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ぜろちゃんねるプラス
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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら八泊目
1 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2006/10/29(日) 16:15:16 ID:vi16nIqg0
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです
短編/長編小説形式、レポ形式、オリジナル、何でも歓迎です
・基本ですが「荒らしはスルー」です
・スレ進行が滞る事もあります、まったりと待ちましょう
・荒れそうな話題や続きそうな雑談は容量節約のため「避難所」を利用して下さい
・スレの性質上レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角右アングルブラケット二つ)+半角数字(最後に投稿したレス番号)」)をつけると読み易くなります
前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目
ttp://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1148786712/
まとめサイト(書き手ごとのまとめ/過去ログ)
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html
避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi
587 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:40:47 ID:irPHk7bj0
「あの戦いを潜り抜け、そして尚この場に立つものがどうして臆病なのでしょう」
それは、神官へと向けたものでもある。
彼は震えていた。
好意的に見れば武者震い。だが、残念ながらそれだけではない。
神に仕える彼は…今、自分で自分の半生を否定しようとしているのだ。
「…恐ろしいか…クリフト殿」
「ライアンさん…ええ…否定しても仕様が無い…私は、怖い。怖くて仕方が無いですよ――。
なのに、どうして…私の足は前へと進むのでしょう?」
「それは、貴公が――そう、その言葉は何でも良いのかもしれぬ」
男だから。女だから。戦士だから。勇者だから。仲間だから――。
それら全てを内包した、掛け替えの無い友が今、集う。
それなのに、そこには一つだけ、影が足りない。
「ねえ、貴方――あれ?私、どうして貴方の名前が解らないんだろう……」
アリーナが俺に声をかけてきた。
彼女は必死で何かを思い出そうとしている。
思い出は、ある。
そう、あの夜の帳の降りた船の上で――私は、彼と話をした。そして、彼の名前を呼んで――。
それはマーニャも同じだ。
何故、彼の、青年の、少年の名が思い出せない?
彼は自分の下僕で…弟子で…ほっとけない、弟みたいなヤツで…。
ああ!それなのに!
588 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:41:58 ID:irPHk7bj0
ミネアが沈痛な面持ちで俯いている。
全てを知った彼女は、ある意味で尤もこの日を恐れていたに違いない。
伺うように俺の顔を見て…そして、少し意外そうな表情へと変化する。
「ソフィアが死んだ」
俺の言葉が彼らに衝撃を生む。
足りない影。彼らの中心。あの少女が――死んだ。
「…完全蘇生(ザオリク)は!?」
「届かなかった。…ザオリクで蘇ることができるのは、導かれし者たちだけ…そこに居る、神に、な。
神が導くことがなくなれば、それはもう導かれし者達ではない…」
「そんな…どうして…」
アリーナの問いに、玉座で薄ら笑いを浮かべていた神が身をよじる。
それは解らない者にたいして教えたい、という欲求。
「簡単なことだ。幻惑(マヌーサ)で毒の沼地に誘い寄せ、睡眠(ラリホー)で眠らせる。
邪魔が入らぬよう瞬間転移(ルーラ)を封じれば…」
たった。たったそれだけで。
勇者が死んでしまった。勇者と言えど――それで、死んでしまうのだ。
それはつまり、勇者ではない彼等はそれ以上に簡単に――死んでしまう、ということ。
「それでも尚、向かってくるか…?今ならば、お前たちだけ救うこともやぶさかではないぞ。
実際、お前たちはよく楽しませてくれた…これは私からのせめてもの、礼だ」
589 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:42:58 ID:irPHk7bj0
ブライはその慧眼で冷静に観察していた。
その発言の真意は何処にあるのか、を。
此処に居る全員が自分に立ち向かってくることを恐れているのか、を。
しかし残念ながら、神にとってそのような駆け引きはあまりに興味の無いものであったようだ。
彼は死闘を覚悟する。
撤退?ハハハ、この状況でそんなもの――彼女の臣下になったそのときから、考えることはない。
「――ソフィア……私の親友を、よくも……!」
「…姫様」
「止めるの?ブライ?…解ってるわ、私だって…だけど…だけど…!私は…!」
「速度上昇(ピオリム)」
老魔道士の魔力を受けて、アリーナは驚きに目を見開く。
「さあ、背はいつものようにお任せあれ。
サントハイム宮廷魔術師の、そして我が国の誇るべき姫君の教育者の名に恥じぬ働きをいたしましょうぞ」
「うん!」
嬉しそうに微笑む美しい少女。
彼女の笑みは――若き日の己が見た王妃の笑みに、よく似ていて。
老魔道士は不覚にも目頭が熱くなるのを覚える。
「ほら、泣いてないでやるわよ、おじいちゃん」
「ふん…黙れ小娘。遅れを取るでないぞ」
「それはこっちの台詞!」
590 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:44:03 ID:irPHk7bj0
ぱん!っと鉄の扇が開かれる。
踊り子の象徴とも言うべき華麗なる武器を持ち、彼女は戦いに挑む。
「フォローは任せて、姉さん」
「ミネアさんは…複雑、では無いのですか…?」
恐る恐る訊ねたクリフトに対し、ミネアは迷いの無い凛々しい表情を浮かべている。
「はい。私は、姉さんを信じています。勇者様…ソフィアさん、ソロさん…そして仲間の皆さんを信じています。
私に声をかけてくれたのは、神様よりも…皆さんのほうが、多いですから。
…ですが、一つだけ、私にも訊きたいことがあります。
…ハバリアの町の近くのほこら…あの場にいた女性を消したのは…」
「私だ。そも、地底に封印されていた地獄の帝王がどうして聖なる神の御使いを消すことができる?」
「――そう、ですか」
ミネアが、クリフトが、めいめいの武器を構える。
彼らの前に立つのは、ライアンとトルネコだ。
良き父と、頼もしき戦士はまだ若い彼らの壁になるかのように、神との中間に立ち塞がる。
「トルネコ殿。くれぐれもご無理はなされぬよう」
「ええ、心得ておりますとも。――全員で、帰りましょう」
頼もしき男たちが前線を張る。
果たして、永き時を共にしてきた仲間達の、最後の戦いが始まった。
591 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:45:18 ID:irPHk7bj0
マーニャは、考えていた。
自分には天賦の才がある。
だが、その才を持ってしても――ピサロの術には適わない。
人間と、魔王。
その器の差は如何ともし難くて。
全く同じ術なのに、彼女の術は魔王のそれに劣る。
ブライには、敵を攻撃する以外にも仲間を補助する術がある。
翻って自分はどうだ。
その魔術の強力さに胡坐をかき、ただひたすら敵を圧倒する術しか学ばなかった。
勿論、それには仇討ちのためという理由もあった。
だが、仇討ちを完遂した後もひたすら敵へと力をぶつける魔術を習得し、補助といえば精々がトラマナぐらい。
その甲斐あって手に入れた極大の爆裂呪文であったのに、それすらもあっさり魔王に奪われ。
自分は間違っていたのだろうか?
なんのことはない。
彼の師だなどと言ったって、自分が道を間違えていて誰を導くことができるというのか。
竜神に立ち向かうアリーナ。
彼女は巨大な存在に怯むことなく、打ちかかっていく。
親友を殺された、純なる怒りが彼女を怯えから守り、その拳閃をいつもよりも輝かせる。
嘗ては、アリーナとマーニャはパーティーの要であった。
マーニャにとってアリーナはもう一人の妹であり、いつも前線に出張り危なっかしくも助け甲斐のある少女であった。
なのに――。
「随分と、離されたもんだわ」
知らずのうちに苦笑が漏れる。
そんな彼女に、俺は声をかけた。
592 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:46:10 ID:irPHk7bj0
「そんなことはない。師匠(マスター)には、師匠の成してきた道がある」
「私の道?」
「そう。火力を追求してきた道。その道をきたからこそ手に入れられたものがある」
マーニャは少し驚いていた。
彼はいつのまに、こんなに大人びた表情をするようになったろう?
天空の城に来るまでは…まだ違う。
そう、この城で彼とソフィアは一時的にパーティーから離脱し…魔界で合流した、その後から…?
この少年、この青年、この男――今やどれでも形容できる存在は、果たして何を学んだというのか?
何を知れば、このような表情ができるのか――?
