■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 最新50 [PR]ぜろちゃんねるプラス[PR]  

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら四泊目

1 :冒険の書庫の書記:2005/10/08(土) 23:00:44 ID:oCXhwG/I
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

前スレ
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら三泊目」(DAT落ち)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1122390423
前々スレ
「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら二泊目」(DAT落ち)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1116324637/
初代スレ
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(DAT落ち)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1110832409/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/

555 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2005/12/03(土) 21:45:10 ID:d7Jnrb4Z0
そういえば修行を始めたばかりの頃、そんな感じのことをいってたような
「そんなことより二代目よこの間のサマンオサの件だが、なぜ正面からたたかなかった」
「そんなことをすれば、サマンオサとつながっている国全てを敵に回すことになるし、
現に今の状況はそんな感じなんだが、今あそこをつぶせば別国に本拠地の場所がばれてしまう
かもしれないしな、それならいっそのこと内部から操ってしまったほうが楽だし、
犠牲も少ないしな」
とりあえず呼吸を整える
「それにゾーマ様から送られてくるモンスターもレベルの低い連中ばっかりだからな、
少しでも戦力は多い方が良い」
HP:399/399
MP:320/320
E魔界の剣 E魔界の鎧 
呪文:エビルデイン・イオラ・ベホイミ・ルーラ
特技:魔人斬り(強)


556 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 12:59:45 ID:g1xdcl+vO
サマルトリアからムーンペタに向かう事になった俺たちはローラの門を抜け無事ムーンペタについた。
街に入ったら犬が俺たちを迎えてくれた。しっぽもふって可愛い子犬だ。
リア「この子かわぃぃ〜☆」
リアが子犬を抱き抱えた。子犬もリアを気に入っているみたいだ。
サマル 「この犬は不思議だね。」
タケ「ああ。雰囲気で何か感じたのかなぁ?」
普通犬は警戒して吠えるのだがこの犬は人なつっこいのだ。
リア「おにいちゃん、もょもとさん。この子と遊んでいい?」
サマル 「ダメだよ。勝手な行動をしちゃ。」
タケ「まぁいいじゃないか。ただし街の外に出ないのが条件だぞ。」
リア「はぁ〜い。」

リアと子犬は一緒に離れていった。やっぱ女の子は笑顔が一番だ。
サマル 「甘やかし過ぎじゃないかい?もょ。」
タケ「色んな物に興味がある年頃だから無理もない。それに、新しい事を知る良い機会じゃないか。」
サマル 「それもそうだけど…」タケ「サマルがお兄さんだから心配する気持ちは理解できるけどあの娘の気持ちも理解してあげるのも必要だ。」
サマル 「それもそうだね。じゃあ僕達は武器防具を見にいこうか。」


557 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 13:01:42 ID:g1xdcl+vO
ここの武器防具は今持っている青銅の剣が真ん中のランクで鉄の槍、鋼の剣が売っている。
防具も鉄の鎧や盾、兜など重い装備品が売っていた。
サマル 「うーん。僕やリアにはちょっと重すぎるね。」
タケ「少なくても武器だけは買い替えたいな。」
サマル 「リリザで僕の武器防具を揃えてくれたんだからもょが何か買いなよ。」
タケ「いいのか?」
サマル 「戦力を上げるために必要な投資はしなくてはいけないからさ。もょが僕に教えてくれたじゃないか。」
タケ「わかった。」
俺は鋼の剣を購入することにした。これで一人前の剣士になった気分だ。

サマル 「格好いいじゃないか!僕も足を引っ張らないようにしなくっちゃ。」
タケ「その意気だ。サマルは頼もしい奴だよ。」
サマル 「そんな事無いよ。」
タケ「そんな事無いよな。」
サマル 「ひどいじゃないか!」
タケ「アハハ。まぁ落ち着けって。」
おっちょくったら小学生みたいに怒ってサマルは愉快な奴だ。パーティのいじり役はこいつに決まりだな。
街をふらついていると兵士の格好をした女がいた。街には相応しくない服装で何か挙動不振だ。

タケ「あのー」
兵士「ひぃっ!」
タケ「あっ〜びっくりした。どうしたのです?」
兵士「ム、ムーンブルグの城が…」
タケ「なんやて!?ど、どないしたんや?」
サマル 「…んっ?しゃべり方がおかしいよ。もょ?」
タケ「あ、アハッ…何でもないぞ。」
あぶね〜、気を付けないと。
サマル 「一体何があったのです?」
兵士「ハーゴン軍に攻められ、国王様は殺されました…」


558 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 13:02:28 ID:g1xdcl+vO
タケ「やはり、あの兵士が言った事は本当だったのか!」
兵士「あの兵士って!?あなた方はいったい…?」
タケ「自己紹介が遅れてすまない。俺はローレシアの皇子もょもと。こっちにいるのがサマルトリアの皇子サマルだ。」
兵士「あ、あなた方がローレシアとサマルトリアの…失礼致しました。私の名はカタリナです。」
サマル 「カタリナさんはどうやってハーゴン軍から生き延びたの?」
カタリナ「私も必死に戦ったのですが…国王様や王女様を置いて逃げてしまったのです。会わす顔がありません…」
タケ「カタリナさん。あんまり自分を責めるな。それより、王女はどうなったのだ?」
カタリナ「それが…行方不明なのです。」
サマル 「そんな…」
カタリナ「はい。王様がハーゴン軍に殺されたのは目撃しましたが王女様までは…うっうっ…」
タケ「もしかしたら…生きている可能性があるかもしれないな。」
サマル 「で、でも…ムーンブルグ城は…」
タケ「わかってる。しかしこの目で確認しないと納得できないからな。」
カタリナ「それなら私も連れていってください!」
タケ「あんたはここに残っておいてくれ。俺達でなんとかするから。言っては悪いが足でどまいなるだけだ。」
カタリナ「し、しかし…」
サマル 「それにカタリナさんには危険な目には会わせたくないからね。」
タケ「余計な事を言うなバカ!」
思いっきりサマルをブン殴ってやった。空気を読めない奴は困ったもんだ。
サマル 「い、痛いじゃないか!・゚・(ノд`)・゚・」
タケ「教訓してやったんだから感謝しろ。」

まさに外道!



559 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 13:03:52 ID:g1xdcl+vO
カタリナ「あ、あの、よろしいですか?」
タケ「すまない。どうした?」
カタリナ「じゃあこれをお持ちください。」
カタリナは俺達に綺麗な翼を渡してくれた。
サマル 「これは確か…」
カタリナ「はい。キメラの翼です。耳文学なのですが一度立ち寄った場所に一瞬で行けるみたいです。」
タケ「すごいアイテムだな。しかしどうやって手に入れたんだ?」
カタリナ「ハーゴン軍が落としていったのでそれをくすねたのですよ。」
サマル「キメラの翼はなかなか市場に出回らないから結構貴重だよ。一回買ったことあるけど300ゴールドはしたなぁ。」
タケ「そ、そんなに高いのか?」
サマル 「うん。」
なんてこった。貴重なアイテムは使いたくないという心理が働くからな。
リア「お兄ちゃん!もょもとさん!どうしたの?」
サマル 「び、びっくりしたじゃないか!」
カタリナ「こちらの方は?」
タケ「彼女はサマルの妹のリア。リアちゃん、その前に挨拶しないといけないだろ。」
リア「ごめんなさ〜い。」
教育係かよ俺は?
リア「ねえねえ、何の話しているの?」
タケ「こちらの方にムーンブルグ城について話してもらった。今から向かう事にしたよ。」
リア「本当!?」

タケ「多分相当危ないから気を引き締める様にな。」
リア「う、うん…」
リアがちょっととまどったのだが実際問題ハーゴン軍の残党がいてもおかしくはない。油断は禁物だ。
タケ「じゃあ行くとするか!」
サマル 「ああ。」
カタリナ「お気を付けて。無事に戻ってきてください!」
リア「任せて!必ず戻ってくるからね!」
俺達はムーンブルグ城に向かう事になった。

560 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 13:05:32 ID:g1xdcl+vO
滅ぼされた跡地に向かうのは気が進まないが何かてがかりが欲しい。

事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!

って言う風に青島刑事は言っていたもんな。

もょ(いまからムーンブルグにむかうのか!?)
タケ(そうやで。何かあったん?)
もょ(わがままいってわるいがかわってくれないか?)
タケ(またまた、どないしたんよ?)
もょ(このめでかくにんしたいんだ。たのむ!)
タケ(も〜。まぁええけど、そのかわり今までより厳しい場所になるから下手だけは打つなよ。)
もょ(おんにきるよ。)
タケ(その代わり、戦闘は任せるで。その時は完全に引っ込むから。俺も見ておきたいんよ。)
もょ(じゃあ、まわりのけいかいをしてくれ。)
タケ(あいよ〜)

話をしている間に建物が見えてきた。その建物は小学校の時、修学旅行で見に行った戦争博物館の写真の様な状態だった。

これが…戦争…

生で崩壊した戦争の跡地を見たのは初めてだ。平和な時代に生まれた俺にとってはあまりにもショックが大きかった…
俺だけではなくもょもと達もとまどっているみたいだった。
リア「こ、これがムーンブルグ城…」
サマル 「じ、実際に滅んでいるなんて…」
もょ「とりあえずはいろう…ふたりともきをつけろよ。」

561 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 13:06:32 ID:g1xdcl+vO
三人はムーンブルグ城に入った。内部の壁はボロボロに崩れ、人、モンスターの死体が転がっている。
人の体がバラバラになっていたりモンスターの目がえぐれていたり…
軽々しく表現するのは嫌だがまさに、『地獄』だ。
サマル 「うっ…おぇぇぇ〜」
リア「お、お兄ちゃん、どうしたの?」
サマル 「ち、ちょっと気分が悪くなってね…」
もょ「おもてでやすむか。サマル?」
サマル 「だ、大丈夫。探索を続けよう。」

もょもと達は王の間についた。赤い炎の様な物がうろついている。

もょ「みんなかまえろ。こうげきをしかけるぞ。」

もょもとのが炎の物体に斬り掛けようとした時に炎が話し掛けてきたのだ。

炎 「ダレカイルノカ…?」
もょ「な、なんだ?」
炎 「ワタシハムーンブルグノオウ。ハナシヲキイテクレ…ワシニハナニモキコエヌ…」
サマル 「もょ、リア、黙って聴いてみよう。」
王?「ワガムスメムーンガハーゴンノマホウニヨリコイヌニサレテシマッタ…」
王?「マモノタチノハナシデヒガシノヌマニワガシロノヒホウ『ラーノカガミ』ヲカクシタラシイ…ワシハコレヲダレカツタエルタメニシヌワケニハイカヌ…」

562 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 13:07:54 ID:g1xdcl+vO
どうやらこの炎はムーンブルグ王の魂らしい。よーするにラーの鏡を探せって訳か。
もょ「ラーのかがみをさがしにいこう。なにかてがかりがつかめるかもしれない。」
サマル 「そうだね。もっと探索もしたいけど、その方が先決だね。」
リア「で、でもあの炎は本当に王様なの?」
もょ「おれにはなにかひびくものをかんじた。しんようしてもいいとおもう。」
三人が話をしている内に何かの気配を感じた。
タケ(もょ!聞こえるか?)
もょ(どうしたんだ?)
タケ(早めにラーの鏡を探しに行った方がいい。ハーゴンの部下に聞かれたかもしれへん。何かの気配を感じたで。)
もょ(そいつはどのあたりにいるんだ?)
タケ(俺達が入ってきた場所や。急いで戻ってくれや!)
もょもとに頼み込み、入り口辺りに戻ると一人の兵士の服装をした男が立っていた。
その男はボロボロな服装で体中血がついていた。


563 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 13:09:58 ID:g1xdcl+vO
兵士「お、お前達は…?」
もょ「おまえこそだれだ?ここでなにをしている?」
兵士「俺はここの兵士だ。ハーゴン達にやられたんだ…」
もょ「そうなのか。疑って悪かった。俺はローレシアのもょもと。この二人はサマルトリアのサマルとリアだ。」
兵士「あっ…し、失礼致しましたぁ!私の名はトーマス。ムーンブルグの兵士長です。」
リア「トーマスさんはどうやって生き残ったの?」
トーマス「モンスターの攻撃で気を失って、気が付いたら誰もいなかったのです。」
サマル 「しかしムーンブルグがこんな事になるなんて…信じられない」
トーマス「まさかハーゴン達があんなに強いとは…」
もょ「ぶじでなによりだ。トーマスさん、ラーのかがみってしっているか?」
トーマス「いえ、私には分かりませんが…」
もょ「おれたちはそれをさがしている。おうじょについててがかりをえることができるかもしれないからな。」
トーマス「それなら私にも協力させてください!」
サマル 「そ、その傷じゃ危ないよ。ムーンペタに戻ったほうが…」
トーマス「いえ、王女様が生きておられるのなら命を賭ける。それが私の役目です。」
もょ「それならいっしょにいこう。きょうりょくしてくれ。」
トーマス「はい!ありがとうございます。もょもと皇子!」
リア「じゃあラーの鏡を探しに行きましょ!」

トーマスが加わり東にある沼にラーの鏡を探しに行くことになった。


564 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/04(日) 13:10:31 ID:g1xdcl+vO
しかしこのトーマス、槍の使い手だが少なくともサマルよりは強い。
マンドリルには致命的にダメージを与え、タホドラキー達を串刺しにするなどなかなかの腕前だ。
リア「トーマスさんすごおぃ!」
トーマス「私はまだまだですよ。もょもと皇子の方が私よりも強いでしょうね。」
サマル 「でも心強い人が増えると頼もしいよ。」
もょ「そろそろもくてきのばしょがみえてきたぞ…」
俺達はラーの鏡がある沼についた。それにしても広い沼だ。
サマル 「こ、この中から探さなきゃいけないの?」
もょ「やるしかないだろ。」
リア「頑張って探そうよ。絶対あるはずだよ。」
もょ「そうだな。あきらめてはだめだ。さっそくはじめるか!」
トーマス「じゃあ私は皆様の警護をしておきますね。」

俺達はラーの鏡を探し始める事にした。

もょもと&タケ
Lv.11
HP:69/80
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E皮の鎧 E鱗の盾 E木の帽子 
特技:かすみ二段・強撃・チェンジ・はやぶさ斬り(もょもと専用)


565 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 00:23:31 ID:CMbra5wTO
埋めマンさんage

566 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 03:02:54 ID:LmwMJOBgO
レッドマンGJ!!
サマルの妹が出ているのは(・∀・)イイ!!ね。

567 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 03:31:59 ID:GMDTpU9u0
アミタソ(;´Д`)ハァハァ
なんか凄く好きかも
中の人のキャラですか?

