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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/28(日) 12:25:12 ID:AaT+g6Z00
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言、オリジナル何でも歓迎です。

・スレの性質上、レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1142080254/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
tp://www.geocities.jp/if_dq/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」避難所
tp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi

696 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 10:12:28 ID:wy1GDuh40
今後も見守っていこうではないか!!
1の世界がベースみたいだな。

697 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 17:09:19 ID:qNuz2kmU0
なかなか面白い

698 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 18:46:47 ID:ZoQ/9113O
もはや宿屋じゃないけどな

699 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/29(金) 23:25:53 ID:eQBgm2b/O
まぁ宿屋から始まってないのもあるからなぁ

700 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/30(土) 11:19:22 ID:VAoWOktn0
スレタイも読まない阿呆は(ry

701 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/01(日) 18:29:57 ID:JAMvoGaa0
埋め

702 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/02(月) 06:15:21 ID:AGNo+F6oO
チンクルだろ

703 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/02(月) 16:45:33 ID:y4U2osXd0
無限ループに突入しているな。

704 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/03(火) 09:41:42 ID:9v3dOaXnO
保守

705 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/03(火) 19:12:40 ID:HY0KfNvd0
点検

706 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/05(木) 11:05:44 ID:PRud503jO
保守

707 : ◆ltQdejOgQI :2006/10/06(金) 06:40:00 ID:CEVz+TbY0
>>692の続き

ラダトームを追い出されて2日、北に向かって歩いて行くと街が見えてきた。

いや、正確には「聴こえて」きた。
何かのメロディーが町から流れている。
今日はお祭りか?
ウキウキしながら町へ入ると、

「こんにちはぁ〜♪ここはガライ♪ガライ♪ガライの」
『町ですう〜〜〜♪』←合唱

町人達が一斉に歌いながら集まってきた。

「ようこそ〜♪ミューズに愛されし町ガライへぇええ〜♪」
「きみィ〜の歌声、聞かせておくれよォ〜♪」
『楽しみっ!楽しみっ!楽しみっ!楽しみっ!』←合唱

まるで町人全員がミュージカルをやってるみたいだ。

「私はロトの末裔です。
竜王にさらわれたラダトーム姫を探して旅をしているのですが、
みなさん何かご存知ないでしょうか」
『!!♪』

一瞬町人全員に驚きと、焦りと、苦悶の表情が浮かんだ。

708 : ◆ltQdejOgQI :2006/10/06(金) 06:40:56 ID:CEVz+TbY0
「?どうか・・・なさいまし」
「ララ!ラララ!ラララ〜♪」
「勇者は歌声を持たないー♪」
『持たない!持たない!持たないー♪』

必死にメロディーを作り上げようとしているのだ。

「こォ〜の町では歌わなければならないィ〜Ah hooo♪」
『ならないィ〜♪』
「そォ〜れがこのまち〜の掟さぁ〜〜♪」
『掟さァ〜♪』
「屁をこくにしても!」
「プップ〜♪」
「糞するにしても!」
「ブリッ♪ブリブリミチミチィッ♪」
『歌わなけれ〜ば、な〜らない〜♪』

そう歌うとみんな「ラララ」と合唱を始め、
1人の少女が道に出された大便を嗅いで
「く、くさい〜♪」と歌いながら倒れた。

どうやらこの町ではみんなで一つのメロディーを作らねばならないらしい。
レストランに入れば食器でリズムをとったり、
パンの食べカスを口からとばしながら歌ったりしているし、
道行く人も足音でタップダンスをしたり、
合唱の輪に加わろうと声を張り上げ歌ったりしている。

町人たちの歌によると、なにやらこの町を作ったのが
有名な吟遊詩人とかで、自然と町自体も歌と踊りの町になったらしい。

709 : ◆ltQdejOgQI :2006/10/06(金) 06:42:16 ID:CEVz+TbY0
しかし、一見このミュージカル風の町の雰囲気は楽しそうに見えるが、
例えば排尿の際に
「ジョボボボジョボボボジョボボボボ〜♪流れるよ、わたしの真っ黄色なオシッコ〜♪」
と歌わねばならなかったり、
「あん、ア、アアア〜♪」
「どうだいぼくの×××の味はァ〜♪君のアソコに△△して○○〜♪」
「E!E!気持ちE♪」
といった、あられもない人間の生理現象、性衝動さえも、
この町全体を包み込む1つのメロディーに昇華しなければならず、

「ぉおっと、かわいい姉ちゃんだね〜♪」
「へっへへ、おいらたちと一緒に遊ぼうや〜♪」
「なんです!あなたたちは♪やめて下さい♪」
「いいじゃねえか遊ぼうよ♪」
「やめて♪やめて♪やめて下さい〜♪」
『やめて♪やめて♪やめて下さい〜♪』
「ああ、やめて、あん、そこは・・・やめて触らないでお願い・・・」←哀しそうなメロディーで

といったことも、全体を通して流れるメロディーの雰囲気に
調和していれば誰も何もとがめず、むしろはやしたてたりする。
これを、メロディーを無視して例えば「やめろ!」となど言って殴りかかると、
すぐさま町から追放されたり、音楽それ自体の持つ陶酔感によって
群集が怒り狂って死刑にまで発展するからたまったもんじゃない。
「やめろ〜♪」と歌いながら止めに入らねばならない。

要するに町全体に流れる音楽にマッチしていれば何でもアリなのだ。

(姫の情報を聞いたら、こんなアブナイ町すぐおさらばしよう)



俺は何とかみんなの歌に混ざりながら竜王と姫の情報を聞き出し、町を出た。

710 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/06(金) 09:09:55 ID:RenIcMak0
ヴォースゲー!
乙です。町人がイカレポンチばっかりに噴いたw

711 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:23:01 ID:jDZDth3R0
「う………?」

変だな…
違和感を感じる…

「起きた 起きたよ!」

!!
だ、誰なんだ…?
なんで勝手に俺の部屋に─

「よかった、気がついたのね」

誰だあんたは?
うまく… ものを考えられない…

「まだぼんやりしてるみたいだね」
「それはそうよ、長い間、眠っていたんだから…」

長い間…?

「とにかく、起きてくれてよかった
 おはよう、私はレア」
「おはよう、僕はレムス」
「お、おはよう… 俺は、タチバナ…」

う…あ…
俺は何を普通に挨拶して…
だいたい─

「ちょ、ちょっと待った!」

712 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:23:57 ID:jDZDth3R0
少し裏返った声に二人がきょとんとした表情になる

「い、いや ここって何処?」

ようやく、驚きの次に感覚を取り戻したタチバナが誰にとでも無く問う

「ここはメザレの宿屋だよ」
「メザレ?宿屋?」

わからない わからない…

「ねぇタチバナ、あなたはまだ目が覚めて少しだから混乱してると思うの
 だから少し落ち着いて、とりあえずお父さんとお母さんを呼んでくるから」

そう言いレアが部屋を出て行く

俺は一体、どうしてこんなところに居るんだ…
レアという女の言う通り、混乱だ

「まぁ少し落ち着いてさ、少し気持ちはわかるよ
 そうそう、あんたの服は着替えさせたよ
 まさか寝かせるのにあんな格好じゃあね」

あ…
これはベッド…
俺はベッドに寝かされていたのか

"あんたの服"
現実的じゃない場面での現実的な"この"言葉に、俺はようやく落ち着きだけは取り戻した

713 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:24:35 ID:jDZDth3R0
「あ、ありがとう… 俺、いつ頃からここに? それと、どれくらい眠ってた?」

すぐ意味があるとは思えないけど、頭に浮かんだこの疑問を、俺はレムスに聞いてみた

「う〜ん 確かアプリーリスの5日朝だったと思う
 ごめん、僕もあんまり覚えてないんだ
 それで今日はユーニウスの13日朝だから…70日くらいかな?」

70日!
アプリーリスとかユーニウスとか意味がわからないけど、70日…
どうなってるんだ…………
そうか!
夢!
夢だ、夢なんだこれは!

