 ?「くくっ…」


535 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 22:03:57 ID:wRmz2JKx0
尋問しているときにレオンとリアがやってきた。
レオン「もょもと!何があったんだ?」
 もょ「こいつがおれたちのしょくりょうをぬすもうとしたんだ。」
 リア「もょもとさん大丈夫?怪我はない!?」
 もょ「だいじょうぶだ。」
 リア「良かった…」
レオン「ん…あ、あんたは…?」
  ?「ク、ククールでがすか!?」
レオン「ヤ、ヤンガス…」

まさか――――――――――――――――レオンの仲間が見つかったって事か?

ククール「あんた何やっているんだ?」
ヤンガス「おっさんが倒れたから食料と水を探していたのでがす。そしたら返り討ちにされてしまったでがす。」
ククール「トロデ王やミーティア姫もいるのか!?」
ヤンガス「そうでがす。」
ククール「他のみんなは?」
ヤンガス「気がついたらあっしとおっさんと馬姫さんだけだったでがす。兄貴達はどこに行ったのかわからないでがす。」
  もょ「どうなっているんだ?レオンのなかまなのか?」
ククール「ああ…」
  リア「レオンさんどういう事なの?」
ククール「レオンって言うのは偽名さ。本名はククール。この盗賊の名前はヤンガスって言って俺の世界の仲間だ。」
ヤンガス「そ、その前に治療を頼むでがす…」
ククール「わかった。しかしあんまり無理はするなよ。」

ククールがベホイミを唱えるとヤンガスは立ち上がった。

ククール「もょもとすまない。ここは俺の顔に免じてヤンガスを許してやってくれないか?」
  もょ「しかたがないな。しかし、ひとのものをぬすむのはよくないぞ。」
ヤンガス「すまなかったでがす。とにかくおっさんの所に案内するでがす。」

ヤンガスはトロデ王の場所に俺達を案内した。

536 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 22:05:59 ID:wRmz2JKx0
案内された場所に着くとナメック星人みたいな生き物が倒れていた。しかも馬が心配そうにナメック星人をみていた。
  リア「こ、この人がトロデ王?」
ヤンガス「そうでがす。おっさんも馬姫様もドルマゲスって奴に呪いをかけられたのでがす。」
もょ「のろいか…」
ククール「この馬もトロデ王の愛娘ミーティア姫さ。しかしドルマゲスは許せねぇ…」

ククールが感情むき出しで語った。よっぽどドルマゲスって奴に悲惨な目にあったのだろう。

  タケ「(おい、もょ。)」
  もょ「(どうした?)」
  タケ「(もしかしたらラーの鏡でトロデ王やお姫様の呪いを解く事が出来るかもしれへんで。)」
  もょ「(なるほど!ムーンののろいをといたようにやるんだな!)」
  タケ「(しかし成功するとは限らへんけど…)」

  もょ「レオン…じゃなかった、ククール。もしかしたらトロデおうとおひめさまののろいをとくことができるかもれないぞ。」
ククール「なんだと!?」
ヤンガス「本当でがすか!?」
 
  もょ「ラーのかがみでムーンののろいをといたことがある。いまからもってくるよ。」
  リア「さっすがぁ!もょもとさん!即実行あるのみだね。」
  もょ「ちょっとまってろ。」

ラーの鏡を取りに行きリア達の場所に戻った。

戻った後トロデ王の水と食料を与え。とにかく起きてもらった。

537 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 22:07:22 ID:wRmz2JKx0
 トロデ「お蔭様で助かったわい。」
ヤンガス「おっさん良かったでがす。」
 トロデ「バッカもーん!!ワシの家臣でありながら何をやっておるんじゃ!!」
ヤンガス「あっしは家臣ではないでがす!」
 トロデ「しかしこの者達がワシとミーティアの呪いを解いてくれるとな?」
ククール「俺達の世界と全く違う世界だからな。可能性はあると思う。」
  もょ「まずはトロデおうからはじめることにするぞ。」

もょもとがラーの鏡でトロデ王を写し出し、覗き込むと人間の顔が写し出した。

ヤンガス「お、おっさん!手が人間の手に戻っているがす!」
 トロデ「なんじゃと!?おおっ!」
ククール「凄いなこれは…元通りに戻ったみたいだな。」
 トロデ「どうじゃ?ヤンガス、ククール。これでワシもギャルにモテモテじゃ!!」
ヤンガス「おっさん何言っているんでがすか!?」 
ククール「はいはいわかったわかった。」
  リア「後はミーティア姫だけだね!」
 トロデ「そうじゃった!ようやくミーティアも元通りに戻せるぞ!もょもと!早くやってくれ!」
  もょ「わかったぞ。」

もょもとがラーの鏡を馬に写し出した…しかし――――――――

バリィィィィィィン!!!!!!!!!!!

ラーの鏡が砕け散ったのだ……………………その瞬間全員の表情が硬直してしまった。

538 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 22:08:29 ID:wRmz2JKx0
  もょ「な、なぜだ…?」
  リア「そんな…」
 トロデ「な、なぜミーティアだけ呪いが解けないんじゃ!?」
ククール「多分、トロデ王の呪いより姫の呪いの方が強いのだろう…」
ヤンガス「やっぱりドルマゲスを倒すしかないでがす!!」
 トロデ「ドルマゲスめ…」

その時サマルとムーンが来た。

 サマル「どうしたんだい?今凄い音がしたんだけど。」
 ムーン「凄い音がして目が覚めたわ。」
  もょ「ムーン、すまない。ラーのかがみがわれてしまったんだ。」
 ムーン「…しかもレオンもいるじゃない。状況を説明して。」
ククール「俺が話そう。」

ククールは今までの話の流れを話した。

 ムーン「ミーティアさんの呪いはハーゴンのよりもきついみたいわね。」
 サマル「しかもドルマゲスって奴もハーゴンと同様に邪悪な魔術師みたいだね。」
 トロデ「ムーン。家宝を壊してしまってすまんのぉ…」
 ムーン「気にしなくていいわ。王様。人助けに使って壊れたんだからいいじゃない。」

なかなか話が進まない沈黙の状態でリアが切り出した。

  リア「これからどうするの?」

539 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/30(日) 22:09:58 ID:wRmz2JKx0
 サマル「バカ!空気を読め!」
  リア「ご、ごめんなさい…」
ククール「そうだな。もょもと、すまないが俺はここまでだ。」
  もょ「なんだって?」
ククール「ヤンガスやトロデ王達と一緒に行くとする。俺のわがままで付きあせる事はできないからな。」
  リア「そんな、寂しくなっちゃうね…」
 ムーン「リア、ククールも目的があるんだから仕方がないじゃない。」
ククール「すまない…」
ヤンガス「それならまた待ち合わせしたらいいんじゃないでがすか!?」
 トロデ「それもそうじゃの。ヤンガス、お前もたまには良い事言うもんじゃ。」
ヤンガス「余計なお世話でがす!」
  もょ「そうだな。ローレシアでまちあわせしよう。ローラのもんのつうこうきょかしょうがいるな」
 サマル「それなら僕が紙に書いて作っておくよ。」
 ムーン「なら決まりね。私達はルプガナに行くわ。」
ククール「俺達はムーンペタに行ってローレシアに向うとしよう。元気でな!」
  リア「またね!ククールさん、ヤンガスさん、トロデの王様。元気でね!」

もょもと&タケ
Lv.15
HP:43/105
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄の盾 E鉄兜 
 特技 共通技:チェンジ
 もょもと専用:はやぶさ斬り・魔人斬り
   タケ専用:かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御

540 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/01(月) 01:09:57 ID:nFz9QxX20
レッドマン乙

みんな職人さんマダー?って言ってるけど、俺は書庫さんの安否が心配じゃ

541 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/01(月) 07:28:48 ID:kEfj/vhoO
ちょwwwwそれ何て仙道wwwwwwwwww

542 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/01(月) 12:01:58 ID:P7AbthPB0
さり気無くムスカが絡んでるw

543 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/02(火) 12:03:08 ID:jUiphBIdO
レッドマン乙。
今後の展開が楽しみだ。

544 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:35:40 ID:1RKN4gD70
>>508
から続き

●変わらない

巨大なアトラスの身体には無数の深い斬り傷がパックリと開き
その命を奪ってしまっていた

「倒したのね…」

メイがよろよろと、立ち尽くす俺の横へ歩み寄り言った
深々と突き刺さった木の枝の傷痕は、消えてなくなっている
残っているのは真っ赤に染まった血痕

「残った全ての魔力で、古代魔法ベホマラーを使ったの」
「ベホマラー?」
「そう ベホイミやベホマとは違って、一度に複数の人を治せる
 だけど、イオナズンとあわせてかなり魔力を消耗してしまったから、一晩くらい休まないと…」

だから…
不思議な力が湧いてすぐには起き上がれなかったけど
ベホマラーのおかげで立ち上がることが出来た
あの時メイが呟いた魔法はこれだったんだ
もし、洞窟で古代魔法を手に入れることが出来ていなかったら、今ごろ魂だけの存在になっていた

「ありがとう」
「お礼なんて、私たちは一緒に旅をして一緒に戦っているんだから」
「…そうだな ありがとう」

545 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:36:20 ID:1RKN4gD70
口の中に鉄のニオイに似た味が、ザラザラと残っている
俺はいったいどうやって アトラスを倒したんだろう

「剣が白くなって、タカハシはとても早い動きで何度も何度も… 斬り付けたのよ」
「何度も… 全く覚えていないよ」

右手に握るオリハルコンの剣は、いつもの通りの金属色
不思議な力は効力を失っていた
倒れる巨体へ目をくれると、光に包まれ空へ溶けこんでいくところだった
同時にシュンと、辺りから不穏な気配も無くなる
そのまましばらく無言で空を眺め、俺は口を開く

「メイ、ルビスの事なんだけど─」

話しておかなければならない
俺といれば、またアトラスのように強い魔物が現われるかもしれない
だから、真実を言って そして俺は一人で旅を続けたいと─

「私は… なんでもいい」
「え?」
「タカハシが"どこの誰で何者"だろうとタカハシである事は変わらない
 今まで通り、なに一つ変わらないの」
「…そうだとしても、また強い魔物に襲われてしまう可能性は高いんだ
 これ以上、俺と旅を続けるのは危険過ぎる」
「平気、よ タカハシがきっとまた、強い力で助けてくれると信じてる
 それに、まだタカハシと旅を続けるって決めてるの」
「しかし─」
「私は、こんな事だいじょうぶだから─」
「聞いてくれ 俺は本当は─」

言い掛けた言葉は、メイの手の平で抑えられ出口を失った

546 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:37:02 ID:1RKN4gD70
「いい 言わなくても、いい
 今まで通り、いつもみたいにまた、旅を続けようよ
 今までだって常に危険だったじゃない」

メイの目も"それ以上なにも言わないでほしい"と語っているのが感じとれる
俺はいったいどうすれば…

「わかったわ じゃあ、こうする
 もしまた不穏な気配を感じたら、私はすぐに遠くへ離れ逃げるから…
 約束するから、お願い…」

アトラスとの短い会話の中でメイは何を、何に気付いたのか
もしかしたら俺が普通の人間では無いことに気付いているかもしれない
俺のあの不思議な力、俺自身が驚いてるんだ
……だけどやっぱり危険すぎるよ

その後も説得し続けたがメイは折れてくれず
"危険を感じたら必ず逃げる"
という約束を俺は信じ、一緒に今まで通り旅を続けることを承諾した


547 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:37:44 ID:1RKN4gD70
●遙かな時間

アトラスを倒ししばらくの休憩後、俺達はチゾットへ向け歩きだしていた
しかしあまりに厳しい戦いだったために、二人とも気持ちを前に進めることが出来ない
あまりに強すぎた敵アトラス…
そんな、お互いが不安定な状態では危険過ぎる
またゾーマの刺客が現われるかもしれない
だから明るいうちに野営を始め、そしてそのまま夜を迎え今に至っている

魔力を使い果たし疲れ果て眠るメイ
穴の空いたプリンセスローブは丁寧に繋ぎ合わせられ、血痕だけが濃く残っている
俺が身に着ける魔法の鎧はぐしゃりと潰れてしまったから、途中で破棄してしまった
今の装備は予備として持ち歩いている旅人の服

「あの力は、なんだったんだろう…」

ルビスに"守りたいモノや人を思いなさい"と言われ、思ったのはメイと自分の世界…
そして俺は意識を失い、いつのまにかあのデカブツを倒していた
ルビスの言う"真の力"はあの事だろう
だけどあれ以来、力を感じることは無くなってしまった
もしかしてまた死にかけなきゃ発揮されないとでもいうのか…?

「ふぅ…」

俺は溜息と一緒にググッと腕を伸ばし筋肉をほぐす

548 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:38:30 ID:1RKN4gD70
あの時"自分の世界"を思うのは当然だけど、今の目的である"トルネコと呪い"を思い浮かべることが出来なかった
いや、当り前かもしれない
目の前で木に貫かれたメイがいたんだ
だけど……
それだけじゃない感情が、俺に入り込んできていたのも事実
俺はこの世界の住人じゃないのにな
メイはどう、思ってるんだろう…

だめだ
俺はこんな感情を持っちゃいけない 捨てなくてはいけない
イシスからチゾットへ向かう間、ずっと考えていた

ここは俺の世界とは繋がることのない、遙かに遠い異世界なんだ
いつかは終わる、旅なんだ


549 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:39:08 ID:1RKN4gD70
●残り人

翌朝、アトラスとの戦いの記憶も多少薄れ、俺達は出発した

「もう一つの古代魔法はマホトーンっていうの」
「どんな魔法?」
「相手の魔力を、少しの間だけ無力化する事が出来るのよ」
「へぇ じゃあ、その静寂の玉と同じようなものか」
「そうね だけどマホトーンは失敗する事も多いらしいの
 だからあまり過信してはいけないわね」

アトラスを倒してからも、魔物の気配は感じない
俺達はかなりゆっくりとした歩調で進む

魔王にはルビスの気配を感じとれるらしい
わざわざあんなに強い魔物を送り出してくるんだ
俺にはそう思えないが、ルビスは特別な力を持っているんだろうな
それとアトラスの言っていた"闇の衣の魔力"とはなんだ
古代魔法イオナズンも魔力を十分に送ったオリハルコンでもほとんど傷つけることが出来なかった

「闇の衣… 私も聞いたことが無い
 もし、そんな力を全ての魔物が持つようになったら世界はおしまいね…」
「強力な魔法も、剣での攻撃も効かないとなると…
 考えただけでも恐ろしい」

不安はつのるが、今はトルネコの呪いを解く事だけを考えよう
考えすぎると自分の世界へ帰る事すら、見失ってしまいそうな気がするから…

550 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:39:46 ID:1RKN4gD70
チゾットへ戻った俺達はクリーニに一晩の宿を借りて休み、再び西の道を歩いていた
呪いを解く事ができるかもしれない、カルベローナの生き残りを探すため

チゾットで聞いた話によると、西の道沿いを歩いていけば逃げ延びた人達が暮らす小さな集落があるらしい
その集落にカルベローナの人間がいるかどうかはわからないという事だったが、このまま途方に暮れるよりはマシだ
プリンセスローブはというと、チゾットの村人に洗ってもらい元のベージュに戻った
そして俺は、クリーニに譲ってもらった革の鎧を身に着けている
魔法の鎧より軽いが耐性はゼロだし鋭い爪の一撃をもらえばすぐにちぎれてしまいそうだ
だけどほとんど守っていないに等しい旅人の服よりは気持ち的に安心だ

「カルベローナの人達、すぐに見付かると良いけどなぁ」
「この道沿いを進んでいけばいいらしいから、すぐに見付かるわよ」
「見付けたら呪いを、すぐに解いてもらわないとな
 メイももうすぐ、勇者にあえるかもしれないぞ」
「…タカハシは、勇者様の呪いが解けたらどうするの?」
「俺か …俺は旅を続ける
 ただし、トルネコさんと一緒じゃない、一人で旅するよ」
「私達と一緒に旅を続けようよ!」
「それは─」

仕方がないんだ
俺は、帰らなきゃいけない所があるから─

551 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:40:44 ID:1RKN4gD70
「…その事は、その時考えればいいよね
 もしかしたら、気が変わるかもしれないし」
「…そうだな それにだ
 カルベローナの人達が呪いを解けるという確証はどこにもないんだ
 もしかしたらまだまだ旅しなきゃならないかもしれないよ
 そうなら─」

俺は、何を言おうとしてるんだ
駄目じゃないか
呪いを解くんだ、この旅はそのためにしているんだ
バカか、俺は…

「そうなら?」
「ん?ああ… そうなら… どうすれば呪いが解けるんだろう?って、言おうとしたんだ」
「わからないわね 呪いに関しては、教会でも研究が始まったばかりだし…
 大きな町へ行って、人の話をたくさん聞いたほうがいいかもしれないね」
「大きな町か、じゃあもし、呪いを解けなかったらグランバニアへ向かおうか」
「そうね、グランバニアなら人が集まるからいろんな話が聞けそう」

どのみちライフコッドへ行くには、この西の道を通りグランバニアを経由する事になる
呪いが解けなかったとしても、一度ライフコッドへ行こうと思ってたから丁度良かった

552 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:41:23 ID:1RKN4gD70
西の道を歩き始めて幾日、うっそうとした森からようやく開放され、目の前に平地が現われる
更に数日進むと丸太を組み上げて作った小さな家がたくさん並ぶ、町らしき場所へたどりついた

「なぁ、あれ
 あれがもしかすると生き残った人達が住む集落じゃないか?」
「きっとそうね だけどこれは…」

その場所は全く"町"という風体をしていなかった
整備された路があるわけでもなく、店があるわけでもなく、家もバラバラな方向へ向かい
まるで散らかされてしまったように感じる
それも広野に、広範囲に

「まぁ、見た目はどうでもいいさ
 カルベローナの人達を見付けなきゃな」

集落へ入り人を探す
だが全く人気は感じられないし、家の扉は閉ざされたまま
少し気味が悪い

「うーん、誰もいないな
 仕方がない、一軒ずつ尋ねていくか…」

なんだか訪問販売みたいで嫌だったが、外に人がいないんだ
こうするしかない
コンコンと扉をノックし声を掛ける
ガチャリと開き、女性が応対してくれた

553 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:41:59 ID:1RKN4gD70
「はい、なんでしょう?」
「あっ 俺はタカハシといいます
 あの、カルベローナの人はこの集落にいますか?」
「カルベローナの人は、居るにはいるけど…
 ここはカルベローナの人達が作った場所でね、だからそこ出身の人がほとんど
 でも付き合いしたがらないから、誰も外へ出なくなってしまったんだよ
 私はアリアハン出身だけどね」
「家へ尋ねても話してくれないんですか?」
「あんた、商人かい?
 商人だったらカルベローナの人も話してくれるかもね
 あの人達は買い物が好きみたいだから」
「そうですか… ありがとうございました」