「この世界にとって、彼の神の影響は絶大だ。
だが――この世界のものじゃ、なければ。あったじゃないか、マーニャ。君がプライドを捨ててまで手に入れた、小さな灯火が」
瞬間、マーニャの全身に電撃が走る。
マーニャ自身が辿り着いた最後の、危険を伴う賭け。
命が惜しいわけではない。下手をすれば仲間をも巻き込みかねない、最悪の呪であるから。
「マーニャなら、大丈夫さ」
だというのに、あっさりと。
「…むかつくわ。少しはいい男になったじゃない」
「喜んで欲しかったな」
「――いいわ。見せてあげる。これが、私の、天才魔術師マーニャちゃんの、最終、最奥の秘術…!」
593 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:46:51 ID:irPHk7bj0
――我は請う。
最古の力。最古の魔。
最古の闇が灯す暗い炎。
「この血肉をもって契約を!」
マーニャの背中から闇が噴き出した。
仲間達が驚いたように振り返るが、彼女自身が感じているのは噴き出す霧ではなく肩にかかる手であった。
憎悪…嫉妬…怨嗟…彼女が思い出したのはバルザック。
父を殺した憎むべき仇。
ヤツの、いやらしい笑み――。
だがそれに身を任せることはない。旅の中、その心を成長させた彼女が闇に囚われることはない!
「異界の魔王の召喚…素晴らしい…」
神がぽつりと呟く。
その驚嘆に対して、マーニャと魔王がニヤリと嗤う。
「今だ!!!」
ソロの号令が響く。
息のあった動きで、全員が動き出す!
補助呪文が仲間の背を押し、魔法と剣戟に神が一瞬無防備な姿を晒す。
「さあ…いくわよ!大魔王の炎(メラゾーマ)!!」
594 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:47:47 ID:irPHk7bj0
魔王の御名を冠する炎。
それはメラに相応しいとてもとても小さな火の玉。
真っ直ぐに、レーザーのように標的の元へと飛来し、着弾。
巻き上がる渦――焔の渦の中、悶える竜の影が見える。
仲間達から喝采の声があがる。
そして勿論、そこで手を緩めはしない。
ソロが、アリーナが、ライアンが。そして俺もまた、畳み掛けるために疾駆する。
じりっ。
うなじの毛が逆立つ感覚。その感覚を理解したときにはとき既に遅く。
巨大な焔渦を吹き散らし、両の腕でソロとアリーナを吹き飛ばし、冷たく輝く息でライアンを迎撃する。
そして最後の俺には。
既に宙に浮かんでいる俺には何が起こったのかは解らない。
その羽ばたきにすら俺の身体は耐えることができなく宙へと浮かび。
避けられるべくもない尾撃。
ぶつりっと、いやな音がした。
その音は全員の耳に響き、そして否がおうにも現実を直視させる。
男の身体が二つに断たれている。
胴と、足と。
足の方が天空城の床に落ち、胴の方は遠くに弾き飛ばされ、大地へと吸い込まれていく。
「はは…ハハハハハ…よくぞ我を玉座より立ち上がらせたものだ…。
良いだろう!久方ぶりに血沸き肉踊るわ!!」
人々に神と崇められる存在の、愉悦の混じる哄笑が響き渡った。
595 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:48:27 ID:irPHk7bj0
・
・
・
落ちていく。
空の城より、地上へと。まっさかさまに。
腕が動く感覚はある。足の動く感覚は無い。
ごうごうと唸りをあげる大気もやがて気にならなくなり…そして俺は自分が落ちているのかどうかも解らなくなった。
目を覚ます。
いや、気絶していたのかどうかも解らない。
ただ、それまでどうやら目を閉じていて、そして今、その目を開いた、ということだけは解る。
そこはなにやら真っ白な空間で、辺りには何も無かった。
「ここは……」
辺りを見回すために首を巡らせる。
そこで気がついた。
確かに首を回した感じはしたが、視界が変わらないのだ。
いや…そもそも、180度の視界を持っているのかどうかも…。
周りが白一色であり、そこには空も大地も無い、という事実を知覚しているだけに過ぎなかった。
「――ようやく会えたね」
それでも便宜上表現するとしたら、そう、眼前に。
小さな。小さな、ふくろがあった。
「……そうだな。こうやって話すのは初めてか……」
「ずっと一緒にいたのに」
596 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:50:39 ID:irPHk7bj0
そういって、笑う。
笑った雰囲気を感じる。
口もたぬふくろが喋る声を認識する。
「しかしそうか…俺は肝心なところで…悪かったな。結局、何も…できなかった…」
「いいや。そんなことはない。
ボクだけではそれこそ、荷物を運ぶことしかできなかった。
君がいたからこそ…ここまで来ることができた」
「そうかな。…結局、ソフィアは死んだ。皆は…皆には勝って欲しいが…」
「ふふ…さっきから君は何を言っているんだろうと思っていたんだ。
さあ、起こすんだ。彼女を」
「……?」
「君が気付かなければ本当に終ってしまう」
「…………あ…………そう、か…………これか…………」
「君の肉体はもう、壊れてしまった。
これを治す術は僕には無い…。だけど…。神ならざる僕にも、用意できる器がある。
人の身体は無理だけれど。道具なら――全ての道具を収める僕になら、可能だ。
君は、何を望むだろう?勿論、君が望むなら――このまま、器をもたないこともできる。それは、異界への回帰か、消滅か…正直な話、解らないのだけど」
「……」
俺の望み。
そんなものは。あのときから、決まっていた。
597 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:51:32 ID:irPHk7bj0
・
・
・
空が蒼い。
雲は白い。
見慣れた風景。辺り一面の花畑。
ゆっくりと上体を起こす。自分は何故、このような色とりどりの花たちに囲まれているのか。
ぱらぱらと身体から落ちていくものがある。
それはどうやら小さな石や埃…砂のようだった。
(おはよう、ソフィア)
頭の中に響く二つの声。
ずっと傍にいた人たちの声だから、自然と受け入れることができる。
村で育った幼馴染の少女と、村を出てから共に歩いた青年の幻影が空へと消えていく。
手元に転がる壊れた砂時計。
周囲に広がる花畑にも、自身の身体にもかかっている砂。
足元に突き刺さる、細い刀身を持つ剣。
598 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:52:34 ID:irPHk7bj0
ソフィアは壊れた砂時計を左手に、刺さった剣の柄を右手で握る。
なんの抵抗も無く引き抜かれる剣。
その刀身には、こう刻まれていた。
――Sword Of Sofia――
彼女は彼女の、ソフィアの剣を手にする。
(さあ、行こう)
「…どこへ?」
(あの、空へ)
「…どうして?」
(君の、兄と、かけがえの無い友を救うため)
「…どうやって?」
(それは君が一番解っているよ)
・
・
・
599 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:53:19 ID:irPHk7bj0
男が身体を断たれ、地へと落下してから数時間が経ち。
マスタードラゴンの火炎が玉座の間へと降り注ぐ。
ミネアがフバーハでそのダメージを軽減するが、それもこう何度も吹き付けられるとキリがない。
だが、自分たちには彼の神を撃つ手段が無い――。
「…卑怯者!降りてきなさいよ!」
アリーナが地団駄を踏む。
彼女たちは今、完全なる自分の無力を呪っていた。
散発的に飛ぶマーニャたちの攻撃魔法では、決定的なダメージを与えることができない。
マスタードラゴンは凍てつく波動を放たずに、火炎と吹雪を交互に吹き付ける。
ミネアを初めとして仲間たち全員に、火傷と凍傷が少しずつ刻まれていく。
もはや満身創痍となりながら、仲間を癒すクリフト。
だがそれも、心が折れるまでだろう。
「賭けるしか…ないのか…」
だがそれはあまりに分の悪い賭けだ。
それまでの戦闘経験が、未だ機が熟してはいないとソロを押し止める。
だが、このままでは機が熟す前に、全てが終ってしまうだろう。
迷っているのはピサロも同じだ。
あのエビルプリーストの使った進化の秘法。
進化のスピードの速いあの術なら、今この場で使用することもできるだろう。
しかしそれでは…。
「――む?」
600 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:54:14 ID:irPHk7bj0
気が向くままにブレスを吐いていたマスタードラゴンが訝しげな声をあげる。
なんだ?と思った矢先。
下からの一陣の光がその鱗へとぶつかっていく。
神は絶対的な自信をもっていた。
即ち、我が身の鱗を貫けるものなどこの世には創りあげていない、と。
「なんだとお!?」
なのに、何故だ。
今、我が身より弾け、噴出すものは一体なんだ!
