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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら八泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/29(日) 16:15:16 ID:vi16nIqg0
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです
短編/長編小説形式、レポ形式、オリジナル、何でも歓迎です

・基本ですが「荒らしはスルー」です
・スレ進行が滞る事もあります、まったりと待ちましょう
・荒れそうな話題や続きそうな雑談は容量節約のため「避難所」を利用して下さい
・スレの性質上レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角右アングルブラケット二つ)+半角数字(最後に投稿したレス番号)」)をつけると読み易くなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目
ttp://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1148786712/

まとめサイト(書き手ごとのまとめ/過去ログ)
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi

667 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 01:47:27 ID:PH6p2EXF0
下げ忘れたスマソ

首吊って

668 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 02:19:24 ID:vIWBWaNI0
恥や外聞を捨てる事から全ては始まる
その時が来たら
私は血も心も捧げます
正気にては大業ならず
ネタスレに限らず、創作はシグルイなり

669 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 02:24:13 ID:BQZrQ54t0
4の人お疲れ様でした。いままでご苦労様です。大変楽しませていただきました。

けどソフィアも幸せにしてあげて欲しかったです。

670 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 02:39:04 ID:bToxa5CC0
総長・・・(・ω・`)

671 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 02:43:35 ID:jODi2nwb0
俺も総長読みたい

672 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 07:04:08 ID:gX2wgl65O
総長という流れをよまず、オリジナル書いてみますた。
一応出来たとこまで書き込みます。
これテストなんで、つまらんくて目に毒っぽいならやめるんで教えてください。

話として続きはどんどん明るく、バカバカしく、口悪く書いてこーかと思いますww

673 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 07:05:13 ID:gX2wgl65O
全ては―たった1つのレスから始まった。

『ドラ糞マジつまんね』

…このような心無い書き込みなど2ちゃんでは日常茶飯事だと言うのは重々承知している。
しかし、その日は酒が入っていたせいだろう。
俺はどうしてもそのレスが許せず、ついつい反応してしまった。

『氏ね。ドラクエの面白さが分からんヤシはうんこ』

そいつはすぐにレスを返してくる。

『俺も昔はドラクエ好きだったよ?ただ「ドラクエ課」が「第9開発事業部」に変わってからは糞。
…あと、悪口に「うんこ」しか思い付かないお前は童T(ry』

…俺は怒りのあまり体が震えていたことに気付いた。

許せない。確かにFC、SFC時代の作品は素晴らしいが、7、8だって良い所はあるんだ。
俺はこいつを許さない。ドラクエを糞呼ばわりしたこいつを…俺の童貞を見抜いたこいつを……絶対に許せない。

674 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 07:06:03 ID:gX2wgl65O
俺は再びキーボードに指を走らせる。

俺はこいつにドラクエの良い所を知ってもらいたかった。
別にマンセーして欲しいわけではないが「糞」の一文字で片付けられてしまうのは余りに切ない。
さっきはああ言ったが、もう俺の童貞なんてどうでもいい。

だが…酔っぱらっているせいか?
うまくキーボードを叩くことができない。
PCの画面が揺らめく。
映しだされた文字が、まるでゲシュタルト崩壊を起こした時のように認識することが出来なくなっていた。

…ヤバイ…気持ちわりぃ…このままじゃ吐き…いや、ぶっ倒れそうだ。
もう意識を保つことで精一杯。
今さっき考えていたことすら思い出すせなくなってしまっていた。

…くそ、俺は18年も生きてて「思い出す」すら覚えていないのか…?
だが書き込まなければ……ハッタリでいい。たった一言でいいんだ。……打ち込め!!

『俺は童貞じゃない!!』とッ!!

675 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 07:12:29 ID:gX2wgl65O
『…ここ…どこだ?』

何も見えない、聴こえない。

…あぁそうか。俺はカキコする直前に力尽きたのか…

だが…何故だろう?
さっきまでとは打ってかわって意識がハッキリしている。
それに、落ち着いたからだろうか?
さっきまでスレ上でやりあっていたヤシも気にならない。
単なるアンチとスルーできる心の余裕も戻った。

『真っ暗だな…』

ここが夢かどうかは定かでは無いが…1つだけ確定していることがある。それは……
次に目覚めた時、俺はきっとドラクエの宿屋のベッドの上にいる。と言うことだ。
それは、さっきまでドラクエを擁護していたという完璧なフラグと、このレスがこのスレに書き込まれているという事実から容易に推測できる。

俺は腹をくくった。

……別に昨日母親にオナヌーを見られたからこんな逃避をしているわけではない。
俺は主人公として全てを受け入れると決めただけなのだ。

676 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 07:13:34 ID:gX2wgl65O
しかし…そう意気込んだものの…

『………』

俺は常闇の空間でふと思った。

振り返ると…なんのイベントもない冒頭だったものだな。と…

魔王に敗れ、体を分離させられたわけでもない。
夢で性格診断もされていない。

虚しさを全く感じないと言えば嘘になる。

…しかしこれが現実。
俺の物語はゲロを我慢して気絶したところから始まったのだ。

677 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 07:14:41 ID:gX2wgl65O
『納得できるわけねぇ』

そんな冒頭なんて俺、不憫過ぎ。
1つだけ我儘を言わせてください。
せめて性格は『むっつりスケベ』にしてください。
あの能力値の成長度が魅力的なんです。
決して僕はむっつりではありませんが、お願いします。

などと虚空に向かって懇願し続ける俺。これまでに費やした時間は、軽く1時間を越えているだろう。

しかし…中々イベントが始まってくれない。
このままでは冒険に出られないという大惨事が起こってしまう。
恐らくこれは俺がまだレム睡眠だからいけないんだと思う。
深い眠りから醒めればそこはきっと宿屋のはず…

『さて、冒険の書を作るとしますか…』

俺はそう呟き、全身の力を抜いた。

一応…「むっつりスケベ」になる努力はしておこう。

俺は薄れゆく意識の中、チャモロ×ハッサンを妄想しながら、深い眠りを待つことにした。

678 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 07:23:46 ID:tjodah3FO
支援

679 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:33:11 ID:TAboHnyD0
おはようございます。
総長〜新作という流れを全く読まず
>>546続き投下します

680 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:34:46 ID:TAboHnyD0

城門を抜けると、闇は一層濃くなった気がした。
ビアンカが『なんだか不気味ね・・・』と呟く。
低い塀に沿って正面に向かうと、扉の前には
風雨に曝され続けてきたのだろう幾つもの墓石が立ち並んでいた。
ビアンカが嫌そうに顔をしかめる。

『やだ。どうしてお城の入り口にこんなに沢山お墓があるの?』
問いの答えは持ち合わせていなかった。
わからない、と首を振って墓の間を抜けていく。
扉は開かない。

ビアンカが一緒に手をかけるが、幾ら押しても引いても扉は固く閉ざされたままだった。
正面を諦め、城の外壁に沿って裏手へ回る。
途中に転がっていた壷を調べると、薬草とキメラの翼があった。
拾い上げて更に城の裏へ向かう。

月灯りが見えてくるかと思ったが、
僅かの間に空は分厚く黒い雲で覆われていた。
今にも雨が降り出しそうに、空気が湿り気を帯びている。

681 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:36:40 ID:TAboHnyD0

城には裏口はなく長く高い上階までの螺旋階段があった。
金属で出来ているらしいそれはすっかり錆び付いて、
触れるとざらついた感触が掌に張り付く。

細い手摺意外に支えのない剥き出しの階段をゆっくりと慎重に上っていく。
ビアンカが手摺に当てたのと反対の手で俺の服を掴んだ。

時間をかけて一番上まで辿り着くと、
ぽっかりと口をあけた大きな入り口があった。
真っ暗なその中は、サンタローズの洞窟を彷彿とさせる。
躊躇いながらの口調でビアンカが『ねえ、先に行って?』と呟いた。
その声が微かに震えていて、俺はなんだかほっとした。