商人か…
幸い今はチゾットで食糧や薬草を補充したばかりで荷物は大きい
これなら、心苦しいけど欺けるかもしれないな
早速、隣の家の扉をノックする

「はい?」

中からは中年の男がドアを少しだけ開け、返事をする

「あ、すみません
 商人なんですが、何か買っていただけませんか?」

俺は商人になりすまし、大きい袋を見せアピールしてみた

「…あんた、商人じゃないな
 すまんが見知らぬ人とは話をする気分じゃない、他をあたってくれないか」

男はそういうと扉を閉じてしまった

554 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:43:28 ID:1RKN4gD70
うーん、たぶん今の人はカルベローナの人に違いない
一言で見破られてしまうとは、トルネコに商人の話しかたを学んでおけばよかった

「タカハシ、どうしよう?」

メイも心配そうだ

「もしかしたら、一人くらい話をしてくれる人がいるかもしれないから…」

俺はそう言い、再び並ぶ家を尋ねる
だが、今度は一言も話さず、断られてしまった
なんでこんなにかたくななんだ…

555 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:44:10 ID:1RKN4gD70
それから20軒は回っただろうか
その間にカルベローナの住民と思える人は10人いたが、全ての家で門前払い
次、駄目なら一度チゾットにでも戻って商人を連れてこようかと、考え直しながら21軒目の扉をノックする

「はい、どなたでしょうか?」

今までとは違い、扉を大きく開いて一人の若い女性が出迎えてくれる

「あ… えーと…」

商人作戦は通用しない
なんと言えばいいのか─

「…あなた、何か、普通とは違う雰囲気を持っていますね
 それに後ろの女性は大きな魔力を感じます
 ……私はバーバラ、どうぞお入り下さい」

どういう事なのかわからないが、なぜか家の中へ通される俺達二人
まだ名乗ってすらいないのに

丸太を組み合わせ作られた家
中へ入ると狭い部屋が二つ
片方は台所とテーブルが設置され、今通されているもう一つの部屋には二つのベッド
一つは空で、もう一つは歳老いた男が横になっていた

「長老、この方達は………」

バーバラが、長老と呼ばれた男へヒソヒソと短く耳打ちする

556 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:45:28 ID:1RKN4gD70
「うむ… そうか
 バーバラ、お前は下がっていなさい…」

長老がそう言うと、バーバラは俺達に軽く一礼し部屋を出ていく

「あんた方、ワシの横へ…」

長老が横になるベッドへ近付く二人

「む……… あんたはタカハシ、後ろの女性はメイ、か
 して、何か用かな?」

なんと
長老は心を読めるのか?
なぜ俺達の名前がわかるんだ…

「ワシは、カルベローナの長老 だった者じゃ
 ほんの少しだけ、人の心を見通せる」


557 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:46:16 ID:1RKN4gD70
●盗まれた魔法

「俺達は、勇者の呪いを解くため旅をしてきました」
「うむ、知っている
 先ほど、失礼ながら心を読ませてもらったからの」

心を読む、か
読まれる方は嫌な感じだ

「だからあんたたちの目的は知っておる
 ……残念な事なんじゃが、勇者様の呪いを解くことはできんのじゃ」
「そんな」

俺は、ガックリと肩を落とし絶句する

古代魔法もなかった
そして、カルベローナの長でも呪いは解けない
いったい、どうすれば……

「この世界のどこかに…」

長老が静かに語り始める

「マジャスティスという、魔法がある
 その魔法は、強い正義の心を持つ者であれば誰でも扱える魔法じゃ
 呪いや、マヤカシを打ち消す正義の魔法
 ただし」
「ただし、なんです?」

思いがけない情報に、身を乗り出して長老へ聞き返す

558 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:48:19 ID:1RKN4gD70
「ただし、どこにあるのかは全く分かっていない…
 ワシらカルベローナの民はその魔法を探しつづけ、そして今でも探しておる
 商人が持ってくる珍しい古文書や情報を集めながらじゃ…」
「そのマジャスティスという魔法は、ほんとに存在しているの?」

メイの問いかけに長老がはっきりした口調で答える

「存在はする
 これは確実じゃ、なにせカルベローナの一族が守っていた魔法なんじゃからな
 だがある日、盗賊によってマジャスティスの魔法書が盗まれてしまった」
「盗賊にですか…」
「うむ…
 あんた達が何者なのか、そこまではワシでもわからん
 じゃが何か、大きな力があんたたちを守ってくれているようじゃ」
「大きな力?」
「そうじゃ
 だからあんた達をバーバラもワシの元へ案内したんじゃろう
 もしかしたら… 魔法書を見付け勇者様の呪いを解いて下さると…
 本来マジャスティスは、盗まれたから取り戻そうとしていたのじゃが、勇者様がああなってしまった
 だから今はその呪いを解くために探しているんじゃ」

大きな力か
ルビスだな、滅多に姿を見せない癖にどこかで見ているのか

「あまり人付き合いしないのも、そのためですか?」
「いいや、それは一族の昔からの風習というか、そういうものなんじゃよ」

559 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:49:25 ID:1RKN4gD70
新しい情報"マジャスティス"
どこにあるかわからないが、確かに存在しているという
次の目標は否応なしに決定した
早く呪いを解くためにも、早く元の世界へ戻るためにも、ガッカリしている暇は無い
この世界にきて俺の心は、滅多な事ではめげなくなってしまったようだ

「じゃあ俺達に、そのマジャスティスを探してほしいと」
「いいや、そうは言っていない
 ワシらはワシらで今後も探していく
 あんた達が魔法を見つけ出し勇者様の呪いを解いても文句もいわん」
「…お話、ありがとうございました
 俺達もその魔法を探そうと思います」
「うむ 頑張りなさい
 二人はまだ若いのだから、きっと見付けることができよう」

"失礼しました"と家を出る

560 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:50:06 ID:1RKN4gD70
「結果は残念だったけど、こうして新しい情報も手に入れた
 …まだまだ旅は続きそう─」

メイに話しかけたところで、長老の家の扉がガチャリと開き、バーバラが出てきた

「そこの… メイさん、長老がお呼びなので来ていただけませんか?」
「私? 私は構わないけど…」

チラと俺を見るメイ

「うん? 構わないよ、俺はここで待ってるから」
「ありがとうございます、ではメイさん中へ…」

バーバラとメイ、二人が家へ入っていく

長老が呼んでるなんて、なんだろう
カルベローナの人は魔力が強いらしいから、その事で話でもあるのかな
メイは賢者だし…


561 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:50:39 ID:1RKN4gD70
ガチャと長老の家の扉が開きメイが出てきた

時間にすると一時間ほどだろうか
俺は座って何を考えるわけでもなく、ボーッとしていた

「お待たせ」
「お、長かったな」
「ええ 魔法についての話をたくさん聞いてきたわ
 さすがに魔力の強い一族の長だけあって、いろんな事を知っていて、とってもためになった
 タカハシも魔法を覚えたらいいのに、ホイミ教えてあげるわよ?」
「え?俺は… いいよ、メイが使えるのだから」

なんだか、変に、メイが明るく振る舞っているような気がする

「何か、よくない事でも言われたのか?」
「え! いいえ、本当に魔法の事をお話しただけよ
 きっと、いろんな知識を知ることが出来て、嬉しくってそう見えるのね」

俺の思い過ごしか…

562 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:51:31 ID:1RKN4gD70
「では、道中どうかお気を付けて…」

何時の間にか扉から出てきていたバーバラが丁寧に挨拶をし、家へ戻る

「あ、どうも… って遅かった」
「これから、どうしようか?」
「うーん… 考えていたんだけど、一度ライフコッドへ行きたいんだ
 その後、グランバニアで情報を集めてもいいかな?」
「もちろんよ 私も勇者様の姿を一目みておきたい」
「うん、じゃあトルネコさんに会いに行こう」

相変わらず静かな集落を後に、俺達はグランバニア方面へと歩きだした
もう一度、自分の目標を明確に自覚するために─


563 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:52:16 ID:1RKN4gD70
●予感

グランバニアへ向け出発し何日も過ぎた
この地方の地図はないが、真新しい休憩小屋がわかりやすく道沿いにあったため順調だった
魔物はやはり、出てこない
"もしかすると平和になったんじゃないか?"
そう思ってしまう程に、道は人々が行き交い、途中、新しい町の建設もされていた

「なんだか、平和に見えるね」
「ああ、ほんとにな
 魔物が出なくなったんだ、そう思ってしまうのも無理は無い」
「無理は無いって、何か思い当たることでもあるの?」

思い当たること
いや、特にはない
だけど本当に真の平和が訪れたとは、俺にはどうしても思えない

「アトラス、やつが現われたじゃないか」
「あ、そうね まだ魔物はいなくなっていないのね…」
「うん だから」
「…油断はしないで、進んでいきましょう」


564 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:52:59 ID:1RKN4gD70
昼と夜の繰り返し
魔物は姿を見せず、代わりにたくさんの商人を見掛ける
俺達は少し疲れ、平地へ腰を降ろし休んでいた
時間は夕刻
遠い地平線に真っ赤な陽が、その身を隠そうとゆっくり動いている

「なぁ、この世界は丸いのk─ ?!」

俺が素朴な質問を言い終わる前に、メイが俺の背に自分の背中をくっつけ座り直した
突然の事に、俺はとんでもなく動揺してしまう

「少し、こうして座っててもいい?
 背中をつける場所がないから、こうすればお互いもう少しゆっくりできるから」

俺は慣れないシチュエーションに内心かなり焦っていたが"いいよ"と、普段と変わらない調子で返事をした

「ありがとう
 …この頃、嫌な予感がしてたまらないの
 どう伝えればいいのか、まるで今の瞬間が、最後の瞬間なような気がして…」

あまり、自分が考え悩むことを俺に話すことがなかったメイ
そのメイがそう言っている

565 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:53:38 ID:1RKN4gD70
「そうか… 予感は外れることだってあるじゃないか
 あまり、考えすぎる事はない」
「うん…」
「もうすぐグランバニアだって、さっき話した商人も言ってた
 ライフコッド直行じゃなくて、一度グランバニアで休んでいこうか?」
「ううん、大丈夫 きっと… 私の思い過ごしよ
 だけどもう少し、このまま…」

最後の瞬間とはどういった意味だろう
どうしても負の方向へしか考えられないから、陽で染まる地を眺め、気持ちをからっぽにしようと俺は努めた


566 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:54:37 ID:1RKN4gD70
次の日は、朝から雨が降っていた
雨はとても冷たく、気持ちもどんよりと曇る
俺たち二人は雨のせいか全く人通りの無くなった道を進む
もう数時間も歩けばグランバニアだ

「タカハシ、私これ以上進みたくない」

メイはそう言うと、立ち止まってしまった
表情がよくない

「どうしたんだ? もうすぐグランバニアに着くじゃないか」
「ごめん だけど、進むと何か、よくない事が起こりそうで…」
「そうは言っても… 昨日言ってた"予感"か?」
「昨日よりも、とても大きな─」

二人の周りを薄暗い霧が、どこからか囲み始める

「なんだ?!! 突然、いったいどこから!」

俺は焦りオリハルコンの剣を手にし、メイの前へ

「なにが─!」

567 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:55:20 ID:1RKN4gD70
後ろから、バシと大きな音とすぐ後ろで人が地に倒される音も聞こえた
同時に、今までに感じたことがないほど大きく邪悪で寒気のする気配

身体の向きを急いで変えると、空間に突如現われたガラスのような扉から
マントに身を包んだ若く、スラリとした男
メイが俺のすぐ後ろに倒れ、ゴホゴホとむせていた

「誰だ! メイに何をした?!」

メイを俺の後ろに立たせ、グッとオリハルコンの剣を両手で構えながら男に怒鳴りつけた
ガラスの扉がスゥと消える

「ルビスの遣いを殺しにきた」

マントを翻し、静かに語りだす男
その身体は漆黒の鎧に身を包まれ、武器などは一切所持していない

「何を言って…!!」

恐ろしい
この男は、その存在を目で確かめただけで、とても強い力を持っているとわかる
オリハルコンへ俺が持つ全ての魔力を注ぎこむ

「貴様等人間は、多すぎる 大勢は必要なくなったのだ
 遣いを殺した後─ 私自らこの世を洗浄しよう…」

なんだこの男…!
まるで自分が支配者のような事を……
う、まさかこいつが─!!

「我が名はゾーマ この世界、そして宇宙を支配するのは神ではなくこの私…」


568 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:56:04 ID:1RKN4gD70
●愚かな若者

雨はざあざあと止むこと無く、薄暗い霧だけが晴れていく

俺の想像とは全く違う、人間と変わらないその姿
どこかもの悲しそうな、それでいて眼光鋭い目
筋の通った鼻にキリと結ばれた細い口
今、目の前に立つこの男がこの世界を苦しめる─ 魔王ゾーマ

両手で構えるオリハルコンの剣が、汗と雨水でズイと滑り落ちそうになる

「メイ、大丈夫か? 逃げるんだ…」

俺は小声でメイに告げる

「大丈夫、私だって戦う…」
「まて、無茶だ 約束したじゃないか!」

思わず大きな声で叫んでしまった
だけど、このゾーマにはどうしても勝てる気がしない
正直、俺もこの場を逃げ出したい

「俺が時間を稼ぐからそのうちに逃げろ!!」

メイの言うことを無視してゾーマヘ斬りかかる

『シュン』

切先は確かにゾーマの身体を切り裂いた─ はずだった
しかしアトラスの時よりももっと強力な力が働き、まったく傷を負っていないゾーマ

569 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:57:06 ID:1RKN4gD70
「…私に傷を付けられるとでも思ったのか? ルビス! この程度なのか?!」
「な、なんだ…と─ う?!」

俺の身体がフワリと宙に浮き、まるで金縛りにあってしまったように固まり、動けなくなる
ゾーマが手の平を俺に向け、強く俺を睨み付けたその瞬間
俺の身体は細かい、何か波動のようなもので無数の切り傷を受けてしまった
しかし身体は地に着くことがなく、幾度も同じ攻撃を受けてしまう

「イオナズン!!」

メイによって放たれた古代魔法イオナズン
しかしその爆発が起こる前に、空気中に完成したその爆発の源が、ゾーマによって握りつぶされてしまった

「娘よ、焦ることは、無い
 わが身に纏う"闇の衣"の前では全ての魔法は無力…
 だがお前は、力を持つ者として我が世界へ招いてやろう
 まずはこの男の絶望を吸いつくし殺してからだ
 その後、ゆっくり弱らせ我が力にしてやろうではないか!」

その言葉にメイがガックリと ひざから落ちる

「効果は薄いと思ってはいたけどまさか… 消されてしまうなんて……」

570 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:58:54 ID:1RKN4gD70
くっ……
闇の衣ってあの赤いマントの事か?
まさに絶望だ 希望を微塵も感じることが出来ない……
このままじゃメイまでも…
─あの、力
あの力が今…!

俺は必死に、心の奥底から自分が守りたいものを強く思い描く
身体の奥で何かが動き始め、意識が飛んでしまいそうになる

くそっ!
頼む、守るんだ……!

ざあざあ降っていた雨がピタリと止み、真っ黒な雨雲がほんの少しずつ散っていく

「む… ルビスの力だな」

金縛りを魔力で破り、ストッと俺は地に降りる
この、大きな力ならいける…!

「ほう…」

ゾーマがニヤリと笑い両手を前にし俺と対峙し、強い圧力を俺に向けて放つ
一瞬、目の前の景色がグニャリと曲がったように感じ、一歩下がってしまう

571 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 12:59:39 ID:1RKN4gD70
ゾーマ…
武器をもたず己の魔力を自在に操り相手を傷つけてくる恐ろしい敵
そしてなにより、あの不思議なバリアのような"闇の衣"
アトラスと同じならばこの白く輝くオリハルコンの剣で貫けるはずだ…!

俺は両手の真正面を避けるように動き、一回二回と斬り付けザッと離れる
この"真の力"の早さに、ゾーマはついてこられないのかオリハルコンの攻撃をまともに食らう

闇の衣は貫いている、手応えはあった…!
この調子で斬っていけばいける……!!

手応えの結果を確かめず俺はとにかく動きまわり何回も何回も斬り付けた
その度にゾーマは無言で刃を身に受け、微動だにしない
さすがに俺も警戒しはじめ、そのうちに斬りつけるのを止める

「はぁはぁ… かなりダメージをあたえられたはず…」

この"真の力"はかなり体力と魔力を消耗するようで、俺は息切れしてしまう
斬り付け続けたその姿を見ようと、俺は顔を持ち上げる

572 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:00:32 ID:1RKN4gD70
「フッ…」
「な…」

ゾーマは一切、傷を受けていなかった─

「なぜだ! 確かに手応えが…」
「若く愚かな男よ
 お前が斬ったと思い込んでいたのは… クックック………」
「なにがおかしい! どこを見て………?」

おかしい
おかしいのだ
俺はゾーマを斬っていた
なのになぜ─

ゾーマの視線を追いかけその先に俺が見たのは
血だらけになって倒れる、メイ

「ハッハッハッハッ!!」

ゾーマの太く、不愉快な笑い声が、グランバニアを目前にしたなだらかな平地を、支配していた


573 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:01:12 ID:1RKN4gD70
●滅び滅ぶ

「メイ!!」

俺はオリハルコンの剣を放り、両手でメイの身体を起こす

「タ、カハシ……」
「すまない…! 俺は、俺は……!」
「ベホマ… 間に合わないの……」
「どうして……?!」

メイの小さな両肩を、ギュッと引きよせる

「ふむ… 愚かな男女よ
 貴様等の絶望と悲しみ、怒りと憎しみは実に良い
 どうなったのか、特別に教えてやろう
 闇の衣の魔力を使い男に幻を見せただけだ
 どうだ、クックッ…
 あっさりと罠に嵌まり、私だと思い込んで女を斬り続けたではないか!」

幻…!

