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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/11(土) 21:30:54 ID:2kKEOzWo0
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

・スレの性質上1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら五泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1134827399/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/

601 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 17:55:25 ID:d01ssZ4/0
「聞け、カンダタ
 俺達もこの世界に飛ばされたとき、霧の魔物にへんな幻をみせられただろう?
 もしかしたらそれを、タカハシは言ってるかもしれないんだ」
「だが! メイは実際この場所にいない!」
「お前、確か信用できる人間相手にしか商売しないんだろ?
 それともなんだ? 金ほしさにタカハシの剣を鍛えたってのか?」
「それは─ ちがう、断じてちがう
 信用したんだ、こいつを… 信用したのに、メイを殺したっていうじゃねぇか」
「まぁまてよ まだ はっきりとした真相を本人から聞いてないんだ
 それを聞くまでは、俺に免じて待ってくれないか」
「……わかった 俺だって信じたい、魔物どもの思惑通りにもなりたくねぇ
 感情的になってすまなかったな
 それにしても、やけにタカハシの肩を持つじゃねぇか?」
「そういうわけじゃないんだが、なんとなく─
 こいつが"希望"に思えるんだ、俺には…」
「希望… よくわからねぇ」
「まったく、お前にタカハシを任せなくて正解だったぜ
 とにかくそういう事だから、まだ手出ししないでくれよな」


602 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/04(木) 18:02:46 ID:d01ssZ4/0
第四部、導入はここまで
しばらくペースが落ちるので、推敲が終わった話だけを投下

過去の話のまとめテキストを再アップしておきます
まとめテキストのほうは誤字脱字の修正や意味が変わらない程度にセリフや行動が書き換えられています
第三部後半は特に顕著です
DLキーは全て「takahasi」
URL直リンでは見られないかもしれないのでコピペでお願いします

第一部
ttp://mata-ri.tk/up1/src/1M1827.txt.html

第二部
ttp://mata-ri.tk/up1/src/1M1828.txt.html

第三部
ttp://mata-ri.tk/up1/src/1M1829.txt.html

603 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/04(木) 23:46:35 ID:lxkaZAdW0
ただいま376KB
長文投下時は一度メモ帳にコピペ→プロパティを見て
KB数を確認してから投下するといい予感

604 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/04(木) 23:51:52 ID:A1p1jOiK0
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□□□□□■□□□□□   {::::| -'''''"''   ''"''''ー ヽ::::::|
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□□■□□■□□■□□    |    _、_,ヽ 、    !ノ
□□■□□■□■■□□     !  ノ      )   !
□□□□□■□□□□□     ヽ ヽ ‐=ニニ=ー'/   /
□□□□□□□□□□□      ヽ、 ヽ      /
□□□□□□■□□□□        ヽ 、___,./´          
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605 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/05(金) 01:16:05 ID:UdyND82bO
勝手にこのスレの主人公達の職業を考えてみる。
      総長…賢者
      タケ…戦士
    タカハシ…魔法剣士
      真理奈…武鬪家
      クロベ…盗賊?
ジャガン(魔神氏)…(闇)勇者
 4の人の主人公…僧侶?


606 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/05(金) 09:01:54 ID:jyalXVQG0
>>605
総長の職業は総長だろ

607 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/05(金) 22:23:53 ID:loud/pA70
保守

608 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/07(日) 06:00:06 ID:Ui74wGftO
保守

609 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/07(日) 06:48:05 ID:LFnwZwZe0
>>606
おまえ天才だ

610 :竜宮状 ◆SX5Jg8LAVM :2006/05/07(日) 16:47:32 ID:zdYEhqwC0
保守

611 : ◆nvrQgBBjrw :2006/05/08(月) 03:14:31 ID:HuTgfSw6O
てす

612 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/08(月) 09:20:52 ID:4IkbbiRg0
トリップテストすんな

613 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/08(月) 15:42:10 ID:KOEXxmfZ0
HDD昇天
第四部から書いてあった話は全て消え─
タカハシの旅は、より鈍足になるだろう


カキッって、鳴った時点でバックアップとるべきでした orz

614 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/08(月) 18:24:56 ID:PlrClmz10
>>613
どどんまい!しかしペースが速すぎるんじゃないのか?
無理するなYO!

615 :たかはし ◆2yD2HI9qc. :2006/05/08(月) 19:29:37 ID:Y1Qw1UkYO
>>614
ありがとう
PCは中身入れ直してなんだか快適になったけど…
この際なのでじっくりやっていこうと思います

616 :一読者:2006/05/09(火) 01:19:23 ID:NZfvLKCOO
>>615
そうそうドーンと構えてじっくり練り上げて下さい。

他の作者さんも焦らずにじっくりゆっくり練り上げて行って下さい。

617 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/09(火) 17:42:50 ID:lPmPr6uh0
|> ほしゅはまかせろ

618 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/09(火) 23:09:44 ID:oZUtJMpt0
心配なので早めに保守

619 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/10(水) 06:40:57 ID:DfctEsNsO
保守

620 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/10(水) 17:35:02 ID:6App2/1Y0
ローディ ◆qdB5QYIaRc
オリジ ◆8Ntuwr18d2
DQな現代 ◆gqal0QWwZw
魚間◆TRIPなし→4PnqyfvO3
オルテガ ◆8JKqodVw2k→zYgagV2g.w
ヘタレ ◆ozOtJW9BFA
キョウ ◆Hju2GLbs6k
591 ◆MAMKVhJKyg
シャルル ◆zu/zVku.Kc

彼らの作品がまだこのスレで一回も投下されていないな。気長に待ちますか。


621 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/10(水) 21:47:12 ID:+qHt9vbx0
投下してる人がものすごく少なく感じる。
ここは気長に(ry

622 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/10(水) 22:28:51 ID:XwfynC2jO
その中の一人だけど、次スレに移って新規の人のためにまとめにUPされたら投下しようと思ってたんだけど
あれよあれよという間にここまで来てしまった。

623 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 14:12:26 ID:4FGH9lLL0
2スレ目はこれで読めるぞ。
ttp://makimo.to/cgi-bin/dat2html/dat2html.cgi?game10/2/ff/1116324637/

624 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 14:32:49 ID:VMM+rwO9O
>>623
>77のリンクから飛べば全スレ読めるがな(´・ω・`)

625 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:10:14 ID:vo/Rzc500
あぁ〜GW最悪だったぜ〜・・・

さてさて
>>473さん、ありがとうございます〜

これからも試行錯誤していくつもりなので、気になるところがあったら言って下さい

では>>456からの続きです


626 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:12:28 ID:vo/Rzc500
砂漠で水がどんなに大事なものか想像してみよう。
とても、とても暑い日だ。
日陰でじっとしていても汗が滴り落ちてくる。
気持ちの悪い熱気が容赦なく体を包む。
「あつい・・・・・」
その言葉しか言えないような状態だ。
そんな時、目の前に水を差し出されたらあなたはどうするだろうか。
ほとんど、いや間違いなく飲む事を選ぶだろう。
水を口につけ、渇いた喉が潤いで満たされる。
ごくごくと一気に飲み干し、ぷはっ!と息をつくあの瞬間の何と気持ちのいいことか。
水が無ければ我々は生きていけない。
砂漠という枯れ果てた土地では水は命に等しい。
もしくはそれ以上のものなのかもしれない。