エイコタソも待ってるYO

568 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 11:53:15 ID:rI+RCuBz0
567
アリガト!
批判、感想、誤字脱字を教えてくれると大変有り難いし嬉しい。
読んでいてくれる人がいるんだなって思うし。
ちなみに中の人…かも。
投下します

569 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 11:55:00 ID:rI+RCuBz0
かくて一つの事件が終わった。そして次の日。
「この町から南下して、海まで出た後西へ歩けば砂漠のバザーが開かれているんですって。沢山他国の商品が売っているみたい。行きましょう」
町から得られた情報を手掛かりに、行き先を決めた。
ブライは一国の王女がお忍びで旅をするなんて、偽姫さらいの件でお分かりじゃろう、帰りましょうと提案するが聞き入れず、逆にブライが城へ帰ればと言い放つ。
それは困ります!姫に…とブツブツ言っているが、まぁ年をとれば説教くさくもなるし放っておく。
アリーナは他国エンドールで武術大会。そう主君が申し上げている以上ご一緒させていただくのが筋な気もするし、危険な目にあおうがそう決めた以上アリーナの全責任である。
可愛い子には旅させろという言葉を知らないのか。
ブライを尻目にあたしたちは武装し、さっさと町を出た。
後からブツクサ言いながら付いてきたが。
教育係で付いてゆくとか、巡礼の旅だとか、色々理由つけているけど、皆ただアリーナが好きなんだよね。
だから、思う。アリーナとずっと一緒にいたいから。元々自分のいた場所に拘りはないからホームシックにもならなかったし、それより色んな場所に行きたいし。
日本に帰りたいとは思わなくなっていた。
大好物のラーメンとチョコレートと自分の吸っている煙草が手に入らないのは残念だが。


570 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 11:58:18 ID:rI+RCuBz0
人さらいがあって、要求されたものを得る為に洞窟に潜ったり、アリーナやクリフトとは語る時間があったり、丘の上から眺める風景は絶景であり。何よりじゃじゃ馬精神旺盛の、温かい人々たち。
サントハイム領フレノール。いい町である。
フレノールを出立し、街道を南下。あの野宿した場所でもう一度野宿。朝起きてまた更に南下。
途中、様々な魔物に襲われたが連携して倒してゆく。習得したイオ、大活躍。たまに木も一緒に巻き込んで火事おこしたりした。
あとで利用を控えるようにとヒャダルコで消火活動をしたブライに叱られたが。
森を抜けると平原が広がると同時に彼方地平線には海が見えた。夕日がゆっくりと海へ沈んでゆく中、あたしたちは祠へと到着した。
フレノールで見た木造ではなく、煉瓦を隙間なく埋め、海風に耐えられるよう強化されたのか。
一戸建ての広そうな祠である。
「ここはエンドールへの玄関口。サントハイム王よりアリーナ様を通すなと勅令を賜っております」
と入るなり口調も固ければ頭も固そうなおっさん兵士が通せんぼした。
今はエンドールに行かず、砂漠のバザーへ行く予定だし、何より夜。野宿は嫌なのでここで一泊泊めてもらう理由で立ち寄っただけ。
ここからエンドールへ行ける、というのは覚えておいたほうがいい。


571 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 12:03:19 ID:rI+RCuBz0
「えっ、ここに泊まるんですか」
兵士が別の理由で立ち寄ったことでやや面食らった顔をする。
「駄目かしら」
「いえ、ですが、まぁ確かに多数の兵士がここに滞在しベッドはありますからお貸し出来ますけれども」
「それなら良いではないか。まさか国に仕える兵士が王女様に外で寝ろと?」
ブライが既に武器防具を外し椅子に腰掛けリラックスしている。
「お茶、飲みたいのう。お湯はあるか。クリフト、疲労回復の薬草がええな。あるか」
「ありますよ。用意します」
クリフトは兵士を押しのけてずけずけと台所へ入ってゆく。
「ねぇ、お風呂あります?汗かいちゃって。お茶飲んでから入りたいんだけど」
「ごはんはないの?(・∀・)ニヤニヤ」
「さ、皆さんお茶ドゾー。⊃旦」
「ちょww宿ぢゃねーしwwwおまいらw勝手杉ww」
兵士が喚く中、あたしたちは勝手に祠の中で行動した。


572 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 12:04:56 ID:rI+RCuBz0
次の日の朝、祠を発った。
西には360度広がる大海原。入道雲は海から生まれ、ゆっくりと高度を上げてゆく。波は緩やに白い砂浜を往復する。海水浴を楽しむ人々。海の反対側を臨めば残雪残る険しき山脈が連なる。
あの祠、海よりそう遠くない場所に位置する。
あそこに海の家なり宿屋があればそこに一泊してエンドールへ疲れを残さずに行けると思うし、海水浴にきている人は宿に長く滞在していくらかお金を落としていけるしと思うのんだけど。
サントハイムは観光に力をいれていないのか。
(そんなこと知らないby王女)
一行は砂漠のバザーを目指す。


573 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 12:08:34 ID:rI+RCuBz0
祠から西側へ歩いて行くと、足場は草原からやがて砂地に変わって行き、景色も一面砂の山に変わった。
砂漠のバザーへの行き方は看板が50m間隔で立っていた為迷わなかったし、遠くからでもバザー開催地を臨めた。
魔物は砂漠仕様で熱に強く、身体が硬いものばかり。ブライのヒャダルコとルカニが大活躍。
おじいちゃん使えるやーん。
日差しは強く、砂からの照り返しも強く、吹く風は熱風と化し、汗は噴き出して滝の様に流れ、こぼれると同時に砂に染み込んでゆく。
装備を外し真っ裸になって今すぐ水風呂に浸かりたい。
暑くてダレて、早く着きたいと思っても砂に足を捕られ、なかなか前に進めず。いつしか皆無口であった。
這々の体で辿り着く頃には、夕日は砂浜へと落ちて行った。
砂漠の夜。
日中の温度と夜の温度の落差が激しいと聞くけれども、確かにやや寒い。
宿に行き、皆真っ先に飛び込んだのは風呂だった。水風呂じゃなかった。念のため。
期間限定のバザーだが宿は簡易に出来ていない。そこらの宿と引けを取らない程度に良くできたもの。
異国風味のタペストリーやカーペットがひかれて眺めていたかったが、日中の疲れが睡眠を誘い、ベッドに入り込むと瞼はすぐに閉じてしまった。
次の日。
宿を出ると日差しが真っ先に降り注いだ。お買い物日和。…というよりはやや暑い。
皆半袖に着替えてバザー散策。
露天に所狭しとと並んだ品物に目を奪われる4人。


574 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 12:11:32 ID:rI+RCuBz0
「これ可愛い」
服をとり、胸に当ててみる。
「儂はつばつきの帽子が欲しいのう。お前たちは髪があるからいいが皮の帽子じゃ頭が暑くてかなわんわい」
「暑いというより眩しくてブライの姿が見れません」
「何じゃと?」
「これだけ店があるなら強い武器あるかしら。防具はいいのよ。動きやすければ」
「ここには教会はないのですね。残念です」
アリーナの要望で武器屋へ行くとめぼしいものは見つからず、彼女は拗ねた。
鉄の槍で槍の使い方がうまくなったクリフト君が調子に乗り第2弾、ホーリーランスを購入。これは軽いし使いやすいかもと感想を述べた。騎士が使うような槍で、彼の格好良さ2倍。
あたしとブライは武器を売ってそれぞれ毒牙のナイフを購入。ナイフに毒が付着して稀に麻痺を引き起こすそうだ。
持ち手が蝶になっていて可愛い。
アリーナの鎖鎌を売り、新たな鎖鎌を購入。使い古し、血や汗で錆が出来ていたからだ。
そんな武器たちを買い取りしてくれるのもまた磨けば使えるからさ、と日に当たり真っ黒になった武器屋のおじさんが言う。
夜出会ったらどこからが人間だかわからないこと受け合いである。
防具屋を覗くとめぼしいものは見つからなかったが、唯一鱗の盾をあたしとクリフトとブライが購入。皮の盾よりやや大きく、しっかりした鱗がきっと魔物からの攻撃に文字通り盾になってくれるだろう。
アリーナは盾を装備しない。そんな邪魔なもの持ったら動きが阻害されると遠慮した。代わりに左腕に露天で買ったブレスレットをはめた。


575 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 12:15:35 ID:rI+RCuBz0
このバザーの中央にあるオアシスでジュースを飲みながら一休み。椰子の木が木陰になり気分は南国。周りが砂ばっかなのが気にくわないが…。
「あっ!姫様!」
見たとこ若い小太り兵士があたしたちの姿を見、小走りしてくる。
「ここなら姫様がくると思い、待っておりました。至急サントハイムにお戻りください!王様のお声が出なくなったのです!」
「なんですって!?」
なんでぇ大したことないじゃん。
「こうしちゃいられないわ…。クリフト、ブライ!行くわよ!ちょっとアミ!変顔でジュース啜らないでよ気持ち悪い」
気持ち悪いって…。
「声が出なくなっただけでしょう?何でそんなに慌てるのよ?」
煙草に火をつけ一口吸いながらあたし。
「アミさん…こう見えてもアリーナ様、父上様の王陛下が大好きなのですよ」
とクリフトがこっそり耳元で教えてくれた。
ファザコンかい?
「ここからまたサントハイムに戻れと申されるか。帰るには遠いのう。しからば…あの呪文を試すか」
「あの呪文とは?」
「ルーラだ。空間の一部を歪ませ、一度行った場所へと戻る」
「着けばいいわ。それお願い」
「それでは皆、集まれ。…唱えるぞ。サントハイムへ、ルーラっ!」
あたしたちは小さな光になった。

576 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/05(月) 14:49:53 ID:6YQfsasxO
http://h.pic.to/56n59
スレ違いかもしれないが、絵を描いてみた。
一応アリーナ。

577 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 14:53:40 ID:YPhiPVqS0
>>576
PCでも許可

578 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 23:35:56 ID:lB+EsVSj0
>>576
テラウマスw

579 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/06(火) 00:19:35 ID:5v0nYTh10
ドランゴ(バトルレックスの愛称)を城付近に待機させ城に戻った俺は、英雄として歓迎された。
死体については、ドラゴンキッズをギラで骨にし、「バトルレックスは骨にした」と王に言うというエテポンゲの浅はかな提案を実行した。
バレるかと思ったが、案外簡単にだまされた。王はバカなのかもしれない。
夜、宴が始まった。俺は例によってオレンジジュースをチビチビと飲む。
王は酔っ払い、札束を地面にばら撒き「わははは!金だ金だ!」といいながら金の上をごろごろ転がっている。
マトモな王と思っていたが、王はどこに行ってもバカだらけらしい。
エテポンゲも参加し、「世の中は俺と金と中心に回っているのだ!」と言っている。アホか。妄想は夢の中でしとけ。
夜も大分更けてきたので、寝る事にした。城にある客用の寝室を使っていいらしい。
バカ笑いをしながらのたうち回っているエテポンゲを殴り倒して気絶させ、またエテポンゲに飲まされて酔い潰れたボロンゴと気絶したエテポンゲを引きずって、その日は夜中の1時に眠りについた。