ビアンカの手を引いたまま暗闇に踏み出す。
瞬間、空間を震え上がらすような大きな雷の音が響いた。
反射的に耳を覆う間もなく、真後ろで鉄扉がけたたましい音を立てて閉じる。
ビアンカが小さく悲鳴を上げる。

まるで一瞬のうちに全てが起こり、聴力が奪われたかのような沈黙が戻った。
青紫色の雷光が、余韻を落とすかのように室内を一瞬だけ照らした。
小刻みに震えるビアンカの掌を感じて、俺はその小さな手を握り返す。

682 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:37:59 ID:TAboHnyD0

『ねえ・・・、閉じ込められちゃったの?』
動揺を隠さずにビアンカが泣きそうな声を出す。
雷の音が、応えるように天から唸り声をあげる。
途切れ途切れに照らされる部屋の中央には棺桶が並び、奥に階段が見えた。

階段を示すとビアンカは少し安心したように
『進んでいけば大丈夫よね・・・』と言った。
手は離さないまま棺桶の間を進む。

一つ一つのその箱からは、何者の気配も感じなかった。
試しにひとつ開けてみようとすると、
ビアンカが『やめてよ、サン』と気味悪そうに言った。

諦めて階段まで差し掛かったところで、ゴトン、と背後から、物音が響いた。

恐る恐る振り返る。
ゴトン、ゴトン、と音を立てて、
並べられた棺桶の蓋がひとつずつ床に滑り落ちていた。
なにあれ、とビアンカが悲鳴交じりの声を上げる。
ぬるりと、中から得体の知れない何かが、姿を現す。

不意にまた部屋が闇に包まれた。
ビアンカの悲鳴。
咄嗟に繋いでいた手に力を込めたが、それは否応なしに暗闇に引き剥がされた。
視界が戻る。開け放たれた棺桶。
ビアンカの姿はもうない。

683 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:39:03 ID:TAboHnyD0

大丈夫、何処に居るかはわかっている。
もしそれを知らなかったら俺は、この孤独な暗闇の中で途方に暮れるしかないだろう。
俺は身を返すと一気に階段を駆け下りた。

広い通路には鎧を纏った戦士の像が立ち並んでいる。
そのうち一体が微かに動いたような気がしたが、
とりあえずそれを無視して俺は奥の扉を開けた。

荒れた広いバルコニーに、小さな墓石がふたつだけ並んでいた。
入り口前にあった物と同じように風雨に削られ朽ちていたが、
崩れかけたそれらに掘り込まれた装飾が他のものと違うことは一目で解った。
黒い雲がまた紫色に光り、雷鳴が響く。

その音に混じって、小さく呻くか細い声が聞こえた。
手前の墓石を調べたが変化はない。

もうひとつに目を遣ると、もう一度少女の声がした。
それを手がかりにもうひとつの墓石を調べる。
動かせないんじゃないかと不安だったが、乗せられた石の蓋は、
俺が力を込めると簡単に台座から滑り落ちた。
同時に少女が大きな棺の中から顔を出す。

684 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:40:38 ID:TAboHnyD0

『ああ!苦しかったわ!もう、なにしてたのよ!遅いじゃない!』
転がるように暗い穴の中から這い出して、
ビアンカは息苦しそうに大きく息を吐いた。
手を取って立たせると、体に纏わり付いた砂埃をぱたぱたとはたく。

『もう・・・まあいいわ。探してくれてたのよね。早く行きましょ?』
ぎこちないままの笑顔で差し出されたビアンカの手を握って、
俺は少女の前に立って反対の扉に向かった。

中はかび臭い書庫だった。
幾つも並べられた本棚は何者かが掻き回した後のように乱れ、
分厚い本が何冊も床に散乱している。

今くぐった場所のほかには見渡す限り扉はなく、
一歩踏み込むごとに足元に舞い上がる細かなほこりが
大きな窓から瞬くように差し込む青紫色の光に照らし出されていく。

ぴかり、ともう一度雷が瞬いた時に、
ビアンカが小さく悲鳴をあげて俺の手を強く握った。

その瞬間まで気付かなかった。
窓の手前、白く輝く何かが、こちらに背を向けてふわりと佇んでいた。
視界の半分を遮る本棚を迂回して一歩、それに近付くと、
外光を反射した白いそれはゆっくりと、こちらを振り向いた。

685 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:46:16 ID:TAboHnyD0

ビアンカの手が緩むのを感じた。
暗闇に浮き上がるようにぼんやりと白いその女性の笑顔は、
あまりにも寂しそうで、悲しいほどに美しかった。

言葉が出なかった。
女性はじっと俺とビアンカを見つめると、そっと目を閉じる。
その睫毛の先から、透明な雫が一筋、頬を伝い落ちた気がした。

刹那、弾けるような雷鳴と、何かが床を引きずる嫌な音が背後に響いた。
ビアンカが悲鳴を上げる。
振り向くと、部屋の真ん中を占拠していた大きな本棚が、
何冊もの本をばたばたとこぼしながら床を滑り
壁に衝突して最後うつ伏せに倒れ込んだ。

空気が変わるのを感じてもう一度窓に向き直る。
女性の姿はなく、淀んだ夜空が怒りを表すかのようにびかりと光った。

『あの人、もしかして・・・』
無くなった本棚の下から現れた階下へと続く小さな階段を見下ろしながら、
俺はビアンカの冷たくなった指先をもう一度握りなおした。

686 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:47:35 ID:TAboHnyD0

階段を下りると、城内は更に傷み、
かびと埃の交じり合った湿っぽい匂いが強く鼻を突いた。
窓から差し込む雷光と出所の知れないぼんやりとした灯りで、
歩き進むことには不自由はなかった。

蝶番の壊れかけた扉の先には毛羽立って変色した絨毯が敷き詰められ、
中ほどには城内で初めての両開きの大きな扉が設えてあった。
この城がまだ幸せに平和に存在していた頃の、
きっと高貴な人間の場所だったんだろうとそれだけで解った。

そっと扉に触れる。
ささくれ立って面影さえ残さない上質な上紙が
俺の掌に抵抗もせずぱりぱりと剥がれ落ちた。

扉を開く。

やはりそこは王と、王妃の部屋だった。
天蓋の付いた大きなベッドが並び
扉の外れた背の高い衣装箱が置き去られたまま佇んでいる。

反対側のソファには、さっき見た女性が静かに俯いていた。
泣いているようにも見えたが、
顔を上げた女性の表情は書庫で見たそれよりもずっと穏やかだった。
その姿からは、不安も、恐怖も感じない。
女性は俺を見、ビアンカを見、少し躊躇うように口を開いた。

687 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:48:52 ID:TAboHnyD0

『わたしは、このレヌールの王妃、ソフィアと言います』
耳を澄まさないとすぐに薄闇に消えてしまいそうな、か細い声。
俺は歩を進めて、彼女の傍に立った。

『もう十数年も前、この城の者は皆、魔物に襲われ殺されてしまいました。
邪悪な者が世界中で、身分のある子供をさらっているとは聞いておりました。
でも、わたしくとエリック・・・王の間には、子供は居なかったのです。
どうしてあんなことに・・・』

声が震えているのが俺にもわかった。
王妃は気丈に笑顔を保っている。
その睫毛の先に一滴、涙が零れ落ちるのを拒むように震えている。

『今となってはもう、嘆いても仕方のないことです。
せめてわたくし達は静かに眠りたい・・・ですが今、
この城にはゴースト達が住み着き、城の皆を呪われた舞踏会に縛り付けています・・・。
どうか、どうかあのゴースト達を追い出してください・・・』

王妃のぼんやりと透き通った姿が
今にも消え入りそうにまた俯いた。


『王妃さま・・・かわいそう・・・』
部屋を出て扉を閉じると同時に、ビアンカが表情を曇らせて呟いた。
うん、と声に出して頷くと、俯いたままビアンカは小さく
『サン、頑張ろうね。どうせお化け退治に来たんだもの。いいよね』
言って、その小さな左手を胸の前で握り締めた。

がんばろう。そう、口の中だけで呟き返して
俺は廊下の向こう、来たのと反対側の扉を見据えた。

688 : ◆u9VgpDS6fg :2007/03/23(金) 08:56:07 ID:TAboHnyD0
本日ここまでで
ありがとうございます。

689 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/03/23(金) 08:57:12 ID:K0iAoS6w0
休暇支援

690 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/03/23(金) 09:04:28 ID:K0iAoS6w0
お疲れ様です。

>>677
続き、期待してます。

>>688
ぐは
先が気になります。

691 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/03/23(金) 09:49:37 ID:K0iAoS6w0
まとめサイト、ここまで更新しました。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

692 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 12:31:03 ID:gX2wgl65O
>>691
タカハシさん乙です。
ありがとうございます。

1つ聞きたいんですが、先程の話でいくつか(てゆーか沢山)コピーをミスってたんですが修正って可能ですか?
あと、こういう質問はこれからはまとめサイトの方でするべきですか?