ではそんな水によって育った花はどうだろうか。
「バカヤロウ!俺は今喉が渇いてるんだよ!花で喉が潤うか!!」
確かにそうだ。
しかし、本当にそうだろうか。
水が喉を潤すのは、その瞬間だけだ。
対して自然の恩恵によって咲いた花は人の心を潤す。
色鮮やかな花びらが風に揺られるその姿に安堵と覚える。
また、一生その場所で健気に咲き続ける花の強さに感動を覚えることもある。

一瞬の欲望に身を任せるよりも
美しいものを愛でる方がよっぽど人間らしいのではないか

でも結局人は喉が渇けば水を飲むのだ。
だとすれば、心が荒れた時に花を見ればいいじゃないか。
全てはその時の状況次第である。
だから、何が言いたかったかと言うと、
イシスの水で育ち、花で飾られたプエラ姫は今、1番美しい、という事だ。


627 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:15:08 ID:vo/Rzc500
 「天にましますルビスの御霊よ。
  そして我らが父ファラオの名によって、今日の日が人々の記憶に残らんとするように。
  偉大なる歴史の1ページを飾るこの式に参加できた事を我々は感謝するでしょう」

イシスの王宮、女王の間は飾り付けられ、結婚式場に仕立てられている。
玉座の前に神父が立ち、机を挟んで新郎新婦が横並びになっている。
プエラは花冠にシルクのドレス。胸の一輪の花が良いアクセントとなっている。
恥ずかしげな表情の中にも嬉しさを隠せない、といった笑顔が可憐である。
フィリーもタキシードで決めればちゃんと王子らしく見える。
黙っていれば嫌われるような事のない顔立ちなのだ。
トップの地位にある者として、それが損に働く事はまぁないだろう

 「今から交換する指輪は、おふたりの愛のシンボルです。
  その輪には、初めもなければ終わりもない、永遠のものです。
  あなた達が永遠でありますように願いを込め、互いの心に祈りなさい」

2人の前の机には黄金の爪と、指輪が2つ乗せられている。
フィリーとプエラは相手にはめる指輪を手に取り、向かい合う。
互いの目が合い、どちらからともなく微笑みあう。
その表情から確かな愛をその場にいる全ての人が感じただろう。
そしてフィリーがプエラの指に、プエラがフィリーの指に指輪をはめた。
その動作をイシス女王・ロマリア王を始め、両国のお偉い様方が見つめる。
もちろん真理奈達も同席している。
 「それでは新郎新婦、誓いの口付けをもってイシスとロマリアの民に、
  そしてあなた達2人の心に夫婦となることを示しなさい」
                  「「はい」」
2人は寸分の違いもなく返事をし、再び向き合い近づく。そして、キス。
その瞬間、王子はプエラの夫に、姫はフィリーの妻になった。

 「汝らの行く道に幸福あれ」
神父の声と皆の拍手喝采が2人を祝福した。


628 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:23:52 ID:vo/Rzc500
 「いやはや、こんなに嬉しい事は久しぶりですよ。
   姫は息子に合って美しいし。いや、本当にめでたい」
 「こちらこそ、無事に今日という日を迎えられて光栄に思いますわ」

誓いの儀式が終わった後、テーブルが出され皆に料理が振舞われた。
真理奈達はおいしく頂いたが、イシスの料理が合わなかったロマリアンもいたみたいだ。

 「イシスの女王よ。改めて礼を言わせて頂きたい」
 「もう止しましょう。この気持ちは1日喋り続けても尽きることはないのですから」
 「おぉ、そうですな!ワハハ」

喋り続ける陽気なロマリア王を咎める者は誰もいない。
お酒の入る祝いの席なのだ。
それも息子の結婚式ともなれば多少羽目を外しても仕方の無いこと・・・

 「フィリーよ、これからは2人でロマリアのために力を尽くしてくれ。
  それとご安心なされ女王よ。
   姫のロマリアでの豊かな暮らしを約束しますからな。ワハハ」
 「・・・それはどういう意味でしょうか」
 「どうもこうもないでしょう。こんな素晴らしいお嬢さんを頂けて私は幸せですよ」
 「・・・何か勘違いされていませんか?これはそちらから持って来られた話です。
   王子はイシスでプエラと一緒に住んでいただきます」
 「何をおっしゃっているのですか。女が男の方に嫁ぐというのが当然でしょう」
 「イシスにはそんな慣習はありません。だいたいプエラは次の女王となるべき―――」
 「こちらだってそうだ!!可愛い息子を取られてたまるものか!!」

一気に場の雰囲気が変わる。ストゥルーストの叫びを機に双方の言い合いと発展した。

629 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:28:06 ID:vo/Rzc500
 「こんな砂漠の地に王子を置いていくなんて考えられない!」
  「こちらだって可愛い姫様をお一人で他所へ嫁がせるなんてできませんわ!」
 「何だと!こんな不毛の大地に住んでるからそんな事が言えるんだ!
  砂漠の砂と同じようにお前らの心も渇いてるんだろうよ」
 「まぁ!そんな事を平気で口にできる方がどうかしてるんじゃありません?!」
  「だいたいこのスープはなんだ!もっと味を薄くしろよ!!」
わいわいがやがや・・・せっかくの披露宴が台無しである。
真理奈達は唖然とし、プエラは助けを求める目でフィリーを見た。
が、フィリーは黙ったまま、静かに様子を伺っていた。

 「そもそも姫にそちらの王子は不釣合いですわ!頼りなさそうだし・・・」
  「何を言うか!王子にはもっと利発そうな女子がだなー」
 「それは王子の頭が足りないって事を認めるのね?」
  「ちょっと待てコラー!フィリーだってやる時はやるんだぞー!!
    プエラだっていい娘なんだからっ!!」
最後のは我慢しきれなくなった真理奈の怒声。
加わってどうするよ・・・まぁ気持ちは分かるけどね。

 「フィリー、我が息子よ!お前も私の意見に賛成だろ?」
 「プエラ、あなたは私の後を継いでくれますよね?」
まったく同時に今回の主役に話が振られた。
怒号は止み、2人の発する言葉に期待がかかる。
心配そうにフィリーを見つめるプエラ。
フィリーはそれに笑顔で返し、すっと立ち上がった。
そして静かな声で話し出す。
 「父上」  「う、うむ?」
 「申し訳ないのですが、プエラと一緒にロマリアに帰るつもりはありません」
  「な・・・」
 「そして新しい母上様」  「はい」
 「申し訳ないのですが、プエラと一緒にイシスに住むつもりはありません」
  「・・・・」

