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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/11(土) 21:30:54 ID:2kKEOzWo0
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

・スレの性質上1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら五泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1134827399/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/

422 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 20:48:36 ID:YwL1EuX60
文体は上手いんだがこれはちょっと・・・

423 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 21:03:19 ID:DLTlylqs0
鬼畜王?w

424 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/14(金) 21:56:55 ID:hVDdU7Gz0
>>422に同意。
既出の作品群には無い個性だが、やはり表現に抵抗を感じてしまう。
今後の展開が面白そうなだけに、残念。
下ネタ有りと明記して別スレたてて、他の同志募ってみては?

425 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/15(土) 02:05:09 ID:QdN7q59G0
面白いし、気になる作品ではあるだけど、板の性質上、小学生とかも
来訪者もいるからな…今後は全年齢版ではなく大人板寄展開になりそ
うだし

大人板でこのスレからの派生ということをスレタイに入れたスレを立てて、
続きを連載した方が良いかも。読みに行くので…

426 :素股三四郎 ◆BmPkDhDVz6 :2006/04/15(土) 19:15:28 ID:z8H9VnHX0
分かった。別スレ立ててシコシコやるよ。お目汚しすいませんでした。

427 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/15(土) 20:19:50 ID:6iLw95v4O
ちょwwこの板にたててるじゃねーかwwまぁ心意気は大いに認めるw

428 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/15(土) 21:31:43 ID:QdN7q59G0
まぁFFのヒロイン関連で結構あっち系が立ってたりするから良いんじゃね

429 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/16(日) 18:35:39 ID:DKLxb9DcO
保守

430 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/17(月) 00:37:37 ID:hXyOkRmI0
次に目を覚ましたのはあの酒場だった。そう例の神酒のとこだ。パンツがここまで担いできたらしい。
店長は号泣しながら礼を言ってきた。別にお前のためにデカブツと倒したんじゃねえ。
うざいから泣くな。と、ねーちゃんが手招きしている。ははーんさては俺の男の中の男の闘いっぷりに
惚れちまったか?ったくこれだからモテる男はつらいぜ。誘われるがままに店の外に出る。

勇者殿…

来た来た。いつでも準備は万端だぜハニー。今晩は最高級のスイートルームを予約しようかってぬお!
振り返った視線の先にいたのはおっさんだった。なんでてめーがここに居るんだチクショーが!!!
実は洞窟でこんなものを拾ったのですじゃとおっさんが勲章のような物を見せた。
竜の形をしていて真ん中にはよくわからない文字が刻まれている。なんだこりゃ。

それはジパングの紋章よ。それもかなり地位の高い人しか身に付ける事ができないものよ。

ねーちゃんが続ける。男心を弄びやがって酷いぜねーちゃん…ってえ!?どういう事だ!?
あの洞窟にこの国の偉い奴しか身につけられない物が落ちている。どうやら嫌な予感は的中した
ようだ。沸々と湧き上がる俺の怒り。すぐに酒場に戻り全員に召集をかける。

おまえらこれを見て欲しい。

みんなの視線が竜を象った紋章に集まる。


431 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/04/17(月) 00:38:34 ID:hXyOkRmI0
これは洞窟に落ちていたものだ。おっさんが拾った。ブローチだかペンダントだか何だかしらねーが
どうやらこの国のお偉いさんしか身に付ける事ができないものらしい。

勇者の顔が強張る。パンツが何か大発見をしたような顔で喋りだす。総長それはつまり…黙れ。
会議中においておまえに発言権は無い。

俺はハッキリ言ってブチ切れた。今から城に殴りこみに行くぞてめーら!

俺は大声を張り上げた。ちょっと待ってとねーちゃんが話し出す。

今日はみんな疲弊してる事だし準備を整えて明日改めて訪ねましょう。それにその格好じゃ
多分城の中に入れてくれないわよ。

自分の服を見つめてみる。ボロだ。これは服というより完全なボロだ。いやしかし服装など関係ない!
俺は今殴りこみをかけたいんだ!

あの…お取り込み中失礼しますがささやかですが出来る限りの料理と酒を用意しました!
娘の恩人です!遠慮なく食べて下さい!

……よし。出発は明日にしよう。

432 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:38:35 ID:RdyazwDA0
>>321続き
ピラミッドは王家の墓であり、財宝庫であり、イシスの象徴であった。
見るもの誰もがその大きさに圧倒されるだろう。
そして夕日がピラミッドに沈む光景には自然の偉大さを感じ、
夜の暗闇に佇む姿に畏怖と崇高さを覚える。
ピラミッドという存在は、ファラオの力を一番端的に示しているのだ。
「こっちの世界にもピラミッドあるんだね〜ますますエジプトみた〜い」
エジプトみたい、じゃなくてそうなんだけどね・・・
「よ〜し、一番乗りだ〜!!」真理奈が正面の入り口に駆ける。
「こらっ!ここは王子である僕が一番に決まってるだろ!」
フィリーが真里奈の後に続く。
「あっ、フィリー様!私も行きます!」
「待て待て、ここは危険が無いかワシが調べてからじゃな―――」
プエラ・パトリスもピラミッドに入って行った。
皆が宝探しにワクワクしている中、残されたジュードは
「は〜やってらんねぇぜ。何であんなヤツの為に・・・」と1人ダルそうにしている。
「・・・・」コクコクッ
ジュードの隣でフィリアが同意、とばかりに頷く。
「何だ?お前もアイツ嫌いなのか?」
「・・・・」コクッ
「だよなぁ〜あのうるさいトコが気にくわねぇ。お前もそうか?」
「・・・・」
違うよ、という目でジュードを見る。
「あ?違うのか?」
「・・・・・・・・・名前、似てるから」
フィリアとフィリー。
「名前?あぁ確かに似てるな!ってか同じじゃん!ははっ、こりゃ笑える!!」
爆笑するジュードの事を軽く睨み、フィリアは脇腹にパンチを入れる。
「いでっ!!・・・何だよ・・・」
ジュードを無視し、フィリアもピラミッドに向かう。
ごめんねフィリア。あんなのと似てる名前にしちゃってごめんね・・・


433 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:40:05 ID:RdyazwDA0
ピラミッドの入り口はそのまま大回廊となっている。
が、横幅が無いので2列なって進むしかなかった。
先頭に真理奈とパトリス。真ん中にフィリーとプエラ。しんがりはジュードとフィリア。
暗く、静かな廊下に唸り声が響いてくる。そして突然襲い掛かってくるモンスター。
「げげー!!これってミイラ?!」
「そうじゃな。気をつけるんじゃぞ真理奈。ここは狭いからの」
「大丈夫だって!うりゃあ!!」
ミイラ男にお得意の蹴りをかます。体をくの字に曲げ吹っ飛んでいった。
「王家の財宝を守るモンスター、か。もしくは財宝荒らしを獲物にしとるんじゃな」
しかし財宝が眠っているのに、このピラミッドの造りは何だろうとパトリスは思う。
普通何かを隠したり、大事なものを守ろうとする場合には厳重な扉をつけたりする。
それがピラミッドにはまったく無かった。イシスの兵士が警備をしてるでも無い。
「どうぞお取り下さい」とばかりに開け放たれている。
その代わりにモンスターがいるのかもしれないが・・・
(意図的にそうしている・・?まぁモンスターは財宝に興味はないからのぅ)
「それにしてもおじいちゃん達はジュードみたいに鎧を装備しなくていいの?」
真理奈の問いかけによって思考は中断されてしまう。
「ん?あぁ、あんな重たいモン装備しなくてもワシには呪文があるからの。
 例えばスカラという呪文がある。対象者の守備力を上げる効果があってな。
 これを使えばワシやフィリアのように防御力が低い者でも、
 モンスターの攻撃に耐えれるようになるんじゃ」
「へ〜」
「むっ!信じておらんな?よ〜し、スカラ!!さっ、真理奈よ。ワシに攻撃してみぃ」
「いいの?」「あぁ。逆に真理奈の方が痛いかもしれんがな。フォッフォ」
「じゃあいくよ〜」ボコッ!!!
「!!!!!!!」
「あっ、ゴメン!やっぱ痛かった?」
「いやいや、スカラのおかげでちっとも痛くないわい・・・おおぅ・・」
パトリスは真理奈に見えないように、懐からそっと薬草を取り出したのだった。


434 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:42:01 ID:RdyazwDA0
回廊を真っ直ぐには進まず、小さな部屋を片っ端から見て回る。
その途中で宝箱をいくつか見つけたが、どれもからっぽだった。
「まぁ、黄金の爪は地下に眠っているという話じゃからのぅ」
「でもどうやって地下に行くの??」
「・・・分からん。もっと先に進まんと地下への階段がないかもしれんな」
しかし、モンスターが引っ切り無しに襲ってくるので、中々先に進めない。
大体は真理奈の一撃やパトリスの呪文で倒せるのだが、
この狭い回廊では倒したモンスターをまたぐ必要があるので面倒なのだ。
そうこうしている内に大王ガマが姿を現す。
と、それまで珍しく静かにしていたフィリーが声をあげた。
「ええい!僕はロマリアの王子だぞ!僕だって戦える!!」
一番前に飛び出し、赤いカエルに突っ込むフィリー。
攻撃を仕掛けようとした瞬間、踏み出した足元の床が抜け、フィリーは姿を消した。
「フィリー!!」プエラが叫ぶ。
穴の中からは「わ〜!!助けて〜!!」という声が・・・
真理奈がすぐさま飛び込み、フィリーの上に着地する。
上の階より暗いが、周りにモンスタ−がいるのが雰囲気で分かる。
「ぐえっ!」という声を無視して、足に力を入れモンスターに飛び掛る。
「フィリー!?」
プエラが穴から降りて、これまたフィリーの上に着地する。
「うぎゃっ!」
「あっ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「ぜ、全然平気ですよ・・・」
「そんなカッコで言ったって説得力ないわよフィリー。
 ったく、どうせ姫にイイトコ見せようって思ったんでしょ?」
モンスターを追い払った真理奈がちょっかいを出す。
「まぁ、そうなのですか?」「っ!!」
赤面するフィリー。まぁ暗くて表情はあまり見えないんだけどね。
「違いますよ!僕はただロマリアの王子としてですね!」「ふふふ」
フィリーはプエラに手を引かれて立ち上がる。
そんな2人を見て真理奈は、うまくいけばいいなと思う。