「その女、闇の衣のおかげで即死は免れたようだが、もう時間の無駄
 だが私は!
 邪魔をしないで見守ってやろう!
 男よ、もう残された時間は少ないぞ?
 早く私に、お前の絶望を味わわせてくれないか! クックックックッ!」

なんて… 冷酷な……!

574 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:01:59 ID:1RKN4gD70
「タカハシ…」

メイの生きる力が、グングンと小さくなっていくのが感じられる

「メイ、もう喋るな ベホマだ、ベホマをかけろ!」
「もう、だめなの…
 もう、魔法で回復できる損傷度合を越えてしまったの…
 だけど、タカハシのせいでは、ないのよ……」
「ベホマを! ベホ、マを……!」

だめだこのままじゃ…
メイは死んでしまう……!
俺が、俺が、俺が…………!!

「タカ、ハシ… 手を、見せて…」

俺は、心がどうにかなってしまいそうなのをグッと堪えメイの眼前へ、震える手の平を差し出す
その俺の手の平を、メイはそっと弱々しく自分の手にあわせ、言う

「この手が、好き… いつも私を引っ張り守ってくれた手…
 もうこの手を見ることは、なくなってしまうのね……」
「まってくれ まだ、頼むから回復魔法を使ってくれ!
 きっと治る…!」
「これを…」

メイが差し出したのは静寂の玉

575 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:02:43 ID:1RKN4gD70
「これ、身に着けていて
 私だと思って、連れていってね…」
「バカな事を… 言うな! まだ一緒に、旅をするんだよ!」

メイがフフと笑い、言葉を続けていく

「タカハシがどこから来てなにをしようとしているのか…
 私は夢の中でルビス様から聞いたの
 チゾットで眠っているときにね…
 ずっと、一人で、誰にも言えずにいたんだね……
 そして、ルビス様は私に、タカハシの助けになってほしいって、言っていた…
 私はそう言われたとき、こうなる事も覚悟していたから、だいじょうぶ……」
「そ、そうだルビス! いるなら返事をしろ! メイを、助けるんだ!!」

声は届かず
何も返らない

「聞いて、タカハシ…
 カルベローナの長老は、あなたのその秘められた力を見抜いていたわ…
 私が、ルビス様と約束をしている事も知っていた…
 そして、私の覚悟を感じとった長老はある魔法を、私に授けてくださった…」

576 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:03:29 ID:1RKN4gD70
よく、わからない
なんでこうなってしまった
ルビスはなんでメイに告げた なんでだ
俺はなぜ、メイを斬ったんだ
そうしてなぜ、メイが死ななきゃならないんだ─

「う……! タカハシ、私はそろそろ、この身体を抜けなければならないの…」
「抜けるって、どういう」
「わからない… だけど安心して、私があなたを守るから…
 一緒に旅が出来て楽しかった、本当に会えてよかった…
 もっと一緒に旅したかったけど、ここまでなの ごめんね…」
「そ、んな そん、な事…」
「一つだけ約束… あなたが元の世界へ戻ることが出来て…
 私が生まれ変わって、もし目が覚めたらあなたの世界の人間だったら…
 また一緒に……」

メイが目を瞑り、少しだけ集中する

「さようなら、タカハシ あなたは何一つ悪い事なんてないの
 私、とっても楽しかった…
 そしてこれが、長老から授かった究極の魔法…」
「ま、待ってくれ、俺は─」

メイが、俺の手をギュッと握る
腕組みをしたまま俺達を傍観するゾーマを見つめ、小さくつぶやいた

577 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:04:16 ID:1RKN4gD70
「マダンテ」

刹那、俺はメイの身体と共に吹っ飛ばされ
ゾーマを真っ白な空間に閉じ込め
その空間の中はまるで
小さな宇宙が誕生するかのごとく
混沌と
暴々と
恐々と
眩しく輝きあたり一面、影が焼き付いてしまうほどにグウグウゴウゴウ瞬き
やがて小さく収縮し、消えてしまった

「クッ…… ! メイ─」

俺のそばでぐったりとするメイは
赤色が無くなり魔力も感じられずただ 横たわるだけの動かない存在

「メイ? 死んだ、のか?」

棒のように真っ直な言葉が、口をついて出た
そうして、メイの頬へ手を触れようとしたら、ボッと青白い炎に包まれ粉のように消えるその脱殻
何が起きたのか 頭は"わかる"と言うけれど、心が"わからない"と叫んだ

578 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:05:46 ID:1RKN4gD70
「フフッフッフッフ………」

ぼんやりと、そのおかしな笑い声の方向へ体ごと向けると、マダンテに包まれ収縮し消えたはずのゾーマ
ゾーマは、ボロになったマントを引き摺り、近付いてくる

俺にはもう抵抗する気力なんて ない
メイが 死んでしまったんだ

「おもしろい事をしてくれたではないか…!
 マダンテを使えるとはな…
 おかげで闇の衣は消滅し、私自身も傷を負った 時間をかけ癒さねばならない
 知っていたか? その魔法は術者自身の命を燃やし、相手を滅ぼす魔法なのだ
 その女が消え去ったのはマダンテの効果、そして殺したのは」

不敵なゾーマは、力強い声で─

「お前だ!!」

俺が? そうか…

「惜しい魂を失ってしまったが…
 結局は我が力となるであろう、我が世界でゆっくりとな」

ゾーマの言葉を、ただただ、聞くことしか、しない

「男 おまえの力、十分に使える
 ルビスの力を持つお前は殺そうと思っていたが…」

ゾーマは右腕を俺へと伸ばし

「お前は弱いルビスの遣い 今からルビスではなくこの私の為に、その魂を、捧げ続けよ……」

579 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:07:02 ID:1RKN4gD70
離れた所には、輝きを失ったオリハルコンの剣
手を伸ばせば届くのだが、頭に置かれようとするゾーマの鋭い爪を伴った手を俺は、少し見上げ自ら受け入れた





メイは死んでしまった
ルビスのせいか?
いや… ゾーマの言う通り俺だ
俺の手で、その命を殺した

彼女が好きだと言った、この手で………





意識は次第に薄れていき、グイと、"我が世界"へ引き込まれて─
そのまま、永遠に眠ってしまいたいと、願った──





タカハシとメイ、そしてゾーマの姿は グランバニアの南から完全に消え
残されていたのは泥だらけの 立派な剣だけであった


それから57日後
世界は 魔王ゾーマにより全ての町を滅ぼされ
少数の人間が隠れ住む 荒れた廃地となる

580 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 13:10:44 ID:1RKN4gD70
第三部完です

第三部のまとめテキストは以下のURL
直リンでは見られないかもしれないのでコピペでお願いします
DLキーは「takahasi」です
ttp://mata-ri.tk/up1/src/1M1813.txt.html

続きはまた、長い後日に
第三部は本当に、しんどかった…

581 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/02(火) 13:58:33 ID:pIFzgkVF0
凄いモノを読んでしまった・・・
お疲れ様でした

582 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/02(火) 15:11:47 ID:BDCRJnOkO
乙!!
ビビった〜、てっきり終わりかと・・・。

583 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/02(火) 17:01:12 ID:2i4kA/bkO
細かい修正する前のテキストを張ってしまいました…
違いは言い回しくらいなので、前回に引き続き脳内補完お願いします

あと、書き忘れたけど話は第四部へ続きます

584 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/02(火) 17:44:32 ID:SYMPzL0SO
ダークヒーロ―誕生予感。

てかすげぇ…

585 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/02(火) 18:04:18 ID:/mupVn6b0
レッドマンの明るい内容から
タカハシの辛い内容を読んだらかなりへこむな。

メイタソ

         .。::+。゚:゜゚。・::。.        .。::・。゚:゜゚。*::。.
      .。:*:゚:。:+゚*:゚。:+。・::。゚+:。   。:*゚。::・。*:。゚:+゚*:。:゚:+:。.
ウェ━.:・゚:。:*゚:+゚・。*:゚━━━━゚(ノД`)゚━━━━゚:*。・゚+:゚*:。:゚・:.━ン!!
  。+゜:*゜:・゜。:+゜                   ゜+:。゜・:゜+:゜*。     
.:*::+。゜・:+::*                        *::+:・゜。+::*:.
・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*
゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・
゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜
*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・*+:。。.。。:+*・ ゚ ゜゚ ・






586 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/02(火) 22:49:01 ID:jUiphBIdO
正直に言うと


自分が一番好きな映画を見終わった気分。
さらに続編の制作が決定された時の喜びを感じた。

もっといい言葉があるだろうけどうまく言い表せない、とにかく最高だ!!

587 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/03(水) 21:16:45 ID:uDTlMb4U0
機体

588 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/04(木) 01:17:19 ID:g1mll+0+0
タカハシSUGeeeeeeeeeee!!!!!!!GJ!!!!!!!!!!!!!
脳汁垂らしながら読んだ。
すごくショックだ。
泣けた。


589 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/04(木) 17:18:45 ID:XLJXE3SR0
保守

590 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:47:44 ID:d01ssZ4/0
>>579
からの続き

●失われた時間

「タカハシ! 起きて!」

ん… 誰だ俺を起こそうとするのは…
頭が、とても痛い……

「今日から一緒に旅するって言ったでしょう! 私よ、メイよ!」

メ…イ?
メイ?!

ズアッと、声のする方へ勢いを付け立ちあがり
その顔をじっと見つめる

「どうしたの? 目は覚めた?」

目の前にいるのは紛れもなく─ メイ

「メイ……!」
「寝坊よ! 待っていたのに寝てるなんて!」

この場所は、見覚えがある
そう確か…… フィッシュベルの宿屋だ

「ここはフィッシュベルの宿屋… か」
「そうよ 扉を叩いてもあなたは出てこないし、部屋の中まで迎えにきたんだから」
「メイ… 生きて………」

591 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:48:17 ID:d01ssZ4/0
時間が戻ったのか
俺がずっと悪い夢をみていたのか
目の前で生き少し怒った顔のメイに俺は、涙が出そうになる
存在を、確かめようと頬へ手─

「迎えにきたのよ、あなたを相応しい場所へ連れていくために…」
「え、連れていくって…」

な、なんだ これはメイじゃ、ない……?

「私は生きていない、なぜ?
 だって、フフフフフ… あなたが殺したじゃない フフッ
 あなたが剣で、私を斬り殺した…!!」
「な………?!」

メイの姿が突如、霧状の魔物へと変化する
景色も一変し、宿屋の一室から赤く黒くウネウネと動く空と、草一本生えていない土の大地になる
一瞬、言葉が頭の中から消滅し、目の前の出来事が色を無くしてしまったかのよう─

592 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:49:05 ID:d01ssZ4/0
「クカカカカカカ!
 お前! マヌケな人間!
 心の中から大事に思ってるものを、お前の心に合わせて見せてやったんだ! ありがたいと思え!」

フィッシュベルでの、始まりの朝…
俺のこの どろどろとした、心……

「お前、殺したんだってな!
 嬉々と! 自分が大切に思う女を! ケケッ 邪悪なヤツ!」
「あ、あ、ああ・…」

嬉々、と…?
俺、おれ… が、ころした……

「ここは! ゾーマ様が創り出した我々魔族の為の世界!
 お前はここで生きる屍のように生き長らえ、魂の力をゾーマ様へ捧げ続けるんだ!!」
「うう…… やめろ、俺は殺してなんか、ない… 罠に嵌まっただけ─」
「事実を認めないなど、情けないヤツ! 本当にルビスの遣いか?!
 お前は失ったんだ! その人間の女との時間を! お前には何ものこっちゃいないんだ!
 さあ! 今から腑抜けた人間共の暮らす町へ送ってやる!!」

霧の魔物が"バシルーラ"と叫び、身体にガツッとした衝撃が走る
身体は不気味な空を飛び、風はギュウと身体を押し潰そうとし、そのうち気を、失った─


593 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:49:47 ID:d01ssZ4/0
●絶望

『さようなら』
『私は死ぬの?』
『痛い…! やめて…!』
『ヤメテ!!』

「メイ──!!!  くっ かっ はぁはぁはぁ………」

「おい、起きるならもっと穏やかに起きてくれないか」

だれ?

「お前、ずいぶん眠ってたぜ」
「メイ……?」
「メイ? なに言ってんだ、俺はフーラルって言うんだ」
「」
「なんだ? おいおい、こういう時は名乗るのが礼儀だぞ?」

594 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:50:27 ID:d01ssZ4/0
う、わからない…

「わから、ないんだ」
「何が? 記憶喪失とか言うんじゃないだろうな?」
「なんであの時、殺したのか… わからないんだ」
「なに? あー… そうか
 お前もあの霧の魔物に嫌なモノ見せられたんだな
 気にするんじゃない、あいつの見せるモノはほとんど嘘だ」

うそ?

「嘘、なんかじゃないんだ…
 今も覚えてる あの感触を あの姿を 青い炎を…
 うそなんかじゃないんだ……うそじゃ………」
「こいつは─ 重症だな…
 よっぽどの思いをさせられたんだろう、かわいそうに」


595 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:51:04 ID:d01ssZ4/0
「フーラルさん、おじゃましますよ」
「お、トルネコ! 丁度いいや!」
「彼が、この間ここへ飛ばされてきた?」
「そうなんだが、どうも様子がおかしいんだよ
 俺じゃどうしようもないから見てもらえないか?」
「ええ、ええ 見て差し上げましょう、どれ…」
「しかし、あんたも元勇者なのになぁ…」
「ホッホッ またその話ですか
 何度も言いますが、覚えてないのです
 私なんかが勇者なわけないでしょう、この町の管理者ですよ」
「確かにこの"絶望の町"の管理者だけどさ…
 あんた、操られてるんだろ? とても魔物の仲間には思えないね」
「そう言われましても… 気付いたら管理者だったんですから…
 それに魔物の仲間だなんて、思ってやしませんよ
 私はただ、この町を管理するだけです」
「またまたぁ! 勇者なんだからさ、なんかすごい力でババーンと─」
「ホッホッ そんな力ありません
 さぁ、この若者を看ますからしばらく静かにしていて下さい」


596 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:51:39 ID:d01ssZ4/0
「ふむ… 身体はどこも悪くないようですが、どうも気持ちが定まっていない
 まだ様子をみながら安静にしたほうがいいでしょう」
「そうか、あんたが言うんならそうしよう
 で? この男は俺と一緒の部屋でいいのか?」
「そうしてもらえませんか?
 他の人達ではこの若者の面倒をみる事は、できないでしょうから」
「ああ、そうだな…
 ふぅ…… まったく魔王ときたら、手当たり次第に人間様をこんな辺鄙な所へ送りやがって…」
「手当たり次第ではありませんよ
 魔王は秀でた才能を持つ者だけを、選んで送り込んでいるのです」
「なんで? また?」
「さぁ… そこまでは私ではわかりかねます
 フーラルさんのほうが、そういう話を知っているんじゃないですか?」
「ん? んん… しかしなぁ、俺なんか別にスゴイ才能持ってるわけじゃないんだけどなぁ…
 ここで世界の破滅を見ているのも、辛いもんだよ死なないとはいえ……
 だってよぉ? 街全て滅んでしまったっていうじゃないか!
 残ったのは少数の人間だって話だ… 他は死んじまったんだぜ?
 あーあ 俺の故郷も親兄弟も… 死んじまったんだなぁ いっそ俺を、殺してくれないかなぁ」
「あなた方はこの世界でこうして嘆き悲しんで、魔王にその感情を吸い取られているだけですからね」
「おいおい… なんでそんな普通に言うんだよ!
 全く、本当に勇者だったのか? まぁ、呪われてそうなっちまったんだろうが、聞いたときは心底驚いたぜ」
「私は管理するだけの人間ですから… では、他に用事が有るので私はいきます」
「ああ、わかった ありがとな!
 なんかあったらまた連絡するから!」
「ええ、ええ そうしてください、では…」


597 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:52:27 ID:d01ssZ4/0
「はぁ… こっから出て、また前みたいに金持ちから金せびって暮らしたいなぁ……」
「とるねこ……?」
「お! なんだ、聞いてたのか
 そう、さっきのは元勇者トルネコだ 知ってるだろう? ライフコッドで呪われたっての」
「とるねこ、さん……」
「そうそう、トルネコさんだ
 あの人もかわいそうだよなぁ 呪われて記憶無くなったと思ってたらこんな世界へ連れてこられてたんだ」
「て…」
「て? 手か?」
「てりー……」
「テリー? 知らないなぁ 知り合いか?
 才能あるんならこの世界にいると思うけど、聞いたこと無いから才能なかったんだろうな!」
「」
「まただんまりか 早く治ってくれよ?
 他のヤツラみたいに、世界が破滅しただの生きる意味が無いだのって無気力になっちゃだめだぜ?
 この町でまともに動けるのは俺とカンダタと、トルネコだけなんだからな
 若いお前にはまともになっててもらわなくっちゃ
 じゃなきゃぁ… ますます救われねぇぜ……」


598 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:53:24 ID:d01ssZ4/0
●希望

「よぉ! どうだ、今日は喋れそうか?」
「」
「だめか まぁよし、今日はお前に客が来ている」
「タカハシ!」
「」
「おめぇ… 生きてたんだな! おい! なんとか言え!」
「」
「カンダタ こいつ、タカハシっていうのか?」
「おう、そうだ 俺はタカハシの剣を鍛えてやった」
「へぇ… もしかしてお前って、鍛冶屋? 賢者の石を扱えるっていう」
「お?! なんだおめぇ、知っているのか?」
「いやなに 実は俺は情報屋でな、情報で飯を喰ってたんだ
 だからいろいろ知ってるぜ もちろん、この世界の情報も持ってる」
「この世界の情報って、どうやってだ?」
「それは職業柄教えられないんだが、人間も魔物もおだてに弱いって事だ!」
「む、俺にはできねぇ商売だな! なぁタカハシ! ハッハッハッ」


599 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:54:10 ID:d01ssZ4/0
「で、その情報にこの世界を逃げ出せそうなシロモノはあるのか?」
「いや、ない まだそこまでは聞き出せていないんだが、きっと聞き出すぜ」
「また拷問受けないようにしろよ!」
「大丈夫だ こっちの世界で俺達が死ぬことはないからな!」
「それにしてもだ 他のやつらはどうしてあんなに腑抜けなのか」
「仕方ないさ こんな世界で、しかも元いた世界はもう滅んだも当然なんだぜ?
 逆に元気な俺達がおかしいんだよ」
「そうかもしれねぇ… だけど俺は! 負けたくねぇんだ 俺の弟子とカミさんを、あいつら殺したんだ!」
「…ああ、まったくだ 魔王だかなんだかに、負かされたままじゃいられないぜ…」


