■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 801- 最新50 [PR]ぜろちゃんねるプラス[PR]  

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/28(日) 12:25:12 ID:AaT+g6Z00
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言、オリジナル何でも歓迎です。

・スレの性質上、レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1142080254/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
tp://www.geocities.jp/if_dq/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」避難所
tp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi

330 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/20(木) 21:56:19 ID:Xe0lIA1h0
「あ……」

ところどころに黒く変色した血がこびりついたそれを手に取った瞬間、
シンシアの中で何かが壊れた。

「……あは。あはははは。あははははははははははははははははは
 はははははははははははははははははははははははははははは
 はははははははははははははははははははははははははははは
 はははははははははははははははははははははははは――――」

笑って笑って、血を吐くまで笑ったあと、シンシアは一点の曇りも無い笑顔で空を見上げた。

「ちょっとだけ待っててねユーリル」

かみさまなんて、大嫌いです。

「あいつらを全部殺してから、私も行くから」

いつか出会ったら、八つ裂きにして殺してやろうと思います。



HP:92
MP:105
装備:E鋼の剣 E絹のローブ E羽根帽子
呪文:【炎熱】メラミ・ベギラマ・イオラ 【回復】ベホイミ・キアリー
    【補助T】ラリホー・マヌーサ・マホトーン 【補助U】スクルト
    【その他】モシャス

下級呪文省略。



331 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/20(木) 21:59:18 ID:Xe0lIA1h0
ええと、とりあえず今回はここまでです。

332 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/20(木) 22:45:43 ID:82rVLyAT0
テラワロス
期待期待!

333 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/20(木) 23:17:44 ID:EguRZbYc0
なんか新しい切り口でヌゲー

334 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/20(木) 23:47:18 ID:Qvlh2jp40
実は最大級の能力を持った作者っぽいw

335 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 00:14:06 ID:JZEakpLY0
うんのよさMAXだなw

336 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 01:44:08 ID:j708wDiU0
ギャグとシリアスのギャップがよいね

337 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 08:58:52 ID:T2gk16E50
マスタードラゴン逃げてー!

すげえ面白いw 両者の暴走展開っぷりがすげえw
あと一つだけ言わせろ、主人公てめえ違うゲームに突入してないか?w

338 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 09:16:35 ID:77VvyOkO0
なにこのクオリティ!
主人公もすごいがシンシアがテラヤバスw

339 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 15:55:14 ID:mnZY9PAM0
なにこの低クオリティ!
すげえ糞作品テラバロスw

340 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 20:19:11 ID:VwXsBm+w0
ちょ、ま、え、すげええええええええ
クオリティたけええ!GJ!!

341 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 21:08:33 ID:Z32pj6PxO
いいからさっさと続きを書けよ、職人共。


べ、別に期待なんかしてないんだからね!勘違いしないでよ!?

342 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 21:51:23 ID:kbJNxZMA0
何気にシンシア、勇者より強いwwww
マスドラの運命如何にww

343 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/23(日) 14:05:05 ID:M4zv8gR2O
保守

344 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/23(日) 21:34:51 ID:u42RlItD0
>>341
マリベルさん乙カレー

345 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/25(火) 09:38:15 ID:QV3pm0epO
保守

346 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/25(火) 20:37:11 ID:6WsUziJn0
他の人の作品に対して本気で嫉妬するとは思わなかった。

347 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/26(水) 03:44:30 ID:+hsp47560
こんな長文誰が読むかよwwって思った。
でもやたら評判がいいので仕方なく読んでやった。


・・・面白いじゃないか!!
やってくれたな。特にドラクエ4は好きなんでストーリーにも入りやすい。

348 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/26(水) 13:12:05 ID:2zsG+RMz0
馴れ合い(笑

349 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/26(水) 13:53:15 ID:m4pAMLYcO
これはひどい

350 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/26(水) 14:18:48 ID:gnbt7N8E0
変なのが湧くのはしょうがない。夏だし

351 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/26(水) 21:08:02 ID:+WxSbYsS0
面白い続き期待GJばっかでろくな評価がない件について
これは評価じゃなくてただの馴れ合い ちゃんと良いところは指定していかないと作者も成長しないし
現状はだたのご機嫌取りにしか見えない

352 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/26(水) 21:10:36 ID:m4pAMLYcO
評価すると叩かれるし、スレも荒れるからな。仕方ないと言えば仕方ないのかもしれんが。

353 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/26(水) 23:08:59 ID:tafWjsJy0
避難所に評価スレを立てたので、そちらにドゾー

354 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/28(金) 21:43:53 ID:7kCBEprb0
ほしゅ

355 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:06:08 ID:O07joDWB0
前回>>330
投下開始します。

356 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:06:58 ID:O07joDWB0
03

「師匠、石鹸と洗剤、発注数に足りてません!!材料も足りそうに無いです!!」
「あー、原料の配合比を適当に減らして水増ししとけ!少しくらいならわかりゃせん!!」

「師匠、酒場のマスターがこの前のカクテルが大好評だったからまた造ってくれって……!!」
「んな暇あるか!!オヤジに材料とレシピ渡しといて自分で造れって言っとけ!!」

「師匠、お城から火縄銃と手投げ弾の追加注文が山ほど……!!」
「……城の連中アホか!?こちとら二人しかいないんだぞ!?……………………受けるけど」

「……師匠!!!!!」
「んだよ弟子一号!?さっきからうるせぇな!!」

「何で後先考えずに依頼という依頼、片っ端から受けちゃうんですかぁ!!!!!」
「短時間で借金全額返すにゃあ、血尿出るまで頑張るしか無いだろうが!!!!!」



……こんにちわ、ユーリル(仮)です。
今俺はバトランドという国の片隅で小さなお店を開いている。ちょっと殺気立ってるのはクソ忙しいからだ。
隣の小うるさいのは、元旅人さんで、今はこの店唯一の従業員兼俺の弟子一号だ。
男にしておくのが勿体無いほどの、線の細い美人さんで、俺の命の恩人でもある。
――あの時、崖から落ちて瀕死の重傷を負った俺を、
回復呪文とか言う怪しげパワーで助けてくれたのが、彼だった。
その後、お互いに行く当てが無い者同士だとわかると、色々話し合った結果すっかり意気投合しちゃって、
しばらく行動を共にすることになったのだ。


357 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:09:31 ID:O07joDWB0
いや、彼には本当にお世話になっている。
その当時の俺にさえ負けず劣らずなほど、世間知らずな面があったりもするのだが、
命の恩人というのはもちろん、俺に(あの!)呪文というものを教えてくれたり、
あの時俺を襲った、魔物という存在についても詳しく教えてくれた。
ちなみに親玉はデスピサロとか言うらしい。ん?何かどっかで聞いた名前だな?……まあいいや。
そのお返しとして、という訳ではないが、俺の世界の技術を少々教えてやったところ、
滅茶苦茶感動して、なんと行動を共にしている間、弟子入りを志願してきたのだ。
これには流石の俺もちょっと面食らったが、師弟という言葉が持つロマンに負けて、
速攻で了承してしまった。

弟子一号は、人探しの目的で旅をしているらしい。
だがやはりこのような世界でも先立つものというのは重要らしく、文無しでは旅をすることも無理がある。
特にこのバトランドという国は、四方を険しい山と海とに囲まれて、移動手段が非常に限られており、
国外に出るには金かコネかのどちらかが必要になるらしく、途方に暮れていたそうだ。
という訳で俺としても他に当てもないし、よその国にも興味があるので、金を稼ぐ為に
城下町で借金して店を買い、後にこの世界の歴史に(いろんな意味で)名が残るほどの伝説の店――
即ち『ユーリルのアトリエ 〜バトランドの錬金術師〜』が誕生したのであった。