630 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:31:41 ID:vo/Rzc500
 「ピラミッドから帰って来た後、これからの事を私達は話し合ったのです。
  この結婚が成立し、ロマリアはアリアハンとの連合に参加する事になりました。
   連合に参加するという事は、この世界の平和の為に尽くす、という事です。
    では私達は何をするべきなのか」

誰もが王子の声に聞き入っていた。

 「私達はまず、アッサラームをモンスターの手から取り戻したいと思います」

驚き。しかしそれを表情に出しはしても、声にする者はいなかった。

 「ピラミッドから無事に黄金の爪を持ち帰った事を経て、
  行動しなければ道は開けないという事を私は学びました。
  行動したからこそ私は今ここに立っていられるのです。
  もちろん真理奈達の助けが無ければミイラの餌になっていたでしょう。
  アッサラーム奪還も1人では到底不可能です。
  ですから、皆さんの力を貸して頂きたいのです。
   言い争っている場合ではありません。
   ロマリア・イシス、皆の力を合わせて世界の平和を守りましょう!
    これ以上哀しみを増やさないために!
    未来を切り開くために!」
パチパチパチ・・・ワアァ〜!!
笑顔が溢れる中、それまで表情を崩すことのなかった女王も、優しく微笑んでいた。

そこで真理奈が立ち上がり、フィリーに何かを手渡す。青く輝くオーブだ。
 「はい。これが連合参加の証」
  「ありがとう真理奈」
 「青はオアシスの色よ。頑張ろうね!」
真理奈はフィリーと、少し涙目のプエラと握手を交わした。

こうして真里奈の連合使者としての初めての仕事が終わりを告げた。

631 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:35:20 ID:vo/Rzc500
  「はぁ・・・」
ため息。それは1回つく毎に他人を3回不幸に落としいれるものだと言われる。
しかし今の真里奈には他人の事など関係なかった。
  「はぁ・・・」
携帯の画面の明かりで真理奈の沈んだ表情が微かにうかがえる。
  「はぁ・・・」
これで誰かがもう9回も不幸になってしまった。
このままでは世界を救うどころか、逆に滅ぼしかねない。
披露宴が終わり、浮かれていてもいいはずの夜なのに・・・

携帯の画面では仲間と写した写メが待ち受けにされている。
画面の右上では、電池の残量表示が1つ。赤く光り、警告している。
それもそうだ。
こちらの世界には充電しようにも電気が無いのだから。
携帯充電器も使い切ってしまった。
このままでは使い物にならなくなるのは時間の問題である。

では電源を落としておけばいいだろ、と思われるかもしれない。
しかし、真理奈にはそれが出来なかった。
真理奈にとって今や携帯は元の世界と今の世界を繋ぐ唯一のものなのだ。
それが使えなくなるという事は、元の世界との関係が切れてしまう事に思える。
常に圏外なので、電池の残っている今でも使い物にはならないのだが、
ルビスがいつ電話をかけてくるか分からないし、
メールを送る機会が無いとは言い切れない。
ルビスが自分の願いを聞き入れて向こうの世界と繋げてくれるかもしれない。
現に1回は送れたのだ。
届いたかどうかはこちらでは分からないが・・・


632 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:40:46 ID:vo/Rzc500
真理奈はヒマな時、母親や友達にメールを作っていた。
未送信ボックスに残された、たくさんの届かない想い。

   突然変な世界に連れてこられた事。
                        こっちで出会った仲間の事。
      勉強より冒険が楽しい事。
               早く戻ってしたいことが山ほどできた事。

それは元の世界では有り得ない今のこの状況を整理するのに一役買っていたが、
寂しさを増やす要因にもなっていた。
みんなで冒険をしてるときはいいのだ。
余計な事を考えなくていいから。
話をして、戦って前に進む。
それだけしてればいい。
思い出さなくていい。
この世界で自分だけが違うことを。

♪♪♪あの〜虹を〜渡って〜
ピッ 「・・・・もしもし」
    「ルビスです。お疲れ様でした」
   「・・・・・」
    「この調子で―――」
   「・・・・てよ・・・」
    「あなたなら―――」
   「帰して!!戻してよっ!!」
    「真理奈・・?」
   「このままじゃ帰れなくなっちゃう!!電池がっ・・・!!」
    「真理――」 プツッ!ピーピーピーピーピー・・・
携帯が電池切れを告げる。
   「どうして私なの・・・?ウッ・・・うぅ・・」
真理奈は携帯を耳に当てたまま泣き続けた。

633 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/11(木) 17:50:38 ID:vo/Rzc500
っと、今日はここまでです。
読みにくかったら言ってください。
すみません・・・

次の話はうまく書ける自信がないなぁ・・・
でも頑張ろ
 ではではー

634 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 19:48:03 ID:eTr4Fm8d0
暇潰しさんおつかれー

635 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 20:16:35 ID:eoQPNuYrO
暇潰しさん、乙彼さまです
送信出来ないメールを溜めてるって、なんだかとてもさみしい感じが伝わってきた
続きを早く読みたい!

636 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/11(木) 20:18:06 ID:eoQPNuYrO
あー
あげてしまった、ごめんなさい

637 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/12(金) 04:05:48 ID:UxkOheUkO
>>634>>635
ありがとうございますー
真理奈の落ち込む場面がいささか急過ぎた感があるんですが、どうなんでしょう…

今小説の書き方を載せてあるサイトを見てきたんですが…
自分のは全然ダメですねorz
文章作法や物語の展開の仕方など、まだまだ足りない事だらけのようです
これから改善していきたいと思います

638 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/12(金) 08:49:48 ID:hs4CKCqw0
皆様お久しぶりです。
過去スレを見ていたのですが誤字が多すぎたために訂正したいかと思います。

申し訳ないのですがやり方を教えていただけないでしょうか?

639 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/12(金) 09:57:29 ID:XSV2sgKd0
>>638
txtにまとめてうpしたほうが早い

640 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 00:53:02 ID:SJ39E4rBO
暇さん
展開が早すぎる事は無いと感じます
これまでの「会話中心の進行」からちょっと変わりました?
良かったです、読みやすかった
書き方は、俺はメチャメチャですけど、あらすじだけは常に変動しますが時間を割いて、完成させてます
無理に小説の定石に合わせる必要はないかと。
きっと、それが持ち味になるんだと、考えるようにしてます
支離滅裂でなければ。

レッドさん
639さんの言う通り、テキストファイルとしてアップすると良いかもしれません
現に、俺は最新版を読んでもらえるよう、そうしていますし。

職人さんが会話出来る空間が欲しいなって思った、泥酔の夜
たぶん進行度はとっても小さいとは思うけど。

保守

641 :たかはし ◆2yD2HI9qc. :2006/05/13(土) 00:58:14 ID:SJ39E4rBO
あれ、下がってなかた?
酔いってびっくりする現象を、時に起こすね

642 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 01:01:53 ID:SJ39E4rBO
下がってたよ
これが一番びっくりした
スレ汚してごめん

643 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 01:08:44 ID:SJ39E4rBO
しまった書き忘れ

