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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/28(日) 12:25:12 ID:AaT+g6Z00
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言、オリジナル何でも歓迎です。

・スレの性質上、レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1142080254/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
tp://www.geocities.jp/if_dq/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」避難所
tp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi

457 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/16(水) 14:43:03 ID:Mp3ocQk+0
空気なんて自分で変えようと思えば変えられるだろ

458 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/16(水) 21:34:03 ID:lUeRf1nIO
>>457
まかせた。期待してる。

459 :ひまつぶし:2006/08/17(木) 21:25:52 ID:JZWnS7wA0
「王子!」

「待ってくださいよ、王子!」

聞いているのかいないのか、王子はずるずるマントを引きずりながら
あたしの前を歩いてゆく。ただ、ただ、歩いてゆく。

「話聞けっつーんだこのドチビッッ!」

くるり。
瞬間的に振り向く王子。
はは〜ん。
「『王子』には反応しなくても『チビ』には反応するわけね、王子様☆」
「うるさいッッ!」

顔を真っ赤にして怒る王子は、これでも勇者の子孫だとかなんとか。
うっそくさいわよね〜。

「だいたいなんなんだその格好は!? お前恥ずかしくないのか///」
王子が指差すのはプリーツのスカート(超ミニ)、ハイソにネクタイ、碇マークのついた襟。
あたしのセーラー服である。
紫や青を色調とした王子の服とはずいぶんかけ離れている。

460 :ひまつぶし:2006/08/17(木) 21:26:32 ID:JZWnS7wA0
色々言い合いをしているが、この王子とはさっき合流したばかりである。
数学サボって屋上でうたた寝してたはずなのに、起きたらなぜかどっかの原っぱでさ、
なんか周りに青いゼリーみたいなのがいっぱいあたしを取り囲んでんのね。
顔にぴたーーーーん、て張り付いてるから最初はアイスノンみたいに気持ち良かったんだけどね、
だんだんぬる〜くなってくるわけ。
そろそろもういいやってべりって剥がそうとしたらどんどん顔に張り付いて離れなくて……
やべえ窒息する!?とか思ったらいきなりゼリーが燃えたのよ!
ジョワ〜〜〜って蒸発してさ、消えてなくなっちゃったわけ。

後で話を聞くと、王子が[メラ]を使って[スライム]を[倒して]くれたらしい。
メラに、スライムに、倒すとか経験値とかゴールドとか専門用語(?)が王子の口から
飛び出すたびに、あれ?あれ?あれれれれ?
あたしゃなにこれ夢見てんの?って気分でさ、ぽかんと口開ければ王子に田舎者とか
言われるし、でもさっ なんかこれって……これって、ひょっとすると……
失恋の後遺症でとうとう精神病にかかっちゃったって感じ??

ラベンダーの香りやら、犬が出てくる奴やら、車が空飛ぶやつやら、
色んなものが頭に浮かぶんだけど、ドラクエの世界に行っちゃったとか、
そんなバカな妄想はさすがに夢でも思いつかな、い、はずなんだけど。

でも[やくそう]とか食べさせられたら急に気力がわいてきて、
なんだかだんだん事実に思えてきた。
(厨くささ満載にした文章完)


461 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 09:40:41 ID:06RhYTLZ0
>>458
他力本願乙
俺は今の雰囲気の方が気に入ってる。職人含む馴れ合い厨が消えて良かった良かった

462 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 18:01:38 ID:ee9qjr/cO
過度の馴れあいはともかく今の投下の少ない状況が気に入ってる…?

463 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 19:23:06 ID:cB8/7uTt0
461じゃないが元々元々投下スレじゃないだろ

464 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 20:04:44 ID:LVLcjpry0
元々を二回言う理由はわからんが、初代スレから投下スレだったぞ
まあ、投下スレじゃないっていうならネタでもふってくれ

465 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 20:15:27 ID:cB8/7uTt0
本当に入ったら恐怖のあまり自殺する
勇敢に立ち向かえる自信があるやつは名乗り出てみろ

466 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 21:58:25 ID:9LbFFX4XO
何にですか?

467 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 23:52:56 ID:epfGYZAI0


468 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 06:11:21 ID:2UzHpI4B0
「DQの世界に現実世界の一般人が入ったら」っていう小説を投下するのが
このスレの趣旨でそ

469 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 10:33:47 ID:zFEKJjQD0
似たようなスレを知ってるがここまで厨臭いのはここだけだ

470 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 15:53:42 ID:WAluablz0
最近は職人気取りな馴れ合い厨の作品より地に落ちていくスレを楽しんでる

471 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 16:35:33 ID:RPMsWXCyO

日本語おかしくないか?

472 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 16:41:16 ID:fu2r+ivFO
別に小説形式じゃなくてもいいんだろ?

473 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 17:13:28 ID:1c4pr/DB0
小説形式じゃなくてもいいことくらい>>1に書いてある。
よく読め、アホ。

474 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 17:29:26 ID:cWsSr7XJO
簡単な呪文を唱えても何も起こらなかったらおとなしく絶望する

475 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 17:42:34 ID:AJ9OStGH0
厨の特徴
・簡単な文すら理解できない
・そのため相手の日本語が間違っていると勝手に思いこむ
・自分の読解力が無いという考えは思い浮かばない
・基本的に他力本願
・気に入らないレスには日本語でオk
・論破できなくなるとじゃあネタを振れとだけ言い残し逃亡
・こういったコピペを見てもスルーできずに切れ始める

476 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 18:36:17 ID:RPMsWXCyO

のようなレスをするのが典型的な厨ですw

477 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 19:12:27 ID:zFEKJjQD0
反応する奴も立派な厨房www
男なら黙ってスルーしろカス共

478 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 19:46:11 ID:C0yJ+XRwO

のようなレスをするのが典型的な厨ですw

479 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 20:01:03 ID:58oKNidgO
目覚めたとき、俺は小さな部屋の中にある小さなベッドの上にいた。
……BGMだ…。何故だ、コンポでもあるのか?

部屋を出ると修道女らしき人に出会った。
彼女は「お目覚めになったのですね。良かった、死んだように眠っていたから、心配していたの」とにこやかに言う。
金色の髪を持った美しい女性だった。
と、ぱたぱたと幾人かの足音が聞こえ、間もなく小さな子供が二人やってきた。
「マリアおねえちゃん、遊ぼうよー」
「遊ぼうよー」
マリア?
「そうね、じゃあご本を読みましょう」
「「わーい」」
現れた時と同様に、ぱたぱたと軽やかに去る子供たち。それを目を細めて幸せそうに見ていた女性も、
「ふふっ。あの子たち、本がとっても好きなの。
また、あとで来るわね」
と言い残し姿を消した。

マリア、マリア…
…まさかあれか? まさか、ヘンリーと結婚する前の…

俺は足早に彼女の後を追った。



480 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 21:55:15 ID:lcoOaoO60

のような糞作品を投下するのが典型的な厨ですw


481 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 22:29:38 ID:kSIgXcyVO
まあ、おまいらおちけつ。
今の雰囲気じゃ投下しにくいぞ

482 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 23:27:19 ID:2C8ixkZjO
前に4の人を叩いてた荒らしがもどってきたんでしょ
放置するが吉

483 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 00:47:25 ID:l/xypO3HO
思ったけど、ドラクエ世界行って、街とかフィールドの音楽がずっと流れてたらウザいだろうなぁw

484 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 01:40:12 ID:pAdrVB9YO
>>480のような糞が典型的な厨ですw

485 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 02:18:39 ID:Knn3x3Lc0
「きのうはおたのしみでしたね」と言われる様な事をしたいと言ってみるテスト

486 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 02:23:04 ID:bRcoJ6d9O
アッー

487 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 02:50:00 ID:OH6AsmJP0
「さぁいざゆかん、天空の塔へ〜ですよ〜」

緊張感の無い鬨の声を上げて一同の戦闘を進む女。
その背には羽…いや、翼が生えていた。
怪奇!?鳥人間!!と、いった感じだろうか。
まあ、喋り方がキモイお陰で外見ではそこまでびびらずに済んでいたりもするのだが。

ソフィアのリハビリも兼ねて木登りをしていた俺たちが、枝の先で見つけた女。
なんでも彼女は空から降りてきたのだという。
世界樹の葉を摘みにきて、魔物に羽を折られたそうな。
彼女の言うとおりに引き続き世界樹を探索してみると…確かに、そこにあった。
空の、剣が。
こうなってくると、彼女の話も信じざるを得ないのだが…。
ただ、トルネコだけが首を幾度も捻っていた。天空の剣。確かに装飾は見事だが、それほど素晴らしい武器だとも言い切れない。
そう呟いては意気消沈したようにため息を吐く。
無理も無いだろう。この人は、この剣の為に元々得意では無い戦闘に身を置き、これまで危険を乗り越えてきたのだから。
その剣が…言っちゃなんだが思ったよりしょぼかった、ともなれば凹みもするだろうな。
それでも、やがて元気を出して、全てが終るまでついて行くとソフィアに告げ、彼女と、そして皆に喜ばれていた。
なんでも戦いが終った後には天空の剣を譲ってもらい、家宝にしたいそうな。勇者が振るった伝説の剣を所持する事こそが、世界一の武器屋であることの証明になる…。
正直言うと少しピンとこない話ではあったのだが、そこには例えようのない…浪漫があるような気がした。