435 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:43:07 ID:RdyazwDA0
ピラミッド地下1階。視界の利かない中を真理奈達はゆっくりと進む。
プエラはここに来てようやくピラミッドの本当の怖さを実感していた。
それは、暗闇がいっそう濃くなったとか、ここから無事に地上に出られるのだろうかとか
そういった不安や恐怖がもたらすモノではない。
明らかにここは力の強さが違う。
まるでファラオ王に直接見られているような―――
実際に会った事はないが、ファラオ王にはこんな風に場を支配する力があったのだろう。
そう感じざるを得ないような場所に隠す財宝は、まさに秘宝を呼ばれるのに相応しい物。
つまり黄金の爪をはそういった類の物なのだ。
それ故に手に入れるには危険も数段高くなる。
女王があの時、占いの結果を伝える時に躊躇いを見せたのも分かった気がした。
しかし、もしそうならば女王はなぜ今回の儀式に黄金の爪を選んだのだろうか。
プエラ『占い』が建前だという事を知っている。
所詮ファラオやルビスの名を借りて、思うままに政治を行っているに過ぎないのだ。
それなのにこんな困難な命を下したという事は、この結婚話は成立しない方がいい。
そんな風に女王は考えているのかもしれない。
(どうして・・・?私達が死んでしまってもいいと言うの?)
周りの雰囲気も手伝ってか、嫌な考えばかりが浮かんでくる。
プエラは立ち止まり、その場で強く目を閉じてしまった。
どうしようもない不安から逃げ出したくなったのだ。
その時、不意に手をギュッと掴まれた。相手の温もりが伝わってくる。
「プエラ」 「・・・フィリー?」
「大丈夫。黄金の爪はもうすぐそこだよ。一緒に国に帰ろう」
「・・・・・・はいっ!」
それは太陽のような―――
「邪魔するなよモンスター!そしてピラミッドの主ファラオよ!!」
手を繋ぎ、再び歩き出す・・・・と、
「イシスの姫プエラと、ロマリアの王子フィリーがっ!!あぁあああぁぁぁ〜!!」
ガシャンガシャンガシャンガシャン―――ドシンッ!!
派手な音を立てフィリーは再度、奈落の底へ落ちていった・・・。


436 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:45:37 ID:RdyazwDA0
(また落ちた・・・)
誰もがそう思い、呆れた。
「フィ、フィリー!!」
びっくりして思わず手を離してしまったものの、一番早く我に返ったプエラ。
フィリーを追いかけ、階段を駆け下りる。
「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・」
フィリーはモンスターの唸り声に似たうめき声を上げていた。
「フィリー!フィリー!!しっかり!!」
「・・・フィリア、ホイミしてあげなさい」
パトリスに言われ、フィリアが嫌そうな顔でフィリーに近づいた。
そして薬草をプエラに渡す。
(相当嫌いなんだな・・・)
その様子を見てジュードは一人納得する。
「しかし、まだ下があったとはのう」
「きっとこの先に・・・?」
長い間空気を入れ替えていないのであろう。息をするのも嫌になりそうだ。
フィリーのうめき声が止むと、また沈黙が辺りを包んだ。
そして誰からとも無く歩き出す。
曲がり角を含んでいるが、これまでと違い変哲も無い一本道。
それは、この先に捜し求めていた物があるという確信でもある。
再び左へ曲がる。
そこは行き止まりで、小さな部屋になっていた。
部屋の中央には1つの棺。
棺を見る者が必ず見上げるようにするため、その床は他より高く造られていた。
正真正銘のファラオの墓だった。
「やっと、たどり着いた・・・」
フィリーが皆の思いを口にする。
そしてフィリーとプエラは祭壇のように奉られている棺へと近づいた。


437 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/17(月) 01:47:58 ID:RdyazwDA0
今日はここまで、と。
思ったより長くなってしまうなぁ・・・
もう少しスマートに話を展開したいと思うオール明けの日曜日。

438 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/17(月) 18:26:32 ID:1o+24vtY0
暇潰し氏乙です!
長くなるのは歓迎ですw

439 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/17(月) 19:20:33 ID:dLjJSU6k0
>>総長
現金主義で身替りが早いなw
>>暇潰し
内容的には申し分はないが文章の間に間を上手く開けたら
もっと読みやすくなって面白さが良くなる…か・も。


440 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/17(月) 20:04:55 ID:zMQCTWcDO
総長のギャグとシリアスの微妙なさじ加減にはいつも関心させられるw

441 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/18(火) 08:01:29 ID:hsXxyjcW0
あっつい・・・・・

俺達はドラゴンの塔に向っている。道中に教会があって水と食料を補充したのだがやっぱりしんどい。
俺の場合はもょもとがいるから交代制で歩く事ができるがサマル達はそう言う訳には行かない。 
 もょ「(タケ…すまん…)」
 タケ「(ええんよ。しばらく休んどき。しかし砂漠はホンマに疲れるで。)」
 タケ「レオン、大丈夫か?」
レオン「俺は慣れているから問題無いがムーンとリアがちょっとしんどそうだ。」
 タケ「日影になる場所があればいいのだが………」

マジ困った。なかなか日影になる様な場所が見つからない。やっぱり馬とかラクダは必要だったのだろうか?

サマル「ムーン。地図にはオアシスは載ってないのかい?」
ムーン「はぁ…はぁ…の、載ってないわ。」
サマル「そうなのか…ちょっと休みたいなぁ…」
 リア「しんどいよぉ〜…こ、こんなに疲れるなんて…」
流石に休憩はしないと本気でやばい。熱中症で誰かが倒れてもおかしくは無かった。
レオン「おや……あれは?おい、もょもと。」
 タケ「どうした!?」
レオン「オアシスがみつかったぞ!」
 タケ「マジっ!?みんな!オアシスが見つかったってよ!」
 リア「本当!?早くいこっ!」

俺達はレオンが言う通りの方向に向かった。

サマル「やったー!!これで休めるぞ!」
 タケ「ヒャッハー!水だ水だ!」
レオン「ここで野宿をしよう。日が暮れてきているし体力的にも限界だな。」
ムーン「そうね。休める場所があるだけでも贅沢は言えないわ。」
 リア「本当にありがとうレオンさん。」
レオン「可愛いレディのために男として当然の事さ。」


442 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/18(火) 08:03:14 ID:hsXxyjcW0
 タケ「いいぞベイベー!ここで水浴びしなければ只の馬鹿だ!ホント オアシスは天国だぜ!フゥハハハーハァー!」
            
                   ざっぶ〜ん

 リア「きゃあっ!」
ムーン「ふふっ、もょもとって子供みたい。」
 タケ「うるせーな、ムーン。水浴びはいいぞ!レオン、サマルも入れよ!」
サマル「ぼ、僕はいいよ。」
レオン「確かに水浴びしないとやってられないな。俺も行くぞ!」

レオンもオアシスに入ってきた。

 タケ「レオン!お主のお陰で余は大満足じゃ!かっかっか。」
レオン「まぁ、無事で良かったぜ。それにしてももょもと、最高のチャンスが回ってきたぞ。」
 タケ「どう言う事だ?」
レオン「まぁ聞けよ・・・・ゴニョゴニョゴニョ・・・・・・」
 タケ「マ、マジで!?」

こいつ、もしかしたらかなりウマが合いそうだ。別の意味で。

 タケ「しかしそれは大丈夫なのか?」
レオン「当たり前だ。恋愛の百戦錬磨の俺が言うのもアレだがたまには違うスリルを味わうのもいいかなって思ってな。」
 タケ「レオン。なかなかの悪ですな。しかし自分で恋愛の百戦錬磨って言う奴はいるか?」
レオン「ククク、俺には実績があるからな。まぁもょもとほど悪でもないけどな。」
 タケ「阿呆。プラン立てた奴に言われたくはないけど。」
レオン「まぁ実行するのは夜だ。それまで飯を食ったり、明日の準備をしたりして待つとするか。」

俺達は夜を待つ事にした。今夜はまさしくハプニングミッドナイトの予感!!