それから俺は手っ取り早く名前を売る為に、そして三度の飯よりも好きだった、
科学や化学のエクスタシーに触れる機会が無かったというストレスもあり、
自分の世界のステキ技術をハイパーにフル活用してみたりしたのだが、いや、やはりというか、
何かあっという間に評判が広まり、王宮からまで宮廷付きにならないかとスカウトが来た。
まぁ、弟子一号は人探しの旅という目的があるし、俺も援助はされども活動に制限のかかる宮仕えなど
グレートごめんなさいなので、きっぱりと断った。


358 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:10:22 ID:O07joDWB0
予想以上に燃料や火薬の原料になるものなどが手に入ったので、つい調子に乗ってこの世界の
文明レベルからすると結構シャレにならないモノも世に出したりしていたので、
ちょっと面倒なことになるかなと思ったのだが、この国の王様は誠実で公明正大と民衆からも
もっぱらの評判らしく、こちらが拍子抜けするほどあっさりと引いてくれた。
まぁ、俺たちにとっては都合がいいのでよしとしておこう。
そんなこんなで、店は繁盛し、あらかた必要な情報も集まり、店を買ったときの借金も
そろそろ返済できそうになったその日の夜、それは起こった。
まぁ、起こったと言うか、単に周りを大勢の兵士で徐々に囲まれつつあるだけなのだが。
アレか。国もやけにあっさり引いてくれると思ったら、流石にそこまで甘くはないか。
鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス。……ジャイアニズムならぬノブナギズムとでも言うのかね?
まぁ、王様の判断なのか家来の独断なのかは知らないが、どちらにしても今の状況は想定の範囲内だし、
やる事も変わりはしない。何も問題は無い。

「ど、どどど、どうしましょう、師匠!?僕たち何もしてないのに……何でこんな……?」

弟子一号なんかは未だに状況を把握しきれずにおろおろしている。コイツはいい奴なんだがちと人が良過ぎるな。
いつか性質の悪い人間に騙されるのではないかと、師匠としてちょっと心配になってくる。

「うろたえるな弟子一号、策はある。緊急マニュアル34号を開きたまえ」
「は、はい!」

帯出、転写厳禁なその書類に目を通し、そして次第に顔色が蒼白を通り越して土気色になっていく弟子一号。

「…………………………………………あの、師匠、これ…………マジで、やるんですか?」
「うむ、マジだ。凡俗どもに我が英知の偉大さを思い知らせてやろうぞ。……それではポチっとな」


359 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:11:19 ID:O07joDWB0
俺がお決まりのかけ声と共に、巧妙に壁に隠されたスイッチを入れると、
地下へと続く階段が、低く響く音と共に床に現れる。
地下に降りた先には、一台の馬のない馬車がごっついカタパルトと共に用意してある。
その他にはまぁ、この国や弟子一号にさえ秘密な研究や作品などがちらほらと。
そんな作品の中のひとつ、『魔法の粘土』にちょこちょこっと細工をして、
ここの扉の開閉に(化学)反応するようにしておく。

「最近どうも収入と支出が全然合わないと思ってたら、こんな物造ってたんですか……」
「備えあれば憂いなし、だ。それより必要な荷物はもう積んであるから、とっととズラかるぞ!」

未だにおろおろと覚悟の決まらない弟子一号を馬車の幌の中にぶちこみ、俺も乗り込む。

「この先に馬が用意してある。そこまではちと荒っぽく行くから、しっかり手すりにつかまってろ!行くぞ!!」

後方にあるレバーを引くと、がこん、という音と共に一瞬の浮遊感。そして爆音。
そして俺たちは風になった。



巧妙に周囲の茂みにカモフラージュされた岩戸を突風の如き勢いで馬車が跳ね飛ばそうとすると、
岩戸に張り巡らされた、弾性のやたら強いロープが緩衝材となって馬車を押し留めた。
計算どおりで一安心だが、休んでいる暇はない。



360 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:12:56 ID:O07joDWB0
俺は目を回している弟子一号の顔に、空気に触れると頭がすっきりする香りを発する液体を浸したハンカチをかぶせると、
岩戸のすぐ傍の小屋へ向かって走った。そして馬小屋の管理をしている爺さんへの挨拶もそこそこに、
小屋から四頭の馬を引っ張って馬車へと戻ると、何か弟子一号が壮絶な顔つきでのた打ち回っていた。

「おい、遊んでいる暇は無ぇぞ!早くしないと――」

その時だった。
大地をも揺るがす振動と共に、轟音が響き渡る。
確認するまでも無いが、音の出所を見遣ると、やはり城下町だった。
まずいな。あれでトンズラこいたことがバレた。さっさと移動しないと、街道を封鎖でもされると厄介だ。
俺は馬を片っ端から馬車に繋ぎ――恐るべきことに気がついた。
即ち――俺は、馬車など操縦できん!ということである。

「おい、弟子一号……」
「……………………はひ……………………」
「何やら近年稀に見る最高に笑える顔をしているが、残念ながら今は宴会芸など披露している場合ではないぞ」
「……我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢……」

何やらぶつぶつ言っているが、気にしている暇は無い。

「時に弟子一号、お前は馬車を操れるか?」
「……いいえ、やった事ないです」
「そうか、俺もだ」

一陣の風。そして静寂。


361 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:13:49 ID:O07joDWB0
「ど、どどど、どうするんですかそんな今更ぁ!!」
「まぁ落ち着け。基本は乗馬とそんなに変わらないんじゃないか?乗馬くらいなら経験あるだろ?」
「ないです」
「そうか、俺もだ」

一陣の風。以下略。

「手前ぇ、それでも旅人かぁ!!」
「――うるさいわ!!人間歴5ヶ月をなめんな!!」
「何をいきなり訳のわからん言い訳を……ええい、いいから行け弟子一号!!大丈夫だお前ならきっと出来る!!」
「あんたが行けよ!よく町外れで変なゴーレムみたいな乗り物作って遊んでたでしょうが!!」
「ば、ばっ、違、お前、アレはただの1/2スケールの旧ザ…………じゃなくて、
 俺はあれだ!乗り物の操縦は苦手なんだよ!」

一応本当だ。車の免許の取得にえらい苦労したし。
事故を起こさず警察にさえ捕まらなけりゃあ、別に何やったって構わないと思っていたのだが、実際は違うらしい。

「あーもー、どうして肝心なところでいつもいつも抜けてるんですか、師匠は!!」
「何を!?泣き言と文句しか言わないヘタレにそんな事言われる筋合いは無いぞ!!」
「言ったね!?言いましたね!?」
「言ったさ!言ったともさ!!」
「ギャース!!」
「ギャースギャース!!」
「――――!!!!!」
「――――!!!!!」

結局。
見かねた馬番の爺さんが、俺たちにレクチャーしてくれました。


362 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:14:45 ID:O07joDWB0
彼を拉致って操縦させようかとも考えたが、吹けば飛びそうな枯れ果てた爺さんだったので、やめておいた。
大丈夫、基礎さえ知っておけば後は何とでもなる。
何故なら、誰かと競う性質のものでもない限り、大抵の技術に対しての、俺の基本姿勢は『考えるな、感じろ』だからだ。
天才的な科学者ってのは99パーセントが閃きで出来ています。本当にありがとうございました。
という訳で、一時間ほどで基礎中の基礎だけを叩き込んだ俺たちは、爺さんの制止も無視して全速力で馬車をぶっ飛ばした。
途中17回ほど木に激突したり転倒したり、薬草マキシカスタムVer3.2通称レッドドラゴンを馬の口に突っ込んだりしながら、
街道に辿り着いた頃には、すっかりコツを掴んでしまいました。流石だな俺達。