…苦しい。体調を崩してしまったのだろうか。体が重い。
まぶたをゆっくりと開くと、俺の上に何かが乗っていた。
…エテポンゲと王だ。何で俺の上に乗っているんだ。
普段なら俺の膝蹴り→羽交い絞め→ジャーマンスープレックス→起き上がった所にマッハパンチというく○お君ばりのコンボが炸裂していたが、やはり朝は弱く力が出ない。
そう言えば力が出ないと言えばアン○ンマンだが、あのアニメはオープニングに「愛と勇気だけが友達さ」というとんでもない事をがさらっと言っている。気弱で友達のいない園児にはグサリと来る歌詞だろう。これは教育に悪いとして訴えるべきだ。

とりあえず二人とどかして部屋を出ると、兵士に「昨晩はお楽しみでしたね。」と言われたが適当に聞き流した。
城を見回ると、随分散らかっており兵士が片づけをしていた。どうやら昨日は宴で相当散らかったらしい。

580 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/06(火) 00:20:23 ID:5v0nYTh10
数十分後、王が起床して宝を渡されることになった。
俺の目の前に宝箱が置かれる。また大層な箱を用意しやがって。中身は大した事ないんだろう。
左の宝箱…静寂の玉。敵の呪文を封じる玉。
右の宝箱…錬金釜。最大三つのアイテムを合成できる釜。
真ん中の宝箱…雷鳴の剣。振りかざすと雷と呼び起こす神秘の剣。
三つともかなり貴重なアイテムらしい。ドランゴは倒してはいないのだから詐欺に近いが、やはり貰える物は貰う主義と言うのは変わらない。



城を出た俺はドランゴと合流し、開通された南の洞窟を抜けた。
洞窟を抜けると、目の前には砂漠が広がった。
城を出たのは夕方前で、今は太陽も沈みかけているので快適な気温だ。
砂漠は昼夜の気温差が激しいので、夕方と明け方に移動し、昼は岩陰で夕方になるまで待つ。
できるだけ早くオアシスの町につきたいので、俺たちは早足で南下する。
日は沈み、徐々に気温が下がる。夜の寒さが俺たちの体温を奪う。
寒さでガタガタ震えていると、目の前に一匹のともしび小僧が立ち憚った。
その瞬間エテポンゲの目がギラリと光り、ともしび小僧に飛びかかった。
エテポンゲは一瞬でともしび小僧を半殺しにし、こういった。
「おい、死にたくなければ黙って俺たちについてきな。」
ともしび小僧が震えながら頷く。エテポンゲに一瞬で半殺しにされたのが余程恐ろしかったんだろう。


581 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/06(火) 00:20:53 ID:5v0nYTh10
暖かい。非常に楽な砂漠の旅だ。
ともしび小僧の頭にある炎が、俺達の体を温める。ともしび小僧の周囲に密集し歩く俺達。ともしび小僧はむさ苦しそうにしているが、そんな事は構っていられん。
旅人たちは砂漠で体力を奪われ、魔物たちに苦戦する事が多いらしいのだが、ともしび小僧のお陰で楽に魔物を倒すことができる。
いや、寒くないから戦闘も楽ということもあるが、一番はドランゴの存在だ。
ドランゴはパーティの中でもズバ抜けて攻撃力が高く、巨大なバトルアックスで出てくる魔物を次々になぎ払う。ドランゴを仲間にして正解だった様だ。
現時点でのそれぞれの長所をあげるとこうだろう。
俺…呪文が使える。
ボロンゴ…スピードがズバ抜けている。
ドランゴ…驚異的な破壊力。
エテポンゲ…知らん。
ホイミで足の痛みを和らげながら歩いていると、東の空が明るくなり段々と夜も明けてきた。
「これから暑くなってくるな…。」
エテポンゲがそういうと、薬草を取り出してともしび小僧に渡した。
「無理矢理つれてきて悪かったな。もう行っていいぞ。」
エテポンゲが良い笑顔でともしび小僧をポンと叩く。
…実は朝になったらともしび小僧を殺すかもしれないと思っていたが、まさか助けるとは…しかも共有の薬草でなく自分用の薬草まであげて…。
エテポンゲがどんどんかっこいいキャラになっていく。最初の頃を考えると信じられん。



582 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/06(火) 00:22:15 ID:5v0nYTh10
暑い暑い熱い熱いあついあついアツイアツイ。
昼間の太陽の日差しが、容赦なく俺たちの体力を奪う。
ともしび小僧と別れた後、ドランゴより遥かに大きな岩を見つけたので岩陰で休んでいるのだが、それでもかなり暑い。
汗がダラダラ出て眠れん。ボロンゴもドランゴもぐったりしている。
そんな中、エテポンゲは一人瞑想をしていた。文句一つ言わない。
おいおい、エテポンゲってこんな奴だったか?いったい何が奴を変えたんだ。
水がめに入っている水も、夜に比べ消費量が激しい。出来るだけ飲まないようにしているが、それでも見る見るうちに水が減っていく。
その上、360度回りを見渡しても砂漠しか見えない、砂の海。体力だけでなく精神力までも奪われてしまう。
こんなときにヒャドが使えたら良いのだが、魔力があっても心身ともに疲れているので使えない。
これは、夕方になるまで持久戦か。辛いが頑張るしかない。
そう言えば錬金釜を早速使ってみた。500G玉を2つ入れると、1000G札に変わった。便利なので全て1000G札に変えてやった。城の秘宝なのになんか夢のない事をしてるな、と思ったがその辺は気にしない。

オアシスの町が見えてきたのは、次の日の明け方だった。
昨日の夕方からダラダラと歩き出し、ほとんど寝ていなかったので夜中に毛布を被って仮眠を取り、明け方にはまたダラダラと歩いていると南の方にやっと町が見えてきた。
「ヒャッハー!!水場だ!!これでもう旅はしなくていいぜー!!」
エテポンゲが馬鹿笑いをしながら走り出す。
今まで文句一つ言わなかったが、多分あまりに疲れて喋る気力もなかったのだろう。




583 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/06(火) 00:22:49 ID:5v0nYTh10
オアシスの町はかなりの人で賑わっていた。
大きな水場、砂漠の城、城下町、カジノ。
取り敢えず水は尽きて、喉がカラカラだったので水場へ直行した。
「水はコップ一杯10Gです。」
ニコニコと笑うデブ。何だこいつは。金を取る気か?
いや、オアシスと言っても砂漠での水は命同然。それも仕方ないか。
突然エテポンゲがデブのビール腹を鷲掴みにし、真上に投げる。
「水一杯に金を取るデブなど必要ない!」
落下してきた所にエテポンゲの鉄拳が炸裂する。デブはその場に倒れこみ気絶してしまった。
エテポンゲは何もなかったかのように水を飲む。こいつ、一般人にまで手を出すなよ。
喉も潤った所で、今度はカジノに行く事にした。最近戦闘ばかりで全然遊んでいなかったので、たまには遊ぶのも良いだろう。

カジノにはスロット、モンスター格闘場、スライムレースがあった。
思っていたより狭く種類も少ないが、娯楽があるだけマシだろう。
俺は200Gでコイン10枚を買い、5枚をエテポンゲに渡すと格闘場の方に行った。俺はスライムレースでもすることにする。
スライムレースは5匹のスライムが競争し、一着二着を当てるというものだ。
取り敢えず1−4に2枚かけた。倍率は4倍だ。
レースが始まると、一斉に客がレース場の周りに集まってきた。かなり賑わっている。
「行けー!突っ走れー!!」
「隣のスライムぶち殺せ!構わん!俺が許す!!!」
時々罵声が飛び交う。恐ろしい。ギャンブル狂か。

584 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/06(火) 00:23:24 ID:5v0nYTh10
結果、1−4が見事に当たった。2×4=8枚のコインを入手する。
コインを貰っている時に大金を賭けて負けた奴に足を踏まれたので、正拳突きを放って気絶させた。
本当なら即ポリさんが駆けつけてくるが、そこは殺伐とした世界だ。誰も関わろうとしない。弱肉強食の世界である。
さっきエテポンゲに一般人に手を出すなと言ったが、まあ今回は正当防衛ということで。あまりに無理矢理だが。
もう一度スライムレースをしようかと思ったところで、エテポンゲが俺の所に来た。
「稼いでるじゃねえか。少しまわしてくれ。」
エテポンゲに11枚全てのコインを奪われる。ちょっと待てお前。もう5枚使い切ったのか。
エテポンゲについていくと、格闘場でコイン11枚全てを賭けていた。
メタルスライム、ホ意味スライム、バブルスライム、スライムで、倍率108倍のスライムに賭けていた。
ちょ、待てやお前!あたるはずないだろ!?
開始直後、三匹のスライムにノーマルスライムが集中砲火をかけられ、秒殺された。
「ガッデム!金返せこの野郎!!」
それは俺の台詞だ。大穴にも程がある。
エテポンゲが袋を漁る。何を取り出すのかと思うと、その手には全財産約2000Gが握られていた。
「全部コインにしてやる!待ってろ!」
ちょっと待て!ギャンブルジャンキーかお前は!
走って追いかけるも、信じられない速度でコイン売り場に走っていく。
俺が辿り着いた時には、全財産は100枚のコインに替えられていた。
「へっへっへ。これで一回100コインのスロットで当ててやるぜ!」
そう言ってスロットのほうへ行く。…もういい。好きにしてくれ。ボロンゴ、疲れたろ。僕も疲れたんだ…。

585 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/06(火) 00:24:24 ID:5v0nYTh10
数分後、エテポンゲはスタスタとこちらに戻ってきてすれ違いざまに俺の肩を叩いてこう言った。
「中々楽しかったぜ。」
一瞬殺意を覚えた。こいつ、装備や道具を買う為の金を100コインスロットで一瞬で消しやがって。

さて、今日はもう宿屋で休みたいが、金がない。どうしよう。
俺が考えていると、エテポンゲが突然歩き出した。
「金なんて魔物を倒せば手に入るだろ。待ってろ。」
エテポンゲが一人で町を出た。まあこいつのせいで2000Gすったんだから、これぐらいは当然だ。
数時間後、町に戻ってきたのは、本物のゾンビの如く地面を這って水を求めるエテポンゲと、ギリギリの宿屋代(4人で48G)であった。

Lv17
HP89/89
MP35/35
武器:鋼の剣 鎧:鉄の鎧 兜:鉄兜
呪文;ホイミ、バギ、バギマ、ギラ、スカラ
特技:はやぶさ斬り、火炎斬り、正拳突き

586 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/06(火) 01:42:28 ID:buVityjU0
>>ローディ
めちゃワラタww
エテがイイ味出してるなぁ

>>アミ
絵もウマいっすね
物語も絶好調な感じ
アミタソ好きだー

587 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/06(火) 03:37:59 ID:ozqwM9xkO
良スレ発見
自分でも書いてみたいと思ったが、みんなクオリティ高杉てむりぽ

588 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 00:23:49 ID:nCbjRJ04O
>>587
ユーやっちゃいなよ!

