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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/11(土) 21:30:54 ID:2kKEOzWo0
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言何でも歓迎です。

・スレの性質上1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
 スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
 (トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
 アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
 をつけるとより読みやすくなります

前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら五泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1134827399/

まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
http://www.geocities.jp/if_dq/

129 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/19(日) 17:30:36 ID:9QX/+8X3O
魔人さん、おっつっつです

130 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/19(日) 22:19:04 ID:fhm+zBtg0
サイモンwwwwwwwwwwwwwwwwww

131 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/19(日) 23:09:22 ID:xGv6fK9A0
うっひょう!

132 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/19(日) 23:59:45 ID:JNZUM1ygO
う〜む
魔神氏が描くゼシカタソに期待!

133 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 03:20:20 ID:owsWINxNO
ほしゅ

134 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:47:23 ID:1PDYW/nZ0
前スレ>>688続き
 
町を出て、まずはレーべの方向に進んで行く。
塔での経験もあって、アリアハン大陸のモンスターに苦戦する事は無くなっていた。
 
マトリフは殆ど戦闘には参加していない。
本人に言わせれば、オレとミリアムのレベルアップの為らしいが、どう見てもサボっているように
しか見えないんだが・・・

驚いたのはミリアムだ。
高速のスピードで相手をかき回し、様々な技を駆使して仕留めていく。
モンスターの弱さを割り引いても大した物だ。
自信を持っているのも分かるな・・・

モンスターを蹴散らしながら先へ進んでいくとレーべの村が見えてきた。
「どうする?日も落ちてきたし、レーべで泊まっていこうか?」
と、マトリフに聞く。
「いや、先に進むとしよう。行けるところまで行って野宿じゃ」
ミリアムがそれを聞いてあからさまに嫌な顔をした。
「えーっ、野宿ー?レーべで泊まっていこうよー」

それに対し、マトリフが少し呆れた声で返す。
「これから先、野宿など当たり前じゃぞ?今の内に慣れておかないでどうする」
「・・・・・・」
マトリフの言葉にミリアムは押し黙る。
 

135 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:48:25 ID:1PDYW/nZ0
ミリアムの気持ちも分かるが、マトリフの言葉には説得力があった。
確かにこれからの長い道程を考えれば、最初から楽な選択をしていては先が思いやられる。
オレ自身も甘い考えは捨てなければ・・・
 
「それに、一刻も早くトリスタンを助けたいんじゃなかったのかな?」
マトリフは悪戯っぽく笑い、止めの一言を放つ。
ミリアムは我に返ったような顔になり、その後は黙って付いて来る。
これ以上言い返す気は無いようだ。

レーべから方向を変え、西へ向かって進んで行く内に辺りは完全に闇に包まれて夜を迎える。
さすがにこれ以上進むのは危険だと判断し、そこで野宿の準備を始める。

オレは簡単なテントを張り、その後で枯れ木などを集めて火を起こす。
その間にミリアムは簡単な食事の準備をしている。
マトリフは・・・まあ言うまでもない。

食事を済ませると、ようやく人心地がついた。
その後は3人で焚き火を囲んでそれぞれの時間を過ごす。
マトリフとミリアムは、焚き火の火を眺めて物思いに耽っているようだ。

オレは寝転がって夜空を見上げた。
視界一杯に広がる星空だ。
それを見ていると、なぜか吸い込まれそうな気分になって来る。
・・・そう言えば、この世界に来てから、こういうのんびりとした時間は初めてかもしれない。
今まで、常に何かに追い立てられるような気分だったから・・・

136 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:49:35 ID:1PDYW/nZ0
しばらくしてマトリフのイビキが聞こえて来た。
体を起こして見てみると、ミリアムがマトリフの体の上に毛布を掛けている。
さすが老人、夜が早いな・・・

ミリアムが少し位置を変え、こっちと向き合う形になる。
少しの沈黙・・・それに耐えられなくなり、こちらから沈黙を破る。
「さっきは何を考えていたんだ?」
「私、アリアハンを離れるのは初めてなんだ・・・」
初めて聞くミリアムのか細い声。

・・・無理もない。
いくら幼馴染を助けに行くという確かな目標があるとはいえ、まだ16、7の少女・・・
家族と離れ、見知らぬ土地へ旅立つ心細さはどれほどの物か。
しかも、とても安全とはいえない旅、生きて帰れる保証なんて何処にも無い旅だ。
 
「そうか・・・そりゃ心細いよな・・・」
「ううん、そうじゃなくて・・・なんて言うか・・・
 もし帰って来れなくなったらお母さんがどう思うかなって・・・」
 
そこで話しを止めて空を見上げるミリアム。
何かを堪えるように・・・

「ウチは母一人子一人だから・・・お父さんは物心つく前に死んじゃったし・・・
 昨日お母さんに旅立つって言う時、絶対に止められるって思ってた・・・
 でもそんな事一言も言われなかったの。ただ一言、待ってるから必ず帰って来てねって」

ミリアムの鼻を啜る声が聞こえて来る。

137 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:50:50 ID:1PDYW/nZ0
こういう時に何か言葉を掛けてやれたら・・・
少しでも勇気付けられるような、それでいてわざとらしくない言葉を・・・
しかし、考えてもそんな言葉は浮かんできやしない。
無言で相手の話しを聞くことしか出来ない自分が情けない。
 
オレの複雑な表情に気付いたミリアムは、急に笑顔に変わり、明るい声で言う。
「ごめんね、変な話しして・・・明日も頑張ろうね!」
「ああ、頑張ろうな」
「それと、レーべで泊まりたいとか言ったけど、もうそんな甘ったれた事は言わないから。
そんな考えでこれから旅していける訳ないよね・・・
もう1つ、絶対に弱音も吐かないわ。そう決めたの!」

力強い声でそう宣言するミリアム。
どこか吹っ切れたような笑顔だ。

「それじゃあまた明日ね。お休みなさい」
ミリアムはそう言ってテントに入っていった。

・・・最初からあんなに気が張っていて大丈夫なのだろうか・・・
なるべく足を引っ張らないように、弱みを見せないようにという事なんだろうけど・・・

 ただ、その強い心は確かな目標があればこそだろう。
もしトリスタンが死んでいたなんて事になればその時は・・・
マトリフは間違いなく生きているなんて言っていたけど果たして・・・


138 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:51:44 ID:1PDYW/nZ0
考えている間に夜は更けていく。
オレもそろそろ寝るかな・・・
焚き火に枯れ木を加え、横になる。
 
ふと、ここ2日連続で見ている変わった夢を思い出した。
今夜も見るのかな・・・
そんな事を少し考え、すぐに眠りについた。


次の日
 
目に眩しい光が差し込んで来て目が覚めた。
今日はあの夢は見なかったようだ。
なぜか少し残念な気分を味わいながらテントを手早くしまい、出発の準備をする。

昨日に続き、西へ向かって進んで行く。
しばらく進んだ先に洞窟の入り口が見えてきた。
マトリフによると、この洞窟の名はいざないの洞窟と言うそうだ。
この洞窟がアリアハンとロマリアを繋いでいるという。

まさか地下道が延々と続いていたりして・・・
笑えない冗談を考えつつも、中へ入っていく。

この前の洞窟と同様、独特の据えた臭いが漂ってくる。
しばらくは真っ直ぐに道が進んでいたが、その先はかなり入り組んでいるようだ。

139 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:52:36 ID:1PDYW/nZ0
「さあ、マトリフさん。しっかり案内してよ」
軽い調子でミリアムが言う。
「・・・最後にここに来たのは数十年前じゃ。覚えている訳無いじゃろ」
「えーっ!覚えてないの?役に立たないなー。
 年寄りは新しい事はすぐに忘れる代わりに、古い事はいつまでも覚えているって言うのにね」

ミリアムの強烈な皮肉にマトリフはぐっと仰け反っている。
おいおい・・・ちょっと言い過ぎじゃ・・・
だが、マトリフの苦笑いの表情を見る限り、怒っている様子でもない。
むしろ、そういう掛け合いを楽しんでいるようにも見える。

マトリフが覚えてないなら勘で進むしかない。
途中で何度か道を間違えたり、落とし穴に嵌ったりと進みは遅いものの、少しずつ、
確実に奥へと進んで行く。
 初めて見るモンスターも出てきたが、ナジミの塔の敵と大差ない。
自分の力が上がっているからそう感じるかもしれないが。
 
ミリアムは先ほどから顔をしかめている。
洞窟の据えた臭いが奥に行くにつれて増してきたからだろう。

「この洞窟からロマリアって、どうやって行くんだ?」
ずっと気になっていた事を誰に言うでもなく呟いた。
「この洞窟の一番奥に旅の扉があるのよ。私も見たこと無いけどね」



140 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:53:39 ID:1PDYW/nZ0
旅の扉か・・・
前にマトリフもそんな事を言っていたな。
詳しい事を聞いても理解出来ないと思い、それ以上は聞かなかったっけ・・・
 
「思い出したぞ、この先じゃ!」
少し前を進んでいたマトリフが突然声を張り上げる。
見ると、その先には真っ直ぐに通路が進んでいて、大きな部屋に繋がっているようだった。

駆け出したマトリフに続いてその部屋に入ると、その中央、少し盛り上がった地面の上に 
青白く光る渦のような物が・・・
「この中に飛び込むんじゃ。ワシから行くぞ」
マトリフは、言うなりその渦の中へ身を投じてしまい、何と一瞬のうちに消えてしまった!