本当に御迷惑かけてしまって申し訳ありませんorz

693 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/03/23(金) 16:39:54 ID:K0iAoS6w0
>>692 ぼーちんさん
修正は、その箇所を書いていただければ出来ますよ。
修正や変更の依頼はそうですね、まとめサイトからいける「非難所掲示板」の
「避難所、まとめサイトについて」でお願いします。
今後も遠慮なく言って下さい。

694 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 16:41:14 ID:bToxa5CC0
>>692
気楽に行こうぜ
修正しちゃいなよ、you

695 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 19:21:05 ID:gX2wgl65O
>>693>>694
てことは修正したやつをまた貼ればいいということですね?

これからなにかあった時は、その「避難所掲示板」の方に質問させて頂きます。

レスの返答ありがとうございましたww

696 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 19:51:17 ID:gX2wgl65O
>>675からの修正です。

『…ここ…どこだ?』

何も見えない、聴こえない。

…あぁそうか。俺はカキコする直前に力尽きたのか…

だが…何故だろう?
さっきまでとは打ってかわって意識がハッキリしている。
それに、落ち着いたからだろうか?
さっきまでスレ上でやりあっていたヤシも気にならない。
単なるアンチとスルーできる心の余裕も戻った。

『真っ暗だな…』

ここが夢かどうかは定かでは無いが…1つだけ確定していることがある。
それは……次に目覚めた時、俺はきっとドラクエの宿屋のベッドの上にいる。と言うことだ。
それは、さっきまでドラクエを擁護していたという完璧なフラグと、このレスがこのスレに書き込まれているという事実から容易に推測できる。

俺は腹をくくった。

……別に昨日母親にオナヌーを見られたからこんな逃避をしているわけではない。
俺は主人公として全てを受け入れると決めただけなのだ。

しかし…そう意気込んだものの…

『………』

俺は常闇の空間でふと思った。

振り返ると…なんのイベントもない冒頭だったものだ。

697 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 20:02:32 ID:gX2wgl65O
魔王に敗れ、体を分離させられたわけでもない。
夢で性格診断もされていない。

虚しさを全く感じないと言えば嘘になる。

…しかしこれが現実。
俺の物語はゲロを我慢して気絶したところから始まったのだ。

…しかしそんなの…

『納得できるわけねぇよな…』

…確かに、気絶して気付いた時は見知らぬ場所…ってのはカコイイよ。
でも、問題はそのシチュエーションだろう。

698 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 20:03:22 ID:gX2wgl65O
そうだな…例えば……


好きな女の子をパンツ男に誘拐されてしまう。

そして俺は勇敢にも敵のアジトに乗り込むんだ。
…しかし、やはり相手もさる者。キングヒドラと互角に渡り合っただけはある。

強い…このままじゃ……

その時、変態の斧の一閃がその子へと襲いかかった。

『危ない!!』
『きゃっ!』

頭で考えたことじゃなかった。
気付いた時には体が勝手に動いていた。

この子を助けたい。絶対に…俺の命に代えても―

俺が力の限り突き飛ばしたことで、その子は窮地から脱することができただろう。

しかし……斧が俺の体に――

『うわあぁぁぁぁッ』

699 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 20:04:07 ID:gX2wgl65O
………てな感じが良かったよ。
ううん。そこまで贅沢は言わないよ。だけど…

『ゲロを我慢して気絶』はないだろう!?
そんな冒頭なんて俺、不憫過ぎだろ!?

…はぁ…はぁ……
いや…落ち着け、落ち着くんだ俺。

過去は変えることができないのは理解している。
だからもう気絶方法はとやかく言わない。
でも…1つだけ我儘を言っても許されるのなら、俺はこれから訪れる未来に祈ろう。

…せめて性格は『むっつりスケベ』にしてほしい。
あの能力値の成長度が魅力的なんです。
俺は決してむっつりではありませんが、どうかお願いします。

などと虚空に向かって懇願し続ける俺。これまでに費やした時間は、軽く1時間を越えているだろう。

700 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 20:05:02 ID:gX2wgl65O
しかし…中々イベントが始まってくれない。
このままでは冒険に出られないという大惨事が起こってしまう。
恐らくこれは俺がまだレム睡眠だからいけないんだと思う。
深い眠りから醒めればそこはきっと宿屋のはず…

『…さて、冒険の書を作るとしますか…』

俺はそう呟き、全身の力を抜いた。

一応…「むっつりスケベ」になる努力はしておこう。

俺は薄れゆく意識の中、チャモロ×ハッサンを妄想しながら、深い眠りを待つことにした。

701 :ぼーちん ◆VEWEB6Zhlo :2007/03/23(金) 20:06:25 ID:gX2wgl65O
以上、修正です。

タカハシさん。お手数かけてどうもすいませんでしたorz

702 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 22:02:37 ID:/6xLlty70
おつんつん

703 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/03/24(土) 02:53:52 ID:FIgZYGvB0
>>701
お疲れ様です。
修正しました。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

704 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/25(日) 16:09:20 ID:XU9aHJarO


705 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/26(月) 02:43:44 ID:hYeHSG5k0


706 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/27(火) 06:33:13 ID:O5X31nx50
age

707 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/27(火) 07:21:40 ID:3kKQgolVO
ゆうべはおたのしみでしたね

ひとりで!!

708 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/27(火) 07:42:22 ID:8Fwu+WDC0
まさに、外道!!

709 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/27(火) 20:51:49 ID:EHq5VSf70
新規参入を考えている者なのですが、質問があります。
今考えている企画が「宿屋で目覚める」という条件から外れてしまいます。
少々無理をすれば、「冒険開始から数日後の宿屋」からスタートし、
ストーリー上の初日(宿屋ではない目覚め)を回想とする形で、
処理することもできないことはない……のですが。
読者様方のご意見としては、やはり宿屋からを希望されますでしょうか?

710 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/27(火) 21:08:58 ID:8Fwu+WDC0
全く無問題と思われ。


711 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/27(火) 21:32:57 ID:2T8b0MN+0
目が覚めたら、裸の女と一緒にベッドで寝てたっていう展開からキボンヌ

712 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 00:25:04 ID:bq6f9qzI0
厳密に考えれば宿屋スタートなんだろうが、過去作品でもそうじゃないものもあるからね。
「もし目が覚めたらそこがDQ世界だったら」ということでもいいのでは?
というかぜひ新作見てみたい。期待してまつ。

713 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 02:18:56 ID:diO828Qi0
個人的には「もしこっち(現実)の世界の人がドラクエの世界に来てしまったら」だと思ってるから全く問題はない

714 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 10:48:21 ID:5XOhpYWIO
昔はやけにこだわってた気もするが、無理矢理宿屋からスタートして、
ストーリーが破綻するよりは百倍いいな。気にせず投下してくれ。

715 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 11:14:23 ID:rT7kxW8uO
みんなそう思ってんだったらスレタイの方を変えりゃいいのに、って
前の宿屋スタートか否か問題のときにもそう言われてなかったか。
なんでいつまでもこのスレタイのまんま?