443 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/18(火) 08:04:59 ID:hsXxyjcW0
 タケ「隊長。夜になりました。自分はドキドキドッキンの状態であります!」
レオン「緊張するな。先に俺が様子を伺ってくるからな。しかし意外な一面があるなもょもとは。」
 タケ「そ、そうか…?」
レオン「まあいい。俺が先陣切ってくるからな。」

レオンは先に行動を移した。

 もょ「タケ、なにをしようとしているんだ?」
 タケ「たいした事は無いっすよ。まぁ、サマル達の警護やで。レオンと一緒にする事にしたんや。」
 もょ「なにかあやしいな〜べつのもくてきがあるんじゃないか?」
 タケ「ホ、ホンマにみんなの警護だけやから!」
 もょ「いっておくがへんなことしたらだめだぞ!」
 タケ「わ、わかってるがな…」

言えねぇ…ムーン達の所にタシーロしに行くなんて言えねぇ…

レオンの指示通りに待っていたのだがなかなかレオンが戻ってこない。何があったのだろうか?
これは気になるな。とにかく指示を無視して後を追いかけるか。
レオンの後を追いかけるとリアがレオンと一緒にいた。あの野郎!今度はリアに手を出すつもりか。
あのスケコマシめ!鋼の剣の錆びにしちゃる!
しかし二人とも様子がおかしい。何か入り込めない雰囲気がある。匍匐前進状態にしてここは様子を見るとしますか。


444 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/04/18(火) 08:09:49 ID:hsXxyjcW0
レオン「なぁリア。眠れないのか?」
 リア「うん…」
レオン「それにしてもいい夜空だな…あいつら、大丈夫かな…」
 リア「あいつらって誰なの?」
レオン「俺の仲間達さ。この世界に来ていると信じたいのだが、確証はもてない。」
 リア「そうなんだ、レオンさんの仲間が早くみつかればいいね。」
レオン「ああ…馬鹿ばっかりな奴らだけど、バラバラになったらやっぱり寂しい物があるな…」
 リア「レオンさん元気出して。必ずいるはずだよ!この世界に。」
レオン「どうしてだ?何か根拠があるのか?」
 リア「………わからなくてごめんなさい。でも、私は信じていたいの。レオンさんの仲間がこの世界にいるって。」
レオン「悲観的に考えても仕方がないな。僅かな可能性に賭けてみるか。」

そのうちレオンは自分の事を語り始めた。

リア「……なんて言えばいいのかわからないよ。」
レオン「気にするな、でも…もょもとと同様にリアも優しい女の子だな。」
 リア「えっ…で、でも…(////)」
レオン「いい笑顔だ。何か引き寄せられるものがある。」
 リア「そ、そうなんかなあ?」
レオン「俺もあんまり自分の事を話したくはない。けど、もょもとやリアの影響で思わず話してしまった。ハハッ…」
 リア「でも、ちょっとだけレオンさんの事を理解できて良かったと私は思うんだ。明日からもよろしくね!」
レオン「ああ…そろそろ寝るとするか。」

リアは自分のテントに戻っていった。俺もレオンにばれる前に自分のテントに戻るとするか…

テントの中でと何かゴソゴソする音が聞こえる・・・・・・・ドロボウか!?思わず俺は

 タケ「何しているんじゃクルルルルルルァァァァァァァァ!!」
  ?「し、しまった!!」

誰かがいた…俺は側に置いてある鋼の剣を持って戦闘態勢に入った。

445 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/18(火) 18:10:10 ID:h15tWj8z0
ちょww
ここでやめるかwwww

446 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/18(火) 22:16:57 ID:sTYlvsJjO
外道すぎるwwwwwwwwww
だが、そこがいい!

447 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/19(水) 07:12:50 ID:ZAFEuJSQO
まさかこのスレで某コピペが見れるとは思わなかったw

448 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/19(水) 19:13:52 ID:w7zcJyYM0
ああ・・・タケがますますネタキャラに・・・

449 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:03:31 ID:V8Ajd0Z10
>>436続き
2人が棺を恐る恐る開けると、暗い部屋の中で、名前の通り黄金に輝く財宝が現れた。
  「おお〜」
  「うわ〜何か趣味悪い〜」
  「鉄の爪に似てるな。お前装備できるんじゃねーの?」
  「ヤだよこんなの!」
  「鉄の爪より攻撃力がありそうなんじゃがのう」
  「おじいちゃんまで何言うのよ〜」
その時、低く聞き取りづらい声が辺りを支配した。
              ―――我の眠りを覚ますのは誰だ―――
  「え?!」
  「何なに?」
         ―――王家の財宝を荒らす者よ。生きて帰れると思うな―――
突然棺から光が放たれる。暗闇に慣れた目にはひどく眩しかった。
  「・・・・・・?」
数秒の沈黙。何も変化が無いと思われたその瞬間、
  「ぐはっ!!」 ドカンッ!
ジュードが攻撃を受け、倒れる。
いつの間にかミイラ男が真理奈達の背後に迫っていた。
  「・・このッ!」
真理奈が鉄の爪をミイラ男に突き刺す。その一撃で勝負は決まった。
が、ミイラ男が倒れると、その後ろからまたミイラ男が・・・
目を凝らすと、この小部屋にどんどんとミイラ男が入って来るのが分かった。
  「何これ!さっきまでこんなにいなかったのに・・・!!」
目の前のモンスターを倒しながら真理奈が舌打ちする。
  「よし!ここはワシにまかせんしゃい!ベギラマ!!」
炎の渦がミイラ男達を焼き尽くさなかった。
  「・・・ありゃ?ベギラマ!ベギラマ〜ッ!!」
  「ちょっと!何してんのよ!!」
  「呪文が使えない・・・・」
な、なんだっ(ry


450 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:09:10 ID:V8Ajd0Z10
  「ホイミ」
フィリアもジュードに呪文を試してみるが、効果は表れなかった。
パトリスを見上げ、首を横に振る。
  「・・・呪文なんか無くったって平気だっての」
ジュードは薬草を乱暴に飲み込み、ミイラ男の群れに突っ込んで行った。
狭い通路に真理奈とジュードが並び、少しずつモンスターの波を追い返していく。
  「今回ワシらは出番なさそうじゃのう・・・」
パトリスは戦う2人を眺めて嘆息し、フィリアは不思議そうに棺を見つめていた。

斬る。殴る。薙ぐ。蹴る。刺す。突く。裂く。
真里奈・ジュードはそれらを向かってくる相手にお見舞いしていく。
と同時に少しずつ相手の懐へ踏み込んで行く。
何せ通路いっぱいにミイラ男の列が出来ているのだ。
ただ倒すだけではここから一生出られないだろう。
パーティーはそれに合わせて徐々に前進して行く。
が、この通路では一度に2人しか戦えないのでその前進は微々たるものだった。

一番後ろで待機しているパトリスは再び疑問に思う。
通常倒したモンスターはそのまま死体となる。
中にはそのまま消えてしまうようなモンスターもいるが、少なくともミイラ男は違う。
それなのに真理奈とジュードが倒したミイラ男は跡形も無くなっているのだ。
暗闇に溶け込むように体が消失していく。
まぁそのおかげで、通路が死体だらけにならずに済んでいるのだが・・・
さらに呪文が使えない謎。人智を超えた力が働いているに違いない。
  (これが王の呪いなんじゃろうな・・・まったく女王も無茶させおるわ)

  「あぁぁあ〜もう!!いつまで続くのよ〜!!!」
ピラミッドにこだまするその声は、真理奈の苛立つ姿を嘲笑っているかのようだった。


451 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:11:31 ID:V8Ajd0Z10
階段を上り、地下1階へとようやくたどり着いた。
しかし今度は四方からモンスターが迫ってくる。
未だ呪文の使えないパトリスやフィリアも戦闘に参加せざるを得なかった。
  「出口っ!どっち!?」
  「知るかよ!!」
さすがに真理奈やジュードには疲れの色が見え始める。
  「ピーピー!!」
それまで真里奈のバッグに隠れていたブルーがツノを出し、訴える。
  「あっちが出口なの・・?オッケー!ブルー、信じるよっ!!」
皆は真理奈を信じ、進行方向を定める。
戦えないプエラを守りながら周りに気を配り、モンスターを排除していく。
4人は何とかそれを実践していたが、1人フィリーだけが何もしていなかった。
いや、正確には何も出来なかった。
これだけのモンスターに囲まれ、足がすくんでしまっている。
真理奈達についていくだけで精一杯。
初めて感じるここまでの恐怖。
この試練がどれだけ難題だったのか、今になって実感しているのだ。
その時、1匹のミイラ男が4人の隙をつき、フィリーとプエラに襲い掛かってきた。
ミイラ男の包帯に巻かれた両腕が振り上げられる。
  「きゃあああぁぁぁぁあああ〜!!」
  (こんなの・・・・無理だよ・・・・)
  「フィリー!!」
気付いた真理奈が叫ぶ。しかしフィリーは動けない。
  「ロマリアの紋章が泣いてるわよ!」
  (そうだ!僕は・・・!)
  「うわああああああああ〜!!!」
フィリーは大声と共に気合を入れ、鉄の槍を突き出した。
が、王子様渾身の一撃はミイラ男には当たらず、脇に外れてしまう・・・
そして勢い余った王子はそのままミイラ男に渾身の体当たりをする形になる。
フィリーのヘンテコな会心の一撃はミイラ男を見事に吹き飛ばした!


452 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:15:15 ID:V8Ajd0Z10
フィリーに飛ばされたミイラ男は、後ろのモンスターにぶつかり将棋倒しになる。
その先には天井から差し込む光が・・・
  「プエラ!行こう!」「はいっ!!」
王子と姫は手を繋ぎ、ピラミッドを脱出した。
プエラのもう片方の手にはもちろん黄金の爪がしっかりと握られている。
  「よっしゃ〜私達もこんなとこからオサラバしよっ!」
モンスターを適当にいなしながら真理奈達もピラミッドの外に出る事に成功する。
どうやらミイラ男達はピラミッドの外までは追って来ないようだ。
太陽がオレンジ色の光を放ち始め、一日の終わりを告げようとしていた。
  「はぁ〜終わった〜・・・」

  「きゃあぁぁぁぁあぁ〜!!!」
  「え?!」
突然プエラの前の地面が盛り上がり、赤くて巨大なカニが現れる。
地獄のはさみだ。ミイラ男のように次々と湧き出てくる。
  「ちょ・・・終わりじゃないの・・・?」
うんざりする真理奈を横目に、地獄のはさみの前に立つ者が1人。
  「ふっふっふ。神はちゃんとワシにも活躍の場を与えてくれたようじゃな。
   ここはワシに任せんしゃい!」
パトリスが子供のように楽しそうな表情で言う。
  (外に出ればこっちのもんじゃて!それに少しは働かんとご褒美にありつけんからのう)