天空の武具を揃えた者は空へと昇る。
ルーシアの指し示す通りに気球を飛ばすと、はたしてそこには険しい山々に囲まれた、空を衝く塔が聳え立っていたのだった。
鎧、盾、兜…そして、剣。
それら全てを身に着けたソフィアが塔の前に立つと…ゆっくりと、その荘厳で巨大な扉が押し開かれる。

「…さあ、行きましょう」

「おう!!!」

ソフィアの号令に、一同は鬨の声を挙げた。

488 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 02:51:21 ID:OH6AsmJP0


「うわー!みてみて、クリフト!ほら!あの海の先に見えるのってひょっとして…」

「……姫様……すみません……このクリフト、戦いに負けたのではなく、高さに負けました……」

「ちょ、ちょっと、クリフト!?」

バタリと倒れるクリフトを引き摺って馬車へと戻るアリーナ。
どうやら彼は高所恐怖症だったらしい。いや、今迄よくもったよ。ほんと。
気球といい世界樹といい高いとこばっかりだったしさ。
二人の代わりにライアンとミネアが馬車から降り立ち、天空の装備を纏ったソロ、そしてブライと共に俺たちは再び塔を昇り始める。
ソフィアはまだ病み上がりという事もあり、無理はせずソロと装備ごと交代して馬車の中にいる。トルネコさんは御者台だ。
マーニャは…寒がって出てこない。
いや、そりゃそうだろうさ。あの格好じゃ寒いよ。どんな装備でも兎に角薄くしようとするのは職業柄というより最早ろしゅつきょ――。

ひゅんひゅんさくぅっっっ!!

「うごごごご!!」

「きゃあ!頭に鉄の扇が刺さってますよ!」

「説明的台詞をありがとうミネアさん」

ミネアの治療を受けている間、馬車の中からはトルネコをからかうマーニャの声が聞こえてきた。
傍若無人すぎる姉に対して、何故か妹のミネアが申し訳なさそうにする。
相変わらず苦労してるな…そう考えると、ついくすっと笑ってしまった。
それに気づいたミネアは流血のせいで遂にヤバクなったのかと、一層哀しい顔をするものだから、俺はまたつい笑ってしまった。

489 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 02:52:04 ID:OH6AsmJP0
「いよいよですね…」

治療と俺の笑いがひとしきり収まった後、ミネアがぽつりと呟いた。
いよいよ――。
彼女が俺にだけ聴こえるようにそう言うのだから、それはつまり――。

「良いんですか?…皆さんに伝えずとも」

「……」

良いのか、悪いのか――と聞かれると、決して良くはない気がする。
なんと言っても、薄情な話だ。
だが、そうだとしても…迷うのは、この先に本当に神がいるのか、この先で本当に俺は元の世界に戻れるのか、という事だ。
できもしない話なら余計な事を言うのもどうかと思う。
そして、もう一つは…それは本当に皆に伝えるべき事なのか、という事。

「…すみません、前の方はともかく、最後の理由の意味がよく解らないのですが」

「だからさ。…例えば、病気になったとするじゃないか。
後数年しか生きられない――と、なった時に自分の大切な人を最も悲しませない方法って言うのはさ。
全てを正直に話す事なのかな、っていう事。わざわざ数年で死んでしまう、なんて事は言わない方がさ…」

「馬鹿じゃないですか?」

ミネアにしては、強い語調だった。
だから、俺は小さく息を呑む。

「何を言ってるんですか?本気ですか?本気なら…私も本気で怒りますよ?」

「ま、待って…なんだよ、俺だって色々考えたのに、そこまで言う事…」

「…私、貴方の事見損ないました。それに、凄く悲しいです」

490 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 02:52:42 ID:OH6AsmJP0
ミネアはそういうと、ぎゅーっと俺の手の甲を抓る。
痛い。痛いのだが…なんだか妙な雰囲気で。痛いのは俺の筈なのに、むしろ痛がっているのはミネアで、それを何とか我慢しているかのような。

「貴方にとって、私たちは…仲間でもなんでもなかった、という事なんですね」

「そ、そうじゃない。仲間だから…大切な仲間だから、どうするのが一番良いのか考えるんじゃないか…」

「…本当の本当に、そう思ってます?」

「本当の本当の本当に!」

じっと、何もかも見透かすかのような占い師の瞳が、俺を覗き込む。
どれだけそうしていただろうか。やがてミネアは小さく嘆息した。

「嘘じゃ…ないみたいですね」

「当たり前だろっ」

「なら、幼い貴方に特別に教えてあげます。私たちを…ソフィアさんを大切に思うなら…嘘は、つかないでください」

「だけど…」

「嘘が巧いなら、それも手かもしれません。ですが…貴方には向きません」

ぐさり。
それは褒められてるんだろうかけなされてるんだろうか…。
そうちゃかしたら、物凄い勢いで睨まれた。どうやら、あのミネアが本気で怒っているらしい。

「解った…言うよ、言う。神様に会えて、戻れるって事が解ったら、ちゃんと…言うから」

491 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 02:54:06 ID:OH6AsmJP0
「絶対ですよ?」

「絶対!」

「……よろしい」

ずっと抓られていた手を解放されて、俺はようやく人心地ついた。
ふーふーと息を吹きかける俺を見て、ミネアはくすくすと笑っている。全く、誰のせいなんだか…。
不満なのか嬉しいのか、俺は自分でもよくわからない笑みを返していた。


俺たちがさぼっている間、前線はライアンとソロで保持されていた。
ブライが後ろから氷結呪文と補助呪文で援護し、ルーシアも時折例の気の抜けた声で呪文を唱えている。この娘もいまいち掴めない。天然か?
ミネアが治癒の呪文を唱える中、俺はライアンとソロの後ろ、1.5列目に立ち、ドラゴンキラーを構える。

「大分、板につきましたな」

現在、俺が剣について師事しているライアン。彼に褒められると素直に嬉しい。
それが面白くないのか(なんで面白くないのかは知らないが)こういう事に関してはやたら地獄耳なマーニャが馬車の中からにゅっと顔を出した。

「ま、呪文の方はまだまだだけどね。結局攻撃の呪文は殆ど使えないしー」

「そうでもないじゃろう。取捨選択としては間違っておるまい。攻勢力向上との相性は悪くないしの」

ああ…俺としては、ブライに褒められるのは嬉しいのだが、この状況だとそれも半減だ…。
一気に険悪な雰囲気になる二人。
理論のブライと、感性のマーニャ。こうなってくるとこの二人はいつも荒れるのだ。

492 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 02:55:57 ID:OH6AsmJP0
「あによお爺ちゃん。私の下僕を庇うなんて良い度胸じゃない」

「下僕じゃないよ」

「ワシは事実を言ったまでじゃ。そろそろ少しは認めても良い頃合じゃろう」

「余計なお世話よ!奴隷の事に関しては師匠である私が決めるのよ!」

「奴隷じゃないよ」

「理論について教えたのはワシじゃからな。権利の半分はあってもおかしくないわな」

マーニャの髪がうねうねと揺れる様はメデューサのよう。
対するブライの髪はツインタワー。サ○ーちゃんのパパか三島平○か。

「珍しいわよねー。ブライが人の事褒めるなんて」

「いや、姫様に関しては特別厳しいのですよ…教育係ですし…うぷ…」

「あーもー、いいから寝てなさいってば!」

「申し訳ありません…」

謝ってる割に嬉しそうだなクリフト。
しかし、ブライがアリーナに厳しかったのはある種仕方がない気はする…教育係がいながらあれじゃ、なあ…。
それとも、口ではなんのかんのと言っても理解を示して、のびのびと育てようとしている?
…ひょっとすると、ありえなくもないかもしれない。

493 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 02:59:59 ID:OH6AsmJP0
「はい、その辺りにしておきましょう」

「マーニャさんも、落ち着いてください」

こういう時止めに入るのは決まってライアンとトルネコの役目だ。
なんとも貫禄のある感じだ。ライアンはともかくトルネコにもあるのは、やはりこの中では一家の長であるというのが大きいのだろうか。