716 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 11:50:17 ID:9GIsI1R3O
流れじゃない?
あえて変える必要もないというか、愛着があるというか

717 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 12:54:05 ID:OR2BFEJB0
愛着だな、もうこのスレタイで何年もきたんだし今更変えて欲しくない(・ω・`)ってのはある

718 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 18:55:15 ID:7R4Xl0JN0
このスレタイのままに一票

719 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 20:06:29 ID:5XOhpYWIO
かといって毎回この話題が出るのも何だし、テンプレに補足くらいはいれるべきかもな

720 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:23:04 ID:rOVW5ToX0
お久し振りです( ^ω^)

まず4の人こと◆gYINaOL2aEさん本当にお疲れ様でした。
スレが止まってる時に現れては颯爽と去っていく救世主、4の人。
僕の中ではそのような印象があります。
余計な事まで喋っている僕にとってはあなたの姿勢は尊敬に値します。
それでも僕はあなたの話を色々と聞いてみたかったですw
僕も完結まで頑張りたいと思います。
ありがとうございました。


それでは投下しますね。

721 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:26:36 ID:rOVW5ToX0
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
  「あんっ! あぁ! 見ないでっ……!」

私を見る彼女の目が見開かれた。
その瞳を通じて彼女の心が見て取れる。
助けて欲しい。
けれど、見られたくはない。
そんな矛盾した感情。

  「あっあっあっ! くっ……ふっ……」

彼女は意思に反して漏れる声を、口を塞ぐ事で聞かせまいとした。
そんな彼女を嫌らしい目で見つめる男…
その息遣いが生々しい。

  「はぁはぁ…いいぞ……気持ち良いんだろ? もっと締めろ!」

そんな事を言いながら、体を彼女に打ち付ける。
気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い……
私はその場で胃の中のものを全て吐き出してしまった。

  「いくぞ…いくぞ……はっはっ! いくっ!!」
  「イヤイヤ! やめて! ん〜っ!!」

彼女が嫌悪の声を上げるが力が入らないようで、男を跳ね除けることができない。
しばらく動きを止めていた男は一息つけると、彼女から体を離した。
彼女はそのままの体制でぐったりとしたまま動けない。
しかし男は私の存在に気付いていたのだろう。
顔をこちらに向け、ニヤリと笑みを見せた。

  (嘘……)

722 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:28:40 ID:rOVW5ToX0
そして裸身を隠そうともせず、むしろ見せ付けるようにして歩いてくる。

  「次はお前かぁ〜、確かに数は多い方がいいよな。
   まだ出し足りなかったところだし」

何を勝手な事を言っているんだ…
私にもソレをしようとしているのか?
本能的に後ずさる。
一歩でも遠く、この醜き者から離れたい。
これが、人間のする事なのか……?

  「今気持ちよくしてやるからな。その代わりちゃんと産めよ?」

男の手が私の体に触れようとする。
その汚らわしい手で。

  「うわあぁぁぁぁぁぁぁー!!」

私はそこで初めて叫び声を上げた。
無意識の内に、その声に魔法力を込めていた。
男は一瞬にして人の形を失い、私の前から姿を消す。

  「はぁはぁ……」
  「……うっ…ううぅ……」

荒い息をしていた私は、彼女の嗚咽で我に返る。
私はフラフラと彼女の側に寄っていった。

723 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:30:43 ID:rOVW5ToX0
  「ひっ!! やめてっ!!」

怯えた目。
私の事を先程の男だと思ったのだろう。
彼女の体はがくがくと震えていたが、
私が自分と同じエルフだと認識すると、恐怖は消え去ったようだ。
彼女の頬に手を当て、目元の涙を拭ってやる。
すると彼女は、にっこりと笑った。

  「……して……」
  「……?」
  「自分では…出来ないから……」

彼女があごを上げて首元を私に晒し、
私の両手をそこへ添えるようにそっと促した。
それで彼女の望みを理解する。
その時の私にまともな思考などありはしなかった。
ただそうするしかないんだ、と思った。
手で輪を作るようにして、彼女の首にあてがった。
汗でしっとりと濡れた肌を少しずつ圧迫していく。
トクトクと流れる彼女の血液の動きが、私の手の平を力無く押し返した。
その働きのなんと力強いことか。
いっその事、私の手を跳ね除けてくれれば良かったのに。
締められる痛みと、酸素の不足で彼女の顔が歪む。
しかしそれでも彼女は一切抵抗する事はなかった。
目を閉じ、あ・り・が・と・う、と唇を小さく動かして私に伝える。
そして間もなく、彼女は息をしなくなった。

  「……」

私は彼女と同じように息を殺して泣いた。
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

724 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:32:47 ID:rOVW5ToX0
彼女は夢を見ていた。
彼女が女王となる前。
人間の尺度で言い換えれば昔も大昔の事だ。
彼女は今とは違う地で平和に暮らしていた。
まぁその頃はまだ魔王も存在しておらず、平和が当たり前だったのだが。

しかし彼女は人間のように毎日の繰り返しに飽きる事もなく、
ただただエルフとしての使命を全うする、一般的なエルフの一員だった。
エルフとして生まれた事をルビス様に感謝し、
この世の全てに希望を見出し、
水の冷たささえ愛していたかもしれない。

けれどある時を境に彼女の生活は一変する。
同じ土地に住んでいた人間とエルフとの関係が急激に悪化したのだ。
その原因は一重に人間の側にあり、
それに柔軟に対応できる程エルフは裏表の無い純粋な生き物なんだというのが、
事後に当時を思い返した彼女の結論である。

もちろん当時の彼女がどこまで事態の推移を把握していたのかと問われれば、
ほんの一部に過ぎないと言わなくてはならない。
しかしその出来事は、彼女に非常に大きな衝撃を与えた。

その後、虚ろに一点を見つめ続けて涙を流しているのを年長のエルフに発見され、
彼女は幼きエルフ達と供に遠い地へと避難する事が決定された。
その判断は迅速ではあったが、同時に事件の規模の大きさを物語っていただろう。
そしてその時の母親達の様子はやはり尋常ではなかったと記憶している。
混乱と、焦りと、不安と。
多くの感情がない交ぜとなったあの表情は忘れられなかった。

725 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:34:58 ID:rOVW5ToX0
移住した遥か遠方の地において、彼女は一族の長の名で呼ばれるようになった。
そこでの年長者は彼女しかいなかったのだから、それは自然な事である。
決して望んだ事ではなかったが。

しかしそれからの彼女は、その名に相応しくあろうと努力するようになった。
彼女は女王として幼き子らの幸せを考えようとする。
女王としての使命。
それは里を守る事だと思った。
里のエルフを守る事だと。
その為に女王は里のエルフ達にあの事件については何も教えず、
人間との関係を絶って、ひっそりと暮らすように里を外界から隔離する事を決めた。

しかし悲劇は何度も繰り返される。
そこでもアンのように何人かのエルフが人間と関わり、やはり不幸になった。
人間と関わったエルフ達は一様に女王である彼女の方針を非難したが、
女王はそれがエルフの幸せに繋がると信じられなかった。
もし彼女達が女王の胸の内を知っていれば、また違う結果を生んだかもしれない。

誰にも言えない思いを抱えた女王はただ沈黙するしかなかった。

彼女は夢を見ている。
脳が勝手に作り出すあの、ちぐはぐでいい加減な内容ではない。
体の中に深く刻まれた、記憶という名の夢。
思い出すよりも鮮明に、この夢はその時を彼女に体験させた。
最も嫌悪する彼女のトラウマの種。
何回も何回も何回も何回も何回も夢に見た夢。