フィリーがプエラを避難させ、パトリスが一番前に出る。
その間6匹の地獄のはさみは攻撃をしかける事無く、しきりにはさみを上下させていた。
[スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト] [スクルト]
みるみると地獄のはさみ達の甲羅が堅くなっていく。
  「無駄じゃ無駄じゃ。ワシの呪文の前ではな!!
   メラミメラミメラミメラミメラミ〜!!」
パトリスがここぞとばかりに張り切り、地獄のはさみを焼いていく。
その一帯だけ昼間の灼熱の熱さを取り戻したかのようだった。


453 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:21:10 ID:V8Ajd0Z10
炎に焼かれ、地獄のはさみが動かなくなる。
  「どうじゃ!呪文の力を思い知ったか〜!!」
  「カラ剥いて食べたらおいしいかな?」
  「お前モンスター食うのかよ」
  「え〜だってこれカニでしょ?カニっておいしいんだよ〜!」
  「・・・・・・・」
パトリスをかつて無い程のやるせなさが包んだ。

何を思ったかフィリアがトテトテと地獄のはさみに近づいた時、
  グググググググググ・・・
良い具合に焼かれた地獄のはさみ達の中から低い唸り声をあげ、生き残りが現れた。
  「もー勘弁してよ!早く帰ってシャワー浴びたいっ!!」
  「よ、よしっ!今度こそこれで終わりじゃ!メラミ!!」
しかし、パトリスの杖からはメラの炎は出現しなかった。
  「・・・・・MPが足りないようじゃの」
  「もーおじいちゃん使えない〜!」
  「な、なんじゃと!」
  「やるなら最後までしっかりと締めてよねっ!」
真理奈が止めを刺しに地獄のはさみへと走り、背中に飛び乗る。
  「おりゃ〜!!」
ガキンッ!!
  「・・・・!!!痛った〜!!!」
金属の壁を殴ったかのような衝撃。鉄の爪を通じて腕に痺れが伝わってくる。
  ググッ!グググ・・・
地獄のはさみは真理奈を攻撃しようとするが、はさみが届かなくてもだえる。
  「ありゃダメだよ。硬すぎ〜」
真理奈が地獄のはさみの背中からジャンプして戻ってくる。
  「やはりワシの呪文が無いと困るじゃろ?」
  「使えないのに言われても・・・」
  「・・・どうする?」
一応攻撃を試したジュードも戻ってくる。どうやらダメだったらしい。

454 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:33:22 ID:V8Ajd0Z10
  「・・・」
そこでフィリアがここは私が、と声を上げる。
いや声は出してないんだけどね。
  「ルカニ」
久しぶりに聞くフィリアの声は、やはり凛としていた。

  「ねぇねぇ、ルカニって?」
  「ルカニは相手の守備力を下げる呪文じゃ。これで攻撃が効くように―――」
  グググ! [スクルト!]
地獄のはさみは不気味な笑みを浮かべながらはさみを振り上げ、呪文を唱える。
  「・・・あれじゃあ意味無いよね?」
真理奈の質問に対して、パトリスは明後日の方向に目を逸らした。

  「・・・ルカニ」
敵の的確な対応に少しムッとしたフィリアが再び呪文を唱える。
  [スクルト]「・・ルカニ」[スクルト]「ルカニ」[スクルト]「ルカニ!」・・・
フィリアと地獄のはさみの呪文が応酬を繰り返す。
フィリアを見下すように呪文を唱える地獄のはさみ。
それが気に食わないのか、意地になってフィリアも呪文を唱える。
  「なんじゃコイツは・・・MPが尽きんのか?」
それは魔法使いの自分よりMPがあるのではないかと思わせる程だった。

  「フィリアちゃん頑張って〜!!」
  「頑張ってください!」
  「ピーピー!!」
皆の声援を背中に受け、フィリアは呪文を唱え続けた。

ってかもうバギで倒せばよくね?


455 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:36:40 ID:V8Ajd0Z10
  「はぁはぁ・・・」
魔法合戦はフィリアの方が先に息を切らして終わった。

  グガァァァァ〜
スクルトを唱えた姿そのままで地獄のはさみはチャンスと攻撃をしかけてくる。
幸いに地獄のはさみのスピードはそこまで速くなかった。
が、力尽きそうなフィリアは完全には避けきれずに倒れる。
そこに続けてはさみが振り下ろされる。
 ガキンッ!!
ジュードがフィリアと地獄のはさみの間に入り、剣で受け止める。
しかし力の差は地獄のはさみに軍配があり、ジュードの体は砂漠に沈んでいく。
  「くっ!!」
ジュードの顔が苦しくゆがむ。

  「攻撃が効かない、か。こりゃあ万事休すかのぅ・・・」
  (マリア・・・使ってもいいか?)
パトリスが心の中で何かを決めようとした時、真理奈が叫んだ。
  「そっか!スカラよ!」
  「何じゃと?強くしてどうするんじゃ!防御力を下げないと――」
  「違う!私にスカラしてって言ってんの!」
  「真理奈ならあんなヤツの攻撃食らわんじゃろ」
  「いいからっ!早くっ!」
  「!!スカラっ!!」
驚いたパトリスが思わず呪文を掛ける。
  「オッケー。姫様、ちょっとコレ借りるね」
  「は、はい!」
次に鉄の爪を外し、プエラが持っていた黄金の爪を手にはめる。
  「よ〜し!行っくよ〜!!」
真理奈は再度、地獄のはさみに向かって走り出した。


456 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:44:50 ID:V8Ajd0Z10
  「ジュード!どいて!」
ジュードがフィリアが無事なのを確認してから、剣をずらす。
はさみが刃を滑り、力のベクトルが変わる。
ドシンっ!!地面にはさみが飲み込まれ、砂煙が舞い上がった。
ジュードはその隙に敵の懐から抜け出した。

視界が晴れると、地獄のはさみの目に真理奈が立ちはだかっているのが映った。
  グゥゥゥゥ〜
地獄のはさみは攻撃を低い声で唸りながら仕掛けてくる。
  「フィリアちゃん!もう1発ルカニを!」
フィリアは頷き、最後の力を絞って呪文を唱える。
  「ルカニっ」
地獄のはさみの防御力が下がる。ニヤリと笑う真理奈。
  「や〜い!スクルトしなくていいの〜?体がヤワくなってるよん」
真理奈の挑発に乗り、地獄のはさみが呪文を唱えようと体を起こし腕を振り上げる。
  (今だ!!)
真理奈は素早く地獄のはさみの体の下に入り込み、
  「よっ・・・っと!!」
綺麗にサマーソルトを決めた!!
  [スクル―――]バクンッ!!
だらしなく開いていた口が閉じられ、地獄のはさみの体が宙に浮いた。
真理奈は着地時の屈伸と同時に右腕に力を込める。
スカラのおかげで足に痛みは無い。そして思いっきり足を伸ばし跳躍。
  「とぉりゃあぁ〜!!」
黄金の爪を地獄のはさみに突き刺し、そのまま腹を引き裂いた!
最後の地獄のはさみは泡を吹いてそのまま仰向けに倒れる。
  「うしっ!」
真理奈のガッツポーズが決まる。
モンスターの血がその右腕にある爪に吸収されていく。
そしてイシスの秘宝は黄金の輝きを夕暮れに負けじと再び放ち始めた。


457 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/04/20(木) 01:56:03 ID:V8Ajd0Z10
戦闘終了〜今日はここまで

>>438
歓迎ありがとうございますw
ってか読んでみたらそんなに長くないかな
自分としてはこんなに物語を書いたのは初めてだ・・・

>>439
指摘ありがとうございますー
やはり読みづらいですよね・・・
一応今回、少し試してみましたがどうだったでしょうか
行数制限が無ければもっと空けたりできるんですが・・・
ってか1レスに詰め込みすぎですよね
もう少し考えよ

458 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/20(木) 03:06:32 ID:Q3qNO7eoO
ジュード!どいて!そいつ殺せない!

459 :たかはし ◆2yD2HI9qc. :2006/04/20(木) 21:52:37 ID:pi9ouaoiO
職人さん住民さん、お疲れさまです
展開に悩みついで、保守しておきます

460 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/21(金) 01:03:42 ID:soZhbYVI0
そろそろ4の人が来る頃な予感
た の し み

461 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/21(金) 09:51:09 ID:HY5Krcjy0
>>460
プレッシャーかけんなよ

462 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/21(金) 17:11:00 ID:z6/ndob70
>>460
こういうのがいるから困る

463 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/22(土) 08:31:25 ID:QblPf5ze0
>>460の人気に嫉妬wwwww

464 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/22(土) 09:22:11 ID:/hQSZ6Aq0
ほかの職人達もあんなのは気になさらずに気ままに投下してください。

465 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/22(土) 15:55:52 ID:84pH0c25O
暇つぶし氏もそうだからいまさらだけど、
別に三人称小説でもありなんだよな?

466 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/22(土) 18:10:36 ID:B+SFArZj0
別に良いんじゃね?