神が身をよじり、地より飛来した何かを見る。
白い翼。自身の眷属として生み出した者たちが持つ、美しき羽。
彼女の持つ剣。それが何なのか一瞬、解らない。
だが神はすぐに理解する。つまり、神が解らないものであるということが、一つの決定的な意味をもつのだから。
異界の物質。異界の剣。即ち、己を殺し得る剣!
天空城から空を眺める者たちは見た。
彼らがその身と心を預けていた少女が、今――。
ソフィア殿!ソフィアさん!ソフィア!!
「ミネア!マーニャ!祝詞を捧げて!彼の残した卵とオーブに向かって!」
そう告げるや否や、ソフィアは背の翼を巧みに操り神へと向かっていく。
その小さな背を追うようにピサロが飛んだ。
竜の尾撃がソフィアに向かって放たれる。その射線上から彼女を突き飛ばし、その勢いを利用し自分もまた逃れる。
「――ヤツはどうした?」
「あの人なら、ここにいるわ」
601 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:55:30 ID:irPHk7bj0
掲げられる細身の剣。
「……そうか」
ピサロもまたそれ以上は言わず。
二人は神へと挑んでいく。
「祝詞…ミネア、なんのことか解る?」
「いえ、私にも…」
アリーナが辺りに散乱していた彼の遺した道具から、一つの卵と六つのオーブを持ってくる。
だが、祝詞を捧げてくれと言われた二人が困惑していた。
(ミネア…マーニャ…)
「…え?ミネア、今の…!」
「…私にも聞こえたわ、姉さん!」
(今から捧げるべき言霊を伝えるから…繰り返して…)
頭に直接響く声。
それを、二人は復唱していく。
その唱和は、彼が狭間で得た二人の友の、餞別へと届いていく。
602 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:56:07 ID:irPHk7bj0
「時はきたれり」
「今こそ、目覚めるとき」
(大空は、お前のもの)
「舞い上がれ――」
「――空高く!」
ミネアの真摯な祈りが。
マーニャの捧げる神域の踊りが。
本来、羽ばたく筈の無い翼を蘇らせる――。
炎の直撃を受けるソフィア。
だというのに、まるで怯まず己に突っ込んでくる。
いかな勇者と言えど、おかしい。
心が折れなかったとしても、肉体が傷つけば動きはどう足掻いても鈍くなる。
「…まさか」
神は眼をこらした。
少女を、ではない。少女の持つ、異界の物質を。
上位治癒(ベホイミ)の光。
それだけではない。
神が凍てつく波動を放てば、攻勢力向上(バイキルト)の光が、物理障壁(スカラ)の輝きが、少女を包む。
そういうことか――。だが、それでも。
万が一にも敗れることはない。
竜身を完全治癒(ベホマ)の光輝が包み込む。
少女と魔王、彼女らとはポテンシャルが違いすぎる。
時間をかければ如何様にもできる。それが、神の結論。
603 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:57:06 ID:irPHk7bj0
「…愚かな娘よ。幸福な夢から望まず目覚めさせられ…戦いを強いられている。その剣のせいで…」
「……」
「沈黙は肯定か?では、そのような剣など捨ててしまえ。我のそなたへの感謝は本物だ。
また、安らかに…眠らせてやろう」
「……それは、道具への感謝よね?」
「そうだ。そなたとて、道具を使い終わったら、道具が使えなくなったら処分するだろう?
そうしなければ延々と溜まっていくだけだ」
「ええ。中には捨てるものもある。売るものもある。
…だけど。私は全てをそうしようとは思わない。例え壊れてしまったものでも――」
少女の腰に揺れる壊れた砂時計。
「大切なもの。ずっと、一緒にいたいもの。そういうものが、きっとある。
貴方にとって私たちはそうじゃなかったのかもしれない。
だけど、だからといって――はい、そうですかと破棄されるのなんてごめんだわ」
握る剣に力が篭もる。
少女の意思に応えるように、剣は震える。
「――では、破壊するまでだ。さらばだ、勇者よ!」
神の攻撃が激しくなる。
そんな中、ソフィアはただじっと耐えていた。
たった一度のチャンスを逃さないために。
大魔王の炎(メラゾーマ)が横合いから神を撃つ。
馬鹿な。この高さの我に、どうやって――。
604 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:58:44 ID:irPHk7bj0
神は見た。
己と同等の存在が。
空を自由に駆ける翼神が――!
この世界で、己以外に存在してはならない存在が――!!
ブライの放つ巨大な氷柱。ミネアの巻き起こす大気を裂く竜巻。
寸分違わず直撃し、神の動きを拘束する!
翼神の加護を受けた4つの流星が縦横無尽に駆け回り、神の鱗に叩きつけられる。
その一撃一撃が、重い。竜鱗をすら砕く一撃へと変貌していた。
ライアンが、アリーナが、クリフトが、トルネコが、砕き、斬り裂き、貫く!
「――ソロ」
「――ピサロ」
その間、勇者は仲間達の魔力を借りて。
魔王は、己自身の魔力の全てを練り上げて。
辿り着いた神域の魔術を――開放する。
「ミナデイーーーン!!!)」
「マダンテ!!!」
鼓膜を破壊しかねない轟音と、衝撃。
まさに全身全霊。
仲間達の築いたその道に、ソフィアが最後の一撃を放つ。
天使の翼が羽ばたくと、少女の姿は一筋の光と化した。
深々と突き刺さる、ソフィアの剣。
神は叫ぶ。苦痛に悶絶しながらも、治癒の叫びを。
605 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 20:59:27 ID:irPHk7bj0
「…眠りましょう、一緒に」
ソフィアは解っていた。
これだけでは、止めにならないことを。
だから、覚悟していた。
そして、ソロもまた。
覚悟をしていた。
魔王は大丈夫。彼にはロザリーがいるから。
神も、勇者もいなくても。
きっと、幸福が沢山できる。
…あれほど魔王を憎んだ自分が、こんな感情を抱くとは。ソロは、小さく笑った。
翼神の背から飛び降りるソロ。
神の背へと降り立ち、妹の元へと駆け寄る。
妹は兄へと笑顔を向けて。
同じ結論に達した兄に、申し訳なさと、嬉しさの混ざった笑みで。
「――ダメェェェェ!!」
アリーナの悲痛な叫び。
二人は、少しだけすまなそうに、仲間達を見て、同時に手袋を外す。
606 :
神殺
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:00:17 ID:irPHk7bj0
神の身体が完全治癒の光に包まれる。
だが、それよりも速く。
ソフィアの剣が引き裂いた、神の鱗の内部にソロが手を突きいれ。
「ありがとう、皆。――大好きだよ、みんな!」
少女もまた、兄の手に、己の手を添えた。
楽しかった思い出。悲しかった思い出。
故郷を出て、旅をして、様々な人に出会って、色々な土地に赴いて。
一秒一秒が輝いていた。
ありがとう。
だから、これはお礼。
大好きな女の子への、小さな、小さな…。
座標融解現象が巻き起こるその中心で。
最後に大きな泡を生み出し、少女の剣は砕け散った。
607 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:03:14 ID:irPHk7bj0
空気を裂く音が響く。
大勢の兵士の前で型を披露したライアンに、万雷の拍手が送られる。
武門の誉れ高きこのバトランド王国において、ライアンに勝る戦士は――いない。
「なんと…また、旅に出たいと申すか…」
頭を垂れるライアンに、バトランド王は残念そうに呟いた。
「だが、何故だ?嘗て、そなたは勇者を探す旅に出た。
では、今度は何ゆえに旅出る?」
ライアンは王宮戦士だ。
王宮に仕える戦士が、任務以外でバトランドを離れるなど、本来あってはならないこと。
世界は平和を取り戻した。
最早、彼が旅に出なければならない理由は無い。
王は、この無骨な戦士に、ゆっくりと休んでもらいたかった。
「…私は戦士。戦士は、戦いこそ生業。
幸いなことに、今、この国は平和です。ですが…それでも、この世界には悲しみが満ちている」
608 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:03:47 ID:irPHk7bj0
「だが、それは――」
魔物が人を喰らうとか、ある意味単純なことではない。
人は、人を傷つける。
そこから生み出す悲しみを打ち消そうとすれば、それは矛盾とやるせなさに焼かれることになる。
戦士の役割では、無い。
「ライアンよ。…悲しみを消すことは…できぬぞ?」
「それでも――減少させることはできると信じます」
「……」
バトランド王は大きく嘆息した。
目の前の大戦士を止められる言葉など、存在しないことを悟ったからだ。
「あい、解った。行け、ライアン。…だが、偶には顔を見せろよ?」
「ハッ!必ず!!」
609 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:04:22 ID:irPHk7bj0
「あーあ…退屈」
ベッドの上で足をばたつかせる。ぼすぼすと蹴られる枕。
変形してしまったそれは、特に文句を言うことはない。いつものことだし、優しいメイドがまた形を直してくれるから。
「退屈ならばお勉強を」
ブライのツッコミは完全にスルーだ。
馬耳東風とはまさにこのこと。そんな様子をクリフトは苦笑を浮かべて見守る。
「ところで、クリフトにブライが揃って私の部屋に来るなんてなんの用?」
「王が見合いの話を持っていけと仰られましてな」
「帰れ」
「私もなんとかお止めしようとしたのですが…」
「流石クリフト。忠臣ね」
アリーナに褒められ、まんざらでもなさそうなクリフト。