ルビーを使って自らが望んでいつも見る過去の夢ではない。
忘れたくても忘れられないもの。
自然に汗が噴き出してくる。
唾を飲み込もうとするが、喉が潤いを欲しているのを自覚するだけだった。

726 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:37:32 ID:rOVW5ToX0
夢とは通常、寝ている間に見られるものだ。
しかし今彼女が見ているのは、夢と現実の両方。
もちろん片方は現実ではないのだが、
夢を見ているまさにその時のようなリアリティを持って迫ってくる。

夢と現実。
それが同一なものとして認識される。
そして夢を見ている間だけ、女王は"彼女"に戻っていた。
今や夢の中の男に対する嫌悪感は、現実に相対するクルエントへ向けられた。
だから、彼を、殺さなくてはいけない。
その感情の移り行き。

  「うわあぁぁぁぁぁぁぁー!!」

もしこの世界に歴史というものがあったとしても、
彼女の物語は決して紡がれる事はないだろう。
語り継がれざる彼女の思いが、言葉の代わりに呪文となって発せられた。

  「むぅ…」

思わずうなったのはクルエント。
先の戦闘で女王が見せたいくつかの呪文は質・量共に熟練しており、
彼女のレベルの高さを物語っていた。
が、こと二回目の戦闘においては、
まるで別人を相手にしているかのような変化をクルエントは感じていた。

一般的に、呪文は使用するMPの量で威力が決まると考えられがちであるが、
それは無知による誤解である。
いや中級者に至ってなお、その事に気付かぬ魔法使いもいるのだから、
そのような言い方は適切ではないかもしれない。

727 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:39:38 ID:rOVW5ToX0
呪文に最も必要な要素であり、質を高める事にも繋がるそれは、集中力だ。
意識を集中という事だけではなく、威力を集中させるという意味も持っている。
ただ膨大な量のMPを垂れ流すだけではなく、
いかに目標だけに集中出来るのかが威力を決定する。
それが上級への第一歩だとされている。

しかし今の女王は明らかに集中力を欠いていた。
放たれる呪文に現れる使い手の意思は強烈過ぎたし、
精密だった狙いがだんだんと狂い始めている。
そしてなおかつ呪文一発あたりのMPの量を増やしつつあった。
それは事態を悪い方向へと誘う契機になりかねない。

洗練された技は、方法さえ間違わなければ対処しやすくもあるが、
暴れ狂うホースから噴出する水のように女王の呪文は制御を失っている。
最悪洞窟が崩れるような事も有り得るかもしれない。

  「しかしな」

彼にとって洞窟など関心の対象ではない。
もし崩れ去ったとしてもリレミトで簡単に脱出できるのだから。
しかしそのせいで女王が生き埋めになってしまっては困るのだ。
女王とてリレミトぐらい唱えられるだろうが、
今の女王の様子では状況判断が正確に出来そうもない。

ならば女王の呪文の威力を全て封じて、なおかつ女王をモノにしてみせよう。
そんなクルエントの気迫である。
元々血気盛んな男であったのだ。
そして今は若さを取り戻した高揚感もある。
万が一にも失敗など起こりえるはずもない。
ただ若さにかまけた自信ではなく、確固たる自負に基づいた意気込み。

728 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:43:33 ID:rOVW5ToX0
  「最盛の力こそ美たりえるのだ」

己の考えに浸っていたクルエントは、
自身の懐が光っている事に気付かなかった。
赤く、赤く、赤く。
誰の意思に応じる訳でもなく、夢見るルビーはその力を発揮していた。


激突する呪文と呪文。
女王が一つ呪文を唱える間に、クルエントは三つ呪文を放つ。
クルエントは呪文のランクを下げつつ、数で対抗する事を選んだ。
女王と同じレベルの呪文を唱えていては押し負けてしまうからだ。

それ程に女王の呪文は威力が高い。
これで先程のように洗練された技術を上乗せされていたら確実に負けていただろう。
そういった部分ではクルエントは負けを認めていた。
しかし完全な敗北ではない。
呪文の連続詠唱は立派な高等技術の一つであり、
クルエントの詠唱スピードは世界でも一二を争うに違いない。

そしてそれは制御の行き届いていない女王の呪文の勢いを止めるのにも一役買っていた。
ややもすると天井や壁に呪文の余波が向かおうとするが、
それを完璧に抑え込んでいる。
いやむしろ、クルエントの方がジリジリと押し込んでいるのだからたちが悪い。
敵としてこんなにも緻密な戦法を取ってくるのはイヤらしいとしか言いようがない。

  「終わりにしようか、愚かなクイーンよ」

クルエントは口角を上げてニヤリと笑う。
そして女王の呪文を止めるのには無駄な一発を地面に向けて放った。
衝撃で土石が飛び跳ねる。
それらが女王の気をそらせる事で有効な一手となった。

729 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:45:35 ID:rOVW5ToX0
先に女王が使った戦法と同じだ。
女王が目をつぶり、一瞬顔をそむける。
そこでクルエントは一気に畳み掛けた。
数幾の攻撃に女王は対抗できず、とうとう直撃を食らった。

  「見たか!」

勝ち誇った声。
クルエントを包むのは最高級の満足感。

エルフの女王。
彼女の実力は確かだった。
彼女に勝つという事は己の技量の強さを証明する事でもある。

と同時にその力を取り戻してくれたものに彼は全幅の信頼を置いた。
これで衰えなどに気を病む必要はもうない。
この力を保ったまま死ねる事も出来るかもしれない。
いや、もしくはもっと……

死ぬ事は怖くない。
失う事が怖いのだ。
生ではなく、積み上げてきた、誰にも誇れるこの力が。

  「ふふふ、さぁデザートの時間だ」

クルエントは夢の実現の為に、再び歩を進めた。

730 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:47:37 ID:rOVW5ToX0
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

  「ねぇお母さん。妖精さんってどこにいるの〜?」

  「急になに?」

  「この本にね、出てくるの。
   すっごく綺麗なんだって!
   会ってみたいな〜」

  「そうね。真理奈が良い子にしてたら会えるかもしれないわ」

  「ホント?!」

  「あぁ。だからピーマン食べなさい?」

  「ヤダ! 赤くないんだもん!」

  「緑のも赤のも一緒でしょ!」

  「違うもん!」

  「ったく……そんなんじゃ妖精に会えないよ!」

  「え〜? そんなのズルイよ〜」

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

731 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:49:40 ID:rOVW5ToX0
  「ま、待てっ!」

震えた声。
クルエントは横目でその主を見る。
ソールだ。

  「もうやめろよ…何でこんな事するんだよ……」

立ち尽くすソール。
彼はフォルテを湖から引き上げ、アヴァルスを倒したが、
フォルテの息は既になく、フィリアとジュードは毒で弱っていき、
女王が戦い敗れるのをただ見ているしかなかった。

  「絶望したか? 少年」
  「フォルテはいい子だったんだ。女王様だってきっとそうさ…」
  「会いたいならすぐにあの世へ送ってやろうか?」
  「殺したのはお前だろ?!」

そのセリフが面白かったのだろうか。
クルエントは声に出して笑った。

  「好きだったのにっ……」

悔しい。
握りしめた拳が痛かった。

  「とぉーっう!!」

その時、疾風のように全速力で部屋に突入してくる者が一人。
どこかのヒーローよろしく掛け声を発しながら登場するアホっぷりだ。
しかも背後からクルエントに綺麗な跳び蹴りをかますオマケ付き。
そして吹き飛ぶクルエントをよそに着地も完璧にこなす。

732 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:51:52 ID:rOVW5ToX0
漫画なら、シュタッ! と擬音が付けられただろう。