そして半刻後――

「!ちぃ、もう見つかったのか、しつこい連中だ……!」
「ど、どどど、どうするんです、師匠!?何かもの凄まじい大軍で追っかけてきてますけど!!」

ボウガンに矢を装填しながら、街道を爆走する馬車の幌から後方をみやる。
土煙と地響きを上げながらこの距離からでもわかるくらいに殺気立って追いかけてきやがる。
アトリエで一杯喰わされたのがよほどムカついたと見えるな。何せ爆煙がここからでも見えたくらいだ。
それはともかく、俺も弟子一号も馬車の操者は超がつく初心者。
増して操縦を覚えるのに一時間も使ったのはマジで痛かった。
このままではいずれ追いつかれてしまいそうなので、俺は矢尻に安全ピンを抜いた手投げ弾をくくり付け、
連中に向かってボウガンを構えた。

「灰は灰に、塵は塵に。……ってな」

特に意味は無いが片手撃ち。煙草があれば完璧だったな。
無造作に見えて馬車の反動もしっかり計算に入れた必中の矢は、瞬く間に後方の土煙の中心に消え、
一瞬の後に、耳をつんざく轟音と共に土煙を二周りほど大きくした。


363 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:15:39 ID:O07joDWB0
むしろ天に舞い上がった。連中の一部も天に舞った。
ああ、紙巻きの煙草が吸いたい。そしてシニカルに笑いたい。
酒はともかく煙草が不味いんだよこの世界。吸い過ぎると頭がくるくるぱーになるし。つーか違法だし。
……と。
再び鳴りはじめる地響きに俺は顔をしかめる。それも勢いが減るどころかむしろ増している。
連中予想以上に立ち直りが早いな、もう追ってきたか。
さすが異世界、葉っぱ喰って傷が塞がるだけはある。(最初見たときは心底ビビったぜ)
手榴弾くらい何ともないぜ!ってか。どころかあの立ち直りの速さじゃ、アトリエでも怪我人すら出たか怪しいもんだ。
――ごめん、自分で言ってて何だが、笑えねぇ。
……っと!

「見えた、洞窟だ!!あそこで何とかうるさい国家の犬どもを切り離すぞ!!」
「あああああ……もう完璧に悪者だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

御者席で手綱を握る弟子一号がいきなり絶叫を上げる。何か嫌なことでもあったのだろうか。
まぁ、今は気にしている余裕はない。後で相談にでも乗ってやろう。
とにかく洞窟を突破し、あの場所にさえ辿り着ければ、後はどうとでもなる。今、こんな所で捕まってたまるか!




364 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:16:44 ID:O07joDWB0
バトランドと巨大な河川で分断されたイムルとを繋ぐ、
シンプルな一本道だが、馬車が余裕で通れるほどの巨大な地下洞窟。
川向こうに用事があるときや、アレを製作するときに何度か通ったこともある。
その為、大体の力学的な構造は把握してあるし、万一のときの為の仕込みも万端だ。
さらばだ洞窟君。君には世話になったが、君の国がいけなかったのだよ。

「ポチっとな」

洞窟を抜けた俺は、イムル側の洞窟の外壁に、巧妙に隠された魔法のスイッチを押し込む。
すると、洞窟の何ヶ所かに仕掛けられた魔法の粘土が次々と(化学)反応して――



―――――――――――――――――!!!!!



その日、大洞窟はバトランドから消滅した。





それから。
追っ手さえ振り切ってしまえば、後はすんなり事は運んだ。
この世界にはキメラの翼というある意味反則チックなブツもあるから完全に油断は出来なかったが、
無事にバトランド名物(?)、湖の塔まで辿り着き、屋上付近に隠してあったエアプレーンを起動することが出来た。



365 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:18:22 ID:O07joDWB0
それまでは落ちるだの死ぬだのむしろ死ねだのと、ぎゃあぎゃあ騒いでいた弟子一号も、
いったん機体の姿勢が安定すれば、今までの険悪な顔つきは吹き飛んで、
ぽかんと阿呆みたいに遥か下の、村っぽい集落を眺めている。とりあえずは一件落着か。
アトリエに置いていった物は少なくないが、本当にヤバイ物はあらかた消し飛んでいるだろうし。
どの道正規の手段でこの国を出るつもりは無かったから、これも予定調和といえば予定調和の内なんだが……。
……何かドタバタしてるよなぁ。何でこうも俺の周りでばかりトラブルが起こるのだか。
まぁ、何が無くとも、この身に宿る英知さえあれば全て事足りるのだがな。
気の向くまま、適当に操縦桿を切りながら、そんなことを考える。
何か飛んでから気付いたけど、うっかりエアプレーンに燃料入れ忘れてて、もうほとんど残ってないしさ。
がくんと安定を崩して高度を下げる機体と、ぐんぐん近付く小さな塔っぽい建物。

「……お約束だなぁ」

塔の窓に突っ込みながら、最後にそんなことを思った。
暗転。



ユーリル 錬金術師?
HP:1/39
MP:105/178
装備:Eコルトパイソン E絹のローブ クロスボウ
呪文:【回復】ベホイミ・キアリー
特技:集中 閃き 必中

弟子一号 ユーリルの弟子
HP:1/52
MP:1/41
装備:E毒蛾のナイフ E絹のローブ 毒針
呪文:【回復】ベホマ・キアリー・キアリク 【補助U】スクルト

366 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:18:56 ID:O07joDWB0
#02

バトランド城門前 御触書



WANTED

錬金術師ユーリル
賞金 60,000G
罪状 国家反逆罪
詳細 錬金術による超高度な技術を持つ。狡猾で凶暴。要注意。
    魔族の王や伝説の地獄の帝王の化身という噂もある。

弟子一号(恐らく仮名)
賞金 30,000G
罪状 国家反逆罪
詳細 錬金術師ユーリルの弟子。ユーリルと行動を共にしているものと思われる。
    温厚な性格と優れた美貌。正体は魔物という確かな筋からの情報もある。



367 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:19:44 ID:O07joDWB0
#03

『デスピサロ様……ただ今バトランド方面より緊急に連絡が入りました』
「……申せ」
『はっ!実は…………』
「……何?……それは確かか?」
『は……はっ、左様でございます!』
「――確かに、聞いた。下がれ」
『はっ、そ、それでは失礼します!』



「……大洞窟を一撃で埋没させる程の爆発に空を自由に行く飛行機械……。人間がそのような力を……?
 ……イムルの宿の事といい、流石にこれ以上捨て置く訳にもゆかぬな。
 バトランドは列強ゆえ、今は絡め手で攻め、精鋭を回すのは避けたかったのだが……。
 ……おのれ、何処の誰かはわからぬが、私の邪魔はさせぬぞ……。」




368 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:21:26 ID:O07joDWB0
#04

とある旅人の手記 その1



○月△日
人間の体にも大分慣れてきた。
情報収集と仕事探しの為、バトランドへ向かう途中、崖下で瀕死の男の人を救助した。

――思えばこれが運の尽きだった。


○月○日
男の人はユーリルさんというそうだ。
ライアンさんとはまるで性格が違うけど、とても頭の良い人で、
不思議な知識や技術をたくさん知っている。
僕はいつかライアンさんと再会したときに少しでもライアンさんの力になるために、
ユーリルさんに弟子入りすることにした。ユーリルさんも快く了承してくれた。
よかった。ライアンさんとは違うけれど、この人もとてもいい人だ。


○月×日
お金を稼ぐ為に、師匠といっしょにバトランドの城下町でお店をすることになった。
旅を急ぎたい気持ちもあるけど、本当に人間として生活しているようで実はちょっと楽しみ。
明日からがんばるぞ。


○月□日
思ったよりも人間の生活というのは大変だ。来る日も来る日もお仕事ばかり。
確かに色々教わったけど、こんなに働いてばかりで皆、つらくないのかな?