そう考えると楽しくなってしまい

「フフ」

と声に出して思わずほくそ笑んでしまった
レムスが少し驚いた顔をしたが俺は"なんでもないよ"と誤魔化す

そうか、夢ならどうって事はない
寝て起きれば現実に戻れるんだ

714 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:25:33 ID:jDZDth3R0
「お待たせ」

レアが部屋へ戻ってきた
その後ろにはレアの両親だろう二人が続く

「やぁ、俺はカルリ
 レアとレムスの父親だ」
「私はテティス
 カルリの妻よ、身体は大丈夫?」
「あ、俺はタチバナといいます」

レアとレムスは姉弟なんだな

「あの… ところでここはどこなんですか?」

夢なんだからどうでもいいんだけど、一応聞いてみる

「うん、ここはメザレの村だよ」

メザレの村か
夢にしては姉弟や親子や村の名前がやたらしっかりしているんだな
もしかして俺は天才なんじゃないか?
よくわからないけど

「タチバナさん、起きられる?
 動けるなら、食事を摂ったほうがいいわ
 寝ている間はずっと薬草だけだったから」

身体は─ 動かせる
どこも調子は悪くない 夢なのに健康だ
ん? 夢だから健康なのか

715 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:26:37 ID:jDZDth3R0
「はい、動けます」

"ヨッ"っとベッドを飛び降りる

「レムス 彼の服を取ってあげなさい」
「わかった、父さん」

"ありがとう"とレムスから受け取った服
それは俺が気に入ってしょっちゅう来ている白の長袖シャツと薄色Gパン

タチバナが着替え始めるのを見てレアとテティスは部屋を出る

「あれ靴は…?」
「君は裸足で村の入り口に倒れていたんだ」

カルリがそう言いながらゴツゴツとした革の靴を差し出す

うーん、これしか無いな
蒸れて変な病気にならなきゃいいけど…
まぁ夢だからいいか

着替えもすっかり終わり、三人は部屋を出る
短い廊下を歩き、階段をミシミシ下りるとすぐフロアに出た

「ここがこの宿自慢の食堂兼休憩室なんだ」

カルリが少しテレながら言う

なるほど、どうやらこの宿屋は全て丸太を組んで作ったログハウス
広いこのフロアは観葉植物が並び大きな窓があり開放感に溢れている
窓の外では緑が陽の温かさを全身に浴び、嬉しそうに揺れていた

716 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:27:34 ID:jDZDth3R0
「へぇ 心地いいですね」

俺は素直な意見を言った
嬉しそうなカルリは俺を広いテーブルの席へと案内し、その対面へ座る

「君は… タチバナくんはどうしてこんな辺境の地へ?」
「あ、タチバナって呼び捨てで呼んでもらえますか?
 なんだか慣れなくて…」

額をカリカリ掻きながらカルリへ伝える

「ん、そうか …タチバナ、よければ教えてくれないか?」

テティス、レア、レムスは料理の盛られた皿を忙しく運んでいたがやがて、席に座り俺とカルリの話に耳を傾けた
各人の前にはメインであろうスープ皿と拳大のパンが二つ、中央には大きめの更に緑のサラダ

そう言われても…
これは夢で、目が覚めたらここにいたんだからどうにも答えようが無いし…
あ、もしここで"夢だから"って言ったらこの夢は終わるかな?
"おもしろそうだ"
俺は軽い気持ちで、それでも顔は真剣に答えた

「それはもちろん、これが夢だからですよ」

717 :夢の夢の終わり ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:28:53 ID:jDZDth3R0
俺は─ "ここで目が覚め時計を確認している" そんな様を思い描いていた
だけれど目は覚めず、代わりに四人のまっすぐな、別の意味で目が覚める程の注目を浴びる事になる

「あ… あれ?」

この、変な違和感は何だ?
あの、目覚める前に感じたモノと同じ
その、リアルな感情はまるで現実
とても夢とは感じられない、感覚

そんな…
夢だったんじゃないのか?

夢はここで、終わりだったんじゃ─ ないのか?



718 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/06(金) 23:34:32 ID:jDZDth3R0
久しぶりに投下してみました。
タカハシの旅はまだ続編が出来てません。
まだしばらくの時間を下さい。
再度書きますが第三部まで、という事でお願いします。
投下済みの第四部は破棄します。

その間、短編─ で終われるかわかりませんが、短い話を投下していってみようと思います。
トリップに関しては、タカハシの旅だけ「タカハシ ◆2yD2HI9qc.」とするつもりです。
では、また新しい話が書けた時に。

719 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/08(日) 19:20:36 ID:ekiEsmwCO
乙乙

うん、まぁやっぱりタカハシの続き読みたいよね

720 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:30:41 ID:dbWlljoc0
以下の前スレ579からの続き
ttp://ifstory.ifdef.jp/log/ifyado_log006.html#R579



●前後

「こ ここもか…」

青い鎧を身にまとったその男、言葉と共に乾いた地面へ腰を下ろす
彼の名はテリー

世界からはゆっくりと人間が消えていた
なんの前触れも無く刺激も痛みも声も無く
まるで幻の源がその場から立ち去ってしまうかのように

「世界は一体、どうしてしまったんだ
 人は消える… 神の加護を全く感じない… 魔物はかつて無いほどの群れをなし襲ってくる…
 このままでは魔物の世界になってしまうではないか…!」

ガツンと、彼は拳を地へ叩き付けしばし項垂れる

彼、テリーはタカハシと別れた後グランバニア近郊で商いをするメルビンと合流した
毎日まいにち剣の修行に明け暮れ過ごした
数ヶ月してメルビンの教え全てを吸収したテリーは単身修行に出る
壮絶な修行だったけれど自身が強くなるのを自分で感じることが出来た
修行の途中、チゾット近くで倒れるタカハシを手助けしたりもした

721 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:31:38 ID:dbWlljoc0
ある日、旅商人と大地の上で会話していると目の前で突然消える商人
テリーは嫌な予感と焦りを感じ、情報収集のためグランバニアへ赴いたが町人も兵士も王も
そして姉ミレーユの姿もついに見つけることが出来なかった
姉を思いテリーは少し泣いた
泣いたけれどそれではいけないと、何が起こっているのかを知りたいと
タカハシを探しここライフコッドへやってきたのだ

「タカハシ…! お前は一体どこにいるんだ…
 まさかお前も消えてしまったのか……?!」

突如、耳の中、頭の中へ音が響く
やさしく聞いたことがある、初めて聞く声

「……そうか、そういう事なのか─」

テリーは立ち上がり歩き始める
増え始めた魔物と剣を交えようとする決意

希望と少しの笑顔が混じる、それは凛とした顔だった


722 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:32:14 ID:dbWlljoc0

●再び

真白な空間にぼんやりと浮かぶ白い影

『あ、あれは…』

手の届きそうなほど遠い箇所に、その影が次第に灰色の人物へと姿を変える
対峙する三つの、見覚えのあるシルエット
禍禍しい男が手を伸ばすと、その情景はぐしゃりと歪む
突如、目の前の弱弱しい男が後ろにある細細とした女を斬る

『俺、だ…!』

何度も何度も、時折り息継ぎながら伝わる殺気と共に斬りつけてゆく

『やめろ…! わからないのか…! 結末は………!』


723 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:32:58 ID:dbWlljoc0
「タカハシが苦しそうだ… なんとか、早く元に戻せないだろうか」