  「はっはっはー!! 真理奈ちゃん参上ーっ!!」

さらに背景に斜線で強調線を書き加えなくてはいけないようだ。
ビシッ! と敵に指を突きつけ、ポーズまで決めてしまった。

  「助けに来たよ〜♪」
  「ピィ〜!」

真理奈の背負うバッグの中からブルーが飛び出し、元気良く跳ねる。
ブルーの口に薬草などの道具が入った皮袋をくわえさせた真理奈は、
ソールに向かってブルーを放り投げた。

  「フィリアちゃんとジュードよろしくね!」

ぽかーんとしたままブルーを受け取るソール。
皮袋の中身があればジュード達は大丈夫だろう。
ピィピィと鳴きながらソールに看護するように促すブルー。
訓練された犬のようにキビキビと動くブルーは、飼い主に似ず頭が良いのかもしれない。

  「はぁはぁ……元気じゃのう……」
  「女王様!」
  「女王……」

そこに遅れてパトリスも到着する。
その後ろからはエルフが何人も顔を見せていた。
意識を失い倒れている女王を見るなり、エルフ達は悲痛な表情を見せた。
女王のもとに今にも駆け出しそうなのをパトリスが手で制す。
その視線の先にはクルエントが立ちはだかっていた。
近寄らせない、と言わんばかりに。
デザートがおあずけになったのだから不機嫌なのは仕方ないかもしれない。

733 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:53:58 ID:rOVW5ToX0
  「貴様らは何故私の邪魔をする」
  「だってどう見てもアンタ悪モンじゃん。
   悪モンは正義のヒーローにやっつけられるって決まってるの、知らないの?
   アンタはそういう運命なの。それに…」

真理奈も女王の姿を見て悲しげに目を細めた。

  「私もエルフが好き。それだけ」
  「好き? それが何だと言うのだ」
  「関係無いのが何さ。だいたい私はこの世界の人間じゃないんだ」
  「おかしな事を言う! ならば引っ込んでいろ!!」
  「違うから出来る事だって…あるんだっ!!」
  「人は同じでなければ分かり合えない」
  「だー! もううるさいな〜私はそういうツマラナイ話はキライなんだよぅ!
   理屈よりも勝負!
   どっちが正義か決めようぜ!」

清々しいまでの潔さ。
彼女のペースに誰もが引き込まれてしまう。
それは一種の魅力と言っていいだろう。
ニカッとしたその笑顔の何と純粋な事か。

  「くくく。お前が正義ならそれでもいいさ」

クルエントがすぅっと息を整える。
理屈好きこそ単純なものに心を打たれ易い。
もはや彼に真理奈と戦う理由は無いのだが、
真理奈の卑怯な不意打ちも、それまでの戦いの疲れも忘れて、
クルエントは彼女との勝負に臨もうとしていた。
そうさせる力を真理奈は持っていた。

  「真理奈」

734 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:56:00 ID:rOVW5ToX0
パトリスが声をかける。
場の状況から敵の力は相当なものだと推測したからだ。
しかし真理奈は助けはいらないとピースで返事をして、敵に向き直る。

そして真理奈はカザーブで元の姿に戻った鉄の爪を取り出した。
いや、元と言うよりは新しく生まれ変わったと言うべきだろうか。
右腕に装備し、指を開いたり閉じたりしてその感触を何度も確かめる。

  (う〜ん! イイ感じ!)

初めて鉄の爪に触れた時には不思議と懐かしさを感じた。
そして今鉄の爪を装備した感覚は、それと似ているようで異なっていた。
一度折れてしまった鉄の爪を再び甦らせた真理奈は、
かつて無いほどの一体感を経験していた。

意思疎通が上手くいっているとでも言えばいいのだろうか。
真理奈の要求に確実に答えてくれるだろう。
そして鉄の爪の望みに完璧に応えてやれるだろう。
そんな確信。

  「よーし! エルフに代わってオシオキよ!!」

そして誰にも分からないネタをかまして真理奈も準備を終えた。
しかし両者ともすぐには動かず、互いにきっかけを探した。
均衡した状態を作り出せるのは実力伯仲しているからだ。
その場合どんな戦法を取るかも大事だが、タイミングが最重要なのだ。
これを間違えると負ける。
その合図となったのは音もなく舞い落ちる葉や、
不意に吹き抜ける一陣の風ではなく、
静まり返る場に業を煮やしたブルーの鳴き声だった。

  「ピピィ〜!!」

735 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/28(水) 23:58:02 ID:rOVW5ToX0
同時に仕掛ける。
クルエントは呪文を。
真理奈は直接攻撃を。
飛び道具である以上、呪文の方が先に真理奈に迫り来る。
しかしその威力がどんなに大きくとも、
彼女にとっては真正面からの何の特徴もないストレートパンチのようなものだ。
かわしてくれと言っているのに等しい。

真理奈は左前に避けつつ、脇を通り抜けていくメラゾーマに鉄の爪を突っ込ませる。
三本の爪により、メラゾーマは四分割されて霧散する。
そしてクルエントの二発目が放たれる前に、真理奈は彼の眼前へと迫った。
真理奈の素早さはクルエントの連続詠唱速度を超えた。

  「ベギ――」

その後の言葉は続けられなかった。
いとも簡単に懐に入られたクルエントは、驚きの為に目を見開く。
敵を認識しろ、という本能からの訴えかけもあっただろう。
しかし対応は出来ない。
真理奈の掌底が下から突き上げるようにしてみぞおちにヒットし、
クルエントの肺から空気が漏れ、意識が薄れる。
それと共に唱えようとしていた呪文は霧散した。
接近戦で魔法使いが武道家に勝てる可能性はゼロに近いだろう。
クルエントの負けは、距離を詰められた時点で決まってしまう。
メラゾーマの熱を持った鉄の爪が、クルエントの胸部を切り裂く。
無数の赤い飛沫が宙に舞った。

  「え?」

その時、違う、という言葉が真理奈の頭に浮かぶ。
血じゃない。
キラキラ光る――赤い色の――宝石だ――

736 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/29(木) 00:00:14 ID:rOVW5ToX0
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜


  あぁ……また会えたのね……


  アン……アン……俺はお前に……


  いいの……私はもう、幸せを手にしたのですから……


  愛してる……あぁ、この言葉を…想いを伝えたかったんだ……


  えぇ、えぇ…! 私も愛しています……永久に……


〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

737 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/29(木) 00:02:22 ID:rOVW5ToX0
キラキラ、キラキラ。
宝石のかけらがそれぞれに光を発しながら洞窟の地面へとゆっくり落ちていく。
その光は2人の愛を示すかのように、暖かみのある光だった。

  「ぐ……がが……!」

もはや言葉にならない声を上げるクルエント。
その手がルビーのかけらを掴もうと天井に向かって持ち上げられるが、
震える手では何も捕らえる事は出来なかった。

そして一回だけ大きな咳をすると、その体は急速に力を失っていった。
伸ばされた腕がクルエントの本来の姿に戻りながら落ちていく。
いや、腕だけではない。
髪は白に、皮膚にはシワが、そして体格が小さくなっていく。
毛が抜け、歯が落ち、骨が枯れる。

  「な…何これ……?」

人が歳を取る様を録画し、早送りで見るとこんな感じになるのだろうか。
三倍速でも足りない程のスピードでクルエントは老いた。
そしてあっという間に元の年齢を通り越し、命の果てにたどり着く。
その先にあるのは死。
かつて魔法界で名を馳せた男の末路は、他の誰とも変わらず衰えによるものだった。

738 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/29(木) 00:04:27 ID:rOVW5ToX0
  「女王……女王……!」
  「レギーナ、大丈夫か?」

パトリスとエルフ達が横たわる女王のもとに集まっていた。
気がついたようで女王の目が静かに一度だけ開けられたが、
パトリスとエルフ達の顔を確認するとまた閉じられる。

  「負けたのですね」

不思議とすっきりした意識の中で、彼女は自らの敗北を理解する。

  「しっかりしろ。あの人間は倒したぞ。今回復を」

パトリスに促され毒から回復したフィリアが女王の体に手をかざす。
しかし呪文を唱えても女王の傷は少しも癒える事がなかった。
フィリアは混乱した目でパトリスに助けを求めた。
しかしパトリスにはどうする事も出来ない。
女王がフィリアの手を掴み、感謝の意を示す。