369 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:22:01 ID:O07joDWB0
○月△日
一日の労働時間が16時間というのは普通にあり得ないらしい。
師匠に問い質した所、師匠はすごく嫌そうな顔で、「ちっ、気付きやがったか」と舌打ちした。
ライアン様。僕は今日はじめて殺意という衝動を覚えました。


△月□日
もう人間は嫌だ。ホイミスライムに戻りたい。


△月△日
いつの日か……。いつの日か……。


□月○日
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。


□月△日
――ごめんなさい、ライアン様。もう貴方に顔向けができません。
世の中には、魔物よりも人間よりも遙かに恐ろしい存在がいるということを心の底から思い知りました。
さようなら、ライアンさん。旅の無事と勇者様に会えることを心よりお祈りしています。
僕も精一杯逞しく生きていこうと思います。ええそれはもう全力で。
そしていつの日かあの腐れ――――――――
(インクが飛び散っていてこれ以上読むことができない)

370 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/07/29(土) 01:22:38 ID:O07joDWB0
今回ここまでです。
隙間風でした。

371 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 01:25:40 ID:sSoRhT0s0
ちょwwwwwwホイミンwwwwwwwwwwwww

372 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 01:41:23 ID:8/nQ+gG30
>>370
面白かったよ、乙!
ホイミンが可哀想だがww

で、ちょっと指摘。
内容は十分に面白いんだが、文がゴチャゴチャして状況が掴みにくいかな。
もうちょっとすっきりしたほうが読み易いかも。

373 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 11:17:50 ID:Pt/rmvFl0
ほんとに面白いと思えたよ、乙
上の状況が掴みにくいというのは一瞬思ったが脳内補完できるレベルなので
後でちょっと見直すなりすれば自分で直せるくらいじゃないかな?

374 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 13:40:13 ID:SZ3yELzS0
ノリだけで突っ走る感触が気持ちいいなw
剣と魔法の世界に堂々と科学を持ち込んでるしw
だが気球で自由自在に移動できる謎物理法則の世界でどこまでできるか、今後を楽しみにしてます。

375 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 18:52:29 ID:nuPNeMCX0
全部が長文でだらだら続くから読みにくいのかも
短くなりそうな文はそれだけでまとめて改行したら
全体的にすっきりして読みやすそう

とりあえずユーミルが微妙に悪人でホイミンがかわいそうだw
スライムに幸あれ


376 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 19:37:32 ID:8MEwGkg7O
FC版のユーリル君は、悪人面だからな…
指名手配書の貼紙なんて似合いすぎだろw

377 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 21:19:01 ID:vA2n/5WY0
>――思えばこれが運の尽きだった。
この一文が日記の初日にあるのは不自然だと思う。

・・・じゃぁどこに入れればいいかと言われると困るが。
「あの日この人を助けたのが運の尽きだった」と回想させるにしても、
それを日記のどこに入れても違和感が出るしなぁ・・・。

378 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 21:24:41 ID:8/nQ+gG30
>>377
○月×日追記
――思えばこれが運の尽きだっ た。

てな感じでいいんじゃね?

379 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 23:37:29 ID:yMkAAwnb0
隙間風氏乙
素直に面白かった
別に読みにくくは無かったなあ

――思えばこれが運の尽きだっ た。
の件については同意

380 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/30(日) 01:11:12 ID:/s/IuNno0
>>374
>剣と魔法の世界に堂々と科学を持ち込んでるしw
むしろDQの世界に堂々と他社のゲームのネタを持ち込んでることのほうが問題だろw
好きだからいいけどさ

しかし科学に関しては万能だなコイツ
いくら天才でも、あれだけ細分化・専門化された現代科学の知識・技術を
ここまで広く深く習得するのは並大抵ではないはずだが

とりあえず次回も期待しています

381 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/30(日) 08:37:58 ID:/kG3kgXD0
持てる才能を全て知識につぎ込んだんだろうなぁ…

飛行機を飛ばすだけの機関が作成できるっつーことは、
19世紀終わりまでの火器は作成できそうだな…
機関銃を作ったら弾の確保に難儀しそうだがwww

382 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/30(日) 08:51:45 ID:/kG3kgXD0
ってよく見たらコルトパイソン持ってるじゃねえか。
まさか第二次大戦後の火器まで作成可能かっ?

対戦車榴弾で粉砕されるエスタークとか嫌だなぁ…

383 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/30(日) 08:53:46 ID:1BXRPj7LO
また変な流れがw


384 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/30(日) 18:43:36 ID:XypmM/rYO
極めつけは核兵器か。

385 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/31(月) 11:08:41 ID:oKEF59K8O
保守

386 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:34:30 ID:vA+x5+GT0
隙間風です。
ご意見を参考に、なるたけ短い文を連ねるような形でまとめてみました。

運の尽きやっぱり突っ込まれましたか。
一応そこらへんは考えて実は日記じゃなくて手記だったり。
追記の表現に一行開けてみたりと工夫した訳ですが
やはり努力足らずにへこみつつも続き投下します。

前回>>369


387 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:35:17 ID:vA+x5+GT0
04

「HAHAHA、いやいやお陰で助かりましたよ」
「いえ、当然のことをしたまでです」

いい趣味したテーブルでお茶をしばきながら、目の前の美しい女性と談笑する。
ああ、心が安らぐなぁ。
最近どたばたしてばかりだったからなぁ。
自称良いスライムと部屋の中でも鎧ずくめの護衛らしき男はいい顔をしていなかったが。
綺麗な女性は好きだけど恋愛事には興味ナッシングなので安心してくれ。
科学が俺の奥さんで化学は俺の愛人さー。
何だ君たちその顔は。いや約一名除いて表情なんて全然わかんないけど。



それはともかく、あの時。
エアプレーンでどこぞの塔(後に目の前の女性の住処にして今この場所と判明)に激突。爆発。アフロヘア。
弟子一号ともども瀕死の重傷を負ったところを回復呪文とかいう怪しげパワーで助けてくれたのが、
目の前のエルフ何つーファンタジー種族のお嬢さんだった。激しくデジャビュ。
いや、最初目が覚めて彼女を見たときには戦慄したさ。
何せ、恐らく同じ種族だからだろうがあのピンクの殺戮者によく似ている。
奴がここまで追ってきたのではないかと錯覚したくらいだったからな。
でもすぐにその浮世離れした雰囲気と溢れんばかりの世間知らずオーラで、別人と断じることが出来た。

388 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:35:57 ID:vA+x5+GT0
ちなみに大破したエアプレーンは未だにすぐ傍の塔の窓に突き刺さっている。
オブジェとしては極めてシュールで、趣味の良いこの部屋でめちゃくちゃ異彩を放っていた。