「次は私が行くね」
そう言ってミリアムもその渦に飛び込み、やはり一瞬で消えてしまう。

取り残された形のオレは少し躊躇したものの、ここに突っ立っている訳にもいかない。
目を閉じて、どうにでもなれ!というヤケクソな気持ちでその渦に飛び込む。
体中が揺れるような感覚がしばらく続き、少しずつそれが消えていく。
やがて完全に元の感覚に戻った。
 
ざわざわ・・・と音が聞こえて来る。
恐る恐る目を開けると・・・そこには洞窟とは全く違う景色が広がっていた!

141 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:54:52 ID:1PDYW/nZ0
目の前に広がる平原、その先には森が見える。
これがロマリアの大地・・・

余りの衝撃に声も出ない。
ミリアムも驚きで言葉を失っているようだ。
そんなオレ達を、マトリフは面白そうに見ている。
「だいぶ驚いたようじゃな」

そりゃ驚くよ・・・
自分で実際に体験しなきゃ絶対に信じられないだろう。

「さあ、いつまでも固まっとらんでロマリアに向かうとしよう。ここからすぐじゃ」
マトリフの指差す先に立派な城壁が見えた。
確かにそんなに遠くないようだ。

俄然と力が沸いて来て、足取りも軽くなる。
モンスターに遭遇する事も無く、無事にロマリアに到着した。

門をくぐり、ロマリアの城下町に足を踏み入れる。
夕方という事もあってか、人通りは非常に多く、活気に溢れている。

「ここがロマリアかー、1度来てみたかったんだ」
ミリアムは興味深そうに辺りを見回している。

「今から王に会うのは無理じゃろう。今夜は宿に泊まり、明日会う事にしよう。
 トリスタンがどういう様子だったか聞いておきたいし、それにもう1つ用があるからな」

マトリフはそう言って宿屋に向かって歩き出す。
どうやら何かを企んでいるようだな・・・


142 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:56:21 ID:1PDYW/nZ0
ロマリアの町を見て回りたかったが、疲れもあるし明日でもいいか・・・
そう思い、マトリフに続いて宿屋に入る。

次の日の昼、ロマリア城に向かう。
アリアハンと同様、見るものを圧倒させるほどに大きく、立派な外観だ。
どうも城ってのは独特の緊張感があるんだよな・・・
見張りの兵士に王への謁見を申し込んだ。
ここの王様は旅人に会って話すのが好きらしく、思ったより簡単に会うことが出来た。

「旅人よ、ロマリアまでよくぞ参った。ゆっくりして行くがよい。
 して、どこから旅をしてきたのだ」
上機嫌で聞いてくる王様。
「はっ、アリアハンからでございます」
「何?アリアハンだと?」
王様の顔色が変わり、声も険しい口調と変わる。

どうしたんだ?何か気に障る事でもあったか?
マトリフも戸惑った様子だ。
「はい、アリアハンからですが何か?」
「いや・・・何でもないが・・・ところで私への話とは何かな?」
気を取り直すように言うが、明らかに様子がおかしい。

143 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:57:19 ID:1PDYW/nZ0
「はい。その通りですが・・・そのトリスタンが消息不明のため、捜索しに来た者です。
トリスタンが何か失礼な事でも?」
恐る恐る尋ねるマトリフ。
「失礼どころではない!あの若者は、私のたっての頼みをアッサリ断って行きおった」
怒りを思い出したかのように、興奮してまくし立てる王様。

「それはどういった頼みだったのでしょう?」
「うむ・・・半年ほど前、ここロマリアにあった金の冠という財宝が盗まれたのだ。
 盗賊のカンダタと呼ばれる男にな。それを取り戻してくれるように頼んだのだが・・・
急ぐ旅だからそんな時間は無いとぬかしおった。取り戻す事が出来たら勇者と認めようと言ったのだが・・・」
怒りが治まらない様子でその時の事を話す。

「トリスタンらしいなあ・・・」
横でミリアムが呟いている。

「トリスタンがそんな失礼な事を・・・その代わりといっては何ですが、その件はワシらが
引き受けましょう」
マトリフが胸を張ってそう言った。
またこの爺さんは相談も無く勝手な事を・・・
さすがにその勝手な態度に呆れてしまう。

「本当か?もし引き受けてくれたらお主達を勇者と認めよう!」


144 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 04:58:37 ID:1PDYW/nZ0
「いえ、それは結構です。ただ、取り戻す事が出来たら1つ頼みがあるのですが」
「よろしい、もし取り戻してくれたら余程無茶な願いでなければ引き受けるぞ!
 では頼んだぞ!」


「何で勝手にあんな事言うんだよ。それにどんな頼み事をするつもりなんだ?」
城を出てからマトリフに言ってやった。
そもそも普段から勝手な行動が多すぎる。
「そうよ、それに時間の無駄なんじゃない?」
ミリアムもそう言ってオレに加勢してきた。

それに対し、マトリフは落ち着いた様子で言う。
「すまんな。だが、無駄にはならんよ。むしろ頼みがしやすい分、好都合じゃ」
 
どうも腹の中が読めない爺さんだ・・
しかし引き受けてしまった事も確かだし王様に貸しを作っておくのも悪くはないだろう。

まずはカンダタの行方を探るとするか・・・

つづく

145 :オルテガ ◆zYgagV2g.w :2006/03/20(月) 05:09:25 ID:1PDYW/nZ0
>>142>>143の間の文章が抜けました。読みづらくなってスマン。

「はっ。まずは聞きたいことがありまして・・・今から3ヶ月ほど前、トリスタンという若い
旅人がここロマリアに来ていると思うのですが・・・」
「トリスタンだと?おぬし達はあの若者の知り合いなのか?」
再び顔色が変わり、怒鳴るような勢いで聞き返してくる。




146 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 11:59:16 ID:Tu8shCi30
前のレスから6時間ほどたったので保守

147 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 15:03:18 ID:+yvqE6pJ0
オルテガ氏&魔神氏GJ

148 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 15:31:54 ID:Q1ETKoce0
ゼシカ「たん」ってwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwサイモンwwwwwwwwwwwww

149 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 20:48:50 ID:owsWINxNO
ほしゅ

150 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 23:49:51 ID:Tu8shCi30
3時間じゃ早いかもだけど保守

151 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 04:09:30 ID:oPoGNL+j0
保守

152 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 05:41:20 ID:sIPoDAjP0
オルテガ乙
先は長そうだが頑張れ

153 :埋めマン ◆TZg1R4cTLE :2006/03/21(火) 06:40:04 ID:No7Vun4o0
tst

154 :埋めマン ◆TZg1R4cTLE :2006/03/21(火) 07:54:58 ID:No7Vun4o0
………………………………………………………。

……………………………………。

……………………。

………。

…ん……。

目を覚ました。俺の名はリュウジ。泣く子も黙る史上最大・最強・最高の暴走族“鬼浜爆走愚連隊”
の総長を務めていた男だ。まあ昔の話だ。今はただ酒びたりのひきこもりだ。
生きていても死んでいても関係ない無気力な毎日。

…………あっ!やっと目覚ましたよ!もう総長ちゃんの寝ぼすけ!

ぞおおおうぅぅううじょぉおおおおおおおおおおういうううう!!!!!!!

甲高い女の声と同時に筋肉ダルマの熊みたいなパンツ男が抱きついてきた。…痛てえ。

痛てえっつの!

俺はパンツ男を3メートル程吹っ飛ばすと天井にめり込んだまま沈黙してしまった。

それだけ元気があればもう大丈夫ね。

やたら美人のねーちゃんが口を開く。

…………そうだった。俺はベランダで足を滑らせて気づいたらこの謎の世界に迷い込んだんだった。


155 :埋めマン ◆TZg1R4cTLE :2006/03/21(火) 07:56:03 ID:No7Vun4o0
ぞううじょうううぅういぎでででよがっだでびゃんずううぅううう

パンツが号泣している。しかし相変わらず頑丈だなコイツ。しかし俺は何故気を失っていたのであろうか。
………思い出した。オーブを求めて洞窟に入り、ちょっとした手違いで洞窟をぶっ壊してしまった。
崩壊していく洞窟の中で記憶が途切れている。あの後どうなったのだろうか。

うんとね、おっきい地震が起こって心配だからあたしとおねーちゃんとで洞窟に助けに入ったの!
そこで総長ちゃんとカンダタちゃん見つけて戻って来たんだよ!