467 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/22(土) 23:17:27 ID:2CA4plR/O
最近、物語の終わりを考え迎えるるのがなんというか、こわい
今まで一生懸命書いた、自分にとっては大事な話が、エンディングで全てを決定付けしてしまう気がするから。
だから、保守する
なかなか投下できなくてごめん

468 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/23(日) 00:50:21 ID:yxMT4yKx0
タカハシさん推敲がんばってー
急がず自分のペースでまったり書いてくださいな

469 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/23(日) 02:12:51 ID:KzSmMtMqO
頑張れ頑張れ!
そういう悩んでる時間も無駄じゃないから

470 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/23(日) 15:02:04 ID:06FMUuLY0


471 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/23(日) 15:52:38 ID:EDzOVYEc0
やあ、あげるよ

472 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/24(月) 14:51:41 ID:MLq8/WWf0
    /          ヽ、
      ィ              i
     /        i      ヽゝ
    //´    / ノ イl       、ヽ
    l   , ‐ィ ´ir'´〃',       トl
    {  f三ミ'' アT ー-'ヽ       ノ
    ヽ !、´ /i ヽ    }、     /
     ヽ l´ .ノ   `ー 'ノ l    l
   _,. - Jィヘ. `、''__  ヽ'ノノ   ,.人、
  /  /ヘ ヘ ー   `ィ_ /  lヽ\
  l   _,\  /`ー,. ''_,.ゝ'   /   |   \
  | r┴―┐' r´-く    ハ  l
  l l_   !  .|  ゝ、  /  ヽ--
  r '´__,.)〜┤  !ーi  ヽ /    `7
 / /, -‐- 、 l /i  |   /     /
 } '´ _, =-く┘'   l  /     /
 l ''   , ィ     ! /
 ヽ ‐ ´ ノ     | /

     ショクニン・オツ [Shain Otz]
      (1949-1988 アメリカ)


473 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/24(月) 18:04:49 ID:T9cYdfXH0
男は度胸!なんでもやってみるものさ。>タカハシ
暇潰しさんGJですぅ。すごくよくなったと思うのですぅ。

474 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/24(月) 19:54:01 ID:4BFi3ghn0
更新しようと思ったがメモした内容が紛失したwwwwofz

475 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/24(月) 22:25:18 ID:5nuXSItp0
>>474
頭の中のメモまでなくしたというのかね?

476 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/25(火) 09:50:46 ID:Xwjra6Ep0
>>475
あらすじは把握してても書いてるうちに変わってくことだってあるんだよ

477 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/25(火) 15:21:53 ID:MoQmn3q20
話の内容全部覚えられるとでも思(ry

478 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/25(火) 18:32:17 ID:qGbAFdqHO
>>475はそういった意味じゃないと思うが…

479 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/26(水) 09:53:38 ID:BZ0IFYhT0
本人なりの事情があるんだろ。俺達にとやかと言うことはできない。

480 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/26(水) 09:59:45 ID:5zoXgKtV0
× とやかと
○ とやかく

481 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/26(水) 11:40:58 ID:wY0eq9qC0
リーザス村  11:52

扉を開ける音とともにサイモンは自分の部屋に入った。
ふと前を見ると筋肉が盛り上がり、身長は・・・・・サイモンよりは低い男
が彼のベットに横たわっていた。
 おい!」
っとサイモンは体格の良い男をベットから蹴り落とした。それでその男
はようやく目が覚めたようで起きあがると元気よく。
「お帰りなさいサイモンさん」
「人の家に無断で入り込むとは良い度胸してるじゃねぇか。アベル」
アベルと呼ばれた男はサイモンの言葉を受け流し論点をすり替えた

「村を出るんですね?」

「何で知ってる?」

「ゼシカお嬢様の屋敷での会話を盗み聞きさせてもらいました。屋根で」

「なるほど・・・・俺の感動の別れを盗み聞き・・・死にたいようだな」
サイモンは剣を引き抜く体制をとった。しかし肝心のアベルはそんなことは
気にもとめておらず。ニヤニヤと笑いながら話を続けた。

サイモン          アベル

Lv30           Lv10
HP200/200 HP30/30
MP300/300 MP0/0
武器:鋼の剣 鉄の胸当て 武器:銅の剣
呪文:ライデイン マホステ      呪文:
特技:隼切り        特技:正拳突き


482 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/26(水) 11:42:37 ID:wY0eq9qC0
ずれたofz
サイモン            アベル

Lv30             LV10
HP200/200          HP30/30
MP300/300          MP0/0
武器:鋼の剣 鉄の胸当て    武器:銅の剣
呪文:ライデイン マホステ       呪文:
特技:隼切り         特技:正拳突き


483 : ◆vNFYAR5c0g :2006/04/26(水) 11:44:32 ID:wY0eq9qC0
またずれたofzスレ汚しスマン

アベル
LV10
HP30/30
MP0/0
武器:銅の剣
呪文:
特技:正拳突き

484 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/26(水) 17:28:31 ID:HQq5XQow0
内容短すwwww
三人称は苦手なようですな。

485 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/27(木) 14:49:20 ID:YnI7YmDrO



486 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:02:25 ID:bHmsBRUz0
>>392
から続き

●慣れない男と小さな事件

「おかえりなさい、タカハシさん」

診療室へ戻った俺をクリーニが迎えてくれた

「あ、そういえばここを宿屋変わりに使ってしまって…」
「とんでもない
 実はもともと私は宿屋を営んでいまして、実際ここは宿屋だったんです
 私が医者を始めてしまったせいで、この町からは宿屋が無くなってしまいました
 旅人は皆、民家へお金を払って泊めてもらうんです
 そんな環境ですし、構いませんよ」
「そうでしたか」
「お代はテリーさんにいただいてますから、どうか気にせず」
「…遠慮なく使わさせていただきます」
「私は地下の自分の部屋にいますから、何かあったらすぐに呼んでください」

クリーニが地下へ降りていく
俺は背負っていた食糧袋を床へ起き、メイの寝ているベッドの側にある椅子へ腰かけた

487 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:03:19 ID:bHmsBRUz0
ここチゾットから封印の洞窟まで、メイの持つ古文書の地図を見る限り距離はないからすぐ行けるだろう
だけど…
隠されていた道が今では誰でも利用できるようになり、商人や旅人は当然あちこち見て回る
洞窟が誰にも見付かっていないなんて保証はどこにもない
むしろ、すでに見付かっていると考えたほうが良い
…封印された魔法は、高度な魔力を持つ者にしか封印を解くことが出来ないという事だけが安心材料
しかしこれは封印方法にもよるよな
もし持ち運べる程ちいさな封印であれば持っていかれているだろうし
とてつもなく巨大なものであれば、持っていかれないとしても破壊されているかもしれない
賭けだ これからいく洞窟に果たして、何が待っているのか
メイの事を考えれば封印が残っていると、信じたい
俺にはシャナクがなくてもまだ、カルベローナの生き残った住人という可能性がある
それにしても…
しばらく魔物の姿を見ていない
もしかするとここら辺一帯は魔物がいないのだろうか
道具屋の話だと旅人も多いそうだし、壊滅させられた町の人も西には多く住むという
魔物が現われないから交流も盛んに行われているんだな
魔物はどこへ行ってしまったのか…

メイの顔を眺めた
とても落ち着いた表情で眠っている

488 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:03:57 ID:bHmsBRUz0
…なんで俺と行こうと思ったんだろう
俺なんて、フィッシュベルにいる時はとても弱かったし助けられてばかりだったのに…
もっと強い人と旅をしていればこんなに身体を痛めつけることもなかったのに…

気付くと、濃い茶色の長い髪
メイの頭へ手を乗せてしまっていた

「うぉ…」

思わず発し、手を除ける

「どうしました? 顔を真っ赤にして」

ベッドの横の階段からクリーニが登ってきながら言う

「あー 邪魔をしてしまいましたか?」
「え、うぅあ そんあ、そんなこと無いですよなんでもないですから」
「はは、そうですか さっき言い忘れてしまいましたが、お湯を用意しました
 どうぞ使って下さい」

はぁ なんてザマ
別におかしな事はしてないんだから堂々としててもいいはずなのに
無意識だったけど、慣れない事はするもんじゃないよ…

489 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:04:53 ID:bHmsBRUz0
気をとり直し、クリーニへ返事をする

「それは助かります 二十日も水浴びすらしていなかったですから」
「では地下を降りてまっすぐ、突き当たりへ
 これ、タオルです」
「ついでに洗濯してもいいですか?」
「どうぞどうぞ」

クリーニからタオルを受け取り、荷物から全部の着替えを取り出し風呂場へ向かい湯を浴びた

「ふぅー…」

この世界では始めての湯舟に浸かりながら一息

やっぱり湯に浸かるに限る
水じゃなんだか、うまくないんだよな

そのまま裸で、衣類全てをゴシゴシこすり洗い、風呂場を出ようとしたとき事件は起きた

「着替えまで洗っちまった…!!」

まずいぞこれは
まさか全裸で上がるわけにもいかない
考えろ、俺!
………そうだ魔法の鎧!
いやっまてっ!
裸に鎧は、胴体しか隠れないし明らかに変質者じゃないか
このまま服が渇くまでここにはいられない…

この世界に来てたぶん一番脳をフル活用して出た答えは─

490 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:05:40 ID:bHmsBRUz0
「クリーニさん!! クリーニさーん!! 服を貸してください!!」

この場から助けを呼ぶ事
しかし、ついてない事にその時クリーニは出かけていた

そうとも知らず俺は必死に叫びつづけ
急いで着替えを持ってくるクリーニを
かなり長い時間待ったのだった


491 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:06:20 ID:bHmsBRUz0
●静寂と形跡

メイは夜になって目を覚まし、クリーニから完全回復のお墨付きをもらい喜んでいた
だが気が、少し疲れているのだろう
湯を浴びた後すぐにベッドへ入り、上半身を起こした状態で会話をしている
クリーニは自分の部屋へ戻り、夜の診察室はランプの中で燃える炎の灯りでぼんやりと照らされる

「さっきは本当にこの世界… いや、ここまで生きてきた中で一番の恥ずかしさを味わったよ」
「ふふ タカハシはどこか、いつも抜けているのよね」
「いや、まぁ、言い返せないな はは
 ん? ところでその首に下がっているのはなんだ?」