589 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 19:45:58 ID:8PlDYnuv0
>>魔神
全然感想かかれてないね、いまいちだとは思うけど。

590 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 21:35:16 ID:dY3KH3uYO
ダークヒーロー路線も(・∀・)イイ!!と思うぞ。
がんがれ
(・∀・)つ魔神

591 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/07(水) 22:57:27 ID:q2rPUAv70
次の日の朝、町全体がざわついていた。何か事件に匂いがする。
…しまった!水場の管理人を気絶させた事か!?それはまずい。早くエテポンゲを真犯人としてつき出さねば。
話を聞くと、どうやら違うようだ。城の王子コリンズが行方不明らしい。
それは大変だ。まあ頑張ってくれ。エテポンゲがさらったのではない限り、俺はそんな面倒事には関わらないつもりだ。
荷物をまとめて旅立とうとすると、町の出口に一人の少年が立っていた。
緑の髪で、貴族っぽい服を着ている。王様ごっこでもしているのか?
「おい、お前!」
話しかけられた。ギブミーチョコレート少年か?チョコはないが腐った死体パンなら買ってやろうか?
…しまった。今文無しだった。1Gの腐った死体パンすら買えない。エテポンゲでも差し出すか?
「お前昨日水場にいた奴を一発で倒した奴だろ。」
ああ、あいつか。あれはエテポンゲが倒したんだが…。まあエテポンゲが倒せるなら俺でも一発で倒せるだろう。俺はああ、と言った。
「お前たちはしらんだろうが、あいつは一ヶ月前から水場を占領していた奴なんだ。中々手強くてみんな渋々金を出して水を買っていた。」
あのスマイルデブが?そうは思えん。ただの雑魚にしか見えなかった。エテポンゲに倒されたから尚更そう見える。
「その腕を見込んで頼みがあるんだ。」
「だが断る!」
エテポンゲが少年の頭を押しのけて町を出ようとする。
「いたた!何するんだ!俺は王子ヘンリー様だぞ!」
エテポンゲが分かった分かった。と流している。いくら子供といっても、王子にこの態度とはある意味尊敬する。

592 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/07(水) 22:58:01 ID:q2rPUAv70
「ふん!お前はいい!おいお前!頼みを聞いてくれるな!?」
ヘンリーは俺を睨む。面倒だが、ここで嫌だと言えば何をされるか分からないので、一応聞く事にした。
「よし。俺の弟コリンズが行方不明になった事件は知っているだろう。あれは実は昨晩魔物にさらわれてしまったんだ。」
魔物…。このパターンは魔物退治か。まあ今の時点では頼みを聞くという約束だけで、引き受けるとは言っていないのでもう少し聞いてやろう。
「魔物はここから西にある塔に行ってしまった。お願いだ。魔物を倒して弟を取り戻してくれ。」
やはりか。子供の考えは読み易い。そして騙し易い。断ってやるか。
「報酬は30000Gだ。前金として10000Gをやる。」
「引き受けましょう!王子様!!」
エテポンゲがヘンリーの手を握る。態度変わりすぎだろう。
ヘンリーから10000Gを貰った。紫のローブをまとい、不気味に笑っている魔道士の絵がかかれてある。
ヘンリーは頼んだぞ!と言い残し城に戻っていった。
俺は速攻で武器屋へ行き、俺用に破邪の剣、ボロンゴ用に鋼の牙、ドランゴ用に鉄の鎧を買った。
ドランゴに装備できる鎧など普通に考えてないが、ちゃんと用意されてあるのがこの何でもありの世界だ。
因みにエテポンゲはずっと裸一貫だ。装備など必要ない。





593 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/07(水) 22:58:38 ID:q2rPUAv70
西の塔に到着する。町からはそれ程遠くなく、水の消費量も少なかった。
中には火を吹く竜の像がいくつも設置されており、火を避けるのが大変だった。
当たっても回復すればいい、という選択肢はない。
何故なら、像の近くでアームライオンと戦っていると、像に近づいたアームライオンが火の直撃を受け一瞬にして燃え尽きてしまったのだ。
あまりに強すぎる炎。史上最強。向かう所敵無しである。この像を持って旅をしたい。
何とか像を潜り抜け、最上階に辿り着く。
ボスのお出ましかと思ったが、オークとキメーラが襲い掛かってきた。前座という訳か。
こんな奴ら一瞬で倒せるだろうと思っていたが、これが意外と強い。
いくら攻撃してもキメーラのベホイミで回復される。鬱陶しい。
仕方ないので、エテポンゲがオークを挑発し、その間に三人でキメーラを叩くという作戦に出た。
オークがエテポンゲに必死で攻撃するが、エテポンゲは軽くかわす。オークは鼻をブヒブヒ言わせて怒っている。豚か。
キメーラをボロンゴでかく乱させ、混乱したところをドランゴと俺が攻撃する。
俺の攻撃では死に至らなかったが、ドランゴの強烈な一撃で絶命してしまった。
エテポンゲはまだオークを挑発している。エテポンゲも体力がなくなってきたせいか、時々攻撃をくらっている。いかん。さっさと倒してしまおう。
俺は後ろからゆっくりと近づき、オークの肩を叩いた。
「ん?」
オークが振り返った所に俺のバギマが炸裂する。オークの体が宙を舞い、天井に頭をぶつけて地面に落ち、絶命してしまった。
倒し方がエグイかもしれないが、その辺は気にしたら負けである。

594 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/07(水) 22:59:09 ID:q2rPUAv70
俺はダメージを負ったエテポンゲにベホイミを施す。
実は、町からここに来るまでに練習し、習得したのだ。結構時間はかかったが。
奥に進む。さっきから俺達を見ていたボスと思われる奴にゆっくりと近づく。
よく見ると、ボスの容姿は10000G札に載っていた奴に似ていた。
「ほっほっほ…。ようこそデモンズタワーへ。待っていましたよ…。」
魔道士が不気味に微笑む。俺はこの魔道士から底知れぬ魔力を感じた。
「私はあなた達に会いたかった…。近頃強い魔物を次々に倒しているという魔物使いがいると聞きましてね…。王子をさらったのも、あなたに会えると思ったからです。」
なるほど、それで俺達がこれ以上調子に乗らないように、殺そうという訳か。面白い。
「まあ、強い魔物と言っても所詮それは人間レベルでの話…。私たち魔族の世界ではせいぜい下の中といった所ですか…。」
「そうだな…その程度だろう。あんな魔物が強いなんていったら俺はがっかりだぜ。」
エテポンゲが一歩前に出る。
「随分自信がおありのようですね…。しかし、先程の戦闘を拝見させて頂いて、答えは出ました。」
「ほう…。お前は俺たちに一瞬で殺される、という答えか?」
魔道士はニヤリと笑い、少し間をあけて言った。
「…あなた達の力は、私の部下二人、いや一人にも及ばない。」
その瞬間俺は背筋が凍りついた。
「面白い…。ならやってみるか?」
エテポンゲが構える。
俺は嫌な予感がした。奴の言っている事は当たっている気がする。そう感じたのだ。

595 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/07(水) 22:59:41 ID:q2rPUAv70
「いいでしょう…出でよ!ジャミ!ゴンズ!」
次の瞬間、落雷と共に紫の鬣の馬ジャミ、盾を持っている紫の豚ゴンズが現れた。
よく見りゃ1000G札と5000G札に載っていた奴らじゃないか。そんなに有名なのか?
「へっへっへ。お前らなんざ俺達で十分だぜ。」
ゴンズが嘲笑う。ジャミも同じく明らかに俺達を見下していた。
「死んでも恨むなよ!」
エテポンゲが一直線にゴンズに突っ込む。
「遅すぎる!」
ドガッ!!!
ゴンズが繰り出した拳は、エテポンゲの腹を抉る様に打ち込まれていた。
「あが…が…。」
エテポンゲがその場に倒れこみ、気絶する。
「へっへっへ、こんなもんか?」
ゴンズがニヤニヤと笑う。
まさか…ここまでとは…力の差がありすぎる…。
「ググ…ナメルナ…!」
ドランゴがバトルアックスをジャミに向かって振り下ろす。
「おっと。」
ジャミはその巨大な斧を片手で受け止めた。
「おねんねしてな!魔族に刃向かう悪い子が!」
ジャミの回し蹴りがドランゴに炸裂する。ドランゴは勢いよくその場に倒れこんだ。
次々と仲間が突っ込んでいく中、俺はというと、完全に震えていて動けなかった。
どうあがいても勝てない。そう悟った。

596 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/07(水) 23:00:34 ID:q2rPUAv70
「グルルル…!」
ボロンゴが牙を剥き、魔道士達を睨む。
やめろ、ボロンゴ!殺されるぞ!
が、俺の叫びも虚しく、ボロンゴは敵の中心に突っ込んでいった。
結果は、言うまでもなかった。
ゴンズの頭突きで口から大量の血を吐き、その場に倒れ気絶するボロンゴ。
そして遂にこちら側で立っているのはただ一人、俺だけとなった。
「ほっほっほ…。後はあなただけですね…どうしますか?逃げてもいいんですよ?」
………。
「どうせ初めから殺すつもりなんだろ…さっさと殺せよ…。」
俺は死を覚悟した。
俺の様な一般人が少し強くなったところでどうにかなるようなものではない。
それが可能なら、もうとっくに実力者たちが集結して魔族を壊滅させていただろう。
魔族に刃向かうなど、愚か過ぎる行為だったのだ。
「諦めましたか。しかし下の中程度の魔物を倒されたと言っても支障が出るわけではない。命はとりません。ただし…。」
魔道士は倒れているボロンゴ達を一人ずつゆっくりと見て、再びこちらに向き直す。
「ただし石になってもらいますよ。魔族にとって邪魔な存在に変わりありませんから…。」
魔道士がゆっくりとこちらに掌を向ける。
「最後に…。」
「ん?」
「最後に聞かれてくれ…お前の名前を…。」
魔道士は少し考え、俺の目を見つめ不気味に微笑んだ。

597 :ローディ ◆qdB5QYIaRc :2005/12/07(水) 23:01:08 ID:q2rPUAv70
「ゲマ…。次期魔王三大候補の一人…。」
ゲマの掌から灰色の煙が放たれ、俺の体を包んだかと思うと足の先から徐々に石化しだした。
それ以降、俺の意識は完全に途絶えた…。

「この二匹は元々凶悪な魔物のようですね…。かなりの実力があるようなので利用させてもらいましょうか。」
「こっちの腐った死体はどうしますか?」
「一見腐った肢体に見えますが、一応人間のようです。…こうしてしまいましょう。」
ゲマが掌をエテポンゲに向けると、エテポンゲの体が光の包まれ、ふわりと宙に浮いた。
「バシルーラ!!」
次の瞬間、エテポンゲの体が動き出したかと思うと窓を突き破ってどこかへと飛んでいった。
「魔族に刃向かう人間はこうなるのです。では行きましょうか。ほっほっほ…。」
そうして、ゲマ達はボロンゴ、ドランゴと共に消えていった。
石化した俺一人を残して…。

第一部 終

Lv18
HP93/93
MP39/39
武器:破邪の剣 鎧:鉄の鎧 兜:鉄兜
呪文;ホイミ、ベホイミ、バギ、バギマ、ギラ、スカラ
特技:はやぶさ斬り、火炎斬り、正拳突き

598 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 01:29:48 ID:5JqD+NkLO
ヤベェェェェェ!!!!
オラわくわくしてきたぞ!!!!

599 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 02:28:45 ID:BPMnCQFvO
ツヅキミタイ
ソウキュウニタノム

600 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 15:47:14 ID:UfSDeH9I0
ツヅキガミタイよ

601 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 18:30:17 ID:5JqD+NkLO
早急じゃなくていいから確実にうpしてくれ!頼む。
ヌカ喜びだけはさせねぇでくれorz

602 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/08(木) 21:27:15 ID:x4FNczCa0
586
アリガト!嬉しいよ(ノД`)
前の文で間違いがありました。
○180度
×360度
盛り上がっている中失礼ながら投下します。

603 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/08(木) 21:29:06 ID:x4FNczCa0
目を開けると目の前に城が飛び込んできた。
城、といえば日本なら姫路城とか彦根城(いずれも国宝)が思い浮かぶし、西洋風なら崖壁に聳え立つドイツやフランスの城が思い浮かぶ。
目の前にあるのはどちらかというと西洋風の城だがあそこまで華美ではない。
白い壁に群青色の屋根。入り口には色とりどりの花が植えられ、目を楽しませる。
城、というよりただ大きい家、という感じ。他国が攻めてきたときに応戦出来るように壁に大砲口や防御の為の鉄柵や堀もない。せめて高い城壁でもあれがいいがそれすらない。
これ…だいぶ設計ミスだと思うんだけど…。ここを攻められたら1日も持たず陥落させられること受け合いである。
城門にはただ物々しく兵士が2人立っていた。青銅の鎧を着込み、ホーリーランスを携えた兵士。あまり様になっていない。
あたしたちの姿を見ると同時に背筋を伸ばし、敬礼した。
「アリーナ様、無事にお帰りで!」
「アリーナ様、お聞きになりましたか、王様が…」
「聞いたわ。今から行くところよ。開けてもらえる?」
はっ!と威勢良く返事をすると兵士たちは城門を開ける。
中は思ったより広い。
天井は高く、高名な画家が描いたであろう天井画が一面に張り巡らされている。
その天井を支えるのは丸太程の白柱。入り口から左右規則正しく並んでいるが、そのうち一本真ん中から折れているのはどこぞのお姫様が戯れで壊したもの。


604 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/08(木) 21:31:03 ID:x4FNczCa0
足場には赤の天鵞絨、金糸を使った豪華な絨毯が真っ直ぐ二階への階段に続く。
窓は見当たらないがその代わり蝋燭を大量に利用し城の中を明るくする。蝋燭台は職人の手により細かな細工が施されている。素材は真鍮、黒ずみやすいものだが手入れされているので輝きは色褪せていない。
外観と同じ、城内も白色の大理石でまとまっている。それ故に花の色が映えるのであろう。
初めてみる城の内部に、はーっとかほーっと感心しているあたしとは対象に、アリーナは始終無言。クリフトやブライは久々に帰ってきた城に安堵した様子。
寄り道もせず真っ直ぐに歩き、二階へ上がる。
階段を上がるとすぐ観音開きの戸が現れ、両手で開ける。(やたら大きい。取っ手なんぞ鍍金ではなく黄金で出来たもの。大理石ではなく本革を貼り付けて高級感を演出。それがここに王がいると予感させる)。
謁見の間。
赤い天鵞絨が床いっぱいに広がる。入り口から王座までおおよそ50m程。フル装備の兵隊が何人か警護にあたっている。
二階は一階と違い大きな窓が壁を占め、太陽光が差し込み明るく部屋を照らす。
王座の左右には水場が設けられ、水瓶を右肩に担いだ少年の顔をした有翼人像の水瓶からは絶えず水が流れ水面に波紋を投げかける。
水が生み出す霧に周りの植物たちは生き生きと大輪の花を咲かせる。
謁見の間というよりは、憩いの場として、会議場として、または舞踏場として、活用出来る多目的スペース。