マジか。この女二人が俺ら大男二人担いであの崩壊する洞窟を抜けてきたのか。こいつらわりと
パワーあるじゃん。

まさか!そんなの無理だよーあのね、魔法で一発でポーンって出てきたの♪

なんてこった…そんな便利な呪文があるとは…てかそんな呪文使えるならおまえが行けや!

行くって言ったじゃん!総長ちゃんがじゃんけんでずるっこして勝手に行ったんでしょ!

ああ。そういやそんな事もあったな。ピーピーうるさい勇者を無視してベットを出る俺。
腹減った。なんか食い物ないかな。その辺の棚を漁る。何も無い。ちっ…しけたとこだな。

156 :埋めマン ◆TZg1R4cTLE :2006/03/21(火) 07:57:16 ID:No7Vun4o0
部屋を出る。玄関には変なおっさんが顔真っ白にして放心状態だった。おいおっさん腹減ったから
なんか食いもんくれよ。おっさんは小声でブツブツ呟いている。わしの洞窟が…わしの使命が…
話しかけても素無視だ。大丈夫かコイツ。おっようやく俺の存在に気づいたようだ。
…と同時に近くにあった椅子で殴りかかってきた。おいやめろ!あぶねっつの!

おぬしさえ!おぬしさえ来なければわしの平穏な日常が!ぬおおおおおぉおおお!

反射的に体が反応してカウンターを入れてしまった。やべ。おっさん壁突き破って外まで吹き飛ぶ。
おい。大丈夫か。反応がない。騒ぎを聞きつけて人だかりが出来てきた。マズい。これはマズい。

ヒソヒソ…あいつあれだろ…勇者様御一行の…なんで一般人殴ってんだ…
ママーしっ見ちゃいけません!ヒソヒソ…

おまえら帰れ!見せもんじゃねーぞコラァ!ヒーこの子だけはどうかお助けを!なんてやり取りを
していると勇者たちが来た。あー!また総長ちゃん町の人いじめてる!違うこれには深い訳が…

ホイミ

ねーちゃんが魔法をかける。そうかその手があったか。目を覚ますおっさん。

いやはやこれはこれは勇者様。取り乱してしまいしまんですな。

やっと落ち着きを取り戻したようだ。おっさんの家系は代々この「ちきゅうのへそ」という洞窟を
守ってきた。しかしその洞窟は無くなってしまった。確かにちょっと悪い事したかもしれない。

わしは女房と子供のいる故郷に帰ります。ここ半年程帰ってなかったので。そこで農業でも
始めますわ。ハッハッ八…

そうかこのおっさんも無職か。まあ無職も悪くは無いと慰める。勇者が申し訳なさそうに口を開く。

157 :埋めマン ◆TZg1R4cTLE :2006/03/21(火) 07:58:24 ID:No7Vun4o0
なんか…悪いことしちゃったね…ゴメンナサイ…

おっさんはいやいや気にしないで下され。それよりもお目当ての宝手に入ってよかったですなと
言っているが確実に目は死んでいる。

あっそうだ!奥さんと子供ってどこに住んでるの?私たち送るよ!

また勇者が勝手な事言い出したが今回は仕方がないだろう。そのくらいはしてやる。

ノアールですじゃ。とんだ田舎で勇者様の旅の妨げになるだろうにわしの事は気にしないで下され。


一瞬時が止まった。ノアール。そう俺と勇者が出会った場所。じいさん最後の場所。
もはやノアールという言葉は町の名前ではない。今となってはただの地名としてしか用を為さない。

誰も口を開けなかった。破壊された民家。あたり一面の血痕。そしてじいさん…全てが鮮明に
蘇る。ノアールは…もう無い。あそこは魔王に滅ぼされた。またまたご冗談をと笑っていたおっさん
も勇者の目を見ると黙り込んだ。そうですかいやいや酷い世の中ですな!最後にもう一度息子の顔でも
見ときたかったわい…必死に何でもない風に振舞うのが痛いほどわかる。こいつ強いな。

いやー守るべき場所も家族も同時に無くなってしまうとはさすがに参りましたな。ハハハ

かける言葉がねえ。勇者がいいこと閃いた!っと喋りだした。嫌な予感がする。

158 :埋めマン ◆TZg1R4cTLE :2006/03/21(火) 08:21:07 ID:No7Vun4o0
ねえねえおじさん!する事無いなら私たちと一緒に旅しよーよ!

へ?

おっさんは突然の申し出に今一状況が飲み込めてない。当たり前だ。俺も訳がわからねえ。

勇者の目はマジだ。もはやこうなったら誰もNOとは言えない。

あのね、私たちと一緒に旅をして、色んな人に出会って色んな場所にいってね、それでおじさんが
好きな場所やもしかして好きな人に出会ったら、そこでお別れすればいいと思うんだ。うん絶対そう!

そうですな…ここにいても何もありゃせんし勇者様がそう言って下さるならお邪魔しましょうかな!

わーい♪こちらこそよろしくお願いしまーす♪

まただ。また総長様である俺を差し置いて勝手に話が進む…いいんだどうせ…俺は形だけの総長さ…
てなわけで我が鬼浜爆走愚連隊にまた一人メンバーが加わった。不本意ながら。

159 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 08:31:45 ID:lwm0WqJJ0
総長が早朝にキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!

160 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/21(火) 08:32:35 ID:No7Vun4o0
過去ログ見れなくて自分でもどこまで書いてどんな話だったのかがよくわかんないんで
ここから第二部という事で装い新たに続けようかと思います。
今度こそ完結までちょくちょく更新していくんで気長に付き合って下さい!
話わかんねーよって人は>>1にある書記さんのサイトで一読してもらえればと思います。
(途中抜けちゃいますが…)あとトリ変えました。上の方でどっかと被ってるて指摘があったんで。
つまんねーよ消えろって人は専ブラ入れてトリごとあぼんして下さい。
ではではまたこれからもよろしくお願いします!


161 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 09:29:25 ID:QpTttKISO
ついに総長も復活か。
4の人・ローディ・魔神・オルテガ・レッドマンなどwktkする作品が多いですぞ!
このスレも夢がひろがりんぐwwwwwwwwww

162 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 13:09:34 ID:H6eeF8IpO
総長さんお帰りなさい♪

163 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 13:11:39 ID:7R3Yqtd2O
どこ行ってたんだよォォォォォォォ!!!!!!1111( ゚д゚ )

164 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 15:25:57 ID:Q4tFWEL/0
総長キテタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
お帰りなさい、こちらこそ宜しくwwwwwwwwwwww

165 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 15:48:43 ID:mhYvUFg20
このスレは下らない小説より住人の言い合いの方がおもしろいんだけどな

166 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/21(火) 18:42:49 ID:No7Vun4o0
その日の晩鬼浜定例会議の議題はもっぱら新加入のおっさんについてだ。とりあえず俺が総長であり
このチームのボスである事、勇者を含めここの構成員はすべておれの子分であることははっきりさせて
おかなければいけない。ではまず俺がボスである事から説明しよう。

威厳・強さなどから当然言わなくてもわかってると思うがこのチームのボスは俺d…

ねーねー!おじさん何て呼んだらいい?お名前は何て言うの??

く…このクソガキが…

わしの名前はノーマンと申します。好きに呼んで下され。

んとねーじゃあノマさんでいい?そっちの方がかわいいし!

ノマさん…何か照れますな!ホッホッホ

おっさん小娘にデレデレしてんじゃねーよ…しかし相変わらず勇者はすげえ。家族も使命も一日で
失った一人の男がその晩にここまで笑顔で笑えるだろうか。コイツはアホで天然だけど周りの人全てを
巻き込んで幸せにする力を持ってるのかもしれない。

167 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/21(火) 18:43:23 ID:No7Vun4o0

で、次の目的地くらいは決めといた方がいいんじゃない?

ねーちゃんが突っ込む。その通りだ。鬼浜会議はバカ勇者とアホパンツのせいでいつも話がそれる。
今手元にあるオーブは4つ。全部で6つあるらしいから残りは2つだ。しかし何処にあるのか
検討もつかない。さてどうしたものか。一応聞いてみる。
おまえら誰かどんな小さな事でもいいからオーブについて何かしらないか?

パ:あっしが聞いた話によりますと…

黙れ。おまえは喋んな。

勇者とねーちゃんが首を横に振る。おいおいあてもなく世界中探し回るなんていったい何年かかるんだよ。

おっさん(以下‘お’):確かな情報じゃないんだが東の果ての‘ジパング’という国に凶悪な巨竜がおり
           先代勇者様がその竜を封じるためにオーブを使ったらしいですぞ。

マジか。これは有益な情報だ。こいつの知識は意外と役に立つかもしれない。
そういやまだ確認してなかった。このおっさん果たしてどのくらい戦えるのだろうか。

お:ハッハッハ戦闘?無理無理!無理ですわ。肉体労働は苦手でしてな。
  その辺の子供にも負ける自信があるぞい。

……聞かなきゃよかった…。戦力は増えないが悩みの種は一つ増えたようだ。
次の目的地もジパングに決定した所で会議はお開きになった。ドッと疲れた。俺はその日すぐ寝た。


168 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 20:38:56 ID:7beqBRdF0
総長キタY⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!