「ほえぇ…皆さん、仲が良いのですね〜」

それもまたどこか抜けた感想だなとつっこもうと思ったが、ソフィアとソロがルーシアに同意しているので止めた。
まあ、見方によってはそうも見えるかもしれないしな。
マーニャとブライも仲が悪い訳ではない。いや、悪いのかもしれないが、嫌い合っているという訳ではないから。
これは恐らく俺だけが知っている事だろう。二人について師事していた俺は、ぽそっと呟く言葉を聴く事が多いから。
ブライはマーニャの事を稀代の天才魔術師だと思っている節がある。だが、理論をほぼ極めた老人にはまだ彼女がその才に振り回されているように見えるらしいのだ。
それが、惜しい。故に、口煩くなる。
そしてマーニャもまたブライの経験には一目置いているのだ。
何度かマーニャがブライを頼った時、その的確なアドバイスは幾度となく彼女を袋小路から救い出したのだと言う。
それが、悔しい。故に、憎まれ口を叩く。

「あの二人は…もっと協力したら、想像を絶する術も使えそうだがな」

「だけど…もしかしたら、今のままでも良いのかもしれない」

ソロとソフィアがそれぞれ感想を漏らす。とても対照的だと思った。
俺としては…そうだな、どちらが良いというよりかは…どちらも…なら、更に良いのかもなあ。

494 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 03:02:14 ID:OH6AsmJP0
こうして皆で塔を昇るというのも珍しい気がする。
大体、洞窟や塔といったものは魔物たちの巣になっている。それというのも、理由の一つとして魔物たちは狭い所を好む習性みたいなものがあるのかな。人と同じように天井がある方が良いのか。
しかし、だったら洞窟大好きっこなミネアは魔物かという話に…はっ、殺気… ((((;゜д゜)))ガクガクブルブル …この話はやめておこう。
で、狭いところにあるから馬車ごと入る訳にいかず、苦しい時に仲間皆で立ち向かうという事が中々できないのだ。
地上ではさほど窮地に陥ることも…人数が増えれば増えるほど無くなっていったしな。
だから、今のこの感覚…調子が悪くなったら馬車の面子と交代したりとか、そんな事は中々できなかったんだが。

「凄いち〜むわ〜くですよね〜素敵です〜」

そう…この間延びした台詞にはいらっとするが、此処に来て俺たちは…かなり仕上がってきている感じがした。

「ところで、ルーシア。この塔を昇った先には何があるの?」

クリフトを寝かしつけ、トルネコに代わり馬車の御者台に上ったアリーナが訪ねた。
その質問は皆が聞きたくて、だがどこか遠慮してきたものだった。
興味津々といった雰囲気で視線を投げるものが多い中、ミネアなどはあまり聞きたくないのか視線を逸らしていたりする。
…そういえば、ミネアにとっては今迄声だけ聞いていた存在っていうのが、そこにいるのかな。それは少し緊張したりするかもしれない。

「はい〜詳しくは、やっぱり着いてからのお楽しみという事で〜。
で、す、が♪空の上には竜神様がいるのですよ〜〜〜☆」

…やはりいるのか。竜の神が。
彼女は空の住人だ。マーニャが引っ張ったり毟ってみたりして本物だと確かめたあの羽を持つ女が言ってるんだ。
あの時…キングレオ城で導かれし者達が集い、サントハイム城でバルザックを討ち…。
全員揃った仲間たちが改めて踏み出した道、それが…竜神を探す我等が旅だった。
大陸を足で、船で、気球で横断し、深い洞窟を進み、今はまた空に続く高い塔を制覇しようとしている…。
町で、王宮で、村で…楽しい事も哀しい事も。色々…色々あった旅が…。

それが…終る、のだ。

495 :天空の塔  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 03:02:53 ID:OH6AsmJP0
そう考えるとなんだか鼻の奥がツンと痛くなってくる。
見ると、感慨深い顔をする者、目頭を軽く拭う者、皆それぞれがやはり俺と同じように複雑な顔をしていた。
俺は…導かれし者達ではないけれど…。
それでも、この長い旅を共にしてきた…皆の仲間だと。思って…いい、よな?
こんな事、訊いたら物凄い非難されるんだろうな。皆、良い奴だから。
だから、訊かない。
そっと添えられた碧の少女の手を、俺は強く握り返した。

この先に何が待つかは解らない。
俺が元の世界に戻れるのか、戻れないのか。戻れるのなら、戻るのか、戻らないのか。
先の先の事を考えて取らぬ狸の皮算用をするのが嫌だったから今迄あまり考えずにきたが、そうも言ってられないのだろうか。
だが、デスピサロの件もある。考える時間は…まだあるように思うから。
今は、進もう。
考えて、足が進まなくなる事のないように。

よし、元気出して、ガンガン行こうぜ!
近いか遅いか、旅立ちか死か、それらは解らずとも俺と『皆』の別離はいつか必ず訪れる。いや、多少のズレはあるかもしれないが、それは今迄に比べたらかなり近づいている。
だが、それは…悲しいだけの事じゃ無い筈だから!


HP:110/125
MP:20/61
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

496 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 04:20:46 ID:CR60+frE0
GJ!

497 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 04:33:10 ID:FTdUsyXa0
4の人キターー!
早速楽しませてもらいました。
魔物扱いされてキレそうなミネアわろたw
いよいよ主人公の道がはっきりしそうですね。
次の投下をwktkしながら待ってますが、どうぞご自分のペースで。

498 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 04:39:08 ID:6MB/vJ2/O
寝付けなくて見たら久しぶりの投下が!!!

乙です。

499 :天空城  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 04:52:11 ID:OH6AsmJP0
伝説の顕現。
神話の具現。
空に在り、雲に建つ巨城――。

余りの荘厳さに圧倒され、威圧され、声も無く。
雲の上に立つというあやふやな感覚の中、俺たちは…ただ、ただ、見上げていた。
この世界には不思議な事が沢山あった。
だが、空に浮くこの城程の物は…無かったのではないか。

「…行きましょう」

静寂の帳を破ったのはソフィアだった。
それに、天空の装備を纏ったソロが続く。
アリーナが、クリフトが、ブライが歩み、マーニャとミネアがふわりと雲を踏みしめ並んで行く。
殿はライアンが勤める。俺は、トルネコの後にともすれば震えだしそうになる足を叱咤し、進んでいった。



擦れ違う天空人は珍しげに俺達を見てきたが、こちらもあまり向こうのことをとやかく言えないだろう。
彼ら、彼女らには一様にルーシアと同じように翼があったから、こちらも結構まじまじと見てしまっていたかもしれない。
――ちなみに、ルーシアは城につくや否やいつものアホっぽい話し方ではなく、きちっとした言葉で礼を言い城の中へと入っていった。
どちらが素の彼女だったのだろうか…この城ではあのくらいぴしっとする必要があるのかなあ。

マスタードラゴンへの謁見までの少しの間に、俺たちは天空城を散策してみることにする。
その途中、俺たちは…一人の天空人の女性に出会う。
彼女は、ソロと…そしてソフィアを見つけると、はっと眼を見開いて…何処か、寂しそうに笑った。

500 :天空城  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 04:53:08 ID:OH6AsmJP0
そうして、彼女は眼にうっすらと涙を浮かべながら…悲しい昔の物語を教えてくれた。
その昔、地上に落ちて、きこりの若者と恋をした天空人の娘がいたこと。
しかし、天空人と人間は結ばれぬが定め。
きこりの若者は…雷に撃たれ、娘は悲しみに打ちひしがれたまま…空へと連れ戻された。
娘はどんなときも地上に残してきた子供のことを忘れずにいる…。
悲しい、物語。

彼女と別れた後、マーニャがそっと俺に耳打ちしてきた。

「ねぇ、今の話だけど…もしかして、さ」

「もしかして?」

「もう!鈍いわね。ちょっと、ミネア!こっちおいで」

手招きをされてミネアがこちらに近づく。
マーニャが言うには――さきほどの話しに出てきた地上に残された子供、というのは…ソフィアと、ソロのことではないかと。

「ありえないよ。だって、二人には育った村に親が――」

「だけどその親は産みの親じゃなかったのよ?」

「あ――そうか」

そうだ、二人の親は育ての親で、産みの親ではなかったと聞いた。
勇者とて、木の股から産まれてくるわけはない筈で…産みの親は居る筈なのだ。
だけど考えてみると、二人の産みの親を探そうという話には…ならなかった。
何故だろう?今までそうだと思っていた二人が実は産みの親ではないと解ったら――少なからず、探してみたいと思うものではないのだろうか。

501 :天空城  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 04:53:43 ID:OH6AsmJP0
「そうとも限りません。お二人が、今まで育ててくれたお父様とお母様を尊敬し、大好きでいたのなら…わざわざ産みの親を探す必要も無いでしょう」

「そうねえ。産みの親ってなるとなんだか本当の親とかって感じになるし…じゃあ育ててくれた人達は偽者の親なのかって言ったらそんなこともないしね」

そういうものだろうか。
…確かにそうかもしれないが…。

「思い返してみれば、かのご婦人と勇者どのたちには、どこか面影がありましたな」

にゅっと顔を突き出してきたから俺たちはびっくりしてしまう。
ライアンが珍しいこともあるものだ。あまり、この手の話には入ってこないのだが。

「いえ、私も疑問の思いましたので。…かのご婦人が…勇者どのたちの、産みの親なのではないかと」

彼女が?
…だけど、その割には何もなかった。
ただ物語を教えてくれただけで――そう、なんだろう。その、感動の再会?
ちょっと俗な言い方だと思うが、お互い名乗りもせず普通に別れてしまっていて、親子の再会という雰囲気ではなかった。
ソフィアたちは顔も覚えていないようだから仕方が無いとして――子供のことを忘れずにいる彼女がどうして名乗らないのだろう?