レッドさん
一度、投稿した文字列を修正することは、2ch上では不可能です
なので書き直したテキストファイルを適当なアップローダーにアップしurlを書き込みするしか、再度読んでもらうための修正方法はありません

644 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/13(土) 12:05:37 ID:SJ39E4rBO
ごめん
何かいてんだ俺

酔って2チャンするもんじゃないね…

645 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 17:32:43 ID:XQyn3NVz0
タカハシしっかりしろw

ほっしゅ

646 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/05/13(土) 22:07:37 ID:UZBG9UwSO
タカハシさん意見ありがとうございますw
良かったと言われれば素直に嬉しいのが投下してる者の性ですな

と同時に、自分の作品って「会話中心の進行」だったかな?と首をひねっているところですw
そういう点を意識して書いてなかったもんで…
今までは書き上げて投下する事に精一杯だったし
投下した後に自分の作品を読み返すという行為をしてないんで、これを機に読み返してみようかな

書き方も読み易さと自分のスタイルを追求していきたいと思います

同じ立場の人の意見も貴重だなぁ

647 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/13(土) 23:45:31 ID:wa8zV2v2O
ここはスレタイどうりであれば個人が作ったオリジナルなドラクエ話はおkか?


648 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/14(日) 00:11:23 ID:neUo5iwcO
ばっちこい

649 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/14(日) 10:52:42 ID:6WOHRMrNO
>>647
いろんな作品を読んでいただければわかると思いますが
DQな世界観を保っていれば完全オリジナルもOKなようです。


期待しております。

650 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/14(日) 12:22:42 ID:qC4i/g3WO
暇潰しさん
「会話中心の進行」は、なにせ酔って書いたものなので、お気になさらないで下さい
俺自身、取り留めなく読みにくい文を書いているのですから。
暇潰しさんの文は、うらやましいって思ってます。
あんまりほんとに気にしないでください


…だけど、書いてる人から感想もらうとうれしいですね

651 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/14(日) 15:19:53 ID:id66Euxq0
4のやつ遅ぇな

652 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/14(日) 18:16:56 ID:trecR29o0
定期的にでてくるアボーン透明ってまだ居るのか。

653 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/15(月) 09:48:50 ID:QYlC7Hiy0
>>639氏・タカハシ氏
ありがとう。
今後の教訓のために訂正無しで行こうかと思います。
職人同士で雑談もしたい所ですが避難所みたいなのがあれば良いかも知れませんね。

654 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/15(月) 12:45:17 ID:nwN95uxF0
>653
主人公雑談スレに、DQネタスレ避難所へのリンクがある。
そこの自治スレで、避難スレ立てていいか聞いてみればいいんじゃないかな?

655 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/15(月) 16:22:51 ID:eOcsVbdiO
あーそういうのあると良いかもしんないな。
このスレで言いたいことバンバン言っちゃうと荒れる原因になるし。

656 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 06:56:17 ID:TMHDDqdeO
保守

657 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 19:38:52 ID:MB1mMkPb0
避難所にお願いしようかと見てきたけど、”DQFF雑談系スレ”の避難所だった
ここは雑談じゃないからどうかなと思って、何も書かいてこなかった…

658 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:49:46 ID:MB1mMkPb0
>>601
続き

●フーラルとタカハシ、その日々

「俺はな、珍しい雨の日にこの絶望の世界へ連れてこられたんだ
 でっかい魔物が、腰を抜かした俺に手をかざした瞬間
 気がついたら霧の魔物が目の前にいて、変な幻を見せられて─」



「知ってたか?
 雨は神であるルビスが降らしてたんだ
 なんでもな、魔物に聞いた話だから本当かどうかは知らないが
 人間の感情やなんてのは空のどこか、隅っこに集まるらしい
 その感情がある程度溜まると、特に怒りや憎しみ悲しみなんかは魔物を作り出すそうなんだ
 魔物を殺しても残らないのは、形作る感情が空へ散り散りになるからだ
 人間のように、俺も難しくてわからないが"存在としての肉体"を持たないらしい
 でな、そんな感情を洗い流すために神は雨を降らせていた
 だけど、ある日からピタリと雨は降らなくなってしまって、溜まりに溜まった感情から
 そう、魔王が生まれてしまった─」



「どこまで話したっけな…
 そうそう魔王だ、魔王が生まれた
 なぜ雨が降らなくなったか、それはどうやら魔王が自分を誕生させるためらしい
 魔王はすでに存在していて何かおっぱじめようと考えていた
 その為に、神であるルビスが雨を降らすのをなんらかの方法で妨害した
 さすがの俺でも、魔物から聞けたのはここまでだ─」

659 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:50:32 ID:MB1mMkPb0
「お、トルネコ」
「その後、彼はどうですか?」
「ああ、少しだけど俺の話に反応するようになってきたぜ」
「そうですか、それは良かった」
「カンダタはなんだか事情があるみたいで近づかないけど」
「あの方は乱暴なので、その方がいいえすよ ホッホッ」
「まったくだな…
 しかし俺たちはいつまでこんな所にいなきゃなんないんだ?」
「さぁ… 魔物が満足するまででしょうか」
「満足? いたぶりもせず眺めてるだけで満足するのかよ
 せめて町の外へ出してほしいぜ」
「この世界は狭いと聞きます
 外に出たって面白いことなんてありませんよ?」
「狭いか、何か建物はあるのか?」
「…フーラルさん 変な考えは止めてくださいよ?」
「そんなんじゃないさ」
「そうですか?
 …とは言っても、残念ながらこの町の外の事は一切わかりません」
「じゃあ魔物にしかわからないって事だ」
「ええ、そうでしょうね
 では、また様子を伺いにきますよ」
「ああ、そうしてやってくれ─」

660 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:51:34 ID:MB1mMkPb0
「よう!」
「お、カンダタ! って、なんだ傷だらけで大丈夫か?」
「実はな 外に出ようとして魔物とやりあったんだ」
「おいおい… この世界で力を魔王に吸い取られてるんだぜ?
 たとえスライムだろうが敵うわけないだろう」
「なに?! そうだったのか!」
「そうなんだよ 俺も魔物をおだてて聞いたんだが、びっくりしたぜ」
「じゃあ… あれか? 武力でどうにか脱出するのは無理ってぇのか?」
「そう、無理だ
 例え強力な魔法を使えたとしても、焚き火程度の威力しかないだろうな」
「なんだよ! ちきしょう…」
「まぁそう焦るなよ
 きっとなんとかなる このタカハシが回復すれば」
「なんだ、なんなんだその自信
 …どうでもいいけどよ、まだ目は覚めないのか」
「ああ 相変わらずだ」
「メイの事を早く聞きてぇんだが…」
「お前、相当メイって娘がお気に入りらしいな?」
「そりゃあおめぇ、娘みたいに思ってたんだ
 俺は子供に恵まれなかったからな」
「そうか…」
「だけど、本当にこいつが殺したのか、俺には信じられねぇ
 そりゃあ、聞いた時はこのやろうって思ったが…」
「仕方ないさ、誰でも自分と仲良くしてた人を殺したってヤツが目の前にいれば気が動転する
 だけど心がこんなに壊れちまってるんだ、絶対に罠かなにかだろう …事実だとしても」
「心? お前神父もやってたのか?」
「いやいや この状態、これは心だ
 たくさんの情報を扱って大勢の人間と出会ってきたから、なんとなくわかるんだ」
「そういうもんかぃ まぁとにかく、本人の口から真実を聞きたい─」