弟子一号はただ今必要物資を揃えるために買出しに出かけているため、ここにはいない。
アトリエと馬車にあらかた荷物を置いてきたため結構な量を買い足さなければなるまいが、
こちとら伊達に王都中で評判の店を営んでいた訳ではない。
持ち出してきた金にはかなり余裕があるから問題なく揃うだろう。
ここは見た目のどかな田舎村の割に、店の品揃えがバトランドとは比べ物にならない程良かった。
何か特別なコネでもあるのだろうか?
あとこの村の雰囲気は弟子一号にとっても好ましいらしく、目が覚めてからはやたらと機嫌が良かった。

とか何とか考えていると、ふと目の前のお嬢さんの表情が、パッと見ではわからない位僅かに曇る。
ううむ。こちとら他人様の家ぶっ壊したうえ命を助けてもらった挙句に、もてなされてまでいる。
ここで見過ごすのは何ぼ何でも気が引ける訳で。
薮蛇かもしれないとも思いつつ、巧みな話術でさりげなく悩みを聞き出したりしてみるとやはり薮蛇だった。

みのさん、出番ですー。
何か相談者の彼女曰く、問題はデスピサロとか言うこの頃よく聞く名前の彼氏君。
人間が気に入らないから全て滅ぼすために魔族の王となって世界征服を企んでいるとか。
スケールでけぇ。
更に人間滅ぼす本当の理由は自分のルビーの涙を狙う人間達から自分を守る為とか惚気られた。
スケール小せぇ。
まぁそんな事を涙を流してルビー製造を実演しながら語ってくれた訳で。
ルビー小さ過ぎる上に歪なので価値は無いに等しい。つーか手に取ったら崩れた。どんな脆い組成しとんじゃ鋼玉。


389 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:36:38 ID:vA+x5+GT0
……まぁそれは置いといて、この会話の間で俺は何となく理解した。
この娘は『良い娘』なんだと。
だけど、この場合の良い娘っていうのは、毒にも薬にもならない奴というのと同義だ。
少し前の弟子一号と同じだな。
最近になってあいつもようやく口答えの一つも出来るようになったけれど、
出会ったばかりの頃なんて、試しに店で半日以上ぶっ続けでコキ使っても、文句一つ言わない良い子ちゃんぶり。
便利なことは便利だったので本人がキレるまで続けてみたけど、ぶっちゃけキモかった。
弟子一号は置いといて。

そのヤクザな彼氏君だって、遊びでそんなある意味大志を抱いている訳でもあるまいに。
いくら恋人だからって、やめろと言われて簡単に命を賭けた漢の野望を捨てられる訳が無いのである。
ぶっちゃけ単純バカとしか言いようはないのだが、単純でしかもバカなだけに真っ向からの説得は難しい。
相手は単純でしかもバカ、更に愛しの君の為にやってることなのだから、説得するよりもむしろ裏から糸を引き、
彼氏の行動を自分の都合の良いようにコントロールするのが正しい恋人のあり方だろう。多分。

……とはいえ、そんな機転の利く女だったら、その彼氏君がこの娘を恋人に選んだかどうかは微妙だ。
自分とは全くタイプの違う、優しく柔和で純真無垢な温室栽培のお姫様。
そんなヤクザな自分をも癒してくれる彼女に萌え――もとい惹かれたというのは十分に考えられる。

それにしてもだ。
ヤクザな彼氏に世間知らずのお嬢様。しかも二人揃って単純バカ。
ううむ、何だか本気でこの娘たちの行く末が心配になってきた。
絶対いつか悪賢い奴に二人揃っていいように利用された挙句、人生を棒に振るような気がしてならない。
…………ふむ。命を救ってもらった上、一宿一飯の恩義って奴もあるし。
お礼としてここは一つ――

390 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:37:40 ID:vA+x5+GT0
「――Fuck you」
「……え?」

『利根川式演説』あたりで啓蒙してあげるとしよう。
ちなみに一度やってみたかったからという訳では断じてない。
機会があったらどこかで『ギレン式』や『少佐式』も試してみたいとかは全く考えていない。いないったらいない!

知らない人の為にちょっと説明しておくけれど、『利根川式演説』とは。
言ってしまえば、主に社会から幾度もドロップアウトした筋金入りの駄目人間相手に使われる、
相手を徹底的にコキ下ろした後に檄を飛ばすという極端な話術である。
冷静に一歩引いて考えればあまりにも極論に走ってたり詭弁だったりもするのだが、相手は意外に気付かない。
何故なら言ってる事自体は間違っていないからだ。別に完全に正しいとも言えないのだが。
そして相手もまた間違いなく駄目人間であり痛いところをバシバシ突かれるから、
反論したくても出来ずにあっという間に話のペースを持っていかれてしまう。

……という訳で散々コキ下ろしてエルフの嬢ちゃんルビー大量生産する気満々。
自称良いスライム体当たりは痛いから止めろ。
鎧君殺気満々で剣を構えるのはシャレになってないからやめてくれ。
鎧君に殺される前に次のステップに移行。
精神コマンド激励使用。更に俺の命が懸かってるので連続使用。
さあ目を覚ませ。
泣き言で人生は開かない。
勝たなきゃゴミなんだ……!
勝たなければ……
勝たなければ……

勝 た な け れ ば …… ! !


391 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:41:59 ID:vA+x5+GT0
ちなみにこれ使用する際には、本来はこっちにもそれなりの貫禄と迫力が必要になるのだが、
今回相手は弱気で世間知らずな小娘だったので無問題だった。

「ああ……ユーリル様……。私……私……!勝ちます!!」
「……うむ、わかってくれたか!!」

ああ、本当に良い娘だ……。
このパープリンぶりはきっと弟子一号(初期型)以上だろう。
何故だろう、目から心の汗が止まらない。
あまりに不憫だったので、つい持っていた愛銃と弾薬、手榴弾、
薬草マキシカスタムVer3.2通称レッドドラゴンをありったけ渡してしまった。

「ありがとうございます、ユーリル様……」
「うむ。銃とかは使い方を紙に書いておくからよく読んでおく事。手入れもしっかりな。
 それから薬草マキシカスタムVer3.2通称レッドドラゴンは、
 息さえしてりゃどんな重傷でも直すし身体能力も胡散臭いほど上がるけど、
 副作用で薬が効いてる間は頭の中身もレッドドラゴンになるので注意するように」
「はい!」

まぁ、実際あんな言葉やこんなオモチャで全てが解決するほど簡単な話でもないのだろう。
あの程度で性根が変わるほど人の心も易くは無い。
単純バカというならむしろ尚更だ。バカは死ななきゃ直らない。
だが。何時、何処かで、何かを変える切っ掛け……くらいには、なるかもしれない。
あの娘自身の魅力か、ついガラにも無い親心を出してしまったが、これ以上の手助けも不要だろう。
ここは素直にちょっとだけいい事をしたと思っておくことにしよう。

392 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:43:54 ID:vA+x5+GT0
さて、ともあれだ。恋人のいる女の子の部屋に必要以上に居座るのもまずいだろうし。
もし今ひょっこりと人間嫌いでヤクザで魔王な彼氏君が帰ってきたりしたら俺マジで殺されちゃう。
……ので俺は今夜中には夜逃げ――もとい出発できるよう、荷物をまとめる事にした。
つーかさっさと帰って来い弟子一号。
そして短い間だったが強く生きるんだぞ弟子二号!