「それは――私にも理由は解りかねます」

「ほら、掟とかあるみたいだし、その辺りじゃない?」

…なんでそんな掟があるんだろう。
理由は…俺には解らない何かがあるのかもしれない。
だけど、なんだかすっきりしなかった。

502 :天空城  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 04:54:19 ID:OH6AsmJP0
図書館で進化の秘法や戦いの歴史についての本を読んでいる最中に、兵士に呼ばれた。
俺たちは再び集い、一緒に玉座の間の扉をくぐる。

そこには、神がいた。
俺の眼の前に、竜神がいた。
大きく喉が鳴る音が聞こえる。
神――神か。これが、神なのか――!
黄金に輝く、巨大な龍――こんな存在が、本当に居て良いのか――。

「…私はこの城を治めるマスタードラゴン。竜の、神と呼ばれているものだ」

竜神は、こちらが思っているほどに絶対的なものではないのだと歯痒そうに述べ、
ときとして思わぬ力を発揮する種族、人間である導かれし者たちに賭けると言った。

「この城の真下が闇の世界への入り口…。
ソロ、そしてソフィアよ!いくがよい!」

ソロの持っていた天空の剣が輝く。
マスタードラゴンの力を得、剣はまさに神剣と化した。
トルネコの眼が剣と同じ位に光り輝いている。

一同、特にミネアとクリフトが感激に打ち震えながらも、めいめい勇ましく退出していく。
そんな中、俺は一人その場に残った。
最後に出て行ったミネアが、心配そうにこちらを振り返ったが、扉が音を立てて閉められる。

場に残された俺を、竜神の眼光が射抜く。
俺はその…冷たい…いや、冷たいのでは、ない…眼光に、思わず目を伏せてしまった。

503 :天空城  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 04:55:17 ID:OH6AsmJP0
「…どうしたのだ?」

「あ…そ、その…」

落ち着け!落ち着け、俺。俺だって、ここまで旅を続けてきたんだ。
竜だって見てきた!勿論、ここまででかい竜ではなかったが。

「俺、あの…じ、実は!この世界の人間じゃなくて!だから!
ああ、くそ、上手く説明できねえ…だからさ…」


  ――訥々と、自分の境遇、今迄の事、多くを語った。
    余計な事も多分に話した気がするが、神はそれを止めなかった。
    何故だろうか。ただ、そこだけは神らしい――らしい、というのもおかしな話だが――慈悲深さであったかもしれない。


  即ち。


「なるほど。お前は元の世界に戻りたい、というのだな」

「ああ、そうだよ!」

「だが、本当に良いのか?この世界に未練はないのか」

「未練……」

未練は…ある。
そうだ…とりあえず、戻れるのなら、戻る前にやらなきゃならない事は沢山あるのだが。未練…というのは、戻ることそのものについて、だろうか?
ならば…本当に、良いのか?戻れる…なら、戻るのか?
だって…それが、正しい事だと思ってた。それが自然な事だと思ってた!
だから…正しい、んだ…。

504 :天空城  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 05:07:56 ID:OH6AsmJP0
沈黙を肯定と受け取り、竜神は鷹揚に頷いて見せる。

「では――開こう。扉を」

空気が変わった。
俺は背後の気配に振り返る。
空間が――収縮する――それはどこか、見た光で――。
青い…渦、のようなものが…。

ず…ずずず…!!

「な…!?」

引き摺りこまれる!?
堪えようとするが、これは――もたない――。

「ま、待ってくれ!まだ――まだ、やる事が――」

だが。
そう言って振り返り、仰ぎ見る俺を神は――見下ろし。いや、見下し。
嗤って――いたのだ。

505 :天空城  ◆gYINaOL2aE :2006/08/20(日) 05:08:47 ID:OH6AsmJP0
――ばぁぁぁぁぁぁぁん!!

扉の前に控えていた兵士を薙ぎ倒し、巨大な扉が押し開かれる。
そのときには、俺は袖に身体の半ばを渦の中に引き摺りこまれており。

そうして、そのまま。
何事もなかったかのように人を飲み込んだ青い渦は、その姿を消失させた。

残ったのは竜神のみ。
低く嗤っていた神は、小さく呟いた。

「そうだな。戻るのも良かろう。今まで…よく、楽しませてくれた。
もっとも…何処に戻れるのかは保証せんが…な」

くっと、口の端を締める。
そのすぐ後に、導かれし者達がドヤドヤとやってきた。
マスタードラゴンは事情を説明し、ミネアがそれを聞き捕捉をいれた。
異世界の存在――皆、それにそれぞれのリアクションを取っていたが。
デスピサロの件が火急である事を理由に、マスタードラゴンは半ば無理矢理彼らを雲に開いた穴へと導いた。

HP:110/125
MP:20/61
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

506 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 07:23:13 ID:wIvYkUDDO
4の人GJ!

507 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 08:00:54 ID:iNxqigVx0
先が気になる展開超GJ!
思えば長い旅とお話だよなあ。もう終盤だし。凄いわー。

なんかムカツク竜神様は別の作品のシンシア嬢にでも任せようw

508 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 08:27:37 ID:KiXm1TGd0
4の人キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!
まだ読んでないけどGJ!w

509 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 09:03:26 ID:3M+6Mtg+0
まあまあクオリティ高いな
他が低すぎるんだろうけど

510 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 14:33:49 ID:dzKzdc7WO
乙乙乙乙乙乙乙乙!!!
これからどうなるか超期待してます。

511 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 20:24:33 ID:TahhMU0H0
4の人乙です。
コンスタントにいい仕事するなあ。尊敬してます。

512 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:09:01 ID:UL8YpUfn0
目が覚めるとそこは海の中だった。
がぼごぼがぼぼぼぼぼあれ?息できる?
おー…なんだろうこの不思議空間…。
もう大抵の事じゃ驚かないと思ってたけど、これはまた…驚いたなあ…。
と、言いつつさほどでも無さそうなのはやっぱり慣れちゃったんじゃないだろうか。悲しいことだが…人は慣れるものだよ…。

しかし、困ったな。
マーニャ達に何も言わずに出てきてしまった。あの女は…碌な挨拶もなしにいいいいって怒り狂ってる気がする…。
なんとも不義理なマネをしてしまった。どうしたものかな。
それに…。
ソフィアは…どうしてる、かな。

いずれにしても、ここでボーっとしている訳にもいかない。
兎に角、歩くか。歩いていれば…恐らく元の世界に戻れるのだろう。
海…水の中を歩くというのも斬新な経験のように思う。
そうでもないかな?ダイバーの人とかなら結構歩いているのか。
尤も、俺にそんなイケメンな趣味は無いが。

暫く歩くと、前方にうっすらと影のようなものが見えてきた。
なんだろう…目をこらしてじっくりと見てみる…ってなんか近づいてきた!
音が聞こえていたかどうかは覚えていない。
だが、恐るべき速度で恐るべき質量が迫り、俺を弾き飛ばしたのは解る。
水中をぐるぐると回転しながら上昇するが、制動もかけられず勢いが弱まるのを待つしかない。
やっととまったときには既に吐いていた。

き、きもちわるい…なんだ、一体。
かなり吹き飛ばされたのに水面が見えないのは不気味だが、それ以上に真下でぐるぐると蠢いている巨大な影のが数倍不気味だ。
なんだあれ…ってまたくる!?

ばちぃっと吹き飛ばされ最早俺の三半規管はぐだぐだになってしまった。
目が回る…奴はそれが狙いだったのか。
動きが完全に止まった俺めがけてその巨大な顎を広げ、一直線に迫り来る!