661 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:52:36 ID:MB1mMkPb0
「この世界に来て俺はちょうど100日になったぜ
 お前は62日、早いもんだな
 俺たち以外の人間は生きているだけの状態だ
 だけど俺は、お前はかならず起き上がると、そう思えて仕方がない
 お前もそう感じるだろ?─」



「毎日、雨が降っていたら人間だって陰険になるよな
 だから神は時々しか降らせていなかったんだろう
 しかし、あっさりと魔王なんかに邪魔されて頼りにならねぇ神様だよな─」



「なぁタカハシ
 お前は今、どこにいるんだ?
 そんなになるほど、お前、霧の魔物に何を見せられたんだ?
 真実はなんだ?
 俺たちはいつ、解放されるんだろうな
 …この世界から解放されるってのは、死ぬ時か脱出に成功したときだけか
 まぁ、この世界じゃ死ねないから、脱出しかない─」


662 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:53:44 ID:MB1mMkPb0
●意識

う… 頭が痛い…
確か霧の魔物に飛ばされて……

だめだ
何かとても大事な事を忘れてしまったみたいだ
思い出そうとすると、頭が痛い…

ここは、どこだ?
なんだろう どこかで見覚えのある、よく知ってる場所のような気がする

あれは…?
なぜかぼんやりとしか見えないな
近付くのに遠ざかってしまう…

なんだか靄だらけで先が見えないじゃないか
それにいつまでこうして歩いていればいいんだ
歩かなければ良いんだろうけど、歩かないとなんだか落ち着かない

俺は、なんでこんな所にいるんだ?
俺は俺は、なんでだ?

663 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:54:33 ID:MB1mMkPb0

もう、ずいぶん歩いた
疲れはまったく感じない
でも、そろそろ止まりたい
止まって座りたい



あれは… トルネコ、さん?
俺が、いる
一緒に歩いてる 笑ってる
え? ああ、そうだな

あっちには… テリー
また俺がいる
何してるんだ?
そうか、稽古してるんだな
え? ああ、そうかな

お、カンダタさんだ
俺は… いた
オリハルコンを受け取ってる
オリハルコン、どこいっちゃったかな
え? ああ、そうだった

あれは…?
あの女性は誰だろう
俺が、なんだかだらしない顔で話してる
なんだ、なぜだか、苦しい
え? ああ、それは─


664 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:55:43 ID:MB1mMkPb0
●声の主

『あなたは、この世界から元の世界へ戻ろうと旅を始めた』

『あなたは、彼との修行でとても強くなれた』

『あなたは、オリハルコンの剣を置いてきた』

『あなたは、あの女性の事を悔やんでいますか?』

え? ああ、それはもちろん
だけど、俺はあの女性に何をしたのか、名前すらわからないんだ
でも心は何かを知っていて、悔やんでいるみたいだ
その事をなんだろうと考えるけど、意思が邪魔して思い出せない
俺が俺に対して、どうやら心を閉ざしてるみたいだ

ここはすっかり暗闇に包まれてしまった
足元すら黒いし、先に見えるのは小さく瞬く光だけ
なのに俺の体は止まろうとしないんだ
止まると、もう二度と動けないような気がするから

思い出した 何をしたのか
もう取り戻せない時間 それが現実であり事実
その事を歩いて思い出し考えるからまた歩き続ける
もしかしたら答えが、歩いた先にあるんじゃないかって、愚かに思ってる
もう動かないのに、メイの時間は…
俺には歩いて、歩くことしか今は出来ない

665 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 19:56:58 ID:MB1mMkPb0
ところで、話しかけるのは誰だ?


『私は、ルビスです』

ルビス?
なんでこんな所にいるんだ
どうして俺たちを助けてくれなかった?
……いや、いいんだ
あんたを責めても、俺が殺した事実はまっすぐ曲がることは無い

『…私は、魔王によって力を抑えられています
 あの瞬間も、魔王があなた達の行く手を阻む事が感じられた日
 魔王の力を弱めるために雨を降らせるのが、精一杯でした
 ですが雨は、全く効果が無く逆に、魔王に圧倒され止んでしまった…』

いいよ、もう
あんたはきっと、精一杯やったんだ
そして俺も精一杯やった
もう、いいだろ?
俺を元の世界へ返してくれないか?
もう疲れたんだよ
もう疲れたよ

『あの賢者、メイの事はとても残念です…
 あの娘にはあなたの事を伝え、この先も一緒に旅をしあなたの補助をしてほしいとお願いしました』

この際だから、全部、話さないか?
なぜ、俺がこの世界にいるのか
なぜ、俺は旅を続けなければならないのか

『……わかりました、お話します』

666 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/16(火) 20:00:47 ID:MB1mMkPb0
ここまでです。

酔った勢いとはいえあのようなことを書いた後で、ちょっときまずいのですが投下
もう酔って書き込みしません orz

667 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 21:54:33 ID:9WPH85kKO
ぐはっ
寸止めかよ…
人と魔物とルビスと魔王の関係か。面白い設定だと思った

ドラクエ世界を創ったのはルビスなのに、その中から自分を超える者が現れちゃうなんて皮肉な話だよね

668 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 23:11:20 ID:DpOJETOU0
>>654- 657
( ^ω^)っtp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi


669 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/16(火) 23:21:23 ID:4LwjyeawO
タカハシ&>>668
WGJ!!!!!!

670 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/05/17(水) 18:26:51 ID:Sufdtld80
>>668
避難所を作ってくれてありがとう
これで職人さんの雑談も出来るようになるね

>>667
設定を考えるのがとても楽しいです
時には、レスしてくれた方の内容がヒントになったり。

>>669
ありがとう!