メイの首には小さなガラス玉
透明で穴が開けてあり、紐が通されている

「これ? これはね、私のお守りなの
 ずっと首から下げていたんだけど、ローブのせいで見えなかったわね」

メイはこの診察室に運ばれた後、民家のおばさんに借りたサイズの大きいパジャマのような服装に着替えさせられていた

492 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:06:53 ID:bHmsBRUz0
「お守り? 何か特別な力でもあるのか?」
「これは"静寂の玉"っていって、場の魔力を封じ込める特別な水晶らしいの
 私が幼いときにイシスの外で見付けて、それからずっと身に着けているのよ」
「魔力を封じる… 封じた事はある?」
「いいえ、一度もない
 静寂の玉は古代魔法と同じ古代の力で作られた水晶玉
 身に着ける者の思いを、長い年月をかけて込めなければ効力を発揮しないそうよ
 だからいつも身に着けているの」
「そうなのか もしもの時の為に、これからも身に着けておかなきゃな」
「─もし、私ゃタカハシが危険な時、助けてくれたら いいね…」

少し、どこか遠くを心で見つめるような表情で答えるメイ

「うん? なんだ、大丈夫だよ
 俺達はきっと、目的をやり遂げる …必ずだ」

俺が言い終わるのを待っていたかのように、外でザアザアバシャバシャと音が弾け始めた

「雨? そういえば雨なんて初めてだ」
「初めて? いくらなんでも初めてなんて、やっぱりタカハシは変わっているわね
 と言っても、雨は私も一回しか見た事がないけどね」

この世界の雨は滅多に発生しないんだな
まぁ俺の世界とは気候も違うだろうし、別に変ではないか…

その夜降り始めた雨は激しく止むこと無く一晩中、世界をびしょ濡れにし続けた
何かを必死に、洗い流すかのように─

493 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:07:28 ID:bHmsBRUz0


「本当にお世話になりました
 すっかり元気になって、クリーニさんと村の方のおかげです」

翌朝、俺たち二人はクリーニの診察室を出て封印の洞窟へ向かう事にした
洞窟はここから近い
ならばすぐにでも行って封印の無事を確認したい、そう思っての決断だ
丁寧にクリーニと俺たちを運んでくれた人達に挨拶をし、村を出る

今まで隠されてきた"西の道"
その道は平坦に舗装され登り降りもきつくない
しっかり休んで回復できたのもあるだろうが東の道を進んできたときよりも遙かに、楽に進むことが出来た
あんなに苦労して歩いてきた東の道の苦労は、なんだったんだろう

西の道を歩み初めてまる二日、俺たち二人は緑に囲まれる森の入口に居た
相変わらず、魔物とは一度も遭遇していない

「この森、古文書の地図にも書いてある
 それで地図は… ここから更に西を指しているわ」

だが、目の前にある道はまっすぐ北へ延びている
西へ行く道なんて存在していない
あるのは背丈ほどの鬱陶しい草の壁だけ

「しかしというかやはりというか、西への道なんてないぞ?」
「うん でも地図は西を指しているの だから…
 先頭で道を作っていってね、よろしく!」
「やっぱりそうなるよな、仕方がない…」

494 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:08:14 ID:bHmsBRUz0
俺は先頭にたち、オリハルコンの剣でバサガサと草を薙ぎ斬り倒し道を作っていく
魔力はもちろん使わない
使えば楽に進めるとは思うが、草相手じゃあな…

バサバキと草が茎から折れ、倒されていく音だけが森の中へ響く
鳥や虫の声も聞こえず、時折り剣がヒュウと空を切る音が混じる
メイはというと大人しく俺の後ろを着いてくる
こんな調子で休憩を挟みながら数時間は進んだだろうか
目の前から草が無くなり、変わりに地面に張りつく石畳が姿を見せた
その石畳はまっすぐと続く道を作り、道の両脇には刈り取られ枯れ果てた大量の草の山

「道が、現われたのはいいが… これは誰かが通ったみたいだ…」
「…」

なんとも言いようの無い、重たい空気が流れ始める
俺はそんな空気を嫌いメイへ話しかける

「どうしようか?」
「……もちろん、進む
 もし誰かが洞窟を見付けて入っていたとしても、封印を解かない限り古代魔法を取り出すことは出来ないから…」
「そうだな 封印は魔力の強い者にしか解けないんだよな?」
「そう、私の様に賢者かそれ以上の魔力を持たないと封印を解くことは出来ないわ
 そしてそれほどに魔力が強い人間はとても少ないから─」
「よし、行こう」

剣に着いた草の切れ端や汚れを拭き取り、収めながら俺は一歩踏み出し振り返り、ちょっと笑って言う

「もう剣は必要ないよな?
 このまま草刈りばかりしてたら剣も腕も錆びてしまうよ」


495 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:09:09 ID:bHmsBRUz0
●封印された魔法

夜になり、まだ洞窟へはたどり付けず俺達は石畳の道沿いで過ごすことにした
メイは、古代魔法が近くにある為かなかなか寝つけないようで、見張りをいつもより長くしてくれると申し出てくれた

「眠たくなったらすぐに声をかけてくれよ」
「ええ、ありがとう
 でもここ最近、魔物の気配は感じられないしこんな森の奥に人が来るなんてなさそうだから」
「魔物か… どうして急に姿を見せなくなったのか気になるけど、体力を温存できるから助かるな
 でも油断は禁物だよ」
「もちろん 何か起こったらすぐに起こすわ
 だから、たまには… タカハシは安心して休んで」
「たまには? ははっ いつも安心して休んでいるさ
 まぁそう言ってくれてるんだから、今夜は少し多めに休ませてもらうよ
 何度も言うけど、何かあったとしても一人で無理するなよ」
「うん」

木々の隙間からわずかにのぞく深い青色をたたえる夜空
その夜を物憂げに見上げるメイにその場をまかせ、俺は固く薄い毛布に身を包んで眠った




496 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:09:56 ID:bHmsBRUz0
この世界に"季節"は存在しないのだろうか
もうかなりの年月、この世界を旅しているが気温も湿度も変わりなく一定だ
雨だってこの間が初めてだった
俺は、そんな気持ちの良い風と空気にすっかり慣れきってしまっている…

だけど、今いるこの場所の環境はとても酷い
多量の水分を含み生温かい空気
体中にじっとりとまとわりついてくる汗
こんな場所早く出たい 外が恋しい
ここは─ 封印の洞窟内部

夜が明け、歩きだした俺達は程無くして、外へぽっかりと口を開ける岩山を見付けた
それはすぐに洞窟だと分かり同時に目指す場所であることもわかった
だが入口周辺には洞窟を見付けた人間が残した者であろう焚火の痕と、置き去りにされ朽ち果てかけたいくつかの布袋
"もう 封印は解かれてしまったのでは─"
ここまでリアルな人の形跡を見せつけられ、そんな思いが頭をよぎった
だけどやっぱり諦める事なんて出来ない
だから俺が率先して中へと踏み込んだ
メイの、不安そうな表情をなんとかしようと思ったのもあるが─

497 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:10:35 ID:bHmsBRUz0
焚火に使う燃料用の油を布へ染み込ませ、それを手頃な木の棒へ巻き付け松明を作り進んでいく
洞窟の中は人間三人が横に並んで歩ける幅
高さは二メートル半ほど
壁はデコボコで、明らかに手で堀進んだことが分かる
一面にびっしりと苔も張りついている
魔法を封印するためだけに掘ったのだろうが真直ぐ続く道はとても深い
相当の年月がかかっただろうと思う

「嫌な空気… 早く古代魔法を見付けて外へ出たいわ」
「きっと、長い時間人の出入りがなかったのだろうから空気の入れ換えができず、澱んでしまったんだろう…」

警戒して足早に進んで行き、やがて丸く広がる空間へとたどり着いた
松明の明りでうっすらと先が見える

「正面の奥、何かあるわ!」

メイの言葉に急いでその場所へと進み寄る
炎で照らし出されたのは石出で出来た石の土台と数メートルはある巨大な石の球体

「これが 封印…か?」

少し緊張しながらメイへ問いかける

「ええ… 古文書にはこの"丸い石に手をかざし念じろ"と書かれているわ
 …やってみる」

メイが球体へ手をかざし、集中を始める

「…… …… よかった! この封印はまだ解かれていない!」

498 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:11:15 ID:bHmsBRUz0
顔を見合わせお互い安堵の表情
先に入った人間は、恐らく封印を解くことが出来なかったのだろう
これだけ巨大であれば持ち出すことさえ不可能だ

「いよいよ、封印を解くわね…」

メイは手をかざしたまま古文書に書かれた古代文字を指でなぞり、何かを呟く
すると、その呟きに反応するかのように球体が赤くぼんやりと光り、ゴゴと音をたて二つに割れてしまった

「! 割れたぞ……」

俺は声に出して驚いたが、メイは目を瞑ったまま集中している
その様子に俺はなんだか声を掛けられない
しばらくしてメイが、口を開いた

「……封印されていた魔法は、全部で三つ 全て、会得出来た…」
「もう終わったのか?
 いやにあっさりしてるんだな… それで─」
「ごめんね…… シャナクは、無かったの…」

499 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:12:47 ID:bHmsBRUz0
シャナクは 無かった─

「ここまで来て… 本当に残念……」
「いや、これは誰も悪くない 謝ることは無いよ」
「でも 私が期待させるような事を言ってしまって─」
「気にしなくて、いい
 元々、イシス以降まったく宛の無かった俺の旅なんだ
 そんな旅に希望をくれたのはメイなんだよ 感謝してるさ
 それにまだカルベローナがあるんだ
 大丈夫、まだ希望はあるし何があっても誰のせいでもないから」

泣きそうな顔のメイ
俺は自分自身にも言い聞かせるように、そう言った


500 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:13:44 ID:bHmsBRUz0
●巨大なその、邪悪なるモノ

「早くここから出よう ここは空気が悪い」

ゆっくり、松明を左右に揺らしながら元来た道を帰ろうと振り返る
と─

「あれは…?」
「もしかして… これと同じ魔法が封印されていた丸い石じゃあ…」

うっすら見える巨大な物体へ近付くとやはり
さっき俺達が封印を解いた球体の割れた姿

「もしかして誰かが封印を解いたとか…」
「そうとしか、考えられないわね
 でもどうして全ての封印を解かなかったのかしら…」

この球体にはどんな古代魔法が封印されていたんだろう
ん、そういえば魔物たちは古代魔法ルーラを使っていたな
……まさか!?