タカハシの苦しむ姿を直視出来ず、つい漏らす
いままで何十回、何百回おなじ言葉を口にしただろう
聞いたところで答えは変わらないのだが、交わしたかった

「…今はただ、祈り待つだけしか…」


俺は、あの魔物による大襲撃の間、ずっと戦い続けていた
何人かと一緒に戦ったけど、圧倒的なその数には敵わず
終には一人となり、おかしな術でここへ連れてこられたのだ

ここは生気の抜けた人間が集まるまさに地獄
名前を付けてやるなら"絶望の町"
何人かは強い意志を持って自我を保っているが、大半の人間はからっぽだ
どういう事か、話を聞いて廻ってわかった事がある
この世界で少しでも気を抜くと、すぐさま力を吸い取られてしまう
俺もこの状況に心が折れそうになってしまったが、どうにか堪えている
それはここにいるタカハシ、そして姉ミレーユと再開することが出来たから─

「姉さんだってこうして生きる力を取り戻すことが出来た
 タカハシだってきっと、戻ると思うんだ」
「ええ、ほんとうに… テリーのおかげね、ありがとう」

こんな状況だというのに、俺は少し気恥ずかしくなって俯いた

724 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:33:47 ID:dbWlljoc0
そう、姉も他の人間同様、力を抜かれまるで生きる屍
俺は傍に、ずっと傍について声を掛け続けた
それはとてもとても長く、終わりの見えない遥かな時間

姉が立ち、初めて絶望の町を隅々まで見てまわったとき
静かに、だけど苦悶の表情を浮かべ横たわるタカハシを見つけた
その様は姉やその他の人間とは違い、まるで何かに憑かれているよう

「彼もきっと、こうして私達が傍にいてあげれば、私のように力を取り戻すに違いないわ」
「うん…
 だけど俺も姉さんも、そして他の人間も戦う力だけは一向に戻らない
 話に聞いた"魂の集まる場所"へ行けば、なんとか…
 戦う力さえ戻れば…!」

気配を感じた
言葉は途切れ、その正体が判明するまでの僅かな時間─

「どうですか? 様子は…」


725 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:34:29 ID:dbWlljoc0
●仕組み

「あ、トルネコさんか…」
「おや 私で何かご不満でも?」
「いえ、なんでもないんです」

トルネコ─
彼は、この絶望の世界で連れてこられた我々人間を管理していた

「さぁ、彼の着替えです
 少しだけ部屋を空けてもらえますかな
 …見たいなら構いませんけど ほっほっ」
「ああ、ははは… お願いします」

俺と姉はトルネコとタカハシを残し部屋を出る

ここ絶望の町は魔物が用意した割りに設備が整っている
トルネコによると健康を保たなければ上質な力を吸い取れないかららしい

「トルネコさん、どうしてあんなに…」
「仕方が無いよ姉さん あの人は以前の心を無くしたまま、連れてこられたんだ…
 ルビス様の選んだ勇者というだけであんな事をやらされてる
 誰の事も、人間の世界の記憶だって残ってない」

しばらくして着替えが終わり、部屋へと戻る

「あなた方も、まだ元気なんですねぇ
 知ってますか? 力は一定量溜まると吸い取られてしまうのですよ」
「ええ、それは… 知ってます」
「意識をもって辛い思いするより、無意識で楽にしていたほうが良いと思うんです
 力を吸い取りつくす事はないですし」

726 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/09(月) 04:37:41 ID:HD/6Z1BTO
回避

727 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:37:53 ID:dbWlljoc0
思わず反論しそうになる
だけど…
彼は、記憶も人間の意志も持たず、ただただこの世界を管理しているだけなんだ
魔物側でもなく人間側でもなく、ただただ中立な存在なんだ
この発言もその所為で…

「そういえば、力はギリギリまで持っていかれるんですよね?」

姉はずっと黙っているが、表情が辛い
話題を変えようと俺は常々疑問だった事を聞くことにした
トルネコはいろんな事を教えてくれる
この町や世界から抜け出る方法以外で知っている事だけだが─

「ええ、そうですよ 死なない程度に」
「持って行かれた側は力を無くす だけどまた吸い取るなんて出来ないですよね?」
「そうですね さっきも言いましたが一定量の力を蓄えると…
 ええと、力を吸い取るにも上限下限があるんです
 ここで言うのは"吸い取られる側の限度"ですね」
「だけどそれは、吸い取られきった人に対しての答えでは…」
「それは今からお教えしますよ
 ようするに、人間は食事を摂っていれば栄養になり力となる
 少なからずそれは、意識を持っていようがなかろうが潜在的な力にもなるわけです
 知っていると思いますが、意識を持たず生きている人たちも食事だけはしています
 それはこちらである程度操作している部分もあるわけですが、大半は必要として自ら摂る
 力を失い絶望を感じ自らを失っている、だけど本能はそれを許さない
 深い深い所では"生きようとする力"は失われていないわけです」
「へぇ… わかるようなわからないような…」
「そういう人たちの場合、下限で力が吸い取られます
 貴方たちのようにはっきりと意識を持つ人たちは上限まで蓄えられます」

728 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:38:35 ID:dbWlljoc0
「それはなぜ? 私達も下限で力を吸い取れば、こんなに元気ではいられないわ
 その方が魔物にとっては都合が良いと思うのだけど…」

沈黙していた姉が、トルネコをまっすぐにそう言った

「明確な生きる意思を失った者の上限から吸い取るよりも、上質な強い力を頂けるからですよ
 それに貴方たちの強い力を中途半端な段階で吸い取ると、その効率は落ちるのです
 どういう仕組みなのかはわかりませんが、そういう事なんですよ
 …話がずれてしまいましたが、ようするにこの世界に居る人間は私が管理している以上、
 力が完全に無くなってしまう事はないのです
 固い意思で自ら命を落とす人も、もちろんいますけどね」
「…生かされず殺されず、という事ですか」
「そうなりますね
 ただ貴方たちは少なくとも"生きて"いますよ
 他にも数人、元気な人がいますがいつ力を無くす事か」
「……トルネコさんは、どう思いますか?」
「ほ? 何がですか?」
「人間が、このまま全員だめになっていくほうがいいのか…
 それとも全員が奮起してこの世界を崩すほうがいいのか…」

思わず、どうしても気持ちを抑えきれず意味の無い質問をしてしまう
今のトルネコにこんな事を聞いたって、仕方がない事なのに

「私としては、どちらでも構いません
 どうなっても管理するのは私ですからね
 自分の仕事をするまでですよ」

やっぱり…
ほんの、ほんの少しでも良い答えを期待した自分が情けない

729 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:39:32 ID:dbWlljoc0
「…ですが、ここまで堕ちた人達が再び奮起するなんて事があるのであれば、見てみたいですね
 興味として、ですがね」

興味として…
だけど、その答えって自分の意思、じゃないのか

「トルネコさん、あなたはもしかして─」
「私はこの町の管理人トルネコです
 それは、少しの意志くらいは持ってます
 ですがそれでどうこうという話はありませんぞ?
 前と同じ事を言おうとしたのはわかってます
 自分で言うのもおかしいのですが、私に期待したって何もありません ほっほっ」

やはり味方に出来そうにはない
俺は以前に、実はトルネコがわざと演技でこんな事をしているんじゃないかと問い詰めた事がある
いろんな情報を提供してくれるだけでも、ありがたいと思わないといけないか

その後、他愛の無い話をし、トルネコは別の部屋へと移っていった

勇者トルネコが守ろうとした世界は今─
こんな世界に人間としての記憶を持たず彼がここにいるという事
それだけが俺にとっても救いであった


730 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:41:47 ID:dbWlljoc0
なんだか中途半端だけど、ここまで。

>>719
タカハシの続き、やっぱり自分でも知りたいから奮い立たせる意味でも投下してみました。

731 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/09(月) 04:43:33 ID:dbWlljoc0
書き忘れた
何度もごめんなさい

>>720
から仕切りなおしの第四部始まりです

732 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/09(月) 11:56:37 ID:eBR88P7pO
タカハシGJ!
ありがとう

733 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/09(月) 21:35:39 ID:GUF2tENd0
タカハシ乙
ローディとか総長とか来ないかなぁ

734 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/10(火) 10:23:17 ID:w5hdGNxE0
隙間風氏が帰ってくるの待ってる
あの先の読めない展開が今後どうなるのか気になって気になって

735 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/10(火) 15:54:50 ID:pHhMRi8C0
今回はテリー編みたいだな。
乙!!