169 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 22:05:47 ID:OVa8YX3x0
総長乙であります

170 :タカハシ:2006/03/21(火) 22:32:26 ID:MeiowjXQO
帰れない
投下できない…


総長さんおかえりなさい!

171 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 22:46:40 ID:jecQhVGp0
総長、お帰りなさい。帰ってくるのをずっと心待ちにしていたよ。
うれしくて涙が出てくる…。
これからも活躍を期待しているよ

172 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/22(水) 02:59:25 ID:HKeaoz460
ー深夜ー

今晩は冷える。しょんべんでもしようかと部屋を出る。おっなんかおっさんと勇者が話し込んでいる。
何故か反射的に隠れてしまった。ん…どうやら俺の話題のようだ。

しかしわかりませんな。あの総長とかいう男…ただの乱暴者にしか見えないですぞ。
なぜあんな男が勇者様の御一行に…。しかもあやつ自分がボスだとか勇者様は子分だとか…
ふーむわからぬ…

総長ちゃんは見た目恐いし口も悪いけど頼りなるうちのリーダーだよ。ノマさんもそのうちわかるよ!
ああみえて根はすーっごく優しいんだ。

そうですかな。まあ勇者様がそう言うなら間違いないでしょうな…。あとあのカンダタという男…
あれは本当に人間ですか?なんと恐ろしい風貌!わしには魔物にしか見えんぞい。

えー!そんなことないよ!カンダタちゃんかわいいじゃん!絶対!

うーむ…いやはや最近の若い子の感性はわからんわいハッハッハ

総長ちゃんもカンダタちゃんもあたしの大好きな仲間です!もちろんカンダタちゃんの子分も
おねーちゃんも…それにノマさんもね!



………。一応俺がボスだという事は自覚しているようだな。殊勝な心がけだ。おっさんは明日絶対殴る。


173 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 03:04:39 ID:W2aSM8jVO
夜乙-YAOTU-

174 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/22(水) 03:19:59 ID:HKeaoz460
ー朝ー

俺たちは船に積めるだけの荷を積んで港を後にした。おっさんの事情を知った町の人達が食料やら酒やらを
アホみたいにくれたおかげでほとんど買い物せずに済んだ。実は最近かなり金が貯まっている。
何故かと言うと基本的に宿屋もタダだし飲みに行ってもタダだ。武器も防具も道具も定価の半分から
10分の1程で買うことができる。場合によっちゃお代はけっこうですとか言われる始末だ。
これも全て俺とパンツの巧みな交渉術の賜物だ。特にパンツなんて口を開く事なく目だけで値切る
事ができる。こいつにはきっと天性の商才があるのだろう。

ジパングまではまだ暫らくかかりそうだ。最初はパンツが船長な事に生命の危機を感じたがさすがに
もう慣れた。たいして強い敵もでないしのんびりしとくか。

いっとくけど気休める暇なんてないわよ。

げ…ねーちゃん…

父から私の使える呪文全部教えるようにと遺言受けてるの。まだ全然進んでないじゃない。
ペースあげてくわよ!

いや俺には己の体という最強の武器があるからそこまで呪文にこだわらなくても…

さあじゃあ最初はバギの復習から!

聞いてねえ…

当然俺にブレイクタイムなどあるはずもなくみんながしばしの休息をとってるのを尻目に
今日もコツコツと修行に励むのであった。鬼だ。人の皮を被った鬼だこの女は。

175 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/22(水) 07:39:46 ID:HKeaoz460








ちょっと!こら!寝ぼすけ!起きろー!

うぅうんん…ぶぶぁギは精神の統一よりしいいいん空を巻き起こ…zzzzzzz

こら!意味不明な寝言言ってないで起きろー!

………。ん…?なんだもう朝か。夢の中でまでねーちゃんに特訓されちまったぜ。
お?なんだ勇者。なんでおまえがここにいる。とっとと自分の部屋へ帰れ。

帰れじゃないでしょ!もう!着いたよ!ジパングに着いたの!
みんなもう船降りる準備できてるよ?総長ちゃんも早くしてね!



ランシールを出てから一週間ちょっとか。俺たちはようやくジパングに着いた。
しかし辛かった。ねーちゃんのスパルタ度はあのクソイケにも引けをとらないくらいだ。
ほんとに恐ろしい親子だ。…正直できる事ならもう関わりたくない。

船を泊められそうなポイントを見つけるといつものように船番はパンツの子分共にまかして
俺たちは上陸した。ジパング。言葉の響きもそうだがどこか懐かしい気がする。
おっさん曰くここから東にしばらく歩くと町に着くらしい。このおっさんどうやらかなりの
インテリのようだ。ねーちゃんも頭はいいのだが、如何せんイケと一緒に長いこと塔に引きこもって
た分こういう事にはうとい。そういう面では勇者も微妙だしパンツは論外、別世界の俺が
知る訳がない。このおっさんカーナビばりに使えそうだ。

176 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/22(水) 07:52:04 ID:HKeaoz460
やはり地面は落ち着くな。ぼんやりそんな事を考えていると敵が現れた。
不細工面の蛾が5匹にデカいキノコが三匹。杖もった小デブが2匹。…ちっ多いな面倒くせえ。
とりあえず分担して片付けていくか!みな各々近くにいた相手に飛び掛る。

俺はキノコを焼き尽くすとそのまま翻って小デブに切りかかった。

ヒュン!ザクッ!!

そこじゃ!総長殿お見事ですぞ!

危ない!カンダタ殿後ろじゃ!後ろに魔物が!ああ!噛み付かれた!痛いい!

ガブ!ドカッ!グゥエェェェ!!!

勇者様頑張ってくだされ!不肖ノーマン応援しておりますぞ!

バシュッ!!!キーン!カキーン!

総長殿あなたもリーダーならもっと全体を見てですな…あ!ほら勇者様が囲まれておる!
うるせええええええぇぇぇえええええ!!!!!!!!!!

魔物に飛ぶはずの鉄拳がついおっさんに炸裂した。

おまえは戦えないなら黙っとけ!邪魔じゃボケ!

うぬうう…すまんつい血がたぎってしまい…面目ない…


177 :総長 ◆8X2v8DcqWM :2006/03/22(水) 08:13:55 ID:HKeaoz460
ちょっと総長ちゃん!怒っちゃかわいそうでしょ!せっかく応援してくれてるのに!

敵を片付けた勇者達が戻ってきた。いやだってよ!うるせーじゃんこいつ!
その後しばらく勇者と口論した結果、おっさんは戦闘中必要最低限以外口を開いてはいけない
という事で落ち着いた。しょぼくれるおっさん。慰める勇者。

そうこうしているうちに町が見えてきた。おお!これはかなり大きな町だ。
町の入り口で異常なまでの注目を集めてしまった。好奇の視線。いや、町に着くたび
変な目で見られるのはいつもの事なので気にならないが今回はちょっと違う。
むしろ変なのはこいつらだ。服装、髪型どれをとっても今まで旅してきたどの国とも
当てはまらない。ガキが三人近づいてくる。は?何?田舎もんだと?
あっいてコラ服引っ張んな破れんだろがコラやめろって!
ガキどもを振り払う。何なんだこいつらは…

わーいわーい田舎もんが熊つれてきたぞー田舎もが熊連れてきたぞー

総長!あいつら総長の事を熊呼ばわりしてるでやんす!シメてやりましょう!

いや熊に間違えられたのはおまえの方なんだが…しかしうっとしいガキ共だ。


ガアアアアッッ!

突然パンツが奇声を発して驚かした。一瞬固まりその後号泣しだす子供。正直泣き出す
子供の気持ちもわかる。子供に対してよくやる事と言えばよくやる事だがパンツがやって
しまうとシャレにならない。子供は泣き止まない。バカでかい声で鳴き続ける。
なんだなんだと人が集まってきた。く…いつもそうだ。いつもこうなる。行く先々で注目を
集めてしまうのは俺が天才故に仕方のない事なのか…。気づけばもの凄い人数に囲まれていた。

178 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:44:21 ID:6CSXJCV50
>>42 から続き

●イシス

ザッガツッ!