それを見て普段なら青筋を立てて怒るブライが、なにやら神妙な様子だ。
アリーナもクリフトもある程度予想していた事態が起こらなかったために、疑問符を浮かべる。
「実はわしも、もう良いのではないかと思い始めましてな」
意外なぶっちゃけトークに、クリフトの口があんぐりと開く。
対照的にアリーナは小躍りをして喜んでいる。
「ブライ!解ってくれたのね!」
610 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:05:10 ID:irPHk7bj0
「ええ。このブライ、恋愛沙汰には決して疎くはありませぬ。
どうやらアリーナ姫様には心に思う方がおられる様子。ならば、見合いなどをしても幸せにはなれぬでしょう」
ひげを整えながらしれっと言うブライに、今度はアリーナが慌てふためいた。
クリフトは…開けた口から魂が抜けてしまったのか、呆けてしまっている。
「ちょ、な、何言ってるのよブライ!」
「王を安心させるためにも、彼を探しにいきましょう。旅ですぞ、姫様」
「…まあ、そこまで言うなら…旅は楽しそうだしね…」
婿探しの旅というのはアリーナ的には非常に気になる所だが。
それでも、彼女自身旅は大好きだし、それに…。
「クリフト、いつまで呆けている。
…旅先で色々あって、結局一番身近な人の大切さを知ることもあるかもしれぬぞ」
ブライにぼそっと囁かれ覚醒するクリフト。
彼とて、負けてはいない。いや、負けられない!と、意気込む。
アリーナは二人がなにやらこそこそしてるのに首を傾げていた。
611 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:05:52 ID:irPHk7bj0
エンドールの小さな武器屋。
その二階で、トルネコは椅子に座りじっと何かを考え込んでいた。
夫のそんな様子は珍しく、ネネは邪魔にならないように、それでもトルネコが自分を呼んだらすぐに返事ができるように、
傍で繕い物をしている。
「…ネネ」
「はい?」
「私は夢を叶えた。世界一の武器屋になるという夢…天空の剣こそ手に入りはしなかったけれど、
武器は元々使い手がもってこそ輝くもの。あの剣の輝きが見れただけでも私は満足だし、今や武器屋の間で私の名前を知らないものはいない」
レイクナバ、田舎の小さな村で店員のバイトをしていた頃から比べれば考えられない出世をした。
富も、名声も得た大商人だったが、それなのにどことなく最近のトルネコは暗い顔をしていることが多かった。
「…すまない、ネネ。私は、また――」
「ええ。用意はできていますよ、あなた」
トルネコが言い終わる前にネネはすっかり整理の終った旅の荷物を机の上に置いた。
眼を白黒させるトルネコに、くすくすと微笑む。
612 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:06:43 ID:irPHk7bj0
「ただし、条件があります」
「じょ、条件?」
「今度の旅には、私もポポロも一緒に連れて行くこと――前の旅よりも、危険は少ないでしょう?」
この妻には自分は一生敵わないだろう。
そんな予感をトルネコはいつも抱いている。
だからこそ、この展開も、実の所考えてはいたのだ。
そしてそれは――彼にとっても、嬉しいことで。
「解った。行こう、ネネ。だけど、ポポロには此処に友達がいるんじゃないのかい?」
すーすーと眠る息子、ポポロを見る。
「ふふ…もし、またあなたが旅に出るようなら、絶対についていくと言い出したのはこの子ですよ」
「そうか…」
一組の家族の幸せな夜は静かに更けて行く。
613 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:07:25 ID:irPHk7bj0
ごとごとと揺れる幌の中でマーニャはぱたぱたと鉄扇で風を迎え入れる。
他に見ているものもいないので、中々だらしない格好をしているのだが。
共に旅するミネアはパトリシアの手綱を握っているので、自由なものだ。
「ねーミネア」
「なあに、姉さん」
「コーミズ村で、父さんに報告したら…どうしよっか」
ミネアはマーニャからその言葉が出るのが少し意外だった。
マーニャならばてっきり、あの住み心地の良いモンバーバラで過ごそうとするものだとばかり思っていたから。
「だって、ミネア、あんまり好きじゃないでしょ?」
…何も考えていないようで、時折鋭いことを言う。
マーニャにはひょっとすると自分以上の占い師としての才能があるんじゃないだろうか?
以前そんな話をしたら、マーニャは一笑に付した。
曰く、
614 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:08:01 ID:irPHk7bj0
「私が解るのは、私が好きな相手限定だもの」
とのことで。
面と向かって好きだと言われて赤面してしまったミネアは、その後マーニャにからかわれることになったのだが。
閑話休題。
「だけど、モンバーバラじゃなければ何処にいくの?」
「んー…ミネアの占い次第ってのはどう?」
「…私には、もうどちらに行くべきかなんて見えないわよ姉さん」
「違う違う。つまり、ミネアちゃんが行きたい方角に行ってみるってこと!根拠なんてなくていいの」
けらけらと笑う姉に、ミネアははあっと嘆息する。
それはもはや放浪に近い。
「父さんの話、覚えてるでしょ。私達の母さん、ジプシーだったって。
…私達は、ジプシーの姉妹。だから、旅が似合うんじゃないかって思ってさ」
「…ジプシー、か。
…そうね、そうしよっか。姉さん」
ひひーん、と、道程は任せろとばかりにパトリシアが嘶いて。
姉妹は朗らかに笑い合う。
615 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:09:02 ID:irPHk7bj0
ロザリーヒル近くの丘の上で、エルフの少女が歌っている。
花畑の中央に座り、少女の膝を枕に銀色の髪の青年が身体を大地に横たえており。
その綺麗な歌声を堪能している。
「…ピサロ様」
「……」
ピサロは返事をしない。
だが聞いてはいるのだろう。
微かな身じろぎを膝に感じたのでロザリーはそのまま続けた。
「…私…色々なものを、見てみたいです…ピサロ様と一緒に…」
616 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:09:38 ID:irPHk7bj0
控えめな少女が控えめに伝えた願い。
いずれ、そう言うのではないかと考えていた。
魔王とて、少女を籠の鳥にしたくてあの塔に押し込めた訳ではない。
しかし…。
これからも人は増え続ける。
平和な世で育った人は、きっとそうではない世で育った人よりも――酷い生き物になるのではないか。
そんな、予感めいたものをピサロは感じていた。
「――私は……」
お前が心配だ。
お前を喪いたくない。
そんな言葉を直接発することはない。
それでも、少女には届いていた。
「……行くか」
「……はい!」
青年と少女は以心伝心であり、心がすれ違うことなど二度とありはしないだろう。
少女が行きたいと言うのなら。
叶えてやりたいと思う。その、願いを。
617 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:12:11 ID:irPHk7bj0
「…ふむ。これは…面白い、な」
ぽつりと呟く緑髪の男。
ソロはとある洞窟の中にいた。
今は失われた技術が眠ると言われる洞窟の中にあった、箱のような乗り物。
その中には、中年の男性が乗っており、延々と同じ線路の上を走らされている。
どういう原理かは解らないが、誰かがスイッチを切り替えてやらなければ止まらないようだ。
男が何か言っているようだが、よく聞き取れない。
「ま、そこで暫く反省してくれ。…なあに、あんたにとっては大して永いと呼べる時間じゃあないだろうさ」
結局ソロは男性を助けず、その洞窟を抜けた。
眩しく差し込む日の光をかざした手で遮る。
「……さて、と」
故郷を喪い、父母を喪い。
まるで運命を暗示しているかのような名前をつけられた青年は、太陽に向かって腕を突き出し、大きく伸びをした。
――次は、何処へ行こうか。
それが言葉になることはない。彼には、旅の連れ合いはいないのだから。
だが、それでも彼の顔は明るく、希望に満ちていた。
勇者ソロの旅は、まだまだ続いていく。
終りでは、無い。そのことにこそ、喜びを感じているかのように。
孤独な男の右の耳には、スライムのピアス。
そして左の耳には、再会を誓って交換したキラーピアスが輝いていた。
618 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:13:45 ID:irPHk7bj0
そして――。
岬の上に置かれた墓石。
刻まれる名前は無い。名が無いことこそ、ここに眠る存在の証。
跪く、緑色のふわふわの髪をした少女。
「皆、旅立って行ったよ」
「ライアンもアリーナもクリフトもブライも、トルネコもミネアもマーニャも…ピサロもロザリーも、兄さんも…」
「皆、元気。皆、嬉しそう。一つが終って、これからに向かって、歩いていってる」
「私は」
「私は――……」
「……ぐすっ」
「……私は、もうちょっと時間がかかるかもしれない」
「……ほら、デスパレスもこのままにしておけないから。ピサロはロザリーを幸せにしないといけないから…私が面倒見ないと」
619 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:14:17 ID:irPHk7bj0
「なんだか、逆になっちゃったね!前は…私が喋れなくて…あなたばかり…喋らせちゃってて…」
「だけど、いつかは…」