600 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:54:51 ID:d01ssZ4/0
「それはそうと… フーラル、タカハシと一緒に女はいなかったか?」
「いや、いなかった」
「そう、か…… メイは……」
「その名前、こいつが来たときにもつぶやいてたぜ? なにもんだ?」
「うん メイはな、タカハシと同じくらいの歳の娘でな
 俺は、その娘に命を助けられた事が有って、それからよく遊びにくるようになったんだ
 ある日、タカハシと一緒に旅に出て、それから見なかったが─」
「う、メ、メイ……」
「タカハシ! なんだ? 話せるようになったか?!」
「メイ、は…… 俺が、殺した……… この、手、で…………」
「……な んだって…?」
「そういえば…… タカハシは"なぜ殺したかわからない"とも、呟いていたっけ…」
「ころした、だと? おい、タカハシてめぇ…どういう事だ!」
「まて! カンダタまて! 待てって! 手を離せ離すんだ!!」
「くっ……!」
「落ち着け、落ち着けよカンダタ…!」


601 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:55:25 ID:d01ssZ4/0
「聞け、カンダタ
 俺達もこの世界に飛ばされたとき、霧の魔物にへんな幻をみせられただろう?
 もしかしたらそれを、タカハシは言ってるかもしれないんだ」
「だが! メイは実際この場所にいない!」
「お前、確か信用できる人間相手にしか商売しないんだろ?
 それともなんだ? 金ほしさにタカハシの剣を鍛えたってのか?」
「それは─ ちがう、断じてちがう
 信用したんだ、こいつを… 信用したのに、メイを殺したっていうじゃねぇか」
「まぁまてよ まだ はっきりとした真相を本人から聞いてないんだ
 それを聞くまでは、俺に免じて待ってくれないか」
「……わかった 俺だって信じたい、魔物どもの思惑通りにもなりたくねぇ
 感情的になってすまなかったな
 それにしても、やけにタカハシの肩を持つじゃねぇか?」
「そういうわけじゃないんだが、なんとなく─
 こいつが"希望"に思えるんだ、俺には…」
「希望… よくわからねぇ」
「まったく、お前にタカハシを任せなくて正解だったぜ
 とにかくそういう事だから、まだ手出ししないでくれよな」


602 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 18:02:46 ID:d01ssZ4/0
第四部、導入はここまで
しばらくペースが落ちるので、推敲が終わった話だけを投下

過去の話のまとめテキストを再アップしておきます
まとめテキストのほうは誤字脱字の修正や意味が変わらない程度にセリフや行動が書き換えられています
第三部後半は特に顕著です
DLキーは全て「takahasi」
URL直リンでは見られないかもしれないのでコピペでお願いします

第一部
ttp://mata-ri.tk/up1/src/1M1827.txt.html

第二部
ttp://mata-ri.tk/up1/src/1M1828.txt.html

第三部
ttp://mata-ri.tk/up1/src/1M1829.txt.html

603 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/04(木) 23:46:35 ID:lxkaZAdW0
ただいま376KB
長文投下時は一度メモ帳にコピペ→プロパティを見て
KB数を確認してから投下するといい予感

604 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/04(木) 23:51:52 ID:A1p1jOiK0
□□□□□□□□□□□      __ ,.-―‐-、..
□□■□□■□□■□□     /:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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□□■□□■□□■□□   ヽ|  ´ ̄  i !   ̄`   レ'|
□□■□□■□□■□□    |    _、_,ヽ 、    !ノ
□□■□□■□■■□□     !  ノ      )   !
□□□□□■□□□□□     ヽ ヽ ‐=ニニ=ー'/   /
□□□□□□□□□□□      ヽ、 ヽ      /
□□□□□□■□□□□        ヽ 、___,./´          
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□■□■□□□□■□□■□□□■□■□■■■□■■■■■□
□■□■□■□□■□□■■■■■□■□□□■□■□□□□□
□■□■□□■□■□□■□□□■□■□□□■□■□□□□□
□■■■□□□□■□□■□□□■□■□□□■□■□□□□□
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605 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/05(金) 01:16:05 ID:UdyND82bO
勝手にこのスレの主人公達の職業を考えてみる。
      総長…賢者
      タケ…戦士
    タカハシ…魔法剣士
      真理奈…武鬪家
      クロベ…盗賊?
ジャガン(魔神氏)…(闇)勇者
 4の人の主人公…僧侶?


606 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/05(金) 09:01:54 ID:jyalXVQG0
>>605
総長の職業は総長だろ

607 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/05(金) 22:23:53 ID:loud/pA70
保守

608 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/07(日) 06:00:06 ID:Ui74wGftO
保守

609 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/07(日) 06:48:05 ID:LFnwZwZe0
>>606
おまえ天才だ

610 :竜宮状 ◆SX5Jg8LAVM :2006/05/07(日) 16:47:32 ID:zdYEhqwC0
保守

611 : ◆nvrQgBBjrw :2006/05/08(月) 03:14:31 ID:HuTgfSw6O
てす

612 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/08(月) 09:20:52 ID:4IkbbiRg0
トリップテストすんな

613 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/08(月) 15:42:10 ID:KOEXxmfZ0
HDD昇天
第四部から書いてあった話は全て消え─
タカハシの旅は、より鈍足になるだろう


カキッって、鳴った時点でバックアップとるべきでした orz

614 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/08(月) 18:24:56 ID:PlrClmz10
>>613
どどんまい!しかしペースが速すぎるんじゃないのか?
無理するなYO!

615 :たかはし ◆2yD2HI9qc. :2006/05/08(月) 19:29:37 ID:Y1Qw1UkYO
>>614
ありがとう
PCは中身入れ直してなんだか快適になったけど…
この際なのでじっくりやっていこうと思います

616 :一読者:2006/05/09(火) 01:19:23 ID:NZfvLKCOO
>>615
そうそうドーンと構えてじっくり練り上げて下さい。

他の作者さんも焦らずにじっくりゆっくり練り上げて行って下さい。

617 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/09(火) 17:42:50 ID:lPmPr6uh0
|> ほしゅはまかせろ

618 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/09(火) 23:09:44 ID:oZUtJMpt0
心配なので早めに保守

619 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/10(水) 06:40:57 ID:DfctEsNsO
保守

620 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/10(水) 17:35:02 ID:6App2/1Y0
ローディ ◆qdB5QYIaRc
オリジ ◆8Ntuwr18d2
DQな現代 ◆gqal0QWwZw
魚間◆TRIPなし→4PnqyfvO3
オルテガ ◆8JKqodVw2k→zYgagV2g.w
ヘタレ ◆ozOtJW9BFA
キョウ ◆Hju2GLbs6k
591 ◆MAMKVhJKyg
シャルル ◆zu/zVku.Kc

彼らの作品がまだこのスレで一回も投下されていないな。気長に待ちますか。


621 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/10(水) 21:47:12 ID:+qHt9vbx0
投下してる人がものすごく少なく感じる。
ここは気長に(ry

622 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/10(水) 22:28:51 ID:XwfynC2jO
その中の一人だけど、次スレに移って新規の人のためにまとめにUPされたら投下しようと思ってたんだけど
あれよあれよという間にここまで来てしまった。

623 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 14:12:26 ID:4FGH9lLL0
2スレ目はこれで読めるぞ。
ttp://makimo.to/cgi-bin/dat2html/dat2html.cgi?game10/2/ff/1116324637/

624 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 14:32:49 ID:VMM+rwO9O
>>623
>77のリンクから飛べば全スレ読めるがな(´・ω・`)

625 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:10:14 ID:vo/Rzc500
あぁ〜GW最悪だったぜ〜・・・

さてさて
>>473さん、ありがとうございます〜

これからも試行錯誤していくつもりなので、気になるところがあったら言って下さい

では>>456からの続きです


626 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:12:28 ID:vo/Rzc500
砂漠で水がどんなに大事なものか想像してみよう。
とても、とても暑い日だ。
日陰でじっとしていても汗が滴り落ちてくる。
気持ちの悪い熱気が容赦なく体を包む。
「あつい・・・・・」
その言葉しか言えないような状態だ。
そんな時、目の前に水を差し出されたらあなたはどうするだろうか。
ほとんど、いや間違いなく飲む事を選ぶだろう。
水を口につけ、渇いた喉が潤いで満たされる。
ごくごくと一気に飲み干し、ぷはっ!と息をつくあの瞬間の何と気持ちのいいことか。
水が無ければ我々は生きていけない。
砂漠という枯れ果てた土地では水は命に等しい。
もしくはそれ以上のものなのかもしれない。

ではそんな水によって育った花はどうだろうか。
「バカヤロウ!俺は今喉が渇いてるんだよ!花で喉が潤うか!!」
確かにそうだ。
しかし、本当にそうだろうか。
水が喉を潤すのは、その瞬間だけだ。
対して自然の恩恵によって咲いた花は人の心を潤す。
色鮮やかな花びらが風に揺られるその姿に安堵と覚える。
また、一生その場所で健気に咲き続ける花の強さに感動を覚えることもある。

一瞬の欲望に身を任せるよりも
美しいものを愛でる方がよっぽど人間らしいのではないか

でも結局人は喉が渇けば水を飲むのだ。
だとすれば、心が荒れた時に花を見ればいいじゃないか。
全てはその時の状況次第である。
だから、何が言いたかったかと言うと、
イシスの水で育ち、花で飾られたプエラ姫は今、1番美しい、という事だ。


627 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:15:08 ID:vo/Rzc500
 「天にましますルビスの御霊よ。
  そして我らが父ファラオの名によって、今日の日が人々の記憶に残らんとするように。
  偉大なる歴史の1ページを飾るこの式に参加できた事を我々は感謝するでしょう」

イシスの王宮、女王の間は飾り付けられ、結婚式場に仕立てられている。
玉座の前に神父が立ち、机を挟んで新郎新婦が横並びになっている。
プエラは花冠にシルクのドレス。胸の一輪の花が良いアクセントとなっている。
恥ずかしげな表情の中にも嬉しさを隠せない、といった笑顔が可憐である。
フィリーもタキシードで決めればちゃんと王子らしく見える。
黙っていれば嫌われるような事のない顔立ちなのだ。
トップの地位にある者として、それが損に働く事はまぁないだろう

 「今から交換する指輪は、おふたりの愛のシンボルです。
  その輪には、初めもなければ終わりもない、永遠のものです。
  あなた達が永遠でありますように願いを込め、互いの心に祈りなさい」

2人の前の机には黄金の爪と、指輪が2つ乗せられている。
フィリーとプエラは相手にはめる指輪を手に取り、向かい合う。
互いの目が合い、どちらからともなく微笑みあう。
その表情から確かな愛をその場にいる全ての人が感じただろう。
そしてフィリーがプエラの指に、プエラがフィリーの指に指輪をはめた。
その動作をイシス女王・ロマリア王を始め、両国のお偉い様方が見つめる。
もちろん真理奈達も同席している。
 「それでは新郎新婦、誓いの口付けをもってイシスとロマリアの民に、
  そしてあなた達2人の心に夫婦となることを示しなさい」
                  「「はい」」
2人は寸分の違いもなく返事をし、再び向き合い近づく。そして、キス。
その瞬間、王子はプエラの夫に、姫はフィリーの妻になった。

 「汝らの行く道に幸福あれ」
神父の声と皆の拍手喝采が2人を祝福した。


628 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:23:52 ID:vo/Rzc500
 「いやはや、こんなに嬉しい事は久しぶりですよ。
   姫は息子に合って美しいし。いや、本当にめでたい」
 「こちらこそ、無事に今日という日を迎えられて光栄に思いますわ」

誓いの儀式が終わった後、テーブルが出され皆に料理が振舞われた。
真理奈達はおいしく頂いたが、イシスの料理が合わなかったロマリアンもいたみたいだ。

 「イシスの女王よ。改めて礼を言わせて頂きたい」
 「もう止しましょう。この気持ちは1日喋り続けても尽きることはないのですから」
 「おぉ、そうですな!ワハハ」

喋り続ける陽気なロマリア王を咎める者は誰もいない。
お酒の入る祝いの席なのだ。
それも息子の結婚式ともなれば多少羽目を外しても仕方の無いこと・・・

 「フィリーよ、これからは2人でロマリアのために力を尽くしてくれ。
  それとご安心なされ女王よ。
   姫のロマリアでの豊かな暮らしを約束しますからな。ワハハ」
 「・・・それはどういう意味でしょうか」
 「どうもこうもないでしょう。こんな素晴らしいお嬢さんを頂けて私は幸せですよ」
 「・・・何か勘違いされていませんか?これはそちらから持って来られた話です。
   王子はイシスでプエラと一緒に住んでいただきます」
 「何をおっしゃっているのですか。女が男の方に嫁ぐというのが当然でしょう」
 「イシスにはそんな慣習はありません。だいたいプエラは次の女王となるべき―――」
 「こちらだってそうだ!!可愛い息子を取られてたまるものか!!」

一気に場の雰囲気が変わる。ストゥルーストの叫びを機に双方の言い合いと発展した。

629 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:28:06 ID:vo/Rzc500
 「こんな砂漠の地に王子を置いていくなんて考えられない!」
  「こちらだって可愛い姫様をお一人で他所へ嫁がせるなんてできませんわ!」
 「何だと!こんな不毛の大地に住んでるからそんな事が言えるんだ!
  砂漠の砂と同じようにお前らの心も渇いてるんだろうよ」
 「まぁ!そんな事を平気で口にできる方がどうかしてるんじゃありません?!」
  「だいたいこのスープはなんだ!もっと味を薄くしろよ!!」
わいわいがやがや・・・せっかくの披露宴が台無しである。
真理奈達は唖然とし、プエラは助けを求める目でフィリーを見た。
が、フィリーは黙ったまま、静かに様子を伺っていた。

 「そもそも姫にそちらの王子は不釣合いですわ!頼りなさそうだし・・・」
  「何を言うか!王子にはもっと利発そうな女子がだなー」
 「それは王子の頭が足りないって事を認めるのね?」
  「ちょっと待てコラー!フィリーだってやる時はやるんだぞー!!
    プエラだっていい娘なんだからっ!!」
最後のは我慢しきれなくなった真理奈の怒声。
加わってどうするよ・・・まぁ気持ちは分かるけどね。

 「フィリー、我が息子よ!お前も私の意見に賛成だろ?」
 「プエラ、あなたは私の後を継いでくれますよね?」
まったく同時に今回の主役に話が振られた。
怒号は止み、2人の発する言葉に期待がかかる。
心配そうにフィリーを見つめるプエラ。
フィリーはそれに笑顔で返し、すっと立ち上がった。
そして静かな声で話し出す。
 「父上」  「う、うむ?」
 「申し訳ないのですが、プエラと一緒にロマリアに帰るつもりはありません」
  「な・・・」
 「そして新しい母上様」  「はい」
 「申し訳ないのですが、プエラと一緒にイシスに住むつもりはありません」
  「・・・・」

630 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:31:41 ID:vo/Rzc500
 「ピラミッドから帰って来た後、これからの事を私達は話し合ったのです。
  この結婚が成立し、ロマリアはアリアハンとの連合に参加する事になりました。
   連合に参加するという事は、この世界の平和の為に尽くす、という事です。
    では私達は何をするべきなのか」

誰もが王子の声に聞き入っていた。

 「私達はまず、アッサラームをモンスターの手から取り戻したいと思います」

驚き。しかしそれを表情に出しはしても、声にする者はいなかった。

 「ピラミッドから無事に黄金の爪を持ち帰った事を経て、
  行動しなければ道は開けないという事を私は学びました。
  行動したからこそ私は今ここに立っていられるのです。
  もちろん真理奈達の助けが無ければミイラの餌になっていたでしょう。
  アッサラーム奪還も1人では到底不可能です。
  ですから、皆さんの力を貸して頂きたいのです。
   言い争っている場合ではありません。
   ロマリア・イシス、皆の力を合わせて世界の平和を守りましょう!
    これ以上哀しみを増やさないために!
    未来を切り開くために!」
パチパチパチ・・・ワアァ〜!!
笑顔が溢れる中、それまで表情を崩すことのなかった女王も、優しく微笑んでいた。

そこで真理奈が立ち上がり、フィリーに何かを手渡す。青く輝くオーブだ。
 「はい。これが連合参加の証」
  「ありがとう真理奈」
 「青はオアシスの色よ。頑張ろうね!」
真理奈はフィリーと、少し涙目のプエラと握手を交わした。

こうして真里奈の連合使者としての初めての仕事が終わりを告げた。

631 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:35:20 ID:vo/Rzc500
  「はぁ・・・」
ため息。それは1回つく毎に他人を3回不幸に落としいれるものだと言われる。
しかし今の真里奈には他人の事など関係なかった。
  「はぁ・・・」
携帯の画面の明かりで真理奈の沈んだ表情が微かにうかがえる。
  「はぁ・・・」
これで誰かがもう9回も不幸になってしまった。
このままでは世界を救うどころか、逆に滅ぼしかねない。
披露宴が終わり、浮かれていてもいいはずの夜なのに・・・

携帯の画面では仲間と写した写メが待ち受けにされている。
画面の右上では、電池の残量表示が1つ。赤く光り、警告している。
それもそうだ。
こちらの世界には充電しようにも電気が無いのだから。
携帯充電器も使い切ってしまった。
このままでは使い物にならなくなるのは時間の問題である。

では電源を落としておけばいいだろ、と思われるかもしれない。
しかし、真理奈にはそれが出来なかった。
真理奈にとって今や携帯は元の世界と今の世界を繋ぐ唯一のものなのだ。
それが使えなくなるという事は、元の世界との関係が切れてしまう事に思える。
常に圏外なので、電池の残っている今でも使い物にはならないのだが、
ルビスがいつ電話をかけてくるか分からないし、
メールを送る機会が無いとは言い切れない。
ルビスが自分の願いを聞き入れて向こうの世界と繋げてくれるかもしれない。
現に1回は送れたのだ。
届いたかどうかはこちらでは分からないが・・・


632 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:40:46 ID:vo/Rzc500
真理奈はヒマな時、母親や友達にメールを作っていた。
未送信ボックスに残された、たくさんの届かない想い。

   突然変な世界に連れてこられた事。
                        こっちで出会った仲間の事。
      勉強より冒険が楽しい事。
               早く戻ってしたいことが山ほどできた事。

それは元の世界では有り得ない今のこの状況を整理するのに一役買っていたが、
寂しさを増やす要因にもなっていた。
みんなで冒険をしてるときはいいのだ。
余計な事を考えなくていいから。
話をして、戦って前に進む。
それだけしてればいい。
思い出さなくていい。
この世界で自分だけが違うことを。

♪♪♪あの〜虹を〜渡って〜
ピッ 「・・・・もしもし」
    「ルビスです。お疲れ様でした」
   「・・・・・」
    「この調子で―――」
   「・・・・てよ・・・」
    「あなたなら―――」
   「帰して!!戻してよっ!!」
    「真理奈・・?」
   「このままじゃ帰れなくなっちゃう!!電池がっ・・・!!」
    「真理――」 プツッ!ピーピーピーピーピー・・・
携帯が電池切れを告げる。
   「どうして私なの・・・?ウッ・・・うぅ・・」
真理奈は携帯を耳に当てたまま泣き続けた。

633 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:50:38 ID:vo/Rzc500
っと、今日はここまでです。
読みにくかったら言ってください。
すみません・・・

次の話はうまく書ける自信がないなぁ・・・
でも頑張ろ
 ではではー

634 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 19:48:03 ID:eTr4Fm8d0
暇潰しさんおつかれー

635 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 20:16:35 ID:eoQPNuYrO
暇潰しさん、乙彼さまです
送信出来ないメールを溜めてるって、なんだかとてもさみしい感じが伝わってきた
続きを早く読みたい!