605 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/08(木) 21:35:49 ID:x4FNczCa0
頭上を臨めば水晶と金細工で作られた精巧且つ巨大なシャンデリアがいくつも飾られ、夜になればキラキラと輝き高級感溢れる部屋の演出に一役買うだろう。
流石一国の領主がいるだけあって、ものは豪華だし掃除は行き届いて清潔感はあるし、いて心地よい。
感動しているあたしを見てアリーナは苦虫を噛み潰したような顔をした。
城の広さ、大きさ、職人たちの匠技。パンピーから見れば目を輝かすものばかり。生まれながらのお姫様にわかるものか!
王の姿を見るなりアリーナは走る。あたしも続く。
「お父様!」
王冠をかぶり、赤いマントを着込んだいかにも王様といういでたちの王に飛び込むアリーナ。
「おお、アリーナ様!大変なことになりました。王の声が出なくなったのです。筆談も試しましたが、手は震えてとても…!医者にも看ていただきましたが原因不明。この国は王で保っています。ああ、どうなるのでしょう…!」
「あなたが、大臣がそんなに取り乱してどうするの!」
大臣と呼ばれた恰幅のよい男は一喝するアリーナにびくりと身体を震わせる。
「医者にでも判らない…?何の病気でしょう。私に看させてください」
クリフトが名乗り出て王の口や舌を覗き込み、舌を出したり引っ込めたりしてもらう。怪訝な顔をして、特に発熱や外見や口に異常は認められませんと首を振った。
「お父様…声を出してみて」
娘の要望に答えようとするが、うまくいかず、歯を噛み締める王。
「何で?どうしてなの?」
アリーナの問い掛けに勿論答えられない王。パクパクと口を動かすばかり。


606 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/08(木) 21:38:57 ID:x4FNczCa0
「最近までは身体共に良好でおりましたがある日、あまりにも毎日同じ夢をみると申し上げ、それを私に伝えようとしたときから声が出なくなったのです」
大臣が焦りながら言う。
「王はご病気でと近隣国に鞭撻しておりますが、このまま意思を伝える手段がないと近隣国との会議や会合に摩擦がおきかねまする…」
どうも…いきなり声がでなくなったというもの。病気ではなさそうである。
「奇怪な」
ブライが考え込む。
「儂は分からないがこの城にいる物知りゴン爺ならもしや声が出ない時の対処法を知っているかもしれないな。ゴン爺は城の裏手におる」
「行くわよ!そのゴン爺の元へ!」
アリーナはこの城の屋根と同じ群青色のマントを翻し、颯爽と城を出た。
城の裏に回り、ゴン爺の部屋と思われるべきドアにノックするが返事が返ってこず。ドアノブを引くと鍵が掛かっていて開かない。
アリーナはあのメイから貰った鍵を取り出しノブに差し込み回すと、かちゃんっと音を立て施錠が開く。どうやら一致したようだ。
中には城のあの豪華さはなく殆ど物置のような部屋でブライより更に年老いた老人が1人椅子に腰掛けていた。
ゴン爺に王の声が出ないから治療方法をと聞くといきなり取り乱し、この国もおしまいじゃ!と泣き喚いた。


607 :アミ ◆/MA4zYDgBI :2005/12/08(木) 21:42:23 ID:x4FNczCa0
落ち着かせるとサランの町にいる吟遊詩人マローニも昔喉を痛めたことがある。今は綺麗な声で歌を歌っているから何かわかるかも、と教えてくれた。
声が出ないのと喉を痛めたのでは似て非なるものだが今はそれしか情報がない。今度はサランへ急ぐ。
サランの町はあたしが来た頃から何も変わっていない。
クリフトやブライが城へ帰って安堵する気持ちが分かる。あたしはサランの町に懐かしさを覚えた。
あの頃と今。少しは成長したかな…。
感傷に浸る間もなくマローニの元へ急ぐ。
「そうです、私がマローニです。え、王様の声が出なくなった?ええ、それは隠密ですね」
判ったようなことを言い、紫色がかった長髪をふわさっと後ろに流した。
「で、私の声がどうして美しいといいますとね、昔声が出なかった時がございまして、定期的に行われる砂漠のバザーでさえずりの蜜を購入して舐めたら声がよくなったのでございますよ」
「今開催している砂漠のバザーよね?」
「そういえば今開催しておりますよね。あるかもしれません。蜜は即効性がありますから嗄れた声などすぐよくなりますよ」


608 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/08(木) 21:45:46 ID:x4FNczCa0
「わかった。行ってみる。情報をありがとう」
「お気をつけて。一刻も早く王様の声が戻ることをここで祈りを込めて続けていましょう。ララ〜♪」
マローニ、確かにイイ声をしているんだけど、やたらキーが高いんだよな…。
「ブライ、聞いたわよね。もう一度、砂漠のバザーへあの呪文を」
「判っておりますとも。さぁ、唱えますぞ。ルーラ!」
目を開けると、あの砂漠のバザー一瞬にして着いていた。
「おい、おまい!蜜キボンヌ」
「うはwwwねぇよwwwうぇwうぇww」
「ちょww」
そこらの露天商のおっちゃんに聞いたらわからんかなと思ってわざわざバザー開催者に聞いたのに…。
「昔はあったが最近はないなぁ。その蜜、さえずりの塔で採れるんだよね〜」
「さえずりの塔?」
「この砂漠を出て南西に向かい、半島にある。塔の一番上でエルフが花から蜜を採っているんだ。これは技術的に人間には不可能でさ。貴重なもんだ。エルフと物々交換して手に入れていたが最近はエルフがこないからものもないんだ」
そうか…。なんだか絶望的だな。


609 :アミ ◆36yZlE15gs :2005/12/08(木) 21:52:31 ID:x4FNczCa0
「どうします?」
困り顔のクリフトがアリーナに問う。
「…行くわ。もしかしたらいるかもしれないし…行ってみなければ判らないでしょ。行って諦めがつくのと、行かないで諦めるのは違うでしょ、例え結果が残念でも…。だから、行く」
ブライとクリフトは頷いた。
前から思っていたけど、彼女、やると思ったらやるという人なんだな。意志が強いというか。
自分が持っている力を、可能性を、何より自分自身を信じているからこその意志。
そんな彼女が彼女であるうちはこれからも強くなれる。
だけどこれだけは忘れないで。
あなたが最大限に自分の力を発揮出来るのは、あなたを全肯定し、サポートするブライとクリフトがいるからこそ。
そして、弱音を吐きたいときに吐ける強さもあるんだと。

610 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:29:26 ID:TYYarTqo0
嘗て。
戦いがあった。竜神と、魔帝。
この二柱は烈しくぶつかり合い、空は鳴動し、海は裂け、大地は割れた。
竜神マスタードラゴンと、進化を極めた地獄の帝王エスターク。
勝負は幾年、幾十年、幾百年にも及び、それでもマスタードラゴンはかろうじて、エスタークを地の底に封印する事に成功する。
帝王は長い眠りに就いた…。



クリフトが語る物語は、神話、と呼ばれる話であり、一般人に取ってみれば寝耳に水、と言って良いレベルのものだった。

「それが…今、復活しようとしているの?だけど、どうして…」

アリーナの問いに、今度はミネアが答える。
彼女の足は、急がなければならないと、この中で誰より理解しているというのに、決して早いものではなかった。

「アッテムトには、鉱山がありまして…金が出るという事で、とても栄えた町でした。
毒性のガスが出て、人が倒れる事も少なくないにも関わらず、金を求める人は後を立たず…。
人が集まれば、今度はその人達を目当てに色々な商売を担う人がやってきて…その連鎖で、良くも悪くも、賑やかな…。
ですが、最近は金の出る量が減り、鉱夫の数が減ると共に町も少し賑やかさが減ってきて…いたの…です、が…」

「ちょっと、ミネア?大丈夫?」

苦しそうに息を吐くミネアを、マーニャが気遣う。
だが、それも無理は無いだろう。
アッテムトと呼ばれる、嘗て栄華を誇った鉱山都市は、今や見る影も無い。
毒と、腐敗と、絶望が渦巻く死の都でしかなかった。
最盛期の頃とも違う、マーニャとミネアが訪れた時とも違う。
広大に広がる毒の沼地の中には、まだ新しい死体もあれば腐りかけのもの、それどころか人骨すら無造作に転がっている。
大気は鉱山から噴き出すガスで染められ、うっすらと紫がかっていた。
そして、まだ生きている人は…中には死にたくなければこの町から出て行けと忠告してくれた老婆や、この地獄においても人を救おうとする神官の姿も見えるものの、
その大多数は既に死を悟り、ただその時を待つ肉塊と化してしまっていた。

611 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:29:58 ID:TYYarTqo0
「地獄の帝王、エスターク…まさに、ね。今やこの街は地獄そのものだわ…」

ぽつりと呟いたマーニャが、ミネアに此処で待っているように諭している。
一応、宿屋の建物の中はガスも入って来難いのか、まだマシな環境だと言えた。
ミネアはその強い感受性で、恐らく鉱山の中で待つものに対し、恐れを抱いてしまっているのかもしれない。
それに加えて、このガスは繊細な彼女にはかなり厳しいものとなっている。

この雰囲気は、そう…あの時に、似ている。
一番最初、ソフィアと出逢ったあの山奥の村。
さっきまであった生き物の気配が、一瞬で消え去ったあの空虚さと、この町での生物がもがき、苦しむ姿をまざまざと見せ付けられる様は、
どちらがどうと言うには、少々相応しくないだろう。
俺はちらりとソフィアへと視線を送った。
彼女の細い肩は…小さく震えていた。
手を、置こうかと。少しだけ逡巡して…止める。

しかし、そうなると鉱山に潜るメンバーの選出はどうなるだろうか。
大人数で潜るには、坑道は狭すぎる。身動きが取れなくなり余計な危険を招く恐れもあるので、やはり半分程度の人数で赴くのが望ましい。
ミネアがいけないとなると、やはりマーニャが途中までの道を知っている唯一の存在になる。
更にクリフトも外せまい。治療に長けた者を外せるほど、楽な相手とも思えないので。
…ま、もし噂のエスタークがお話通りの力を持っているのなら、正直逃げるしかないかもしれないが。
それに、一行のリーダーでもあるソフィア。実力を考えれば、ソロもまた参加となるだろうか。
後はライアンか、アリーナだが…。

「…ふむ、そうですな。ここはアリーナ姫にお任せいたしましょう」

「良いの!?ありがと!」

嬉しそうにぴょんと跳ねるアリーナ。全く、そりゃあれだけ眼で行きたい行きたい訴えてればそうもなるわな。
恐らく、実力で言うなら…現段階では、ライアンの方が良いのだろう。
俺はさりげなく、ライアンに本当に良いのかと訊ねてみた。

612 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:31:37 ID:TYYarTqo0
「ええ。…これは私の戦士としての勘、なのですが。
アリーナ姫にはまだまだ、伸びしろが沢山あるように思うのです。それこそ、年を取った私よりも。
それはきっと、更なる強敵との戦いの中で…開花するのではないかと。
そうすれば、その力は一行の助けとなる筈です」

ソロやソフィア、そしてクリフトと共に、一緒に行ける事を喜ぶアリーナを、
ライアンは面映そうに、その皇帝髭をしごきながら見守っていた。

「こちらに残る皆の事は私にお任せを。
貴公は、彼らを見守っていてください」

……誰に言ってんだ、この中年戦士は。

「ほら、行くわよ!」

何かを言う前に、マーニャに腕を掴まれずるずると引き摺られる。
ぬおーっ、助けてトルネコさん!!