オリハルコンの剣を二振り
ザラザラと分解し風に流されていく土偶戦士

この魔物は宙に浮いて移動し、ラリホーという魔法で相手を眠らせようとする
常に前へ出て戦う俺は当然狙われてしまう
ラリホーにかかると眠気では無く問答無用で意識が飛ぶ
"眠る"というよりは"気絶に限りなく近い睡眠"だろう
攻撃を受けても目覚めることが出来ないことも多く、恐ろしい魔法だ
この手の魔法は術者とかけられた側の"魔力の差"で成功率が変わり、俺にはまだ魔力がないため毎回眠らされた
しかし俺はメイのキアリクによってあっさりと目覚めることが出来る
俺一人だったらとっくに死んでしまっていたに違いない

「ふぅ 町は直角の曲り角の近くって言ってたっけ?」

剣をなおしながらメイに聞く

179 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:45:34 ID:6CSXJCV50
「ええ 目の前の角を曲がるとイシスよ」

路の左右を森に囲まれ、変わらなかった景色
少し先に、ここまでの旅路には無かった直角の曲り角
人工的に造らなければこんな直角にはならないはず

「この角がそうか、よし急ごう」
「楽しみね」
「ん、なにをニヤニヤいてるんだよ」
「べつにぃ」

…何か企んでいるな

メイの不穏な言葉に少し警戒しながら、粉々になった土偶戦士をまたぎほぼ90度になる角へ歩く

イシス
この町がどんな町なのか誰からも聞いたことが無かったな
魔法の鎧を修理出来る防具屋があればいいんだけど

角を曲がると、イシスへ到着─

180 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:46:07 ID:6CSXJCV50
「え??」

目の前に広がっていたのは巨大な石で出来た町
だがその町はほとんどの建物が破壊されメルキドと同じくただただ廃墟

まさか俺たちが旅をしている間、魔王に滅ぼされたんじゃぁ…

「驚いてくれた?
 これは魔物を欺くためわざと作ったモノ
 獣の魔物ならただの廃墟だと思って近付かなくなってくれるの
 本当の町は今あなたがいる足元、地下よ」

イシスは地下都市だったのか!
メイのニヤニヤはこれだったんだな
それで、入口はどこに?

「入口は廃墟の中にあるわ、行きましょう」

そう言い廃墟へ入るメイ
俺も続き足を踏み入れた

パッと見た感じでは本物の廃墟だが中へ入ると生活があったとは思えない造り
家らしき建物の間取りもめちゃくちゃだし広さだって適当
獣の魔物は頭が悪い、こんなモノでまんまと騙されてしまうのだろう

181 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:47:12 ID:6CSXJCV50
「ここ、この階段を降りると町へ入れるわ」

廃墟の中央辺り、一軒の崩れた民家の床には地下へ続く階段

「ほんとに地下なんだな…」

メイを先頭にし階段を降る
かなり深く、まるで終わりがないかのように思える
そして、不思議な事にとても明るい

「地下なのにどうしてこんなに明るいんだ…?」
「ふふ 光の正体はね、これ」

メイが壁を指でなぞり、その指先を俺の目の前へ持ってくる

「ん?! 指先が、光ってる!」
「光苔 この地域にしか生息しない珍しい苔よ
 この光苔を地下の壁全てに植えているおかげで外と変わらない明るさを保っていられるの」
「光苔なんてあるのか、なるほどなぁ」

これなら電気も炎も必要ない
ダミーの町といい光苔といい… 驚きの連続だ

182 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:48:18 ID:6CSXJCV50
やがて階段を降りきり、今度は地下道を歩いていく
地下道も光苔のおかげで明るい

「この町は昔から地下に在ったの
 魔王の侵略が始まってから、上の廃墟を造ったの」
「へぇ じゃあ地下の専門家だ」
「あはは そういう事ね
 でも町の人を見たらまた驚くと思うわ」
「なんだ? まさか"もぐら"だとでも言うんじゃないだろう?」
「どうかなぁ」

なんだ、不安になるじゃないか
この町はいわばメイのホームグラウンド
俺はまるで借りてきた猫だ

そんな俺の思いとは逆に、楽しそうなメイ

「さ、この扉をあけるとイシスよ 準備はいい?」
「え? ああ、準備も何も…」

俺の顔を一目みて、メイは石で出来た扉の横にある取っ手を引く

『ゴゴゴ…』

扉がゆっくりと左右に開く

この世界の自動扉みたいなものか
今までと違い、やたらと文明的な町だな
だけど白い壁があるだけで町なんてないじゃないか…

183 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:49:49 ID:6CSXJCV50
「…町は?」
「この白い壁は魔力でつくり出した幻なの 魔物が扉を開けてもすぐに入ってこられないように」
「そ、そうか イシスってすごいんだな」
「なにしろ… まぁいいわ、入りましょう」

メイの言い掛けた言葉が気になったが町に入ればわかるだろう
まず俺が、壁に足をつっこむ

不思議な感覚が足に伝わってくる
足先を阻むモノがない、向こう側は確かに存在するようだ
そのままおそるおそる身体も壁へ─

結界を抜けた俺の目に飛び込んできたのは真正面に構える巨大な宮殿
こんな地下にこんな巨大な建物が─

「ようこそイシスへ!」

後から入ってきたメイが俺の後ろから言う

「なんていうか、驚いてばかりだよ ははは…」

驚きすぎて笑いが出てくる
俺は地下だからてっきり狭い空間にひしめく小さな建物を想像していた
だが違った
真正面の巨大な宮殿を囲むように並ぶ家
その家だって一つ一つがとても大きい
よく地下にこれだけのモノを造り上げたものだ

「宮殿へ行きましょう そこで魔力を引き出してもらえるわ」

宮殿というのはあの正面のでかい建物の事だな
いよいよか、俺も魔力を… 持てるんだ

184 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:51:19 ID:6CSXJCV50
●魔力とルビスとオリハルコン

正面にある宮殿へ向かい歩き始めた俺たち二人
道は大理石のような美しい石で舗装され、建物全ては白で統一されている
地下の壁全体も白 まるで近未来を描く映画のよう
 
だけど、何か違和感を感じる
家そのものは大きいのだが窓や入口が妙に小さいのだ

「なぁメイ なんでこの町の入口や窓なんかは小さいんだ?」
「いい所に気付いたわね 向こうを見て」

メイの指す方向へ顔を向けた
身長の低い真っ白なローブを着た二人の男が、何か話しているのが見える
町の色にまぎれ込んでいて気付かなかった

しかし二人の男はやけに… 小さい?
髭を生やしているから大人、だよな…
離れているからとかそういう理由ではなく明らかに"身長が低い"

俺の困惑した表情を見て笑うメイ

185 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:52:49 ID:6CSXJCV50
「向こうにいる人は小人なのか?」
「あはは 違うわ
 このイシスはね、ドワーフの町なの」
「え? どわわふ?」
「どわーふ、ドワーフよ 聞いた亊無い? 旅人なのに」
「…初めて聞いた」
「珍しい旅人ね…
 いい? ドワーフっていう種族は人間と違って身長が低いの
 手先が器用で人間とは違う独自の文明を持つのよ
 器用なだけじゃなくて魔力も力もあるわ」

ドワーフなんて初めて聞いた
トルネコもテリーも知ってて教えてくれなかったのか?

「ふぅ… この町には驚いてばかりだよ」
「驚いてくれて嬉しいわ」
「まぁ嫌な驚きじゃないからいいけど…
 そういえばメイはイシス出身なんだよな なのに、ドワーフに見えないのは…?」

言ってから、この質問はまずかったかもしれないと気付く
だがメイは至って普通に返事を返してきた

186 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:54:06 ID:6CSXJCV50
「私の父がドワーフで母が人間なの
 珍しい組合せなんだけどね そして私は父の魔力を受け継ぎ母の人間の姿を受け継いだわけ」
「そういう事か」

よかった、拾われた子供とか不幸な生い立ちじゃなくて…
でもドワーフと人間じゃ身長差が大きいな
向こうで話しているドワーフ二人は俺の胸の下くらいしかない
…いろいろと大変だろう

「ここよ ここがイシス全体の魔力を管理する宮殿」

目の前には高くそびえ立つ何本もの柱に支えられた、巨大な宮殿への入口
その入口に向かって階段が続いている

おかしいな、そんなに歩いたつもりはないんだけど宮殿に着いていたのか

「全体? ああ、町の入口の事か」
「入口もそうだけど気温や気圧も魔力で制御しているわ
 そして空間も魔力で広げてる
 これはうまく説明出来ないんだけど… 今歩いてきた距離よりも実際の道は遠く見えない?
 つまりはそういう亊、ごめんうまく説明できないわ
 とにかく、この地下での生活を維持するために絶対必要なモノなのよ」

187 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:56:06 ID:6CSXJCV50
空間?!
確かにあまり歩いていないのに、遠くに見えたこの宮殿へ着いてしまった
じゃあ広く見えるこの地下も、実際はせまいのか
いや、でも見せかけだけだったら人は住めない
んー さっぱり理解出来ないがそういうものなんだろうな…

「でも、そんなすごい魔力を持っているんだったらこの町の人だけで魔王と戦えるのでは?」
「残念ながらそれは出来ないわ
 この町を維持する大きな魔力はルビス様の像によるもの
 その像がどのようにして魔力を発生しているのかはわからないのよ
 私たちはその像の魔力をドワーフの知恵で利用しているだけ そしてその像の魔力は攻撃的なものではないの
 ドワーフの魔力も同じよ」
「うーん… 難しいな」
「ルビス様の像やドワーフの魔力では攻撃魔法を扱えないって亊
 私は人間の血が半分入り、親が神官だからその影響で攻撃魔法も扱える魔力を持ったんだと思うわ」
「……イシスはなんだかすごいって亊だな?」
「あはは 私もまだ理解できているわけじゃないからね
 魔力にもいろいろあるのよ 難しい話はヤメにして、行きましょう」