636 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 20:18:06 ID:eoQPNuYrO
あー
あげてしまった、ごめんなさい

637 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/12(金) 04:05:48 ID:UxkOheUkO
>>634>>635
ありがとうございますー
真理奈の落ち込む場面がいささか急過ぎた感があるんですが、どうなんでしょう…

今小説の書き方を載せてあるサイトを見てきたんですが…
自分のは全然ダメですねorz
文章作法や物語の展開の仕方など、まだまだ足りない事だらけのようです
これから改善していきたいと思います

638 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/12(金) 08:49:48 ID:hs4CKCqw0
皆様お久しぶりです。
過去スレを見ていたのですが誤字が多すぎたために訂正したいかと思います。

申し訳ないのですがやり方を教えていただけないでしょうか?

639 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/12(金) 09:57:29 ID:XSV2sgKd0
>>638
txtにまとめてうpしたほうが早い

640 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 00:53:02 ID:SJ39E4rBO
暇さん
展開が早すぎる事は無いと感じます
これまでの「会話中心の進行」からちょっと変わりました?
良かったです、読みやすかった
書き方は、俺はメチャメチャですけど、あらすじだけは常に変動しますが時間を割いて、完成させてます
無理に小説の定石に合わせる必要はないかと。
きっと、それが持ち味になるんだと、考えるようにしてます
支離滅裂でなければ。

レッドさん
639さんの言う通り、テキストファイルとしてアップすると良いかもしれません
現に、俺は最新版を読んでもらえるよう、そうしていますし。

職人さんが会話出来る空間が欲しいなって思った、泥酔の夜
たぶん進行度はとっても小さいとは思うけど。

保守

641 :たかはし ◆2yD2HI9qc. :2006/05/13(土) 00:58:14 ID:SJ39E4rBO
あれ、下がってなかた?
酔いってびっくりする現象を、時に起こすね

642 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 01:01:53 ID:SJ39E4rBO
下がってたよ
これが一番びっくりした
スレ汚してごめん

643 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 01:08:44 ID:SJ39E4rBO
しまった書き忘れ

レッドさん
一度、投稿した文字列を修正することは、2ch上では不可能です
なので書き直したテキストファイルを適当なアップローダーにアップしurlを書き込みするしか、再度読んでもらうための修正方法はありません

644 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/13(土) 12:05:37 ID:SJ39E4rBO
ごめん
何かいてんだ俺

酔って2チャンするもんじゃないね…

645 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 17:32:43 ID:XQyn3NVz0
タカハシしっかりしろw

ほっしゅ

646 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/13(土) 22:07:37 ID:UZBG9UwSO
タカハシさん意見ありがとうございますw
良かったと言われれば素直に嬉しいのが投下してる者の性ですな

と同時に、自分の作品って「会話中心の進行」だったかな?と首をひねっているところですw
そういう点を意識して書いてなかったもんで…
今までは書き上げて投下する事に精一杯だったし
投下した後に自分の作品を読み返すという行為をしてないんで、これを機に読み返してみようかな

書き方も読み易さと自分のスタイルを追求していきたいと思います

同じ立場の人の意見も貴重だなぁ

647 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 23:45:31 ID:wa8zV2v2O
ここはスレタイどうりであれば個人が作ったオリジナルなドラクエ話はおkか?


648 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/14(日) 00:11:23 ID:neUo5iwcO
ばっちこい

649 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/14(日) 10:52:42 ID:6WOHRMrNO
>>647
いろんな作品を読んでいただければわかると思いますが
DQな世界観を保っていれば完全オリジナルもOKなようです。


期待しております。

650 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/14(日) 12:22:42 ID:qC4i/g3WO
暇潰しさん
「会話中心の進行」は、なにせ酔って書いたものなので、お気になさらないで下さい
俺自身、取り留めなく読みにくい文を書いているのですから。
暇潰しさんの文は、うらやましいって思ってます。
あんまりほんとに気にしないでください


…だけど、書いてる人から感想もらうとうれしいですね

651 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/14(日) 15:19:53 ID:id66Euxq0
4のやつ遅ぇな

652 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/14(日) 18:16:56 ID:trecR29o0
定期的にでてくるアボーン透明ってまだ居るのか。

653 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/15(月) 09:48:50 ID:QYlC7Hiy0
>>639氏・タカハシ氏
ありがとう。
今後の教訓のために訂正無しで行こうかと思います。
職人同士で雑談もしたい所ですが避難所みたいなのがあれば良いかも知れませんね。

654 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/15(月) 12:45:17 ID:nwN95uxF0
>653
主人公雑談スレに、DQネタスレ避難所へのリンクがある。
そこの自治スレで、避難スレ立てていいか聞いてみればいいんじゃないかな?

655 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/15(月) 16:22:51 ID:eOcsVbdiO
あーそういうのあると良いかもしんないな。
このスレで言いたいことバンバン言っちゃうと荒れる原因になるし。

656 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 06:56:17 ID:TMHDDqdeO
保守

657 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 19:38:52 ID:MB1mMkPb0
避難所にお願いしようかと見てきたけど、”DQFF雑談系スレ”の避難所だった
ここは雑談じゃないからどうかなと思って、何も書かいてこなかった…

658 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:49:46 ID:MB1mMkPb0
>>601
続き

●フーラルとタカハシ、その日々

「俺はな、珍しい雨の日にこの絶望の世界へ連れてこられたんだ
 でっかい魔物が、腰を抜かした俺に手をかざした瞬間
 気がついたら霧の魔物が目の前にいて、変な幻を見せられて─」



「知ってたか?
 雨は神であるルビスが降らしてたんだ
 なんでもな、魔物に聞いた話だから本当かどうかは知らないが
 人間の感情やなんてのは空のどこか、隅っこに集まるらしい
 その感情がある程度溜まると、特に怒りや憎しみ悲しみなんかは魔物を作り出すそうなんだ
 魔物を殺しても残らないのは、形作る感情が空へ散り散りになるからだ
 人間のように、俺も難しくてわからないが"存在としての肉体"を持たないらしい
 でな、そんな感情を洗い流すために神は雨を降らせていた
 だけど、ある日からピタリと雨は降らなくなってしまって、溜まりに溜まった感情から
 そう、魔王が生まれてしまった─」



「どこまで話したっけな…
 そうそう魔王だ、魔王が生まれた
 なぜ雨が降らなくなったか、それはどうやら魔王が自分を誕生させるためらしい
 魔王はすでに存在していて何かおっぱじめようと考えていた
 その為に、神であるルビスが雨を降らすのをなんらかの方法で妨害した
 さすがの俺でも、魔物から聞けたのはここまでだ─」

659 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:50:32 ID:MB1mMkPb0
「お、トルネコ」
「その後、彼はどうですか?」
「ああ、少しだけど俺の話に反応するようになってきたぜ」
「そうですか、それは良かった」
「カンダタはなんだか事情があるみたいで近づかないけど」
「あの方は乱暴なので、その方がいいえすよ ホッホッ」
「まったくだな…
 しかし俺たちはいつまでこんな所にいなきゃなんないんだ?」
「さぁ… 魔物が満足するまででしょうか」
「満足? いたぶりもせず眺めてるだけで満足するのかよ
 せめて町の外へ出してほしいぜ」
「この世界は狭いと聞きます
 外に出たって面白いことなんてありませんよ?」
「狭いか、何か建物はあるのか?」
「…フーラルさん 変な考えは止めてくださいよ?」
「そんなんじゃないさ」
「そうですか?
 …とは言っても、残念ながらこの町の外の事は一切わかりません」
「じゃあ魔物にしかわからないって事だ」
「ええ、そうでしょうね
 では、また様子を伺いにきますよ」
「ああ、そうしてやってくれ─」

660 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:51:34 ID:MB1mMkPb0
「よう!」
「お、カンダタ! って、なんだ傷だらけで大丈夫か?」
「実はな 外に出ようとして魔物とやりあったんだ」
「おいおい… この世界で力を魔王に吸い取られてるんだぜ?
 たとえスライムだろうが敵うわけないだろう」
「なに?! そうだったのか!」
「そうなんだよ 俺も魔物をおだてて聞いたんだが、びっくりしたぜ」
「じゃあ… あれか? 武力でどうにか脱出するのは無理ってぇのか?」
「そう、無理だ
 例え強力な魔法を使えたとしても、焚き火程度の威力しかないだろうな」
「なんだよ! ちきしょう…」
「まぁそう焦るなよ
 きっとなんとかなる このタカハシが回復すれば」
「なんだ、なんなんだその自信
 …どうでもいいけどよ、まだ目は覚めないのか」
「ああ 相変わらずだ」
「メイの事を早く聞きてぇんだが…」
「お前、相当メイって娘がお気に入りらしいな?」
「そりゃあおめぇ、娘みたいに思ってたんだ
 俺は子供に恵まれなかったからな」
「そうか…」
「だけど、本当にこいつが殺したのか、俺には信じられねぇ
 そりゃあ、聞いた時はこのやろうって思ったが…」
「仕方ないさ、誰でも自分と仲良くしてた人を殺したってヤツが目の前にいれば気が動転する
 だけど心がこんなに壊れちまってるんだ、絶対に罠かなにかだろう …事実だとしても」
「心? お前神父もやってたのか?」
「いやいや この状態、これは心だ
 たくさんの情報を扱って大勢の人間と出会ってきたから、なんとなくわかるんだ」
「そういうもんかぃ まぁとにかく、本人の口から真実を聞きたい─」

661 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:52:36 ID:MB1mMkPb0
「この世界に来て俺はちょうど100日になったぜ
 お前は62日、早いもんだな
 俺たち以外の人間は生きているだけの状態だ
 だけど俺は、お前はかならず起き上がると、そう思えて仕方がない
 お前もそう感じるだろ?─」



「毎日、雨が降っていたら人間だって陰険になるよな
 だから神は時々しか降らせていなかったんだろう
 しかし、あっさりと魔王なんかに邪魔されて頼りにならねぇ神様だよな─」



「なぁタカハシ
 お前は今、どこにいるんだ?
 そんなになるほど、お前、霧の魔物に何を見せられたんだ?
 真実はなんだ?
 俺たちはいつ、解放されるんだろうな
 …この世界から解放されるってのは、死ぬ時か脱出に成功したときだけか
 まぁ、この世界じゃ死ねないから、脱出しかない─」


662 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:53:44 ID:MB1mMkPb0
●意識

う… 頭が痛い…
確か霧の魔物に飛ばされて……

だめだ
何かとても大事な事を忘れてしまったみたいだ
思い出そうとすると、頭が痛い…

ここは、どこだ?
なんだろう どこかで見覚えのある、よく知ってる場所のような気がする

あれは…?
なぜかぼんやりとしか見えないな
近付くのに遠ざかってしまう…

なんだか靄だらけで先が見えないじゃないか
それにいつまでこうして歩いていればいいんだ
歩かなければ良いんだろうけど、歩かないとなんだか落ち着かない

俺は、なんでこんな所にいるんだ?
俺は俺は、なんでだ?

663 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:54:33 ID:MB1mMkPb0

もう、ずいぶん歩いた
疲れはまったく感じない
でも、そろそろ止まりたい
止まって座りたい



あれは… トルネコ、さん?
俺が、いる
一緒に歩いてる 笑ってる
え? ああ、そうだな

あっちには… テリー
また俺がいる
何してるんだ?
そうか、稽古してるんだな
え? ああ、そうかな

お、カンダタさんだ
俺は… いた
オリハルコンを受け取ってる
オリハルコン、どこいっちゃったかな
え? ああ、そうだった

あれは…?
あの女性は誰だろう
俺が、なんだかだらしない顔で話してる
なんだ、なぜだか、苦しい
え? ああ、それは─


664 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:55:43 ID:MB1mMkPb0
●声の主

『あなたは、この世界から元の世界へ戻ろうと旅を始めた』

『あなたは、彼との修行でとても強くなれた』

『あなたは、オリハルコンの剣を置いてきた』

『あなたは、あの女性の事を悔やんでいますか?』

え? ああ、それはもちろん
だけど、俺はあの女性に何をしたのか、名前すらわからないんだ
でも心は何かを知っていて、悔やんでいるみたいだ
その事をなんだろうと考えるけど、意思が邪魔して思い出せない
俺が俺に対して、どうやら心を閉ざしてるみたいだ

ここはすっかり暗闇に包まれてしまった
足元すら黒いし、先に見えるのは小さく瞬く光だけ
なのに俺の体は止まろうとしないんだ
止まると、もう二度と動けないような気がするから

思い出した 何をしたのか
もう取り戻せない時間 それが現実であり事実
その事を歩いて思い出し考えるからまた歩き続ける
もしかしたら答えが、歩いた先にあるんじゃないかって、愚かに思ってる
もう動かないのに、メイの時間は…
俺には歩いて、歩くことしか今は出来ない

665 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:56:58 ID:MB1mMkPb0
ところで、話しかけるのは誰だ?


『私は、ルビスです』

ルビス?
なんでこんな所にいるんだ
どうして俺たちを助けてくれなかった?
……いや、いいんだ
あんたを責めても、俺が殺した事実はまっすぐ曲がることは無い

『…私は、魔王によって力を抑えられています
 あの瞬間も、魔王があなた達の行く手を阻む事が感じられた日
 魔王の力を弱めるために雨を降らせるのが、精一杯でした
 ですが雨は、全く効果が無く逆に、魔王に圧倒され止んでしまった…』

いいよ、もう
あんたはきっと、精一杯やったんだ
そして俺も精一杯やった
もう、いいだろ?
俺を元の世界へ返してくれないか?
もう疲れたんだよ
もう疲れたよ

『あの賢者、メイの事はとても残念です…
 あの娘にはあなたの事を伝え、この先も一緒に旅をしあなたの補助をしてほしいとお願いしました』

この際だから、全部、話さないか?
なぜ、俺がこの世界にいるのか
なぜ、俺は旅を続けなければならないのか

『……わかりました、お話します』

666 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 20:00:47 ID:MB1mMkPb0
ここまでです。

酔った勢いとはいえあのようなことを書いた後で、ちょっときまずいのですが投下
もう酔って書き込みしません orz

667 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 21:54:33 ID:9WPH85kKO
ぐはっ
寸止めかよ…
人と魔物とルビスと魔王の関係か。面白い設定だと思った

ドラクエ世界を創ったのはルビスなのに、その中から自分を超える者が現れちゃうなんて皮肉な話だよね

668 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 23:11:20 ID:DpOJETOU0
>>654- 657
( ^ω^)っtp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi


669 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 23:21:23 ID:4LwjyeawO
タカハシ&>>668
WGJ!!!!!!

670 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/17(水) 18:26:51 ID:Sufdtld80
>>668
避難所を作ってくれてありがとう
これで職人さんの雑談も出来るようになるね

>>667
設定を考えるのがとても楽しいです
時には、レスしてくれた方の内容がヒントになったり。

>>669
ありがとう!