513 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:10:45 ID:UL8YpUfn0
もう駄目なのか、と。
そうやって死を認識する事すらできなかった。そもそも、死、というものはそういうものなのかもしれないが。
ようやく思考が回り始めたときには、もう決着がついていた。
視界が霞んでいたがうっすらと覚えている。
俺の前に、情けないことに見慣れてしまった小さな背中が、割り込んできたのを。

海底(なんだろうか?)を揺らし巨大な影が血煙を挙げながら崩れる。
暫く残心のまま、やがて小さく息を吐きこちらを振り返るのは――。

「ソフィア!どうして…」

「飛び込んだから」

そう。
あの瞬間、扉を押し開き飛び込んできた影は、そのまま青い渦に飛び込んでいたのだ。

「だって、デスピサロは…もう時間だって…」

「五月蝿い」

ぴしゃりと言葉を遮られ、俺はどきりとした。
怒っている…?
いや、それは…そうだろう。基本的に鈍い俺でもそれくらいは…解る。

「ごめん。色々はっきりしてから…話そうと思ってたんだけど、いきなりで…」

「……いこう」

少女はそっぽを向いたまま歩き出す。
此処に留まっていてもしょうがない。
最初から方角も何も解らないのだから、目的地を定める必要も無い。
俺たちは当ても無く、不思議空間を彷徨い始めた…。

514 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:11:20 ID:UL8YpUfn0
海に生えていた階段を登ると、洞窟へとたどり着いた。
洞窟を抜けると、今度は山の中。山の中を抜けると今度は塔。
明らかに…繋がりがおかしい。
一瞬、目を離すとソフィアの姿が見えなくなって、慌てて手を前に伸ばすと柔らかい肩を掴む感触。
数歩足を前に出すと、そこには不機嫌そうな顔をしたソフィアがいたりして。
試しに右手を横に突き出してみる。
俺の右腕の先が消失する。そして、その消失した腕から先は、天井から生えているといった具合に。
要するに、この空間は酷く歪んでいるのだ。
そのくせ魔物はうじゃうじゃとしている。
それもかなり強力な、だ。今迄で会ってきた魔物たちよりも…強い。
常にほぼ全力を出さなければならず、俺たちの疲労はかなりのスピードで上がって行った。
もっとも、その分大きな経験も得られているのだろうが。
修練の場としてはもってこいなのかもしれない。

傷ついたソフィアに完全治癒(ベホマ)をかける。
少女は憮然としながらも、俺の呪文を受けてくれた。良かった。これで駄々こねられたらどうしようかと思った。
いや、駄々をこねるというのとも違うか…俺が悪いんだからな。

考えてみると、こうやって二人だけで歩くのは…久しぶりかもしれない。
あの頃は…俺は、今以上に何もできなくて、この少女の後ろに隠れてばかりいて。
少女が傷ついても、何もできなくて…苦い、思い出。

ソフィアもまた思い出していた。
右も左も解らなかった。だけど――独りではなかった、旅。
それは短い期間だったけれど…あの頼りなくて、格好悪かった男が、今は自分の背を守り、傷を癒してくれる。
不思議な感覚…どこか、何かが暖かい。それは、傷を癒してくれる光のせいだけではなく。

515 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:12:00 ID:UL8YpUfn0
「おや?人とは珍しい」

突然上から声が降ってきて少々物思いに耽っていた俺たちはビックリする。
慌てて剣を構えると、傍の階段から降りてきたのは人の良さそうな農夫…だった。
いや、農夫なんだからしょうがない。暢気そうに…できる場所ではないとは思うんだが。

「貴方は?」

「ワシは見ての通りの農夫じゃよ。それより、こちらにおいでなさい。お疲れのようだ、ゆっくり休むが良いじゃろう」

そう言って、登ってきた階段を戻っていく農夫。
俺たちは狐につままれた面持ちでその後ろをついていった…。


そこにはかなりの数の人間が生活しているようだった。
教会が中心にあり、その脇にはいくつかの家と、畑のようなものもある。
農夫に導かれ(微妙な導かれかただ)教会の奥に入ると、そこには神父と王冠を被った人物がいた。

「ほう、新たに迷い込んでいた者らか。此処は安全じゃ。安心するが良い」

「あのう…貴方は一体…」

「わしか?わしはサントハイムという国の王じゃよ」

へー。サントハイムの。

「もっとも、こんなところで王だなどと名乗っても失笑ものじゃがな。
だが兵たちの手前、体裁は整えねばならぬのよ。お主たちは他所から来たようじゃから言ってしまうがの」

516 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:12:39 ID:UL8YpUfn0
わっはっはと笑う王様。
王様って人種にも今迄色々あってきたけどさ。
まさか此処でサントハイムの王様に会うとはね。
わっはっはー。

「こんなとこで何油売ってるんっすか!?アリーナが物凄い心配して探し回ってるってのに!!!」

思わず詰め寄る俺。
アリーナと聞いた王の顔は一変した。
詳しい話を求められた俺は、なるべく簡潔に事の経緯を果たした。

「そうか…そのような事に…。
だがわしらとて此処で遊んでいた訳ではないのだ。外を出れば強力な魔物が根を張っている。
それでもこの建物の周りには何故か魔物は現れないので此処を拠点にしてな。
多大な犠牲を経て外へ出てもみたが、得られたのは奥にいる奇妙な男たちが言い争っている風景だけ。
なんとも情けない話だがな…」

本当に悔しそうにそう言われると、俺たちとしては何も言えない。
その奇妙な男たち…とりあえず、彼らに会ってみるべきだろうか。
ゆっくりと休養を取ってから、俺たちは出発する事にした。


ノックをすると、小さな応えが返ってきた。
ソフィアは、こちらに背を向けてベッドに寝転がっている。
俺は手近な椅子を持って傍により、なるべく音を立てないよう腰掛けた。

「……」

ううむ…気まずい。
だが、黙っている訳にもいかない。

517 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:14:50 ID:UL8YpUfn0
「ごめん。本当は…もっと早く言うべきだった。
だけど、俺の世界に戻れるのか…確証がもてなくて。
戻れないなら、いずれにしてもこちらで生きていかなければならないのだから、わざわざ言う事も無いと思った」

「……それで、戻るの?」

「……」

「戻りたいの?」

「……解らない」

解らない。
戻りたいのか、と言われたら…そう答えるしかない。
俺はこの世界に長く居過ぎた。そして、この世界で沢山のものを得すぎた。
今更…元の世界へ戻ったとしても、何があるのか…無くすモノの方が多過ぎる。
きっと…戻りたくないのだ。
だが、それを認められない。
だからこそ、中途半端な事をし続けて――結果的にこうなった。
マスタードラゴンが何をしたかったのかは…よく、解らない。
どうも俺にとって味方…では、無いようではあったが。

「私は戻る。皆の力になりたいから」

煮え切らない俺に向かって、ソフィアははっきりとそう言った。

「それに…ピサロも…」

「…?ピサロも…?」

518 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:15:53 ID:UL8YpUfn0
「長く眠っている間、夢を見たの。
長い夢…ピサロと、ロザリーの夢。
私は…ピサロも救いたい」

「それは…無理だ。
ロザリーは死んでしまった。それに、もう時間も無い…ソロ達は既にデスピサロ討伐に向かっている筈だ」

「こんな所で油を売る羽目になったのは誰の所為だと思っているのかしら?」

グサリ。
きょ、今日のソフィアさんは…なんか怖いよう…うぐぅ。

「お、俺も協力するよ」

いや、別にビビッてそう言った訳じゃないが。

「……貴方は貴方の世界に戻るんじゃないの?
この空間は捻じ曲がっているようだし、あながち戻れないとも言い切れないわ」

「……………………」

考える。考え抜く。
なんとなく、戻らなければならない気がするから。
戻るものだと思うから。
そういう…曖昧な気持ちを抜いて、考え尽くす。
そうして――決めた。

「良いんだ」

この決断は…もしかしたら間違っているのかもしれないな、と思う。
間違っていたら、なんらかの形で俺は何かを失ってしまうのかもしれない。
だけど。

519 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:16:40 ID:UL8YpUfn0
「長く眠っている間、夢を見たの。
長い夢…ピサロと、ロザリーの夢。
私は…ピサロも救いたい」

「それは…無理だ。
ロザリーは死んでしまった。それに、もう時間も無い…ソロ達は既にデスピサロ討伐に向かっている筈だ」

「こんな所で油を売る羽目になったのは誰の所為だと思っているのかしら?」

グサリ。
きょ、今日のソフィアさんは…なんか怖いよう…うぐぅ。

「お、俺も協力するよ」

いや、別にビビッてそう言った訳じゃないが。

「……貴方は貴方の世界に戻るんじゃないの?
この空間は捻じ曲がっているようだし、あながち戻れないとも言い切れないわ」

「……………………」

考える。考え抜く。
なんとなく、戻らなければならない気がするから。
戻るものだと思うから。
そういう…曖昧な気持ちを抜いて、考え尽くす。
そうして――決めた。

「良いんだ」

この決断は…もしかしたら間違っているのかもしれないな、と思う。
間違っていたら、なんらかの形で俺は何かを失ってしまうのかもしれない。
だけど。

520 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:17:23 ID:UL8YpUfn0

「俺は、もう戻らない。俺は、さ。ソフィア。俺は…さ…その…ソフィアのことが…」

「私は貴方が好き」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
先に言われたあああああああああああ!!酷い…男に格好つけさせろ!!!」

「いつ言ってくれるのかと思ってたけど…。
待たせた罰。格好なんてつけさせない。貴方は格好悪いままでいなさい」

「そんな、ひどい…」

よよよと泣き崩れる俺を見て、ソフィアはうふふと笑う。
その笑顔が可愛いから、彼女の意地悪も容認してしまいそうになる。

「貴方はアリーナが好きなんだと思ってたけど」

「アリーナは可愛いよね」

「……」

「しまった、つい本音が……」

「……………………………」

「嘘です。ごめんなさい冗談です」

「バカ」

521 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:18:32 ID:UL8YpUfn0
拗ねる姿も可愛いよなあ!そう思うだろ!
けどなあ、もうちょっと色気があっても良いような気もするんだけどなーこういうシチュエーションは。
いっそ、このまま押し倒s…押し倒せればもしかしたらそういう事もあるのかもしれないけど。
なんだろう。なんだろうな!嬉しいのかな!!
ういー俺みたいなキモメンがこんな可愛い彼女を…いや、可愛いだろ?頭はもこもこしてるけど。
あんまり羨ましがる気配を感じないのは気のせいだろうか…?