「ハハ、私が行ってはお腹がつっかえてしまいますから」

爽やかに笑って言うデブ。
痩せろやああああああああ!!!!
俺の叫びは地獄への入り口の中で反響し、やがて消えていった。



坑道内は、町よりも更に濃い紫がかった霧が充満していた。
服の裾を口元に当てて、直接吸い込むのを防ぐ。とはいえ、魔物が出てきた時はそうも言ってられないのだが。
いずれにせよ、速く脱出したい所である。
途中までの道のりはマーニャが知っている事もあり、すいすーいと進む事ができた。

613 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:32:04 ID:TYYarTqo0
「…前に来た時は、確かここまでしか道が無かったわ」

マーニャが足を止めた先にも、更に奥に坑道は広がっている。
無言で進める行程――地の底へと進んでいくような道のりの果てに、やがて坑道は終わりを告げ俺たちの眼の前にぽっかりとした巨大な空間が広がる。
地下に此処までの空間が広がっているとは思いもしなかった。

それは城だ。
俺たちはデスパレスを見ていたから、ただ、その威容だけで足がすくむという事は無い。
だが…何なのだろうか、この…威圧感は。
身体が押し潰されてしまいそうなプレッシャー。
城の内部から漂う、生き物全ての生殺与奪を握っているかのような気配…。
居るのだ。この中に、地獄の帝王が。
主の居ない城と、居る城とでは此処まで違うものなのか。肌で感じられるのは、果たして良い事なのか悪い事なのか。

仲間に視線を送ると、皆、一様に蒼白な面持ちでこの帝王の城を見上げている。
マーニャはその中で、ふと坑道の端に倒れていた工夫へと歩み寄り、膝を屈めた。
それはもう、九割九部死んでいるただの肉であり、それだというのにうっすらと――歌っている。
欲望への賛歌を。

「金、金、金……人の欲望が、地獄の帝王を復活させるきっかけになるだなんて……笑っちゃうわね。
この土地に金が眠っていたっていうのも、出来すぎた話だわ」

皮肉気に嗤うマーニャを見て、俺は少し逡巡する。
進化の秘法…錬金術…金を生成する学問では無いとはいえ、それがある種代表的な事例になっているのは間違いない。
地獄の帝王エスタークが進化の秘法を極める程に、錬金術に長けていたのだとするなら、あながち相関関係が無いとも言い切れないのか。
封印されていながら、何かできたのかどうかは解らないが…。

耳が痛む程の静寂の中を、靴音で破りながら城へと突入する。
デスピサロが先行している以上、躊躇している暇は無い。
恐らくは彼らもこの城の内部構造を完璧には把握していないであろうから、そこに活路を見出したい所である。
後ろから俺たちが来ている事にも気付いていなければ、足も遅い筈だ。

614 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:32:53 ID:TYYarTqo0
途中に転がっていたガスの噴き出すツボを拾ったりしながら、やがて俺たちは辿り着く。
彼の帝王の、御前に。



「――これが、地獄の帝王、エスターク……」

大きかった。
あの変成したバルザックよりも更に巨大な、青い身体。
角が生え、突き出たショルダーガードのような外郭が見える。
両の手には、軽く反りの入った剣。

だというのに――静かだ。
恐ろしいまでの静寂の中、実はアレは石像か何かなのではないかと思う。いや、そう思いたいだけか。
僅かに揺れる身体を見れば、確かにアレが生きている事が解る。解ってしまう。

「眠っている…?」

クリフトがぽつりと呟いた。
それでようやく、俺たちの間に時間が流れ出す。

「なら、やっちゃうわよ、幸いあの美形もまだ来て無いようだしね!」

ばっと鉄扇を開き、術の詠唱に入るマーニャを皮切りに、ソフィアが、ソロが、剣を抜き、アリーナが跳躍する。

「範囲物理障壁(スクルト)!!」

クリフトの援護が皆に届く中、特大の火球がエスタークに直撃する!

615 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:33:20 ID:TYYarTqo0
「やぁ!!」

火球が着弾した箇所に爪を突き立てるアリーナ。
それと時を同じくして、それぞれ足を切り裂くソフィア、ソロ。
皮膚が焼ける匂い、裂かれる皮、噴き出す体液。
効いている…!そう確信した俺たちは、攻撃の手を休めない!

ブライから教わった俺の速度上昇(ピオリム)が更に皆を加速させる。
特に、ソフィアとアリーナの動きが顕著だ。
速い。最早、それは残像でしかない。彼女たちの攻撃は時に、重さが足りなくなりがちだが、攻勢力向上(バイキルト)がそれをも補う。
文字通り血煙を吹き上げるエスターク。いける…!そう、思った矢先であった。

カッ!!!

エスタークの身体から、光が溢れる。
そう、それは光であったから、光ったと思った瞬間には――既に、俺たちの身体に到達していて。

灼熱する。

俺はいつのまにか、床に倒れこんでいた。
かろうじて首を折り、辺りの様子を窺う。だが、そこに立っているのはエスタークただ一人。
仲間達は皆、一様に床に倒れ、身体を起こそうともがいている途中であった。

一体何が起きたのか。
それすらも俺には解らなかったが、だが、今から始まるものこそが――真の地獄に相違ないと、そう思う。

エスタークが、両の手を振り上げる――その巨大な鉈のような剣が、無造作に、まるで何事もないかのように。
振り下ろされた。その下には、ソフィアと、ソロの姿。

616 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:33:57 ID:TYYarTqo0
ゴッ、鈍い音と共に剣が大地に埋まり込む。
俺は最悪を予想しソフィアの名を呼ぼうとした。だが、喉が焼け付き上手く声が出ない。
ゆっくりと持ち上がる剣――沈んだ床の中央に、横たわる二人の身体。
一瞬、浮かんだ青白いスクルトの光が、圧力が無くなると共に再び姿を消す。
補助魔法はかなりの効果を生んでいる。それを確認した俺は、すぐにソロへの攻勢力向上を練り上げる。

「――タァァァァァ!!!」

エスタークのターゲットから外れたアリーナが雄々しく勇躍する。
彼女は大地と、エスタークの身体をすら蹴り上がり、顔面へと肉薄した。
繰り出される脚線による曲線美。メシリ、鈍い音が響く!
だが、まるで揺らぐ事無くその彼女に向かって繰り出される剣。迫る凶悪な刃を前に、アリーナの胴と足が血液による泣き別れを演じる姿が思い浮かぶ。

それすらも、杞憂だ。
彼女はまるで柳の枝のようなしなやかさで、その剣の勢いを利用し更なる速度でエスタークへと肉薄し、炎の爪を突き立てる!!

「…信じられない、あの剣の刃に足を当てて…勢いに逆らわず、斬られる事も無く、やり過すだなんて…」

身体を起こしたマーニャがぽつりと呟いた。
それも無理は無いだろう。今のアリーナは、スクルト、バイキルト、ピオリムを受けまさに鬼神と化している。
エスタークが目線に入ってくるアリーナに気を取られた、その隙に。
ソフィアが入れた切り口に、バイキルトを受けたソロが全力で剣を叩きつける!
傾ぐ、巨体。膝が折れる――彼の、地獄の帝王が膝を折った!

いける…!そう思わせるに十分な一撃に、誰もがそう思った刹那。

突き出される帝王の剣の柄。拳――否、指先から、心身を凍てつかせるかのような波動が迸る!

「え…力が…抜ける…!」

「補助呪文が…!?まずい、ソフィア!アリーナ!下がれ!!」

617 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:34:29 ID:TYYarTqo0
ソロの叫びに反応し、二人が後方に跳躍する。
しかし――それすらも、帝王は予測していたかのように。
凍える吹雪がフロア一面を覆いつくす!
急激に下がる気温に身体が凍てつき、固まった皮膚を雪が、細かい氷が縦横無尽に引き裂いていった。

これは…マズイ。
攻撃が広範且つ、強力過ぎる。
クリフトもソロも、自分の治療で精一杯になってしまえばいずれ女たちが倒れ、その後は…。
まさか補助魔法が全て打ち消されるなんて…それが解っていれば、最初からこまめに治療の術を撒いていったというのに。

「ごめん、なさい…」

ソフィアがぽつりと誰にとも無く呟いた。
今迄の戦術が上手くいっていたから、今回も。それは決して間違いでは無かったろう。
それでも、彼女は一行のリーダーとして、謝ったのか。

「…いえ、謝る事はありませんよ」

彼女に優しく笑いかけ、そう呟いたのは緑色の神官だった。
彼は素早く身体を起こし、一度ずつ、皆に向かって掌を向ける仕草をする。彼の手から、暖かな波動が響いてくるかのように。
その都度、仲間達の身体を淡い光が包んで行く――。

「――集団治癒(ベホマラー)」

神官が力を篭めた言葉を呟くと、光が一斉に弾け、皆の身体に染み込んでいく。
それは見事な、更なる逆転劇、治療の術は一人ずつという既存の価値観を打ち破る、独創性の勝利か。

「凄い、凄いわ、クリフト!」

「いえ、まだです、姫様。エスタークは未だ膝をつきながらも立っている。
勝利をお掴みください!治療は私にお任せを!」

618 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:34:58 ID:TYYarTqo0
こちらをも見ながら頷くクリフトに対し、俺もまた腰の剣を抜く。

切る、斬る、キル。

ソロが、アリーナが、俺が、そしてソフィアが。
治癒をクリフトに任せ、全力で斬りつける。
巨大な剣が、凍える吹雪が、俺たちの身体を切り裂くが、その度にクリフトが背中を支える。

ズドォン!

一際派手な音はマーニャの火球だ。
彼女の術は、コンスタントに、且つ、止まる所を知らず次々と生み出され、帝王を焼き尽くさんとする。

「ヤァァァァァァ!!!」

幾度、幾十度にも及ぶ攻撃の末に、遂に、ソフィアがエスタークの額に剣を衝き立てる。
それが合図かのように――蒼い、エスタークの身体が、ゆっくりと変色していき……やがて、その動きを止めた。

「…やった…の…?」

「恐らくは、な。完全に消滅させる事は、彼の竜神でも出来なかった所業だ。
これで、暫くは眠りから覚める事は無い…と、思いたいが。後でミネアやブライさんにも調べてもらうか」

注意深く動きを止めたエスタークの様子を窺っていたソロが、ふっと一つ息を吐いた。
それを切欠に、喜びが弾ける。

「あー、疲れた!早く戻って汗を流したいわ」

619 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:35:48 ID:TYYarTqo0
マーニャがぱたぱたと鉄扇を仰ぎ、少しでも清浄な空気を近くに寄せようとしている。
ソロがソフィアに近づき治癒を施している間に、アリーナはクリフトの手を取って上下に揺らしている。
今回の殊勲はクリフトだろう。彼の範囲治癒が無ければどうなっていたか…一度に、全員の傷を癒す、その強力な効果は目を見張るものがある。
ずっと修練していたのか。それでも、度重なる使用で彼の精神は極限まで磨耗し、顔面は蒼白になってい――た、筈なのだが。
嬉しそうな姫君を前に、少なからず紅潮しているようにも見えなくは無い。
ご褒美としては、これ以上ないものなのかもしれないな。

今回の戦いは、逆転に継ぐ逆転だった。
それでも、最後の最後にはこちら側に引っくり返せたのだから、とりあえずは由としよう。反省は後でするとして。



此処で、反省していれば。後の事態を防げたのだろうか。



マーニャはエスタークの傍で、睨むようにその巨体を見上げていた。
ソロとソフィアは、まだ少したどたどしいやり取りで互いの無事を確認している。
アリーナは、完全に背を向け、意識はクリフトに傾いていた。

クリフトが気付く。だが、それもまた彼を苛む疲労故に、余りにも遅すぎた。



「……ぇ……?」

アリーナの、小さく可憐な唇から、ついぞ聞いた事のないような、小さく呆けたような声が漏れる。

620 :アッテムト、最奥で待つ者 ◆gYINaOL2aE :2005/12/09(金) 00:37:06 ID:TYYarTqo0
彼女の腹から異物が生えていた。
腕。
まるで母を殺し無理矢理この世に魔が生を受けたかのような、悪魔めいた光景。
噴き出す真っ赤な鮮血が、眼の前のクリフトの紅潮していた頬をしとどに濡らしていく。
逆転する。
コインが、表裏を返るように。
一度は表を向きかけたそれは、今また裏の姿を見せ付けていた。


HP:79/105
MP:23/48
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒

621 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 01:36:55 ID:Vh5/1MFj0
4の人キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

622 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 02:29:17 ID:I7bpCBKu0
◆gYINaOL2aE氏おつ!
続きが非常に気になります…。
ピーちゃんとソロ・ソフィアの邂逅になるのだろうか。

ところで◆gYINaOL2aE氏、しばらく姿を見なかった間は
ロワのほうにいませんでしたか?

623 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 02:33:26 ID:Y48/GlyBO
◆gYINaOL2aE氏、乙!

シリアスな雰囲気の中、
>ぬおーっ、助けてトルネコさん!!

「ハハ、私が行ってはお腹がつっかえてしまいますから」

爽やかに笑って言うデブ。
痩せろやああああああああ!!!!

大爆笑www
そして続きが早く読みたいです。頑張って完結させてもらいたいってのがものすごく希望です。

624 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 08:42:53 ID:lzZvaajM0
◆gYINaOL2aE氏キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!