「いつか…」
「返事を、してもらいたいから…お話したいから…」
「私も、旅に出る」
「――あなたを、探しに。だから、覚悟しておいてね」
ミニデーモンの小さな影が少女に近づき、デスパレスで魔物たちの喧嘩が始まったことを知らせる。
少女の背の翼が広がり、天空へと羽ばたいて行く――。
彼女の腰で、壊れた砂時計と、刀身の喪われた剣の柄が揺れていた。
620 :
導かれし者たち
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:15:21 ID:irPHk7bj0
――ドラゴンクエスト4 導かれし者たち...if...――
THE END
621 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/17(土) 21:18:43 ID:1f14MV/Q0
泣いた
622 :
4の人
◆gYINaOL2aE
:2007/03/17(土) 21:21:37 ID:irPHk7bj0
いつものステータスが出せないので投下終了宣言ということで
挨拶やお礼のあとがきみたいな文は用意していなかったので…後日にでも
623 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/17(土) 21:30:39 ID:1f14MV/Q0
うおい
感動のあまり呆然としてたぜ
リアルタイムで4の人の物語の最後に立ち会えた。・゚・(ノД`)・゚・。
毎日マダカナマダカナしててよかった。・゚・(ノД`)・゚・。
とにかくっ!
4の人今までとってもいっぱいおっぱい乙でしたあああああ。・゚・(ノД`)・゚・。
624 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/17(土) 21:48:00 ID:sssKIf3F0
。・゚・(ノД`)・゚・。
もう4の人にキタ━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━!!できないんだな…
4の人ありがとう本当にありがとう
625 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/17(土) 22:31:01 ID:S/oVqa8m0
ついに完結してしまったか。珠玉の物語乙でした!!
読み終わった後、余韻から抜け出せなくて放心してしまった
本当にこの話を書き続けてくれてありがとう!!
626 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/17(土) 22:43:54 ID:sssKIf3F0
忘れないうちに
,j;;;;;j,. ---一、 ` ―--‐、_ l;;;;;;
{;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; ステータス欄の「E パンツ」は
ヾ;;;ハ ノ .::!lリ;;r゙ いつか装備から外れる日が来る
`Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;;>
,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゙: Y;;f そんなふうに考えていた時期が
~''戈ヽ `二´ r'´:::. `! 俺にもありました
627 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/17(土) 23:33:54 ID:oLxfseN80
4の人ありがとう。ありがとう。乙でした。
今日久しぶりにリメイク版4の電源入れたんだ。
物語はまだ途中でクリアなんかしてなかったけど、絶対クリアする。
最初から追いかけてきて、本当に良かった。
途中、色々あって投下しにくい時とか、あったと思うけれど、
最後まで仕上げてくれて本当にありがとう。
ごめんな。上手いこと言えねぇや。
そして、
>>626
にワロタ
628 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/18(日) 01:52:12 ID:Nx1BpL6y0
。・゚・(ノД`)・゚・。おつかれさまです
629 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/18(日) 02:09:32 ID:wCT+B3Rc0
まさに
感 無 量
2年に渡る超大作、4の人本当にありがとう。おつかれさまでした。
630 :
571
:2007/03/18(日) 02:57:50 ID:lDDu/iTZ0
( Д ) ゚ ゚
4の人来てるうううう!?
寝る前にもう一回覗きに来て良かった
明日じっくりと読ませて頂きますm(__)m
631 :
タカハシ
◆2yD2HI9qc.
:2007/03/18(日) 04:03:04 ID:Aa/HOd+g0
まとめサイトを更新しました。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html
「4の人 ◆gYINaOL2aE」さん、約二年お疲れ様です。
ありがとうございました。
632 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/18(日) 05:40:11 ID:l0/yCdLAO BE:348214853-2BP(1)
あぁぁぁ、4の人お疲れ様です
あなたがスレに現れた最初からずっと見てました
途中色々あったけど最後まで続けてくれて凄い嬉しい、というかなんというか
もう読めなくなるのかと多少ショックもあったり
とにかくお疲れ様です!
こんな大作を最後まで諦めずに書き終えたあなたは凄い!!
633 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/18(日) 08:43:24 ID:IGiovnU80
泣いた。ドキドキした。鳥肌たった。
凄いわ。ずっと読み続けて待ち続けて良かった。本当に。
最後の方は凄い展開でもうね。感動した。
マジお疲れ様でした。心からありがとうございました。
彼と彼女に幸せが訪れるよう、祈らずにはいられません。
634 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/18(日) 10:05:45 ID:gQ6E457v0
まとめサイト◆gYINaOL2aEさんの「???」のところ、
一部文章の重複があるよ。
635 :
タカハシ
◆2yD2HI9qc.
:2007/03/18(日) 16:11:00 ID:Aa/HOd+g0
>>634
指摘、ありがとうございます。
修正しました。
636 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/18(日) 19:11:09 ID:kOsNNjOu0
いつの間にか4の人来てる――!?
待ち続けたかいがあった・・・(つД`)
お疲れ様です。これで最後かと思うと・・・
637 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/18(日) 22:54:17 ID:5Psh+9xj0
うおおおおおおおお
涙でモニターが…
もうほんと乙です…
638 :
4の人
◆gYINaOL2aE
:2007/03/18(日) 23:16:19 ID:szkMA+uX0
ハンドルを使うつもりはなかったのですが、よくこう呼ばれていましたので、感謝の気持ちをこめて。こんばんは、4の人です。
数年にわたるお付き合いありがとうございました。そして長々と申し訳ありませんでした。
色々と悩みながら作りました…拙い話ですが、最後まで読んでいただいて本当にありがとう。としか言えないですね。
最後は、エピローグとしてFF6ワールドで彼が目覚める展開も考えていたのですが、蛇足を恐れてやめました。
続きを匂わせるのも責任が発生しますからねw
後書きめいたこの文章も蛇足といえばそうなりそうですが…けじめということで一つ、大目にみてやってください。
1つのお話はこれで終りましたが、まだまだ進行中のお話は沢山あります。
綴る人は是非完結を目指して、読む人は是非自分にしてくれたように皆を励ましてあげてください。
まとめサイトの管理人さん、避難所の管理人さん、いつもお疲れ様です。
まとめサイトはカッコいいデザインで、見るのが楽しいですし、避難所はこのスレに何かあったときの為にも必要だと思います。
最初に、完結までメル欄でのちょっとした訂正以外喋らないと決めていたので、感想に対してろくに反応もせず申し訳ありませんでした。
本当はコテありコテなし関わらずもっと思い出や、御礼を言いたいのですが、長居もあまりよくないかなと思います。
名残は惜しいですがこの辺りで。
いずれ、また。此処か、または別の場所で再会できたら嬉しいです。
それでは、失礼いたします。
…と、お別れのような台詞を吐きつつも、レスの必要な事態も考えてまだ見てますけどねw
ひとまずは、これにて。
639 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/19(月) 00:24:10 ID:HNxh0Rv/O
4の人お疲れさま。
ただ一言凄いとしか言い様うがないなぁ…
640 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/19(月) 00:51:44 ID:aNS0cCT40
4の人本当に本当にお疲れ様!