「じゃあ、とりあえず一緒に寝ようか」

「バカ」

追い出されました。
はあ…まあ、良いか。焦る事もあるまいよ。
あの世界で生きると決めた。
結局の所…元の世界に戻らなければならないとは思っていたが、戻りたいとは…思っていなかったのだ、俺は。
だって、こっちの世界にはソフィアが居る。
向こうには誰が居る?勿論、親兄弟もいた…ような気がするけれど、少なくとも…ソフィアは居ない。
許されるのか。それだけが俺には解らなかった。…そして、怖かった。
何を恐れていたんだろう。きっと、誰かに、何かに…怒られるような気がしてた。
そんなことは、ありはしないのに。
俺の人生は俺が決めなければならない。それは――何処で生きるかをも、定めることができるのだ。
責任は大きい。だが、ただ――それだけだ。大きな責任があるだけで、その選択自体は責められるものなどでは…無いのだ。
ソフィアと――添い遂げられれば良いが、いかんせん俺の器ではそれは難しいのかな…。
だけど、努力はしたいと思います。ええ。


今の俺なら何にでも勝てる気がする。
そう思っていた時期が俺にもありました。

522 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:19:03 ID:UL8YpUfn0
「だから鳥より卵の方が偉いんだって!」

「そんな訳あるか!卵より鳥の方が偉いに決まってる!」

眼前で繰り広げられる恐ろしい規模の喧嘩に半ばちびってる俺。
ドラゴン○ール並に岩石が飛び交ったかと思えば、小さいのが物凄い勢いで炎を吐く。
なんだあれは。人間じゃないのか。
しかも喧嘩の中身が恐ろしく…内容が無いように見えるが彼らにとっては大事な事なのだろうか。
ソフィアもとてもじゃないが間に入れないと震えている。
あのソフィアが震えるんだぞ!これがどういう事か解るだろうか。
彼女が武者震いをする相手である、というのがどれほどの事か、正確に解るのはラブラブな俺だけだろう。フフン?
調子こいた俺に次元を超えた罵声が聞こえる(ような気がする)
ハハハ!文句があるなら俺を倒してみろよ!

めりぃっ!!

流れ岩に潰される俺。
…すんませんでした。
なんとかかんとかソフィアに救われたので、改めて考える。
どうしたものか。何とか話をしなければ進まない。その為には喧嘩を止めなければ。
彼らは鳥と卵どちらが偉いかで議論しているらしい。
鳥と卵。どちらが偉いのだろうか。
鳥がいなければ卵は産まれない。だが、卵がなければ鳥は産まれない。
あれ?しかし考えても見ろ。
卵から産まれるのは鳥じゃなくてひよこ(雛)じゃないのか?
卵は鳥から産まれて、ひよこは卵から産まれて、鳥はひよこが成長する。

「つまり本当に欠かせないのはひよこなんだよ!!!」

「な、なんだってー!!」

523 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:19:43 ID:UL8YpUfn0
鳥男と卵男がハモる。
ソフィアはきょとーんとしている。まあそのリアクションが普通なんだろう。

「三つ巴となると決着をつけるというのも難しいなチキーラ」

「実に。ここは一旦休戦としようかエッグラ」

「そうしようそうしよう」

がしっと硬く握手する俺たち。
ノリだけで生きてる俺だけど良い事もあるんだな。
なんだかその後は妙に仲良くなってしまい賑やかに過ごした。
時折思い出したかのようにまた喧嘩を始めようとするのには参ったが。

「そうかそうか。お前らはお前らの世界に戻りたいのか」

「ならその火口に飛び込んだらいいぞ」

痺れを切らしたソフィアが訊ねると、彼等はあっさりとそう答えた。
火口に飛び込むというのも恐ろしい話だが…この歪んだ世界ならばそれもありうるだろう。
何より俺は彼らを信じている。いや、話してみるといいヤツらなのだ。

「ついでにサービスだ。世界樹にいってみろ。鳥に感謝しろよ」

「むがー!じゃあ俺はこの卵をやる!卵に感謝しろよ」

「ちっ。ならば俺はこの剣だ!なんといっても魔界製だぞ!」

「人間に魔界製の武器が使えるものか!賢い俺は魔界の兜を」

524 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:20:18 ID:UL8YpUfn0

な?いいヤツラだろ?
なんだかお土産までもらって悪いなあ。

「…もうっ!」

俺があんまり彼らと仲良くしているもんだからソフィアは膨れて先に火口に飛び込んでしまう。
慌ててその後を追…おうとした。だが、その時後ろからかかった声に、俺の足は止まってしまう。

「お前。自分が誰だか解っているか?」

奇妙に…シンプルな問い。
突然何を言い出すのか、と笑いながら振り返った俺の前には、さきほどまで笑ったり、怒ったりしていた二人が、まるで能面のような無表情で立っている。

「…え?」

「自分の名前を言えるのか?」

俺の…名前?
バカな!何を言ってる。俺は…俺じゃないか。今まで、何度も何度も…仲間達に呼ばれてきた!

「何て、呼ばれてきたんだ――」

525 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:22:45 ID:UL8YpUfn0
――あ。
そう、か……俺……。

「一度も…名前で呼ばれた事、無い…君、とか…お前とか…貴方とか…」

「責めるな。皆、仕方が無いのだ。世界そのものに影響を受けている以上、無意識の内に不自然を感じなくなってしまっている。そう、決められている」

決められている…?
なんだそれは。一体、誰にだよ!?

「もう、解っているんだろ?」

――マスタードラゴン。

「そうだ。我らは、この世界は狭間だからな。こうして忠告もできる。
あの世界に戻るつもりなら止めておけ。先で待つのは名も無き生、個人の崩壊だ。
自覚は無いか?自分が、自分で無くなるような感覚に」

ごくりと喉が鳴る。
そうだ――ある。心当たりが…あって、しまう。

526 :???  ◆gYINaOL2aE :2006/08/21(月) 01:23:16 ID:UL8YpUfn0
「元々、お前はその男の意識として稼動し、そして離脱する予定だった。
だが…飽いたのだな、あの竜が。同じ遊戯を何度も続ければ、それも当然だと思うが」

「故に、今、お前は此処に居る。哀れな混じり物よ。我らはお前に同情している。
今なら――元の世界に我らが戻す事が可能だ。緩慢な死を迎える為にあのような暗い箱庭に戻る必要は無い」

彼らの話しは解る所もあれば、解らない所もあった。
なのに――その手には、強力な魔力が、あった。
眼の前に並べられた二つの手。
それはとても力強く、郷愁を感じるものだった。


HP:153/153
MP:12/84
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

527 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/21(月) 01:28:49 ID:TxwSzV5d0
4の人が大豊作だ…!!いっぱい読めて嬉しいぜ
上手い事まとめるなあ

528 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/21(月) 01:35:18 ID:4nCbvrfv0
マスタードラゴンは一体何を…????
4の人GJ


529 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/21(月) 07:58:02 ID:nmDuzmKg0
非常に乙。
ギャグでシリアスで楽しませて貰ってます。先が読めない。

男を見せられる場面が来ねえなあw

530 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/21(月) 09:39:45 ID:2eq47V9I0
ちょwwww4の人連日更新ktkrwww(*゚∀゚)=3 ハァハァハァハァハァ


>男を見せられる場面が来ねえなあw
いつか「Eパンツ」が装備から外れる日が
                 ハ_ハ  
               ('( ゚д゚∩ こないといいよ!
                ヽ  〈 
                 ヽヽ_)

531 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/21(月) 12:10:29 ID:i3Df2OUIO
まさか主人公の名前までが伏線とは思わなかった…。

とにかくGJ!!


532 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/21(月) 18:26:50 ID:EDWnfAvP0
どうにも結び付けようのないあの鳥と卵のダンジョンをそう使うか!
その発想はなかった。すごい。GJ!!