736 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/10(火) 21:39:57 ID:gSbG275A0
アッー!

737 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/12(木) 11:49:03 ID:dvdRhvZTO
保守

738 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 02:04:59 ID:9pRpT/MI0
まとめサイト
http://ifstory.ifdef.jp/index.html
埋めマン◆TZg1R4cTLE氏とタカハシ◆2yD2HI9qc.氏の物語を現行スレまで更新しました。

739 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:49:36 ID:9pRpT/MI0
>>729
からの続き


●逃毀

ある日、夜も昼もわからないこの世界
目覚めた頃に二つの魔物、りゅうき兵が現れこう言った

「そこの女、お前ついてこい」

耳を疑った
意味はわからないが、身体が動く

「待て、何の用なんだ!」

俺は椅子に座り緊張する姉をかばう様に、立ちふさがる

「女、早くしろ」

りゅうき兵はそれを無視してミレーユを睨む

「くっ…! お前ら俺を無視するな!!」

敵うわけが無い
武器も鎧も魔法だって無いんだ
だけど何もしないわけには─

740 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:50:25 ID:9pRpT/MI0
ミレーユを睨みつける一つの魔物、それめがけてテリーは殴りかかった
"バシリ"と少し平手打ちに近い音
テリーの拳は確実にりゅうき兵の頬を捕らえている

「なんだお前は」

"ジロリ"とようやくテリーへ眼を向けるりゅうき兵
同時に腕を強く引き上げられ、宙に浮く身体
渾身の打撃は魔物の顔をわずかに動かすだけ、期待した効果を発揮しなかった

「う…ぐ…! 離せ!!」

やはりどうする事も出来ない…!
くそ!
このままでは姉が…
どうしたら、どうしたら……

「こんなに生気にあふれる人間だ、殺すわけにはいかん
 しかし頬に触った 俺はひどく痛憤している」

意地の悪い顔を、テリーに向けるりゅうき兵

「まって!」

ミレーユが声をあげる

「なんだ女 俺は今こいつをどう苦虐させるか考えているんだ、邪魔をするな!」

姉さん…!
だめだだめだ絶対にダメだ!

741 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:51:11 ID:9pRpT/MI0
「言う通りに、します… 弟に何もしないで……!」

悔しさなのか恐怖からなのか、ミレーユの身体が小刻みに震える

「んん? こいつはお前、女の弟なのか ク、ククッ
 ならば話は更に易い」

先よりも邪悪な笑みを浮かべる魔物二つ

「女、お前 今から連れて行くが、今後一切抵抗してみろ
 ククッ こいつの無事は無いと思え 貴様ら人間が想像できない苦しみを与えてやる
 言っておくが自害するなど無駄だ
 古代魔法ザオリクを以って、悪魔神官が苦しみを永遠に与えてくれるだろう クックッケッケッ!」

な、な、なんて事だ……
俺が、おれが抵抗したばかりに余計な条件が…!
いらない事をしなければ… まだ、もしかしたら救える方法があったかもしれないのに……!

りゅうき兵の手が開く
俺は地面へ落ちガックリと頭をたれ、掌を握る
素早く、傍へ来た姉がそっと、耳元で囁いた

「どうあったとしても、私は連れて行かれる…
 こんな世界だけど、少しの間だけど一緒に過ごせて良かった
 …無事でいて、そしていつかタカハシと一緒に世界を─」

"バサッ"
ミレーユが魔物に腕を捕まれ連れて行かれる

俺は、顔を上げて姉を見ることが出来なかった
きっと俺を見ているだろう、姉の顔を……


742 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:51:50 ID:9pRpT/MI0
●白い女性

時間だけが過ぎていた
変わらず俺はタカハシへ話しかけている
違うのはただ一つ

姉さんがいない

この世界でたった一人
これは、思っていた以上に辛い
目の前で捕らえられる姉を助けることが出来なかった
それは現実で、実際に俺は一人だ

「俺は何の為に…」

今までの戦いを全否定したくなる
"勇者になろうと思う"
そう、タカハシに語った事が懐かしい
戦えなかった事が恥ずかしい─

今はただただ、タカハシを元に戻すことだけを考え、力を持っていかれないようにするだけだ…



「テリーさん、いいですか?」

トルネコが、入り口に立っている
どうやら俺は、床に座ったまま膝を抱え、寝入ってしまったらしい

「あ、ああ… はい…」

椅子へ座りなおし、中へ入るよう促す

743 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:52:45 ID:9pRpT/MI0
「ええと、新しく来た人がいるのですが」
「まだ戦っている人がいたのか…」

トルネコへ言うでもなく呟いた

「戦うようにはみえないんですけどね」

そう言い、入り口に向かって"どうぞ"とトルネコが言う
その声に応え、そこに白い女性が現れた

「ここですか… あれが…」

女性が、タカハシの姿を見つけ言った

「この人、名前を思い出せないそうです
 ちょうどあなたのお姉さんが連れて行かれてここが空いたので、いろいろ教えてあげてもらえませんか」

トルネコの、悪気のないその言葉に、俺は歯を噛む

「トルネコ 案内、ご苦労でした」
「え? あ、ああ、じゃあ、私はこれで
 何かあったら呼んでください」

女性の言葉に戸惑いながらも、トルネコは部屋を出る
女性は立ったまま動かない
俺も特に、声を掛けることなく、タカハシを挟み奇妙な時間を過ごす

744 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/13(金) 03:55:05 ID:18aiQ84oO
回避

745 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:55:15 ID:9pRpT/MI0
「彼は…」

女性が細い声で話し始めた

「いつからこんな状態に…?」

この人は、タカハシを知っているようだ
俺は聞かれた事を、簡単に、短く伝えた
伝えるといっても、俺が見つけた時からこの状態だったから二言三言で済む

「…そうですか テリー、あなたも約束を守ってくれているのですね」

約束…?

「悪いが俺はあんたを知らない
 おおかたトルネコに名前を聞いたのだろうけど─」

女性が顔を俺に向ける
普通の人間とは違う…
どこか懐かしささえ感じる…

「タカハシへ十分に協力してほしいという願いを… 今も、守ってくれています」
「え…? な、なぜその事を知って……!」

まさかと思うが…
人間へ姿を見せるなど、ありえない事
だけどこの感じ……

「思い出してくれましたか?
 私はルビス、貴方たち人間の生みの親…」


746 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:56:15 ID:9pRpT/MI0
●無くした希望

「な…… なぜ! なぜこのような所へ…!!」

思わず椅子から飛び降り、肩膝を突く
俺は、人間を守る神であるルビスが人間を守らなかったのか
それを聞くより先に、こんな場所へ来た理由を問いかけた

「以前にお話ししました、タカハシの事…
 私はタカハシに全てを託し見てきました
 ですが彼は、ゾーマに破れこの世界へ飛ばされてしまった…」

な…!
タカハシは、魔王とすでに戦って……!

「この世界はゾーマが新たに作った世界
 10番目の世界といえるでしょう
 そしてこの10番目の世界は、私たち神には手を出すことが出来ない世界」

何を、何が今、起こっているんだ
タカハシは魔王に敗れたといい、神であるルビスが目の前に居る
そうして世界が違うとかなんとかと…

「手を出せなくとも、私にはタカハシを導く責任があります
 この世界の事は全く見ることが出来なかったのですが…
 魔物を欺きようやく、この世界へ取り込まれる事が出来た」

わからない事だらけだけど、ここにルビスが来た
神が、直接きてくれた
これは世界が救われる前兆じゃないか…!