これからじっくりねっとり嘗め回すように読んでくるッ

625 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 18:48:21 ID:vLjXT3qXO
ところでまとめ人はどこいった

626 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 20:49:40 ID:tUFe4gIJO
このスレって何かのシリーズを元にして話を展開してくのが原則なんですか?
完全にオリジナルストーリーで、世界観がドラクエってのは却下?

627 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 21:16:32 ID:Fzl1E52w0
別に良いと思う、魔神なんかは完全オリジナルぽいっし。

628 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 21:23:55 ID:Fzl1E52w0
ギャグ・シリアス・・・◆gYINaOL2aE氏、レッドマン氏、アミ氏、エイコタン
シリアス・・・・・・・ローディ氏
シリアス・ダークヒーロー・・魔神氏
分けるとこんな感じかな?

629 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 21:32:05 ID:zSss3TZK0
宿屋だったら・・・。
やべぇ、俺宿題終わってないぜ?
学校行って起こられちまうよ;;;
超問題ありじゃねぇ?

まぁ、それはさておき、仲間がいるかどうかがもんだいになるわけで、もしも仲間がいなかったりなんかしたら・・・。
きっと絶望的だろうな。それもレベル1とかで、最終ダンジョン近くとかだったらさ。
マジで死ぬぜよ?

630 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 21:34:24 ID:bKBWrUtp0
まず、宿代を所持してるか確認する。

631 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 22:47:21 ID:tUFe4gIJO
>>627
そっか。
じゃあ今度なんか書いてみようかな、構想練ってからまとめて投下。
多分シリアスな雰囲気になりそうだけど・・・ギャグとか面白いの書けん

632 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:01:18 ID:fM0O3XB30
-3-

「やっと静かになったわ。まあ、ククールのルーラですぐ戻ってくるでしょ」
「ふむ……」
私は寝返りを打った。窓の外に木々が見える。
「あ、ここはベルガラックよ、戻って来たの」
何も言ってないのに、ゼシカが言葉をかけた。
伸び上がって窓の外をのぞいたので、場所を探ってると思ったのだろう。

「ねえエイコ。あなたホントに何者? っていうか、ホントにエイトじゃないの?」
うわ、きたよ。クー坊の次はこいつかよ。
「同じことクー坊にも聞かれたよ」
「何て答えたの? ククールにだけ教えたの?」
へっ?
「クー坊には何も言ってないっつか。別に何も言うことねえし……」
「うそ! だって色々知ってるわ、あなた。どうして?」

ああそうか、冒険を共にする前のエピソードについて、知ってるのが不自然なんだ。
こいつらにとってはあくまで「エイコ」は、
『サザンビークからここベルガラックまで10日程行動を共にした』だけなのに、
マイエラやリーザス、それどころか旅の始まりからのエピソードを知っているのが
不自然に感じてきたのだろう。
しかし、そこをどう説明したらいいか、だから面倒なのはイヤなんだよな。

633 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:02:09 ID:fM0O3XB30
「どういう仕掛けなの? やっぱりあなた……」
「私がエイトだと、困るのはお前さんじゃないの?」
もう具合悪いとか言ってる場合じゃない。何とか言いくるめないと。
「何でよ」あくまで気丈な娘だ。まったく。
「だって、『エイト』だと男なんだよ? 男の人と宿屋に二人っきりで居ちゃっていいのか?」
「えッ?」
今度はゼシカがビックリする番だ。

「いい? 目の前にあるコト、それが現実なの。
 どーしてこうなったかとか、あーしたからこうなったとか、
 考えてもムダなコトってあるのよ。
 私は、ここにいる。ゼシカもいるし、ククール、ヤンガス、馬姫に王様も。
 それが現実なの。しょうがないの」

まるで自分に言い聞かせるような言葉が、私の口からすらすらと流れ出た。


634 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:02:32 ID:fM0O3XB30
「何で色々知ってるか、種明かしするよ。王様から聞いたんだ。
 あんまりいっぺんに教わったから、まだ混乱してるけど、
 この旅であんたたちに起こった事、大体教わったの」
「それじゃ……」
「あなたのお兄さんが残念なことになったこと、
 ククールが仲間になった経緯、
 王様のお城で起こった恐ろしい出来事、
 そして、そのことすべてにドルマゲスが関わっていること、色々聞いたの。
 ゼシカ、あなた若いのに大変な思いをしてきたのね」

ああ、私って詐欺師になれるかも。だってゼシカは胸を打たれたようにうつむいてるもの。

「ごめんね、エイコ。変な事言って。体調は大丈夫?」
「うん、だいぶよくなった。もう少しでククールとヤンガスも戻るでしょ。そしたら出発しよう」
「そうね、エイトと、ドルマゲスを探しに」
私は、ゼシカの固く組んだ両手をそっと手で包み込んだ。

あー、よかった、単純だなガキって。


635 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:03:42 ID:fM0O3XB30

*12日目*

エイコ LV.6 その他変更なし

-1-

「ひゃっほーう♪」
バウムレンの鈴で呼び出したキラパンの背中に乗って、
ベルガラック地方をくまなく走り回るよ。
「おうさま〜、ひめさま〜、ちゃんと付いて来てるか〜?」
「ヒヒ〜ン!!」
「何とか大丈夫じゃ〜」
オッケ、薬草を錬金釜にぶち込むのも忘れるなよ。

点在する宝箱、やたら追いかけて来るスカモン、もれなくミルクをくれる牛。
どんどん北上して、岬の教会に着いた。
あー、やっぱり海が見えるっていいなあ〜。

「んーッ、なあ、あそこの教会で一休みしようよ」
キラパンを野に放し、伸びをしながら提案する。
「そうねえ、今日は結構走り回ったから」
ゼシカも賛成する。
教会の周りは牛が飼われているらしく、草並みもきれいだ。
王様も馬姫も、こういう所の方が休みやすいだろ。


636 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:04:09 ID:fM0O3XB30

教会の中へ入る。中にいた人がちらりとこちらを見ると何故か驚き、
確認するようにじろじろと私を見つめる。な、なんだよ。
不機嫌にガンをたれていると、誰かがものすごい勢いで私の方へ突進して来た。
「きっ、キミ!! 無事だったかね!!」
「ハァ?」
思わず声がひっくり返った。
それは、この教会の神父さんだった。

太った神父は、暑いのか興奮しているのか、汗だくで詰め寄ってくる。
「ん? よく似ているが違う……」
「エッ、この人に似た人を見たんですか?!」
ゼシカが駆け寄った。興味なさそうに建物内に入ったククールもこちらを振り向く。
「この姉貴と、似た人を見たんでがすか? オッサン!」
神父にオッサンはねえだろヤンガス。デブ同士でそんなに額を突きつけ合うな。
暑苦しい。

「え、ええ、確かにこの方とよく似た方を、見ました」
「何処で!!」
「えーあーあのー」
「どこなんですか!!?」
神父はゼシカの胸をチラ見して慌てて目を逸らしながら叫んだ。

「そんなに寄らなくても喋りますから!!」

637 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:05:10 ID:fM0O3XB30
そこで二人は初めて、神父を壁際に追い詰めていたことに気付く。
「少しは状況を考えろよなおめーら。脅してどーすんだよ」
私の言葉に、二人とも顔を赤らめながら後ずさりした。
「で、私に似た人って、何処にいたの?」
「ええ、それが……」
改めて訊く私の言葉に、神父は言いよどむ。なんだよはっきりしろ。
「飛んでいきました、空を」
「あぁコラ?! 何ぶっこいてんだよマルデブ!!」
顎をしゃくりながら襟首を持ってガクガクした時、
「こいつ脅してどーすんだよエイコ」
ククールが私を後ろから羽交い絞めにして止めた。


638 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:05:47 ID:fM0O3XB30

-2-
ビクビクした神父が説明してくれた話はこうだ。
私に似た青年――エイトと思われる人物――は、一人旅をしていたらしい。
この教会の近くにある日現れ、ここを拠点にとある人物を探していた。
探していた人物とは、ドルマゲス。
私が3人と2匹の珍道中に乱入した頃、エイトは地道に目標を見失わずに旅をしていたらしい。

1週間ばかり経った頃、リブルアーチの海峡(ここから近いらしい)あたりで、
海の上を歩く化け物の話が聞こえてきた。
エイトは早速そちらに向かおうとしたが、なんせ一人では無謀。
とりあえず偵察に様子を見に行ったところ、帰ってこない。
夜になっても戻らないので、心配した神父が外へ出て様子を伺っていると、
白い化け物が空をバッサバッサと飛んでいて、その足にしっかりとエイトが捕まっていた、とのこと。

「つまり、エイトはドルマゲスと遭遇して、そのまま捕まっているのね」
ゼシカがまとめる。うぬ、そのようだなあ。
ククールは椅子にも座らず、壁際に腕組みしながら立って床を見つめている。
ヤンガスは落ち着かない様子で部屋中をウロウロしている。
こっそり事情を説明して、窓から馬姫が顔をのぞかせ、室内に王様もいる。
外は夕闇が支配し、瞬く星が姿を現し始めていた。


639 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:06:19 ID:fM0O3XB30

「あー、じゃあ、返してもらいに行くべよ」
私がいとも簡単に言ってしまったので、部屋に漂う緊張の糸が音をたてて切れた。
「あのなあ……何処にいるのかも分からないんだぞ?」
「大丈夫さ、今日ここに泊まって、このまま南下するんだよ。
 そしてベルガラック、サザンビークの順に辿れば、きっと手がかりがあるはず。
 分かれ道もたくさんあっただろ」

緑の王様を小突いて地図を出させる。
「どうせうまく活用出来ないならとっととよこしな」
濃く淹れたコーヒーをブラックのまま啜りながら、地図を奪い取る。
東側の2つの大陸、つまりトロデーン国領とトラペッタ地方がある北大陸、
マイエラ地方やアスカンタ国領がある南大陸、
そして今いるのは西中央大陸、つまりサザンビーク国領とベルガラック地方だ。
大陸に囲まれた海の真ん中にあるのは、まずゴルドとかいう聖域だろう。
となると、南中央大陸か、北中央、そして。

「北西の島が怪しい。だいいち、記録には樹木の生育が確認されていない」
とんっ、と地図を指差す。大概、ドラクエはこういう場所には何かある。
「ここから近いな。とは言ってもかなりの距離はあるがな」
「ええ、ここからでもちょっと見えませんね。反対側のオークニス地方の山脈は見えるのですが」
どこだそりゃ。訊くとこの教会の塔に登ると見える雪山のことらしい。つまり北中央大陸だな。


640 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:06:40 ID:fM0O3XB30

「根拠は?」
ゼシカが尤もな質問を投げかける。
「私の長年の経験からなる勘だ」
ふんぞり返って言ってやる。
あたぼうよ、あたしゃI・IIン時からドラクエは並んで買ってるのよ。
あ、スーパーファミコン版だけどね。
「ふぬ、おぬしはこの年まで世界を股にかけた冒険をしてきた、とそういう訳じゃな?」
「おうよ、伊達にあの世は見てねえぜ」
「ブルッ、ブルッ!」
なんだよ馬、文句あっか。

「ま、エイコの話が9割聞かなかったことにしてもだ、俺もその島が怪しいと思う」
黙って聞いていたクー坊が口を開いた。失敬な、私はボケた老人扱いか。
「じゃ、決まりだな。船まで戻って一気に北上だ! 今夜はもう休もうよ」
ガタン、と私は立ち上がる。夜ももう遅かったせいか、特に誰も反対することなく、就寝の準備を始めた。

この時気付かなかった。
翌朝、ベルガラックへルーラで戻ることになろうとは。
寧ろ、教会でルーラして教会から島を目指した方が近い事が判明しようとは。
更に、ルーラ+船酔いになろうとは。



641 :エイコ ◆h97CRfGlsw :2005/12/09(金) 23:10:43 ID:fM0O3XB30
以上、続く。
待たせてスイマセン。
次回はいよいよアノ人がッ!(まだ書いてないけど)

642 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/10(土) 00:20:55 ID:puD9cHuIO
エイコ乙!

イイヨーイイヨー!エイト似のガラの悪い女の子イイヨーイイヨー!

643 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/10(土) 01:41:53 ID:yvU5Ymkj0
あああああああっ!!
4の人キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

職人さん皆佳境気味超乙
続き気になりまくりんぐwwww

新規の人もどんどん来てね

644 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/10(土) 13:09:06 ID:FuE7ziBVO
魔神とレッドマンが来ないな…
降臨まだー?