これ以上聞いても俺にはきっと理解できない
少しホッとしながら宮殿への階段を一段一段踏んでいく
階段を昇り入口をくぐると真っ青な絨毯が奥へと続いる
宮殿内部に装飾はほとんどなく、窓すら見当たらない
ただただ、白い壁と青い直線がそれだけで美しい装飾品

188 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 12:57:42 ID:6CSXJCV50
静まり返った宮殿
その雰囲気に飲まれ、俺は話すことを遠慮しながら青い絨毯の上を進んだ

しばらく進むと壁に人が通れる位の四角い穴が空いた壁
青いカーテンに遮られ中の様子は見えない

「この奥で魔力を引き出してもらえるわ」
「やっと魔力を持てる、今から緊張するよ」
「儀式は一瞬で終わるから安心して」
「一瞬なのか あ、そういえば寄付とか必要なのかな?」
「いいえ必要ないわ」
「そうか、よかった 実はあまり持ち合わせが無い」

雷鳴の剣の修復費用のせいで余計に懐はさみしい
そういえばメイはいいとしても宿代もテリーは払っていってなかった
…三倍にして返してもらおう

「いってらっしゃい、私はここで待ってる」

俺は荷物を降ろし、青いカーテンの向こうへ進む
この入口もドワーフにあわせてあるためか低い

カーテンの向こうは小さな部屋になっていて、簡素なテーブルには椅子に座る歳老いたドワーフが一人
部屋の左右には重たそうな石の扉
色は全て白だ、それ以外には何もない

189 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 13:00:40 ID:6CSXJCV50
「あの…」

椅子に座り何か書き物をしているドワーフへ声をかける

「ふむ… 魔力、かね?」
「ええ 引き出してもらえると聞いて訪ねました」
「では金属の装備を外しこのテーブルの上へ、できたらワシの側へきなさい
 ワシは怪しいものでは無い、魔力を引き出すことの出来る唯一の神父じゃ」

この人がそうか…

鎧をガチャガチャ外し、剣を腰からおろしてテーブルへ置く
一呼吸おいてから、神父の側へ移動した

「ひざまづいて、頭をワシのほうへ傾け… うん、しばらくじっとしていなさい」

ドワーフは背が低い
ひざますいて頭を向けると俺は床を見る格好となった

「……」

頭のてっぺんに手をかざれる感触を感じる…?

ん なんだ、眠気が…
このままじゃ寝てしまう、我慢できん……
これが ぎし き………

190 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 13:01:52 ID:6CSXJCV50

この うかぶ かんかくは…

『お久しぶりです、タカハシ』

ルビス…!
これはあんたの仕業か…

『強くなりましたね』

ああ、頑張ったよ
トルネコさんの事もあるし…
それに強くなれって言ったのはあんたじゃないか
で、なにか用ですか、ルビス様?

『あなたはこれから魔力を持ちます』

その為にイシスまで来たんだ
魔力を持てれば今より強くなれるんだろう?

『ええ あなた自身戸惑うくらい強くなるでしょう…』

戸惑うくらい? 今後の旅が楽になるな
でもまだ俺を元の世界へは… 戻さないで欲しい

『…勇者トルネコのため、ですか?』

そう、その通り
…待てよ、あんたなら呪いを解くことが出来るんじゃないのか?
出来るのならやってほしい!

191 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 13:03:35 ID:6CSXJCV50
『申し訳ありません あの呪いは私には解く事が出来ない…』

そうか…
なら、俺が方法を探す
トルネコさんの呪いが解けるまで俺を元の世界へ戻さなくてもいい
俺も強くなれるし一石二鳥だ

…でも、なんで俺に強くなれと言う?
そもそもなぜ俺をこの世界へ引き摺り込んだ?

『それはまだ言えません…』

もし、勇者になれと言うならお断りだ
俺には関係が無い
悪いが他をあたってくれ

『……そうは言いません』

安心したよ
ならなんでだ?

『まだ言えません』

……わかった、もういい
用は?

192 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 13:05:02 ID:6CSXJCV50
『…あなたはこれから魔力を手に入れます
 ですが、あなたは魔力を引き出しても魔法を使うことができません
 代わりに、オリハルコンの剣を活用してください』

そんな残念なお知らせはもっと早く言ってほしい…
魔力があっても魔法を使えない事があるなんて知らなかった

『失望する事はないのです
 剣術のみで戦う者であっても、魔力があれば自分の力や技をより強力にする事が出来ます
 そしてオリハルコンの真の力はあなたの魔力でのみ、発揮される
 その力はとても大きく、自分の意志で扱えるようになって下さい』

それなら安心だ、しかし─
真の力とは?
俺の魔力でしかできないってどういう事だ?
なぜオリハルコンを知っている?

『今引き出された魔力だけではオリハルコンの真の力は発揮されません
 もっと強い、心と意志が必要ですがやがて手にするでしょう』

その強い心と意志がなければ、今の魔力でオリハルコンは無意味だと?
それと他の質問にも答えてくれ

『いいえ 今の魔力だけでもオリハルコンは力を見せてくれる
 …私の言った他の言葉の意味は、またあなたが強くなった時にお話します………………』

う!
待ってくれ 俺はどこまで強くなったら…
俺に何をしろというんだ……
かってにはなしを おわらせ………

193 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 13:06:22 ID:6CSXJCV50

「……タカハシ! 起きてタカハシ!」

パシパシという乾いた音が耳に入る
と同時に、横っ面に痛み

神父の部屋へ戻されたか……

音の源、誰かが俺を平手打ちし頬に衝撃を伝えている音
その動作で顔が左右に揺れている
あまりに痛いので目を見開きガバッと勢い良く身体を起こす

「あ…」

引っ叩いていたのはメイ
俺が突然起き上がったので驚いている
側にいる神父も一緒に驚き、動けなかった

叩かれていた頬を触るとひどく熱い

「起きた…… よかったぁ……」

両ひざをついて平手打ちしていたメイが、がっくりとうなだれる
俺は魔力を引き出してもらっている間に眠り、床へべたりと身体をくっつけたようだ

「失敗してしまったかと、思いましたぞ……」

神父がホッとした表情で言う

194 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 13:08:06 ID:6CSXJCV50
「すみません、なんか寝てしまったみたいで……」
「儀式の途中で寝てしまうなんて聞いたことが無い 何もなくて良かったわい
 …魔力は眠っている間に引き出せたよ」

そうだ魔力
だけど俺には魔法を扱えないからどう確認していいか…
…ともあれ魔力を引き出してもらえたんだ、礼を言わなければ

「ありがとうございます、迷惑をかけました」

立ち上がり、神父の言葉を待つ俺
だが何も言ってこない もう何もないのかな?

「…もう、行ってもよろしい」
「そ、そうですか では失礼します」
「後でメイに詫びておきなさい メイの事はよく知っておる
 あまり困らせるんじゃないぞ」
「あ、はい… すみません」
「さぁ、メイを連れて」

座り込んだままのメイを立たせ、荷物と装備を手に取り神父の部屋を出る
メイはずっと下を向いたまま、黙っている

泣いて、いるのか?
俺が儀式で眠ったから?
…とにかくなんとかしないと

「ほら、もう平気だ! いつもみたいに元気─」

195 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 13:10:23 ID:6CSXJCV50
ドゴォォォとメイの拳が腹にめり込む
突然の衝撃に、逆くの字へ身体を曲げる俺

「魔力の引き出しに、失敗する人も、いるの…」
「ぐ… え?」
「失敗したら、精神が破壊されて… 滅多に無い事なんだけど、もしかしたらって……」

そんな事もあるのか…
だから心配を

「今のは、心配させたお返し」

顔をあげタタタと駆け出し、入口である門で止まり振り返るメイ
空間制御のおかげで、遠くの門へ少しの動作でたどりつく

「いきましょう! 早く!」

…元気に戻ってくれた
しかし、俺にダメージを与えられるんだから格闘も出来るじゃないか…
鎧を装備していないとはいえ、見事な攻撃だ

鎧と剣を身に付け荷物を背負う
熱い頬はそのままに苦しさの残る腹を押さえ、手を振るメイの元へ向かった


196 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 13:11:16 ID:6CSXJCV50
今日はここで終わり、続きはまた後日

197 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 13:47:05 ID:EQccy5dd0
GJ!

198 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 15:36:11 ID:PfEwJf800
あほう

199 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 21:27:44 ID:5fJCFl0l0
4の人マダ〜!