747 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:57:07 ID:9pRpT/MI0
「ルビス様! では、タカハシをすぐ目覚めさせて…!」
「いいえ 残念ですが、私の力ではどうする事も出来ないようです
 なぜなら、今の彼は誰の声も届かない深く暗い場所に佇んでしまっています…
 これでは私の声など、役に立たないでしょう」
「え、ですが!
 あなたは神だ!」
「…テリー、言っておかねばなりません
 通常の私は肉体を持たず、見える姿は貴方たち人間の思う女神の姿…
 私はここへ来るため人間の姿へと形を変え肉体を持ちました
 その時、ほとんどの力を消費し、肉体を持った瞬間、多くの力を失ったのです…
 今の私にタカハシを呼び戻す力などありません」
「そん、な……」

じゃあ…
姉さんも助けることが出来ないじゃないか…!

「じゃあ… ルビス様… 一体、何の為に…」

身体から力が抜け、壁を背にだらしなく足を伸ばす
少し、気力というか精神が、抜けていく感じがする

ああ…
俺はもう、だめだ…
力を奪われていくのがわかる…

「ルビス…様……」

無表情のルビスに、俺は話しかけた

748 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 03:58:23 ID:9pRpT/MI0
「俺はもう、だめです…
 これ以上、気持ちを強く持つことなど、出来ない…
 神でさえ、どうすることも出来ないのでは、タカハシが目覚めたとしてもきっと……」

静かに、言葉を聞くルビス

「せめて、せめて姉さんを自由にしてやる事は、出来ませんか……」

もう、動けない…
俺は今から闇に、飲まれるんだ…

「……方法が、無いわけではありません」

ルビスのその言葉に、安心した俺はやがて、飲み込まれた



姉さん、ごめん
姉さんはルビス様が、助けてくれるよ…
俺は先に、眠ることにする………


749 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/13(金) 04:01:10 ID:9pRpT/MI0
今日はここまで
まとめにあわせ慌てて投下

あと誤字修正
>>746
五行目
肩膝を突く -> 片膝を付く

現在431952バイト
まだ大丈夫かな?

750 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/13(金) 11:45:53 ID:tgfwHNaZ0

    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
   |ヽ(`Д´)ノ 萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!  |
    \                            /
       ̄ ̄V ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          |や、やめなさい! |
           \          /
              ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

             ∧_∧  
            (´Д`;)
            .r'    `ヽ
           / ,    , ヘ
           ,l ,lヘ    .l  |
           l l ヘ__,ノ ,l
       ∧_∧^m)、,.__,ノ )
       (´∀`*)l /  /^l, 〈
      と    ノ r' r'  l  'l
       / /〉 〉_|  l   |  |、
      .(_,(_)(__ノ  .(_,ノ





751 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/13(金) 16:53:53 ID:8mxE/bUQ0
タカハシ乙!まだ読んでないけど増えてたんで脊髄反射的にレスしてしまったw
これから堪能させていただきます

752 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/14(土) 20:30:25 ID:icrUELOk0
まとめサイトを更新
http://ifstory.ifdef.jp/index.html

・ローディ◆qdB5QYIaRc氏
・レッドマン ◆U3ytEr12Kg氏
の物語を現行ログまで更新しました

753 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/15(日) 07:13:55 ID:s4uM8zzP0
まとめサイトを更新
http://ifstory.ifdef.jp/index.html

・スレ立て用テンプレートの追加
・暇潰し ◆ODmtHj3GLQ氏の物語を現行スレまで更新
・隙間風 ◆njN6YTN.DI氏の物語を現行スレまで更新
・七泊目レス93一発ネタ氏の物語を「完結した物語」へ追加

恐怖の月曜日氏が襲ってくる前に更新できました
またしばらくまとめ作業をさぼろうと思います

754 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/15(日) 13:01:32 ID:BcLXfL79O
よくやった!感動した!

755 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/15(日) 20:15:34 ID:++kfeyfF0
保守

756 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/17(火) 09:31:03 ID:GzPDVRpoO
あげほ

757 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/19(木) 17:17:38 ID:/ptTgsRzO
保守

758 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/20(金) 23:58:16 ID:gePhk2P10
424KB

759 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/21(土) 13:23:17 ID:UWs6RQw20
まとめサイトを更新
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

・エイコLv.1◆h97CRfGlsw氏の物語を「完結した物語」へ追加
・魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g氏の物語を現行ログまで更新
・ニートLV1 ◆tHwkIlYXTE氏の物語を現行ログまで更新
・まとめローカル用圧縮ファイルを更新

エイコLv.1◆h97CRfGlsw氏の物語は完結していませんが終了書き込みがあったため完結としています。

760 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/23(月) 00:16:08 ID:28i/j6X30


761 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/23(月) 18:46:49 ID:Jh1F5qgN0
よくやった!感銘した!

762 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/23(月) 19:55:12 ID:3UACBvdnO
早めに次スレ立てた方が良いかなぁ・・・。

763 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/23(月) 22:56:02 ID:nN2lawAj0
でも、もう書く人いないし・・・。

764 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/23(月) 23:53:20 ID:NQoWewc8O
その発言はどうだろう

765 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/23(月) 23:57:48 ID:T6P6zja8O
危険な発言だなあ

766 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:29:41 ID:OadCEK2S0
世界樹の花

「何故、止める!!ソフィアァァァァァァァ!!!!」

ソロの慟哭を正面から受け止め、ソフィアは兄に語りかける。

「もう、止めよう、兄さん。憎しみで憎しみを殺してもどうしようも無い事は、兄さんだって解ってる筈」

「奇麗事を言うな…例えそれが解っていたとしても、この身を焼く怨嗟の焔、消えるわけが無いのはお前が一番解る筈だろう…!」

「消えはしない…殺しても、殺さなくても…この哀しみは消えはしない。マーニャとミネアを見ていれば、それは解る」

姉妹は小さく俯いた。
確かに、それはその通りだった。
エドガンの仇を討ったすぐ後は、嬉しかった。無常の喜びを感じた。
なのに、虚しい。
その理由は既に解っている。例えバルザックを殺したとしても、あの頃は戻りはしなかったから。
頼もしい父が居て、優しいオーリンが居て、賢いバルザックが居た。
優しい笑顔に満ち溢れていたあの頃には。

「ピサロを殺しても何も戻らない…父さんも母さんも、師匠も長老も…シンシアも!!!」

姉妹はソフィアのその言葉が嬉しかった。
復讐を遂げた彼女達には、その言葉を言う資格が無い。
自分たちで気づいてもらうしかなかった。
長い時を共に過ごし、本当の妹のように愛し、慈しんできた少女がそこに至れた事に、知らず涙を流す。
少女が――その考えに至れたのだとしたら、自分達のしてきた事も、間違いではなかったのだと思える。

「マーニャとミネアとてバルザックが生きていれば心中穏やかではいられまい!
それと同じ事だ!終った後が虚しかろうが…こいつが生きている事が、俺には許せない!どけ、ソフィア!」

767 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:30:14 ID:OadCEK2S0
がっと剣の柄で少女を押す。
不安定な足場でバランスを崩した少女が、落下する。
地上で青年が少女を抱きとめるのを確認するまでもなく、ソロは雷光を纏った剣をデスピサロの頭に叩きつけ、そのまま飛び降りる!
頭、顔、胸、腹に浮かぶ顔…その全てを雷光神剣(ギガソード)で切り裂いて、勇者は地上に降り立った。

「――トドメだ」

再度、掌に雷を宿らせる。
天招大雷檄(ギガデイン)――勇者の、勇者たる光が、今――。

放てない。
放てない。
放てない……!