「早くここから出たほうがいいかもしれないぞ」
「どうして?」
「実はな、トルネコさんと旅をしているときにルーラを使う魔物がいたんだ」
「ルーラ それは確か古代魔法ね… !」
「そう、この封印を解いたのは魔物かもしれないんだ だから」

501 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:16:56 ID:bHmsBRUz0
何か、やばい気配が辺り一面に流れ込んでくるのを感じた
俺とメイは急いで洞窟を駆ける
正面に外のまぶしい光が見え、その光へ飛び込むように洞窟から抜け出す

外には森のさわやかな風が吹いているが、身体は汗だらけ
走ったのもあるがそれだけではない

「気配が消えない─」

『ガサリ』

「貴様ら、何をしている?」

不穏な気配の正体
それは目の前に突如現われた巨大な魔物 一目で、鍛え上げられた身体を持つ、アトラス

「まさか封印を解いたのではないだろうな?」
「お前に言う必要は無い…!」

オリハルコンの剣を抜きながら俺は、アトラスの前に立つ

「ふん 弱い人間のくせに口答えするか
 …もう一度だけ聞く 封印を解いたのか?」

アトラスの大きな身体にギュッと力が入るのが分かった
こいつは簡単に倒せそうな相手では無い
救いは魔力を僅かしか感じられないから、力だけかもしれないという事だ

502 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:18:46 ID:bHmsBRUz0
「もちろん解いたわ! なにか、不満?」

メイが俺の前へズズイと出て、強気な返事を返す

「メイ、俺の後ろへ…」
「不満だと?
 封印を解いたのなら生かしておくわけにはいかんな
 解いてなくても殺すがな! ぐあっはっは!」

久しぶりの戦いだ
魔力も体力も完全に回復している
どう仕掛けるか…

「殺されるのなら、知りたいわ
 他の封印を解いたのはあなたたち魔物?」
「ふむ どうせ死ぬのだから教えてやろう
 俺達魔物では無い ゾーマ様自ら封印を解いたのだ
 魔法はルーラだけだったが、俺のように強い魔物にもゾーマ様はルーラを授けてくださった」
「ルーラだけ… 魔王にしか封印を解けないのだったらあなたは何をしにここへ?」
「俺か? ゾーマ様がルビスの力を潰せと俺に命じたからだ」
「ルビス…だって?」

唐突に出た"ルビス"という単語に、今度は俺が聞き返す
こいつは単純なのかよく喋ってくれる

503 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:20:01 ID:bHmsBRUz0
「そうだ 下らない、創造神ルビス
 相当の猛者がいるのだろうと期待してみればどうだ
 いたのは貧弱な男と女ではないか…!」

足を踏みならし悔しさを表現するアトラス
右手に持つ巨大な棍棒をドスンと地面へ叩きつけ、俺達二人を見下ろした

「ゾーマ様はこうもおっしゃった
 ルビスの力はどんなに小さくてもいずれ大きな力となり我々魔族を脅かす、とな
 そして貴様等は"か弱い"くせに封印を解き古代魔法を手に入れた
 貴様等のどれがルビスの遣いで、なんの魔法を手にしたかは知らんがな!」
「ルビスなんて、俺は知らん…」

俺はかなり迷った
こうなってしまっては、メイに俺の正体を隠しつづけるなんて出来ないからだ
だけどメイには、メイにだけは話しても…

「さて 貴様等と下らない話をするのにも飽きてきた
 さぁ! 死ね!」

アトラスがドシンと前足を出し棍棒を俺に振りかざす
俺は戦いの事以外を考えていたから反応が一瞬おくれてしまった
やばい…!

504 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:21:25 ID:bHmsBRUz0
「イオナズン!」

ズドドォと、アトラスの居たあたりに凝縮され圧力の高まった爆発が起き、激しい爆風が辺り一面に埃のカーテンを作り出す

「はぁはぁ… やっぱり古代魔法はまだ私には負担が……」

メイだ
メイは俺とアトラスが話をしている間に魔力を溜めていた

「メイ! 大丈夫か?!」
「ええ… 古代魔法の一つよ、すごい威力だわ…
 これだけで魔力をほとんど使ってしまった…」

爆発は空気中で起きていた
爆風は収まり、もうもうとのぼっていた埃が消え視界がはっきりしてくる
その痕は、木々をほとんど薙ぎ倒し残っている
アトラスは地面に俯せ倒れていたが、致命傷にはならなかったらしい

「く… なんて魔法だ…」

頭を抑えながら立上り俺達を睨み付けるアトラス
胸元はブスブスと煙が立ちこめ焦げている
あれだけの爆発を一身に受けながらこの程度の傷しか与えられないとは、なんと恐ろしい魔物だろう

「うがががががああああああ!!」

薙ぎ倒された木々を更に蹴飛ばしながら、力任せに棍棒を俺にいくつも振るうアトラス
その度にドスンズシンと地面が揺れ、意外にも素早いその動きを懸命に俺が避ける

505 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:25:11 ID:bHmsBRUz0
「しねぇぇぇぇえええぇ!!!」

ただひたすらに、前に立つ俺を追いかけ回し棍棒を地面へと叩きつけるアトラス
俺は叩きつけた後に出来る少しの隙を狙い、魔力を十分に送り込んだオリハルコンの剣で斬り付ける
が─ 刃があたる瞬間、妙な感触のせいで思った以上に深い傷を与えることが出来ない
魔王の力なのかなんなのか、とにかくこのまま地道に小さいダメージを与え蓄積させるしかない─

そうしてそんな追いかけっこが数分続いた所で、俺はある事に気づく
それは─
アトラスが蹴り飛ばす木は、確実に退路を絶っているのだ
その事に気付いたときはもう手遅れで、俺とメイは積み上がった折れた木に挟まれ、目の前には余裕の戻ったアトラス

「俺が力だけだと思っていただろうが、残念だったな!
 貴様等の魔法や剣など闇の衣の魔力の前では無力!
 もう逃げ道はない さぁ、死んでゾーマ様の力となれ!!」

おおきくゴツゴツとした棍棒がいままでよりも遙かに早い速度で近付き、俺は両手を使いオリハルコンの剣で受ける
が、とてつもなく重いその一撃に直撃こそ免れたが、俺とメイは地面から足が数十センチ浮き、吹きとばされてしまった

「くっ……… なんて、力……!」

ゴスッ!

「カ ハッ……!」

腹に激痛と苦しさ
同時にゴキッという骨の砕ける音
俺の口から苦く、温かい液体が飛び出す
血だ

腹の上にはアトラスの大きく太い足がグイグイとのしかかる

506 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:26:05 ID:bHmsBRUz0
「タカハシ!」

少し離れた所へ飛ばされたメイが、ヨロヨロ立ち上がりながら声をあげる

「女 人の心配をしている場合か?」

アトラスは俺から足を除けおもむろにメイへ近付き、身体に見合う大きな手で、叩き払った
メイの小さく軽い身体はまるで折紙のように空を舞い、倒された木々へガラガラと落とされる

「う……」

折れた木の枝が、胸部を貫通し真っ赤に染まってゆく
表情を歪ませその枝から身体を引き抜き、更に地面へ落ちるメイ



『力を─』

ルビス…か?
俺に、こいつと戦う"力"をくれ…

『あなたはすでに"力"を持っている 守りたいモノや人を強く、思いなさい…』

507 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/27(木) 16:26:21 ID:S+iMreCV0
>>魔神
テラ少なす・・・
>>タカハシ
テラ多すwww

508 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:27:01 ID:bHmsBRUz0
俺の中で何か大きな力が起き上がり、身体を支配する
逆にオリハルコンの剣は輝きを無くし、変わりに刀身が純白へと変わる
だが酷く損傷した俺の身体は思うように動かせない

「ベホ……」

メイが何かを小さく呟き、俺の身体にフワリとした感覚─

『ズシュ』

「クッ!! なんだキサマ!? この後に及んでまだ俺に抵抗しようというのか!
 人間が無駄な事を!」

意識とは無関係に、アトラスの腕へオリハルコンの一撃を見舞う俺

その後は 覚えて、ない
気が付き目の前にあったのは 横たわり動かない、アトラスだった


509 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/04/27(木) 16:28:37 ID:bHmsBRUz0
今日はここまで
さんざん迷いまくって、結局こうなった
かなりツギハギしたから話の前後が今まで以上にわかりにくくなったかも…
脳内補間、お願いします

>>507
たぶん、今後も長くなると思いますw

510 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/27(木) 16:54:24 ID:9DeGN5oLO
GJGJ!

511 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/27(木) 17:01:23 ID:g9gkIwP30
そうだ…うまいぞ…タカハシ…

やればできるってもんだ。っと阿部さん風に言ってみる。

とにかくGJ!!

512 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/28(金) 12:36:52 ID:9V435TaC0
ま〜え〜ま〜え〜こ〜な〜ぎ〜


513 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 18:53:37 ID:hdMcF9gS0

拝啓、皆さま。お久しぶりです。
私は今、死出の洞窟の前に立ち、こうして最期の別れを告げるべく筆を取り……じゃない。

今私たちは、ラダトームから北、岩山の麓から地下へと延びるほら穴の前にいる。
この奥が、宿屋を後にしてから町中で聞きまわり、ついに引き出した賊たちの隠れ家だ。
「じゃ、いこうか」
私の前に立つミモザが、気合を入れるように鞭を振るった。
「……うう」
行きたくない行きたくない行きたくない行きたくない生きたくない、いやいやいや逝きたくない!