671 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/19(金) 00:51:02 ID:8XIoVdv2O
あげ

672 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/19(金) 01:17:07 ID:TxzjmKWSO
仕事でひどく疲れた俺はベットに倒れた。起きたら家ではなくオラクルベリーの宿屋にいた。冒険はせずに、遊び惚けた。

673 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/19(金) 17:08:42 ID:k1igHCmq0
ククール達と別れて朝が来た。
頼もしい仲間が失って戦力的には乏しくなったが仕方がない。
特にリアが寂しそうな表情を時折見せる。

リア「…………………………」
もょ「どうしたんだ?リアちゃん。」
リア「えっ!?な、何でもないよ!」
もょ「それならいいのだが…」
リア「もょもとさん、心配かけさせてごめんね。私は大丈夫だから。」
もょ「わかった…」

リアは必死に否定をしているが素人でも分かる反応だ。やはりククールがいなくなった事は精神的にも辛いのだろう。

サマル「ドラゴンの角が見えてきたよ!」

サマルが俺達にそう言った。その塔は大よそ40メートル位な高さがあり、通天閣や京都タワーと違った雰囲気が漂う塔だった。

ムーン「それにしても対岸にもう一つの塔があるなんて変わった塔ね。」
 もょ「そうとうふるそうだなぁ。」
サマル「とにかく中に入って進もう。」

俺達はドラゴンの角に入る事にした。



674 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/19(金) 17:25:22 ID:k1igHCmq0
中に入ると天井が高く広さが感じられた。
中には竜の銅像や壁絵が見れた。

 もょ「おお!けっこうしんぴてきだな。」
 リア「こんなの見たの初めて!」
ムーン「結構何かの由来があるかもね。歴史を感じるわ。」
サマル「あそこに人がいるよ。ちょっと話しかけてくる。」

サマル「こんにちは。おじさん。」
  *「こんにちは。旅の青年。今とんでもない事になっているぞ。」
ムーン「どう言う事なんです?」
  *「ルプガナに行くために上に昇って行ったんだが
    モンスターの死体ばっかりでおぞましい状態なんだ。」
 もょ「なんだって!?」
  *「あんな虐殺されたモンスター達を見たのは初めてだ。
    わしも恐ろしくなって降りてきたよ。あの状態じゃ橋すら渡れないだろうな。」
 リア「そんな…」



675 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/19(金) 17:39:00 ID:k1igHCmq0
投稿できねーorz

続きはまた後日

676 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:19:43 ID:m4lkHT7E0
 タケ「(おい、もょ。)」
 もょ「(なんだ?)」
 タケ「(勿論行くよな?)」
 もょ「(……………………………)」
 タケ「(はっきり言って俺も怖えーよ。でもこのおっさんが嘘ついているとは思えへんのや。)」
 もょ「(と、とりあえずいってみよう。このめでかくにんしないとな。)」

 もょ「うえへのぼってみることにする。はしをわたらないとルプガナにいけないからな。」
  *「無理をするのではないぞ。危ないと思ったらすぐに降りてくるんだ。」

もょもと達が階段を上がっていくと悲惨な状況になっていた。

それはモンスター達のバラバラ惨殺死体だった。

モンスター達の死体からとってつも無く嫌な臭いが漂ってくるのだ。
まず言える事は人外の者がモンスター達をやったとしか言いようが無い。


677 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:20:57 ID:m4lkHT7E0
ムーン「あああっ…いやああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
 もょ「どうしたんだ!!ムーン!!」

いきなりムーンが発狂しだした。

ムーン「あ、頭が……痛いの………寒いよ…………」
サマル「もょ!ムーンはこれ以上進むのは無理だ!」
 リア「ムーンさんしっかりして!」

多分ムーンブルグ城の惨殺状況を思い出したのだろう……
仲間のピンチの時に声すらかけれない俺自身に嫌になった。

何やってるねんホンマに……

ムーン「ううっ……」
 もょ「サマル、リアちゃん、ムーンをたのむ。おれひとりでいってくる。」
サマル「ここは引き返すべきだ!状況が悪すぎる。」
 リア「私もお兄ちゃんの意見と一緒だよ。嫌な予感がするわ…」
 もょ「やばくなったらすぐに戻ってくるよ。」

もょもとはサマル達と別れ、一人で上を目指す事にした。

上に登って行く内にプレッシャーがひしひし感じてくる。気を緩んでは何かに押しつぶされる感じだった。

 タケ「とてつもなく嫌なモンが感じるな。」
 もょ「タ、タケ、ちょっとかわってくれないか!?」
 タケ「どないしたんや?」
 もょ「おれも…きぶんがわるいんだ…………」
 タケ「……………………わかった。呼吸だけ整えておき。」

俺も下に降りたい気分だがここまで来た以上は引き下がるわけにも行かない。


678 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:25:41 ID:m4lkHT7E0
首筋がぬるってしている。冷や汗だ…
心臓の鼓動が大きく響き、周りの雰囲気にビビってしまって中々足が出ない…。
俺はどうなるんだろうか?

幸いにもモンスター達が出現しないのだが良いのか悪いのか判断しにくい。
今の所俺自身がしっかりしないともょもとが危ない。

とにかく俺は最上階を目指して歩いていった。

――――――――――最上階に着いた。
周りで何かが燃えている状態だった。物凄い異臭がする。
何があったんだ?


悲しいなぁ――――――――――――   悲しいなぁ――――――――――――


タケ「おい、もょ。何か言った?」
もょ「なんにもいってないぞ?」
タケ「確か悲しいなぁって聞こえたんやけど。低調な響く声で。」
もょ「おれにもきこえたぞ。」

もしかしたら…この声の主がとてつもない恐ろしい気配を感じさせているのか?

ちょっとした後悲鳴が聞こえた。
 *「ぎょへーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

679 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:26:40 ID:m4lkHT7E0
タケ「な、何があったんや?思わずビビッてもうたがな…」
もょ「ど、どうしよう…タケ…」
タケ「とんずらしたいんやけど行くしかないやろ。敵に背中を向けたらやられる可能性があるからな。」
もょ「いまはにげるべきだ。じゃないとおれもタケもあぶない。」
タケ「何抜かしているねん!ここまで無鉄砲かもしれんがいくしかないやんけ!」

もょもとと揉めている内に誰かに足をつかまれた。

 *「た、たすけてくれ……」

タケ「おい!あんた!どないしたんや!?」
 *「…………………………………………」
もょ「しんでいる……………………」

足を掴んだ人間はハーゴンの部下だった。しかも全身火傷を負って生き絶えた様だった。

タケ「マジでやばいな…」
もょ「はやくにげよう!タケ!」
タケ「そうしたい所やけど問屋がそう落ろしてくれへんみたいやな…」
もょ「えっ!?」




680 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/05/20(土) 08:28:18 ID:m4lkHT7E0
音も立てずにス――――――――――――――――――ッとした感じで近づいてきた。

俺の心臓の鼓動がバクバク言ってやがる。

とてつもない恐ろしい気配を与えた持ち主はコイツの様だ。


    人間を超越したこの威圧感は…


もょ「こ、こいつが…」

タケ「間違いない様やな…」

俺は大きく息を吸い込んだ。


タケ「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!」



もょもと&タケ
Lv.15
HP:105/105
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄の盾 E鉄兜 
 特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:はやぶさ斬り・魔人斬り
   タケ専用:かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御



681 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 10:44:27 ID:Bzl4k5NEO
レッドマンktkr!!
ムーンたんカワイソス。

682 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 15:42:32 ID:04oTujovO
レッドマン!!!乙!!!
しかし最早パラレルワールドまっしぐらやねww

683 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 15:43:59 ID:04oTujovO
あ、あと携帯からじゃわかんないんだけど、
そろそろ要領制限か?