あと別に未だに煙吐いてるエアプレーンの件をうやむやにしようとか考えていない。多分。



ユーリル 旅人?
HP:42/45
MP:9/189
装備:Eピースメーカー E魔法の法衣 クロスボウ
呪文:【回復】ベホイミ・キアリー
特技:集中 閃き 必中 激励

弟子一号 ユーリルの弟子
HP:58/58
MP:47/47
装備:Eまどろみの剣 E魔法の法衣 毒蛾のナイフ 毒針
呪文:【回復】ベホマ・キアリー・キアリク 【補助U】スクルト


393 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:44:57 ID:vA+x5+GT0
#05

魔族の王デスピサロが自らの恋人を守る為に用意したその塔には、
五感と意識を惑わせる、高度な魔法による迷彩がかけられていた。
そこに進入する為には、とある正規の手段で魔法を解呪しなければならない。
だが、ごく稀に正規の手段以外で侵入を果たし得る者がいる。
強力な探知魔法を識る者。
盗賊の技法を究めた者。
或は、内部に通じている者の力を借りるか――
或は更に極々稀に、空から決死の特攻を敢行する者が居ないでもないかもしれないが。

ともあれ、そういった僅かなそして哀れな侵入者達は、即座に、
魔王の無二の腹心である、闇緑の鎧に身を包む騎士に切り捨てられることになる。
此度侵入を果たし得た例外者達も、いつも通りに切り捨てられる――――――――はずだった。





短く一言礼をとり、壁に立てかけた剣をとり部屋を出る忠実で寡黙な騎士。
ただ心配しながら彼を見送ることしか出来ないロザリーの胸に、とある旅人が残した言葉が蘇る。

(――泣き言で人生は開かない)

今まで誰も為し得なかったこの部屋への侵入を、常識破りな方法で果たし得た旅人たち。


394 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:46:03 ID:vA+x5+GT0
(――勝たなきゃゴミなんだ……!)

勝ち負け以前に自分は戦ってすらこなかった。
扉の奥に目を向ける。
そこから聞こえるのは、金属同士がぶつかり合うけたたましい金切り音。
そして魔法によって空気が引き裂かれる音。

「怖い……」

怖い。恐ろしい。
今まで敵に立ち向かうなど思いもよらなかった。

(――勝たなければ……)

恐れを振り払うように首を振るロザリーの視界に、ふとテーブルの隅に置いてある物が映る。
それは件の旅人が去り際にロザリーに贈ったもの。

コルト・パイソン.357マグナム。
M24型柄付手榴弾・通称ポテトマッシャー。

名前の意味はよく分からないが、説明書きを読めばこれらがどれだけ強力な武器かは理解できる。
そして……。



395 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:47:27 ID:vA+x5+GT0
薬草マキシカスタムVer3.2通称レッドドラゴン。

やはり名前の意味は殆ど理解できないが、ただ一つ、レッドドラゴンという名前は知っていた。
天空に住まう王者とは流石に比べるべくも無いが、それでも他の魔物とは一線を画す気高く勇猛な空の雄。
あの旅人はレッドドラゴンの如き強靭な精神を得ることが出来ると言っていた。(言ってません)

「ピサロ様……。少しだけ、少しだけ私に勇気をお与えください……!」

ロザリーは知らない。
この薬草どころか毒薬と呼ぶのもおこがましい、
稀代の錬金術師ユーリルがこれでもかという程間違えた方向に改良を重ねまくった魔薬。

それのネーミングが、単に彼の故郷に存在する精力ドリンクの名前からついたという事など――

(――勝たなければ……!!)

ロザリーは意を決して天災錬金術師の贈り物に手を伸ばした。






396 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:51:53 ID:vA+x5+GT0
前衛の戦士二人は曲がりなりにも自分の一撃を受け止め、後衛の魔法使いとの連携もなかなかだ。
自分には遠く及ばないものの、賊にしてはそれなりに腕の立つ手合いではあった。
だがそれだけだ。連中の末路は微塵も変わらない。
しかし、長い護衛生活で騎士の勘が鈍っていたのだろうか。
奇跡的に数度の斬撃を凌ぎ、賊が逃走を図った。格どころか次元そのものが違う相手だと悟ったらしい。
逃がすと後々厄介なことになる。
闇緑の騎士は一撃で全てを薙ぎ払わんと、手にした剣を腰だめに構え――

――――きぃ、と。

騎士の背後で扉が開いた。



女が笑う。



一瞬。
騎士も賊も。
動きが止まった。




397 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:52:39 ID:vA+x5+GT0
世にも綺麗な女が笑う。



「ロ、ロザリー様!?ここは危険です、部屋にお戻りくだ――」

ぐしゃり。
と。
女のか細い腕で無造作に壁に叩きつけられ、魔界でも屈指の勇士は沈黙した。
息はあるようだが、運悪く衝撃が完璧に延髄を通ったらしく、ぴくりとも動かない。

「え……?」
「あ……ああ……?」

賊たちも動かない。動けない。
――と。

がぁぁぁぁん。

そんな空気を引き裂くような轟音が、塔内の狭く薄暗い通路をがむしゃらに跳ね回る。
それとまったく同時に、いきなり胸から大量の血を噴き出しながら吹っ飛んだ仲間の姿を目の当たりにして――
残された賊たちは、今度こそ、絶叫した。



ケタケタケタとオンナがワラウ。



――――惨劇が幕を開けた。

398 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:53:44 ID:vA+x5+GT0





闇夜の森。
生き残った最後の賊、戦士風の男はどくどくと血の溢れる自分の体を見遣った。

「ハ、ハハ……やっぱりウワサは本当だったんだ……」

自分の体の、穴だらけの胸から腹から、
ちぎれかけた腕から足からあふれ出るソレを次々に掻き出し、男は哄笑する。

「こんなに、こんなにあるじゃねえかよ。真っ赤なルビーがこんなに
 いっぱい、綺麗なルビーがいっぱい、いっぱいいっぱいおかねも
 ちだあきははははははははははははははははははははははは
 ははははははははははははははははははぎょぺっ!!」

脳漿をぶちまけて、最後の男が永遠に沈黙する。
ゆらゆらと歩きながら、オンナは硝煙の揺れる拳銃をだらりと下げた。
物言わぬ肉塊を見下ろし、禍々しい弧を描く紅い目が闇夜を照らす。


399 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:54:20 ID:vA+x5+GT0



女が笑う。

世にも綺麗な女が笑う。

ケタケタケタとオンナが笑う。



「次ハオ前ダ、デスピサロ――」



ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ――――



ロザリー
HP:375/36
MP:80/80
装備:Eコルトパイソン E光のドレス
呪文:【回復】ベホマ・キアリー・キアリク
    【補助T】ラリホー・マヌーサ 【補助U】スクルト・フバーハ


400 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:55:29 ID:vA+x5+GT0
#06

「…………何なんだ、今の夢は」

イムルの宿の寝台から身を起こし、少年は心底げんなりとぼやいた。
未だ部屋は暗く、当分夜が明ける様子は無い。

「ん……」

彼の声に反応したのか、傍らの褐色の美女が身じろぎして目を開けた。

「ああ、すまないミネア。起こしてしまったか」
「……いいえユーリル様。むしろ恐ろしい夢から現実に引き上げてくださって、助かりました」

ユーリルと呼ばれた少年は苦笑する。
仲間の内で唯一自分の秘密を知る、神秘的な美女を抱き寄せ軽く唇を重ねると、悪戯っぽく微笑んだ。

「そんなに恐ろしかったか?それより僕はあの狂ったエルフの女が口に出していた名前の方が気になったよ」
「ええ……本当に不思議な夢です。彼女もデスピサロと敵対しているのでしょうか?」
「さぁ?セリフだけを聞けばそんな感じだったけど」