ソロは悔しさに歯噛みした。

「どうして…なんで…やめろ、俺の前に…」

ぼろぼろぼろぼろ。
止める事もできず溢れ出る涙。
思い出してしまった。自分と共に最後まで戦った少女。妹の姿に変じ、殺されながらも尚、魔族が引き上げるまで妹の姿を保ち続けた少女。
その少女に良く似た…ずっと守り続けてきた、世界樹の花の力を受け蘇った、エルフの娘。

「ロザリー…」

「ソロ様…申し訳ありません。ソロ様の、気が済むようになさってください。
私は何をされても…恨みはしません」

768 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:30:58 ID:OadCEK2S0
そう言って、デスピサロに向かって歩いて行く。
ソロは膝から崩れ落ちた。
出来る訳が無かった。
他の誰かなら、例え巻き込んだとしても雷を叩きつける事ができただろう。
だが…ロザリーにだけは…できる訳が無かった…。
傷ついた勇者の頭を王女が抱きかかえる。

「ピサロ様…」

巨大な化け物と化した恋人の成れの果ての前で、エルフの娘は手を組み合わせる。
デスピサロは動かない。だが、それはダメージが大きかったからに他ならない。そのダメージすらも、進行形で癒えていっている。
全て癒えれば、デスピサロは動くだろう。目の前のロザリーを屠り。
既に彼の者の瞳に理性の光は無いのだから。

それを見て…ロザリーは悲しくなった。
何をされても耐えた娘が、耐えられない悲しみに襲われていた。
たった一人…たった一人の為だけに。
このような姿になる者に。
たった一人…たった一人の為だけに。
涙を流す娘。

紅い瞳から零れる紅い涙。
頬を伝い、顎へと進み、宙へと舞う。
大地に吸い寄せられる間に――凝固し。
ルビーと成りて、地へと降り立つ。

769 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:31:35 ID:OadCEK2S0


(ハハハ、自分を追いかけていた人間が殺されて悲しいとは。面白いヤツだ)

(……)

(お前の名は?)

(……?)

(なんだ、名も無いのか。…そうだな、ではロザリーとこれからは名乗るが良い)

(ロザリー……?)

(そうだ。また、会おう、ロザリー。私の名はピサロだ)

(ピサロ……様……)




770 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:32:13 ID:OadCEK2S0
(此処に塔を建てようと思う)

(塔、ですか?)

(そうだ。私だけが鍵を知る、安全な塔をな)

(……)

(なんだ、嬉しくはないのか?)

(いえ、そのような事は…ありません。ただ、少し…寂しいです)

(案ずるな。この地は人間は無く、住んでいるのはホビットと動物たちだけだ。ホビットたちにはもう話をつけてある。
そうだな…この地にも名をつけようか。…ロザリーヒル。ロザリー、お前の丘だ)

(私は…皆の丘が良いです)

(フフ…お前ならそう言うと思ったぞ)

771 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:37:00 ID:OadCEK2S0

「ロザリー……」

「私……寂しかったんですよ……ピサロ様……」

「あの地は賑やかになっていったろう……スライムでは、慰めにはならなかったか……」

「お気持ちは嬉しかった……あの子も、私をよく励ましてくれた……だけど、私は……貴方に、会いたかった……貴方と一緒に居たかった……!」

「……すまなかったな……ロザリー……」

ピサロとロザリーが抱き合う。
その感動的な光景を、俺はどことなくつまらなそうに見ていた。
だって、マーニャに踏まれてるんだもん。それで感動して泣けって言うほうが無理だろ。

「私たちの間にも浮いた話ないってのに…なんであそこでラブってるのかしら…複雑ね。敵に先越されるだなんて…」

実は俺たちも、とでも言ったらきっと殺されるに違いない。
黙ってようそうしよう。

「ピサロ……」

「ソロ、か……」

「人間たちをロザリーヒルの塔に招きいれたのは、エビルプリーストだ。人間の力だけでは、あの塔には入れない」

ソロは知っていた。
結界を解く為に向かった先で待っていたエビルプリーストは、聞いてもいない事を実によく喋ってくれた。
それを仲間達に言わなかったのは…。
リーダーが迷う、迷いを見せてしまう事の危険性を理解していたからに他ならない。

「……そうか。そうだったな。では、行くとしよう」

772 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:38:42 ID:OadCEK2S0
二人は一度も目を合わせず、同時に歩き出した。
傍にいたアリーナがきょとんとしている。

「ちょ、ちょっと待ってよ!何、一体どういう事!?どうするの!?」

「元凶を叩きに行くって事よ。皆でね」

戸惑うアリーナの肩をぽんと叩く。
振り向くと、そこには晴々とした笑顔を浮かべたソフィアが立っていた。



「それで、何で俺たちは水着を着ているんだろう?」

「さあ…どうしてでしょうねえ」

トルネコが囚人服みたいな水着で隣に寝転がっている。
なんだか見てるだけで憂鬱になってくるので視線を外した。
此処は海辺の村…ハバリアから船で北に進路を取ると辿り着く小さな島にある村だ。
そこにシートを敷きパラソルを立てて、何故か暢気に海水浴をしている。
おかしいな…俺たちはラストダンジョンでラスボスと死闘を繰り広げている所に乱入したと思ったんだが…。

「女性たちの我が侭なんて今に始まった事では無いではないですか」

にこやかに言いながら槍を振るうライアン。全裸で。いや、ふんどし一丁で、か。
まあそうなんだけどさ。俺もいつものように槍の手解きを受けてたりするし。

「ちょっと!今日くらいは遊ぶのよ、あんたたちも!!」

隣にソロとピサロを侍らせて、マーニャさんはご機嫌だ。
ってピサロもかよ!!怖っ!!物凄い怒ってるし!!

773 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:39:59 ID:OadCEK2S0
「………………」

「なによ、ピーちゃん。文句あんの?」

「……品が無いな、お前は。ロザリーはどこだ」

「あんですってぇぇぇぇ!!!!」

と、怒り狂いながらピサロの腕を掴み、自分の胸で挟む。
な…!なんて、羨ましい……!

「俺とピサロの扱いが違いすぎる件」

「ピーちゃんにはこっちのが利くと思って」

見てみると、俺に呼び捨てにされたピサロが何か怒ろうとしているのだが、
顔が赤いのでそれもいまいちままならないようだった。

「ほほぅ…魔王様は初心なんですな」

「ふざけるな!こんな所をロザリーに見られたら、また哀しませてしまうだろう…えぇい、手を離せ!」

だけどそういうときにこそ、見られちゃうもんだよね。
俺とマーニャが嫌な顔をしながら指差す先には、アリーナ、ソフィア、ミネア、そしてロザリーの四人がいた。ついでに荷物持ちのクリフト。

「…………!!」

今にもルビーの涙を溢しそうになるロザリー。
ソロがマーニャの傍で嘆息し、呆れた目で見てはいるのだが、それもまるでソロがマーニャに侍っているように見えて驚きに目を見開くアリーナ。
興味津々なソフィア。姉の所業に申し訳なさからごめんなさいごめんなさいと聞かれてもいないのに謝るミネア。
ビーチボールだとかネットだとかを持たされて余裕の無いクリフト。

774 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:41:20 ID:OadCEK2S0
皆それぞれのリアクションをしている。楽しそうだなあ。
俺はといえばマーニャはまあいつも薄着だもんで、他の女性陣の水着姿にでれでれとしていたのだが。
すこーんと剣の鞘が飛んできた。ソフィアの仕業らしい。顔はにこやかだが、何とも。

ちなみに無論ピサロも水着だ。
最初は競泳用を穿かせようとしたんだが抵抗しやがった。なんか呪文とか唱え出したから諦めたさー今はハーフパンツ型のを穿いてパーカーを羽織っている。
なんともな。なんだかこの暢気さ。
いいのかねーこんなんで。