お金を出して読まないと申し訳ないような素晴らしい作品でした。
初めは笑い、最後の方は緊迫と涙で、本当に心を揺さぶられました。
とにかくお疲れ様と感謝の気持ちでいっぱいです。
もしもし気が向いてまた書きたくなったら、気軽に短編でも何でも投下しにきてください。
641 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/19(月) 01:52:24 ID:SDb4M6ZpO
4の人、お疲れ様でした。
素敵な物語をありがとう。
642 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/19(月) 03:02:09 ID:qM9XGohm0
>>638
「完結まで喋らないと決めていた」のかあ。なんか (・∀・)カコイイ!!
あとがきは蛇足なんかじゃないと思うよ。
4の人の素の文章が読めて嬉しかったし。
みんなの感想レスもちゃんと読んでてくれてたんだなあと…。
このスレの住人で本当に良かった。
ところで、
>>571
のすぐ後で投下を始めたのは偶然ですか?
前回も確か「4の人マダー」レスの直後に投下された気がしますが(・∀・)ニヤニヤ
643 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/19(月) 04:55:58 ID:bJE5CPzM0
4の人よ、これだけは言わせてくれ
貴 方 様 は マ ジ ネ申
今まですげえいい話読ませてもらったわ・・・・
とにかく本当に乙
644 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/19(月) 17:16:09 ID:VmWouGBv0
4の人が頻繁に投下してたときは毎朝このスレをチェックするのが日課でした。
この作品を読むのがいつも楽しみで仕方なかったです。
この作品が始まってすぐにリメイク4をやってしまいました。
特別好きな作品が終わる瞬間というのは、いつも寂しい気持ちになります。
この作品がまさにそれです。
本当に長い間ありがとうございました。
645 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/19(月) 21:27:29 ID:kZyBZnEkO
4の人氏お疲れさまです!笑いあり涙ありのすばらしい作品でした。自分は4やったことなかったけど全然楽しめました!気が向かれたらまた投稿してください!本当にお疲れさまでした
646 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/19(月) 22:30:24 ID:dPN1SykR0
4の人、2年間本当にお疲れ様でした。
私が4をプレイした理由は、4の人の作品を見て非常に感動したからでした。
素晴らしいお話だったと思います。
最後まで書いて頂いて本当にありがとうございました。
改めて、今までお疲れ様でした。
647 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 00:50:06 ID:kAuyLGSf0
最後まで書き続けてくれてありがとうございます。
この作品に出会うことができ、心から幸せに思います。
お疲れ様でした。
しっかしこのスレがこんなに続くとは思わなかった〜。
根気強く保守し続ける住人のみんなと、何より書き手さん達のがんばりのおかげですね。
これからもwktkしながらスレを覗き続けます。
648 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 03:03:54 ID:xGFj8sax0
「俺は――俺は、ソフィアの、剣になりたい。決めた。今、決めた!!」
。・゚・(ノД`)・゚・。
649 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 10:47:50 ID:jIqpt3cWO
誰か映画化してこいよ
ほら、ほら!
650 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 13:14:08 ID:yIC1LOsp0
4の人乙でした
楽しく読ませて頂きました
651 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 18:26:18 ID:GfSW6yJLO
4の人乙です! 今まで長い間楽しませてくださって本当にありがとうございました、お元気で!
652 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 19:00:03 ID:zOf/wSKh0
>>648
そこ2回目読むとヤバイよね。
台詞、行動、至るところで最後へつながっていて、本当に初めからつくりこまれてるのが良く分かる。
ピサロやソロ側の、ある程度世界を分かっていた人達の行動なども、読み返すとまた感慨深いものがある。
仮の世界ではあるけど、きちんと4の世界を生かした上で、さらに素晴らしい物語と結末を作りあげた4の人、ネ申!
これからも繰り返し拝読させて下さい。お疲れ様でした!
653 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 19:25:39 ID:deNE6kM4O
やばい。まだ余韻から抜け出せない…
654 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 19:34:10 ID:XLosX4ipO
とりあえず本日徹夜で頭から読み返し1日中物語が脳内駆け巡ぐった漏れがいる。
足掛け2年間本当にお疲れさまでした。
655 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 19:45:55 ID:wIvP73UK0
4の人、GJで、乙で、この作品を書いてくれてありがとうございました。
ところで主人公が『剣』になったということは、
ひょっとして『刀身の喪われた剣の柄』というのはパンt
656 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/20(火) 22:56:43 ID:ELLKiBB50
>>655
_人人人人人人人人人人人人人人_
> な なんだってー!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
_,,.-‐-..,,_ _,,..--v--..,_
/ `''.v'ν Σ´ `、_,.-'""`´""ヽ
i' / ̄""''--i 7 | ,.イi,i,i,、 、,、 Σ ヽ
. !ヘ /‐- 、u. |' |ノ-、 ' ` `,_` | /i'i^iヘ、 ,、、 |
|'' !゙ i.oニ'ー'〈ュニ! iiヽ~oj.`'<_o.7 !'.__ ' ' ``_,,....、 .|
. ,`| u ..ゝ! ‖ .j (} 'o〉 `''o'ヽ |',`i
_,,..-<:::::\ (二> / ! _`-っ / | 7  ̄ u |i'/
. |、 \:::::\ '' / \ '' /〃.ヽ `''⊃ , 'v>、
!、\ \. , ̄ γ/| ̄ 〃 \二-‐' //`
657 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/21(水) 02:02:18 ID:aUA24AYQ0
もうあれだよな4の人は神だよな。
そしてほかの作者さん達の話の続きもwktkしてます。
658 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/21(水) 04:05:42 ID:brsXJxRb0
4の人乙でした。毎回わくわくしながら楽しみに読んでたよ。
マスドラとの戦いや、その後トロッコに放置wとか自分の中で公式歴史になりそうだw
パンツの彼も勇者が二人同時に存在する事も違和感が湧かない。
現在連載中の作者さん達も応援してます
投下楽しみに待ってるよ!どうか最後まで読ませてください
続きがきになってしょうがねえ!
659 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/21(水) 12:53:54 ID:kDBvA9lRO
ェアみんながんばれ
660 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/21(水) 13:53:09 ID:Jz4KAYoEO
彼がいつも荷物運びさせられてたのは、「ふくろ」だったからなのか…
ふくろカコイイ
661 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/21(水) 22:55:32 ID:SeKTF3KJ0
4の人お疲れ様です
662 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/22(木) 16:28:08 ID:DO0/+Ndp0
>>4
の人さん
長期間お疲れさまです。鳥肌立ちました!
自分は途中からだったんですが、こんな良作の最後に立ち会えて幸せです。ありがとうございます。
>完結まで喋らない
か、格好いい・・・。自分は喋りすぎですか。そうですか。沈黙は金ですか。
見習って自分も完結まで頑張ろうと思います。
てゆうか、エピローグ案か ぶ っ た(つД`)
続き投下しようと思ったんですが
ものっそ投下し難い雰囲気にビビッてます。
663 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/22(木) 16:49:37 ID:x8/Y80uV0
早く投下してくれえええええええええええええええええ
664 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/22(木) 19:20:19 ID:xnBVA3jpO
>>662
みんな楽しみにしてますよ!