何がおかしいのか、ミネアの髪を透きながらくすくす笑う少年。
逆に、ミネアの方は少年の胸にすがりつき、小さく震えた。

「ユーリル様……私は恐ろしいのです。
 あなた様に出会って自分の運命を見出した時点で、先を見通せなくなるのは覚悟していました。
 ……ですが、それとは別に、何か運命が大きく乱れているような気がしてならないのです!」

ミネアの怯えた声を聞きながら、少年の笑みはさらに深まった。

「運命が乱れている……か。そんな事は僕が一番良く知っているよ」
「あ……」

401 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:56:03 ID:vA+x5+GT0

失言を悔いるようにミネアが唇を噛む。

「――そうだ。何がおかしいって、今僕がこんな所に居るのが一番おかしいんだよ!」
「申し訳ありません、ユーリル様、申し訳ありません……!」

突如熱に浮かされたような少年に必死にすがりつくミネア。
だがすぐに少年は正気を取り戻した。

「……ああ、ごめん。また取り乱しちゃったね。君の傍だとどうしても気が緩む」
「いいえ、今のは私の失言でした……。本当に申し訳ありません」
「もういいって!……それよりあの夢、現実だと思うかい?」
「ええ、恐らくは。それも今この時に起こっている出来事という可能性もあります」

その答えを聞いて少年に笑みが戻る。

「面白いな……。奴の情報は少しでも欲しいし、次の目的地はこれで決まりかな?」
「はい。あのような奇怪なオブジェを持った塔は目立ちましょう。必ず何かしら手がかりはある筈です」
「うん。それじゃあ明日も早いし、そろそろ寝直そっか?」
「…………はい、ユーリル様」



ユーリル? 勇者?
HP:134
MP:153
装備:E破邪の剣 E鉄の鎧 E鉄の盾 E鉄仮面
呪文:【炎熱】メラミ・ベギラマ・イオラ 
    【回復】ベホイミ・キアリー・キアリク・ザメハ 【蘇生】ザオラル
    【補助T】ラリホーマ・マヌーサ・マホトーン 【補助U】スクルト
    【その他】モシャス


402 :隙間風 ◆njN6YTN.DI :2006/08/01(火) 02:56:37 ID:vA+x5+GT0
今回ここまでです。
隙間風でした。

403 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/01(火) 03:02:51 ID:4KPA8arE0
ちょwwwロザリーwww
展開読めナサスww

隙間風氏、禿しく乙!
すごいハイペースだが、途中でバテないようにな

404 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/01(火) 07:46:31 ID:wULxhuOD0
やばい、世界がどんどん歪んでいくw 根幹から揺らいでいくw
発想が面白すぎるw 続き楽しみにしてます無理しないで頑張って下さい。
しかし細々した所が愉快だな。毎回一つずつ増える精神コマンドとか限界突破する体力とかw

405 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/01(火) 07:54:56 ID:TkK1u5Rm0
正直
レズは
萎えた

406 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/01(火) 11:29:55 ID:0IWFBylX0
は?レズ?どこが?
最後の奴?

407 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/01(火) 11:55:58 ID:nF3nJhwE0
このスレクオリティ高いな

408 :377:2006/08/01(火) 12:51:52 ID:Mn4+Riri0
気にしないでくれ。
こんな些細な揚げ足取り以外に批判のしようがないほどレベルの高い文章だ、ということだ。
(あの後いろいろ考えたが、この一文自体を消すか、または>>378の手しかないと思う)

山奥の村とバトランドは山を隔ててこそいるものの比較的近い距離にある、とか
湖の塔からロザリーヒルまでは若干の距離があるがエアプレーンなら一飛びだ、とか
位置関係もちゃんと計算して作られているのも奥が深い。

最後に。あんな物騒な薬物を前回むりやり口に突っ込まれた馬のその後が心配でならない。
てか「通称レッドドラゴン」まで含めて正式名称ですか。

409 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/01(火) 16:32:34 ID:3+XmpdE00
ヒントあるのにレズネタに気付けないのかー

410 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/01(火) 20:17:28 ID:Q+Q52+GdO
最近つまんね

411 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/02(水) 10:34:29 ID:oKxVM2Ze0
前よりはマシ

412 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/02(水) 10:44:53 ID:F14+GrcjO
う〜ん

413 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/02(水) 14:18:39 ID:2iwqPSFY0
今気づいた
ほんとだ>レズ

414 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/02(水) 18:59:27 ID:/LWAiTTA0
一番最初のほうが面白かったな・・・。
次にどんな展開になるのか楽しみに待てた。
いまは逆に悪い意味で先が見えてこない。

415 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/02(水) 20:43:01 ID:DoFtC2k90
そうか?普通に面白いんだが

416 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/02(水) 20:55:44 ID:sdFDgd6S0
好みはみんな違うもんさ
俺は好きな職人増えて楽しいよ

417 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/02(水) 21:52:35 ID:OZWDZN2o0
>399の3行目って誤変換だよね?

418 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/03(木) 01:17:30 ID:XBZH+AV70
イラストを付けてくれる人はいないものか…

419 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/03(木) 01:26:01 ID:0W/AvdKr0
挿絵みたいなのもいいかもな
絵師降臨しないかな

420 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/03(木) 02:39:47 ID:QmHzRiHP0
最初の入れ替わった展開のまま、本来の4のストーリーに沿ってたら面白かったかも。

421 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/08/03(木) 09:39:33 ID:8JW7pZUb0
住民の皆様大変遅くなって申し訳ございません
久しぶりの投下になります。

では>>242の続きです

422 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/08/03(木) 09:40:34 ID:8JW7pZUb0
くそっ……………

ドルマゲスにコテンパンにやられてイライラしている俺がいた。
圧倒的な力を見せつけられた恐怖と何も出来なかった自分自身に対しての怒りが混沌としていた。
何か落ち着かない……………………

 もょ「タケ、どうしたんだ。何かあったのか?」
 タケ「何でもないで。気にすんな。」
 もょ「そっか…」

もょもとはそれ以上追求してこなかった。俺自身の事で他人を巻き込ませるのは嫌だからな。

 タケ「もょ、サマルに目を光らしてくれへんか。」
 もょ「どうしたんだ?」
 タケ「あいつまたリアちゃんに嫉妬していたからな。今夜何かあるかもしれへん。」
 もょ「なにかこんきょがあるのか?」
 タケ「ああ、ドラゴンの角でリアちゃんが燃えさかる橋を凍らせて何とか橋を渡る事が出来たやんか。
      その時にあのバカから相当妬んでいる雰囲気が感じたからな。」
 もょ「それならきをつけるのだが、サマルをバカよばりするのはよくないぞ。」
 タケ「すまん。ちょっと感情的に話してしまったわい。今後気をつける。」

ちっ……………イライラするわ。マジで。

ムーン「もょもと。夕食の準備出来たみたいよ。リアも帰ってきているから食堂に来て頂戴。」
 もょ「わかった。すぐにいく。」



423 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/08/03(木) 09:41:53 ID:8JW7pZUb0
俺達は食堂に行き、皆で夕食を食べに行く事にした。
ルプガナの名物シーフードピラフが食べれるのだがこれがとても美味しい。
ホタテ貝や海老などプリプリしていて鮮度も良い。
現実世界と食べ物があまり変わらないのが救いだ。