200 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 21:50:44 ID:BAM+iEne0
>>199
ageんな
無理言うな
マナー弁えろ

201 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 22:02:03 ID:5fJCFl0l0
>>200
お前、何様?
お前みたいな奴がいるからスレが荒れるんだよ
死ね

202 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 22:36:35 ID:UvRauvkaO
>>201はsageる方法が分からないだけなんです。皆さん、いじめないでやってください。

203 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 22:43:07 ID:DjE64G+1O
>>165みたいなのが煽ってるだけだと思うけど。

まあそんな事どうでもいいんだけどさ。

204 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 22:56:25 ID:5fJCFl0l0
>>200
なんだよ、ちょっと反論されただけで黙っちまうのか
そんなんなら最初から絡んでくるなよ
こっちはてめぇからのレスなんかいらねぇんだ
いいか、お前みたいな奴がスレの雰囲気を悪くするんだ
そこんところをよく覚えとけ、たわけが
>>202-203
>>200の奴が俺こそが正しいみたいな言い方するからちょっと怒ってやっただけだよ
全ての責任は>>200にある
まあ、こいつが反省するようなタマとは思えんが

205 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 23:00:23 ID:c8Im4s/K0
責任はすべて投稿者自信が負わねばならぬ。

206 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 23:09:24 ID:VGoXZsMe0
急かすと逆にやる気失せたりするから気長に待て。
忘れた頃にうpされてたりするもんだ。
だが、それよりも、だ。
まずsageを覚えて来い、話はそれからだ。

207 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2006/03/22(水) 23:10:38 ID:Ewe+fW2OO
保守乙です
FF12スレ乱立はまだ落ち着かないかな?
もしかすると私の投下方法(アップロード)や内容が不評だったりスレ違いになっちゃってるかもしれないけど、完結まで大筋は出来ているのでもうちょっとお付き合い下さい と酔った勢いで保守しておきます。

208 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 23:20:33 ID:lCYjhIyfO
>>タカハシ氏
無問題です。乙かれ。

ID:5fJCFl0l0はただの構って厨だろ?明らかに釣りじゃんか。もう反応しなくていいよ。

209 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 08:42:28 ID:OYSFxdV80
保守

210 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 09:23:38 ID:2nMTTgFc0
ムーン「ここはムーンブルグの城よ…今は壊滅してしまったけど。」
  ?「ムーンブルグ?……聞いた事は無いな。」

この男は現状が全くわからないという雰囲気がある。もしや・・・・・・・・

 タケ「なあ、あんた。今から言う言葉に心当たりはないか答えてほしい。」
  ?「別に構わないが…」
 タケ「ローレシア、ハーゴン、サマルトリア、ローラの門、ムーンペタ。」
  ?「………すまないがわからない。それはどこかの地名か人物名か?」
ムーン「もょもと、貴方は何をしようとしているの?」
 タケ「なーに、簡単なテストみたいなもんよ。」

やはりこの男も別世界から来た人間だ。

 タケ「あんたは多分、自分の世界の価値観と今の世界の価値観に戸惑う事になると思う。」
  ?「なんだって?一体どういう事だ?」
 タケ「質問するがあんたはどこで眠っていたとか覚えているか?」
  ?「仲間たちと明日に備えてとある町の宿屋で休んでいたのだが…」
 タケ「やはりな。人知を超えた力があんたをここに呼び寄せたんだ。」
  ?「な、なんだと!?あんたなんでそんな事が言えるんだ?」
 タケ「この世界の人間なら今言った地名や町がだいたい分かるはずなんだ。それが分からないとなると、
     ただの馬鹿か全くこの世界を知らない者となる。違うか?」
  ?「へぇ、なかなか頭が切れるな。あんた。」
ムーン「じゃあこの人は別世界の人間って訳!?」
 タケ「そういう事になるな。」

まさかスレの住人がここに来たのか?いや、スレに住人ならいきなりバギマやマジックバリアなど高度な呪文は使えないはずだ・・・・
別のドラクエの世界の住人か?



211 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:24:46 ID:2nMTTgFc0
ムーン「しかし、私達の世界の他にも別の世界があるなんて…信じられないわ。」
  ?「俺も信じたくないくらいさ。失礼だがあんたらの名前を教えてくれないか?呼びにくいものがある。」
 タケ「それもそうだな。俺の名前はもょもと。こっちの女性はムーンだ。」
  ?「俺も名乗っておこう。そうだな………レオンって事にしといてくれ。」
ムーン「……本名は言いたくはないみたいね。もょもとがきちんと紹介したのに。バッカじゃないの!?」
レオン「悪いが今のあんたらは信用できない。」
 タケ「ムーン、やっきになるな。」
ムーン「でも失礼じゃない!?いくらなんでも人をなめ過ぎよ!」
 タケ「レオンはいきなり知らない世界に来たんだ。警戒するのは無理もない。」
レオン「じゃあ質問をするがもょもとはそんなに冷静なスタンスをとれるんだ?」
 タケ「これっと言った理由はない。」

実際俺も別世界の人間だからこんな事も言えるんだけどな。
しかしレオンからは殺気などが感じられないが情報が少なすぎる。敵どうかはまだ分からないって事か。



212 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:25:42 ID:2nMTTgFc0
レオン「ふん…しかし、ここは戦場の跡地だったみたいだな。」
ムーン「………………………………………………」
 タケ「ハーゴンの野郎が世界を滅ぼそうとしているのさ。この世界では。」
レオン「それなりの事情があるのか?そのハーゴンって奴は。」
 タケ「ああ。ハーゴンの手下から無理矢理喋らせた内容では新しい宗教団体を自ら立ち上げたらしい。」
レオン「宗教か…何かひっかかるな。」
 タケ「しかもムーンブルグはハーゴンの軍団に滅ぼされた…しかもムーンはここの王女様だ。」
レオン「な、なるほど………………そうだったのか………………」
ムーン「何話しているのよもょもと。勝手にべらべら話さないで。レオンには関係ないことでしょ。」
 タケ「す、すまん………………」
レオン「……………………………………………決めた。」
 タケ「ど、どうしたんだ?」
レオン「あんたらについていこう。この世界のことは全く分からないし。多分俺の仲間達もこの世界に来ているかもしれない。それに……」
ムーン「な、何なのよ………………」
レオン「可愛い王女様と一緒に旅できるのならそれはそれで楽しみだしな。」
ムーン「はぁ!?ふざけた事は言わないで!!!」
レオン「ムーン、俺は貴方の騎士になりたい。」
こいつ洋画みたいなセリフばっかり言いやがって……………なんか腹立つわぁ〜……………

 タケ「レオン。お前変わった奴だな〜」
レオン「そうか?可愛い女性がいれば即効アタックするのが俺の美学よ。」
ムーン「あんたなんか恋愛対象としては全くの対象外だわ。」

おお!ムーン。良く言ってくれた。さすが女王様!……………じゃなかった。一国の王女様。しかしレオンの行動力は羨ましい限りだ。


213 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:26:35 ID:2nMTTgFc0
レオン「だが、その前に………………」
ムーン「何よ?」
レオンは剣を抜き出した。

レオン「もょもと。俺と決闘をしてもらう。」
 タケ「いきなりどうしたんだ?」
レオン「あんたがハーゴンって奴に立ち向かう価値があるのか俺が試してやる。」 
ムーン「そんなの卑怯よ!もょもとは貴方と違って全く呪文が使えないのよ!!」
 タケ「弁明はしなくていい。ムーン。」
ムーン「で、でも格好つけている場合じゃないわよ!!」
 タケ「言葉が悪いが俺達の邪魔する奴らは蹴散らさないと前には進めないからな。力でねじ伏せるのもいい機会だ。」
レオン「ふん………嘗めた口を叩くとは。後悔させてやる。呪文が使えないからって手加減はしないからな。」
 タケ「……………………………………………言いたい事はそれだけか?」
レオン「なにィ!?」
 タケ「じゃあ始めるとするか。こいよ。」

俺も鋼の剣を抜き戦闘態勢に入った。

 もょ「(タケ、しょさんはあるのか!?)」
 タケ「(・・・・・・ハッキリ言って俺達のほうが分が悪いな。)」
 もょ「(いくらなんでもむぼうすぎるぞ!!しかもレオンはムーンよりまりょくがあるんだろ?)」
 タケ「(勿論策は考えてあるがな・・・・・もょ、お前の力も必要になるで。その内容は・・・・・・)」






 もょ「(い、いくらレオンがつよいっていってもむぼうすぎるぞ!いのちにかかわることだ!)」
 タケ「(リスクはでかいのは承知済みや。頼むで。もょ。)」


214 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:28:20 ID:2nMTTgFc0
レオン「一つ言っておいてやる。俺が無傷で勝つ。」

 タケ「なめんな!」

俺は一直線にレオンを向い強撃を喰らわせようとした時…………

レオン「ちっちっち………甘い!バギッ!!」

小さな竜巻が俺に襲い掛かり向って行く所か逆にふっとばされた。痛みは……あまり無い。
斬り掛かれると思ってもバギで吹っ飛ばされる・・・・小ざかしい野郎だ。

レオン「ハハハ!この程度か?もょもと。」
 タケ「これからに決まっているだろうが。」
レオン「俺もまだまだ余裕はあるからな。覚悟しておけよ。」
 タケ「俺もそれは同じよ。これからが勝負!(バギがやっかいやな。アレを使うか…………………)」

俺はしばらく様子を見ることにした。

レオン「何考えているんだ?もう諦めたのか?」

 タケ「どうした?びびったのか。高慢なレオンらしくないな。肝が座ってない野郎だな。」

レオン「ふん。何の策を考えているか知らんがドンドン行くぞ!バギッ!」

予測どおりバギを連発してきた。阿呆が。こっちの思惑通り……………



215 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:29:47 ID:2nMTTgFc0
レオン「なっ・・・・・こいつ、踏ん張ってやがる。」

 タケ「どうした?こんなカスみたいな呪文で俺を止めれると思っているのか?」

俺は大防御をしながらレオンに近づいていった。予定通りだ。

レオン「だが、剣が届く範囲に近づいても俺が先に攻撃が出来る。くらえっ!!」

 タケ「うぐっ・・・・・・・」

レオンに斬られてしまったが致命傷ってわけではない。何とか動ける。



それに剣が届くって事は俺の範囲でもあるんだよ!俺はレオンに斬りかかった。



しかし俺の攻撃は回避されてしまった。



レオン「なかなかパワーがあるな。しかしテクニックはまだまだ甘い。当てることすらも出来ないのか。」

 タケ「・・・・・・・・・・・・・・・・甘いのはお前の方だよ。」

レオン「なんだと・・・・・・・・・・・」


216 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2006/03/23(木) 09:31:27 ID:2nMTTgFc0
ヒュン!!!!!!!!!!