665 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/22(木) 21:31:43 ID:UbPJeHt60
>>662
wktkwktk
666 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/23(金) 01:46:46 ID:PH6p2EXF0
>>662
まぁこれだけのネ申作品が完結した後だけに
自分の作品出そうと思っても出したくない、という気持ちは分からんでもないがw
つか俺なら絶対(´・д・`)ヤダw
てか4の人はなんでこんなに文才あるのにここで作品投下してるんだろうかね・・・
これマジ小説本にして売り出せるよ
667 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/23(金) 01:47:27 ID:PH6p2EXF0
下げ忘れたスマソ
首吊って
668 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/23(金) 02:19:24 ID:vIWBWaNI0
恥や外聞を捨てる事から全ては始まる
その時が来たら
私は血も心も捧げます
正気にては大業ならず
ネタスレに限らず、創作はシグルイなり
669 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/23(金) 02:24:13 ID:BQZrQ54t0
4の人お疲れ様でした。いままでご苦労様です。大変楽しませていただきました。
けどソフィアも幸せにしてあげて欲しかったです。
670 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/23(金) 02:39:04 ID:bToxa5CC0
総長・・・(・ω・`)
671 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/23(金) 02:43:35 ID:jODi2nwb0
俺も総長読みたい
672 :
ぼーちん
◆VEWEB6Zhlo
:2007/03/23(金) 07:04:08 ID:gX2wgl65O
総長という流れをよまず、オリジナル書いてみますた。
一応出来たとこまで書き込みます。
これテストなんで、つまらんくて目に毒っぽいならやめるんで教えてください。
話として続きはどんどん明るく、バカバカしく、口悪く書いてこーかと思いますww
673 :
ぼーちん
◆VEWEB6Zhlo
:2007/03/23(金) 07:05:13 ID:gX2wgl65O
全ては―たった1つのレスから始まった。
『ドラ糞マジつまんね』
…このような心無い書き込みなど2ちゃんでは日常茶飯事だと言うのは重々承知している。
しかし、その日は酒が入っていたせいだろう。
俺はどうしてもそのレスが許せず、ついつい反応してしまった。
『氏ね。ドラクエの面白さが分からんヤシはうんこ』
そいつはすぐにレスを返してくる。
『俺も昔はドラクエ好きだったよ?ただ「ドラクエ課」が「第9開発事業部」に変わってからは糞。
…あと、悪口に「うんこ」しか思い付かないお前は童T(ry』
…俺は怒りのあまり体が震えていたことに気付いた。
許せない。確かにFC、SFC時代の作品は素晴らしいが、7、8だって良い所はあるんだ。
俺はこいつを許さない。ドラクエを糞呼ばわりしたこいつを…俺の童貞を見抜いたこいつを……絶対に許せない。
674 :
ぼーちん
◆VEWEB6Zhlo
:2007/03/23(金) 07:06:03 ID:gX2wgl65O
俺は再びキーボードに指を走らせる。
俺はこいつにドラクエの良い所を知ってもらいたかった。
別にマンセーして欲しいわけではないが「糞」の一文字で片付けられてしまうのは余りに切ない。
さっきはああ言ったが、もう俺の童貞なんてどうでもいい。
だが…酔っぱらっているせいか?
うまくキーボードを叩くことができない。
PCの画面が揺らめく。
映しだされた文字が、まるでゲシュタルト崩壊を起こした時のように認識することが出来なくなっていた。
…ヤバイ…気持ちわりぃ…このままじゃ吐き…いや、ぶっ倒れそうだ。
もう意識を保つことで精一杯。
今さっき考えていたことすら思い出すせなくなってしまっていた。
…くそ、俺は18年も生きてて「思い出す」すら覚えていないのか…?
だが書き込まなければ……ハッタリでいい。たった一言でいいんだ。……打ち込め!!
『俺は童貞じゃない!!』とッ!!
675 :
ぼーちん
◆VEWEB6Zhlo
:2007/03/23(金) 07:12:29 ID:gX2wgl65O
『…ここ…どこだ?』
何も見えない、聴こえない。
…あぁそうか。俺はカキコする直前に力尽きたのか…
だが…何故だろう?
さっきまでとは打ってかわって意識がハッキリしている。
それに、落ち着いたからだろうか?
さっきまでスレ上でやりあっていたヤシも気にならない。
単なるアンチとスルーできる心の余裕も戻った。
『真っ暗だな…』
ここが夢かどうかは定かでは無いが…1つだけ確定していることがある。それは……
次に目覚めた時、俺はきっとドラクエの宿屋のベッドの上にいる。と言うことだ。
それは、さっきまでドラクエを擁護していたという完璧なフラグと、このレスがこのスレに書き込まれているという事実から容易に推測できる。
俺は腹をくくった。
……別に昨日母親にオナヌーを見られたからこんな逃避をしているわけではない。
俺は主人公として全てを受け入れると決めただけなのだ。
676 :
ぼーちん
◆VEWEB6Zhlo
:2007/03/23(金) 07:13:34 ID:gX2wgl65O
しかし…そう意気込んだものの…
『………』
俺は常闇の空間でふと思った。
振り返ると…なんのイベントもない冒頭だったものだな。と…
魔王に敗れ、体を分離させられたわけでもない。
夢で性格診断もされていない。
虚しさを全く感じないと言えば嘘になる。
…しかしこれが現実。
俺の物語はゲロを我慢して気絶したところから始まったのだ。
677 :
ぼーちん
◆VEWEB6Zhlo
:2007/03/23(金) 07:14:41 ID:gX2wgl65O
『納得できるわけねぇ』
そんな冒頭なんて俺、不憫過ぎ。
1つだけ我儘を言わせてください。
せめて性格は『むっつりスケベ』にしてください。
あの能力値の成長度が魅力的なんです。
決して僕はむっつりではありませんが、お願いします。
などと虚空に向かって懇願し続ける俺。これまでに費やした時間は、軽く1時間を越えているだろう。
しかし…中々イベントが始まってくれない。
このままでは冒険に出られないという大惨事が起こってしまう。
恐らくこれは俺がまだレム睡眠だからいけないんだと思う。
深い眠りから醒めればそこはきっと宿屋のはず…
『さて、冒険の書を作るとしますか…』
俺はそう呟き、全身の力を抜いた。
一応…「むっつりスケベ」になる努力はしておこう。
俺は薄れゆく意識の中、チャモロ×ハッサンを妄想しながら、深い眠りを待つことにした。
678 :
名前が無い@ただの名無しのようだ
:2007/03/23(金) 07:23:46 ID:tjodah3FO
支援
679 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:33:11 ID:TAboHnyD0
おはようございます。
総長〜新作という流れを全く読まず
>>546
続き投下します
680 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:34:46 ID:TAboHnyD0
城門を抜けると、闇は一層濃くなった気がした。
ビアンカが『なんだか不気味ね・・・』と呟く。
低い塀に沿って正面に向かうと、扉の前には
風雨に曝され続けてきたのだろう幾つもの墓石が立ち並んでいた。
ビアンカが嫌そうに顔をしかめる。
『やだ。どうしてお城の入り口にこんなに沢山お墓があるの?』
問いの答えは持ち合わせていなかった。
わからない、と首を振って墓の間を抜けていく。
扉は開かない。
ビアンカが一緒に手をかけるが、幾ら押しても引いても扉は固く閉ざされたままだった。
正面を諦め、城の外壁に沿って裏手へ回る。
途中に転がっていた壷を調べると、薬草とキメラの翼があった。
拾い上げて更に城の裏へ向かう。
月灯りが見えてくるかと思ったが、
僅かの間に空は分厚く黒い雲で覆われていた。
今にも雨が降り出しそうに、空気が湿り気を帯びている。
681 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:36:40 ID:TAboHnyD0