684 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 16:27:22 ID:bZoGzSs80
いま、425kbです

685 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/20(土) 16:36:32 ID:04oTujovO
>>684
dくす。まだ平気そうやね。

686 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/21(日) 16:37:42 ID:4Z//t9L30
書くの遅すぎ
催促age!

687 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/21(日) 16:41:11 ID:HmN+bs5h0
ageたら投下されるなら誰だってageるさ。

688 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/21(日) 17:18:26 ID:9lm/7ynN0
>>686は死ぬべきだと思う

689 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/21(日) 17:42:45 ID:1Xm49Hk/0
NG入れてる俺は勝ち組

690 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/22(月) 04:44:47 ID:Pj2x8NuYO
なくても笑顔だお( ^ω^)

691 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/22(月) 16:56:54 ID:FRciukna0
保守っとな。

692 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/23(火) 17:09:00 ID:AVH6ykeiO
保守

693 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:10:19 ID:RRQ/IbPl0
その夢を見たのは、出発の前日だった。
怪我の度合いから見て便宜を図ってくれる宿が良いだろうと、数点挙がった候補の中からこのイムルの宿を選んだのは…偶然では無かったのかもしれない。
翌日、泣き腫らした眼をした者が数人現れたことで、一同がまた同じ夢を共有した事を知る。

「ちょっと今朝の夢はハードだったわね…」

小さく嘆息しながらマーニャが呟いた。

「人の犯した罪が…魔族の若者を悪鬼へと変えたのですね…。
なんて…悲しい…」

女性たちが感応する中、男たちは皆沈黙を保っている。
ライアン、ブライ、トルネコ辺りは他に思うところもありそうだった。
大の男が複数で、一人の女性を苛め抜く様に、怒りと、そして自らもその男である事の複雑さ。

「人間は自分の手で滅びの運命を選んだの…?
…いいえ、私がそんな事させない!必ずピサロを止めてみせる!
それはきっと…」

親友の眼が覚めたらきっと、あの子もそうする筈。
マーニャがアリーナに大きく頷き賛同する。

「まあね。あたしはロザリーをいじめてないし、他の多くの人間だって同じだわ。
だからそんな理由で滅ぼされるだなんて納得できない。
あたしは断固戦うわよ!」

「我々が戦う相手は、人の罪そのものなのかもしれませんね…」

694 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:11:16 ID:RRQ/IbPl0
罪。人の罪。
俺たちの…罪。そのもの。
ピサロがいつから人間に憎しみを抱き始めたのかは解らないが…彼の変貌が、人間の罪が姿を変じたものだとするなら。
俺たちは人ではあるが、ロザリーをいじめてはいない。
人間の行動は本能だけではないから、他の動物と同じように種が同じだから人間全てが悪いとは考えられない。
それぞれが別個の存在…人間だけがそうであると考えるのは、傲慢だろうか?
同じ人では無い。だが、人である以上、もし僅かながらにでも罪として共有せざるを得ないものが存在するのだとしたら…。
この戦いで、俺たちは断罪されるのかもしれない。
罪は、裁かれなければならないから。この、戦いの先にあるものは――。





風に靡く髪を、ミネアが抑える。
はしゃぐアリーナ。感心したように髭を扱くライアン。
仲間達はそれぞれ異なる反応を示しながらも、目の前のソレに乗り込んだ。
だが、その中でも俺のリアクションは余り大きなものではなかったろう、と思う。
如何せん、俺には見たことのあるものだったから。

「だからっつったって、こんなでかい気球を見た事がある訳ねーーーーーよ!!!」

傍らの馬がヒヒンと鳴く。
だって、馬が乗る気球て!あまつさえ車の部分まで乗っとりますがな!
そして無尽蔵に噴き出されるガスの入った壷…。
そもそもそんなものが存在して良いのか…普通に考えたら途中でガスが切れて…重りを捨てろ!物を投げるんじゃ!的展開に…。
ちらりとトルネコさんを見る。何やら身震いをしているが、寒いからだろう。高度があるからね。
どんどん荷物(及びピザ)を投げていき、それでもダメだとやがて…服も…?
それは皆が望む展開じゃないだろうか…?後はさりげなくそういうシチュエーションにもっていくだけか。
無理です。ごめんな、へたれで。

695 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:11:56 ID:RRQ/IbPl0
それにしても…。
この気球、一体どうやって動いてるんだろうな…?
風任せ?いやいや、目的地はある以上そんな悠長な話しもないだろう。
普通、気球を意図通り動かそうとするとエンジンを積んだりするものの筈だが…ま、そうなると飛行船になるのだけども。
エンジンとか、そういうテクノロジーはあったっけなあ…?
大きさ的にはもう、飛行船の方が正しいかもしれないな。形はどう見ても気球なんだが。
色々調べてなんか恐ろしいものを発見したら怖いからやめておこう。
好奇心は猫を殺す。
つまり、そういう事だ。
俺としては落ちなければ良い訳で、落ちそうになったらピザを海に投げ捨てれば良い訳で、ついでにストリップタイムな訳で。
ぐふふふ。


この世界には、天空を支える大樹があると言う。
世界樹と呼ばれる神秘の樹――その葉には、倒れた者すら蘇らせる力があるとか。無いとか。
葉ではなく、1000年に一度咲くと言われる世界樹の花には葉を更に超える力が宿るらしいが1000年に一度じゃ期待はできまい。


世界樹と呼ばれる、巨大なる樹木。
その内部を、俺たちは進んでいる。
樹の幹の中を歩く、というのも非常にシュールな体験ではある気がする…。
だが、今の俺の状態とどちらがそうであろう。
ソフィアの収まった小さな棺桶を引き摺りながら、俺は樹登りをしている。

696 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:12:30 ID:RRQ/IbPl0
「代わろうか?」

眼の前で小首を傾げるアリーナに、俺は小さく頭を振る。
彼女の手が塞がると、いざという時に支障が出る――と、いうのは建前で。
これは、俺のエゴだった。
あのブランカからエンドールへの道で、ソフィアは重い俺の身体の入った棺桶を引き摺り、たった一人であの道を歩ききったのだ。
今の俺は戦闘はソロやアリーナ、クリフトに任せられるのだから気楽なものだ。あの頃は彼女も今より格段に弱く、たった一人だったのだからそれは辛い道程だった筈だ。
こんな事で、故郷を失ったソフィアを一人ぼっちにした事への償いになるとは思わない。
だが、それでも…そうしたい。
アリーナが再び先頭に戻り、クリフトがその後ろに控える。
少し遅れて俺が続き、そのすぐ後ろ、殿をソロが守っている。彼もまた、何も言わずに妹を…その身体を、守っていた。