671 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/19(金) 00:51:02 ID:8XIoVdv2O
あげ

672 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/19(金) 01:17:07 ID:TxzjmKWSO
仕事でひどく疲れた俺はベットに倒れた。起きたら家ではなくオラクルベリーの宿屋にいた。冒険はせずに、遊び惚けた。

673 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/19(金) 17:08:42 ID:k1igHCmq0
ククール達と別れて朝が来た。
頼もしい仲間が失って戦力的には乏しくなったが仕方がない。
特にリアが寂しそうな表情を時折見せる。

リア「…………………………」
もょ「どうしたんだ?リアちゃん。」
リア「えっ!?な、何でもないよ!」
もょ「それならいいのだが…」
リア「もょもとさん、心配かけさせてごめんね。私は大丈夫だから。」
もょ「わかった…」

リアは必死に否定をしているが素人でも分かる反応だ。やはりククールがいなくなった事は精神的にも辛いのだろう。

サマル「ドラゴンの角が見えてきたよ!」

サマルが俺達にそう言った。その塔は大よそ40メートル位な高さがあり、通天閣や京都タワーと違った雰囲気が漂う塔だった。

ムーン「それにしても対岸にもう一つの塔があるなんて変わった塔ね。」
 もょ「そうとうふるそうだなぁ。」
サマル「とにかく中に入って進もう。」

俺達はドラゴンの角に入る事にした。



674 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/19(金) 17:25:22 ID:k1igHCmq0
中に入ると天井が高く広さが感じられた。
中には竜の銅像や壁絵が見れた。

 もょ「おお!けっこうしんぴてきだな。」
 リア「こんなの見たの初めて!」
ムーン「結構何かの由来があるかもね。歴史を感じるわ。」
サマル「あそこに人がいるよ。ちょっと話しかけてくる。」

サマル「こんにちは。おじさん。」
  *「こんにちは。旅の青年。今とんでもない事になっているぞ。」
ムーン「どう言う事なんです?」
  *「ルプガナに行くために上に昇って行ったんだが
    モンスターの死体ばっかりでおぞましい状態なんだ。」
 もょ「なんだって!?」
  *「あんな虐殺されたモンスター達を見たのは初めてだ。
    わしも恐ろしくなって降りてきたよ。あの状態じゃ橋すら渡れないだろうな。」
 リア「そんな…」



675 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/19(金) 17:39:00 ID:k1igHCmq0
投稿できねーorz

続きはまた後日

676 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:19:43 ID:m4lkHT7E0
 タケ「(おい、もょ。)」
 もょ「(なんだ?)」
 タケ「(勿論行くよな?)」
 もょ「(……………………………)」
 タケ「(はっきり言って俺も怖えーよ。でもこのおっさんが嘘ついているとは思えへんのや。)」
 もょ「(と、とりあえずいってみよう。このめでかくにんしないとな。)」

 もょ「うえへのぼってみることにする。はしをわたらないとルプガナにいけないからな。」
  *「無理をするのではないぞ。危ないと思ったらすぐに降りてくるんだ。」

もょもと達が階段を上がっていくと悲惨な状況になっていた。

それはモンスター達のバラバラ惨殺死体だった。

モンスター達の死体からとってつも無く嫌な臭いが漂ってくるのだ。
まず言える事は人外の者がモンスター達をやったとしか言いようが無い。


677 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:20:57 ID:m4lkHT7E0
ムーン「あああっ…いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
 もょ「どうしたんだ!!ムーン!!」

いきなりムーンが発狂しだした。

ムーン「あ、頭が……痛いの………寒いよ…………」
サマル「もょ!ムーンはこれ以上進むのは無理だ!」
 リア「ムーンさんしっかりして!」

多分ムーンブルグ城の惨殺状況を思い出したのだろう……
仲間のピンチの時に声すらかけれない俺自身に嫌になった。

何やってるねんホンマに……

ムーン「ううっ……」
 もょ「サマル、リアちゃん、ムーンをたのむ。おれひとりでいってくる。」
サマル「ここは引き返すべきだ!状況が悪すぎる。」
 リア「私もお兄ちゃんの意見と一緒だよ。嫌な予感がするわ…」
 もょ「やばくなったらすぐに戻ってくるよ。」

もょもとはサマル達と別れ、一人で上を目指す事にした。

上に登って行く内にプレッシャーがひしひし感じてくる。気を緩んでは何かに押しつぶされる感じだった。

 タケ「とてつもなく嫌なモンが感じるな。」
 もょ「タ、タケ、ちょっとかわってくれないか!?」
 タケ「どないしたんや?」
 もょ「おれも…きぶんがわるいんだ…………」
 タケ「……………………わかった。呼吸だけ整えておき。」

俺も下に降りたい気分だがここまで来た以上は引き下がるわけにも行かない。


678 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:25:41 ID:m4lkHT7E0
首筋がぬるってしている。冷や汗だ…
心臓の鼓動が大きく響き、周りの雰囲気にビビってしまって中々足が出ない…。
俺はどうなるんだろうか?

幸いにもモンスター達が出現しないのだが良いのか悪いのか判断しにくい。
今の所俺自身がしっかりしないともょもとが危ない。

とにかく俺は最上階を目指して歩いていった。

――――――――――最上階に着いた。
周りで何かが燃えている状態だった。物凄い異臭がする。
何があったんだ?


悲しいなぁ――――――――――――   悲しいなぁ――――――――――――


タケ「おい、もょ。何か言った?」
もょ「なんにもいってないぞ?」
タケ「確か悲しいなぁって聞こえたんやけど。低調な響く声で。」
もょ「おれにもきこえたぞ。」

もしかしたら…この声の主がとてつもない恐ろしい気配を感じさせているのか?

ちょっとした後悲鳴が聞こえた。
 *「ぎょへーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

679 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:26:40 ID:m4lkHT7E0
タケ「な、何があったんや?思わずビビッてもうたがな…」
もょ「ど、どうしよう…タケ…」
タケ「とんずらしたいんやけど行くしかないやろ。敵に背中を向けたらやられる可能性があるからな。」
もょ「いまはにげるべきだ。じゃないとおれもタケもあぶない。」
タケ「何抜かしているねん!ここまで無鉄砲かもしれんがいくしかないやんけ!」

もょもとと揉めている内に誰かに足をつかまれた。

 *「た、たすけてくれ……」

タケ「おい!あんた!どないしたんや!?」
 *「…………………………………………」
もょ「しんでいる……………………」

足を掴んだ人間はハーゴンの部下だった。しかも全身火傷を負って生き絶えた様だった。

タケ「マジでやばいな…」
もょ「はやくにげよう!タケ!」
タケ「そうしたい所やけど問屋がそう落ろしてくれへんみたいやな…」
もょ「えっ!?」




680 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:28:18 ID:m4lkHT7E0
音も立てずにス――――――――――――――――――ッとした感じで近づいてきた。

俺の心臓の鼓動がバクバク言ってやがる。

とてつもない恐ろしい気配を与えた持ち主はコイツの様だ。


    人間を超越したこの威圧感は…


もょ「こ、こいつが…」

タケ「間違いない様やな…」

俺は大きく息を吸い込んだ。


タケ「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!」



もょもと&タケ
Lv.15
HP:105/105
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄の盾 E鉄兜 
 特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:はやぶさ斬り・魔人斬り
   タケ専用:かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御



681 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 10:44:27 ID:Bzl4k5NEO
レッドマンktkr!!
ムーンたんカワイソス。

682 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 15:42:32 ID:04oTujovO
レッドマン!!!乙!!!
しかし最早パラレルワールドまっしぐらやねww

683 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 15:43:59 ID:04oTujovO
あ、あと携帯からじゃわかんないんだけど、
そろそろ要領制限か?

684 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 16:27:22 ID:bZoGzSs80
いま、425kbです

685 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 16:36:32 ID:04oTujovO
>>684
dくす。まだ平気そうやね。

686 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/21(日) 16:37:42 ID:4Z//t9L30
書くの遅すぎ
催促age!

687 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/21(日) 16:41:11 ID:HmN+bs5h0
ageたら投下されるなら誰だってageるさ。

688 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/21(日) 17:18:26 ID:9lm/7ynN0
>>686は死ぬべきだと思う

689 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/21(日) 17:42:45 ID:1Xm49Hk/0
NG入れてる俺は勝ち組

690 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/22(月) 04:44:47 ID:Pj2x8NuYO
なくても笑顔だお( ^ω^)

691 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/22(月) 16:56:54 ID:FRciukna0
保守っとな。

692 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/23(火) 17:09:00 ID:AVH6ykeiO
保守

693 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:10:19 ID:RRQ/IbPl0
その夢を見たのは、出発の前日だった。
怪我の度合いから見て便宜を図ってくれる宿が良いだろうと、数点挙がった候補の中からこのイムルの宿を選んだのは…偶然では無かったのかもしれない。
翌日、泣き腫らした眼をした者が数人現れたことで、一同がまた同じ夢を共有した事を知る。

「ちょっと今朝の夢はハードだったわね…」

小さく嘆息しながらマーニャが呟いた。

「人の犯した罪が…魔族の若者を悪鬼へと変えたのですね…。
なんて…悲しい…」

女性たちが感応する中、男たちは皆沈黙を保っている。
ライアン、ブライ、トルネコ辺りは他に思うところもありそうだった。
大の男が複数で、一人の女性を苛め抜く様に、怒りと、そして自らもその男である事の複雑さ。

「人間は自分の手で滅びの運命を選んだの…?
…いいえ、私がそんな事させない!必ずピサロを止めてみせる!
それはきっと…」

親友の眼が覚めたらきっと、あの子もそうする筈。
マーニャがアリーナに大きく頷き賛同する。

「まあね。あたしはロザリーをいじめてないし、他の多くの人間だって同じだわ。
だからそんな理由で滅ぼされるだなんて納得できない。
あたしは断固戦うわよ!」

「我々が戦う相手は、人の罪そのものなのかもしれませんね…」

694 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:11:16 ID:RRQ/IbPl0
罪。人の罪。
俺たちの…罪。そのもの。
ピサロがいつから人間に憎しみを抱き始めたのかは解らないが…彼の変貌が、人間の罪が姿を変じたものだとするなら。
俺たちは人ではあるが、ロザリーをいじめてはいない。
人間の行動は本能だけではないから、他の動物と同じように種が同じだから人間全てが悪いとは考えられない。
それぞれが別個の存在…人間だけがそうであると考えるのは、傲慢だろうか?
同じ人では無い。だが、人である以上、もし僅かながらにでも罪として共有せざるを得ないものが存在するのだとしたら…。
この戦いで、俺たちは断罪されるのかもしれない。
罪は、裁かれなければならないから。この、戦いの先にあるものは――。





風に靡く髪を、ミネアが抑える。
はしゃぐアリーナ。感心したように髭を扱くライアン。
仲間達はそれぞれ異なる反応を示しながらも、目の前のソレに乗り込んだ。
だが、その中でも俺のリアクションは余り大きなものではなかったろう、と思う。
如何せん、俺には見たことのあるものだったから。

「だからっつったって、こんなでかい気球を見た事がある訳ねーーーーーよ!!!」

傍らの馬がヒヒンと鳴く。
だって、馬が乗る気球て!あまつさえ車の部分まで乗っとりますがな!
そして無尽蔵に噴き出されるガスの入った壷…。
そもそもそんなものが存在して良いのか…普通に考えたら途中でガスが切れて…重りを捨てろ!物を投げるんじゃ!的展開に…。
ちらりとトルネコさんを見る。何やら身震いをしているが、寒いからだろう。高度があるからね。
どんどん荷物(及びピザ)を投げていき、それでもダメだとやがて…服も…?
それは皆が望む展開じゃないだろうか…?後はさりげなくそういうシチュエーションにもっていくだけか。
無理です。ごめんな、へたれで。

695 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:11:56 ID:RRQ/IbPl0
それにしても…。
この気球、一体どうやって動いてるんだろうな…?
風任せ?いやいや、目的地はある以上そんな悠長な話しもないだろう。
普通、気球を意図通り動かそうとするとエンジンを積んだりするものの筈だが…ま、そうなると飛行船になるのだけども。
エンジンとか、そういうテクノロジーはあったっけなあ…?
大きさ的にはもう、飛行船の方が正しいかもしれないな。形はどう見ても気球なんだが。
色々調べてなんか恐ろしいものを発見したら怖いからやめておこう。
好奇心は猫を殺す。
つまり、そういう事だ。
俺としては落ちなければ良い訳で、落ちそうになったらピザを海に投げ捨てれば良い訳で、ついでにストリップタイムな訳で。
ぐふふふ。


この世界には、天空を支える大樹があると言う。
世界樹と呼ばれる神秘の樹――その葉には、倒れた者すら蘇らせる力があるとか。無いとか。
葉ではなく、1000年に一度咲くと言われる世界樹の花には葉を更に超える力が宿るらしいが1000年に一度じゃ期待はできまい。


世界樹と呼ばれる、巨大なる樹木。
その内部を、俺たちは進んでいる。
樹の幹の中を歩く、というのも非常にシュールな体験ではある気がする…。
だが、今の俺の状態とどちらがそうであろう。
ソフィアの収まった小さな棺桶を引き摺りながら、俺は樹登りをしている。

696 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:12:30 ID:RRQ/IbPl0
「代わろうか?」

眼の前で小首を傾げるアリーナに、俺は小さく頭を振る。
彼女の手が塞がると、いざという時に支障が出る――と、いうのは建前で。
これは、俺のエゴだった。
あのブランカからエンドールへの道で、ソフィアは重い俺の身体の入った棺桶を引き摺り、たった一人であの道を歩ききったのだ。
今の俺は戦闘はソロやアリーナ、クリフトに任せられるのだから気楽なものだ。あの頃は彼女も今より格段に弱く、たった一人だったのだからそれは辛い道程だった筈だ。
こんな事で、故郷を失ったソフィアを一人ぼっちにした事への償いになるとは思わない。
だが、それでも…そうしたい。
アリーナが再び先頭に戻り、クリフトがその後ろに控える。
少し遅れて俺が続き、そのすぐ後ろ、殿をソロが守っている。彼もまた、何も言わずに妹を…その身体を、守っていた。

「…今までも、そうして…ソフィアを、導いてくれたのか?」

そのソロが、小さな声で話しかけてきた。

「…いいや。俺が導くだなんて…おこがましいよ。
俺が導かれていたんだと思う。そうでもなければ、こんなところまで…これなかった」

「そうか…。…だが、きっとそれだけではないだろうな」

「え?」

「いや、今はそれで…いいのだろう。俺が言うべき台詞じゃない」

謎めいた事を言い、一人納得するソロ。
俺としてはちょいと問い詰めたい所だが…それより先に、話を逸らされてしまった。

「ありがとう。ソフィアの傍に居てくれて」

「そんな事…礼を言われても、困るし、それに俺は一度…」

697 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:13:03 ID:RRQ/IbPl0
「あれからもう何年も経つからな。色々あったろうとは思うさ。
…じゃあ、そうだな。今、ソフィアの傍にいてくれる事に」

「……」

「俺は…あいつに何もしてやれなかった。昔から、泣いてるあいつを慰めてやる事も、頭を撫でてやる事も…。
あの日から…ソフィアと離れ離れになってしまった事が気がかりでしょうがなかった。
再会して解ったよ。あいつは、いい仲間と出会えたと」

ぽん、と肩に手を置かれる。
すると今にも、その手に引き摺り込まれそうな感覚――俺は軽く頭を振った。
それも、ソロは謙遜と受け取ったようだった。

「あいつが健やかに成長できたのは、あいつ一人の力じゃない。だから、礼を言いたいんだ。
…兄として、な。ずっとほったらかしにしてた癖に図々しいって言うなら、これ以上は言わないが」

「そんな事言う訳ない…解ったよ。ソロ。だけど、これからはソロも一緒、だろ?
できる事とできない事はあるかもしれないけど、それでも…もう、一人にしないでやってくれよな」

「…その心配は…」

必要ないだろう?悪戯っぽく笑って俺を見る目が、思いの外、真剣な雰囲気に少し驚いたように見開かれる。
必要なのか?お前が居る限り、ソフィアはもう一人になる事は無い――。

「ああ…そう、だな…」

ソロは、そう言うに止めた。

698 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:13:34 ID:RRQ/IbPl0


「申し訳ございません、姫様」

先頭を歩くアリーナの背に、小さくクリフトが呟いた。
悟られぬようにしてきたつもりであったが、今のこの距離を見るにソロは恐らく察していたのだろう。
アリーナは…どうだろうか。彼女の事は何でも知っていると自負してきたクリフトだが、この旅の中、戸惑うことがあったのもまた事実だった。

「何を気にしてるの?」

「…一時の憤怒で我を忘れ、姫様の治療を怠った事です。従者としてあるまじき失態…真に…真に、申し訳もありません…如何なる罰も覚悟の上です…」

もっとも、置いていくと言われる事だけは承服しかねたかもしれないが。
命を賭けろと言われたら、迷うことなく死地へと赴く覚悟は完全にできていた。

「そうね。あの時治療してくれていたら…ワンパンチはいれられたかな。その後、やられちゃっただろうけどね」

しゅっしゅっとパンチを撃つまねをして、あははと笑う。
内心はともかく、彼女は既に立ち直っていた。

「そうね、罰って訳じゃないけど…一つ、いいかな」

「はい!なんなりと!」

「それじゃあ――これからは、私を優先して治療するのを止めなさい」

クリフトは内心、ドキリとする。
そこまで露骨にしていたつもりはない…のは本人だけで、誰の眼にも明らかな事ではあったのだが。
男たちはもちろん、マーニャもミネアもそれなりに聡いので、それほど問題にはならずに来ただけ。
いや、そこまでの危機に直面することが無かったのも一因かもしれないが。

「ですが…ですが、姫様…!」

699 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:14:09 ID:RRQ/IbPl0
「クリフト。貴方が私を大切にしてくれるのは感謝しています。ですが――これ以上、私は大切な人を失いたくありません。
それが例え、いずれ別離が訪れるのだとしても、出来る限りは」

「それは…ご命令ですか…」

「いいえ。お願いしているのです」

「…………」

長い沈黙の帳を神官が引き上げる。

「……御心のままに」

「ありがとう、クリフト」

愛しい人の、花が咲くような笑顔。
クリフトは一瞬、それに見惚れ、そしてすぐに意識を取り戻す。
この笑顔を、見たい。見ていたい。その為には。
彼女の命を。仲間の命を。
全てを癒す。そうする事で己は仲間の命と、そして彼女の命と笑顔を守るのだ。


「〜〜……けて……さい〜〜……」

「ん?何か言ったかアリーナ?」

「えいっ!ん?何も言ってないわよ?」

700 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:15:34 ID:RRQ/IbPl0
竜巻みたいなものを纏った魔物にコブラツイストをかけながらソロに応じるアリーナ。
似合うなあ。無駄に。コブラツイスト。
まあコブラに限らず関節技なら何でもだが。関節技にこだわらず素手による攻撃ならば。
空耳は大して気に留めず、俺たちは順調に樹の内部を進んでいく。
体力的には俺もだいぶ苦しいのだが、それ以上に何故かクリフトが上に登るにつれて死にそうになっている。
…気球の中でも泣きそうになってたっけな。悲しい事でもあったのだろうか。
だが、泣いたり笑ったりしながら成長することもあるだろう。って誰かが言ってた気がする。

やがて――空一面を、碧が埋め尽くした。
全てが、葉。世界樹の葉だ。太陽の光を浴びて輝く、神秘の葉。
その色は――彼女の髪と同じ色で。俺は涙ぐんでしまっていた。
目の前に彼女の笑顔があるような気がして…こぼれ落ちないように、天を見上げ続ける。

「よっしゲット!それじゃあ早速ソフィアに…」

「いや、ここは太いとはいえ樹の枝の上だし、幹の中に戻ってもまた魔物も出るかもしれない。一度地上に戻ろう」

元々は手に入れたらその場で調合して飲ませるつもりだったのだが。
思いの外安全とも言えない状況だったので、俺たちはその場から一時離脱する事にする。
俺の努力はある意味無駄だった訳だが、何故かそういう気持ちにならない。きっと、背負ってきたのがソフィアだったからなのだろう。

701 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:16:23 ID:RRQ/IbPl0
「〜〜〜〜…………!?〜〜〜………っ!」

どこからか焦るような雰囲気を感じるが俺は気にしない。
そんな事は些事だ。ソフィアに勝る有事などないのだから。

アリーナを先頭に駆け下りる一同。
俺は聴こえたような気がした声について、クリフトに訪ねてみたが、聴こえていないのか物凄い勢いで降りていってしまった。
心なしか顔色も悪かったな…泣きそうだったのは…アリーナと何かあったのかなあそういう雰囲気でも無かったんだが…。