水辺で貝を拾っているソフィアに向けてその疑問を言う気にはならなかった。
まあ、良いだろうさ。
次の戦いが最後になる――それを、皆薄々感じているようだった。

「私は、まだみんなと旅ができて嬉しいなあ」

アリーナなどは素直に感情を口にするから、こんな事も言ってしまう。
皆、それにそれぞれの反応で賛同しているようだった。かくいう俺も…。

何か珍しいものを見つけたのか、ソフィアが俺を手招きしている。
なんだなんだと傍に寄ってみると、海の中に一点だけ、海水が無い場所があった。
海水が無い…というのもおかしな話なのだが、なんというか。海に穴が開いている、が一番近いか。

「珍しい石ね…」

「そうだなあ…あ、そうだ。この石あったらさ…」

俺はこしょこしょとソフィアに耳打ちする。
何やら身を捩っていたソフィアだったが俺の考えを聞くと、即座に賛同してくれた。



775 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:42:39 ID:OadCEK2S0

キメラの翼で近くにまで降り立ち、俺たちは目当ての洞窟を発見する。
一度きたものの、水の中に階段があるだけでどうにも先に進めなかった場所なのだ。
そこに、先ほどの渇きの石を放り投げる…見事に水は引き、俺たちはその階段を降りていった。

「私いっちばーん!」

「お、お待ちください!姫様!危のうございます!!」

アリーナが駆けていき、クリフトがそれを追いかける。
仲間達はそんな様子を見て、呆れながらも楽しそうに三々五々中へと足を進めた。

「…お前達はいつもこうなのか」

「楽しそうで良いですね」

対照的なリアクションを返すピサロとロザリーに、ソフィアは笑顔を向ける。
滝の流れる洞窟という事で皆水着のままだ。なんともシュールな光景である。
特にライアンとかトルネコとかブライとか。
あの辺は意識的に見ないようにして良いだろうか?良いよね?

偶に出てくる魔物もアリーナに蹴飛ばされたりピサロに睨み付けられたりして程よく散っている。
長閑なものだ…やがて、先の方でアリーナが何か武器を見つけたらしく、トルネコを先頭に皆駆けていった。

その場に残ったのは、俺とソフィアのみ。
俺は自然に、無造作に、どこか意識をしてソフィアと手を繋いだ。

「……」

少女がこちらを見て何か言いたそうにしていたが、俺は敢えて視線を合わせない。
結局諦めたのか、それともこれで良いと思ってくれたのか。何も言わずに前を向く。

776 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:43:20 ID:OadCEK2S0
こうしていると…デートみたいだな、と思う。
みたいだ、ではなくそうなのかな。そう…思おうか。
最初…で。
最後…の。

「…?」

くいっと腕を引かれた。
少し物思いに耽っていたので驚いたが、何かでたのかと視線を向ける。
だが、ソフィアの瞳に剣呑な光はなく、むしろ何かを発見したかのような喜びに満ちていた。
少し見え難い所に宝箱があったらしい。

「どうするかな。ブライさんがいないと敵性識別(インパス)ができないから…」

「開けてみよう?人食い箱やミミックでも何とかなると思うし、何かあってもクリフトに完全蘇生(ザオリク)してもらえるし」

ソフィアがこういう積極性を見せるのは珍しい事だった。
仲間の安全をかなり優先する傾向があったので、こういう時は大抵焦らず皆を待つ。
だが…もしかしたから、何か思うところもあるのだろうか。
甘えたように腕を引かれれば俺も嫌とは言えない。

ゆっくりと宝箱を開ける。
どうやら罠の類はなさそうだ…バーンと一気に開けきると。
箱の奥には…小さな砂時計が置かれていた。

「何かしら?これ?」

「んー…時の…砂…って書いてあるな」

「時の砂…」

777 :世界樹の花  ◆gYINaOL2aE :2006/10/24(火) 01:44:44 ID:OadCEK2S0
一見するとただの砂時計のようだった。
さかさかと振ってみるが、特に何も起こらない。
後でトルネコさんに見てもらえば良いか…。それよりも、何となく二人で見つけた物である、というのが、なんか良い。
世界樹の頂上で見つけた花は、消えてしまったから…。
そんな気持ちでソフィアを見たら、ぱちっと視線が合った。
お互いを察したのか気恥ずかしそうに笑う。

「ソフィア…。俺…」

「……」

意を決し、改めて俺の気持ちを自分から告白…。
しようとしたのによおおおおおおおおおお!

「みてみてソフィア!凄い剣みつけたわよ!!」

奥からどやどやと空気の読めない奴らが戻ってきた。
いや、中には読めるのもいたのか小さく頭を下げている者もいたが。

少し残念ではあったが仕方が無い。
むしろ…これで良かったのかもしれない、とすら思う。



HP:205/205
MP:125/125
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

778 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/24(火) 01:48:32 ID:S23fZ3C50
GJ!

779 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/24(火) 01:50:50 ID:nVFsiV4K0
やった!リアル遭遇したよ俺!!
ちょww水着で動き回ってんのかこいつらw
ピサロがすっかり導かれし者達ペースに巻き込まれてるwww

780 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/24(火) 08:52:43 ID:ngEHKGFa0
ちょwwww久々にキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━!!!と思ったら
さらにえらいことになってるwwwwwwみじゅぎwwwwwもっと描写kwskwwww

781 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/24(火) 09:32:41 ID:rCa41WK30
テンションの変化が素敵すぎるw なんで今更海水浴なんだよw
まじ乙でグッジョブです。久々に読めてドキドキしてますよ。

782 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/24(火) 17:03:30 ID:V0RLhu0p0
やっぱ4の人のは面白いな
そろそろ旅も終わりに近そうで寂しいけど
他の職人さんたちも待ってるよ

新まとめのタカハシ氏も忙しいのに乙

783 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/24(火) 17:55:06 ID:xnq5phcE0
◆gYINaOL2aEさんお疲れです。
今回もドキムネで面白く読ませてもらいました。

今450KBだけど、そろそろ次スレ必要かな?

784 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/24(火) 19:43:04 ID:NUoUBECR0
ピサロを普通に呼び捨てにできるまでに成長したか主人公w
かつてのソフィア+その他の荷物持ちの立場が懐かしい。

785 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/24(火) 20:13:21 ID:3EhAFEPHO
とりあえず、乙。

786 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:11:37 ID:bbZbfxbc0
>>748
から続き

●結んだ願い

「ん……?」

確か…
そうだ、気力を失いそして力を吸われ…

「気が、つきましたね テリー」
「ルビス様…」

いつも使うベッドに横たわっている

なぜこうも意識がはっきりしている?
力を失ったんじゃないのか、俺は…

「私が、貴方が眠る前に言った言葉を… 覚えていますか?」
「もちろん… 覚えてます」

眼を閉じ、瞬間を思い出す

「方法があると…」
「……世界を救うにはテリー、貴方しかいません
 そしは姉ミレーユをも救うことになるのです」
「本当ですか?!」

勢いよく身を起こし、続く言葉を求める
ルビスはベッドの隣へ立ち、厳しい口調で語り始めた

787 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:12:10 ID:bbZbfxbc0
「今からあなたの力を取り戻します
 私は─ あなたが眠り、しばらくこの世界の事を探りました
 魔物には知り得ない力を使いましたが─
 調べていく内、私に残された能力で力を取り戻せる事がわかったのです」
「ルビス様は……?」
「…この世界で、あなた方と同じように私の力はほとんど抑えられています
 更に肉体を持った事で、元々持っていた能力のほとんどを失いました
 元の姿に戻ることは不可能、戦いに役立つ事はないでしょう
 それに力を戻す事が出来るのは、一回だけなのです」
「で、では…」
「テリー、あなたに託します
 たったの一回、この一回が後世の世界を決定付ける
 失敗は… 許されません」

……力を取り戻した後、どうすれば?