「…今までも、そうして…ソフィアを、導いてくれたのか?」

そのソロが、小さな声で話しかけてきた。

「…いいや。俺が導くだなんて…おこがましいよ。
俺が導かれていたんだと思う。そうでもなければ、こんなところまで…これなかった」

「そうか…。…だが、きっとそれだけではないだろうな」

「え?」

「いや、今はそれで…いいのだろう。俺が言うべき台詞じゃない」

謎めいた事を言い、一人納得するソロ。
俺としてはちょいと問い詰めたい所だが…それより先に、話を逸らされてしまった。

「ありがとう。ソフィアの傍に居てくれて」

「そんな事…礼を言われても、困るし、それに俺は一度…」

697 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:13:03 ID:RRQ/IbPl0
「あれからもう何年も経つからな。色々あったろうとは思うさ。
…じゃあ、そうだな。今、ソフィアの傍にいてくれる事に」

「……」

「俺は…あいつに何もしてやれなかった。昔から、泣いてるあいつを慰めてやる事も、頭を撫でてやる事も…。
あの日から…ソフィアと離れ離れになってしまった事が気がかりでしょうがなかった。
再会して解ったよ。あいつは、いい仲間と出会えたと」

ぽん、と肩に手を置かれる。
すると今にも、その手に引き摺り込まれそうな感覚――俺は軽く頭を振った。
それも、ソロは謙遜と受け取ったようだった。

「あいつが健やかに成長できたのは、あいつ一人の力じゃない。だから、礼を言いたいんだ。
…兄として、な。ずっとほったらかしにしてた癖に図々しいって言うなら、これ以上は言わないが」

「そんな事言う訳ない…解ったよ。ソロ。だけど、これからはソロも一緒、だろ?
できる事とできない事はあるかもしれないけど、それでも…もう、一人にしないでやってくれよな」

「…その心配は…」

必要ないだろう?悪戯っぽく笑って俺を見る目が、思いの外、真剣な雰囲気に少し驚いたように見開かれる。
必要なのか?お前が居る限り、ソフィアはもう一人になる事は無い――。

「ああ…そう、だな…」

ソロは、そう言うに止めた。

698 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:13:34 ID:RRQ/IbPl0


「申し訳ございません、姫様」

先頭を歩くアリーナの背に、小さくクリフトが呟いた。
悟られぬようにしてきたつもりであったが、今のこの距離を見るにソロは恐らく察していたのだろう。
アリーナは…どうだろうか。彼女の事は何でも知っていると自負してきたクリフトだが、この旅の中、戸惑うことがあったのもまた事実だった。

「何を気にしてるの?」

「…一時の憤怒で我を忘れ、姫様の治療を怠った事です。従者としてあるまじき失態…真に…真に、申し訳もありません…如何なる罰も覚悟の上です…」

もっとも、置いていくと言われる事だけは承服しかねたかもしれないが。
命を賭けろと言われたら、迷うことなく死地へと赴く覚悟は完全にできていた。

「そうね。あの時治療してくれていたら…ワンパンチはいれられたかな。その後、やられちゃっただろうけどね」

しゅっしゅっとパンチを撃つまねをして、あははと笑う。
内心はともかく、彼女は既に立ち直っていた。

「そうね、罰って訳じゃないけど…一つ、いいかな」

「はい!なんなりと!」

「それじゃあ――これからは、私を優先して治療するのを止めなさい」

クリフトは内心、ドキリとする。
そこまで露骨にしていたつもりはない…のは本人だけで、誰の眼にも明らかな事ではあったのだが。
男たちはもちろん、マーニャもミネアもそれなりに聡いので、それほど問題にはならずに来ただけ。
いや、そこまでの危機に直面することが無かったのも一因かもしれないが。

「ですが…ですが、姫様…!」

699 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:14:09 ID:RRQ/IbPl0
「クリフト。貴方が私を大切にしてくれるのは感謝しています。ですが――これ以上、私は大切な人を失いたくありません。
それが例え、いずれ別離が訪れるのだとしても、出来る限りは」

「それは…ご命令ですか…」

「いいえ。お願いしているのです」

「…………」

長い沈黙の帳を神官が引き上げる。

「……御心のままに」

「ありがとう、クリフト」

愛しい人の、花が咲くような笑顔。
クリフトは一瞬、それに見惚れ、そしてすぐに意識を取り戻す。
この笑顔を、見たい。見ていたい。その為には。
彼女の命を。仲間の命を。
全てを癒す。そうする事で己は仲間の命と、そして彼女の命と笑顔を守るのだ。


「〜〜……けて……さい〜〜……」

「ん?何か言ったかアリーナ?」

「えいっ!ん?何も言ってないわよ?」

700 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:15:34 ID:RRQ/IbPl0
竜巻みたいなものを纏った魔物にコブラツイストをかけながらソロに応じるアリーナ。
似合うなあ。無駄に。コブラツイスト。
まあコブラに限らず関節技なら何でもだが。関節技にこだわらず素手による攻撃ならば。
空耳は大して気に留めず、俺たちは順調に樹の内部を進んでいく。
体力的には俺もだいぶ苦しいのだが、それ以上に何故かクリフトが上に登るにつれて死にそうになっている。
…気球の中でも泣きそうになってたっけな。悲しい事でもあったのだろうか。
だが、泣いたり笑ったりしながら成長することもあるだろう。って誰かが言ってた気がする。

やがて――空一面を、碧が埋め尽くした。
全てが、葉。世界樹の葉だ。太陽の光を浴びて輝く、神秘の葉。
その色は――彼女の髪と同じ色で。俺は涙ぐんでしまっていた。
目の前に彼女の笑顔があるような気がして…こぼれ落ちないように、天を見上げ続ける。

「よっしゲット!それじゃあ早速ソフィアに…」

「いや、ここは太いとはいえ樹の枝の上だし、幹の中に戻ってもまた魔物も出るかもしれない。一度地上に戻ろう」

元々は手に入れたらその場で調合して飲ませるつもりだったのだが。
思いの外安全とも言えない状況だったので、俺たちはその場から一時離脱する事にする。
俺の努力はある意味無駄だった訳だが、何故かそういう気持ちにならない。きっと、背負ってきたのがソフィアだったからなのだろう。

701 :世界樹 ◆gYINaOL2aE :2006/05/24(水) 01:16:23 ID:RRQ/IbPl0
「〜〜〜〜…………!?〜〜〜………っ!」

どこからか焦るような雰囲気を感じるが俺は気にしない。
そんな事は些事だ。ソフィアに勝る有事などないのだから。

アリーナを先頭に駆け下りる一同。
俺は聴こえたような気がした声について、クリフトに訪ねてみたが、聴こえていないのか物凄い勢いで降りていってしまった。
心なしか顔色も悪かったな…泣きそうだったのは…アリーナと何かあったのかなあそういう雰囲気でも無かったんだが…。

世界を支える樹の葉には、倒れたものを再び立ち上がらせる力があるという。
だが、世界樹の葉をもってしても、死者を蘇らせる事はできないらしい。
生者と死者をどこで区別するかなどは俺は興味が無い。
ソフィアが蘇りさえすれば、それで良い。理屈など…どうでもいいさ。
それが例え間違っているのだとしても…ああ、そうだ。この考え方は間違っている。
ミネアに言われずとも自覚していた。
それでも。それでも、構わない。

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