世界を支える樹の葉には、倒れたものを再び立ち上がらせる力があるという。
だが、世界樹の葉をもってしても、死者を蘇らせる事はできないらしい。
生者と死者をどこで区別するかなどは俺は興味が無い。
ソフィアが蘇りさえすれば、それで良い。理屈など…どうでもいいさ。
それが例え間違っているのだとしても…ああ、そうだ。この考え方は間違っている。
ミネアに言われずとも自覚していた。
それでも。それでも、構わない。

702 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:18:12 ID:RRQ/IbPl0

「で、どうやって飲ませるの?」

「そりゃーもう!こういう時は王子様の口移しに決まってるじゃなーい!」

「妙にテンションの高い女がいるな。阿呆め」

「メラミ」

「ウボァー」

「王子様ってセンスに耐えられるビジュアルの人が少ないですよう」

「ソロは駄目よ!」

「なんでアリーナが駄目って言うの?」

「俺じゃ消し飛んでしまうからだろう」

「後は…半分以上親爺だしー」

「わ、私には…姫様が…ごにょごにょ…」

703 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:18:57 ID:RRQ/IbPl0
「なんでクリフトが私に遠慮するの?」

「ちょwwwおまwww」

「鬼がいるな…」

「姫様は昔からそういう子じゃからのう」

「やだ、ブライ。そんなに褒めないでよ。明日槍が降っちゃうじゃない」

「そんなに褒められるのは珍しい事なんですか…」

「もう何でもいいから早く試してみるべきでは?」

「何でもいいって。そんなだからその歳でまだ独身なのよ」

「むう」

「シチュエーションは大事ですよ…今回は特に、大事な事ですから」

「ところで私の時は…」

「クリフト…思い出さない方が良い、ことも、ある…」

「そうですか…」

704 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:19:34 ID:RRQ/IbPl0
わいわいぎゃーぎゃー。
賑やかな事だ。どう思う?ソフィア。
こういう時、君がこの中に参加する事は無かったな。
喋る事ができなかった君はいつも、どこか遠巻きに見ていたのを覚えている。
それも無理ない話なのだが。もっとも、仲間たちが騒ぐのを見る彼女は決して寂しそうなだけではなく、楽しそうでもあった。
皆が楽しそうなのを見て、自分も楽しくなる。
俺が、ソフィアが寂しそうにしていないか気になってちらりと確認すると、
彼女は決まって俺に柔らかい笑顔を向けてくれた。
だから今もまた、俺はそれを期待している。

世界樹の葉が淡く光り、俺の手の中から消失した。その時から。

振り返るのが恐ろしい。
そこにあるのは、喜びか、それとも絶望か。

それでも他の誰かに先に確認してもらおうという気にもならなかった。
ソロならばあるいは…とも思ったが、彼にはその気は無いようだった。
恐らくは、俺に任せる、という事なのだろう。他の仲間たちも然り。まるで気づかぬように喧騒を続けている。

意を決する。
意思を固め、意図を明確に、意識を彼女に…向ける。

広がる。
――――碧の光輝、が。

世界を支える樹の葉と同じ色の髪。
ふわふわの、ふかふかな優しい髪が、窓から吹き込む風に微かに揺れる。
少し青い顔をした、けれど、柔らかい笑顔が。
俺の眼の中に――飛び込んでくる。

705 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:20:43 ID:RRQ/IbPl0
「……ソフィア」

「……おはよう。おはよう、皆」

俺に。そして、皆に、そう、声をかける。

「おはようございます、ソフィア殿」

「おっはよー!ソフィア!」

「おはようございます、ソフィアさん。今日も良い天気ですよ」

「全く、もう太陽は中天にあるというに。最近の若いもんは」

「まあまあ…偶には寝坊する事もありますよ。ね、ソフィアさん」

「おはようございます。ご飯にしますか?それともパンにしておきます?ああ、まずは飲み物ですね」

「やだ、ミネアったら奥さん気取りね。おっはーソフィア、寝てる間にまた少しすっちゃったんだけど…えへへ」

「…おはよう、ソフィア。食事は面倒くさがらずにちゃんと顔を洗ってからだからな」

皆から朝の挨拶をされ、一つ一つに頷いて。
そうして、最後に彼女は俺を見た。

「……馬鹿野郎。何がおはようだ、このネボスケめ」

「……ごめんなさい」

「ふん。さっさと顔洗いにいけよ、ミネアが作った飯がこれ以上冷めないうちにな」

706 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:22:14 ID:RRQ/IbPl0
くるっと背を向け、歩き出す。
顔を、見られたくなくて。

「あっ……」

ベッドから降りようとしたソフィアが小さく悲鳴を上げた。
無理も無い。ずっと眠り続けていたのだから、急に立とうとしても足がびっくりしてしまう。
倒れる――その、間一髪で、少女の腕を捕まえる手。

「何やってるんだよ……馬鹿」

「……ありがとう」

少女は俺の顔の惨状を見て、にっこりと笑ってそう言った。





「あう〜…誰も助けに来てくれない…。ひもじい…」

むしゃむしゃと世界樹の葉を食む孤独な音が、空の中で響いていたが俺たちは知る由も無かった。


HP:112/112
MP:53/53
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

707 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/24(水) 02:42:32 ID:MYtj67h40
乙。
…、語るべき言葉が見つからない。
直後のレスが書けたことを誇りに思う。

708 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/24(水) 03:34:29 ID:ZCgmRyLT0
乙乙
いよいよ佳境ですなぁ。そして、放置プレイワロス。

709 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/24(水) 03:52:10 ID:Wgay5ZZzO
なんか4の人の後はいつもしんみりしちまうんだよなぁ


710 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/24(水) 04:24:50 ID:GSzYlLjI0
4の人乙です
ソフィア復活キタコレ!
そしてルーシア放置プレイw

711 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/24(水) 08:54:50 ID:tWHMiBnl0
4の人キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!!

正直、4の人のトリップ見るだけで興奮するwww

712 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/24(水) 10:04:03 ID:nzkhhUMV0
4の人ktkr!GJ!
クリフトとアリーナの会話いいな

713 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/24(水) 16:35:18 ID:JnMkMljy0
マジ乙!
もう世界樹まで来ちゃったんだなあ。思えば遠くに来たもんだ、なんて。
また読めて嬉しいです。

そしてチキンクリフトバロスwww

714 ::2006/05/24(水) 16:51:16 ID:e20EdH100
クリフトは高所恐怖症かwwwww

715 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 08:35:18 ID:WFTQ27+l0
避難所に次スレのテンプレがあったので立ててみる

ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

・スレの性質上1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1142080254/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」避難所
http://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi


716 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 13:54:27 ID:cEqrrwxU0
ほんとにすごいね4の人。
なぜにこんな所で書いててくれるのか不思議だ・・・
そのまま小説出版して売り出せるよこれ。

717 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 15:42:25 ID:WgOMyJUUO
あんまり乙コールし過ぎるのも、どうかと思う。

718 : ◆Wj/kq68872 :2006/05/25(木) 17:13:37 ID:d7FyMN8/0
「なあ」
「ん?」
「これやっぱり夢か?」
「どうだろ」
「5章だよな、やっぱ」
「うん」
「……」
「……」
「どうする?」
「うーん……」
「勇者来たら倒されるんだろうな……」
「うん」
「……」
「……」
「逃げる?」
「どこへ?」
「デスパレスとか」
「どうやって?」
「船?」
「だなあ……」
「……」
「……」
「どうしたもんかな……」
「どうしようか……」
「……」
「……」
「とりあえずさ」
「うん」
「ここにいるのはまずいと思うんだ」
「うん」
「アッテムトから外に出よう」
「だな」

719 : ◆Wj/kq68872 :2006/05/25(木) 17:14:12 ID:d7FyMN8/0
「魔法使えそう?」
「……無理っぽい」
「歩くか」
「うん……」
「……」
「……」
「でもさ」
「うん」
「なんで俺はスライムベホマズンなのにオマエはエスタークなん?」
「さあ……」
「……」
「……」
「ちょっと格が違いすぎね?」
「だなあ」
「いや、そんなに軽く返すなよ」
「なんで?」
「なんで?じゃねえよ。エスタークっつったら地獄の帝王だぞ、帝王」
「そうだね」
「スライムベホマズンってなんだよ。ザコだよ?ザコ」
「でもさ」
「うん?」
「ベホマズン使えるし」
「まあな」
「出てくると意外に面倒だし、ルックスで人気あるし」
「つかルックスは関係なくね?」
「うん」
「……」
「……」

720 : ◆Wj/kq68872 :2006/05/25(木) 17:14:45 ID:d7FyMN8/0
「いや、やっぱりキツいだろ」
「ん?」
「エスタークって会心の一撃連発でもなかなか死なないよな?」
「うん」
「スライムベホマズンなんて会心決まれば即死じゃね?」
「だなあ」
「例えばさ、俺がデスピサロ……は贅沢だとしてもキングレオとかだったらさ、納得も出来るんだよ」
「そうだね」
「だけどさ、スライムベホマズンだもん。いや、確かにスライムの中では強い方だよ、実際」
「うん」
「はぐれメタルとかキングメタルはちょっと反則気味だしさ」
「メタルキング」
「え?」
「キングメタルじゃなくて、メタルキング」
「そうか……」
「……」
「……」
「なあ」
「うん?」
「俺達戻れるのかな……」
「なんとかなるでしょ」
「そりゃいいよな、オマエはエスタークだもんな」
「いや、それは関係ないよ」
「いや、関係あるね。つかさっきから何か余裕あんだよ、オマエ」
「そうかな?」
「そうだよ……。いいよな、俺もせめてキングメタルくらいになりたかったよ」
「メタルキング」
「ああ……」
「……」
「……」

721 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 18:18:33 ID:AdQejpZA0
吹いたw いい仕事だw
>「なんで俺はスライムベホマズンなのにオマエはエスタークなん?」
のところの空気にやられたw

722 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 18:31:58 ID:1HVFfhMQ0
本にだせるかも試練が出した所でそこら辺にゴロゴロしてる作品と大差のない評価
になるだろうな。このスレだからこそ高評価な訳であって。

723 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 20:11:19 ID:sHywA2lL0
みんなが4の人の引き立て役という事か

724 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 20:20:01 ID:DSGd27vIO
こっちで議論汁
ttp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi

725 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 20:27:24 ID:sHywA2lL0
>>724
いや、ボク達2chが好きですから
単なるボヤキに避難したくない避難所貼られても・・。

726 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 20:29:00 ID:sHywA2lL0
あ、言い方が悪かったスマソ

727 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 20:37:47 ID:DSGd27vIO
>>725
それならすまん。
4の人が過剰に称賛される理由は初代スレからカキコしつづけたためじゃないか?
会社で例えると創設者って言う立場で。
上手い表現が出来なくて申し訳ないが傘下にレッドマンやタカハシ・総長などの他の職人さんがいるって言う状態かもな。
これから先今職人さんや新人にも書いてほしいね。

728 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 20:52:48 ID:sHywA2lL0
>>727
723は>>722がつまりはそういうことが言いたいのだろと言いたかっただけ。
4の人は色んな意味でこのスレの牽引役だろうね。

>避難したくない避難所
元々は職人同士の雑談所があれば良いのにという話が
いつの間にかスレッド全体の避難所になってるのが。。。

最もそういう使い方は正しいのだけど、
単にここと違う空気が流れてるのが明らか故に近寄りがたいのか。

729 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/25(木) 23:00:07 ID:DSGd27vIO
>>718-720
これから先カキコするのかな?
仮にそうなら頑張ってほしい。

730 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/26(金) 21:20:41 ID:/s/nXBM80
残り60KBだから長文は控えるか
次スレ立ててからにしたほうがよさそう

731 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/26(金) 22:12:52 ID:7QSMKIJIO
一人分ならなんとかなるかも…

732 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/26(金) 23:22:24 ID:yf+PHxZM0
残された職人はあとわずか。どうなることか・・・・

733 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/26(金) 23:50:29 ID:7QSMKIJIO
現在確認できているのは
4の人
総長
レッドマン
タカハシ
暇潰し
この職人さん達ぐらいか?
新人なら>>718だな。

734 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/27(土) 09:53:50 ID:CFOIw9E9O
>>733
クロベタンを忘れている

735 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/27(土) 09:54:06 ID:0ckvOhBs0
 *「変わった人間だなぁ…私と対峙しているなんて…なんと勇ましいんだ…」
タケ「じゃ、じゃかましいわ!!」
 *「せめて私の名前だけでも教えてあげよう――――私の名はドルマゲス――――」

コイツの名がドルマゲスって言うのか。もしかして・・・・・・・

タケ   「確かトロデ王やミーティア姫に呪いをかけた張本人やな………」
ドルマゲス「悲しいなぁ。私の名前がこの世界でも知っている人間がいるとは。」

ドルマゲスが発言した後なんと体が空にに浮いていったのだ。――――――――背筋に冷汗が走る。

ドルマゲス「だが、君の人生の中で私が最後に出会った人間になる。」
タケ   「な、なんやとっ!?」








ドルマゲス「――――――――――――今すぐ殺してあげよう――――――――――――――――」











736 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/27(土) 09:55:48 ID:0ckvOhBs0
タケ   「か、簡単にやられへんわい!!ロトの血を甘くみるんや無いで!!!」
俺は一直線にドルマゲスに向っていった。

ドルマゲス「汚い突進だなぁ。ヒャダルコ。」

ドルマゲスが呪文を唱えると周りに吹雪が発生し俺に襲い掛かった。

タケ   「ぐっ………がああッッ!!」
ドルマゲス「成程。普通の人間ではないみたいだなぁ。これで死ぬはずなのに。キヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!」
タケ   「こ、こいつ、頭がイッてやがる…」
このジャンキー、相当余裕がある。さっさと攻撃を仕掛けなければ。

体中が寒くて動けない。どうやら凍結しまったらしい。幸い盾を持っている左腕だけは動かせる。

タケ   「くそがぁ!!動けへん!!」
ドルマゲス「ちなみに君は寒いのかい?悲しいなぁ。それなら暖めてあげよう。メラミ。」

今度は大きな火炎球の呪文を唱えてきた。大防御の体制すらとれない。ここは鉄の盾で耐える事にした。

タケ   「ぎゃああああああああああああああああああああっちぃぃぃぃいいいぃいぃいぃぃいぃいぃ!!!」
ドルマゲス「そんな盾で防げるなんて考えが甘いなぁ。まさに焼け石に水って言う事だなぁ。ハハハハハハハ!!!!」

タケ   「て、鉄の盾がドロドロになって溶けてる………」
ドルマゲス「君もここまでみたいだなぁ。絶望を味わせてあげよう。」

流石に今回ばかりは切り札が無い。敗北確定か…………


737 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/27(土) 09:57:13 ID:0ckvOhBs0
タケ「(もょ、すまねぇ。俺はここまでや…)」
もょ「(か、かわりにおれがやる!よわねをはくな!)」
タケ「(俺がやられたら死んだふりをしてその場をしのいで逃げるんや…あいつにはまだ勝てへん…)」
もょ「(バカなことをいうな!!)」

タケ「(そ、それにな、お前が死んだらムーンちゃん達が悲しむやろうが…)」

もょ「(……………………………………………………)」
タケ「(俺はもょの影の存在や……死んでもええねん……それにの世界で自分自身良くやったっておもっとる…)」
もょ「(そんなことをいうな!…………おれが……かなしいじゃないか。)」
タケ「(もょ…………)」
もょ「(ぜったいにおれもタケもいきのびるんだ。いいな!!)」
タケ「(…………ありがとう。まかせた………)」

もょもとに代わってもらった。俺は涙が出た。ただこの感情が混みあがってきた。






                  生きたい                   










738 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/27(土) 10:00:19 ID:0ckvOhBs0
もょ   「ゆるさないぞ!ドルマゲス!」
ドルマゲス「ほほう。まだたち上がって来るのか。なんと喜ばしいことだろう。私こそ忘れはしない。
      君の勇ましさはわが魂に永遠に焼きつくことになる。さあこれ以上私を悲しませないでおくれ・・・。」
ドルマゲスが更に威圧感を高めてきた。
もょ   「ううっ……すごいきはくだ………」
タケ   「(もょ……)」
もょ   「(しんぱいするな。タケ。)」
タケ   「(頑張れ……)」
もょ   「(ああ。)」

もょ   「いくぞ!」

もょもとがドルマゲスに斬りかかりに行った。その時だった。
ドルマゲス「ハァ………ハァ………な、なぜだ?ち、力が……抜けていく………」
もょ   「うわ!!」
ドルマゲスが急に上空に逃げ出した。
ドルマゲス「ここは…………退散……するか………」

そう言い終わった後、遙か遠くへ飛んで行った。

もょ「た、たすかったのか?」
タケ「そ、そうみたいやな…よかった。」

もょもと&タケ
Lv.15
HP:8/105
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜 
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:はやぶさ斬り・魔人斬り
タケ専用  :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御


739 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/27(土) 12:29:37 ID:p1sNOPfWO
>>レッドマン乙!
ドルマゲスの表現がSUGEEEEEEEEE!!
もょもとはいい奴だなぁ〜

740 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/27(土) 19:55:33 ID:0IPbV0760
このスレってGANTZのパク(ry

741 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 01:51:27 ID:FRB1h3jN0
さて埋めるかね!

742 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 01:51:59 ID:FRB1h3jN0
次の日。足取りは重い。場合によっちゃあの城にいる奴ら全員ぶっとばさなきゃ気がすまねえ。
相変わらず衛兵に止められる。ブン投げた。どけ。俺達は最短距離でヒミコの元へ向かった。


ブチのめしたぜ。やまたのおろち。まことか!?とヒミコが驚く。しかし俺たちの浮かない顔を見て
黙り込む。これに見覚えはあるかしら?とねーちゃんが例の勲章のようなものを見せる。
あの洞窟に落ちていた。…………説明してくれ。

一呼吸置いてヒミコは話し出した。

それは…我が国が公的に作っているものじゃ。各役職ごとに異なる紋章を授ける。
古くからの伝統じゃ。そしてそれは…もうよい。本人を直接呼ぼう。

ヒミコは衛兵に何か耳打ちすると衛兵は一礼した後出て行った。数分後。
部屋に入って来たのは最初にこの国に来たときに食ってかかってきた極右の老人だった。

これが封印の洞窟に落ちていた。説明してくれ。

ヒミコはそれだけ言うと紋章を老人に渡した。老人はため息をつくと右手を大きく振り上げた。
突然ドカドカと十数人はいるであろう武装した兵士が部屋になだれ込んで来た。
状況が把握できない。どういう事だ!?ねーちゃんと目が合う。
ねーちゃんが女王様を守って!と指示を出す。何が何だかわからないが俺達は王座を取り囲む様に
円陣を組み備えた。おいおい。ヒミコは顔を強張らせたままどういう事じゃ!と叫ぶ。

743 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 01:54:12 ID:FRB1h3jN0
姫様…いや今は女王様か。わしは先代国王の時よりずっとこの国の為に心身を奉げてきた。

………?