533 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/22(火) 09:04:49 ID:kKmbUP/p0
エグチキコワス

534 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/22(火) 17:09:15 ID:h85RXYJI0
4の人乙

535 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/22(火) 22:00:16 ID:UCY3PyCM0
4の人が2日に渡って投下するとは…ッ!

536 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/23(水) 00:22:09 ID:yup78yx/O
何かもう凄い!

537 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/23(水) 13:07:29 ID:KWZUlNiT0
雰囲気変えようとしてるんだな

538 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:16:27 ID:GqcbS9T+0
ぐったりとした導かれし者達を、暖かな光が照らす。
希望の祠――そう呼ばれた場所にしては、あまりにみすぼらしく、暗い。
だが…絶望の中に宿る小さな小さな希望…そういうものだと思えば、なるほどと思わないでも無かった。
デスピサロの居る場所に向かうには結界が張られており、彼等はその結界を張っていたデスピサロ直属の四天王を、今まさに撃破してきたところだった。

マーニャとミネアが、アリーナとクリフトが、ライアンとブライとトルネコが。
そして、ソロはたった独りでエビルプリーストと名乗った邪神官を打ち倒し、最後にこの祠に戻ってきた所だった。

「逃げられたがな…」

そう、呟いた後多くを語ろうとしないソロに、マーニャは苛立ったような声を上げる。
それをミネアが宥めるが、それが逆効果にすらなりそうだ。
ブライが火に油を注ぎ、こういう時に抑えに入るライアンとトルネコはくたびれたように深い息を吐く。

皆、ばらばらだった。
その理由が何かは、痛いほど解ってしまっていた。

「元々ねえ、あいつがむかつくのよ!あいつが…あれだけお世話になった私に一言も無くいなくなるなんて、許されるとおもってるの…!」

「なんじゃ。お主はさっきまでいなくなってせいせいしたと言っておったではないか?」

「な、なんですって!?」

「姉さん落ち着いて!」

止まない喧嘩にソロは小さく嘆息し、一晩休んでから出発しようと提案した。
誰もそれに反論しなかったが、特に賛成もしなかった。

539 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:17:02 ID:GqcbS9T+0


ソフィアが居ない。
そして…彼が、居ない。
たったそれだけで、ここまでバラバラになるなんて。
ソロは勇者だった。だが、違ったのだ。皆、ソフィアという勇者がいたから纏まっていた訳ではない。
妹との器の差にソロは独り苦笑を浮かべる。
それもまた止むを得まい。
このまま皆で突撃しても、いたずらに死者を増やすだけだろう。場合によってはお互いが足を引っ張ってしまうかもしれない。
ならば、やる事は決まっていた。
元々、この魔の世界に日が昇る事はないようだった。
いつ出発したとしても、この薄暗い山道を登る事になっただろう。そう思えば後悔するような事も無い。
デスピサロを殺す。
それは彼の悲願。
誰とも――妹以外とは決して共有できないであろう、暗い夢。
トルネコには妻子がある。
ライアンには誇りがあるが――誇りしか、無い。
クリフトとブライにもそれは言える。彼らには忠誠しかない。
ミネアとマーニャには亡き父に対する責任感が。だが、死者に縛られる事は無いのだ。父が産み出したものだからといって、娘が背負わなければならない道理は無い。
無いのだ。
彼らには――命を賭す理由が。
世界を救う。そんなものは勇者に任せてしまえば良い。
他の、多くの人間がそうしているのだから。彼ら、彼女らがそうして悪い道理が無い。

「じゃあ、私は?」

山道を登りきったところで待ち受けるのは、オレンジ色の髪を靡かせる貴き姫君だった。
何も無いなんて、絶対に言わせない。
その強い瞳がなにより雄弁に語りかける。

540 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:19:42 ID:GqcbS9T+0
私には――父を、城の皆の手がかりを探し出さなければならないという強い責任がある。

「何より、私がそうしたいという強い想いがある!ソロになんか負けない。今のソロになんか負けない!
ソロこそ!死んだ人達の為に復讐するなんて止めてもいいのよ、いつでも!だけど私はそれを否定しない。だから私は誰にも否定されない!!」

「……」

「ソロのバカ!そういう所が皆、解っているの!声を出さなくても、感じてるの!
最後には独りでいってしまう、誰も信じられない…誰かを信じられない人が、誰に信じてもらえるの!?
そんなの…そんな人を信じられる子なんて…本当の大バカしかいないわよ…」

顔を真っ赤にしてそう怒鳴り、ぐしっと鼻をすすって目を擦る。

「…怒ったり、泣いたり、忙しいヤツだな」

「あんたのせーでしょうが。女の子を泣かせたら、責任、取らなきゃならないのよ」

後ろから響くマーニャの声。
導かれし者達が、再び集う。

「王宮戦士の誇りは何者にも砕けませぬぞ」

「商人は、早く世界を平和にしないと物を満足に運べず困るのですよ。武器を売るのも儲かるのですが、本来そんなものは私の主義ではありませんので」

「アリーナ様の意志は私の意志でもあります」

「城の皆を救うのは、この老骨の最後の奉公じゃからな」

「今更私たちだけ仲間はずれってのもないでしょ」

「共に時間を過ごしてきたのですから、最早責任だけで此処に居る訳ではありません」

541 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:20:54 ID:GqcbS9T+0
酔狂な事だ、と。
ソロは優しく笑って言った。


「ぐはあああ……!
なにものだ…おまえたちは?わたしは…わたしはデスピサロ…まぞくの…おう…。
うぐおおおおおおおお!!!!!なにも…わたしにはなにも…おもいだせぬ……。
しかしなにをやるべきかはわかっている。
がああああ……!!おまえたち……にんげんどもを……ねだやしにてくれるわぁぁぁぁぁ!!!!」

姿は…あのエスタークに似ている。
進化の秘法を扱うものは、皆あの巨大な姿を目指すのか。

「これがあの美形の成れの果て、か。少なくとも進化の秘法が私好みじゃないってのははっきりしてるわよね」

つまらなそうに呟きながら、マーニャが両手に焔を迸らせる。
あのエスタークと同じくらいなら、問題ない。自分たちは一度倒している。
ともすれば油断となりそうではあるが、この時はそれがよく作用した。
巨大な両手に握られた巨大な剣。その剣を避けアリーナが跳躍すれば、その剣を身体全体で受け止め押し返すのがライアンだ。

「やぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!」

武人達の裂帛の気合が辺りをビリビリと奮わせる。
アリーナがデスピサロの右腕を蹴り千切り、ライアンが左腕を叩き斬る。
両腕を失った事でバランスが取れないのか、ぐらぐらとおぼつかない足取りでよろめくデスピサロの頭を、トルネコの破壊の鉄球がずたずたに砕き潰す!

「やっぱりこれはライアンさんが使うべきですよ」

自分の戦果に戸惑ったトルネコが、ライアンと武器を交換しようとしたり。
腕と頭を潰されて、あっさりと地面に倒れ付した魔王に、皆は歓声を上げる。

542 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:21:32 ID:GqcbS9T+0
「なーんだ、私が出るまでもなかったわね!」

「…いや、まだじゃ。伏せろ!!」

油断無くその慧眼を光らせていたブライがマーニャを引き摺り倒す。
何すんのよ――その言葉は身体の上を通過する激しい炎でかき消される。
何処から――?
その疑問は実物を見た上でもすぐには氷解しなかった。

腹が、開いている。
大きく縦横に裂けた腹から、ぶふっ、ごふっ、と不気味な音を立て、残り火が滾っていた。

「なんですか…あれ?…顔…?」

「それに、色も…なんなんだ!?」

腹に浮かび上がったのは口だけでない。
口の上にはなんの冗談か、少し小さめの口――瞳がぎろりと二つ開く。
それだけではなく、全体的に茶色ががっていた身体の色が緑色に――。

「あんたが――翠だなんて、許さない!」

キラーピアスを両の手につけたアリーナが怒りを露に踊りかかる。
私の親友の髪と同じ色――あの人の髪と同じ色――それが、この醜悪な化け物に汚されるのが許せない。

ズドォッ!ゴォッ!!!

デスピサロがあとずさる。
それすらも、姫君は許さない。

543 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:22:13 ID:GqcbS9T+0
「お前が!お前が!!お前がいなければ良かったんだ!
ソロも、ソフィアも…お前がいなければ幸せに暮らせたんだ!
どうして…どうしてあんたみたいのがいたのよ!!!」

既にまともな思考すらも失ったデスピサロに、サントハイムの人々の行方を聞くは叶わない。
だから、彼女はただ怒りをぶつけていた。
もう…これ以上は、嫌だった。
だから自分が怒り狂う。他人の怒りを見れば、人は逆に冷静になるものだから。

鈍い音を立てて弾き飛ばされる。
死角からの攻撃――どこから!?その疑問は離れてデスピサロを見ればすぐに解る。
腕を失くし頭を失くし、腹に顔が浮かび――今度はわき腹…もはやだった位置、と言わざるをえない…から、最初にあったものより三倍は太い腕が――!!