レオン「ぐわぁ!!!!な、なんで斬られるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 タケ「かすみ二段!!上手くいったみたいだな。」

レオン「お、お前ごときに・・・・・・・・・・・」

 タケ「俺を格下というなめた先入観がお前の敗因だ。まだやるか?」

レオン「当たり前だ!今度は確実にしとめてやる!」

レオンはべホイミを唱えると傷口が塞がり回復していった。やはり俺の方がかなり不利か。

 タケ「(もょ。ここからが本番やで)」
 もょ「(し、しかし・・・・・・・・・)」
 タケ「(後戻りは出来へんよ。頼むで!)」
 もょ「(わかった・・・・・・・・・・・)」

もょもと&タケ
Lv.13
HP:52/92
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E皮の鎧 E鱗の盾 E木の帽子 
特技:かすみ二段・強撃・チェンジ・はやぶさ斬り(もょもと専用)・ゾンビ斬り・大防御(タケ専用)


217 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 10:21:31 ID:MQx1Zl1q0
あいつら役に立たんな。

218 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 14:48:37 ID:sA4u/lE50
保守

219 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 19:17:11 ID:vF0tnQVI0
レッドマン乙ー
レオンって誰やろな、予想してたのと違うかもしれん

220 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 19:51:59 ID:4m3TwNN8O
レッドマン待ってたぞ
。。・゚゚(゚´Д`゚)゚゚・。。ウワァァァァァン

221 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 09:03:16 ID:Chl+3Q7K0
保守まだ必要?

222 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 12:17:18 ID:3kgeXqA90
落ちない程度に

223 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 13:41:10 ID:1AcS0Pvx0
スター・フォックスのレオンを想像してしまった俺は負け組。

224 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 15:08:38 ID:xLzG2AhpO
FFのレオンを思い出した俺はただの厨

225 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 17:34:01 ID:3kgeXqA90
カードヒーローのレオンを思い出した俺は勝ち組

226 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/03/24(金) 23:10:43 ID:TqNbTQkw0
>>107続き

王様に話を聞いた後、真理奈は先輩・後輩コンビが療養している部屋を訪ねた。
「やっほ〜い!お見舞いだよん!」
「お〜来てくれたのか〜」
「英雄さんの登場だな」
「いや〜そんなんじゃないっすよ先輩w」
先輩はベッド、後輩ちゃんはその脇の椅子に座っていた。
「調子はどう?」
「もう大分いいよ。先輩はもう少しかかるって話だけど・・・」
「そう・・・でも元気そうで良かった!死んじゃったかと思ったから・・・」
「ありがとう。改めて礼を言わせてもらうよ」
「もうお礼はいいってば!正直聞き飽きちゃった」
「ハハハ!」
真理奈と2人は出会って間もないが、流れる空気は親友のそれだった。
戦友と言うべきだろうか。
しかし、それ故に言わなくてはならないこともある。
「え?!旅に出る!?」
「うん。ルビスって奴に言われて世界を救わなきゃいけなくなっちゃったんだ」
「・・・・・・・・」後輩ちゃんは驚いた顔で黙ってしまう。
「ルビス様にか。それは凄いな・・・1人で行くのか?」
「ううん、さっき王様のトコで会ってきたよ。パトリスっておじいちゃんがノリノリでさー
 フィリアって子はあんまり喋ってくれなかったけど、可愛いんだよ〜
 でもジュードってヤツはちょっとムカツクー」
「ふふ。まぁ王様が選んだ人たちなら大丈夫だろう。君が強いのは知ってるしな」
「任せてよ!」
「君ならきっとできるさ。頑張ってくれ」
「ありがとうございます!先輩も傷早く治して下さいね。後輩ちゃんもよ!」
「あ、あぁ・・・」
「??」真理奈は首を傾げる。


227 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/03/24(金) 23:13:01 ID:TqNbTQkw0
「・・・少し話したら疲れたな。すまないが寝かせてもらうよ」
「あ、すいません。話し込んじゃった。じゃあゆっくり休んで下さい」
席を立つ真理奈。後輩ちゃんは黙ってそれを見つめる。
「おい、英雄さんを外まで送ってやれ」
「え?は、はい・・・」
「も〜、怪我してるんだからそんなコトしなくていいよー」
「いいからいいから。それじゃあ元気でな」
「はい、先輩バイバ〜イ」
バタンッ・・・
「・・・ったく。俺も年取ったかな」
言葉とは裏腹に、先輩はその事実を楽しむかのように微笑む。
窓から差し込む陽の光が夕暮れ刻を教えていた。

建物を出るまで後輩ちゃんが相槌しかうたないので、真里奈は一方的に喋る形になってしまった。
この世界のこんなところが不便だとか、自分の世界がどんなものなのかとか。
そんな他愛も無い話。後輩ちゃんにとっては興味のある話。
けれど今は聞く気になれなかった。
「それでさ〜」
「な、なぁ!!俺も一緒に旅に連れていってくれないか?」
「え?」
突然すぎる提案に真理奈はとまどう。
「今はまだ足手まといかもしれない。けど俺、強くなるから!絶対強くなるから!」
「後輩ちゃん・・・」
「だから・・・一緒に行くよ!お前の役に立ちたいんだ!」


228 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/03/24(金) 23:19:38 ID:TqNbTQkw0
「・・・ダ〜メ!まだその体じゃ旅なんて出来る訳ないでしょ」
「こんな怪我なんか―――」
「それにさ」
「何だよ!」
「・・・後輩ちゃんにはこの町を守るっていう大事な使命があるんでしょ?」
「・・・・・・・」
「心配してくれたんだよね。私は大丈夫だから。魔王なんか楽勝楽勝!」
(そんなんじゃ・・・)
「ありがとね」
(そんなんじゃないんだ!)
うつむく後輩ちゃん。
「・・・・・」
真理奈が手を差し出す。
この握手を交わせば終わってしまう。
そう感じるが、それを打開する術が思いつくわけでもなかった。
躊躇った後、その手をグっと握りしめる。
柔らかくて暖かくて小さくて・・・

「・・・バイバイ!」

それはずっと聞いていたいモノであって、最も聞きたくなかったコトだった。
「・・・・・・・」
駆け出した真理奈の背中に昨日の光景を重ねる。
しかし後輩ちゃんは追いかけられず、その場に立ち尽くした。
(いつか・・・いつかその背中に―――)


229 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2006/03/24(金) 23:22:25 ID:TqNbTQkw0
今日も青い空。天気予報もいらないくらい毎日良い天気だ。
「ピーピー!!」という声に無理矢理起こされた真理奈は町の入り口に向かっていた。
制服のブラウスは綺麗に直っていた。何故か左胸のポケットにはロトの紋章が刺繍されていたが。
「アリアハンの伝統工芸なんだよ。カッコイイだろ〜?」
と女将さんが自慢げに言っていたが、真理奈は苦笑するしかなかった。
入り口に到着すると既に3人の仲間が待っていた。
「遅いぞ」
青年が言う。
「いちいちうるさいのよ!あんたは教師か!」
「ほっほっほ。仲が良いのぉ」
「「良くない!」」
「ピ〜!」スライムが楽しそうに声をあげる。
「何だぁ?こいつも連れてくのか?」
「うん。ブルーは私を守ってくれるんだって」
「ブルーだぁ?」
「名前付けたげたの〜可愛いでしょ?ね〜」「ピ〜!」
「・・・女の考えてるコトは良く分かんねぇ」
「では行くとするかの」
「うん!」

青年――戦士のジュード
おじいちゃん――魔法使いのパトリス
少女――僧侶のフィリア

この3人が「ピー!!ピー!!」
・・・
青いの――スライムのブルー

この3人と1匹が真理奈の仲間。
こうして4人と1匹は伝説の続きという旅に出発した。


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