王妃様はあなたを産んだ後直亡くなられた。偉大な王であった先代の血をひくのはヒミコ様
あなだだけじゃ。王位を継いだ事も女王となった事も何の間違いは無い。

………??

しかし…あなたの思想は危険すぎた。隣国と仲良くとな?笑止万全!何故選ばれた民である我が民と
下民である者たちが手を取り合う必要がある?崇高なるジパング国の指針は一つ!他の国を従える事
のみ!残念だが姫…いや女王様。あなたにはここで退官願う。死をもって!

老人が手をかざすないなや、兵士達が異形の物へと姿を変えた。
コイツ…魔王と手組んでやがったのか!?非常に混乱しているが今しなけりゃいけない事は一つだ。
こいつらを叩きのめす!

俺はねーちゃんと勇者にヒミコの護衛と呪文での後援を頼んだ。そしてパンツと敵陣に切り込む。

数は多いがやまたのおろちに比べりゃ雑魚だ。片っ端から片付けていく。暫く後目の前に敵対するのは
老人だけだった。

744 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 02:00:58 ID:FRB1h3jN0
ぐぬうううぅぅ…愚かな者達よどこまでも神の国に楯突こうというのか…

老人が凄い形相でこっちを睨む。知るか。とりあえずコイツはとっつかまえてなければ。

ククク…お困りのようですね…

どこからともなく嫌な声が聞こえる。生理的嫌悪感をもよおすこの声。どこかで聞き覚えがある…

不気味な黒い霧と共に一人の覆面の魔術師的な男が現れた。
俺とパンツと勇者は絶句する。コイツは…コイツは忘れもしねえ!あの時あの時じーさんが自分の命と
引き換えに潰した奴あの時の…言葉が出ない。心の奥底からただ怒りが湧き起こる。

てめえ生きてやがったのか!おまえだけは絶対に俺の手で潰す!

今にも飛び掛ろうとした。が、体が動かない。

落ち着きなさい。相変わらず熱い男だな。今日はおまえらの相手をしにきたんじゃない。
後始末にきただけです。

と、次の瞬間魔術師の手が老人の胸を貫いていた。

今までよく働いてくれました。あなたがジパングに与えた恐怖や絶望…大魔王様もお喜びでしたよ。
ただやまたのおろちを失った今もうあなたは不要です。安らかに地獄に行きなさい。カカカ…

745 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 02:12:20 ID:FRB1h3jN0
老人は口をパクパクさせながらうわ言のようにジパングと呟くとやがて動かなくなった。
魔術師はボロ雑巾のように老人を投げ捨てるとこっちに向かってきた。

やまたのおろちを倒した所をみると少しはマシになったようだが…この程度の邪気で
身動きが出来ないようじゃまだまだだな。大魔王様もおまえらが自分の存在を脅かすくらい強くなるのを
お待ちですよ。色々な国を回り様々な人を助けもっと勇者とその仲間として完成しなさい。
勇者は人々の希望であるから勇者なのですよ。ククク…

メェェラゾォォォォッッマァァァァァ!!!!!!!

極大の火球が魔術師を捉える!

轟音と共に大量の煤と埃が舞い上がり一瞬視界を遮った。

徐々に視界が回復する。

ほう…さすがこの状況で動けるとは…異世界より迷い込みし賢者よ。少しは楽しませてくれるようだな。

コイツ…俺の必殺技を食らって無傷なのか!?ヤバイ近づいてくるが今度こそまったく指一本動かせない。
く…殺られる……………!

746 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 02:16:02 ID:FRB1h3jN0
次スレタテレズ

ダレカ

タノム

747 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 02:26:58 ID:FRB1h3jN0


魔術師が耳元で囁いた。

そして去って行った。

俺達の金縛り?も解けたらしく全員が一斉に動けるようになった。目の前にあるのは魔物の死骸の山と
老人の屍。外にいた兵士が何事ですか!?となだれ込んできた。ヒミコは力なく死骸の片付けと
老人の埋葬を命じた。

ひと段落ついてもう一度ヒミコの座の前に集まる。重い沈黙。

重ね重ね礼を言うぞ。勇者とその仲間達よ。やまたのおろちの件だけでは無く命まで助けてもらった
ようだな。こんな事言える立場じゃないかもしれんがあの者は手厚く葬った。許してくれとは言わん。
ただ誰よりもこの国を愛するが故の行動だと思っておる。わかってやってくれ。

そして一冊の日記のような物を差し出した。あの老人の部屋にあった物らしい。
内容は要約するとこうだ。ジパング再興のため魔王軍と手を組んだ事。やまたのおろちを使って
ヒミコの世評を下げ退官させようとした事。そして最終的に魔王軍が世界征服した後
ジパングだけは独立を守ることを契約した事…何があの老人をここまで駆り立てたのだろうか。
さっぱり理解できねえ。

748 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/28(日) 08:15:57 ID:2ktTs/pNO
総長・レッドマン乙!
先の展開がワクワクするだ。

749 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/28(日) 09:31:33 ID:RpCKELpZ0
新スレ、規制されてるぽくて立てられなかった
どうしたらいいのかな
一応、避難所で出たテンプレを張っておきます



もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら 七泊目

ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言、オリジナル何でも歓迎です。

・スレの性質上1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1142080254/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」避難所
http://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi

750 : ◆vNFYAR5c0g :2006/05/28(日) 11:48:13 ID:QhyPK3S10
立ててくる

751 :魔神 ◆vNFYAR5c0g :2006/05/28(日) 11:53:32 ID:QhyPK3S10
無理でした

752 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/28(日) 12:26:55 ID:AaT+g6Z00
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1148786712/

スレタイに半角スペース入れるとサブジェクト長杉が出るよ

753 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 12:46:30 ID:FRB1h3jN0
>>752
ありがとう!ここは埋めきるので投下する人は次スレでよろしくお願いします

754 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 13:16:37 ID:FRB1h3jN0
さて話を本題に戻そう…。ぬしらが求めていたオーブの話じゃが…

オーブ…ああそうだ忘れてたたしかあの鳥居の洞窟の奥にってオイ!入り口はもう塞いじまったぞ!
やべえすっかり忘れてた。今から掘り返すのか…しかしあそこは俺とデカブツの名誉ある死闘の場所…

あの洞窟にはありませんでした。

ねーちゃんがこれまた驚き発言をする。えっあの状況で探してたのか!?当たり前でしょと多少冷たい目で
こっちを見る。正直先にオーブ見つけてやまたのおろち退治は後回しにしようと思ってたわ。
勝てそうにもなかったし…結果論から言うと勝ててよかったけど総長さんも私達を率いるリーダーなら
その辺もっと慎重に行動して欲しかったわね。……こんな所で説教しなくてもいいじゃないか…

あやつの手記と共にあったわ。もう我々には必要ないもの。好きにするがよい。

と紫色に輝くオーブを渡された。そうかあの老人が持ってたのか。いやいや結果オーライだな。

ヒミコはさすがに顔色が優れない。そうだろな。これからこの国の奴らにこの一件を
どう説明するのだろうか。差し出した生贄…支払った犠牲を考えると黒幕が魔王とうちの大臣でした
なんて簡単に言えるもんじゃない。事情をしってる周りの大臣や兵士も表情は重い。

俺は考えた。この空気。この雰囲気。問題は山積だがだからこそ立ち止まってはいけない。
一歩ずつでも前に進まなくては。そしてこの状況を打開するには…酒しかねえ。

おいヒミコ。今すぐ宴会の準備をしろ。国をあげて総出の宴会だ。異論反論は許さん。
逆らったらこの国ごと潰すぞ!

755 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 13:17:09 ID:FRB1h3jN0
一気に城内はザワついた。バカな…あの異国人は何を考えてるのか…この状況で…空気読めよ…
あちらこちらで陰口が聞こえる。ええい黙れ!世界の覇王に最も近い俺に逆らう奴はブン殴るぞ!


数時間後。夜もすっかり更けたころ、国で一番大きい広場に物凄い人数が集まった。
ブツブツ文句をいってた兵士や使用人もいざ宴の準備を始めるとちょっと楽しそうだった。
頃合を見計らって一番高い演説台に立つ。

…誰も見ちゃいねえ。それどころか何の為に集まったかも知らされていないので不審そうな顔をしている。
目の前には大量の料理と酒。家にあるありったけの酒と料理をもって広場に集まれという
女王からの謎の通達。不審がるのも無理はないか。ここは一発派手に民衆の心を引くしかないようだ。
花火でもあげるか。俺は天を仰ぐと夜空に向かい叫んだ。

イ オ ナ ズ ン !

けたたましい轟音と共に一瞬真昼かと思う程に夜空が光った。突然の出来事にへたり込む奴や
当然子供は泣き出した。うんうん。この反応を待っていた。一息つくと俺は声を張り上げた。


コホン…えー俺は鬼浜爆走愚連隊の総長である!
近い将来この世界の王となる男だ有難く目に焼き付けておけ!

あっけにとられる民衆共。

えーここで一つ報告がある!おまえらを悩ませるやまたのおろちはもういない!
俺達が死闘の末今アイツは洞窟の奥で永遠の眠りについた!感謝しやがれ!

756 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 13:17:40 ID:FRB1h3jN0
そんな話信じられるか!いやまてしかしヒミコ様の命でここに集められたんだから…あんな異国人の
たわ言など!やっぱ全然信じてねーなコイツら。おいヒミコ出て来いや!

この者のいう事は真実じゃ。

ヒミコが台の上に立った。一斉に静まり返る。

勇者率いるこの者たちの手でやまたのおろちは倒された。そして今みなに伝えなければならない事がある。

ヒミコはありのままを国民に伝えた。内容が内容だ。中には敵意むき出しでこっちを睨む奴もいる。

再び俺が前に出る。

えー色々思うとこがあるかもしれないがおまえらに一つ命令しておく!今回の事は全て水に流せ!
そしてやまたのおろちと言う天災が去った今、今日この日を記念日にしようと思う!
毎年今日を「鬼浜祭り」として未来永劫祝え!飲め!歌え!踊れ!騒げ!

一気にヒートアップする広場。賞賛と怒号が飛び交う。

えーそれでは鬼浜祭りに…乾杯!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そう叫ぶと俺は持っていたグラスに注いである酒を一気に飲み干した。
かんぱーい!と勇者も声をあげパンツやねーちゃん、ヒミコ、兵士、城の使用人、その他みんな一斉に
酒に口をつける。なんだかよくわからないがその雰囲気に呑まれあちらこちらで乾杯の音頭が上がった。


757 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 13:43:41 ID:FRB1h3jN0
そう叫ぶと俺は持っていたグラスに注いである酒を一気に飲み干した。
かんぱーい!と勇者も声をあげパンツやねーちゃん、ヒミコ、兵士、城の使用人、その他みんな一斉に
酒に口をつける。なんだかよくわからないがその雰囲気に呑まれあちらこちらで乾杯の音頭が上がった。

もうあとはとにかく酒を注いで回る。飲ます。飲まされる。一時間だか二時間だか過ぎた頃には
かなりの人数ができあがってきていた。もう誰も恐い顔をしている人はいない。

うんうんこれでいい。やはり祭りはこでなければな。と、むこうから女の子がいっぱい駆け寄ってきた。
これは…もしかして…そうだ。俺はこの国を困らすデカブツを倒した。つまりこの国の英雄ってやつだ。
キャー本当にやまたのおろち倒したんですね!すごーいつよーい!かわいいーーーー!!!!
へへへよせやい照れるべ!?え!?かわいい!?案の定俺を素通りして女の子軍団は勇者とねーちゃんの
元に向かった。パンツが総長総長と寄ってくるなんだよ気持ち悪いな。こっち来んな。
え?あっちで俺の武勇伝聞きたい奴がいっぱいいるって?しゃーねーなおい行ってやるかデへへ
…そこにいたのは明らかに土方系のイカツイにーちゃん達…あっちの世界でもこっちの世界でも
こんな奴らばっかにモテるのはなぜだろう。チクショウ…



それから更にしばらくたった。ねーちゃんがこっちに来る。ねえ一つ聞きたい事があるんだけど…
あの魔王軍の魔術師最後総長さんの耳元で何か言ってたでしょ?何を言ってたの?

758 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/05/28(日) 13:44:12 ID:FRB1h3jN0
そう…あの時からずっと心にひっかかってる事。アイツは…あの時信じられないが俺の事名前で
呼びやがった。この世界に俺の本名を知ってる奴はいない。俺が誰だろうと関係ないし
総長の方が昔から慣れ親しんでる呼ばれ方だ。それどころか俺が異世界から来た事を…

いや違う。無論それも不思議ではあるのだがあの声、あの声はどこか懐かしい。
口調はまったく違うのだが俺の良く知るアイツにどこか似ているーちょっと?大丈夫?聞いてる?

いけないいけない自分の世界に浸りこんでしまった。ねーちゃんには本当の事話すべきだろうか。

いいわ…誰にだって知られたくない事はあるし無理に聞こうとは思わないわ。

そう言って微笑むとねーちゃんは去ってしまった。別に隠す程の事でもないんだが…もし
仮に俺が異世界から来た事をぶっちゃけるとコイツらはどう思うのだろうか。

この国のやつらは生まれた国が違うというだけでかなりの偏見を持っていた…俺の場合はそもそも
世界が違う。……ていったい何考えてんだろうか。酒のせいだ酒のせい!
今目の前にうまい酒がある!それでいいじゃないか!



俺はその日も結局浴びる程飲んだ。

759 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/28(日) 22:06:00 ID:vzz0dAd/O
総長乙!!!!!!

760 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/29(月) 02:07:25 ID:CptPapMEO
そういや総長て埋めマンだったなw
そろそろ話しも佳境ですか…

761 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/30(火) 00:18:25 ID:8+joIaxG0
呪文習得方法を人々に聞く。

762 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/30(火) 10:26:11 ID:fBSFLzST0
まだ40Kはあるぞ。

763 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/30(火) 21:34:38 ID:RBXEgjTbO
そういうことなら梅
あと何レスくらいだ?

764 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/30(火) 22:59:56 ID:RBXEgjTbO
はいはい埋め埋め

765 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/30(火) 23:23:18 ID:vZqosDiNO


766 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/30(火) 23:28:27 ID:RBXEgjTbO
はいはい埋め埋め

767 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/31(水) 01:15:31 ID:DPcWCuxqO


768 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/31(水) 01:41:22 ID:ogan4/KyO


769 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/31(水) 20:43:43 ID:HyzRJ3Eq0


770 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/31(水) 21:54:32 ID:GRsqsSl+0
梅干し

771 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/01(木) 00:51:30 ID:DgXn+71o0
殿下

772 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/01(木) 01:27:35 ID:6tPIXwAA0
まだ39KBもあるんで放置推奨

773 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/02(金) 01:11:45 ID:EP7JB/qt0
うめ〜梅

774 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/02(金) 19:55:39 ID:lqIeMaWCO
雑談スレみたいな小ネタやってみる

  総長「俺様以外にも冒険者がいるみたいだな。」
  タケ「へぇ、あんたらもよその世界に行っていたんや?」
タカハシ「俺はいきならトルネコと会った。」
 真梨奈「私はいきなり疑われていろいろ尋問を受けちゃった。」
 クロベ「ミモザが偉そうでちょっと戸惑ったな。助けてもらってあれだけど…」
ジャガン「俺なんかダークヒーローだぞ。うはwwww人々から恨まれまくりwwwwww」
ヒーロー(4の人)「でも俺たちも夢がひろがりんくで結果的には良くね?」


775 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/06/02(金) 20:10:10 ID:FwTisM2v0
>>774
おもしろいですw
妄想してみた事はあったです

776 :☆スター☆:2006/06/02(金) 20:32:56 ID:63Tds08kO
『ドアドア』って、画鋲みたいなの踏んで死ぬ。

777 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/04(日) 00:03:18 ID:BV7PRIBAO
>>774
つられてやってみる。
ヒーロー「おまいらが驚いた事って何よ?」
総長 「バニーのねーちゃんがすげぇ色ぼっかったな。あの食い込みはたまらねぇ。後酒が美味い。」
タカハシ「テリーがかなり頼りになった。6ではドランゴ引換券だったなのにな。」
タケ 「俺はムーンのヌードを見た事やな。マジ神秘的やった。」
ジャガン「おまwwwwww俺なんか魔族ばっかりだぞ。テラウラヤマシスwwwwwまぁ空が飛べた事だな」
真梨奈 「私の場合はスライムが懐いたことかな。後大きなカニを食べて凄く不味かった。」
クロベ 「まだいいわよ。バカでかい魔物に襲われたのがびっくりしたわ。ところでヒーローはどうなの?」
ヒーロー「そうだなぁ………………………………人生初めて密室空間で女性と話したり………………まぁ、色いろあった。」
 総長 「羨まし過ぎるぞてめー!」

ジャガン「おまいら俺だけ仲間外れかよwwwwwwwwww」


778 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/06(火) 12:40:18 ID:nxP+t3x+O
>>777
まぁ…頑張れ。


779 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/06(火) 22:49:24 ID:GKXn/bb/0
テラオモシロスwwwwww

780 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/10(土) 16:03:04 ID:0WWW1C2E0
保守っと

781 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/10(土) 22:04:34 ID:JSAvW4tWO
あげ

782 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/14(水) 15:34:30 ID:jnbhkObq0
このスレ閑古鳥が鳴いてるな…(´・ω・`)ショボーン

783 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/15(木) 00:09:04 ID:4sHnpAfxO
う〜

784 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/15(木) 01:23:11 ID:ADCVIwih0
誘導
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1148786712/l50
七泊目が立ってます

このスレは放置ヨロ

785 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/17(土) 23:51:04 ID:fPcogZBLO
つ囲

786 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/22(木) 12:55:06 ID:uAmAdrps0
 

464KB
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