最初はラダトームの宿屋でミモザを見送るつもりだった。だけど今の私には、彼女のほかに頼るものも
なし、金……ゴールドもなければ知識常識もない。
そしてそんな私に、ミモザは言い放った。
「あ、付いて来ないんなら、あんたの面倒見ないからよろしく」
……そんなこと言われたら、付いてくしかないじゃん。あんた鬼や。

このアレフガルドとやらに迷い込んでからこちら、ろくなことがない。
ちょいと振り返ってみれば、
朝起きーの、宿屋追い出されーの、魔物に襲われーの。トツギーノ。いや、嫁いではないけど。むしろ
嫁ぎたいですけど。
おまけにその後ときたら、盗賊に助けられーの、下っ端になりーの、山賊退治に同行させられーの。
トツギーノ…とか言ってるバヤイじゃない。
まあ大体そんなことがあって、今現在、こうして私はミモザという女盗賊の金魚の糞をやっているわけで。

「ほらほら行くよ、あたしの荷物ちゃん」
ミモザは元気に洞窟の入り口へと足を踏み出す。ていうか人のこと「荷物」呼ばわりかい。人権なんて
あったもんじゃないですか。…まあ確かに荷物運び以外は役に立ってないけどね。
「……荷物って呼ばないでください」
私も死にそうな顔で洞窟の入り口へと足を踏み出す。ああ、父さん母さんごめんなさい。娘はこんなわけも
分からぬところで死んでゆきます。

514 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 18:55:03 ID:hdMcF9gS0

洞窟のなかは思ったよりも広く、思ったよりも乾いていた。人の手が随分加わっていて、あちこちに燭台が
設置され、石造りになっている壁面もある。
ミモザの掲げるランプのおかげで、辺りはばっちり見えた。
真っ暗だったらつまづきそうな足元も、あちこちに生えているコケだのシダだのも、隅っこで朽ち果てている
不気味な骸骨も、雄たけびを上げてこちらへ襲い掛かってくる魔物も…
!!11!!!!1!!
「ちょ、ま、うわ、魔物マモノまも」
「……あんた慌てすぎだよ」
慌ててるんじゃない、テンパッてるだけです。ってそりゃ言い訳にならないか。
「ほら、ちょっと下がってな。あぶないから」
自信満々、余裕綽々でミモザは鞭を振るう。
「何だ、トロルか。戦うのめんどいなー…」
手に持った武器を眺めて、目の前の敵を眺めて、そして彼女は呟いた。
「バシルーラ」

……
…………
しかし なにも おこらなかった!

「……あれ?」
「どうしたんすか?」
「……魔法が使えないみたいだ」
「えっ」
それってやばいんじゃ、と思った私の勘は正しかった。
ていうか考えればそんなことすぐに分かるか。はは、私ったらおばかさん。
「ぎゃあああAAAAaaaaa!!1!」
「逃げるよっ!」
手に持った棍棒を思い切り振り回し、魔物――トロルが襲いかかってきた!

515 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 18:59:18 ID:hdMcF9gS0

がきぃんッ!

……
次の瞬間。私はまだ生きていた。
「ばかっ何してる!」
「あ……」
ミモザがいた。盾で棍棒を受け止めて、私の前に立ちふさがっている。また助けられた。
「はやく逃げな、もうもたない……きゃあっ!」
軽いからだが、いとも簡単に吹っ飛ばされた。
私は慌ててミモザのもとに駆け寄る。ほかに、どうしていいか分からなかった。
「ミモザさん、ミモザさん、しっかり、ねぇ、ねぇ!」
「揺らすなっあほっ!……くぅ」
悪態をつきながら足に体重を乗せようとして、ミモザは眉をしかめる。立ち上がれないのだ。

ずしん。がきん。ずしん。どすん。
醜い足で地面を揺らしながら、無骨な棍棒で壁を破壊しながら、トロルが迫ってくる。
どこにも逃げられない。
死ぬ?
――やだ。ヤダ。嫌だ。
武器は? 無い。でも何かしなくちゃ、このまま死んで魔物の餌になるなんて嫌だ。
そのとき。ミモザの腰に吊るされていた短剣が、ちらりと目に入った。
咄嗟。
「これ、借りますっ!」
「え、ちょっと、おいっ!」
私は武器を手にとり、がむしゃらにトロルめがけて突きこんでいく。

とすん。
刃は、あっけないほど簡単に魔物の体を貫いた。

516 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 19:03:16 ID:hdMcF9gS0

「ごがああぁあぁぁあ!!!!」
トロルは狂ったように叫び声をあげ、そして、
「よけろ、潰されるよっ!」
「え、あ、はい!」
よろけて倒れ、そのまま動かなくなった。
ミモザのとっさの声で後ろに下がっていなかったら、その巨体の下敷きになって私も死んでいたかも
しれない。

――倒した、んだ。私が、魔物を。

「大丈夫か?」
何とか立ち上がったミモザが、私の横にやってきた。
「怪我はないか?」
「……」
「ちょっと、ねぇ?」
「ひっぅ……ふっ……えぐぅ……」
止まらなかった。
緊張の糸が切れた途端、さっきまでの恐怖が襲ってきた。こわかった。こわかった。こわかった。
大人のくせに泣きじゃくるなんてみっともない。分かっていたけど、止まらなかった。
「……大丈夫だよ、もう泣かない。な」
「うん……」
ぽんぽん、とミモザが肩を叩いてくれる。その感覚が、とても温かかった。

トロルの死骸から離れて、私たちは岩陰に身を潜めた。今、他の魔物にあったら、多分逃げる暇もなく
やられてしまう。
ミモザは黙って荷物の中から薬草を取り出して、打撲や裂傷になっているところに貼り付けていく。
私にもいくつか分けてくれた。
治癒呪文をつかったときと同じように、あっというまに傷が治ったけれど、その不思議さは何だかもう
どうでもよくなっていた。そういうもんなんだ、と納得するしかなかった。

517 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 19:04:53 ID:hdMcF9gS0
そしてだいぶ気分も落ち着いてきたところで、ミモザがぽつんと言った。
「それ、あんたにやるよ」
私の手の中にある短剣を指差して。
「え? いいの?」
「あたしにはこれがある。気にすんな」
短剣の鞘が吊るされているその反対側には、鋼鉄を紡いだ鞭。「それに、ここじゃあ駄目みたいだけど
魔法だって使えるしね」
そして彼女は腰のベルトから鞘をはずして、それを私に放る。
「ほら、しまっときな。あ、その前にちゃんと汚れを落としときなね、錆びたら大変だから」
確かに短剣は魔物の血でずぶぬれになっていた。……へえ、トロルの血って青いんだ。
ミモザから布を受け取って、丁寧に汚れを落としていく。刃はランプの光を反射して、紫色にきらめいた。
「やっぱり、紫色なんだ」
「ああ、毒が仕込まれてるからね。ちょっとした魔法剣みたいなもんだよ」
「へぇ」
「さっきトロルがあっさり死んだのはそのせいだろ。急所に入ればどんなでかい奴でも簡単に倒せる」
「へぇ。あの、ミモザさん」
「なに?」
「……ありがとうございます」
大事な武器を譲ってもらって。転んで動けないときに庇ってもらって。怪我の手当てもしてもらって。
そしてこうして面と向かってちゃんと彼女にお礼をいうのが初めてだと、言ってから気がついた。
「ございますはいらないよ」
ミモザは白い歯を見せて笑った。
「あ、はい、その……」

518 :クロベ ◆JNf/CxpPRk :2006/04/28(金) 19:07:51 ID:hdMcF9gS0


「ありがとう」

先は長い。当面の目的である山賊退治もこれからだ。ミモザの魔法も使えないし、私はただの足手まとい。
だけど、不思議だ。
――何とかなるかもしれない。
アレフガルドに落ちてきて、そのとき初めて、私はそう思った。


クロベ Lv8 フリーター
HP 17/55 MP 0/1
E アサシンダガー E ピーコート ミモザのにもつ




―――――――――
コピペ失敗orz
下の分は514と515の間に入りますよ

519 :クロベ ◆LZJDwNvDH2 :2006/04/28(金) 19:09:29 ID:hdMcF9gS0

人間をむりやり数回りふくらしたような青い体に、一つ目の豚のような顔。だらしなくにやけた口からは、
舌がぶらんとはみ出している。
滑稽な姿をしているが、多分あの武器が一度でも当たったら、五回分くらいは軽く死ねるだろう。
ガスッ!ドスッ!と嫌な音が後ろから追いかけてくる。何が起きているのか気になったけど、振り向けば
待っているのは間違いなく、死だ。

でっぷりとした見た目に似合わず、奴は意外と俊敏だった。
走る。走る。走る!
ものの壊れる音が、後ろから迫ってくる。
もっと早く、早く。逃げなくちゃ、逃げなくちゃ。
でも。
息が詰まる。
足がもつれる。

――がくん。
「……っ!」

そこが私の限界だった。
つんのめって、肩にしょっていた荷物が前にふっとぶのがやけにはっきりと見えた。
肘を思い切りぶつけたようだった。本当なら泣きわめきたいくらい痛いはずだ。
でも、声が出ない。
あたまのなかが、まっしろに、なる。

何も考えられず、私はとっさに振り返った。
棍棒が、目の前にあった。トロルの顔には、いっそうニヤニヤと嫌な笑みが浮かんでいる。
ぐわん。
あ。もうだめだ。
しぬ。

520 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/28(金) 21:26:55 ID:iBHRdHWGO
クロベ氏、乙
主人公が本格的に参戦、楽しみです
これからが大変だと思いますが、頑張ってください

521 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/29(土) 14:41:42 ID:Qgm7nNciO
クロベさん乙。
久しぶりの更新だな。

522 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/04/29(土) 15:14:10 ID:If2KLtkBO
乙!
主人公の運テラタカスwww

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