 リア「美味しい!」
ムーン「中々いけるわ。海の幸が特に良いわね。」
 
ムーンとリアは楽しそうに食べている。サマルはあんまり手をつけてないみたいだった。

 もょ「サマル、しょくよくがないのか?」
サマル「うん。ちょっと疲れてね。食欲がわかないんだ。」
 もょ「まぁ、そういうときもあるとおもうけどたべないとげんきがでないぞ。」
サマル「心配かけてごめんね。でも今日は本当に疲れたんだ。先に休ませてもらうよ。」

そう言ってサマルは部屋に戻っていった。

 リア「もょもとさん。お兄ちゃんは一体どうしたの?」
 もょ「サマルはそうとうつかれたらしい。だからさきにやすむみたいだ。」
ムーン「一体何があったのかしら?」
 もょ「わからない。たぶんひとりになりたいきぶんじゃないか?
     とりあえずムーンにはちょっとしたいきさつをはなしておこうか。」

そう言ってもょもとはドラゴンの角での経緯をムーンに説明した。



424 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/08/03(木) 09:42:41 ID:8JW7pZUb0
ムーン「なるほど。もょもとがドルマゲスにやられてしまったわけね。」
 もょ「ああ。あいつはつよすぎる。いまのおれではたちうちできなかった。」
 リア「皆で戦えば何とかなったんじゃないかなぁ?」
ムーン「リア、幾らなんでも鉄の盾を溶かすような魔力を持っている相手では楽観出来ないのだわ。」
 リア「そ、それもそうだったね。ごめんなさい、ムーンさん。」
ムーン「いいのよ。人間誰だってわからない事を間違えるのは当たり前なのよ。これから先どんどん学習していきましょ。」
 リア「うん!」

やはりムーンは人に教えるのが上手だ。パーティーの司令塔はムーンがいいかも――――――な。

 もょ「それにおれがたすかったりゆうはドルマゲスのようすがおかしくなってにげるようにとんでいったんだ。」
ムーン「そうだったの。多分、ドルマゲスは普通の人間じゃないわ。」
 リア「どういうことなの?ムーンさん!?」
ムーン「私の推測ではドルマゲスは普通ではありえない何かの力で呪文を使えるようになったと思うの。」
 もょ「しかしおれはじゅもんをつかえないぞ。」
ムーン「もょもとの場合は理由が分からないけど普通の人間なら基本的な呪文なら誰でも習得できるのよ。
     しかし、空を飛んだり鉄の盾を熔す事ができる呪文はなかなか習得できないのだわ。」
 リア「でも、ムーンさんはベホイミが出来るようになるまでの時間はどれぐらいかかったの?」
ムーン「私の場合は1ヶ月で習得できたけど、普通の人間が習得するとしたら最低3ヶ月以上はかかるみたいわね。
ドルマゲスの場合は何かの力を使いすぎて自分の意思で体を扱えなくなったんじゃない?」

ムーンが呪文の習得に関することを色々話してくれた。頭が痛くなるような内容ばっかりだったが――――――
言い換えたらある意味すごい趣がある内容でもあった。ある意味オタクの区域も入っているけどな。



425 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/08/03(木) 09:43:50 ID:8JW7pZUb0
 リア「もょもとさん、ムーンさんお願いがあるのだけど…」
 もょ「どうしたんだ?」ムーン「どうしたの?」

 リア「シャールさんを一緒に探して欲しいのだけどダメかな?」
ムーン「シャールさんって?」
 もょ「ムーンをルプガナまでおんぶしてくれたひとのことだ。」
ムーン「それに私を薬で眠らせて落ち着かせてくれた人ね。」
 リア「実はまだ家に帰ってないらしいの。マリンちゃんが私に言っていたの。」
 もょ「う〜ん……なにがあったのだろうなあ。」

ムーン「私は協力させてもらうわよ、リア。実際に会ってお礼を言わなきゃね。」

 リア「あ、ありがとう!」

 もょ「もちろんおれもきょうりょくするぞ。シャールさんにたすけてもらったんだからな。」

ムーン「ふふっ…それなら決まりね!」
 リア「しかしどこに行ったかわからないの。」
ムーン「それなら二手に分かれて探すのが今の所ベストみたいだわ。」
 もょ「じゃあおれひとりでいくからムーンとリアちゃんはいっしょにこうどうしてくれ。」
 リア「それはいいのだけどお兄ちゃんはどうするの?」
ムーン「もょもと一人だけじゃ危ないのではないのかしら?」
 もょ「サマルもたまたまちょうしがわるいんだ。むりさせてはだめだろう。」

そう言ってもょもと達は二手に別れて行動をとることにした。



426 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/08/03(木) 09:50:39 ID:8JW7pZUb0
ムーン「リア、隠れてもょもとの後について行きましょ。」
  リア「また急にどうしたの?」
ムーン「もょもとは私達に話せない秘密があるみたいだわ。」
  リア「そ、そんな…もょもとさんが?」
ムーン「ええ、不可解な事が2回もあったの。私ともょもとがムーンブルグの城に行ったときの事だけど、
     リビングデッドという不死系の怪物がいたのだけど最初は一撃で倒せなかったのよ。」
  リア「もしかして………急に一撃で倒せるようになった…とか?」
ムーン「まさしくその通りよ。彼は急にその怪物を倒せるようになった。怪しいと思わない?」
 リア「たしかに怪しいね…」
ムーン「それにもょもととククールと一対一で戦った時にもょもとが負けそうになったの。」
  リア「ええっ!!ククールさんともょもとさんが戦ったの!?」
ムーン「そ、そんなに驚かなくてもいいじゃない。話は戻すけどもょもとが瀕死で負けそうになったから援護攻撃したのよ。
     私が間に入って二人を止めようとしたら逆にもょもとが反撃にでたのよ。」
 リア「結果はどうなったの?」
ムーン「勿論もょもとが勝ったわ。その後に治療を頼まれたけど………………リアはこの事をどう思う?」
  リア「私は………………それでもいいと思うの。」
ムーン「でも、もょもとが怪しいの点に関してはどう思うの?」
  リア「もょもとさんはもょもとさんだもん。私は気にしてないよ。」
ムーン「貴女らしいわね。私も考えすぎだったのだわ…ごめんね。」

  リア「ううん。ムーンさん。『人生は死ぬまで勉強』でしょ?」
ムーン「…そうね。」

ムーン                           リア
Lv.11                         Lv.12
HP:49/49                      HP:61/61
MP:68/68                      MP:43/43
E魔導師の杖 E旅人の服 E羽帽子       E青銅の剣 Eみかわしの服 E鱗の盾 E羽帽子
攻撃呪文:バギ                    攻撃呪文:ギラ、ヒャド
回復呪文:ベホイミ      補助呪文:スカラ
補助呪文:マヌーサ


427 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/03(木) 12:31:02 ID:xVwEnLNxO
おおっ、久々の投下だな。
とにかく乙!

428 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/04(金) 08:13:42 ID:iWsU37c50
>レッドマン

投下する前にこれを使って見たら巧く出来ると思う。
tp://iranegi.s5.xrea.com:8080/2ch/aaedit/aaedit.php
ムーンとリアの成長が楽しみだな。

429 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/04(金) 14:26:02 ID:m1teudRdO
今回は行間をつめすぎじゃね?

良作が潰れている感じだな。

430 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/05(土) 15:30:41 ID:20CseDsz0
暇さんやタカハシ、総長も来ないようになったなー

474KB
続きを読む

名前: E-mail(省略可)
READ.CGI - 0ch+ BBS 0.7.4 20131106
ぜろちゃんねるプラス