  「私は人間の事が嫌いです。
   でもあなただけは信じてもいいと思ったのです。
   なぜでしょうね……」

その言葉にフィリアは涙を流した。
もう別れが近いのだろう。

  「レギーナ……里に帰るんじゃろ?」

懇願したいのを堪えるかのように、苦しそうに語りかけるパトリス。
しかし女王はそれには応じなかった。

739 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/29(木) 00:06:31 ID:rOVW5ToX0
  「パトリス……エルフの血に特別な力などありません。
   エルフを誤解しないように――」
  「分かった…分かったから……頼む……」
  「……最期にお願いがあります」

彼女の手がパトリスの左手の指輪に触れる。
その動作だけでパトリスは彼女の望みを理解した。
他でもない彼女の頼みだ。
言う通りにせねばなるまい。
その指輪がいかに大切だとしても。
観念したパトリスは左手の薬指にある指輪を使い、女王のMPを回復した。

  「ありがとう」

あのエルフと同じ言葉で、同じように笑う女王。

  「メガザル」

孤独の女王、レギーナ。
その命と引き換えに娘を救ったその姿は、王として立派だった。

………
……


740 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/29(木) 00:08:37 ID:gNiUrdmu0
  「今日という日がめでたく迎えられました。
   それは何と素晴らしい事でしょう。
   それも我らが創造主ルビス様のご加護と、勇者ロトの導きによるものです。
   そして何より我々の心に先代女王レギーナがいつまでもあるように、
   心よりの感謝を祈りと代えて届けるとしましょう」

里近くの森にある小さな広場。
そこにちょっとした式場が用意されていた。
整列したエルフ達を前に式を進行しているのはフィリアだ。

  「それではこれより、夫となる者ソールと、
   妻になる者フォルティスの婚礼の儀を始めます。
   まずは人間の少年ソール。
   汝は汝らを縛りつけようとする、ありとあらゆるものに立ち向かい、
   エルフの少女フォルティスとの契りを主に誓いますか?」
  「ち、誓います!」

少し緊張しているようなソールに、フォルテがクスリと笑ってしまう。

  「ではエルフの少女フォルティス。
   汝は汝らを縛りつけようとする、ありとあらゆるものに立ち向かい、
   人間の少年ソールとの契りを主に誓いますか?」
  「はい、誓います」

対してフォルテは緊張の色も見せず、嬉しそうに答えた。

  「よいでしょう。ではその誓いの証として、指輪の交換を行って下さい」

フィリアから指輪を渡された二人が向き合う。
夢見るルビーのカケラを飾った、二つで一つの指輪。
それが互いの薬指にはめられた。

741 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/29(木) 00:12:32 ID:gNiUrdmu0
フォルテの柔らかい笑顔にソールは思わず赤面してしまった。
その様子を微笑ましく見守るエルフ達。

  「種族の壁を越えるという偉業を成し遂げようとする事。
   それは同時に苦労の連続でもあります。
   だからこそ彼と彼女には助けが必要なのです。
   この夫婦の力になる事を参列者の皆様にもまた誓って頂きたいと思います。
   賛同して下さる方々は、拍手でもってお応えをお願いします」
  「ふふふ、どう? おじーちゃん。孫が立派に努めを果たしてる姿は」
  「うるさい。今いいところなんじゃ。話かけるでない」

真理奈達は広場の最後尾で式の様子を見ていた。
パトリスは今にも泣きそうな目でフィリアの事を見ていた。
やはり孫は可愛いものなのだろう。

  「ソール、フォルティス。
   過ぎ去った苦しみの思い出は喜びに変わり、
   あなた達の行く道はきっと明るく、未来へと続いていきます。
   これからはいつまでも2人一緒に歩んでください。
   では最後に、契約の口付けを……」

そして小さな夫婦が誕生した。
拍手と歓声が沸き起こる。

  「素敵ね。女王様にも見せてあげたかったな」
  「そうじゃのう」

もし女王が生き残っていたなら、やっぱり結婚は許されなかったんだろうか。
もうそれを確かめる事はできない。

742 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/29(木) 00:18:23 ID:gNiUrdmu0
  「何て悲しい呪文……命と引き換えに奇跡を起こしたんだね」
  「命と引き換え……エルフの血……
   そうか……ようやく意味が分かったわい」
  「何の?」
  「ジュードはエルフの血を吸ってヤツが力を宿したと言っておったが、
   女王は血に力はないと……」
  「じゃあ、どうして?」
  「その力はヤツの命と引き換えに引き出された、
   一種の呪文だったのじゃろう」
  「え? それって……」
  「命と引き換えに回復力を得るのがメガザルという呪文じゃ。
   それを応用してかつての力を得たんじゃろう、と思う。
   エルフの血には力はない。
   ないが……
   強いて言うなら、ヤツの思い込みがエルフの血に力を込めたんじゃ。
   狂信者のような思い込みは実際に力を発揮する事もある。
   たとえそれが夢のような事でもな」
  「それが本当ならヒドイよ……
   どうしてそんな夢を見るんだろう……
   私だったらエルフと仲良くする楽しい夢を見るのになぁ」

真理奈がつぶやいた一言は、くしくも女王が望んで見ていた昔の夢だった。

                             ――Jacob's Dream 完――

743 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/03/29(木) 00:28:07 ID:gNiUrdmu0
今日はここまでです。

終わる物語があれば、始まる物語もある。
という事で新人さんにwktkしつつ……

ではまた。

744 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 01:34:11 ID:gEfeUGur0
更新GJ!
久しぶりに主役登場だな。

745 : ◆cmhnxUQ6us :2007/03/29(木) 02:38:27 ID:lFobSgkE0
最初に
自分は>>709氏とは別の人間です。
同じ新参書き手として>>709氏の作品を楽しみにさせていただきます
ではどうぞ

746 : ◆cmhnxUQ6us :2007/03/29(木) 02:45:32 ID:3YdHk8k20

 沈殿していた意識が浮上する。

――爽やかな風が髪と頬を撫でている、ような気がする。

 どうやら今日は目覚ましのお世話にならなかったらしい。俺にしては中々珍しい事だ。

――優しい木漏れ日が目に届いている、ような気がする。

 目を覚ますまでの、このぬるま湯に浸かるような時間は、麻薬に近いものがある。

――動物たちの声が聞こえている、ような気がする。

 二度寝になるかならないか、この無駄な緊張感もこの快感を生み出すのに一役買っているだろう。

――懐かしい匂いがするような気がする。ような気がする。ような……。

「……」

 半ば無視していたこの妙な感覚が気になり、目を開ける。
 最初に目に入ったのは眩しいほどの朝日。そして

「も、り……?」

 ……森だった。問答無用なまでに森の中だった。これ以上ないってくらい森の中だった。
 ひょっとしたら林かもしれないが、この際そんな事はどうでもいい。
 俺に何が起こった? もしや酔い潰れてこんな所で寝たとか? 軽く苦笑。
 しかし飲みすぎたのだろうか、妙に体に違和感がある。
 まあ、とりあえず体をおこs……