城には裏口はなく長く高い上階までの螺旋階段があった。
金属で出来ているらしいそれはすっかり錆び付いて、
触れるとざらついた感触が掌に張り付く。
細い手摺意外に支えのない剥き出しの階段をゆっくりと慎重に上っていく。
ビアンカが手摺に当てたのと反対の手で俺の服を掴んだ。
時間をかけて一番上まで辿り着くと、
ぽっかりと口をあけた大きな入り口があった。
真っ暗なその中は、サンタローズの洞窟を彷彿とさせる。
躊躇いながらの口調でビアンカが『ねえ、先に行って?』と呟いた。
その声が微かに震えていて、俺はなんだかほっとした。
ビアンカの手を引いたまま暗闇に踏み出す。
瞬間、空間を震え上がらすような大きな雷の音が響いた。
反射的に耳を覆う間もなく、真後ろで鉄扉がけたたましい音を立てて閉じる。
ビアンカが小さく悲鳴を上げる。
まるで一瞬のうちに全てが起こり、聴力が奪われたかのような沈黙が戻った。
青紫色の雷光が、余韻を落とすかのように室内を一瞬だけ照らした。
小刻みに震えるビアンカの掌を感じて、俺はその小さな手を握り返す。
682 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:37:59 ID:TAboHnyD0
『ねえ・・・、閉じ込められちゃったの?』
動揺を隠さずにビアンカが泣きそうな声を出す。
雷の音が、応えるように天から唸り声をあげる。
途切れ途切れに照らされる部屋の中央には棺桶が並び、奥に階段が見えた。
階段を示すとビアンカは少し安心したように
『進んでいけば大丈夫よね・・・』と言った。
手は離さないまま棺桶の間を進む。
一つ一つのその箱からは、何者の気配も感じなかった。
試しにひとつ開けてみようとすると、
ビアンカが『やめてよ、サン』と気味悪そうに言った。
諦めて階段まで差し掛かったところで、ゴトン、と背後から、物音が響いた。
恐る恐る振り返る。
ゴトン、ゴトン、と音を立てて、
並べられた棺桶の蓋がひとつずつ床に滑り落ちていた。
なにあれ、とビアンカが悲鳴交じりの声を上げる。
ぬるりと、中から得体の知れない何かが、姿を現す。
不意にまた部屋が闇に包まれた。
ビアンカの悲鳴。
咄嗟に繋いでいた手に力を込めたが、それは否応なしに暗闇に引き剥がされた。
視界が戻る。開け放たれた棺桶。
ビアンカの姿はもうない。
683 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:39:03 ID:TAboHnyD0
大丈夫、何処に居るかはわかっている。
もしそれを知らなかったら俺は、この孤独な暗闇の中で途方に暮れるしかないだろう。
俺は身を返すと一気に階段を駆け下りた。
広い通路には鎧を纏った戦士の像が立ち並んでいる。
そのうち一体が微かに動いたような気がしたが、
とりあえずそれを無視して俺は奥の扉を開けた。
荒れた広いバルコニーに、小さな墓石がふたつだけ並んでいた。
入り口前にあった物と同じように風雨に削られ朽ちていたが、
崩れかけたそれらに掘り込まれた装飾が他のものと違うことは一目で解った。
黒い雲がまた紫色に光り、雷鳴が響く。
その音に混じって、小さく呻くか細い声が聞こえた。
手前の墓石を調べたが変化はない。
もうひとつに目を遣ると、もう一度少女の声がした。
それを手がかりにもうひとつの墓石を調べる。
動かせないんじゃないかと不安だったが、乗せられた石の蓋は、
俺が力を込めると簡単に台座から滑り落ちた。
同時に少女が大きな棺の中から顔を出す。
684 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:40:38 ID:TAboHnyD0
『ああ!苦しかったわ!もう、なにしてたのよ!遅いじゃない!』
転がるように暗い穴の中から這い出して、
ビアンカは息苦しそうに大きく息を吐いた。
手を取って立たせると、体に纏わり付いた砂埃をぱたぱたとはたく。
『もう・・・まあいいわ。探してくれてたのよね。早く行きましょ?』
ぎこちないままの笑顔で差し出されたビアンカの手を握って、
俺は少女の前に立って反対の扉に向かった。
中はかび臭い書庫だった。
幾つも並べられた本棚は何者かが掻き回した後のように乱れ、
分厚い本が何冊も床に散乱している。
今くぐった場所のほかには見渡す限り扉はなく、
一歩踏み込むごとに足元に舞い上がる細かなほこりが
大きな窓から瞬くように差し込む青紫色の光に照らし出されていく。
ぴかり、ともう一度雷が瞬いた時に、
ビアンカが小さく悲鳴をあげて俺の手を強く握った。
その瞬間まで気付かなかった。
窓の手前、白く輝く何かが、こちらに背を向けてふわりと佇んでいた。
視界の半分を遮る本棚を迂回して一歩、それに近付くと、
外光を反射した白いそれはゆっくりと、こちらを振り向いた。
685 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:46:16 ID:TAboHnyD0
ビアンカの手が緩むのを感じた。
暗闇に浮き上がるようにぼんやりと白いその女性の笑顔は、
あまりにも寂しそうで、悲しいほどに美しかった。
言葉が出なかった。
女性はじっと俺とビアンカを見つめると、そっと目を閉じる。
その睫毛の先から、透明な雫が一筋、頬を伝い落ちた気がした。
刹那、弾けるような雷鳴と、何かが床を引きずる嫌な音が背後に響いた。
ビアンカが悲鳴を上げる。
振り向くと、部屋の真ん中を占拠していた大きな本棚が、
何冊もの本をばたばたとこぼしながら床を滑り
壁に衝突して最後うつ伏せに倒れ込んだ。
空気が変わるのを感じてもう一度窓に向き直る。
女性の姿はなく、淀んだ夜空が怒りを表すかのようにびかりと光った。
『あの人、もしかして・・・』
無くなった本棚の下から現れた階下へと続く小さな階段を見下ろしながら、
俺はビアンカの冷たくなった指先をもう一度握りなおした。
686 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:47:35 ID:TAboHnyD0
階段を下りると、城内は更に傷み、
かびと埃の交じり合った湿っぽい匂いが強く鼻を突いた。
窓から差し込む雷光と出所の知れないぼんやりとした灯りで、
歩き進むことには不自由はなかった。
蝶番の壊れかけた扉の先には毛羽立って変色した絨毯が敷き詰められ、
中ほどには城内で初めての両開きの大きな扉が設えてあった。
この城がまだ幸せに平和に存在していた頃の、
きっと高貴な人間の場所だったんだろうとそれだけで解った。
そっと扉に触れる。
ささくれ立って面影さえ残さない上質な上紙が
俺の掌に抵抗もせずぱりぱりと剥がれ落ちた。
扉を開く。
やはりそこは王と、王妃の部屋だった。
天蓋の付いた大きなベッドが並び
扉の外れた背の高い衣装箱が置き去られたまま佇んでいる。
反対側のソファには、さっき見た女性が静かに俯いていた。
泣いているようにも見えたが、
顔を上げた女性の表情は書庫で見たそれよりもずっと穏やかだった。
その姿からは、不安も、恐怖も感じない。
女性は俺を見、ビアンカを見、少し躊躇うように口を開いた。
687 :
◆u9VgpDS6fg
:2007/03/23(金) 08:48:52 ID:TAboHnyD0
『わたしは、このレヌールの王妃、ソフィアと言います』
耳を澄まさないとすぐに薄闇に消えてしまいそうな、か細い声。
俺は歩を進めて、彼女の傍に立った。
『もう十数年も前、この城の者は皆、魔物に襲われ殺されてしまいました。
邪悪な者が世界中で、身分のある子供をさらっているとは聞いておりました。
でも、わたしくとエリック・・・王の間には、子供は居なかったのです。
どうしてあんなことに・・・』
声が震えているのが俺にもわかった。
王妃は気丈に笑顔を保っている。
その睫毛の先に一滴、涙が零れ落ちるのを拒むように震えている。
『今となってはもう、嘆いても仕方のないことです。
せめてわたくし達は静かに眠りたい・・・ですが今、
この城にはゴースト達が住み着き、城の皆を呪われた舞踏会に縛り付けています・・・。
どうか、どうかあのゴースト達を追い出してください・・・』
王妃のぼんやりと透き通った姿が
今にも消え入りそうにまた俯いた。
『王妃さま・・・かわいそう・・・』
部屋を出て扉を閉じると同時に、ビアンカが表情を曇らせて呟いた。
うん、と声に出して頷くと、俯いたままビアンカは小さく
『サン、頑張ろうね。どうせお化け退治に来たんだもの。いいよね』
言って、その小さな左手を胸の前で握り締めた。
がんばろう。そう、口の中だけで呟き返して
俺は廊下の向こう、来たのと反対側の扉を見据えた。
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