「あなたはある場所へ向かい…
 そこには無数の光が浮かび……
 その光は奪われた力や魔力、肉体の精神を形作る元─ "いのちの源"を見るのです」
「命の みなもと…?」

命の根源があるというのか、こんな世界に…

「これを持ち"いのちの源"へ触れて下さい
 私の考えが正しければ、タカハシは目を覚ますでしょう…」

ルビスがそっと小さな玉を手渡す

788 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:13:18 ID:bbZbfxbc0
「それはメイが持っていた静寂の玉
 彼女が肉体を離れる際、タカハシに託した持ち主の精神を込める事の出来る特殊な石です」

肉体を離れる……?!

「それは… 彼女は死んだと?」

俺はその表現から導き出した言葉で問いかけた
その問いに、ルビスの視線が眠るタカハシへと移る

「……タカハシの手で傷つき、そして守るため彼女は命を落としました」
「えっ??」
「タカハシを手助けしてほしいという私の願い、彼女は命で結んでくれたのです」

どういう事だ?
タカハシが殺したのか??
状況がわからない…

「…ゾーマの罠に掛かり、タカハシはメイを自分の手で斬ってしまった
 それでも彼女は、私の願いを…
 自身の想いもあったと思いますが究極魔法マダンテでタカハシを助けようとし、命を落とした
 ですが… ですがマダンテをもってしてもゾーマが斃れることは無く……
 そうして彼、タカハシの開放されようとしていた力は深いところへ、絶望に飲まれ、意識と共に沈んでいった…」
「なんと、いう…」

マダンテがどういった魔法なのかはわからなし、俺にはあいつの苦しみがわかりようもない
さぞ、無念だっただろう……

789 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:14:04 ID:bbZbfxbc0
「この静寂の玉に込められたメイの精神が、"いのちの源"と共鳴しタカハシに働きかけてくれるはず…
 メイならば、今のタカハシを闇から引き出す事が出来る…
 神とはいえ人間の深く広大な心理全てに対し、働きかけを行うことは出来ないのです
 ですから私には、いえ、世界は… "静寂の玉に込められた想い"を信じるほかありません」

神にもわからない人間の深さ
土壇場で力を発揮する、そういう部分がきっと計れない所なんだろうな
俺は彼女とタカハシの関係を知るわけではないが、命を懸けて守ろうとしたんだ
その想いは本物、そう感じる

「ですが、もしうまくいったとしてもタカハシの力はどうなるのです?
 一回しか戻せないのでは」
「それは心配いりません
 タカハシが意識を取り戻せばそのような事、容易に跳ね除けることができます」

そうか…
ルビス様がここまでしようとするタカハシは、きっと特別な力を持つに違いない
わからない事も多いが今は世界のため姉のため
詳しい事は後で聞けば良い

未来に希望を見出せた俺は、さっそく行動することにした



790 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:14:47 ID:bbZbfxbc0
●錆びた世界

身体の奥から溢れ出してくる力
失われていた、充実する魔力

これだ
ずいぶん懐かしい、この気力

「……これで、全てです 力は戻されました」

ルビスは疲れたように、深く、椅子へ腰掛ける
入り口には呼ばれたトルネコ
ルビスの力によって、まるで操り人形のごとく指示を待つ
この、人間を押し込める窮屈な建造物から出るためには彼の力が必要だ

「では、行ってきます」

言葉少なく俺は部屋を出た
トルネコに導かれグルグルと階段を降り続ける
この"絶望の町"にいる"壊れた人間"の、いくつもの目線だけが、その様を追いかける

「ここへ…」

静かに一言、発するトルネコが何も無い壁へ向かい、鍵であろう小さな棒を差し込む
ベージュの壁にぽっかりと穴が開き薄暗い部屋が姿を現す
部屋の中は無数に並んだ武具で埋め尽くされ、その先の壁を更にトルネコが鍵を使い開く
開いた壁の向こう─ そこには錆びた色が見える

「武器はここに隠されていたのか…」

連れてこられた人間の武器を棄却せずに並べてあるという事は、恐らく魔物達で使うつもりなのだろう

791 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/25(水) 02:16:18 ID:Dz/svwqRO
回避

792 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/25(水) 02:19:50 ID:Dz/svwqRO
連投回避

793 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:20:54 ID:bbZbfxbc0
ガラガシャと手前から武器防具をひっくり返し剣を探す
が、なかなか見つけることが出来ない
もしや、すでに持ち去られた後なのでは…

そんな不安を抱き始めたとき、奥まった箇所で青白く鈍い光を放つ一振りの剣を見つけた

「あの光…!」

跳ねるように剣へと近づき、柄をグッと掴む

「これだ… 雷鳴の剣!」

剣をゆっくり天井へと突き上げる
見覚えある、刀身に刻まれた一筋の青
まるで再会を喜ぶかのように、魔力と共鳴する雷鳴の剣

この剣を手に入れてから、様々な事があった
ライフコッドでのドラゴンとの戦い…
メルビンとの出会い…
激しい修行の旅…
あれからとても強くなった
今ならあのドラゴンにだって、敗れはしないはず…

身体は小刻みに震え、心は強く奮う─


794 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:21:38 ID:bbZbfxbc0
「きっと、良い結果を持ち帰ります」

トルネコへ、今は理解できないだろう言葉を掛け、外界へと向かう
らせん状に高く伸びたその建物から一歩二歩、振り返るとゆっくり静かに塞がる肌色の穴
真っ赤に染まる煉獄そのもの、炎の鎧を身に纏いゆっくりと錆色の世界を見渡す
赤茶色に焦げた空
不気味な殷紅色の地
匂いも音も無く、時が止まったような空間

「この方向だな…」

空は鈍鈍と蠢いている
雷鳴の剣をしっかと携え、目的へと歩みだす



795 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:22:38 ID:bbZbfxbc0
●言葉の意味

思った以上に広いこの地
竹の水筒を口に当て喉へ胃へ、水を流し込む

「そんなに距離はないと聞いたのだが…ん?!」

突如、あたり一面に生成色の霧雨が立ち込める
同時に邪悪な気配と汚れの無い気配
正体の見えない相手に、息を潜め剣を抜き戦闘態勢で様子を見る

「やはり長くは続かないな… ゾーマ様のおっしゃるように完璧な隠蔽は出来るのだろうか」
「ギャアギャア」

霧雨が薄まり、目と鼻の先に二つの魔物が会話しているのを聞いた
その向こうには幾重にも重ねられた純白の雲─?
あれが邪悪とは違う気配の…

「! おまえ、どうやってこんな所へ!」

鎧の魔物、ガーディアンに見つかった
覚悟を決めキッと睨み返す

「なぜだ? お前から力を感じるな…」

ジリと足元を踏み固める鎧の魔物

「待て! その雲がなんなのかを教えてくれれば、お前達の疑問に答えよう」

796 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/10/25(水) 02:23:10 ID:bbZbfxbc0
ガーディアンの言葉を遮り、逆に質問を投げかけた

「……」

ガーディアンが少し考え話し始めた

「力を持ったとして、我々に敵う訳も無い… いいだろう」
「ギャ!」

もう一つの魔物、ダークサタンも同調したようだ

「この雲の中にはゾーマ様の力が蓄えられている
 いのちの力とおっしゃられていたがよくわからない」

いのちの力
じゃあここに、ルビス様の言っていた"いのちの源"が…

「そして元々魔力の高い人間を選び出し、安定させるためこの中で、邪神の像へと魔力を送らせているのだ」

魔力の高い人間?
それじゃあ─ !

「姉さんもここか?!」
「姉さんだと? そんなもの知るわけがない
 つい最近、女が一人つれてこられたがな」

間違いない、姉さんだ
こんなところに!

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