747 : ◆cmhnxUQ6us :2007/03/29(木) 02:49:43 ID:3YdHk8k20
――ギシッ。
 体全体に鈍い、重い抵抗を感じる。
 布団にしては重すぎるその感触に閉口しながら、唯一動くらしい頭で自分の状態を確認し、
「……ははっ。どうしたもんかね」
 乾いた笑いと共に、再度目を閉じた。
 軽口とは逆に、俺の心は混乱の極み。そして恐怖。
――ドッドッドッドッドッドッドッドッド。
 動悸が速度を増していく、ような気がする。
 誘拐? 事件?
 ……違う。何故かは判らないが、そういうものではない。ありえない。
 明らかに異常なこの状態に、自制が聞かない。恐れ、震えが止まらない。
 いっそ狂ってしまえれば楽だろうに。
――誘拐でもなく、事件に巻き込まれたわけでもないのに、知らない場所にいる。それは一体どういう事?
 ……夢。そうだ、夢に決まってる。
 こんな不条理、それこそ夢でなければ説明がつかない。
 そうでもなけりゃ、“目が覚めたら体がでっかいブロックみたいな石人形になってて、森の中で蔦に縛られてました”なーんて笑える 状況になる筈が無い。
 よし、そうと決まればさっさと寝なおそう。

 懐かしさに泣きたくなる程強い草と土の匂い、痛いくらい心地よい朝の空気に包まれながら、急速に覚醒しようとする意識を無理  矢理押さえつける。
 幸い、意識が埋没するまでにそう長い時間はかからなかった。先日の疲れがまだ取れていなかったのだろう。
 ……果たして今の体に疲れがあるのかは判らないが。

 これは夢。起きればあの退屈で楽しい日常が俺を待ってる。バイトにも行かないといけないしな。
 しかし数分後、再度深い眠りに落ちる寸前、

(……現実に絶望するのは起きてからでも遅くはないよな。……多分)

 俺はそんな事を考えていた。
 なんとなく判っていたのだろう。
 例えどんなに非現実でも。例え俺がこの状況をどんなに望んでいなくても。
 これが紛れも無い「リアル」だという事に……。

748 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/03/29(木) 06:55:05 ID:JuEqP+Xy0
朝っぱらからここまでまとめました。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

>>743
お疲れ様です。
書き出しでドキドキしてしまいましたw

>>745
お疲れ様です。
wktk続き待ってます。

>>710-719
どうもです。
まとめのテンプレに
・DQ世界であれば宿屋でなくても歓迎します
という行を追加してみました。

749 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 06:57:27 ID:v5t6jPji0
ちょwwwゴーレムかよwwww

750 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/30(金) 13:19:01 ID:8JBhlaul0
ほす

751 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/31(土) 15:42:29 ID:p7ixGkdt0
709です。たびたびすみません、もう一つ質問です。
実は3ベースでストーリーを考えていたんですが、
3基盤の大型ストーリーが数本ある現状では、
読者様的にもお腹いっぱいなのでは……と思いました。
別ナンバーで企画を練り直した方が良いでしょうか。

(完結まで責任を持ちたいので、最初に慎重になっています。
 投下前にグダグダとみっともなくてすみません。)

752 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/31(土) 15:47:58 ID:EV1WaJ4kO
書きたいものを書いてくれればいいと思いますよ

753 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/31(土) 17:52:40 ID:wkelICxo0
DQならなんでもおkだお

754 :単発ネタ ◆8fpmfOs/7w :2007/03/31(土) 20:41:48 ID:jkz/eBh80
朝、目が覚めると見知らぬ宿屋にいた。
誘拐とか拉致とか言う話ではない。
ここは私のいた世界とはまったく別の世界なのだ。

私は元の世界に戻るための調査を開始した。
この世界は御伽噺のような魔法が存在する世界。
きっと元に戻る方法があるはずだ。

調査をしているうちに面白いことが分かった。
この世界には私以外にも私のいた世界からつれてこられた人間がいるということだ。
彼らの中には元の世界に戻らずこの世界で暮らすことにしたものもいた。

そして、私はついに元に戻る方法を見つけた。
方法はいたってシンプル。
元の世界にいる人間を自分の代わりにするというものだ。

元の世界の人間には異世界での私たちの様子を見て喜んでいる輩がいるらしい。
そんな奴らを自分の身代わりにすることに私は何の抵抗もない。
問題はそいつらがどこにいるかということだ。私は奴らを探すことにした。


 ( ゚д゚) 何処だ?


 (゚д゚ ) 何処にいるんだ?


 ( ゚д゚ ) !

755 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/31(土) 21:08:33 ID:XBhpp3QIO
ちょwwwこっちみんなwwwwwwwww

>>751
被らないようにする方が難しいんじゃないかなぁ?
読む側としては全然構わないと思う

むしろ今考えてるモノが3以外にしても大丈夫なのかが疑問だけど


756 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/31(土) 21:33:23 ID:NxOItOFi0
茶を噴いたw

757 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/31(土) 22:26:51 ID:+wAco3Pg0
>>751
大風呂敷広げすぎて永遠の未完成に終わらないようにがんがってくれ。

758 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/31(土) 22:48:11 ID:fik983rh0
>>754
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

759 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/01(日) 01:18:07 ID:1Ex24lj10
>>754
らめえええええいしぇかいいっひぁううううう

760 :709:2007/04/01(日) 01:55:10 ID:bvrIZgUT0
あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ちょwwっwwwwwwwwwwwまっwwwwwwwwwwwwwwww


………………………………………………カブッタ.......orz


>>754さんとネタかぶりましたぁ!wwwwww

今考えてる企画、ゲームキャラが現実世界のプレイヤーを
身代わりにしようと考えるところからスタートなんですよwwwww
いやーこればっかりは出したモン勝ちですもんね。
すみません、ここはもう潔く棄権します!
お邪魔しました!

761 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/01(日) 02:03:32 ID:RcAgO1jtO
うはwwキツイなそれ。
アイディアは先に出した方が元祖になるからなー。

762 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/01(日) 03:50:43 ID:RcAgO1jtO
あーでも、754の人は単発ネタだし、
カブッたっても出だしだけのことだろ。
気にしないで投下していいんじゃないか?

763 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/01(日) 04:26:15 ID:Oyo1MnLQO
いちいち確認とらないで最初から投下しておけばよかったものをw
いいから投下せいww

764 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/01(日) 09:02:48 ID:aCzuyG2DO
同じ世界観の元なんだから被るのはしょうがない
まるっきり一緒ってんじゃないなら気にしなくていいんじゃ

765 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/01(日) 10:44:39 ID:u6FWBbGaO
どうやって現実の人間をイケニエにするのか気になるところだな

そしてもうすぐ次スレかな?
1000はいかなそうだね

766 : ◆8fpmfOs/7w :2007/04/01(日) 11:15:52 ID:FwbfHAna0

     ( ゚д゚ )っ
      (っ ,r どどどどど・・・・・
.       i_ノ┘

       
    ⊂( ゚д゚ )
.     ヽ ⊂ )
     (⌒) |どどどどど・・・・・
        三 `J

       
     
   
  /   O    O   \
  |       Д       |   >>709氏書くの辞めんな!
  \              /



私の思いつきの単発ネタのせいで作品がひとつ書かれなくなるのは心苦しいです。
是非とも「754があんなネタさえ書かなければよかったのに」と言わせないでください。
あなたが書かないことにすれば、私も責任を取り今後単発ネタ等を書かないことにします。
棄権するという発言を撤回をすることに抵抗を感じるかもしれませんが大丈夫。
運がいいことに、今日は1年に1度だけ発言に責任を持たなくても許される日ですから。

767 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/04/01(日) 11:24:25 ID:xvf6hbEV0
>>754
こっちみ(ry

ここまでまとめました。
暇潰しさんのジャンルが「オリジナル」になっていたのを「DQ3」へ修正し、>>754氏を新規に追加しました。
暇潰しさん、今まで気付かなくてすみません…
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

>>760
気にせず、投下してしまっても良いと思いますよ。

スレ容量がおそらくこのカキコミで470kbになると思います。
が、スレ立て出来ませんでした orz
でかけなきゃならないので後ほど、自治スレか依頼スレでお願いしようと思っています。
ですがもしスレ立てできる方がいましたら、まとめのテンプレでお願いします。

…WebブラウザでみるとこのスレがすでにDAT落ちの表示がでてあせりました。

500KB
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READ.CGI - 0ch+ BBS 0.7.4 20131106
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