645 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/10(土) 17:31:16 ID:wdxvUQ9yO
総長も…

646 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/11(日) 07:11:27 ID:sZEAscILO
タケ「なぁ、もょ。」
もょ「どうしたんだ?」
タケ「何かひっかかるねん…」
もょ「なにが?」
タケ「あのトーマスって言う兵士長だけが生き延びた点やで。」
もょ「かんがえすぎじゃないのか?」
タケ「普通なら敵を全滅させるのが当たり前やねんよ。それに罠かもしれへん…」
もょ「タケ、それはないとおもうぞ。」
タケ「話が上手く行きすぎているからな…」
もょ「しんぱいしょうだなぁ、タケは。きらくにいこうぜ。」
タケ「ああ…勘違いやったらええんやけど…」

俺は不信感でいっぱいだった。100か0かという二極化する判断力を持つもょもとは頼もしいのはいいのだが、今回は裏目に出るのか心配なのだ。
今のところトーマスはおたけんだりしてモンスター達をおっぱらっている。

やっぱり考えすぎだろうか…
もょ「サマル―!そっちはどうだー?」
サマル 「まだ見つからないよー!」
もょ「リアちゃんはー!?」
リア「こっちにもないよー!」
もょ「もっとべつのばしょでさがすか。」

もょもとは移動をして、別の場所から探すことになった。



647 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/11(日) 07:12:11 ID:sZEAscILO
数十分後………

リア「あったー!」
もょ「みつけたか!」
サマル 「どんなのか見てみよう。」
その鏡は神秘的な雰囲気をただよしており、不思議な魅力が感じられた。
タケ(もょ。これに間違いないで。不思議な感じがするわ。)
もょ(ああ。おれにもかんじたぞ。)
タケ(リアちゃんを誉めてやれよ。ええか?)
もょ(おう。)
もょ「リアちゃんよくやったぞ!」
リア「私は宝探しの名人だからね!エッヘン!」
サマル 「これで解決の糸口がみつかったね。」

サマルが言ったのならなら「なんでやねん!」ってつっこむけどリア仕草が可愛いからやめておくか。

しかし束の間トーマスの叫び声が聞こえた。

トーマス「ぐわぁーーーーーーーー!!」

サマル 「い、今の叫び声は!?」
リア「トーマスさんの声だよ!」
もょ「いそいでトーマスさんのところにむかおう!ふたりともいいな!」
サマル 「わかった!」
リア「うん!」



648 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/11(日) 07:13:29 ID:sZEAscILO
トーマスの所に向かうと全身火傷をした人間が倒れていた。これは間違いなくトーマスだ。
それに変な仮面を被っていてローブを身につけている人間が立っていた。
リア「ひ、ひどい…」
? 「クックックッ」
もょ「だ、だれだおまえは!?」
? 「私は名を捨てた人間。あえて言うなら祈祷士。貴様等がロトの子孫達か…」
サマル 「だったらどうしたのさ?」
祈祷「ザコ一匹で大物が釣れたわ!何とも運が良い!ラーの鏡を壊さなかったのは貴様等を寄せ付けるため。そこの男をムーンブルグで殺さなかったのは正解だったな。」

やはりトーマスを泳がせて俺達を誘きだしのか。

祈祷「ハッハッハ…貴様等を皆殺しにしてやる!ハーゴン様もお喜びになるからな。」
リア「よくもトーマスさんを…許さない!」
リアはギラを唱えたのだが祈祷士が手から炎を出して相殺したのだ。
リア「そ、そんな…」
祈祷「ふん…小娘のギラにしてはなかなかの威力だが私の足元にも及ばぬな。貴様等の相手はこいつらでいいだろう…いでよ、リビングデッド!!」

祈祷士が怪しげな捻唱をすると土の中から人間の死体が2体出てきた。
しかも異様な雰囲気を漂わせて動いている…
ホラー映画やバイオハザードで出てくる『ゾンビ』だ。
もょ「な、なんだ…こいつらは…?」
祈祷「私の魔力で甦らせた死んだ人間よ。元の原型は崩れさっているのだがな。こいつらの餌になるがいい!」
リビングデッドの1体がサマルに襲い掛かった。



649 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/11(日) 07:15:48 ID:sZEAscILO
サマル 「くっ…な、なんて力が強いんだ。」
サマルが何とか攻撃を防いでいるのだがこのままじゃ危ない。
祈祷「貴様ごときの力で適うものか。そのまま潰してしまえ!」

もょ「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
もょもとの強撃がリビングデッドに斬り込んだ。綺麗に脳天かリビングデッドをら両断した。
もょ「だいじょうぶか。サマル?」
サマル 「僕は大丈夫だよ…ああっ!もょ!」
両断したはずのリビングデッドの半身がもょもとの首を掴んだ。
もょ「ぐっ…ガハッ…!」
リア「な、何なの?もょもとさんが両断したのに!?」
サマル 「もょ!ちょっと我慢してね。リアも援護して。ギラッ!」
サマルとリアのギラで半身なったにリビングデッドをそれぞれ焼き尽くした。
もょ「あ、ありがとな。サマル。」
サマル 「しかし何という生命力だ。半身になっても動いているとは…」
リア「とにかく一気に攻めなきゃ。」
祈祷「ほう…リビングデッドを倒すとは。だが遅すぎた!」
もょ「どういうことだ?」
祈祷「リビングデッドは囮に過ぎないのだよ。私の古代魔法の時間稼ぎにな…」
サマル 「何だって!?」
祈祷「永遠の眠りにつくがよい!ラリホーマ!」

祈祷士が魔法を唱えるともょもと達がフラフラしながら倒れていった。
もょ「くっ…くそ…」
サマル、リアが眠り、もょもとも眠る様だった。


650 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/11(日) 07:23:45 ID:sZEAscILO
祈祷「ふん…ロトの子孫もたいした事は無かったな。男二人はリビングデッドの餌にし、小娘は味見して奴隷にするか…」
こいつ何考えてやがる。変体野郎が。ロトの子孫3人掛かりでも適わなかったのだが勝つ、負けるなどの勝算を考えている暇はない。
こんな腐れ外道は許せない!ただそれだけ。

タケ「このロリコン野郎がぁ!!!!!!!」
祈祷「な、なにィ!?ぐはっ!」
俺は鋼の剣で祈祷士を突き刺した。
タケ「おんどれは許さへんでぇ!!俺の大事な兄弟と仲間に手を掛けやがって!」
祈祷「ばっ、ばかな!ラリホーマが完全に決まったはず…」
タケ「さぁ、なんでやろーな?この答えは歩く下ネタ野郎には理解出来へんけどな。」
祈祷「くっ!だ、誰が下ネタ野郎だと!?」
タケ「アホかお前は。お前の名前は亀頭氏=ミスターペニペニやないかい!素晴らしいギャグセンスやな!。」
祈祷「き、貴様〜!私を侮辱した事を後悔するがいい。必ず殺してやる!行けぃ!リビングデッド!」
挑発が上手く行った。これでラリホーマが来る可能性がかなり無くなった。

タケ「今の俺はかなりテンションが高いんや。冷酷!残忍!その俺がお前等を倒すで!」

俺は自分自身を奮い立たせ戦闘態勢に入った。



651 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/11(日) 07:26:14 ID:sZEAscILO
リビングデッドが俺に襲い掛かる。もょもとの強撃でも一撃必殺とはいかなかった。つまり強撃は使えない。
ここで一発開発中の技を試してみるか。
タケ「ゾンビ斬りィ!」
教会のシンボルマークをインスパイヤして斬り付けた。
だがリビングデッドは踏ん張って立っているのだ。
タケ「ちぃぃぃぃ!やっぱ無理か!?クソっ!」
祈祷「貴様ごときでは一撃必殺は無理だったな。リビングデッド!奴を取り押さえろ。私が直々に処刑してやる。」
リビングデッドが俺に捕まえ始めようとした瞬間、体が白く光ったのだ。
数秒後、リビングデッドは崩れる様に消滅した。

祈祷「そ、そんな…」
タケ「み、見たかぁ!ロトの血を舐めんるやないわ!ボケェ!」
祈祷「だが最後に勝つのは私だ。貴様だけは確実に殺す。全魔法力をかけたベギラマで焼き尽くしてやる。あの男以上のな。」
タケ「な、なんやて!?」
やっかいな魔法を持ち出してきたか。トーマスが一撃でやられるのは無理もない。
祈祷「貴様だけ逃がしてやってもいいぞ。後ろの仲間達は丸焦げになるがな。」

ハッキリ言って怖い。しかし今の俺には恐怖より祈祷士に対しての怒りの感情が高まっていた。


タケ「誰が逃げるやと!?舐めんのも大概にせえ!あいつらは俺が必ず守る。耐えきったら俺の勝ちやで!こいや!」
祈祷「生意気な…安っぽいプライドと共に焼き尽くれてしまえ!ベギラマ!」


652 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/11(日) 07:27:54 ID:sZEAscILO
包み込まれる様な炎が俺に向かってきた。サマル、リアのギラと大違いだ。この時はおどおどしても最悪な結果になるだけ。
覚悟をした以上はやってやる!
俺は鱗の盾を前に屈め、腕を十字に組み、耐えることにした。

大防御(クロスアームガード)

岩の様に堅くなるみたいなのだが物理的な攻撃しか対応できないのはわかっている。でもゾンビ斬りを成功した様な奇跡に俺はかけた。
炎が俺を包み始めた。すごく熱い。体中がひりひりするし感覚が少しづつ無くなってきた。

耐えろ…今は耐えろ…

普段の俺自身では考えられないほど粘っていた。やはり仲間を守るという意志の力は人を強くするみたいだ。
祈祷「ハハハァ〜…燃えちまえ!!」
あのアホの声が聞こえた。こんなクズには絶対負けたくない。
しだいに炎が徐々に弱まり完全に消え去った。

祈祷「き、き、き、貴様はっ!?」
タケ「な、何とか耐えきったで…今度はこっちの番や…」
祈祷「ひっ、ひっ、ひっ…かかか…」
祈祷士はかなり怯えている。てか、精神的にイッている。全魔法力を込めたベギラマが俺を焼き尽くしたのではなく、寧ろ俺が生き残ったのだ。
トーマスを重傷に負わせ、もょとサマルを魔物の餌代りにし、リアを強姦未遂にした罪は重い。

こいつを殺すのは今しかない。

タケ「この外道が…殺したるわ…」
祈祷「た、た、助けてくれぇ〜」
タケ「…俺の条件を飲んだら助けたる。」
祈祷「ほ、本当ですか!?」
タケ「条件は俺の質問に答えるだけや!ええな!?」祈祷「は、はい〜!何でも答えます!」


653 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2005/12/11(日) 07:29:04 ID:sZEAscILO
タケ「ハーゴンとは何者や!?」
祈祷「わ、私が知るかぎりでは以前は有名な神父だったのです。確か誰かに裏切られて自ら新しい宗教を作り出したのです。」
タケ「他には?」
祈祷「わ、わかりません…」
タケ「ほうか。じゃあ、約束通り助けたるで…」
祈祷「あ、ありがとうございます。」













タケ「気が変わった。やっぱり死ね。」
祈祷「そ、そんな…やくそくが…」
タケ「うるさい。命乞いした人間を助けた事は無いやろが。」
俺は祈祷士の首をはねた。
タケ「ムーンブルグの人々の無念な気持ちを思い知れ…」

もょもと&タケ
Lv.12
HP:18/86
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E皮の鎧 E鱗の盾 E木の帽子 
特技:かすみ二段・強撃・チェンジ・はやぶさ斬り(もょもと専用)・ゾンビ斬り・大防御(タケ専用)

654 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2005/12/11(日) 09:26:10 ID:cHFY1Fs20
「リーダー」
「はい、何ですか」
リーダーと呼ばれた男は後ろ姿を見せたまま答える
「リーダー、オルテガは現在ポルトガルの周辺のF地点にいると情報がありました」
「では、至急に連絡を取り合流しますか」
「それではサマンオサの方にも連絡を取っておきます」
「いえ、サマンオサは、どうせならサマンオサに関わる全ての国が魔人王の
手にかかったと考えた方が良いでしょう」
「しかし、サマンオサの王は健在です」
「どうも私には違和感を感じるんです、この間偵察に行きましたがどうも人間とは
別の気を感じました、それに王の秘書、あれからは今までのとは違うなにかを感じ
られました」
「・・・・・わかりました、それではサマンオサとそれに関わる全ての国をNG指定します」


第二反魔人組織レジスタンス

655 :魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g :2005/12/11(日) 09:37:15 ID:cHFY1Fs20
――オルテガーー
ふと、オルテガの耳に聞き慣れない声が聞こえてきた
「誰だ、モンスターか!」
ーーいえ、モンスターではありませんある特別な方法を使ってテレパシーを送っていますーー
「いったい誰なんだ」
ーーレジスタンス ですーー
「レジスタンス?」
ーー裏の組織とでも思ってくださいーー
「そのレジスタンスが私に何のようだ」
ーー単刀直入に言います、仲間になってもらいたいのですーー
「仲間に・・・・」
オルテガはしばらく考え込むと
「良いでしょう、それでどこに行けば良いのです?」
ーーそれでは今から教える所にきてください、一度しかいいませんのでーー

500KB
続きを読む

名前: E-mail(省略可)
READ.CGI - 0ch+ BBS 0.7.4 20131106
ぜろちゃんねるプラス