「いやぁぁぁぁぁ!!」

ミネアがあまりの事態に悲鳴を上げる。
それが恐怖を伝播する。
恐ろしい――恐ろしい、のだ。こんなものが存在するなんて。
アリーナが打ち込み、打ち込み、打ち込んで、気味の悪い体液を撒き散らせていたと思った次の瞬間には腕が生え、傷は癒えてしまっている。
終りなど、本当に来るのか――?
永遠に続く悪夢に、自分たちは迷い込んでしまったのではないか?
ミネアが怯え、クリフトの歯は合わさらない。トルネコの背負っていたトレードマークの正義のそろばんがかちゃかちゃと鳴いた。

「――まだだ」

天空の鎧。天空の盾。天空の兜。
そして天空の剣を正眼に構える勇者が、皆の前に立ち塞がる。
ソロには雄々しさが常にあった。だが、今はそれだけではどこか無いようで。
振り返らずに、片手を剣から離し、後方に向かって振る。

544 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:22:53 ID:GqcbS9T+0
――限りを極めた治癒。

ベホマズンの光が辺り一帯を照らし上げる。
その光が収まる頃には――炎に巻かれた仲間が、太い腕に弾き飛ばされたアリーナが、怪我一つ無い状態で立ち上がっていた。

「皆は死なない。行こう――」

ざっざっざっ。
振り返らずに、走る。その走りは孤独なものではない。
クリフトがスクルトを、ミネアがフバーハを、ブライがバイキルトを。
アリーナがソロの横に並ぶ。ライアンが、その後ろを守護するかのように追いかける。
精神を研ぎ澄ますマーニャや他の魔術師達を守るかのように、トルネコが横に身体を広げる。
皆が共にきてくれる――。
ソロを中心に、まとまって攻撃をしかけてくる導かれし者達に対し、デスピサロは――どこか笑ったような、気がした。

戦士たちの攻撃を受けたデスピサロの足が吹き飛ぶ。
しかしすぐに新たな足が生える。今度のそれは、先ほどのものより太く、強そうだ。

「諦めない――諦めてたまるか!いくわよ、ミネア!!」

「ええ、姉さん――真空――竜巻――いけぇぇ!!」

デスピサロの傍に数本の竜巻が発生し、巨体を切り刻む!
血だるまになり苦悶するヤツから、打ち合わせも無しに戦士たちが飛び離れた。
マーニャが皆に向かってウィンクをする。

「これで――おわりよ、全て!!極大、爆裂…イ・オ・ナ・ズゥゥゥゥン!!!」

545 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:24:27 ID:GqcbS9T+0
瞬間。
大気が震えた。
それはあの時によく似た雰囲気。
デスピサロの身体中心に全てが引き込まれ、収縮し――次の瞬間撒き散らされる爆裂の波動!!
響く轟音!!砕ける大地!!破れる身体!!!
稀代の天才魔術師マーニャの一つの完成形がそこには確かに存在する!!

爆煙が少しずつ晴れて行く。
終った――これで、決まったろう。
誰もがそう思った。
…勇者、以外は。

悪夢が醒めれば次の悪夢が始まる。
夢から醒めた現実の方がより酷い悪夢である事など、この世界には数限りなくある。

ああ…畏れよ。
畏怖であり、畏敬。これだけの負荷をかけられながら尚、立ちはだかるその――神の御姿に。

腹に生えた顔の上に、更に首が生え、顔がある。
一番初めよりも二倍に膨れ上がったその体躯。強くなる。進化する――戦えば戦う程に、進化する。それも、導かれし者たちを超えるスピードで。

ギャァァァァオオオオオオオ!!!

デスピサロが魂を砕く咆哮を上げる。
竦み上がる皆。浮かび上がる鏡光。

「いかん…マホカンタじゃ…もう、これで魔法は効かぬぞ…」

ブライが警鐘を鳴らす。
力と魔法。その二つが合わさったから、今まで乗り切れた。
今までにマホカンタを使うものがいなかった訳では無い。それでも打ち勝ててきたのは、肉弾戦での征圧が可能だったからだ。
だが…今回ばかりは相手が悪過ぎる。無限に進化するこの化け物が相手では。

546 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:26:35 ID:GqcbS9T+0
「大丈夫だ」

それでも。
尚、皆を鼓舞するその声。

「後、少しだ。これで終りにしよう。マーニャとミネアとブライは全力で魔法を。ライアンと今回はトルネコとクリフトも前に出てくれ。
アリーナは…俺についてこれるか?」

「ハッ!そんなの、当たり前でしょ!!」

「仲間を巻き込むのを恐れるな。俺が全て治す」

「ま、待つんじゃソロ殿!今の彼奴には反射鏡光(マホカンタ)が――」

「大丈夫だ。問題――無い」

勇者の持つ天空の剣が――煌く!!
白光が剣より迸り、デスピサロを貫いた!!

「さあ、行くぞ――今度こそ、終わりだ!!!天招、大雷檄(ギガデイン)!!!」

突き出された左腕より噴き出る雷を追いかけ、ソロが走り出す。
それに続きアリーナが。ライアンが、クリフトが、トルネコが駆ける。
ギガデインの雷は、紛う事無くデスピサロを打ち据えた。
ブライは目を見張る。何故――確かにそこにあった筈の反射鏡光が今は無い!
恐らくは、先ほどの剣の光――そこまでで、ブライは考えるのを止めた。今やるべき事は――。

デスピサロから不可視の波動が迸る。
全員を貫いたそれは傷はつけなかったものの、酷い脱力感をもたらした。
補助呪文の効果が打ち消される――だが、そんなもので止まりはしない!

547 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 01:27:33 ID:GqcbS9T+0
ソロとアリーナが高く高く跳躍する。
その後ろから姿を現した三人が、全力で各々が武器を叩きつけた!

バギクロスが、イオナズンが、デスピサロの肉体は再びずたずたに引き裂く中、今度は更なる力が加わった。

「発動してくれよ…ワシの乾いた魔力よ…絶対氷凍結(マヒャド)ォォォォォ!!!」

収縮し、爆裂した大気が今度は凝固する。
ビキビキと、乾いた音を立て足元から首元まで優しく冷たい氷が覆いつくす!!
デスピサロの細胞は既に破壊し尽され、ズタボロだった。
だが、それでも時間さえ経てば回復してしまうのだろう。

「決めるぞ!アリーナ!」

「決めるわよ!ソロ!!」

勇者と、もっとも勇者らしい少女。
その少女が先に、デスピサロの脳天へと、全体重を載せた踵を落とす!
めこっと気持ちの悪い、だが素晴らしい手応えを伝える音がする。
アリーナは確信した。頭蓋を潰した事を。

後は――。

見上げた先には雷光を招き天空の剣に纏わせる勇者の姿。
雄々しく――神々しいその姿に、アリーナは柄にも無く胸を高鳴らせる。
それはアリーナだけではない。
ライアンも、クリフトもトルネコも、マーニャもミネアもブライですらも、若者の、ライバルの、息子のような、孫のような存在の、頼もしき姿に震える。
勇者の最大最強の一撃。
これで終る。
それは確信だ。
今までのような希望めいたそれではない。確定した事象ですらあろう。

548 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 01:31:01 ID:cymZKQ7v0
支援

549 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 01:54:57 ID:zjhiRlbC0
早く続き読みたし

550 :デスピサロ  ◆gYINaOL2aE :2006/08/24(木) 02:03:03 ID:GqcbS9T+0
――だと、いうのに。

いつまでも勝利の凱歌が上がらない。
何故だろう?訝しげに目を擦り、よく、見る。

「何故だ…」

デスピサロの頭上で新たな対峙が起きていた。
起きるべくもない対峙。だから、それを見ても一瞬、それを信じられない。

「何故、止める!!ソフィアァァァァァァァ!!!!」

ソロの慟哭めいた悲鳴が、魔の世界に響き渡った。



HP:
MP:

戦闘:
通常:

551 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 05:58:57 ID:BcUMNMFP0
がんばってるなあ。

552 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 07:48:07 ID:QcTNExeR0
先が気になりすぎて朝からテンション下がらんぜ。
マジGJ。もう幾つ寝ればエンディング、だな。楽しみだ。

553 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 09:28:25 ID:+0s8eoY80
連日お疲れ様です。
勇者たちと彼が、どんな結末に向かうのか楽しみでならんよ。

554 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 10:15:42 ID:fnfnOxO10
俺、4の人の最終回を見たらあの子に告白するんだ…

555 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 13:03:28 ID:PVlElc4ZO
死亡フラグキタコレwwwwwww

556 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 18:47:52 ID:n8Dsw0eI0
カオスを超え ←今ここ
終末の日が
やってくる

557 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/25(金) 00:33:51 ID:sT8EqX/u0
もしかして今日も来るんじゃと期待してしまうじゃないか!!

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